JP2017030978A - フロートガラス製造装置、およびフロートガラス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インターフェース装置でのガラスリボンの割れを防止できるフロートガラス製造装置を提供する。
【解決手段】浴槽11内の溶融金属M上において板状のガラスリボンGを成形する成形装置10と、前記ガラスリボンGを徐冷する徐冷装置20と、前記成形装置10と前記徐冷装置20とを接続するインターフェース装置30とを備え、前記インターフェース装置30は、前記溶融金属Mから前記ガラスリボンGを引き上げると共に前記徐冷装置20に向けて搬送するリフトアウトロール33−1,33−2,33−3と、前記浴槽11の下流端部11aを冷却する冷却部材36と、前記冷却部材36による前記ガラスリボンGの冷輻射を遮る断熱部材37とを有する、フロートガラス製造装置。
【選択図】図1
【解決手段】浴槽11内の溶融金属M上において板状のガラスリボンGを成形する成形装置10と、前記ガラスリボンGを徐冷する徐冷装置20と、前記成形装置10と前記徐冷装置20とを接続するインターフェース装置30とを備え、前記インターフェース装置30は、前記溶融金属Mから前記ガラスリボンGを引き上げると共に前記徐冷装置20に向けて搬送するリフトアウトロール33−1,33−2,33−3と、前記浴槽11の下流端部11aを冷却する冷却部材36と、前記冷却部材36による前記ガラスリボンGの冷輻射を遮る断熱部材37とを有する、フロートガラス製造装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、フロートガラス製造装置、およびフロートガラス製造方法に関する。
フロートガラス製造装置は、浴槽内の溶融金属上において板状のガラスリボンを成形する成形装置、およびガラスリボンを徐冷する徐冷装置を備える(例えば特許文献1参照)。ガラスリボンは、両側縁部の間に平坦部を有する。ガラスリボンの両側縁部は、ガラスリボンの平坦部よりも厚いため、徐冷後に切除される。これにより、略均一な板厚のフロートガラスが得られる。
フロートガラス製造装置は、成形装置と徐冷装置とを接続するインターフェース装置を備える。インターフェース装置は、ガラスリボンを溶融金属から引き上げると共に、徐冷装置に向けて搬送するリフトアウトロールを有する。
溶融金属は熱を溜め込んでいるため、ガラスリボンは溶融金属と接触している間は冷えにくいが、溶融金属から離れると冷えやすい。ガラスリボンの平坦部は、ガラスリボンの両側縁部よりも薄いため、より冷えやすい。そのため、ガラスリボンの幅方向における温度ムラが生じる。また、この温度ムラはガラスリボンの流動方向における温度ムラの原因ともなっている。
インターフェース装置において、ガラスリボンの温度は転移点付近の温度である。一般的に、ガラスの線膨張係数は、ガラスの転移点を境に大きく変化する。従来、インターフェース装置において、ガラスリボンの温度ムラが大きかったため、ガラスリボンの変形が大きく、ガラスリボンが割れることがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、インターフェース装置でのガラスリボンの割れを防止できるフロートガラス製造装置の提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
浴槽内の溶融金属上において板状のガラスリボンを成形する成形装置と、
前記ガラスリボンを徐冷する徐冷装置と、
前記成形装置と前記徐冷装置とを接続するインターフェース装置とを備え、
前記インターフェース装置は、
前記溶融金属から前記ガラスリボンを引き上げると共に前記徐冷装置に向けて搬送するリフトアウトロールと、
前記浴槽の下流端部を冷却する冷却部材と、
前記冷却部材による前記ガラスリボンの冷輻射を遮る断熱部材とを有する、フロートガラス製造装置が提供される。
浴槽内の溶融金属上において板状のガラスリボンを成形する成形装置と、
前記ガラスリボンを徐冷する徐冷装置と、
前記成形装置と前記徐冷装置とを接続するインターフェース装置とを備え、
前記インターフェース装置は、
前記溶融金属から前記ガラスリボンを引き上げると共に前記徐冷装置に向けて搬送するリフトアウトロールと、
前記浴槽の下流端部を冷却する冷却部材と、
前記冷却部材による前記ガラスリボンの冷輻射を遮る断熱部材とを有する、フロートガラス製造装置が提供される。
本発明によれば、インターフェース装置でのガラスリボンの割れを防止できるフロートガラス製造装置が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。以下の説明において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
図1は、本発明の一実施形態によるフロートガラス製造装置を示す図である。フロートガラス製造装置は、成形装置10、徐冷装置20、およびインターフェース装置30を備える。
成形装置10は、浴槽11内の溶融金属M上において板状のガラスリボンGを成形する。ガラスリボンGは、溶融金属M上を流動しながら徐々に固くなる。ガラスリボンGは、浴槽11の下流域において溶融金属Mから引き上げられ、徐冷装置20に向けて送られる。成形装置10は、浴槽11、ルーフ15、ヒータ16、およびパイプ17などを有する。
浴槽11は、溶融金属Mを収容する。溶融金属Mは、一般的なものでよく、例えば溶融スズまたは溶融スズ合金であってよい。浴槽11は、例えば金属ケーシング12およびレンガ層13で構成される。
金属ケーシング12は、浴槽11内への外気の混入を抑制する。金属ケーシング12は、例えば複数の金属板を溶接してなる。
レンガ層13は、金属ケーシング12の内面を覆う。レンガ層13は、複数のレンガを箱形状に組み立てた組立体であってよく、内部に溶融金属Mを収容する。
ルーフ15は、浴槽11の上方に配設され、浴槽11の上方空間を覆う。浴槽11の上方空間には、溶融金属Mの酸化を防止するため、ルーフ15の貫通孔15aから還元性ガスなどが供給される。還元性ガスとしては、例えば窒素ガスと水素ガスの混合ガスが用いられる。浴槽11の上方空間は、外気の混入を防止するため、大気圧よりも高い正圧とされる。
ヒータ16は、ルーフ15の貫通孔15aに挿通され、ルーフ15から下方に突出し、ガラスリボンGなどを加熱する。ヒータ16は、一般的なものであってよく、例えばSiCヒータであってよい。
ヒータ16は、ガラスリボンGの幅方向(図1において紙面垂直方向)、およびガラスリボンGの流動方向(図1において左右方向)に間隔をおいて複数配設される。
パイプ17は、窒素ガスなどの不活性ガスを噴射することにより、成形装置10の出口に気流の膜を形成する。還元性ガスの流出が抑制できる。パイプ17の代わりに、仕切板が設けられてもよい。仕切板は、ガラスリボンGの上方に配設され、ガラスリボンGとの間に僅かな隙間を形成する。
徐冷装置20は、ガラスリボンGを徐冷する。徐冷装置20は、徐冷炉21、搬送ロール22などを有する。搬送ロール22は、その中心線を中心に回転自在とされ、モータなどによって回転駆動され、徐冷炉21内においてガラスリボンGを水平に搬送する。ガラスリボンGは、搬送されながら徐冷される。ガラスリボンGは、両側縁部の間に平坦部を有する。ガラスリボンGの両側縁部は、ガラスリボンGの平坦部よりも厚いため、徐冷後に切除される。これにより、略均一な板厚のフロートガラスが得られる。
インターフェース装置30は、成形装置10と徐冷装置20とを接続し、溶融金属Mから離れたガラスリボンGの温度低下を制限する。溶融金属Mは熱を溜め込んでいるため、ガラスリボンGは溶融金属Mと接触している間は冷えにくいが、溶融金属Mから離れると冷えやすい。
インターフェース装置30は、ドロスボックス31、シーリング32、リフトアウトロール33−1〜33−3、ドレープ34−1〜34−3、シールブロック35−1〜35−3、冷却部材36、断熱部材37、およびヒータ38−1〜38−8を有する。
ドロスボックス31は、ガラスリボンGの下方に配設され、ガラスリボンGのボトム面に付着した溶融金属Mのカス(ドロスと呼ばれる)を回収する。ドロスボックス31の内面は断熱材41で覆われ、ドロスボックス31から外部への放熱が制限される。
ドロスボックス31は、浴槽11の下流端部11aと、徐冷炉21の上流端部とを接続してよい。ドロスボックス31と、徐冷炉21の上流端部との間に僅かな隙間が形成される場合、その隙間は断熱材で埋められてよい。
シーリング32は、ガラスリボンGの上方に配設される。シーリング32の上面は断熱材42で覆われ、シーリング32から外部への放熱が制限される。
シーリング32は、ルーフ15の下流端部と、徐冷炉21の上流端部とを接続してよい。シーリング32と、徐冷炉21の上流端部との間に僅かな隙間が形成される場合、その隙間は断熱材で埋められてよい。
リフトアウトロール33−1〜33−3は、ガラスリボンGを溶融金属Mから引き上げると共に、徐冷装置20に向けて搬送する。リフトアウトロール33−1〜33−3は、その中心線を中心に回転自在とされ、モータなどによって回転駆動される。
ドレープ34−1〜34−3は、シーリング32から吊り下げられ、ガラスリボンGの上方におけるガスの流れを遮る。これにより、成形装置10からの水素ガスの混入が抑制でき、水素ガスの燃焼による温度変動が抑制できる。ドレープ34−1〜34−3は、リフトアウトロール33−1〜33−3の上方に設けられる。
シールブロック35−1〜35−3は、リフトアウトロール33−1〜33−3と接触することにより、ガラスリボンGの下方におけるガスの流れを遮ると共に、リフトアウトロール33−1〜33−3に付着したドロスをこそぎ落とす。ドロスは、ドロスボックス31に回収される。シールブロック35−1〜35−3は、例えばカーボンで形成される。
冷却部材36は、冷媒流路36aを形成する。冷媒流路36aの冷媒は、気体、液体のいずれでもよい。冷却部材36は、浴槽11の下流端部11aを冷却する。下流端部11aの金属ケーシング12の溶融が防止できる。
冷却部材36は、例えばドロスボックス31の内面に取り付けられ、ドロスボックス31の内面との間に冷媒流路36aを形成してよい。冷却部材36は、ドロスボックス31を介して、浴槽11の下流端部11aを冷却してよい。
断熱部材37は、冷却部材36を下流側から覆い、冷却部材36によるガラスリボンGの冷輻射を遮る。冷輻射とは、熱が奪われることをいう。ガラスリボンGが溶融金属Mから離れるテイクオフ位置P1から、ガラスリボンGが最上流のリフトアウトロール33−1と接触する接触位置P2までの間における、ガラスリボンGの平坦部の温度低下が緩やかになる。よって、テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間において、ガラスリボンGの平坦部と両側縁部との間の厚さの違いに起因する温度ムラが低減でき、温度ムラによるガラスリボンGの変形がある程度低減でき、ガラスリボンGの割れが防止できる。
断熱部材37の熱伝導率は、例えば1.0W/mK以下、好ましくは0.4W/mK以下、さらに好ましくは0.05W/mK以下である。また、断熱材の厚さは設備に適合させて適宜設定可能であるが5mm〜50mm好ましい。
断熱部材37は、ガスの流れによる熱の移動を防止するため、微細な多孔構造を有してよい。例えば、断熱部材37は微粒子の集合体であってよく、微粒子同士の間に空隙が形成されてよい。空気の対流による熱の移動が制限されるため、また、伝熱経路が細く長いため、断熱性が良い。微粒子としては、例えばシリカ微粒子が用いられ、好ましくは非晶質シリカ微粒子が用いられる。断熱部材37はフレキシブルな耐熱性の外装を有してよく、該外装が微粒子を保持してよい。
各ヒータ38−1〜38−8は、ガラスリボンGを加熱する。複数のヒータ38−1〜38−8は独立に制御されてよい。
各ヒータ38−1〜38−8は、ガラスリボンGの幅方向の温度分布を調整するため、ガラスリボンGの幅方向に複数の発熱体に分割されてもよい。分割された複数の発熱体は独立に制御されてよい。
複数のヒータ38−1〜38−8のうちの少なくとも1つ(本実施形態では2つのヒータ38−1、38−2)は、最上流のリフトアウトロール33−1の中心線よりも上流(図1において左方向)に配設されてよい。
最上流のリフトアウトロール33−1の中心線よりも上流には、従来ヒータが配設されていなかったが、本実施形態ではヒータ38−1、38−2が配設される。これにより、テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの平坦部の温度低下がさらに緩やかになる。よって、ガラスリボンGの変形がさらに低減でき、シワ、うねり、反りなどの微細な変形の発生も抑制できる。
ヒータ38−1は、冷却部材36と同じく、ガラスリボンGの下方に配設される。冷却部材36の冷気とガラスリボンGとの接触が抑制できる。
ヒータ38−2は、冷却部材36と異なり、ガラスリボンGの上方に配設される。冷却部材36によって下方から冷却されるガラスリボンGを上方から加熱できる。
複数のヒータ38−1〜38−8のうちの少なくとも1つ(本実施形態では2つのヒータ38−7、38−8)は、最下流のリフトアウトロール33−3の中心線よりも下流(図1において右方向)に配設されてよい。ヒータ38−7はガラスリボンGの下方に配設され、ヒータ38−8はガラスリボンGの上方に配設される。
最下流のリフトアウトロール33−3の中心線よりも下流には、従来ヒータが配設されていなかったが、本実施形態ではヒータ38−7、38−8が配設される。これにより、徐冷炉21の入口付近でのガラスリボンGの急激な温度低下が制限でき、微細な変形の発生がさらに抑制できる。
次に、図1を再度参照して、上記構成のフロートガラス製造装置を用いたフロートガラス製造方法について説明する。
フロートガラス製造方法は、浴槽11内の溶融金属M上において板状のガラスリボンGを成形する成形工程、およびガラスリボンGを徐冷する徐冷工程を有する。ガラスリボンGは溶融金属M上を流動しながら徐々に固くなる。ガラスリボンGは、浴槽11の下流域において溶融金属Mから引き上げられ、リフトアウトロール33−1〜33−3上を徐冷炉21に向けて搬送される。その後、ガラスリボンGは、徐冷炉21内において、搬送ロール22上を搬送されながら徐冷される。ガラスリボンGは、両側縁部の間に平坦部を有する。ガラスリボンGの両側縁部は、ガラスリボンGの平坦部よりも厚いため、徐冷後に切除される。これにより、略均一な板厚のフロートガラスが得られる。
ところで、ガラスリボンGが溶融金属Mから離れるテイクオフ位置P1から、ガラスリボンGが最上流のリフトアウトロール33−1と接触する接触位置P2までの間において、ガラスリボンGの平坦部と両側縁部との間の厚さの違いに起因する温度ムラが生じうる。テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの温度は、ガラスの転移点付近の温度である。一般的に、ガラスの線膨張係数は、ガラスの転移点を境に大きく変化する。
本実施形態によれば、断熱部材37が冷却部材36によるガラスリボンGの冷輻射を遮るため、テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの平坦部の温度低下が緩やかになる。よって、ガラスリボンGの平坦部と両側縁部との間の厚さの違いに起因する温度ムラが低減でき、温度ムラによるガラスリボンGの変形がある程度低減でき、ガラスリボンGの割れが防止できる。
また、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)のヒータ38−1、38−2が最上流のリフトアウトロール33−1の中心線よりも上流に配設されるため、テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの平坦部の温度低下がさらに緩やかになる。よって、ガラスリボンGの変形がさらに低減でき、微細な変形の発生も抑制できる。
テイクオフ位置P1において、ガラスリボンGの平坦部の粘度は例えば1010.7dPa・s〜1012.3dPa・sである。ガラスリボンGを溶融金属Mから引き上げできる程度の硬さと、溶融金属Mからの引き上げによってガラスリボンGが割れない程度の柔らかさとの両方が得られる。ガラスリボンGの平坦部の粘度は、ガラスリボンGの幅方向中央の粘度で代表する。
製造されるフロートガラスの種類が無アルカリガラスの場合、テイクオフ位置P1におけるガラスリボンGの平坦部の粘度は、好ましくは1011.3dPa・s〜1012.3dPa・sである。この粘度範囲に相当する無アルカリガラスの温度範囲は例えば740℃〜770℃である。
また、製造されるフロートガラスの種類がソーダライムガラスの場合、テイクオフ位置P1におけるガラスリボンGの平坦部の粘度は、好ましくは1010.7dPa・s〜1011.8dPa・sである。この粘度範囲に相当するソーダライムガラスの温度範囲は例えば590℃〜620℃である。
テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの平坦部の温度変化幅は、例えば40℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下である。上記温度変化幅はゼロ℃でもよい。上記温度変化幅が40℃以下であれば、ガラスリボンGの割れが防止できる。上記温度変化幅が30℃以下であれば、微細な変形の発生もほとんどない。
ガラスリボンGの平坦部の温度は、テイクオフ位置P1から接触位置P2にかけて、徐々に低くなってよい。
ガラスリボンGの平坦部の温度は、従来は接触位置P2において低すぎ接触位置P2から下流に向けて高くなる傾向にあったが、本実施形態では接触位置P2から徐冷炉21の入口まで徐々に低くなってもよい。本実施形態によればテイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの平坦部の温度変化幅が小さく、接触位置P2においてガラスリボンGの平坦部の温度が高いためである。
製造されるフロートガラスの板厚は、例えば0.8mm以下である。この場合、ガラスリボンGの平坦部の厚さが0.8mm以下であり、ガラスリボンGの平坦部の厚さが薄い。ガラスリボンGが成形装置10からインターフェース装置30へ持ち込む顕熱(熱量)が少なく、ガラスリボンGが冷えやすいため、テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間におけるガラスリボンGの平坦部の温度低下を抑制する効果が顕著に得られる。製造されるフロートガラスの板厚が薄くなればなるほど前述の効果は顕著であり、その板厚は0.6mm以下がより好ましく、0.3mm以下がさらに好ましい。
製造されるフロートガラスは、例えばディスプレイ用のガラス基板、ディスプレイ用のカバーガラス、窓ガラスとして用いられる。
製造されるフロートガラスは、ディスプレイ用のガラス基板として用いられる場合、無アルカリガラスであってよい。無アルカリガラスは、Na2O、K2O、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物を実質的に含有しないガラスである。無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物の含有量の合量が0.1質量%以下でよい。
無アルカリガラスは、例えば、酸化物基準の質量%表示で、SiO2:50%〜73%、Al2O3:10.5%〜24%、B2O3:0%〜12%、MgO:0%〜10%、CaO:0%〜14.5%、SrO:0%〜24%、BaO:0%〜13.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:8%〜29.5%、ZrO2:0%〜5%を含有する。
無アルカリガラスは、高い歪点と高い溶解性とを両立する場合、好ましくは、酸化物基準の質量%表示で、SiO2:58%〜66%、Al2O3:15%〜22%、B2O3:5%〜12%、MgO:0%〜8%、CaO:0%〜9%、SrO:3%〜12.5%、BaO:0%〜2%、MgO+CaO+SrO+BaO:9%〜18%を含有する。
無アルカリガラスは、特に高い歪点を得たい場合、好ましくは、酸化物基準の質量%表示で、SiO2:54%〜73%、Al2O3:10.5%〜22.5%、B2O3:0%〜5.5%、MgO:0%〜10%、CaO:0%〜9%、SrO:0%〜16%、BaO:0%〜2.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:8%〜26%を含有する。
製造されるフロートガラスは、ディスプレイ用のカバーガラスとして用いられる場合、化学強化用ガラスであってよい。化学強化用ガラスを化学強化処理したものがカバーガラスとして用いられる。化学強化処理は、ガラス表面に含まれるアルカリイオンのうち小さなイオン半径のイオン(例えばLiイオンやNaイオン)を大きなイオン半径のイオン(例えばKイオン)に置換することにより、ガラス表面から所定の深さの圧縮応力層を形成する。
化学強化用ガラスは、例えば酸化物基準のモル%表示で、SiO2:62%〜68%、Al2O3:6%〜12%、MgO:7%〜13%、Na2O:9%〜17%、K2O:0%〜7%を含有し、Na2OおよびK2Oの含有量の合計からAl2O3含有量を減じた差が10%未満であり、ZrO2を含有する場合、その含有量が0.8%以下である。
別の化学強化用ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、SiO2:65%〜85%、Al2O3:3%〜15%、Na2O:5%〜15%、K2O:0%〜2%未満、MgO:0%〜15%、ZrO2:0%〜1%を含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計SiO2+Al2O3が88%以下である。
製造されるフロートガラスは、窓ガラスとして用いられる場合、ソーダライムガラスであってよい。ソーダライムガラスは、例えば酸化物基準の質量%表示で、SiO2:65%〜75%、Al2O3:0%〜3%、CaO:5%〜15%、MgO:0%〜15%、Na2O:10%〜20%、K2O:0%〜3%、Li2O:0%〜5%、Fe2O3:0%〜3%、TiO2:0%〜5%、CeO2:0%〜3%、BaO:0%〜5%、SrO:0%〜5%、B2O3:0%〜5%、ZnO:0%〜5%、ZrO2:0%〜5%、SnO2:0%〜3%、SO3:0%〜0.5%を含有する。
[実施例1]
実施例1では、図1に示すフロートガラス製造装置を用いてフロートガラスを製造した。インターフェース装置は、冷却部材の冷輻射を遮る断熱部材、および最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設されるヒータを有していた。フロートガラスの板厚は0.2mmとし、フロートガラスの種類は無アルカリガラスとした。この無アルカリガラスは、旭硝子製のAN100を用いた。
実施例1では、図1に示すフロートガラス製造装置を用いてフロートガラスを製造した。インターフェース装置は、冷却部材の冷輻射を遮る断熱部材、および最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設されるヒータを有していた。フロートガラスの板厚は0.2mmとし、フロートガラスの種類は無アルカリガラスとした。この無アルカリガラスは、旭硝子製のAN100を用いた。
[実施例2]
実施例2では、インターフェース装置が有する複数のヒータのうちの最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設されるヒータの出力を実施例1の50%に低減したことを除き、実施例1と同様にしてフロートガラスを製造した。
実施例2では、インターフェース装置が有する複数のヒータのうちの最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設されるヒータの出力を実施例1の50%に低減したことを除き、実施例1と同様にしてフロートガラスを製造した。
[実施例3]
実施例3では、インターフェース装置が有する複数のヒータのうちの最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設されるヒータの出力を実施例1の0%としたことを除き、実施例1と同様にしてフロートガラスを製造した。
実施例3では、インターフェース装置が有する複数のヒータのうちの最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設されるヒータの出力を実施例1の0%としたことを除き、実施例1と同様にしてフロートガラスを製造した。
[評価]
フロートガラスの評価の結果を表1に示す。表1において、「A」はガラスリボンに割れが生じず、シワ等の微細な変形も無かったことを、「B」はガラスリボンに割れが生じなかったが、微細な変形が有ったことをそれぞれ表す。ガラスリボンの割れ及び微細な変形の有無は目視で確認した。表1には、ガラスリボン幅方向中央の温度を放射温度計により測定した結果についても示す。表1において、「T1」はテイクオフ位置P1におけるガラスリボン幅方向中央の温度、「T2」は最上流のリフトアウトロールとの接触位置P2におけるガラスリボン幅方向中央の温度を意味する。なお、ガラスリボンGの平坦部内での温度差は平坦部と両側縁部との温度差に比べると小さいため、ガラスリボンGの平坦部の温度はガラスリボン幅方向中央の温度で代表した。
フロートガラスの評価の結果を表1に示す。表1において、「A」はガラスリボンに割れが生じず、シワ等の微細な変形も無かったことを、「B」はガラスリボンに割れが生じなかったが、微細な変形が有ったことをそれぞれ表す。ガラスリボンの割れ及び微細な変形の有無は目視で確認した。表1には、ガラスリボン幅方向中央の温度を放射温度計により測定した結果についても示す。表1において、「T1」はテイクオフ位置P1におけるガラスリボン幅方向中央の温度、「T2」は最上流のリフトアウトロールとの接触位置P2におけるガラスリボン幅方向中央の温度を意味する。なお、ガラスリボンGの平坦部内での温度差は平坦部と両側縁部との温度差に比べると小さいため、ガラスリボンGの平坦部の温度はガラスリボン幅方向中央の温度で代表した。
なお、断熱部材を用いないこと以外を実施例3と同様の条件でフロートガラスを成形しようとした場合、テイクオフ位置P1から接触位置P2までの間にガラスリボンが割れる可能性が非常に高く、そのような条件でガラスリボンを製造することは難しい。
以上、フロートガラス製造装置およびフロートガラス製造方法の実施形態などを説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
例えば、上記実施形態の断熱部材37は、冷却部材36と接触するが、冷却部材36との間に隙間を形成してもよい。
10 成形装置
11 浴槽
11a 下流端部
12 金属ケーシング
13 レンガ層
20 徐冷装置
30 インターフェース装置
31 ドロスボックス
32 シーリング
33−1〜33−3 リフトアウトロール
36 冷却部材
37 断熱部材
38−1〜38−8 ヒータ
G ガラスリボン
M 溶融金属
11 浴槽
11a 下流端部
12 金属ケーシング
13 レンガ層
20 徐冷装置
30 インターフェース装置
31 ドロスボックス
32 シーリング
33−1〜33−3 リフトアウトロール
36 冷却部材
37 断熱部材
38−1〜38−8 ヒータ
G ガラスリボン
M 溶融金属
Claims (7)
- 浴槽内の溶融金属上において板状のガラスリボンを成形する成形装置と、
前記ガラスリボンを徐冷する徐冷装置と、
前記成形装置と前記徐冷装置とを接続するインターフェース装置とを備え、
前記インターフェース装置は、
前記溶融金属から前記ガラスリボンを引き上げると共に前記徐冷装置に向けて搬送するリフトアウトロールと、
前記浴槽の下流端部を冷却する冷却部材と、
前記冷却部材による前記ガラスリボンの冷輻射を遮る断熱部材とを有する、フロートガラス製造装置。 - 前記インターフェース装置は、前記ガラスリボンを加熱するヒータを有し、
該ヒータの少なくとも1つが、最上流のリフトアウトロールの中心線よりも上流に配設される、請求項1に記載のフロートガラス製造装置。 - 請求項1または2に記載のフロートガラス製造装置を用いてフロートガラスを製造する、フロートガラス製造方法。
- 前記ガラスリボンが前記溶融金属から離れるテイクオフ位置において、前記ガラスリボンの幅方向中央の粘度が1010.7dPa・s〜1012.3dPa・sである、請求項3に記載のフロートガラス製造方法。
- 前記ガラスリボンが前記溶融金属から離れるテイクオフ位置から、前記ガラスリボンが最上流のリフトアウトロールと接触する接触位置までの間における、前記ガラスリボンの幅方向中央の温度変化幅が40℃以下である、請求項3または4に記載のフロートガラス製造方法。
- 前記ガラスリボンが前記溶融金属から離れるテイクオフ位置から、前記ガラスリボンが最上流のリフトアウトロールと接触する接触位置までの間における、前記ガラスリボンの幅方向中央の温度変化幅が30℃以下である、請求項3または4に記載のフロートガラス製造方法。
- 製造されるフロートガラスの板厚が0.8mm以下である、請求項3〜6のいずれか1項に記載のフロートガラス製造方法。
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