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JP2017008125A - ケイ素化合物を含む組成物とその硬化膜 - Google Patents

ケイ素化合物を含む組成物とその硬化膜 Download PDF

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JP2017008125A
JP2017008125A JP2015121365A JP2015121365A JP2017008125A JP 2017008125 A JP2017008125 A JP 2017008125A JP 2015121365 A JP2015121365 A JP 2015121365A JP 2015121365 A JP2015121365 A JP 2015121365A JP 2017008125 A JP2017008125 A JP 2017008125A
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昌子 依田
Masako Yoda
昌子 依田
山廣 幹夫
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幹夫 山廣
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Abstract

【課題】高い防汚性能と防汚耐久性を有する硬化膜を形成する材料を提供する。
【解決手段】式(1)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物。
Figure 2017008125

(nは0〜300の整数;R〜Rは各々独立に、H又はC1〜30のアルキル;X〜Xは各々独立にC1〜20の直鎖状/分岐鎖状のアルキレン;Yはアクリロイル基及びウレタン基を有する基)
【選択図】なし

Description

本発明はケイ素化合物を含む組成物からなる被膜において、防汚性を著しく向上させる組成物とその硬化膜に関する。
近年、持ち運び可能で屋外でも使用できるLCD(liquid crystal display)端末の普及が目覚しく、スマートフォン、PND(personal navigation device)に代表される携帯端末や、Google Glassに代表されるウェアラブルディスプレイ(wearable display)が例として挙げられる。
これら製品は携帯して使用するため、軽量化する必要があり、部材の一部をガラスからプラスチックへ切り替える方法がとられている。しかし、プラスチック(特にPET、PC、PMMA、シクロオレフィン等)は、軽量かつ透明性の高い特徴を持っているが、防汚性が乏しい。その解決手段として、ハードコート剤による表面処理により、汚れを防止する方法が広く用いられている。
防汚性を付与させる方法としては防汚処理剤としてシリコーン材料やフッ素系の材料を用いて表面の撥水、撥油性を高くする方法が一般的である。例えば特許文献1にはフッ素シルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンを有する重合体を硬化性樹脂と混合した樹脂組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させて塗膜を生成し、耐汚染性の高い塗膜を作製している。また、特許文献2にはエチレン性不飽和基含有フッ素重合体、(メタ)アクリレート化合物、シリコーン化合物およびシリカを含有する放射線硬化性樹脂組成物とその用途の記載がある。
国際特許出願公開WO2008/072766号 国際特許出願公開WO2006/109496号
しかし、上記のようなフッ素シルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンを有する重合体は重合体全体の中に含まれるアクリル官能基数が十分でないため、塗膜にした時に樹脂への固定化が不十分であった。そのため初期の防汚性は一定程度有するが、防汚性能を持続させる防汚耐久性は不十分で、マジックインキ拭取りテストなどによる繰り返しの拭取りテストに対して十分な拭取り回数が得られるものではなかった。
本発明の課題は高い防汚性能と防汚耐久性を有する硬化膜を形成する材料を提供することである。
本発明者らは片末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物に反応性の高いアクリロイル基を導入したケイ素化合物を合成した。更に、そのケイ素化合物を含む組成物を用いて、被膜を作製する事で反応性の高いアクリロイル基を有するケイ素化合物がベース樹脂へ高固定化された、防汚性が高く、しかも防汚耐久性のある硬化膜を作製する事に成功した。
本発明の第1の態様に係る組成物は、式(1)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物である。なお式(1)において、nは、0〜300の整数であり、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜30のアルキルであり、X、X、X、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレンであり、Yはそれぞれ独立してアクリロイル基を有する式(2)もしくは式(3)で示される基である。
Figure 2017008125
Figure 2017008125
Figure 2017008125
この様に構成すると、反応性の高いアクリロイル重合性官能基が反応し、シリコーンが櫛形にぶら下がった状態で会合する事により、シリコーンの性質である撥液性が付与され、高い防汚性を有した硬化膜を作製する事ができる。
本発明の第2の態様に係る組成物は、式(4)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物である。なお式(4)において、nは0〜300の整数であり、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜30のアルキレンであり、Yはそれぞれ独立してアクリロイル基を有する上記に記載の式(2)もしくは式(3)で示される基であるケイ素化合物である。
Figure 2017008125
この様に構成すると、反応性の高いアクリロイル重合性官能基が反応し、シリコーンが櫛形にぶら下がった状態で会合する事により、シリコーンの性質である撥液性が付与され、高い防汚性を有した硬化膜を作製する事ができる。
本発明の第3の態様に係る組成物は、式(5)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物である。なお式(5)において、nは0〜300の整数であり、R、R10は炭素数1〜4のアルキレンであり、Yはそれぞれ独立して上記に記載の式(2)もしくは(3)で示されるアクリロイル基を有する基であるケイ素化合物である。
Figure 2017008125
この様に構成すると、反応性の高いアクリロイル重合性官能基が反応し、シリコーンが櫛形にぶら下がった状態で会合する事により、シリコーンの性質である撥液性が付与され、高い防汚性を有した硬化膜を作製する事ができる。
本発明の第4の態様に係る組成物は、式(6)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物である。なお式(6)において、nは0〜300の整数であるケイ素化合物である。
Figure 2017008125
この様に構成すると、式(6)の合成において原料が容易に入手でき、1段階で合成が可能となる。また、反応性の高いアクリロイル重合性官能基が反応し、シリコーンが櫛形にぶら下がった状態で会合する事により、シリコーンの性質である撥液性が付与され、高い防汚性を有した硬化膜を作製する事ができる。
本発明の第5の態様に係る組成物は、下記式(7)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物である。なお式(7)において、nは0〜300の整数であるケイ素化合物である。
Figure 2017008125
(7)
この様に構成すると、式(7)の合成において原料が容易に入手でき、1段階で合成が可能となる。また、反応性の高いアクリロイル重合性官能基が反応し、シリコーンが櫛形にぶら下がった状態で会合する事により、シリコーンの性質である撥液性が付与された硬化膜を作製する事ができる。更にアクリロイル官能基数が4個であるため硬化膜の架橋密度を上げる事ができる。
本発明の第6の態様に係る組成物は、成分Bが、(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種である本発明の第1〜第5の態様のいずれかに記載の組成物である。
この様に構成すると、紫外線照射によりケイ素化合物(成分A)が有するアクリロイル基と紫外線硬化性樹脂(成分B)が有する(メタ)アクリロイル基との結合が可能となり、ケイ素化合物(成分A)を紫外線硬化性樹脂(成分B)に固定化することができる。
本発明の第7の態様に係る組成物は、本発明の第1〜6の態様の組成物に、更に硬化剤を含有する樹脂組成物である。
この様に構成すると、硬化剤を起点として硬化反応が進みやすくなる。
本発明の第8の態様に係る組成物は、本発明の第7の態様の硬化剤が紫外線の照射によりラジカルを発生することを特徴とする組成物である。
この様に構成すると、紫外線を照射する事により硬化反応が進みやすくなる。
本発明の第9の態様に係る組成物は、本発明の第1〜第8の態様の組成物にさらに有機溶媒を含有する組成物である。
この様に構成すると、任意の濃度に調節可能となりレベリング性や膜厚の調節をする事が容易になる。
本発明の第10の態様に係る組成物は、本発明の第1〜9の態様の組成物に熱硬化性樹脂または、この樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分C)を含有する、組成物である。
この様に構成すると熱を外部から加えることによって硬化反応を進める事ができる。
本発明の第11の態様に係る組成物は、本発明の第1〜10の態様の組成物にさらに熱可塑性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分D)を含有する組成物である。
この様に構成すると任意の熱可塑性樹脂を添加する事で硬化膜の性質を改質する事ができる。
本発明の第12の態様に係る表面処理剤は、本発明の第1〜第11の態様の組成物を用いて得られる表面処理剤である。
この様に構成すると組成物を表面処理剤として任意の基材へ塗布する事で基材の表面を改質する事ができる。
本発明の第13の態様に係る硬化膜は、硬化膜であって本発明の第1〜第11の組成物または第12の態様の表面処理剤を用いて得られる硬化膜である。
この様に構成すると、組成物を硬化し硬化膜とすることで基材の表面を保護することができる。
本発明の第14の態様に係る積層体は、積層体であって、本発明の第13の態様の硬化膜を有する積層体である。
この様に構成すると、硬化膜と種々の塗膜を積層し積層体とすることで単層では得られなかった様々な機能を付与することができる。
本発明の組成物は、シリコーン化合物の片末端をアクリロイル変性したケイ素化合物(成分A)を含み、かつ紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分B)を含む組成物であって、ハードコート剤等に適した防汚性と防汚耐久性が著しく向上した硬化膜を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明の第1の実施の形態に係る組成物について説明する。組成物は、ケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分B)を含有する。組成物中の成分Aの含有量は、組成物中の成分Bに対して0.01〜50重量%が好ましい。また、成分Bの含有量は、組成物全量に対して1〜70重量%が好ましい。
組成物に含まれる、ケイ素化合物(成分A)について説明する。ケイ素化合物(成分A)の構造は以下の通りである。
ケイ素化合物(成分A)はシリコーン鎖(主鎖となるシロキサン結合)を含み、その片末端がアクリル変性された化合物である。片末端は、官能基としてのアクリロイル基を含む基を有するため、官能基の数により、2官能アクリロイル変性ケイ素化合物、4官能アクリロイル変性ケイ素化合物に分類する事ができる。
なお、ケイ素化合物(成分A)は導入するアクリロイル基の数を変えてアクリロイル当量を調製することで硬化膜の架橋密度を調節することができるため好ましい。
ケイ素化合物(成分A)の骨格となる構造を、下記式(1)に示す。式(1)においてnは、0〜300の整数である。
なお、シリコーン鎖のnを0〜300にすることでケイ素化合物(成分A)の相溶性や防汚性を調節することができるため好ましい。
、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜30のアルキルである。X、X、X、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレンである。これらの長さを調節することで基材へのレベリング性や組成物とした場合の相溶性を調節することができるため好ましい。
Figure 2017008125
2官能アクリロイル変性ケイ素化合物は、Yがアクリロイル基を有する、式(2)の基である化合物である。
Figure 2017008125
4官能アクリロイル変性ケイ素化合物は、Yがアクリロイル基を有する、下記式(3)で示される基である化合物である。
Figure 2017008125
組成物のもう一つの成分である、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)は、紫外線を照射し硬化することのできるモノマーまたはこのモノマーの重合物(樹脂)である。以下、成分Bを「紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマー」とも言う。
紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などのラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂またはモノマーを挙げることができる。これらの樹脂またはモノマーを単独で用いてもよいし、複数の樹脂またはモノマーを組み合わせて用いてもよい。より好ましいのは(メタ)アクロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーである。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアナートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
前記ポリイソシアナートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアナートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、水添キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ナフタリンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、バーノックD−750、クリスボンNK(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)、デスモジュールL(商品名:住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名:三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名:三菱化学(株)製)などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられ、具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコールなどが挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸のエステルあるいはアミド化合物が好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S(商品名):ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
尚、紫外線は活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線である。活性種を発生させることのできる活性エネルギー線には種々存在するが、取り扱い性の問題から紫外線が好ましい。
本発明の第2の実施の形態に係る組成物について説明する。組成物はケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分B)を含有する。
組成物に含まれる、ケイ素化合物(成分A)について説明する。ケイ素化合物(成分A)の構造は以下の通りである。
ケイ素化合物(成分A)はシリコーン鎖(主鎖となるシロキサン結合)を含み、その片末端がアクリロイル変性された化合物である。片末端は、官能基としてのアクリロイル基を含む基を有するため、官能基の数により、2官能アクリロイル変性ケイ素化合物、4官能アクリロイル変性ケイ素化合物に分類する事ができる。
なお、ケイ素化合物(成分A)は導入するアクリロイル基の数を変えてアクリロイル当量を調製することで塗膜の架橋密度を調節することができるため好ましい。
ケイ素化合物(成分A)の骨格となる構造を、式(4)に示す。式(4)において、nは0〜300の整数である。
なお、シリコーン鎖のnを0〜300にすることでケイ素化合物(成分A)の相溶性や防汚性を調節することができるため好ましい。
、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜30のアルキルである。これらの長さを調節することで基材へのレベリング性や組成物とした場合の相溶性を調節することができるため好ましい。
Figure 2017008125
2官能アクリル変性ケイ素化合物は、Yがアクリロイル基を有する、上記の式(2)の基である化合物である。
4官能アクリロイル変性ケイ素化合物は、Yがアクリロイル基を有する、上記の式(3)で示される基である化合物である。
紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマー(成分B)としては上記に記載の通りである。
本発明の第3の実施の形態に係る組成物について説明する。組成物はケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分B)を含有する。
組成物に含まれる、ケイ素化合物(成分A)について説明する。ケイ素化合物(成分A)の構造は以下の通りである。
ケイ素化合物(成分A)はシリコーン鎖(主鎖となるシロキサン結合)を含み、その片末端がアクリル変性された化合物である。片末端は、官能基としてのアクリロイル基を含む基を有するため、官能基の数により、2官能アクリロイル変性ケイ素化合物、4官能アクリロイル変性ケイ素化合物に分類する事ができる。
なお、ケイ素化合物(成分A)は導入するアクリロイル基の数を変えてアクリロイル当量を調製することで硬化膜の架橋密度を調節することができるため好ましい。
ケイ素化合物(成分A)の骨格となる構造を、下記式(4)に示す。式(4)において、nは0〜300の整数である。
なお、シリコーン鎖のnを0〜300にすることでケイ素化合物(成分A)の相溶性や防汚性を調節することができるため好ましい。
、R10はそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜4のアルキルである。これらの長さを調節することで基材へのレベリング性や組成物とした場合の相溶性を調節することができるため好ましい。
Figure 2017008125

2官能アクリロイル変性ケイ素化合物は、Yがアクリロイル基を有する、上記の式(2)の基である化合物である。
4官能アクリロイル変性ケイ素化合物は、Yがアクリロイル基を有する、式(3)で示される基である化合物である。
紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマー(成分B)としては上記に記載の通りである。
本発明の第4の実施の形態に係る組成物について説明する。組成物はケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分B)を含有する。
樹脂組成物に含まれる、ケイ素化合物(成分A)について説明する。ケイ素化合物(成分A)の構造は以下の通りである。
ケイ素化合物(成分A)はシリコーン鎖(主鎖となるシロキサン結合)を含み、その片末端がアクリル変性された化合物である。片末端は、官能基としての2つアクリロイル基を含む基を有するため、活性エネルギー線を照射する事によりアクリロイル基同士が反応して、重合が進み硬化膜を形成することができるため好ましい。
ケイ素化合物(成分A)の骨格となる構造を、式(6)に示す。式(6)において、nは0〜300の整数である。
なお、シリコーン鎖のnを0〜300にすることでケイ素化合物(成分A)の相溶性や防汚性を調節することができるため好ましい。
Figure 2017008125
紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマー(成分B)としては上記に記載の通りである。
本発明の第5の実施の形態に係る組成物について説明する。組成物はケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分B)を含有する。
組成物に含まれる、ケイ素化合物(成分A)について説明する。ケイ素化合物(成分A)の構造は以下の通りである。
ケイ素化合物(成分A)はシリコーン鎖(主鎖となるシロキサン結合)を含み、その片末端がアクリル変性された化合物である。片末端は、官能基としての4つのアクリロイル基を含む基を有するため、活性エネルギー線を照射する事によりアクリロイル基同士が反応して、重合が進み塗膜を形成することができるため好ましい。
ケイ素化合物(成分A)の骨格となる構造を、式(7)に示す。式(7)において、nは0〜300の整数である。
なお、シリコーン鎖のnを0〜300にすることでケイ素化合物(成分A)の相溶性や防汚性を調節することができるため好ましい。
Figure 2017008125
紫外線硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマー(成分B)としては上記に記載の通りである。
本発明に係るケイ素化合物(成分A)の合成方法を以下に示す。
ケイ素化合物(成分A)は、ヒドロキシル基含有シロキサン化合物(例えばJNC(株)製サイラプレーンFM−DAシリーズ)を、スズ触媒(例えばジラウリン酸ジブチルスズ)の存在下で、アクリロイルオキシエチルイソシアナート(例えば昭和電工(株)製カレンズAOI)等のアクリロイル基を有するイソシアナートと反応させることによって、2官能アクリロイル変性ケイ素化合物を得ることができる。
Figure 2017008125
または、ヒドロキシル基含有シロキサン化合物(例えばJNC(株)製サイラプレーンFM−DAシリーズ)を、スズ触媒(例えばジラウリン酸ジブチルスズ)の存在下で、1,1’−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート(例えば昭和電工(株)製カレンズBEI)等のアクリロイル基を有するイソシアナートと反応させることによって、4官能アクリロイル変性ケイ素化合物を得ることができる。
Figure 2017008125
なお、ヒドロキシル基含有シロキサン化合物の製造方法については、特許第2587226号公報を参照することができる。
また、ヒドロキシル変性ケイ素化合物とアクリロイル基を有するイソシアナートとの反応に使用する触媒としては、アミン系触媒(例えばトリエチレンジアミン)、カルボキシレート触媒(例えばナフテン酸鉛、酢酸カリウム)、トリアルキルホスフィン触媒(例えばトリエチルホスフィン)、チタン系触媒(例えばチタンノルマルブトキシド)なども使用することができる。
本発明の第6の実施の形態に係る組成物は、成分Bが(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂組成物である。(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂組成物の例としては既述の通りである。
本発明の第7の実施の形態に係る組成物は、本願第1〜6の実施の形態に係る組成物に硬化剤を添加する組成物である。硬化剤を用いる事で樹脂またはモノマーとケイ素化合物(成分A)の硬化反応をスムーズに進行させる事ができるため好ましい。
一例として、紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射させて用いる場合を説明する。紫外線硬化性樹脂は、光重合開始剤の存在下で紫外線を照射して重合させることにより硬化するものが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、各種のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルケトン誘導体、オニウム塩光開始剤、有機金属光開始剤、金属塩カチオン光開始剤、光分解性オルガノシラン、潜在性スルホン酸、酸化ホスフィンなどが挙げられる。
硬化剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂の全体量に対して、0.1〜10wt%が好ましく、1〜9wt%がより好ましく、3〜8wt%が特に好ましい。
本発明の第8の実施の形態に係る組成物は、硬化剤が紫外線の照射によりラジカルを発生する事を特徴とする組成物である。
紫外線の照射によりラジカルを発生する重合開始剤としては、紫外線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどがある。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
中でも、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましい。
本発明の第9の実施の形態に係る組成物は、本願第1〜第8の実施の形態に係る組成物にさらに有機溶媒を添加する組成物である。この様にすると、組成物の混合を促進できて好ましい。更に、有機溶媒を添加する事で組成物の濃度を適宜変える事ができ、塗膜作製に適した粘度にする事ができるため好ましい。
溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶媒(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明の第10の実施の形態に係る組成物は、本発明の第1〜9の実施の形態に係る組成物にさらに熱硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分C)を添加する組成物である。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、熱硬化性ポリイミドおよびシリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合エーテル化メラミン樹脂等のメラミン系樹脂、イソシアナート基を2個以上持ったポリイソシアナート化合物(O=C=N−R−N=C=O)と、水酸基を2個以上持ったポリオール化合物(HO−R’−OH)、ポリアミン(HN−R”−NH)、または水などの活性水素(−NH,−NH,−CONH−など)を持った化合物などとの反応により得ることができるウレタン系樹脂等が加工適性上好ましい。
エポキシ系樹脂は耐熱性、接着性、耐薬品性、メラミン系樹脂は耐熱性、硬度、透明性、ウレタン系樹脂は接着性、低温硬化性に優れており、適宜選択して使用することができる。
熱硬化性樹脂は、所望の硬化温度(80〜160℃)、時間(30〜180秒)で迅速硬化させる必要がある。樹脂の種類に応じて、硬化反応開始剤や硬化反応促進剤を用いてもよい。例えば、エポキシ系樹脂の場合、脂肪族アミンや芳香族アミンのアミン類、ポリアミド樹脂、3級アミンおよび2級アミン、イミダゾール類、ポリメルカプタン、酸無水物類、ルイス酸錯体、メラミン系樹脂の場合、スルホン酸系触媒、ウレタン系樹脂の場合、有機金属系ウレタン化触媒と3級アミン系ウレタン化触媒等を挙げることができる。
上記の硬化反応開始剤や硬化反応促進剤は、活性エネルギー線照射や熱エネルギーによりカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物であればよい。かかる硬化反応開始剤の例としては、カルボン酸、アミン、酸無水物化合物や酸発生剤などが含まれ、好ましくはルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である。
上記の硬化反応開始剤の代表的なものとしては、下記の式(8)で示される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[A]m+[B]m− (8)
上記の式(8)において、陽イオン[A]m+はオニウムイオンであることが好ましく、例えば下記の式(9)で示される。
[(α)Q]m+ (9)
上記の式(9)において、αは炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機基である。aは1〜5の整数である。a個のαは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのαは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。
Qは、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qである(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
一方、陰イオン[B]m−は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、例えば下記の式(10)で示される。
[LXm− (10)
式(10)において、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[LXm−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pである。
式(10)で示される陰イオン[LXm−の具体例には、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl)などが含まれる
また陰イオン[B]m−としては、下記の式(11)で示されるものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。
[LXb−1(OH)]m− (4)
陰イオン[B]m−の例には、さらに過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオンなども含まれる。
本発明における硬化反応開始剤は、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)に例示される芳香族オニウム塩であることがさらに好ましい。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウム塩
(ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩
さらに、本発明における硬化反応開始剤は、鉄アレーン錯体またはアルミニウム錯体と、トリフェニルシラノールなどのシラノール類との混合物であってもよい。
鉄アレーン錯体の例には、(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロフォスフェートなどが含まれ、アルミニウム錯体の例には、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウムなどが含まれる。
上記の中でも実用面の観点から、本発明の実施の形態における硬化反応開始剤は、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体であることが好ましい。
硬化反応開始剤(好ましくは酸発生剤)の含有量は、エポキシ樹脂が含有するエポキシ基10〜300モルに対して、1モルであることが好ましい。
本発明の第11の実施の形態に係る組成物は、本発明の第1〜10の実施の形態に係る組成物にさらに熱可塑性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分D)を添加する組成物である。熱可塑性樹脂を混合させると樹脂本来の特性(力学物性、表面・界面特性、相溶性など)を改質することができる。
熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド(ナイロン6:デュポン社商品名、ナイロン6,6:デュポン社商品名、ナイロン6,10:デュポン社商品名、ナイロン6,T:デュポン社商品名、ナイロンMXD6:デュポン社商品名など)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシラート、など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、フッ素樹脂(ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、など)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリラート(Uポリマー:ユニチカ(株)商品名、ベクトラ:ポリプラスチックス(株)商品名、など)、ポリイミド(カプトン:東レ(株)商品名、AURUM:三井化学(株)商品名、など)、ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドなどが含まれる。
本発明の第12の実施の形態に係る表面処理剤としては、上記第1〜11の実施の形態に係る組成物を用いて基材の表面の改質を行う事を可能とすることができる。表面処理剤とは基材の表面に塗布しその後硬化膜とすることで、基材の表面を改質する事が可能なものである。
上記硬化樹脂および表面処理剤は、用途に応じて適宜、耐候性、低屈折率特性、高屈折率特性、汚れ防止特性、低摩耗特性、ガスバリア特性、耐傷つき特性を有することが好ましい。このような特性を付与するための下記の添加剤や手法を用いることもできる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類、ヒドロキシフェニルトリアジン類、ベンゾフェノン類、サリシレート類、シアノアクリレート類、トリアジン類、または、ジベンゾイルリソルシノール類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤を単独で用いてもよいし、複数の紫外線吸収剤を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤は、吸収したい紫外線の波長に基づいて種類や組み合わせを適宜選択することが好ましい。
酸化防止剤としては、モノフェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど)、ビスフェノール類(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)、高分子型フェノール類(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノールなど)、硫黄系酸化防止剤(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(リフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイトなど)、およびオキサホスファフェナントレンオキサイド類(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなど)を挙げることができる。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/硫黄系またはフェノール系/リン系と組み合わせて使用することが特に好ましい。市販のフェノール系の酸化防止剤としては、BASF社製のIRGANOX 1010(商品名)やIRGAFOS 168(商品名)をそれぞれ単独で利用することができ、また、これらを混合して利用することもできる。
光安定剤(HALS)としては、BASF社製TINUVIN(登録商標)5100(中性タイプの汎用HALS)、TINUVIN292(化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート)、TINUVIN152(化合物名:2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、TINUVIN144(化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)、TINUVIN123(化合物名:デカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4ピペリジニル)エステルの反応生成物(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタン存在下))、TINUVIN111FDL(約50%、TINUVIN622、化合物名:(ブタン二酸ポリマー(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジニル−イル)エタノール存在下)、約50%、CHIMASSORB119、化合物名:N−N’−N’’−N’’’−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン)、または、株式会社アデカ製アデカスタブLAシリーズ等、具体的には、LA−52((5)−6116)、LA−57((5)−5555)、LA−62((5)−5711)、LA−67((5)−5755)を挙げることができる。なお、括弧内は、既存化学物質番号である。
低屈折率特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にフッ化マグネシウムなどの無機微粒子や、フルオロシルセスキオキサン、WO2008/072766およびWO2008/072765に記載されているフルオロシルセスキオキサン重合体からなる群から選ばれる化合物や、フッ素原子を含有するアクリレート化合物などを1種以上混合させることが好ましい。
高屈折率特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にジルコニア、チタニア、硫化亜鉛などの金属微粒子や、フルオレン骨格を有するアクリレート化合物およびエポキシ化合物や、硫黄原子を含有するアクリレート化合物およびエポキシ化合物などを1種以上混合させることが好ましい。
高屈折率特性を付与された硬化樹脂層上にITOや銀ナノワイヤーに代表される透明電極材料を塗布し、エッチングによりパターニングすることによって、静電容量方式のタッチパネルに組み込まれる透明電極フィルムに使用することができる。高屈折率特性を付与された硬化樹脂層を用いることで、ITOや銀ナノワイヤーなど透明電極材料の導電パターンを見えにくくすることができる。
また、高屈折率特性を付与された硬化樹脂層に前記低屈折率特性を有する層を積層することにより、反射防止特性を有する第1の硬化樹脂層を得ることができる。
汚れ防止特性や低摩擦特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にシリコーン化合物、フッ素化合物、フルオロシルセスキオキサン、WO2008/072766およびWO2008/072765に記載されているフルオロシルセスキオキサン重合体からなる群から選ばれる1種以上の化合物を混合させることが好ましい。
シリコーン化合物としては、BYK−UV3500、BYK−UV−3570(いずれも商品名:ビックケミー社製)、TEGO Rad2100、2200N、2250、2500、2600、2700(何れも商品名:デグサ社製)、X−22−2445、X−22−2455、X−22−2457、X−22−2458、X−22−2459、X−22−1602、X−22−1603、X−22−1615、X−22−1616、X−22−1618、X−22−1619、X−22−2404、X−22−2474、X−22−174DX、X−22−8201、X−22−2426、X−22−164A、X−22−164C(いずれも商品名:信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
フッ素化合物としては、ダイキン工業株式会社製のオプツールDAC、オプツールDAC−HP、R−1110、R−1210、R−1240、R−1620、R−1820、R−2020、R−5210、R−5410、R−5610、R−5810、R−7210、R−7310、メガファックRS−75、メガファックRS−72−K、メガファックRS−76−E、メガファックRS−76−NS、メガファックRS−77、メガファックRS−903−3、メガファックRS−914−2、メガファックRS−761−3(いずれも商品名)等を挙げることができる。
ガスバリア特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にグラフェンに代表される層状クレイやシリカ、アルミナ、多孔質ガラスなどの無機成分を1以上混合させることが好ましい。
耐傷つき性を付与する手法としては、本発明のコーティング剤用組成物または表面処理剤による塗膜を硬化して得られる硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させるために無機微粒子を添加してもよい。具体的な無機微粒子の例として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アンチモン、氷晶石、蛍石)、燐灰石、方解石、石膏およびタルクを例示できる。用いられる無機酸化物の量は、本願の樹脂組成物中の硬化性樹脂(b)に対して、60wt%未満が好ましい。60wt%未満であれば、基材に対する良好な密着性を維持することができる。
また、無機微粒子の平均粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、塗膜の透明性を考慮すると、5nm〜500nmが好ましく、より好ましくは、5nm〜50nmである。5nm以上であると、硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させることができ、2μm以下であると、硬化膜の透明性に悪影響を及ぼさない。なお、無機微粒子の平均粒子径は、日機装(株)MICROTRAC UPAを使用し、動的光散乱法にて測定する。
そのほかに必要に応じて、活性エネルギー線増感剤、重合禁止剤、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤、硬化助剤等の各種添加剤を混合させることができる。
本発明の第13の実施の形態に係る硬化膜としては、上記の第1〜11の実施の形態に係る組成物または第12の実施の形態に係る表面処理剤を硬化させて得られた硬化膜のことである。組成物または表面処理剤を硬化膜とする際には適宜、基材を用いてもよい。
本発明の硬化膜作製方法としては、まず、組成物または表面処理剤を均一にコーティングし、塗膜を形成する。続いて、加熱・乾燥し乾燥塗膜を得、さらに該乾燥塗膜に紫外線を照射する事により本発明の硬化膜を形成することができる。
コーティング法としては、ウェットコーティング法を用いることが好ましい。ウェットコーティング法としては、グラビアコート法やダイコート法等を用いることができる。なお、コーティング剤用樹脂組成物は、コーティングに適した状態であることが好ましく、溶媒を含まず、または溶媒との混合物であってもよい。
グラビアコート法は、表面に凸凹の彫刻加工が施されたグラビアロールを塗布液に浸し、グラビアロール表面の凸部に付着した塗布液をドクターブレードで掻き落とし凹部に液を貯めることで正確に計量し、基材に転移させる方式である。グラビアコート法により、低粘度の液を薄くコーティングすることができる。
ダイコート法は、ダイと呼ばれる塗布用ヘッドから液を加圧して押出しながらコーティングする方式である。ダイコート法により、高精度なコーティングが可能となる。さらに、塗布時に液が外気にさらされないため、乾きによる塗布液の濃度変化などが起こりにくい。
その他のウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロットコート法などを挙げることができる。コーティングの方法は、これらの方法から必要とする膜厚に応じて適宜選択することができる。
塗膜から乾燥塗膜を作製する際の加熱・乾燥方法は特に限定されないが、ホットプレート、加熱オーブンを用いることができる。また、膜厚にもよるが、50〜120℃の温度範囲で10秒〜300秒乾燥させると、溶媒が効果的に蒸発し、表面のべたつきが少ない膜を得ることができる。
また、コーティングされる基材には、透明性を有する各種のプラスチックやガラスを用いることができる。透明性を有するプラスチックの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等が好ましい。シクロオレフィン系樹脂はゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標):日本ゼオン製、アートン(登録商標):JSR製、アペル(登録商標):三井化学製、トパス(登録商標):ポリプラスチックス製が好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等、およびフィルム表面の平滑性やハンドリング性に優れているためより好ましい。ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、燃焼性に優れているためより好ましい。価格・入手の容易さをも考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
透明性を有するガラスの材料としては、LCDディスプレイやタッチパネルなどに使用される寸法安定性、光学特性に優れるガラスであれば制限されない。たとえばソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、アルカリバリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、シリカガラス、鉛ガラス等が挙げられる。
また、基材は、上記材料から造られた、光学用保護フィルムで用いる基材フィルムであってもよく、PC、携帯端末、カーナビゲーション、液晶ディスプレイ等の電子機器の表示部やタッチパネル部で用いられる基材であってもよく、カメラ、メガネ、ゴーグル等のレンズであってもよい。
さらに、コーティングされる基材は、透明でなくてもよく、電子機器、電気機器、IT関連機器などの筐体であってもよい。このように、基材は、透明、不透明に関わらず、ハードコーティングを必要とするものであればよい。
基材の厚みは特に制限するものではなく、上記に例示された物品により異なるものである。例えば、光学用保護フィルムの場合は、基材の厚みは好ましくは50〜300μmであり、より好ましくは80〜200μmである。基材の厚みが50μm以上であると基材の機械的強度が充分となり、基材上にコーティングを形成することが可能になる。また、厚みが300μm以下であると、光学用保護フィルムの厚みが厚くなりすぎず、当該フィルムを用いた製品(例えば後述の画像表示装置)がコンパクトである。
基材表面に製膜されたコーティング剤用組成物または表面処理剤の硬化膜の厚みも特に制限するものではなく、上記に例示された物品より適宜変更することができる。
本発明の組成物を塗布する基材は、組成物および表面処理剤が塗布される対象となりうるものであれば、特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
また、前記基材に直接塗布する以外にも、有機膜、無機膜等の機能性膜上に本発明の組成物を塗布することができる。その場合は、前記膜を予め塗布性を向上させるために、UV/O3アッシング処理や、酸素プラズマ処理等を施してもよい。また本発明の組成物の塗布に影響のない範囲で、市販のプライマー、コート材等を塗布してもよい。
なお、これらの基材を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および電波防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
また、基材の表面の少なくとも一部には、必要に応じて撥水処理、コロナ処理、プラズマ処理またはブラスト処理などの易接着処理を施したり、表面の少なくとも一部に易接着層やハードコート膜を設けたりしてもよい。
本発明の第14の実施の形態に係る積層体としては、第13の実施の形態に係る硬化膜を積層させて得られた膜のことである。積層体は本発明の硬化膜を積層させて得られた膜であってもよいし、本発明の硬化膜とその他の硬化樹脂層を積層させて得られるものでもよい。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
<2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A1(成分A)の合成>
片末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物(商品名:サイラプレーンFMDA21、OH価24.1mgKOH/g、JNC(株)製)10.1gに、ジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成(株)製)0.002gとp−メトキシフェノール0.012g添加し、窒素雰囲気下45℃まで加熱した。その溶液にアクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズAOI、昭和電工(株)製)0.70gを滴下し、45℃〜50℃で2時間攪拌した。NMRを用いて原料の消失を確認した後に、氷冷しメタノール(0.24g)を滴下した。同温度で30分確認し2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A1のメタノール溶液(11.0g、固形分濃度97wt%)を得た。
H NMRを用いて反応の進行を確認し、原料であるサイラプレーンFMDA21中の酸素の隣りのメチレンプロトンに由来するピーク:H NMR(CDCl,500MHz):3.35(2H,t,J=6.8Hz),3.41(2H,s),3.59(2H,d,J=11Hz),3.70(2H,d,J=11Hz)が消失し、ウレタンアクリレート化によってメチレンプロトンが3.23(2H,s),3.3(2H,t,J=6.9Hz),4.00(4H,s)へシフトする事を確認した。
[実施例2]
<2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A2(成分A)の合成>
原料に片末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物(商品名:サイレプレーンFMDA11、OH価94.8mgKOH/g、JNC(株)製)、10.2gとジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成(株)製)0.005g、p−メトキシフェノール0.012g、アクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズAOI、昭和電工(株)製)2.86g、メタノール(0.97g)を用いた事以外は実施例1と同様の方法にて2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A2のメタノール溶液(14.1g、固形分濃度87wt%)を得た。
H NMRを用いて反応の進行を確認し、原料であるサイラプレーンFMDA21中の酸素の隣りのメチレンプロトンに由来するピーク:H NMR(CDCl,500MHz):3.36(2H,t,J=6.8Hz),3.41(2H,s),3.59(2H,d,J=11Hz),3.73(2H,d,J=11Hz)が消失しウレタンアクリレート化によってメチレンプロトンが3.24(2H,s),3.29(2H,t,J=6.7Hz),4.10(4H,s)へシフトする事を確認した。
[実施例3]
<2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A3(成分A)の合成>
原料に片末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物(商品名:サイレプレーンFMDA26、OH価8.1mgKOH/g、JNC(株)製)、10.0gとジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成(株)製)0.0005g、p−メトキシフェノール0.010g、アクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズAOI、昭和電工(株)製)0.24g、メタノール(0.10g)を用いた事以外は実施例1と同様の方法にて2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A3のメタノール溶液(10.4g、固形分濃度99wt%)を得た。
H NMRを用いて反応の進行を確認し、原料であるサイラプレーンFMDA26中の酸素の隣りのメチレンプロトンに由来するピーク:H NMR(CDCl,500MHz):3.37(2H,t,J=6.9Hz),3.41(2H,s),3.59(2H,d,J=11Hz),3.71(2H,d,J=11Hz)が消失しウレタンアクリレート化によってメチレンプロトンが3.24(2H,s),3.30(2H,t,J=6.9Hz),4.01(4H,s)へシフトする事を確認した。
[実施例4]
<4官能アクリロイル変性ケイ素化合物A4(成分A)の合成>
原料に片末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物(商品名:サイレプレーンFMDA21、OH価24.1mgKOH/g、JNC(株)製)、10.0gとジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成(株)製)0.0014g、p−メトキシフェノール0.011g、1,1’−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート(商品名:カレンズBEI、昭和電工(株)製)1.24g、メタノール(0.25g)を用いた事以外は実施例1と同様の方法にて2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A4のメタノール溶液(11.5g、固形分濃度96wt%)を得られる。
[比較例1]
〈表面処理剤1の調製〉
多官能アクリレートであるアロニックスM305(東亞合成(株)製)334.9g、ウレタンプレポリマーP7−532(共栄社化学(株)製)35.1g、1,6−へキサンジオールジアクリレートA−HD−N(新中村化学(株)製)18.6g、イルガキュア127(BASFジャパン(株)製)27.9gをメチルイソブチルケトン(和光純薬(株)製)583.5gに溶解させ、固形分濃度40wt%の表面処理剤を調製し、これを表面処理剤1とした。
[実施例5]
〈表面処理剤2の調製〉
比較例1と同様の方法で調製した表面処理剤1(固形分濃度40wt%)20.0gに実施例1で合成した2官能アクリロイル変性ケイ素化合物A1を0.0083g添加し固形分に対して2官能アクリロイル変性ケイ素化合物Aが0.1wt%となるようにして本発明の表面処理剤を調整し、これを表面処理剤2とした。
[実施例6]
〈表面処理剤3の調製〉
比較例1と同様の方法で調製した表面処理剤1(固形分濃度40wt%)50.0gに実施例1で合成した2官能アクリロイル変性ケイ素化合物Aを0.0103g添加し、固形分に対して2官能アクリロイル変性ケイ素化合物Aが0.05wt%となるようにして本発明の表面処理剤を調整し、これを表面処理剤3とした。
[比較例2]
〈表面処理剤4の調製〉
比較例1と同様の方法で調製した表面処理剤1(固形分濃度40wt%)20.0gにサイラプレーンFMDA21(JNC(株)製)0.0080g添加し、固形分に対してサイラプレーンFMDA21が0.1wt%となるようにして表面処理剤を調整し、これを表面処理剤4とした。
[比較例3]
〈表面処理剤5の調製〉
比較例1と同様の方法で調製した表面処理剤1(固形分濃度40wt%)50.0gにサイラプレーンFMDA21(JNC(株)製)0.0100g添加し、固形分に対してサイラプレーンFMDA21が0.1wt%となるようにして表面処理剤を調整し、これを表面処理剤5とした。
[実施例7]
〈硬化膜1の作製〉
基材としてPET(製品名:コスモシャインA4300、A4サイズ、100μm、東洋紡(株)製)を用いた。実施例5で調製した表面処理剤2を用いてPET基材へバーコーターを用いて乾燥膜厚が5μmになるようにし、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cmの光照射条件で塗膜を光硬化させ、本発明の硬化膜を形成し、これを硬化膜1とした。
[実施例8]
〈硬化膜2の作製〉
表面処理剤2の代わりに実施例6で作製した表面処理剤3を用いた事以外は、実施例7と同様の手法を用いて本発明の硬化膜を形成し、これを硬化膜2とした。
[比較例4]
〈硬化膜3の作製〉
表面処理剤2の代わりに比較例2で作製した表面処理剤4を用いた事以外は、実施例7と同様の手法を用いて硬化膜3を作製した。
[比較例5]
〈硬化膜4の作製〉
表面処理剤2の代わりに比較例3で作製した表面処理剤5を用いた事以外は、実施例7と同様の手法を用いて硬化膜5を作製した。
[比較例6]
〈硬化膜5の作製〉
表面処理剤液2の代わりに比較例1で作製した表面処理剤液1を用いた事以外は、実施例7と同様の手法を用いて硬化膜5を作製した。
<硬化膜の試験>
(1) マジックインキ(商品名)
(2) 拭取りテスト(防汚性評価)
硬化膜の表面層を黒色油性マーカー(Sharpie製)で描画し、油性インキのはじき、およびダスパーK−3(小津産業(株)製)での拭き取り可能な回数を評価した。
上記(1)の結果を表1(マジックインキ拭取り回数評価結果)に示す。
Figure 2017008125
実施例7〜8(2官能アクリロイル変性ケイ素化合物(成分A)を加えた本発明の処理剤と比較例4〜5(サイラプレーンFMDA21を加えたコーティング剤)、比較例6(ケイ素化合物を添加していないコーティング剤)を比較すると、比較例6ではマジックインキ拭取り回数が0回と防汚耐久性がない事が確認された。また、比較例4〜5ではマジックインキ拭取り回数が4〜11回と防汚耐久性が若干上昇したものの不十分であった。一方、実施例7〜8ではマジックインキ拭取り回数が著しく向上し、防汚耐久性が向上する結果が得られた。
以上の事から、本発明の組成物は、携帯端末や、ウェアラブルディスプレイ(wearable display)の表面コーティング材料に要求される、高い防汚性能と防汚耐久性を有する硬化膜を形成する材料へ応用できることが明らかとなった。

Claims (14)

  1. 式(1)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する組成物。
    (式(1)において、
    nは0〜300の整数であり、
    、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜30のアルキルであり、
    、X、X、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレンであり、
    Yはそれぞれ独立してアクリロイル基を有する式(2)もしくは式(3)で示される基であるケイ素化合物である。)
    Figure 2017008125
    Figure 2017008125
    Figure 2017008125
  2. 式(4)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する請求項1に記載の組成物。
    (式(4)において、
    nは0〜300の整数であり、)
    、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、水素もしくは炭素数が1〜30のアルキレンであり、
    Yはそれぞれ独立してアクリロイル基を有する、請求項1に記載の式(2)もしくは(3)で示される基であるケイ素化合物である。)
    Figure 2017008125
  3. 式(5)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する請求項1または2に記載の組成物。
    (式(5)において、
    nは0〜300の整数であり、
    、R10は炭素数1〜4のアルキレンであり、
    Yはそれぞれ独立してアクリロイル基を有する、請求項1に記載の式(2)もしくは(3)で示される基であるケイ素化合物である。)
    Figure 2017008125
  4. 式(6)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
    (式(6)において、
    nは、0〜300の整数であるケイ素化合物である。)
    Figure 2017008125
  5. 式(7)で示されるケイ素化合物の少なくとも1種(成分A)を含み、紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種(成分B)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
    (式(7)において、
    nは0〜300の整数であるケイ素化合物である。)
    Figure 2017008125
    (7)
  6. 成分Bが、(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂を構成しうるモノマーまたはこのモノマーの重合物の少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. さらに硬化剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 硬化剤が紫外線の照射よりラジカルを発生することを特徴とする請求項7に記載の組成物。
  9. さらに有機溶媒を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. さらに熱硬化性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分C)を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. さらに熱可塑性樹脂またはこの樹脂を構成するモノマーの少なくとも1種(成分D)を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物を用いて得られる表面処理剤。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物または表面処理剤を塗布してなる塗膜を硬化させた硬化膜。
  14. 請求項13に記載の硬化膜を有する積層体。
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