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JP2017032467A - 異常診断装置、軸受、機械装置及び車両 - Google Patents

異常診断装置、軸受、機械装置及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】経年劣化による回転装置の異常の誤診断を低減することが可能な異常診断装置、軸受、機械装置及び車両を提供する。【解決手段】異常診断装置4のコントローラ37dは、回転装置2の運用時間の指標値である運用度Tpを算出する運用度算出部371と、運用度Tpに基づき、運用時間の長さに応じて大きさの変化する振動に対応する適正な診断閾値Th1〜ThNを設定する閾値設定部372と、回転装置2に生じる振動を測定する振動測定部373と、車速Vdに基づき車軸回転数ωを算出する車軸回転数検出部374と、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれるときに測定された振動の振動値から回転装置2の異常に係る特徴周波数成分As11〜AsMNを抽出する特徴周波数成分抽出部375と、特徴周波数成分As11〜AsMNと、診断閾値Th1〜ThNとを比較し、この比較結果に基づき回転装置2の異常を診断する異常診断部376とを備える。【選択図】 図5

Description

本発明は、軸受を含んで構成される回転装置の異常診断に関する。
従来、回転機器に使用される軸受の異常を検出する技術として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。この技術は、軸受の振動から周波数を求め、特定の周波数帯の情報(例えば、スペクトラム等の特徴量)を抽出し、この特徴量としきい値とを比較して軸受の異常を検出するものである。
特開2010−190901号公報
ところで、軸受は、その運用時間に応じて摩耗等し品質や性能が劣化(即ち経年劣化)する。そして、この劣化の度合によって軸受に生じる振動が変化する。
しかしながら、上記従来技術では、軸受の経年劣化による振動の変化を考慮していないため、経年劣化による振動の変化に対して、しきい値が不適切な値となって、軸受の異常を正確に検出することができなくなる可能性がある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、経年劣化による回転装置の異常の誤診断を低減することが可能な異常診断装置、軸受、機械装置及び車両を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る異常診断装置は、回転軸を支持する軸受を含んで構成される回転装置に生じる振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部で検出した振動の値である振動値から前記回転装置の異常に係る特徴周波数成分を抽出する特徴周波数成分抽出部と、前記特徴周波数成分抽出部で抽出した前記特徴周波数成分と予め設定した診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記回転装置の異常を診断する異常診断部と、前記回転装置の運用時間の指標値である運用度を算出する運用度算出部と、前記運用度算出部で算出した前記運用度に基づき、前記運用時間の長さに応じて大きさの変化する振動の振動値から抽出される前記特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を設定する閾値設定部と、を備える。
また、本発明の第2の態様に係る軸受は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第3の態様に係る機械装置は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第4の態様に係る車両は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
本発明によれば、回転装置の運用時間の指標値である運用度を算出し、この運用度に基づき、運用時間の長さに応じて大きさの変化する振動の振動値から抽出される特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を設定し、この診断閾値を用いて回転装置の異常を診断することが可能である。これによって、経年劣化による回転装置の異常の誤診断を低減することが可能となる。
(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態に係る鉄道車両1の概略構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る回転装置2の要部の詳細な構成を示す軸方向断面図である。 本発明の第1実施形態に係る異常診断装置4の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るコントローラ37dのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るコントローラ37dの機能構成の一例を示すブロック図である。 (a)〜(b)は、経年劣化による振動の変化を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る異常診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る閾値設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る閾値比較処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 振動波形のスペクトル曲線の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る閾値設定部の構成例を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る閾値設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第2実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、部材ないし部分の縦横の寸法や縮尺は実際のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法や縮尺は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す第1〜第2実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1実施形態)
(構成)
本発明の第1実施形態に係る鉄道車両1は、図1(a)及び(b)に示すように、複数の回転装置2を含んで構成される。
回転装置2は、車軸21と、車軸21の両端部において車軸21を支持する一対の複列円すいころ軸受3と、車軸21の一対の複列円すいころ軸受3よりも内側の両端部に固定支持された一対の車輪22とを含んで構成される。
複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の内側にて車軸21の端部を回転自在に支持する。
この複列円すいころ軸受3は、第1の円すいころ軸受部24Aと、第2の円すいころ軸受部24Bと、外輪25と、円筒状の間座29とを備える。
第1の円すいころ軸受部24Aは、第1の内輪26Aと、複数個の第1の円すいころ27Aと、第1の保持器28Aとを備え、第2の円すいころ軸受部24Bは、第2の内輪26Bと、複数個の第2の円すいころ27Bと、第2の保持器28Bとを備える。
外輪25は、第1の円すいころ軸受部24A及び第2の円すいころ軸受部24Bに共通の外輪であり、内周面に複列の円すい凹面状の第1の外輪軌道30A及び第2の外輪軌道30Bを有し、軸受ハウジング23に内嵌した状態で、使用時にも回転しないように構成されている。
第1の内輪26Aは、外周面に円すい凸面状の第1の内輪軌道31Aを有し、第2の内輪26Bは、外周面に円すい凸面状の第2の内輪軌道31Bを有し、それぞれ車軸21の端部に外嵌固定した状態で、使用時にこの車軸21と共に回転するように構成されている。
第1の円すいころ27Aは、第1の外輪軌道30Aと、第1の内輪軌道31Aとの間にそれぞれ複数個ずつ、第1の保持器28Aにより保持された状態で転動自在に設けられている。
また、第2の円すいころ27Bは、第2の外輪軌道30Bと、第2の内輪軌道31Bとの間にそれぞれ複数個ずつ、第2の保持器28Bにより保持された状態で転動自在に設けられている。
間座29は、第1の内輪26A及び第2の内輪26Bの間に挟持した状態で、車軸21の端部に外嵌している。なお、図2に示した部分よりも上方に存在する、この車軸21の中間部両端寄り部分には、図1(a)及び(b)に示すように、それぞれ車輪22を外嵌固定している。
更に、複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の外周面に取り付けられた異常診断装置4を備える。この異常診断装置4は、複列円すいころ軸受3の傷や剥離、車軸21の偏摩耗、車輪22のフラット磨耗等、異常診断対象である回転装置2の構成部品(以下、「診断対象部品」と記載する場合がある)に生じる異常を診断するものである。
本実施形態において、異常診断対象は、診断対象部品を示す以外にも、各診断対象部品に発生する異常の種類が2種類以上の場合、各異常内容とのセットで1つの異常診断対象を指すものである。例えば、車輪22の車輪フラットの場合、1周あたり1箇所磨耗と、1周あたり2箇所磨耗とでは特徴周波数成分が異なるため、この場合の異常診断対象は、車輪22の車輪フラット(1箇所)と、車輪22の車輪フラット(2箇所)との2つとなる。
異常診断装置4は、回転装置2に生じる振動を検出する振動検出部としての加速度センサ33と、回転装置2の異常を診断する異常診断ユニット35と、鉄道車両1の走行速度である車速Vを検出する車速センサ39と、を備える。
加速度センサ33は、複列円すいころ軸受3の近傍で発生する振動を電気信号として出力する。
本実施形態では、軸受ハウジング23の外周面の円周方向一部で、軸方向に関して第1の円すいころ軸受部24Aの中央部に対応する部分に、図2に示すように凹部34を形成している。そして、凹部34に加速度センサ33を収容している。なお、加速度センサ33の配設位置はこの位置に限らず、異常診断対象等に応じて他の位置に変更してもよい。
加速度センサ33は、異常診断対象の異常発生時の振動特性に応じて、1軸方向の加速度を測定可能なもの、2軸方向の加速度を測定可能なもの、3軸方向の加速度を測定可能なもの等を適宜選択して使用する。また、測定したい振動の方向に合わせて、1軸又は2軸のセンサを複数配置する構成としてもよい。また、本実施形態では、異常診断対象の異常が複数軸方向への振動を発生する場合、異常発生時の振動方向のうち最も大きい振動レベルの振動方向を代表軸方向として決定し、この軸方向の振動を測定可能な加速度センサを使用する。
例えば、軸受外輪等に軸受剥離が発生した場合、ラジアル方向の振動が大きくなるため、軸受剥離を異常診断するためには、ラジアル方向の振動を検出可能なセンサを配置する必要がある。このように、異常の内容毎に振動変化が顕著に出る方向が異なるため、診断対象の異常内容に応じて、所望の振動方向の振動を検出可能なセンサを配置する必要がある。
なお、この構成に限らず、複数軸方向の振動を2以上検出する構成としてもよい。この場合は、後段の異常診断処理において、1の異常診断対象に対して、例えば、2以上の特徴周波数成分に対する異常診断が行われる。
車速センサ39は、第1実施形態において、鉄道車両1の床下に設けられており、レール面に対してマイクロ波又はミリ波を照射し、この照射波とレール面からの反射波とのドップラシフト量から車速Vを検出するセンサである。
異常診断ユニット35は、軸受ハウジング23の外周面に固定された基板ハウジング36と、基板ハウジング36の内側に配置された回路基板37とを備える。
この異常診断ユニット35は、回転装置2を構成する異常診断対象の各部品の運用時間の指標値である運用度を算出する処理、運用度に基づき異常診断用の閾値を設定する処理、異常診断対象の各部品に摩耗や破損等の異常が生じているか否かを診断する処理等を行う為に、加速度センサ33及び車速センサ39の出力した電気信号等を演算処理するものである。
具体的に、異常診断ユニット35は、図3に示すように、チップ部品やディスクリート部品等として回路基板37上に実装された、第1のI/F部37aと、第2のI/F部37bと、コントローラ37dとを含んで構成される。
第1のI/F部37aは、車速センサ39から出力されるアナログの電気信号である車速信号Vを、後段のコントローラ37dで演算処理可能な信号形式に変換するものである。 ここで、本実施形態では、コントローラ37dは、CPU(Central Processing Unit)等が搭載されたマイクロコントローラ(マイコン)から構成されている。
従って、本実施形態の第1のI/F部37aは、図示省略するが、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器、フィルタ回路、ACカップリングのためのコンデンサ、信号増幅のための信号増幅器等を含んで構成されている。
第1のI/F部37aは、変換後のデジタルの車速信号Vdを、コントローラ37dに出力する。
第2のI/F部37bは、第1のI/F部37aと同様の構成を有し、加速度センサ33から出力されるアナログの電気信号である加速度信号Gを、後段のコントローラ37dで演算処理可能な信号形式に変換するものである。第2のI/F部37bは、変換後のデジタルの加速度信号Gdを、コントローラ37dに出力する。
コントローラ37dは、第1のI/F部37aからの車速信号Vdに基づく車軸回転数ωの算出処理を行う。加えて、算出した車軸回転数ωと、第2のI/F部37bからの加速度信号Gdとに基づき、本実施形態では、複列円すいころ軸受3、車軸21及び車輪22に摩耗や破損等の異常が発生しているか否かを診断する。更に、コントローラ37dは、上述した運用度の算出処理、運用度に基づく診断閾値の設定処理を行う。
次に、図4及び図5に基づき、コントローラ37dのハードウェア構成及び機能構成を説明する。
コントローラ37dは、図4に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU60と、主記憶装置を構成するRAM(Random Access Memory)61と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)62と、RTC63とを備える。加えて、データ転送用の各種内外バス65と、入出力インターフェース(I/F)64とを備える。本実施形態では、RAM61は、例えばNOR型のフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリから構成される。
そして、CPU60、RAM61、ROM62及びRTC63との間を各種内外バス65で接続していると共に、このバス65に入出力I/F64を介して、異常診断ユニット35の第1のI/F部37a及び第2のI/F部37bが接続されている。図示省略するが、その他にも必要に応じて、例えば、データ記憶容量確保のための外部記憶装置、異常診断結果を、CAN等の車載ネットワークを介して各異常診断装置を統括制御する制御装置(以下、「統括制御装置」と記載する)に送信するための通信装置などが接続される。
RTC63は、時刻を計測する計時機能とタイマ機能とを有したICチップであり、システムの電源が落とされても電池によって時刻を刻み続ける。なお、第1実施形態では、年月日曜時分秒を示すデジタルの時刻信号Trdを出力する。
そして、電源を投入すると、ROM62等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM62に予め記憶された各種のコンピュータプログラムをRAM61にロードし、RAM61にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことで後述する各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
また、コントローラ37dは、CPU60によってプログラムを実行することで実現する機能部として、図5に示すように、運用度算出部371と、閾値設定部372と、振動測定部373と、車軸回転数検出部374と、特徴周波数成分抽出部375と、異常診断部376とを備えている。
運用度算出部371は、診断対象部品の運用時間の指標値である運用度Tpを算出する。
ここで、運用度Tpは、値が大きいほど回転装置2の診断対象部品の運用時間が長いことを示し、値が小さいほど回転装置2の診断対象部品の運用時間が短いことを示す。一方、運用時間が長いほど回転装置2の各診断対象部品に生じる経年劣化の劣化度は大きくなっていく。このことから、運用度Tpは、各診断対象部品の摩耗等による経年劣化の劣化度の指標値ともいえる。
第1実施形態では、診断対象部品の最初の使用開始時(例えば、新品の鉄道車両1の最初の運転開始時、部品交換後の最初の使用開始時等)からの経過時間を運用度Tpとして算出する。
具体的に、運用度算出部371は、まず、回転装置2の各診断対象部品の最初の使用開始時の現在時刻TrdをRTC63から取得し、これを初回使用開始時刻TeとしてRAM61に記憶する。
その後、運用度Tpの算出タイミングで、RTC63から現在時刻Trdを取得し、取得した現在時刻TrdからRAM61に記憶された各診断対象部品の初回使用開始時刻Teを減算して、診断対象部品毎の運用度Tpを算出する。
なお、運用度算出部371は、診断対象部品が新品に交換される毎に、RAM61に記憶された交換された診断対象部品に対応する初回使用開始時刻Teを更新する。
閾値設定部372は、運用度算出部371からの運用度Tpに基づき、現在の運用度Tpに対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値を設定する。
第1実施形態では、運用度Tpと、運用度Tpに対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値とが対応付けられた閾値マップがROM62に予め記憶されている。
例えば、試験運転等によって予め運用度Tpの大きさと振動の大きさとの関係を求めておき、この関係に基づき、各運用度Tpに対して各異常診断対象の異常を検出するのに適正な診断閾値を閾値マップに登録する。具体的には、運用度Tpの大きさに対応する大きさの振動の振動値から抽出される特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を登録する。
そして、閾値設定部372は、運用度Tpの値に基づき、閾値マップを参照して、閾値マップから現在の運用度Tpに対応する診断閾値を取得する。そして、取得した診断閾値をRAM61の予め設定された診断閾値用の記憶領域に記憶する。なお、閾値マップの詳細については、後述する。
振動測定部373は、第2のI/F部37bから予め設定したサンプリング周期で入力される加速度信号Gdの示す加速度値(以下、「振動値Gd」と記載する場合がある)を、常時RAM61に時系列に記憶する。これにより、回転装置2に生じる振動を測定する。
車軸回転数検出部374は、ROM61に予め記憶された鉄道車両1の車輪径R、及び円周率πを読み出し、読み出した車輪径R及び円周率πと、第1のI/F部37aからの車速Vdとに基づき、車軸回転数ωを算出する。
具体的に、下式(1)に従って、車速Vdと車輪径Rと円周率πとから車軸回転数ωを算出する。なお、下式(1)において、Vdの単位は[km/h]、ωの単位は[rpm]とする。
ω={(Vd/60)×1000}/(R×π) ・・・(1)
車軸回転数検出部374は、算出した車軸回転数ωを、特徴周波数成分抽出部375に出力する。
特徴周波数成分抽出部375は、車軸回転数検出部374からの車軸回転数ωに基づき、車軸21が予め設定した設定回転数範囲ωsで回転しているときに測定された振動値Gdから特徴周波数成分を抽出する。なお、設定回転数範囲ωsは、例えば、6000[rpm]〜9000[rpm]または6000[rpm]以上などの範囲に設定する。
具体的に、第1実施形態の特徴周波数成分抽出部375は、RTC63のタイマ機能を用いて、車軸21が設定回転数範囲ωsで回転を開始したと判定してから、設定回転数範囲ωsで回転をし続けている間の経過時間Tdを計測する。そして、経過時間Tdが診断可能時間Tfとなった場合に、診断可能時間Tfの期間に測定した振動値Gdsに対して特徴周波数成分の抽出処理を開始する。
以下、経過時間Tdが診断可能時間TfとなるまでにRAM61に記憶された振動値Gdを「振動値群Gds」と記載する場合がある。
第1実施形態では、診断可能時間Tfの期間の振動値を特徴周波数成分の抽出に必要な時間間隔で(周期的な振動区間毎に)M分割(Mは2以上の自然数)し、各分割区間の振動値に対して特徴周波数成分の抽出処理を行う。具体的に、診断可能時間Tfの期間にRAM61に記憶された設定回転数範囲ωsに対応する振動値群Gdsに対して次数解析処理を行う。
これにより、振動値群Gdsで示される振動波形に含まれる、分割区間1〜Mの予め設定した異常診断対象の次数1〜N(Nは2以上の自然数)にそれぞれ対応する特徴周波数成分As11,As12,・・・,As(M−1)(N−1),AsMNを抽出する。
以下、特徴周波数成分As11,As12,・・・,As(M−1)(N−1),AsMNを、「特徴周波数成分As11〜AsMN」と略記する場合がある。
なお、第1実施形態において、特徴周波数成分の抽出処理は診断可能時間Tfとなる毎に行われ、また、振動の測定処理と並行して行われる。
ここで、次数解析処理は、具体的に、FFT(高速フーリエ変換)を用いて、振動波形のパワースペクトル(振動レベル)を求め、このパワースペクトルを求めたときの車軸回転数に当たる周波数fsに対応する成分を1次成分として求める。加えて、この周波数fsの2倍、3倍、・・・、N−1倍、N倍の周波数毎のパワースペクトルを、2次〜N次成分として求める処理となる。また、Nの値は、異常診断対象に対応する次数成分によって適宜設定する。
特徴周波数成分抽出部375は、抽出した特徴周波数成分As11〜AsMNを、RAM61に記憶する。その後、診断開始指令Stdを異常診断部376に出力する。
異常診断部376は、特徴周波数成分抽出部375から診断開始指令Stdが入力されると、RAM61に記憶された特徴周波数成分As11〜AsMNと、RAM61に記憶された、閾値設定部372で設定された現在の運用度Tpに対応する診断閾値Th1〜ThNとを比較する。そして、各比較結果に基づき、回転装置2の診断対象部品に異常が発生しているか否かを診断する。異常診断部376は、この異常診断結果を、例えば、車載ネットワークを介して、統括制御装置へと出力する。
ここで、部品、装置によって、例えば、m次変化(mは「1≦m<N」の自然数)のときは軸受剥離、(m+1)次変化のときは装置回転軸偏磨耗など、次数成分ごとの故障モードが決まっている。そのため、診断閾値Th1〜ThNは、回避したい故障モードごとに許容値を検討し、各次数成分それぞれに対して適切な診断閾値を設定する。例えば、車輪22が何らかの原因で磨耗したときなど、車輪フラットなどで1周あたり1箇所磨耗に相当する場合は1次成分、楕円に磨耗してしまったときなど2箇所磨耗に相当する場合は2次成分といった様に特徴周波数成分が発生することになる。
そして、本実施形態では、閾値設定部372において、現在の運用度Tpに対して適正な診断閾値Th1〜ThNを設定している。
ここで、回転装置2の各診断対象部品は、長期間の運用によって経年劣化する。例えば、運用時間が長くなると複列円すいころ軸受3の内輪や外輪に摩耗等が生じる。また、潤滑剤の劣化によって摩耗が生じやすくなる。これら潤滑剤の劣化や摩耗等による摩擦や軸ブレ等の増大によって回転装置2に生じる振動が大きくなる。
具体的に、図6(a)に示す回転装置2の各診断対象部品が新品の状態のときの振動の振幅と、図6(b)に示す回転装置2の診断対象部品に経年劣化が生じている状態のときの振動の振幅とを比較すると、経年劣化が生じている方が振幅が大きくなる。振幅が大きくなると特徴周波数のパワースペクトルも大きくなるため、運用時間(経年劣化)を考慮せずに閾値を設定した場合、正常時の各次数成分のなかに、設定した診断閾値を上回るものが出てくる可能性がある。即ち、本来なら回転装置2の診断対象部品に異常が無いにも係わらず異常ありと誤診断される可能性がある。
そのため、第1実施形態では、閾値設定部372が、運用度Tpの大きさ(経年劣化の劣化度の大きさ)に応じて変化する振動の大きさ(レベル)に対応して、各振動の振動値から抽出される特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を設定するように構成されている。
従って、閾値マップは、次数成分(特徴周波数成分)毎に、各運用度の大きさに対応する振動波形の大きさに対して適正な診断閾値Th1〜ThNが登録されたものとなっている。具体的に、回転装置2の新品時の振動を基準として、予め基準診断閾値Thr1〜ThrNが設定されており、この基準診断閾値Thr1〜ThrNを、運用度の大きさ(経年劣化の劣化度の大きさ)に対応する振動の大きさに応じて適正な値へと補正した診断閾値Th1〜ThNがマップに登録されている。
(異常診断処理)
次に、図7に基づき、異常診断装置4における異常診断処理の処理手順の一例を説明する。なお、異常診断処理は、鉄道車両1の運転中(駆動源の駆動中又は車両走行中)に所定周期で繰り返し実行される処理である。
CPU60において、プログラムが実行され異常診断処理が開始されると、図7に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、閾値設定部372において、閾値設定処理を実行して、現在の運用度Tpを算出すると共に、現在の運用度Tpに応じた診断閾値を設定して、ステップS102に移行する。
ステップS102では、振動測定部373において、振動測定処理を実施して、ステップS104に移行する。
具体的に、振動測定部373は、第2のI/F部37bを介して入力される加速度値Gdを取得し、取得した加速度値Gdを振動値Gdとして、RAM61に記憶する。
ステップS104では、車軸回転数検出部374において、第1のI/F部37aを介して入力される車速Vdを取得し、取得した車速Vdに基づき車軸回転数ωを算出する。そして、算出した車軸回転数ωを特徴周波数成分抽出部375に出力して、ステップS106に移行する。
ステップS106では、特徴周波数成分抽出部375において、車軸回転数ωに基づき特徴周波数成分の抽出タイミングか否かを判定する。そして、抽出タイミングであると判定した場合(Yes)は、ステップS108に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
具体的に、特徴周波数成分抽出部375は、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合にRTC63のタイマ機能を用いて経過時間Tdの測定を開始する。そして、経過時間Td(カウント値Tc)が診断可能時間Tf以上となったと判定した場合に特徴周波数成分の抽出タイミングであると判定し、診断可能時間Tf未満であると判定した場合に抽出タイミングでは無いと判定する。
ステップS108に移行した場合は、特徴周波数成分抽出部375において、特徴周波数成分抽出処理を実施して、診断可能時間Tfの期間に測定された振動値群Gdsから、特徴周波数成分As11〜AsMNを抽出する。そして、抽出した特徴周波数成分As11〜AsMNをRAM61に記憶して、ステップS110に移行する。
ステップS110では、異常診断部376において、閾値比較処理を実施して、ステップS112に移行する。
ステップS112では、異常診断部376において、ステップS110の比較結果に基づき、診断処理を実施して、回転装置2の各診断対象部品に異常が発生しているか否かを診断して、一連の処理を終了する。
具体的に、異常診断部376は、診断可能時間Tfの期間、診断閾値以上となる次数成分に対応する診断対象部品に異常が発生していると診断し、診断可能時間Tfの期間中に閾値未満となる次数成分に対応する診断対象部品は正常であると診断する。
(閾値設定処理)
次に、図8に基づき、ステップS100の閾値設定処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS100で閾値設定処理が開始されると、図8に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、運用度算出部371において、回転装置2が最初の使用開始時か否かを判定する。そして、最初の使用開始時であると判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS212に移行する。
ここで、第1実施形態では、各診断対象部品に対して最初の使用開始時であるか否かを示す使用状態フラグがRAM61に予め設定してある。この使用状態フラグは、例えば、新品の鉄道車両1の最初の使用開始時や部品交換後の最初の使用開始時に「1」に設定され、最初の使用開始時ではないときに「0」に設定される。
即ち、運用度算出部371は、使用状態フラグが「1」のときは、最初の使用開始時であると判定し、使用状態フラグが「0」のときは、最初の使用開始時ではないと判定するように構成されている。
ステップS202に移行した場合は、運用度算出部371において、RTC63から現在時刻Trdを取得して、ステップS204に移行する。
ステップS204では、運用度算出部371において、ステップS202で取得した現在時刻Trdを、回転装置2の全ての診断対象部品又は交換された診断対象部品の初回開始時刻TeとしてRAM61に記憶する。その後、ステップS206に移行する。
ステップS206では、運用度算出部371において、ステップS202又はS212で取得した現在時刻TrdからRAM61に記憶された各診断対象部品の初回開始時刻Teを減算してなる運用度Tpを診断対象部品毎に算出する。そして、算出した運用度Tpを閾値設定部372に出力して、ステップS208に移行する。
ステップS208では、閾値設定部372において、ROM62に記憶された閾値マップから、運用度算出部371から入力された現在の運用度Tpに対応する診断閾値Th1〜ThNを読み出す。その後、ステップS210に移行する。
ステップS210では、閾値設定部372において、ステップS208で読み出した診断閾値Th1〜ThNを、RAM61の診断閾値用の記憶領域に上書きして記憶することで、異常診断に用いる診断閾値を設定する。その後、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS200において最初の使用開始時ではないと判定されステップS212に移行した場合は、運用度算出部371において、RTC63から現在時刻Trdを取得して、ステップS206に移行する。
(閾値比較処理)
次に、図9に基づき、ステップS110の閾値比較処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS110で閾値比較処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、異常診断部376において、変数i及びjに「1」を代入して、ステップS302に移行する。
ステップS302では、異常診断部376において、RAM61から特徴周波数成分Asijと、特徴周波数成分Asijに対応する診断閾値Thiとを読み出す。次に、特徴周波数成分Asijが診断閾値Thi以上であるか否かを判定し、診断閾値Thi以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS304に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS314に移行する。
具体的に、異常診断部376は、例えば、変数i及びjが「1」の場合、RAM61から車体重量に基づき設定された1次成分に対応する診断閾値Th1を読み出し、特徴周波数成分As11が診断閾値Th1以上であるか否かを判定する。
ステップS304に移行した場合は、異常診断部376において、特徴周波数成分Asijが診断閾値Thi以上であるという判定結果を、RAM61に記憶する。その後、ステップS306に移行する。
一方、ステップS306に移行した場合は、異常診断部376において、特徴周波数成分Asijが診断閾値Thi未満である判定結果をRAM61に記憶する。その後、ステップS308に移行する。
ステップS308に移行した場合は、異常診断部376において、変数jの値がN(設定最大次数)と一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合(Yes)は、ステップS310に移行し、一致しないと判定した場合(No)は、ステップS314に移行する。
ステップS310に移行した場合は、異常診断部376において、変数iの値がMと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰し、一致しないと判定した場合(No)は、ステップS312に移行する。
一方、ステップS312に移行した場合は、異常診断部376において、現在の変数iの値に1を加算した値を変数iに代入すると共に、変数jに1を代入して、ステップS302に移行する。
また、ステップS308において変数jの値がNと一致せずにステップS314に移行した場合は、異常診断部376において、現在の変数jの値に1を加算した値を変数jに代入して、ステップS302に移行する。
上記一連の処理を変数iがM、変数jがNとなるまで繰り返し行うことで、特徴周波数成分As11〜AsMNが診断閾値以上であるか否かを判定する。
(診断処理)
次に、図10に基づき、ステップS112の診断処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS112で診断処理が開始されると、図10に示すように、まず、ステップS400に移行する。
ステップS400では、異常診断部376において、変数kに「1」を代入して、ステップS402に移行する。
ステップS402では、異常診断部376において、RAM61から、特徴周波数成分A1k〜AMkの閾値比較処理の判定結果を読み出す。そして、特徴周波数成分As1k〜AsMkの全てが診断閾値Thk以上と判定されているか否かを判定し、診断閾値Thk以上と判定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS404に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS412に移行する。
ステップS404に移行した場合は、異常診断部376において、k次成分に対応する診断対象部品を異常と診断して、ステップS406に移行する。
即ち、本実施形態では、診断可能時間Tf以上の期間、k次成分が診断閾値Thk以上となる状態が継続した場合に、異常と診断する。
ステップS406では、異常診断部376において、ステップS404又はS412の診断結果をRAM61に記憶すると共に、車載ネットワークを介して、統括制御装置へと出力する。その後、ステップS408に移行する。
ステップS408では、異常診断部376において、変数kの値がNと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了し元の処理に復帰し、一致しないと判定した場合(No)は、ステップS410に移行する。
ステップS410では、異常診断部376において、現在の変数kの値に1を加算した値を変数kに代入して、ステップS402に移行する。
一方、ステップS402において、全てが閾値以上と判定されずステップS412に移行した場合は、異常診断部376において、k次成分に対応する構成部品を正常と診断して、ステップS406に移行する。
(動作)
次に、図11に基づき、第1実施形態に係る鉄道車両1の具体的な動作例を説明する。
鉄道車両1が運転を開始して回転装置2を含む各種装置に電源が供給されると、加速度センサ33が回転装置2に生じる振動に応じた加速度Gの出力を開始し、車速センサ39が車速Vの出力を開始する。これにより、第1〜第2のI/F部37a〜37bを介して、車速Vd及び加速度(振動値)Gdがコントローラ37dに入力される。
一方、コントローラ37dは、電源供給に応じて起動し異常診断処理を開始する。ここでは、各診断対象部品の初回使用開始時刻Teが既にRAM61に記憶されていることとする。
閾値設定処理が開始されると、運用度算出部371において、まず、RTC63から現在時刻Trdを取得し、RAM61から初回使用開始時刻Teを取得する。そして、取得した現在時刻Trdから初回使用開始時刻Teを減算して運用度Tpを算出し、算出した運用度Tpを閾値設定部372に出力する。
閾値設定部372は、現在の運用度Tpに基づき、ROM62の閾値マップから運用度Tpに対応する診断閾値Th1〜ThNを読み出す。ここでは、N=5として、診断閾値Th1〜Th5を読み出したとする。そして、読み出した診断閾値Th1〜Th5を、RAM61の診断閾値用の記憶領域に記憶する。これにより、異常診断(閾値比較処理)に用いる診断閾値を設定する。
なお、回転装置2の最初の使用開始直後は、運用度Tpが極めて小さな値となるため、異常診断に用いる診断閾値として基準診断閾値Thr1〜Thr5が設定される。
その後、運用時間が増加することで運用度Tpが大きくなり、また、運用時間が長くなることで回転装置2の診断対象部品のいずれかに摩耗等の経年劣化が生じる。そのため、回転装置2に発生する振動が初回使用開始時とは異なる振動に変化する。具体的に、運用度Tpが大きく(劣化度が大きく)なるほど振動の振幅が大きくなる。
そのため、本実施形態の閾値設定部372は、運用度Tpの大きさ(劣化度の大きさ)に応じて変化する振動の大きさに対して、都度適切な診断閾値Th1〜Th5を設定する。
診断閾値Th1〜Th5が設定されると、振動測定部373は、所定サンプリング周期で入力される振動値Gdを、時系列にRAM61に記憶する。
次に、車軸回転数検出部374は、現在の車速Vdをもとに車軸回転数ωを算出し、算出した車軸回転数ωを、特徴周波数成分抽出部375に出力する。
特徴周波数成分抽出部375は、車軸回転数検出部374からの車軸回転数ωの入力に応じて、抽出タイミングであるか否かを判定する。即ち、特徴周波数成分抽出部375は、車軸回転数検出部374から入力された車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれるようになったか否かを判定する。
特徴周波数成分抽出部375は、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれるようになったと判定すると、RTC63のタイマ機能による車軸21の設定回転数範囲ωsでの回転状態の経過時間Tdのカウントを開始する。そして、経過時間Tdが診断可能時間Tf以上になったと判定すると、抽出タイミングであると判定する。そして、診断可能時間Tfの期間にRAM61に記憶された振動値群Gdsに対して次数解析処理を行う。ここでは、振動値群Gdsの示す振動の区間を5分割(M=5)し、分割区間1〜5について、回転装置2の各診断対象部品に発生する異常に係る特徴周波数成分As11〜As55を抽出する。
具体的に、特徴周波数成分抽出部375は、FFT等の処理によって、各分割区間の振動値から、例えば、図11に示すようなスペクトル曲線を得る。そして、図11に示すように、基本周波数fsの周波数成分を1次成分として抽出すると共に、基本周波数の2倍〜5倍の周波数成分を2〜5次成分として抽出する。そして、これら抽出した各分割区間の1〜5次成分を、特徴周波数成分As11〜As55としてRAM61に記憶する。その後、診断開始指令Stdを、異常診断部376に出力する。
異常診断部376は、特徴周波数成分抽出部375からの診断開始指令Stdに応じて、RAM61に記憶された特徴周波数成分As11〜As55と、同じくRAM61に記憶された診断閾値Th1〜Th5との末尾の数字が同じもの同士を比較する。そして、特徴周波数成分が診断閾値以上となるか否かを判定する。異常診断部376は、この判定結果をRAM61に記憶する。
引き続き、異常診断部376は、RAM61に記憶された判定結果に基づき、例えば、特徴周波数成分As21〜As25の全てが診断閾値以上である場合に、2次成分に対応する診断対象部品を異常と診断する。例えば、2次成分が軸受剥離に対応する場合、複列円すいころ軸受3に軸受剥離の異常があると診断する。一方、例えば、特徴周波数成分As11〜As15の少なくとも一部が診断閾値未満である場合、異常診断部376は、1次成分に対応する診断対象部品を正常と診断する。例えば、1次成分が車輪22の偏摩耗に対応する場合、車輪22は正常である(偏摩耗が無い)と診断する。なお、特徴周波数成分As31〜As55についても同様の診断を行う。
異常診断部376は、1次〜5次成分に対応する診断対象部品の診断結果を、RAM61に記憶すると共に、車載ネットワークを介して統括制御装置へと送信する。
統括制御装置では、例えば、異常診断結果に基づき、対象の回転装置2の診断対象部品毎の診断結果の情報(例えば、異常発生の有無等)を回転装置2の位置が解る情報と共に運転席のモニタに表示する。また、異常発生時は、異常の内容に応じて、部品交換を促すメッセージや警告メッセージを表示したり、警報を鳴らしたり、警告ランプを点灯したりしてもよい。
第1実施形態において、複列円すいころ軸受3が軸受に対応し、車軸21が回転軸に対応し、車輪22が回転体に対応し、加速度センサ33が振動検出部に対応し、閾値設定部372が閾値設定部に対応し、車軸回転数検出部374が車軸回転数検出部に対応する。
(第1実施形態の効果)
(1)第1実施形態に係る異常診断装置4は、加速度センサ33が、車軸21を支持する複列円すいころ軸受3を含んで構成される回転装置2に生じる振動を検出する。特徴周波数成分抽出部375が、加速度センサ33で検出した振動の値である振動値から回転装置2の異常に係る特徴周波数成分を抽出する。異常診断部376が、特徴周波数成分抽出部375で抽出した特徴周波数成分As11〜AsMNと予め設定した診断閾値Th1〜ThNとを比較し、該比較の結果に基づき回転装置2の異常を診断する。運用度算出部371が、回転装置2の運用時間の指標値である運用度Tpを算出する。閾値設定部372が、運用度算出部371で算出した運用度Tpに基づき、運用時間の長さ(経年劣化の劣化度の大きさ)に応じて大きさの変化する振動の振動値から抽出される特徴周波数成分As11〜AsMNに対して適正な診断閾値Th1〜ThNを設定する。
この構成であれば、回転装置2の運用時間の長さ(経年劣化の劣化度の大きさ)に応じて大きさの変化する振動の振動値から抽出される特徴周波数成分に対して適正な閾値を設定することが可能となる。即ち、長期間運用していて経年劣化は生じているが動作に問題の無い正常な回転装置(診断対象部品)は異常と判定しないが、短期間の運用で異常が生じた回転装置又は長期間の運用で異常が生じた回転装置を異常と判定することが可能となる。
これにより、経年劣化による回転装置2の異常の誤診断を低減することが可能となり、異常診断装置4の信頼性を向上することが可能となる。
(2)運用度算出部371が、運用度Tpとして、回転装置2の最初の使用開始時から現在時刻までの経過時間を算出する。
この構成であれば、回転装置2の最初の使用開始時からの経過時間の長さに対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値を設定することが可能となる。即ち、経過時間が長いほど経年劣化の劣化度が大きくなり、回転装置2に生じる振動の変化も大きくなっていくので、劣化度に応じた適正な診断閾値を設定することが可能となる。
(3)閾値設定部372が、診断に用いる診断閾値Th1〜ThNとして、運用度Tpが大きくなるほど大きくなる診断閾値を設定する。
ここで、回転装置2を構成する軸受や回転体は、経年劣化によって摩耗が発生する。この摩耗によって部材間の隙間の広がりや、変形による接触部分の変化等によって、回転装置2に生じる振動が大きくなる。そして、経年劣化により振動レベルが大きくなった場合、この変化を考慮しない診断閾値を用いると、特徴周波数成分が診断閾値を上回って、本来ならば正常であるのに、異常と誤診断する可能性がある。
即ち、上記(3)の構成であれば、運用度Tpが大きいほど大きい診断閾値Th1〜ThNを設定するようにしたので、正常時に特徴周波数成分が診断閾値を上回る誤診断を低減することが可能となる。
(4)回転装置2が、複列円すいころ軸受3と、車軸21と、車軸21に支持された車輪22とを含んで構成されている。異常診断部376の異常診断対象が、複列円すいころ軸受3、車軸21及び車輪22を含む回転装置2の構成部品である。特徴周波数成分抽出部375が、構成部品毎に異なる特徴周波数成分を抽出する。運用度算出部371が、構成部品毎の運用度Tpを算出する。閾値設定部372が、構成部品毎に異なる特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を設定する。
この構成であれば、回転装置2の構成部品毎の異常を診断することが可能となり、構成部品毎に修理や交換等を行うことが可能となる。これによって、回転装置のメンテナンスにかかるコストを低減することが可能となる。
(5)車軸回転数検出部374が、車軸21の回転数を検出する。振動測定部373が、加速度センサ33で検出した振動値を時系列にRAM61に記憶する。特徴周波数成分抽出部375が、振動測定部373が記憶した振動値のうち、予め設定した設定回転数範囲ωsの範囲内となる車軸回転数ωで車軸21が回転時の振動値から特徴周波数成分As11〜AsMNを抽出する。
この構成であれば、回転装置2が稼働中において、回転装置2に生じる振動を測定し、車軸21が設定回転数範囲ωsで回転しているときの特徴周波数成分を抽出することが可能となる。加えて、この抽出した特徴周波数成分と、同じく回転装置2が稼働中において、運用度算出部371で算出した運用度Tpに基づき設定された診断閾値との比較を行い、この比較結果に基づき異常診断を行うことが可能となる。
これによって、回転装置2の運用時間の長さ(経年劣化の劣化度の大きさ)に応じて変化する振動の大きさに対して適切な診断閾値を設定し、この診断閾値を用いて異常診断を行うことが可能となる。その結果、異常の早期発見が可能になると共に、稼働中の運用度の変化による異常の誤診断を低減することが可能となる。
(6)複列円すいころ軸受3は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(7)機械装置の1種である回転装置2は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(8)車両の1種である鉄道車両1は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(第2実施形態)
(構成)
次に、図面に基づき、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態において、初回使用開始時刻からの経過時間を算出することで運用度Tpを算出していたのに対して、鉄道車両1の走行距離に基づき回転装置2の各診断対象部品の実動時間を運用度Tpとして算出する点で異なる。かかる相違点以外は上記第1実施形態と同様となる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略する。
第2実施形態の鉄道車両1は、鉄道車両1の総走行距離(累計走行距離)を計測する走行距離計38を備える。
第2実施形態のROM62には、鉄道車両1の平均速度Vaが記憶されている。
第2実施形態の運用度算出部371は、図12に示すように、実動総走行距離算出部3710と、実動時間算出部3711とを備える。
実動総走行距離算出部3710は、回転装置2の各診断対象部品の最初の使用開始時からの総走行距離である実動総走行距離Drを算出する。
具体的に、実動総走行距離算出部3710は、まず、回転装置2の各診断対象部品の最初の使用開始時の現在の総走行距離DdをCAN等の車載ネットワークを介して走行距離計38から取得し、これを初回総走行距離DeとしてRAM61に記憶する。
以降は、運用度Tpの算出タイミングで、走行距離計38から現在の総走行距離Ddを取得し、取得した現在の総走行距離DdからRAM61に記憶された各診断対象部品の初回総走行距離Deを減算して、鉄道車両1の各診断対象部品の使用開始時からの総走行距離である実動総走行距離Drを算出する。そして、算出した実動総走行距離Drを実動時間算出部3712に出力する。
なお、実動総走行距離算出部3710は、診断対象部品が新品に交換される毎に、RAM61に記憶された交換された診断対象部品に対応する初回総走行距離Deを更新する。
実動時間算出部3711は、実動総走行距離算出部3710からの各診断対象部品の実動総走行距離Drの入力に応じて、RAM61から鉄道車両1の平均速度Vaを取得する。そして、各診断対象部品の実動総走行距離Drを平均速度Vaで除算することで実動時間を算出し、この実動時間を、運用度Tpとして、閾値設定部372に出力する。
即ち、第2実施形態の運用度算出部371は、回転装置2の実動時間を運用度Tpとして算出する。従って、第2実施形態のROM62には、回転装置2の運用度Tpの大きさ(実動時間の長さに対応する経年劣化の劣化度の大きさ)に対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値が記憶されている。
(閾値設定処理)
次に、図13に基づき、第2実施形態の閾値設定処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS100で閾値設定処理が開始されると、図13に示すように、まず、ステップS500に移行する。
ステップS500では、運用度算出部371において、回転装置2が最初の使用開始時か否かを判定する。そして、最初の使用開始時であると判定した場合(Yes)は、ステップS502に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS514に移行する。
ステップS502に移行した場合は、運用度算出部371において、車載ネットワークを介して走行距離計38から現在の総走行距離Ddを取得して、ステップS504に移行する。
ステップS504では、運用度算出部371において、ステップS502で取得した現在の総走行距離Ddを、全ての診断対象部品又は交換された診断対象部品の初回総走行距離DeとしてRAM61に記憶する。その後、ステップS506に移行する。
ステップS506では、運用度算出部371において、ROM62から平均速度Vaを取得して、ステップS508に移行する。
ステップS508では、運用度算出部371において、ステップS502又はS514で取得した現在の総走行距離DdからRAM61に記憶された各診断対象部品の初回総走行距離Deを減算してなる実動総走行距離Drを算出する。その後、ステップS510に移行する。
ステップS510では、運用度算出部371において、ステップS508で算出した各診断対象部品の実動総走行距離Drを、ステップS506で取得した平均速度Vaで除算してなる実動時間を算出する。そして、算出した実動時間を現在の運用度Tpとして、閾値設定部372に出力して、ステップS512に移行する。
ステップS512では、閾値設定部372において、ROM62に記憶された閾値マップから、運用度算出部371から入力された現在の運用度Tpに対応する診断閾値Th1〜ThNを読み出す。その後、ステップS514に移行する。
ステップS514では、閾値設定部372において、ステップS512で読み出した診断閾値Th1〜ThNを、RAM61の診断閾値用の記憶領域に上書きして記憶することで、異常診断に用いる診断閾値を設定する。その後、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
一方、ステップS500において最初の使用開始時ではないと判定されステップS514に移行した場合は、運用度算出部371において、車載ネットワークを介して走行距離計38から現在の総走行距離Ddを取得して、ステップS506に移行する。
(動作)
次に、第2実施形態に係る鉄道車両1の具体的な動作例を説明する。
ここでは、各診断対象部品の初回総走行距離Deが既にRAM61に記憶されていることとする。また、上記第1実施形態と同様の動作部分については説明を省略する。
閾値設定処理が開始されると、運用度算出部371は、実動総走行距離算出部3710において、まず、車載ネットワークを介して走行距離計38から現在の総走行距離Ddを取得し、RAM61から初回総走行距離Deを取得する。そして、取得した現在の総走行距離Ddから初回総走行距離Deを減算して実動総走行距離Drを算出し、算出した実動総走行距離Drを、実動時間算出部3711に出力する。
実動時間算出部3711は、実動総走行距離Drが入力されると、RAM61から平均速度Vaを読み出し、入力された実動総走行距離Drを読み出した平均速度Vaで除算することで実動時間を算出する。そして、算出した実動時間を運用度Tpとして閾値設定部372に出力する。
第2実施形態において、複列円すいころ軸受3が軸受に対応し、車軸21が回転軸に対応し、車輪22が回転体に対応し、加速度センサ33が振動検出部に対応し、閾値設定部372が閾値設定部に対応し、車軸回転数検出部374が車軸回転数検出部に対応する。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態は、上記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(1)第2実施形態に係る異常診断装置4は、運用度算出部371が、運用度Tpとして、回転装置2の実動時間を算出する。
この構成であれば、回転装置2の実際の動作時間を運用度Tpとして算出することが可能となるので、回転装置2の経年劣化の度合をより正確に示す運用度Tpを求めることが可能となる。これによって、回転装置2の経年劣化によって変化する振動の大きさに対して、より適正な診断閾値を設定することが可能となる。
(2)回転装置2は車両の1種である鉄道車両1に搭載され、運用度算出部371が、鉄道車両1の走行距離に基づき回転装置2の実動時間を算出する。
この構成であれば、鉄道車両1の走行距離に基づき実動時間を算出することが可能となるので、簡易な計算で運用度Tpを算出することが可能となる。
特に、鉄道車両は、毎日決まったコースを決まった時間で走行するため平均速度が決まっていると共に事故等が生じない限り変化しない。また、平均速度を予め記憶保持しておくことで、鉄道車両の備える走行距離計から得られる総走行距離を平均速度で除算するといった簡易な計算で回転装置2の実動時間を算出することが可能である。
(変形例)
(1)上記実施形態では、運用度に対応する診断閾値が登録された閾値マップを参照して異常診断に用いる診断閾値を設定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、その都度、基準診断閾値を運用度の大きさに応じた補正量で補正して運用度に対応する診断閾値を算出し、これを異常診断に用いる診断閾値として設定する構成としてもよい。また、例えば、運用度を入力値とし該運用度に対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値を出力値とする関数を用いて運用度に対応する診断閾値を算出し、これを異常診断に用いる診断閾値として設定する構成とするなど他の構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、車軸回転数に係わらず常時振動を測定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれるときの振動のみを測定する構成とするなど他の構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、振動を検出するセンサとして、加速度センサを例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、AE(acoustic emission)センサ、超音波センサ、ショックパルスセンサ、マイクロホン等や、あるいは、速度、加速度、歪み、応力、変位型等、回転装置2の振動に起因して発生する物理量を電気信号化できるものであれば他のセンサを用いる構成としてもよい。また、ノイズが多いような機械装置に取り付ける際には、絶縁型を使用する方がノイズの影響を受けることが少ないので好ましい。さらに、圧電素子等の振動検出素子を使用する場合には、この素子をプラスチック等にモールドして構成してもよい。
(4)上記実施形態では、1つの複列円すいころ軸受に対して加速度センサを1つ設ける構成としたが、この構成に限らず、1つの複列円すいころ軸受に対して2つ以上の加速度センサを設ける構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、1つの加速度センサの出力する加速度信号に対して異常診断処理をする構成としたが、この構成に限らない。例えば、加速度センサを2つ設け、2つの加速度センサの出力する2つの加速度信号に対して、異常診断部によって異常診断処理を行う構成としてもよい。この場合、例えば、2つの加速度信号から得た2つの振動値の平均値を求め、この平均値に対して異常診断処理を行う。
(6)上記実施形態では、振動を測定する車軸の回転数を設定回転数範囲ωsの1種類のみとしたが、この構成に限らず、複数種類の回転数範囲を設定する構成としてもよい。この構成とした場合は、各回転数範囲に対する診断結果から総合的な異常の判断を行うことが可能となり、異常診断結果の信頼性を向上することが可能となる。
(7)上記実施形態では、回転軸(車軸)を支持する軸受として、複列円すいころ軸受を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等の他のころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受など他の軸受とする構成としてもよい。なお、複列の軸受に限らず、単列の軸受、四列の軸受など他の構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、車軸(回転軸)、軸受、車輪(回転体)を異常診断対象とする構成としたが、この構成に限らない。例えば、車軸に取り付けられる歯車などの他の構成部品を異常診断対象として含む構成としてもよい。即ち、本発明は、車両の車軸を支持する軸受が組み込まれている回転装置を構成する構成部品であって且つ振動に含まれる特徴周波数成分から異常診断が可能なものであればどのようなものも異常診断対象としてよい。また、逆に、異常診断対象を、軸受のみ、軸受と車輪のみ、軸受と車軸のみなど、軸受を含む範囲で異常診断対象を絞り込む構成としてもよい。
(9)上記実施形態では、車両の1種である鉄道車両に本発明を適用する構成としたが、この構成に限らず、自動4輪車、自動2輪車等の他の車両に対して適用する構成としてもよい。
(10)上記実施形態では、振動を検出するセンサを、複列円すいころ軸受の近傍に設ける構成としたが、この構成に限らず、回転装置の構成部品の異常に係る特徴周波数成分を含む振動を検出可能であれば他の位置に設ける構成としてもよい。
(11)上記第2実施形態では、実動総走行距離Drを予めROM62に記憶された平均速度Vaで除算することで実動時間を算出する構成としたが、この構成に限らない。例えば、RTC63のタイマ機能を用いて、車速Vdが0よりも大きいときの時間を計測し、この計測時間の累計値を算出することで実動時間を求める構成とするなど他の構成としてもよい。
(12)上記実施形態では、機械装置の1種である鉄道車両に本発明を適用する構成としたが、この構成に限らない。例えば、軸受の組み込まれた回転装置を有するものであれば、鉱山機械、化学機械、環境装置、動力伝導装置、タンク、業務用洗濯機、ボイラ・原動機、プラスチック機械、風水力機械、運搬機械、製鉄機械等の機械装置に本発明を適用してもよい。
1 鉄道車両、2 回転装置、3 複列円すいころ軸受、4 異常診断装置、21 車軸、22 車輪、33 加速度センサ、37 回路基板、37a〜37b 第1〜第2のI/F部、37d コントローラ、38 走行距離計、39 車速センサ、371 運用度算出部、372 閾値設定部、373 振動測定部、374 車軸回転数検出部、375 特徴周波数成分抽出部、376 異常診断部、3710 実動総走行距離算出部、3711 実動時間算出部

Claims (10)

  1. 回転軸を支持する軸受を含んで構成される回転装置に生じる振動を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部で検出した振動の値である振動値から前記回転装置の異常に係る特徴周波数成分を抽出する特徴周波数成分抽出部と、
    前記特徴周波数成分抽出部で抽出した前記特徴周波数成分と予め設定した診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記回転装置の異常を診断する異常診断部と、
    前記回転装置の運用時間の指標値である運用度を算出する運用度算出部と、
    前記運用度算出部で算出した前記運用度に基づき、前記運用時間の長さに応じて大きさの変化する振動の振動値から抽出される前記特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を設定する閾値設定部と、を備える異常診断装置。
  2. 前記運用度算出部は、前記運用度として、前記回転装置の最初の使用開始時から現在時刻までの経過時間を算出する請求項1に記載の異常診断装置。
  3. 前記運用度算出部は、前記運用度として、前記回転装置の実動時間を算出する請求項1に記載の異常診断装置。
  4. 前記回転装置は車両に搭載され、
    前記運用度算出部は、前記車両の走行距離に基づき前記回転装置の実動時間を算出する請求項3に記載の異常診断装置。
  5. 前記閾値設定部は、前記診断に用いる診断閾値として、前記運用度が大きくなるほど大きくなる診断閾値を設定する請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  6. 前記回転装置は、前記軸受と、前記回転軸と、前記回転軸に支持された回転体とを含んで構成され、
    前記異常診断部の異常診断対象は、前記軸受、前記回転軸及び前記回転体を含む前記回転装置の構成部品であり、
    前記特徴周波数成分抽出部は、前記構成部品毎に異なる前記特徴周波数成分を抽出し、
    前記運用度算出部は、前記構成部品毎の運用度を算出し、
    前記閾値設定部は、前記構成部品毎に異なる前記特徴周波数成分に対して適正な診断閾値を設定する請求項1から5のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  7. 前記回転軸の回転数を検出する回転数検出部と、
    前記振動検出部で検出した前記振動値を時系列に記憶媒体に記憶する振動測定部とを備え、
    前記特徴周波数成分抽出部は、前記振動測定部が記憶した振動値のうち、予め設定した設定回転数の範囲内となる回転数で前記回転軸が回転時の振動値から前記特徴周波数成分を抽出する請求項1から6のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた軸受。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた機械装置。
  10. 請求項1から7のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた車両。
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