JP2017011520A - 立体像奥行き変換装置およびそのプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
IP方式は、図12(a)に示すように、撮像装置100によって、平面上に2次元配列された複数の要素レンズ(凸レンズ)Lpからなるレンズアレー(凸レンズ群)Laを介して、被写体Oから出た光を撮像する。このとき、要素レンズLpの焦点距離fだけ離間した撮像面Eにおいて、要素レンズLpのレンズ間隔で、複数の要素画像e(要素画像群)が撮像されることになる。
そして、IP方式は、図12(b)に示すように、撮像時と同じ仕様のレンズアレーLaを介して、表示装置200の表示面Dに図12(a)で撮像した複数の要素画像e(要素画像群)を表示する。このとき、撮像された被写体空間と同様の光線が再生され、観察者Mは、被写体Oを立体像Tとして視認することができる。
(参考文献1:H. Hoshino, F. Okano, H. Isono, and I. Yuyama:“Analysis of resolution limitation of integral photography,” J.Opt.Soc.Am.A, Vol.15, No.8(1998))
図13に、観察者Mがレンズアレーからある距離(視距離L)だけ離間して立体像を視認したときの立体像の奥行き位置と解像度(空間周波数)との関係を示す。図13において、横軸(z軸)は立体像奥行き位置、縦軸(γ軸)は立体像の解像度である空間周波数を示す。ここで、立体像の空間周波数とは、レンズアレー位置(z=0)から、ある距離(立体像奥行き位置)に再生された立体像を観察位置で観察した場合の単位角度内に再生できる縞の数の最大値(視覚あたりの解像度)であり、単位はcpd(cycles per degree)である。例えば、1度あたりで60画素視認可能であれば、空間周波数は30cpdとなる。
これによって、観察者に近い立体像では奥行きの圧縮率が小さく、観察者から遠い立体像については奥行きの圧縮率が大きくなる。
(参考文献2:James E. Cutting: Perceiving Layout and Knowing Distances: The Integration , Relative Potency, and Contextual Use of Different Information about Depth”Epstein, William (Ed); Rogers, Sheena J. (Ed), (1995). Perception of space and motion. Handbook of perception and cognition (2nd ed.)., (pp. 69-117) (1995))
この参考文献2には、IP方式で再現可能な奥行きの手がかり(両眼の輻輳、両眼視差、焦点調節、運動視差)のすべてにおいて、見る対象が遠くなるほど感度が低下する旨が記載されている。
このように生成された要素画像群を立体像表示装置に表示することで、観察者に立体像を視認させることができる。
本発明は、所定の解像度を満たす奥行き再現範囲に立体像を表示することが可能な要素画像群を生成することができる。また、本発明は、観察者に近い立体像では奥行きの圧縮率が小さく、観察者から遠い立体像については奥行きの圧縮率が大きくなる立体像を表示する要素画像群を生成することができる。
本発明により生成された要素画像群は、IP方式の立体像表示装置で表示されることで、観察者にボケを知覚させない立体像として表示されることになる。また、本発明により生成された要素画像群は、観察者に近いほど奥行きの圧縮率が小さいため、表示された立体像は、人間の知覚特性から、遠近感における不自然さを感じにくいものとなる。
〔インテグラル立体像表示システムの構成〕
最初に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る立体像奥行き変換装置を備えたインテグラル立体像表示システムSの構成について説明する。
このインテグラル立体像表示システムSは、図1に示すように、立体像奥行き変換装置1と、立体像表示装置2と、測距装置3と、を備える。
この立体像奥行き変換装置1は、生成した要素画像群を立体像表示装置2に出力する。なお、この立体像奥行き変換装置1については、後で詳細に説明する。
この測距装置3は、測定した視距離を立体像奥行き変換装置1に出力する。
なお、インテグラル立体像表示システムSは、予め固定の値を視距離(例えば、画面高の3倍等、推奨の視距離)とする形態であってもよい。その場合、インテグラル立体像表示システムSは、測距装置3を構成から省略してもよい。
以下、立体像奥行き変換装置1の構成および動作について詳細に説明する。
〔立体像奥行き変換装置の構成〕
まず、図2を参照(適宜図1参照)して、本発明の第1実施形態に係る立体像奥行き変換装置1の構成について説明する。
図2に示すように、立体像奥行き変換装置1は、奥行き再現範囲算出手段10と、奥行き変換手段11と、要素画像生成手段12と、を備える。
ここでは、奥行き再現範囲算出手段10は、立体像表示装置2の表示面(より具体的には、レンズアレーの位置)から、所定の解像度を満たす観察者に最も近い位置(手前側位置)と、最も遠い位置(奥側位置)とを算出し、奥行き再現範囲とする。
図3は、観察者Mが観察位置で立体像表示装置2を視認したときの立体像の解像度(空間周波数)と、立体像の奥行き位置との関係を示している。なお、縦軸は、立体像の解像度(空間周波数)、横軸は、立体像表示装置2のレンズアレー位置を原点“0”とした立体像の奥行き位置を示している。また、観察者Mの位置は、立体像表示装置2(レンズアレー位置)から、視距離Lだけ離間していることとする。
すなわち、奥行き再現範囲算出手段10は、所定解像度を満たす観察者に最も近い手前側位置Dfrontと、最も遠い奥側位置Dbackとを算出することで、所定解像度での奥行き再現範囲Dlimitを特定する。
図1に戻って、立体像奥行き変換装置1の構成について説明を続ける。
この奥行き変換手段11は、奥行きを変換した立体像3次元モデルを、要素画像生成手段12に出力する。
次に、図6を参照して、奥行き変換手段11が用いる変換関数の例について説明する。
図6では、変換関数Fをz′=F(z)とし、立体像3次元モデルの奥行き座標(変換前の奥行き値)をz、変換された立体像の奥行き座標(変換後の奥行き値)をz′とする。また、ここでは、説明を簡易化するため、奥行き再現範囲の手前側位置Dfrontを、奥行き座標z=0にシフトして説明する。もちろん、奥行き再現範囲の奥側位置Dbackも、手前側位置Dfrontと同様のシフト量でシフトしている。
この変換関数Fは、シグモイド関数等、種々の関数で実現することができる。例えば、変換関数として、以下の式(7)〜式(9)に示す変換関数F1〜F3のいずれかを用いることができる。なお、Dlimitは、手前側位置Dfrontと奥側位置Dbackとで特定される奥行き再現範囲の大きさである。
その場合、図7(a)に示すように、立体像表示装置2において、立体像3次元モデルの表示対象の奥行き幅をDoriginとし、図7(b)に示すように、DfrontとDbackとで特定される奥行き変換後の奥行き再生範囲をDlimitとしたとき、変換前の立体像の横幅Worigin、縦幅Horigin(不図示)は、それぞれ、以下の式(10)および式(11)により、変換後の奥行き値z′における横幅W、縦幅Hとすればよい。
図2に戻って、立体像奥行き変換装置1の構成について説明を続ける。
この立体像3次元モデルから要素画像を生成する手法は、既知の手法を用いればよい。例えば、〔背景技術〕で説明した特許文献2、特許文献3、非特許文献1等の手法を用いればよい。
この要素画像生成手段12は、生成した要素画像群を立体像表示装置2に出力する。なお、立体像をリアルタイムで表示しないのであれば、要素画像生成手段12は、図示を省略した記憶装置に要素画像群を記憶することとしてもよい。
図8に示すように、要素画像生成手段12は、光線追跡法を用いて、要素画像eを構成する画素gの画素値を1画素ずつ求める。
この要素画像生成手段12は、要素画像eを表示する表示面Dと、表示面Dから焦点距離fだけ離間し、要素画像eに対応する位置に配置された要素レンズLpが平面上に2次元配列されたレンズアレーLaとで構成される立体像表示装置2を対象として、要素画像eを生成する。
そして、要素画像生成手段12は、すべての要素画像eの画素数分、画素値を求めることで、立体像を表示するための要素画像群を生成する。
なお、立体像奥行き変換装置1は、図示を省略したコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラム(立体像奥行き変換プログラム)で動作させることができる。
次に、図9を参照(構成については適宜図2参照)して、本発明の第1実施形態に係る立体像奥行き変換装置1の動作について説明する。
まず、立体像奥行き変換装置1は、立体像表示装置2から観察者までの視距離と、表示パラメータとを外部から入力する(ステップS1)。なお、この視距離は、固定の距離値として入力される形態であってもよいし、測距装置3による測定結果として入力される形態であってもよい。
そして、立体像奥行き変換装置1は、奥行き変換手段11によって、所定解像度を満たす手前側位置frontよりも奥側の立体像3次元モデルの奥行きを、予め定めた変換関数(前記式(7)、式(8)、式(9)等)を用いて、ステップS2で算出された奥行き再現範囲内に変換する(ステップS4)。このとき、奥行き変換手段11は、立体像3次元モデルの奥行き変換に伴い、その変換比率に応じて、立体像の横幅および縦幅を変換することが好ましい。
〔立体像奥行き変換装置の構成〕
次に、図10を参照(適宜図1参照)して、本発明の第2実施形態に係る立体像奥行き変換装置1Bの構成について説明する。
立体像奥行き変換装置1(図2参照)は、奥行きを変換する変換関数として、予め定めた1つの関数を用いる構成であった。一方、立体像奥行き変換装置1Bは、立体像3次元モデルの奥行きに応じて、変換関数を選択する構成としている。
奥行き再現範囲算出手段10および要素画像生成手段12は、図2で説明した立体像奥行き変換装置1と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。なお、奥行き再現範囲算出手段10が算出する奥行き再現範囲は、最大圧縮率算出手段13および奥行き変換手段11Bに出力される。
すなわち、奥行き変換手段11Bは、選択された変換関数を用いること以外、図2で説明した奥行き変換手段11と同じである。よって、ここでは、奥行き変換手段11Bの詳細な説明は省略する。
具体的には、最大圧縮率算出手段13は、奥行き再現範囲算出手段10で算出された奥行き再現範囲の手前側位置を基準として、立体像3次元モデルの最大奥行き値を、奥行き再現範囲の観察者から見た奥側位置の奥行き値に変換する最大圧縮率を算出する。
すなわち、図7(a)に示したように、立体像3次元モデルの表示対象の最大奥行き幅をDoriginとし、図7(b)に示したように、奥行き再現範囲をDlimitとしたとき、最大圧縮率算出手段13は、以下の式(14)により、最大圧縮率rを算出する。
ここで、変換関数は、図6で説明したように、z=0(手前側位置Dfront)でz′=z(傾き“1”)の接線を有し、zが大きくなるにつれて、z′=Dbackを漸近線として、z′がDbackに漸近する関数である。
なお、立体像奥行き変換装置1Bは、図示を省略したコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラム(立体像奥行き変換プログラム)で動作させることができる。
次に、図11を参照(構成については適宜図10参照)して、本発明の第2実施形態に係る立体像奥行き変換装置1Bの動作について説明する。
立体像奥行き変換装置1Bは、ステップS11において、所定解像度を満たす観察者に最も近い手前側位置と、最も遠い奥側位置とを奥行き再現範囲として算出した後、最大圧縮率算出手段13によって、立体像3次元モデルの奥行きを、ステップS11で算出された奥行き再現範囲内に変換した場合の最大圧縮率を算出する(ステップS12)。
その後、立体像奥行き変換装置1Bは、表示対象となる立体像3次元モデルを入力する(ステップS14)。
以降のステップS16,S17は、図9で説明した立体像奥行き変換装置1(図2参照)のステップS5,S6と同じ動作であるため説明を省略する。
例えば、ここでは、奥行き再現範囲算出手段10は、視距離や表示パラメータを逐次入力することとしたが、これらが固定した値であれば、立体像奥行き変換装置1Bの内部に予め設定しておくこととしてもよい。
また、変換関数選択手段14では、例示した3つの変換関数から1つを選択することとしたが、変換関数の数は3つに限定されるものではなく、2つあるいは4つ以上であっても構わない。
1,1B 立体像奥行き変換装置
10 奥行き再現範囲算出手段
11,11B 奥行き変換手段
12 要素画像生成手段
13 最大圧縮率算出手段
14 変換関数選択手段
Claims (5)
- 立体像3次元モデルの奥行きを圧縮変換して、所定解像度を満たしてIP方式の立体像を表示可能な要素画像群を生成する立体像奥行き変換装置であって、
前記立体像を表示する立体像表示装置の画素間隔、要素レンズの焦点距離および視距離に基づいて、前記所定解像度を満たす立体像が再現される奥行き再現範囲を算出する奥行き再現範囲算出手段と、
前記立体像表示装置の観察者から見た前記奥行き再現範囲の手前側位置を基準として、当該手前側位置よりも奥側の奥行き値を、前記立体像3次元モデルの前後関係を保持しつつ、かつ、前記手前側位置から遠いほど圧縮率を大きくして、前記奥行き再現範囲内の奥行き値に変換する変換関数によって、前記立体像3次元モデルの奥行きを変換する奥行き変換手段と、
この奥行き変換手段で奥行きが変換された立体像3次元モデルから、前記要素レンズごとの要素画像を生成し、前記要素画像群を生成する要素画像生成手段と、
を備えることを特徴とする立体像奥行き変換装置。 - 前記変換関数は、前記奥行き再現範囲の前記手前側位置の奥行き値において、変換前の奥行き値と変換後の奥行き値とが一致するとともに、傾きが“1”となる接線を有し、前記変換前の奥行き値が大きくなるにつれて、前記変換後の奥行き値が、前記奥行き再現範囲の前記観察者から見た奥側位置の奥行き値に漸近する関数であることを特徴とする請求項1に記載の立体像奥行き変換装置。
- 前記奥行き変換手段は、奥行きを変換するとともに、当該奥行きの前記圧縮率と同じ圧縮率で、当該奥行きに対応する前記立体像3次元モデルの水平方向および垂直方向の大きさを圧縮変換することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体像奥行き変換装置。
- 前記奥行き再現範囲の前記手前側位置を基準として、前記立体像3次元モデルの最大奥行き値を、前記奥行き再現範囲の前記観察者から見た奥側位置の奥行き値に変換する最大圧縮率を算出する最大圧縮率算出手段と、
この最大圧縮率算出手段で算出された最大圧縮率に基づいて、奥行き方向の圧縮の度合いの異なる複数の前記変換関数の中から、前記最大圧縮率が大きいほど、圧縮の度合いの大きい変換関数を選択する変換関数選択手段と、をさらに備え、
前記奥行き変換手段は、前記変換関数選択手段で選択された変換関数によって、前記立体像3次元モデルの奥行きを変換することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の立体像奥行き変換装置。 - コンピュータを、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の立体像奥行き変換装置として機能させるための立体像奥行き変換プログラム。
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