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JP2017007264A - プリフォーム、プラスチックボトル、及びプラスチックボトルの製造方法 - Google Patents

プリフォーム、プラスチックボトル、及びプラスチックボトルの製造方法 Download PDF

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JP2017007264A JP2015127398A JP2015127398A JP2017007264A JP 2017007264 A JP2017007264 A JP 2017007264A JP 2015127398 A JP2015127398 A JP 2015127398A JP 2015127398 A JP2015127398 A JP 2015127398A JP 2017007264 A JP2017007264 A JP 2017007264A
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章智 関根
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Abstract

【課題】射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性が良好であり、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性が良好であるプリフォーム、プラスチックボトル、及びプラスチックボトルの製造方法を提供する。
【解決手段】口部11と、胴部20とを備えるプリフォーム10において、胴部20は、大径部21と、くびれ部22と、小径部23と、底部24とを有し、胴部20は、肉薄部25と、肉厚増加部26と、所定肉厚部27とを有し、胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリフォーム、プラスチックボトル、及びプラスチックボトルの製造方法に関し、より詳細には、軽量化されたプリフォーム、プラスチックボトル、及びプラスチックボトルの製造方法に関する。
例えば、飲料が充填される容器としてプラスチックボトルが用いられる。プラスチックボトルの製造には、射出成形機で樹脂から試験管状のプリフォームを成形し、プリフォームをブロー成形機でボトル状に成形する方法が多く用いられている。
プラスチックボトルの生産量は年々増加傾向にある。一方で、省資源化、ごみの減量化や、輸送時の環境負荷低減等による、エネルギー使用量、及び二酸化炭素排出量の低減の観点から原料の使用量を削減することによるプラスチックボトルの軽量化が取り組まれている。
プラスチックボトルの重量の大小は、ブロー成形機でブロー成形される前におけるプリフォームの樹脂の重量によるので、プリフォームが軽量化されることによってプラスチックボトルも軽量化される。しかしながら、プラスチックボトルを軽量化する場合、プラスチックボトルの肉厚が全体的に薄くなり、プラスチックボトルを成形するための条件がより厳しくなる。したがって、軽量化されたプラスチックボトルを良好に成形するためのプリフォームを設計する必要が生じる。また、プリフォームは生産の観点から射出成形機で成形されるので、プリフォームの射出成形性が良好であることも重要である。
プラスチックボトルを軽量化するためのプリフォームとして、サポートリングの下に肉厚が薄い平行部を設けたプリフォームが知られている(例えば、特許文献1)。また、胴部の外径を口部の外径より細く形成したプリフォームも知られている(例えば、特許文献2)。
特開2003−53823号公報 特開2007−296720号公報
ここで、特許文献1のように、プリフォームのサポートリングの下に肉厚が薄い平行部を形成することでプラスチックボトルを軽量化する場合、サポートリングの下の樹脂量が低減されているに過ぎず、プラスチックボトルをより軽量化するには限界がある。また、このような肉厚が薄い部位を有するプリフォームでは、射出成形機でプリフォームを成形する際に、樹脂の流れがキャビティの肉厚が薄い部位に相当する箇所で悪くなりやすく、ショートモールドやウェルド等の成形不良が生じることがある。
また、ブロー成形機でプリフォームからプラスチックボトルを成形する際のプリフォームの延伸倍率の上限は、プリフォームを構成する樹脂の延伸特性に大きく依存するので、成形されるプラスチックボトルの大きさに応じてプリフォームの大きさはある程度制限される。また、ブロー成形する際に、プリフォームの内部には延伸ロッドが挿入される。このようなことから、特許文献2のように、プリフォームの胴部の外径を細く形成することでプラスチックボトルをより軽量化する場合において、その胴部の細さには限界がある。
また、プラスチックボトルをより軽量化するに際して、プリフォームの胴部に肉厚の薄い部分を設けたり、胴部の外径を細く形成したりすることによって、プリフォームの各部位でブロー成形時の延伸性(延伸のしやすさ)に違いが生じる。そして、この延伸性の違いによって、プラスチックボトルに偏肉が生じたり、薄肉化したり、白化したりする等の賦形不良が発生することがある。したがって、良好なブロー成形性を有するプリフォームが望まれている。
そこで、本発明の目的は、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性が良好であり、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性が良好であるプリフォーム、プラスチックボトル、及びプラスチックボトルの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、下端にサポートリングを有する口部と、前記サポートリングの下端に連設された胴部とを備える有底筒状のプリフォームにおいて、
前記胴部は、
前記サポートリングの下端に連設された大径部と、
前記大径部の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部と、
前記くびれ部の下端に連設された小径部と、
前記小径部の下端に連設された底部とを有し、
前記胴部は、肉厚の異なる部分を有し、
前記サポートリングの下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部と、
前記肉薄部の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部と、
前記肉厚増加部の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部とを有し、
前記胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、
前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記肉薄部の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、
前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、
重量が17g以下であることを特徴とする。
更に、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の下端までの距離L7の比L7/L2が0.10以上、0.40以下であることを特徴とする。
前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記肉厚増加部の下端までの距離L5の比L5/L2が0.10以上、0.32以下であることを特徴とする。
更に、前記所定肉厚部の肉厚T2に対する前記肉薄部の肉厚T1の比T1/T2が、0.60以上、0.85以下であることを特徴とする。
更に、前記大径部の外径D3に対する前記小径部の外径D4の比D4/D3が、0.60以上、0.90以下であることを特徴とする。
更に、前記底部は、前記小径部の下端から前記底部の中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されることを特徴とする。
更に、前記肉薄部の肉厚T1に対する前記底部中央の肉厚T3の比T3/T1が、1.01以上、1.30以下であることを特徴とする。
更に、前記肉薄部の下端は、前記くびれ部内に位置することを特徴とする。
更に、前記肉厚増加部の下端は、前記くびれ部内に位置することを特徴とする。
更に、本発明に係るプラスチックボトルは、上述のプリフォームがブロー成形機でボトル状に形成されることを特徴とする。
更に、前記ブロー成形機による成形が、縦方向の延伸倍率が1.3倍以上、3.6倍以下、横方向の延伸倍率が2.0倍以上、4.1倍以下の二軸延伸ブロー成形であることを特徴とする。
更に、前記胴部の成形後の厚さが0.05mm以上、0.18mm以下であることを特徴とする。
更に、前記大径部の下部、及び前記くびれ部が、水平方向に対して傾斜を有する肩部を形成することを特徴とする。
更に、本発明に係るプラスチックボトルの製造方法は、下端にサポートリングを有する口部と、前記サポートリングの下端に連設された胴部とを備え、前記胴部は、前記サポートリングの下端に連設された大径部と、前記大径部の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部と、前記くびれ部の下端に連設された小径部と、前記小径部の下端に連設された底部とを有し、前記胴部は、肉厚の異なる部分を有し、前記サポートリングの下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部と、前記肉薄部の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部と、前記肉厚増加部の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部とを有し、前記胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記肉薄部の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下であるプリフォームを射出成形機で製造する工程と、
前記プリフォームをブロー成形機でボトル状に成形する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、下端にサポートリングを有する口部と、前記サポートリングの下端に連設された胴部とを備える有底筒状のプリフォームにおいて、前記胴部は、前記サポートリングの下端に連設された大径部と、前記大径部の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部と、前記くびれ部の下端に連設された小径部と、前記小径部の下端に連設された底部とを有し、前記胴部は、肉厚の異なる部分を有し、前記サポートリングの下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部と、前記肉薄部の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部と、前記肉厚増加部の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部とを有し、前記胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記肉薄部の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下であるので、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性を良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性を良好にすることができる。
更に、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の下端までの距離L7の比L7/L2が0.10以上、0.40以下である構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性をより良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記肉厚増加部の下端までの距離L5の比L5/L2が0.10以上、0.32以下である構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性をより良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、前記所定肉厚部の肉厚T2に対する前記肉薄部の肉厚T1の比T1/T2が、0.60以上、0.85以下である構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性をより良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、前記大径部の外径D3に対する前記小径部の外径D4の比D4/D3が、0.60以上、0.90以下である構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性をより良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、前記底部は、前記小径部の下端から前記底部の中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成される構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性を良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、前記肉薄部の肉厚T1に対する前記底部中央の肉厚T3の比T3/T1が、1.01以上、1.30以下である構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性を良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、前記肉薄部の下端は、前記くびれ部内に位置する構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性を良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、前記肉厚増加部の下端は、前記くびれ部内に位置する構成によれば、射出成形機でプリフォームが成形される際の射出成形性を良好にするとともに、プリフォームからブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性をより良好にすることができる。
更に、本発明に係るプラスチックボトルは、上述のプリフォームがブロー成形機でボトル状に形成されるので、プリフォームから良好なブロー成形性で軽量化されたプラスチックボトルを成形することができる。
更に、前記ブロー成形機による成形が、縦方向の延伸倍率が1.3倍以上、3.6倍以下、横方向の延伸倍率が2.0倍以上、4.1倍以下の二軸延伸ブロー成形である構成によれば、プリフォームからより良好なブロー成形性で軽量化されたプラスチックボトルを成形することができる。
更に、前記胴部の成形後の厚さが0.05mm以上、0.18mm以下である構成によれば、プリフォームからより良好なブロー成形性で軽量化されたプラスチックボトルを成形することができる。
更に、前記大径部の下部、及び前記くびれ部が、水平方向に対して傾斜を有する肩部を形成する構成によれば、プリフォームからより良好なブロー成形性で軽量化されたプラスチックボトルを成形することができる。
更に、本発明に係るプラスチックボトルの製造方法は、下端にサポートリングを有する口部と、前記サポートリングの下端に連設された胴部とを備え、前記胴部は、前記サポートリングの下端に連設された大径部と、前記大径部の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部と、前記くびれ部の下端に連設された小径部と、前記小径部の下端に連設された底部とを有し、前記胴部は、肉厚の異なる部分を有し、前記サポートリングの下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部と、前記肉薄部の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部と、前記肉厚増加部の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部とを有し、前記胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記肉薄部の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、前記胴部の全長L2に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下であるプリフォームを射出成形機で製造する工程と、前記プリフォームをブロー成形機でボトル状に成形する工程とを備えるので、良好な射出成形性でプリフォームを製造することができるとともに、プリフォームから良好なブロー成形性で軽量化されたプラスチックボトルを製造することができる。
本実施形態に係るプリフォームの一例が示された正面図である。 図1のプリフォームの断面図である。 プリフォームを製造するための射出成形装置の一例が示された概略図である。 プリフォームの加熱装置の一例が示された断面図である。 プリフォームと、ブロー成形後のPETボトルとが模式的に示された断面図である。 本実施形態に係るプリフォームから形成されたPETボトルが示された正面図である。 本実施形態に係るプリフォームから形成された別のPETボトルが示された正面図である。 比較例のプリフォームが示された断面図である。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。まず、本実施形態に係るPET(PolyEthylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタラート)ボトル成形用のプリフォーム10(予備成形体)の構成を詳細に説明する。図1は本実施形態に係るプリフォーム10の一例が示された正面図である。更に、図2は図1のプリフォーム10の断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、プリフォーム10の一端側の開放された側が上を向いた図1の状態におけるプリフォーム10の口部11を上とする。
本実施形態に係るプリフォーム10は、一端側が開放された有底筒状であって、開放された側の口部11と、底の側の胴部20とを備える。口部11は、その上端に円形の開口部12を有するとともに、下端に外方に突出する環状のサポートリング14を有する。
口部11の外周には、ブロー成形機でプリフォーム10がボトル状に形成された後に図示せぬ蓋が取り付けられるためのねじ部13が設けられる。また、ねじ部13とサポートリング14との間には、外方に突出する環状のカブラ15が設けられる。また、口部11は、ブロー成形機による成形後も、その形状が変化しない。したがって、プリフォーム10の口部11の内径D1、及び外径D2(ねじ谷径に相当)は例えば、飲料用のPETボトルで標準的に用いられる寸法とされることが好ましい(図2参照)。
口部11は例えば、PCO1810規格や、PCO1881規格に対応した寸法とされると良い。より具体的に、口部11の内径D1は21.74mm±0.13mmであることが好ましい。更に、口部11の外径D2は24.94mm±0.13mmであることが好ましい。なお、サポートリング14の下面から口部11の上端までの距離が口部11の長さL1である。より具体的に、口部11の長さL1は21.00mm±0.25mm(PCO1810規格)、及び17.00mm±0.25mm(PCO1881規格)のいずれかであることが好ましい。
胴部20は、円筒状であって、ブロー成形の際に、ボトルの形状となるように膨らむ部分である。胴部20は、口部11のサポートリング14の下端(下面)に連接される。そして、胴部20は、サポートリング14の下端に連設された大径部21と、大径部21の下端に連設されたくびれ部22と、くびれ部22の下端に連設された小径部23と、小径部23の下端に連設された底部24とを有する。なお、サポートリング14の下面から底部24の下端までの距離が胴部20の全長L2である。
大径部21、及び小径部23は円筒状であり、大径部21の外径D3は小径部23の外径D4より大である。くびれ部22は、下方に向けて、つまり、大径部21の側から小径部23の側に向けて徐々に縮径して円錐台状に構成される。なお、くびれ部22の上端と下端は、それぞれ大径部21の下端と小径部23の上端に滑らかにされている。そして、くびれ部22の上端における外径は大径部21の外径D3であり、下端における外径は小径部23の外径D4である。
胴部20は、その肉厚が一定ではなく、肉厚の異なる部分を有する。そして、胴部20は、その肉厚に関して、口部11のサポートリング14の下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部25と、肉薄部25の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部26と、肉厚増加部26の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部27とを有する。なお、肉厚増加部26の上端における肉厚は肉薄部25の肉厚T1であり、下端における肉厚は所定肉厚部27の肉厚T2である。また、所定肉厚部27の下端は、小径部23の下端に対応している。
底部24は外方に湾曲した略半球状に構成されている。底部24は、小径部23の下端から中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されている。なお、底部24は、円錐形状であったり、角に丸みをもった円柱状であったり、その他の形状であっても良い。底部中央28には、プリフォーム10が射出成形によって作製される際の溶融樹脂の流入口(ゲート)において付随的に形成された固化した部分が付着する。なお、図1、及び図2は、その部分が切り取られた後の形態が示されている。ここで、肉薄部25の肉厚T1、所定肉厚部27の肉厚T2、及び底部中央28の肉厚T3の間には、T1<T3<T2という関係が成立している。
このように、胴部20には、大径部21の側から小径部23の側に向けて徐々に縮径するくびれ部22が形成されており、プリフォーム10の軽量化が図られている。また、胴部20は、最小の肉厚が均一に形成された肉薄部25をサポートリング14の直下に有しており、プリフォーム10の軽量化が図られている。更に、胴部20の底部24は、中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されおり、この構成によってもプリフォーム10の軽量化が図られている。
ここで、本実施形態に係るプリフォーム10は、胴部20の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下である特徴を有する。そして、詳細については後述するが、肉薄部25、及びくびれ部22が胴部20に対してこのように形成されることによって、射出成形機でプリフォーム10が成形される際の射出成形性が良好であるとともに、ブロー成形機でプリフォーム10がボトル状に成形される際に、サポートリング14の直下からくびれ部22にかけて適切な延伸性を有するように構成されている。なお、プリフォーム10は、射出成形性やブロー成形性だけでなく、搬送適性が加味された上での設計がなされたものである。したがって、本実施形態に係るプリフォーム10は原料から製品となるまで総合的に優れた性能を発揮するものである。
次に、本実施形態に係るプリフォーム10の製造方法の一例を詳細に説明する。図3は、プリフォーム10を製造するための射出成形装置40の一例が示された概略図である。射出成形装置40は、ホッパドライヤ41と、ホッパ42と、加熱シリンダ43と、金型44とを備える。
ホッパドライヤ41は、プリフォーム10の主原料となる例えばペレット形状の成形材料の投入口である。ホッパドライヤ41は、成形材料を乾燥した後にホッパ42に送り出すように構成される。ホッパドライヤ41は投入された成形材料を予め定められた水分率まで乾燥することができれば良く、例えば、熱風乾燥型や、除湿熱風乾燥型、減圧伝熱乾燥型であっても良い。
射出成形装置40は、ホッパ42に投入された成形材料が、加熱シリンダ43で溶融可塑化され、金型44に送り出されるように構成される。筒状の加熱シリンダ43は、外周に図示せぬヒータを備えるとともに、内部には、金型44への射出用の図示せぬスクリュを備える。加熱シリンダ43は、ヒータからの伝熱によって成形材料を例えば270℃〜300℃に加熱させるように構成される。
複数に分割されて構成される金型44には、成形品としてのプリフォーム10の形状に該当する空間部分であるキャビティ45が形成される。なお、キャビティ45は、本実施形態に係るプリフォーム10の特徴を有する形状に対応するように形成される。加熱シリンダ43から射出された成形材料がキャビティ45に注入されるように構成される。金型44には、金型44を加熱する図示せぬヒータと、金型44を冷却する図示せぬ冷却機とが設けられる。金型44は、ヒータによって加熱されたキャビティ45に溶融した成形材料が注入、及び加圧された後に冷却機によって冷却され、プリフォーム10が成形されるように構成される。
このような射出成形装置40が用いられてプリフォーム10が製造される。まず、射出成形装置40のホッパドライヤ41で乾燥された上でホッパ42に投入されたPET樹脂が加熱シリンダ43で溶融可塑化されて、金型44に射出される。PET樹脂が、加熱シリンダ43から金型44のキャビティ45に射出、及び加圧された後に冷却機によって冷却されることによってプリフォーム10が成形される。
なお、成形されたプリフォーム10は、箱積み、いわゆるパレタイジングされて倉庫等でいったん保管されても良く、そのまま、引き続き、次の工程へと進められても良い。すなわち、プリフォーム10の成形と、ブロー成形とが別の場所や装置で行われる、いわゆるコールドパリソン方式(2ステージ方式)であっても良く、プリフォーム10の成形と、ブロー成形とが同じの場所や装置で行われる、いわゆるホットパリソン方式(1ステージ方式)であっても良い。更に、プリフォーム10の成形から内容物の充填等に至るまでの製造工程がインラインで連続的なものであっても良い。
次に、本実施形態に係るプリフォーム10からボトル状に成形する方法の一例を詳細に説明する。プリフォーム10がボトル状に成形されるにあたってまず、プリフォーム10の加熱が行われる。図4は、プリフォーム10の加熱装置50の一例が示された断面図である。なお、図4は、プリフォーム10の搬送方向に対して垂直方向の断面を示す。
加熱装置50は、搬送装置51と、ヒータ52とを備える。搬送装置51は、プリフォーム10を周方向に均等に加熱するために、プリフォーム10の軸を中心に回転させながら搬送するように構成される。ヒータ52は、複数の例えばハロゲンランプによって構成され、ブロー成形に適した温度例えば80℃〜140℃にプリフォーム10を加熱するように構成されている。更に、加熱装置50は、ヒータ52からの熱をプリフォーム10に反射させるための反射板53や、ヒータ52からの熱を加熱装置50の外方へ逃がさないようにするための遮蔽部材54等を備えていても良い。なお、図4の加熱装置50では、プリフォーム10は口部11が下側を向いた状態で搬送、及び加熱されている。
ここで、本実施形態に係るプリフォーム10の胴部20は、サポートリング14の下端に連設された大径部21と、大径部21に連設され、底部24の側へ向けて縮径するくびれ部22と、くびれ部22に連設された小径部23とを有する。つまり、ヒータ52と胴部20の位置関係は、大径部21が最も近く、くびれ部22の大径部21の側から小径部23の側に向けて徐々に遠くなり、小径部23が最も遠くなるように構成されている。したがって、ヒータ52との位置関係が近い大径部21が温まりやすく、延伸されやすい。一方で、大径部21と比較して、くびれ部22は、底部24の側(図4では上方)に向けて徐々に温まりにくくなるので、底部24の側に向けて徐々に延伸されにくくなる。
また、胴部20は、サポートリング14の下端から底部24の側(図4では上方)に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部25と、肉薄部25から底部24の側に向けて肉厚が徐々に厚くなるように形成された肉厚増加部26と、肉厚増加部26から底部24の側に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部27とを有する。つまり、胴部20は、最小の肉厚である肉薄部25が温まりやすく、延伸されやすい。一方で、肉薄部25と比較して、肉厚増加部26は、底部24の側に向けて徐々に温まりにくくなるので、底部24の側に向けて徐々に延伸されにくくなる。
そして、プリフォーム10は、胴部20の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下である。つまり、プリフォーム10は、胴部20の全長L2が所定の範囲内であって、肉薄部25とくびれ部22を有することで軽量化が図られるとともに、大径部21及び肉薄部25に対応する延伸されやすい易延伸領域がサポートリング14の直下から底部24の側に向かって所定の範囲に形成されている。また、プリフォーム10は、くびれ部22及び肉厚増加部26に対応する領域であり、易延伸領域の下端から底部24の側に向かって徐々に延伸しにくくなる領域が形成されている。そして、ブロー成形機でプリフォーム10がボトル状に成形される際に、サポートリング14の直下からくびれ部22における樹脂が効果的に延伸されるような設計となっている。
加熱されたプリフォーム10は次に、ブロー成形機によって、プラスチックボトル例えばPETボトル100に成形される。図5は、プリフォーム10と、ブロー成形後のPETボトル100とが模式的に示された断面図である。ブロー成形機の一例としての二軸延伸ブロー成形装置60は、金型61と、延伸ロッド62と、図示せぬ高圧エア供給装置と、これらを制御する図示せぬ制御装置とを備える。なお、図5には、下向きのブロー成形方法が例示されているものの、材料が重力の影響を受けにくい上向きのブロー成形方法が用いられても良い。
金型61は、形成されるPETボトル100に対応した形状を有している。金型61は、例えば、胴部130に対応して半割りで構成される胴金型61aと、底部140に対応した底金型61bとを有する。金型61の表面の温度は、PETボトル100の用途、特に耐熱性に応じて適宜設定されるものであり、例えば、胴金型61aの表面の温度は20℃〜130℃、底金型61bの表面の温度は5℃〜30℃に制御されるように構成されている。
延伸ロッド62は金型61内を伸縮自在に構成される。そして、延伸ロッド62は、金型61に口部11が取り付けられたプリフォーム10の胴部20、及び底部24を縦(軸)方向に延伸するように構成される。高圧エア供給装置からは、温度調節された高圧エアAが吹き出されるように構成される。高圧エアAは、金型61に取り付けられたプリフォーム10の内部に供給されれば良く、延伸ロッド62から吹き出されても良く、延伸ロッド62とは別の部材から吹き出されても構わない。高圧エアAは、プリフォーム10の胴部20を横(径)方向に延伸するとともに、延伸の後に、胴部20の表面温度を下げるように構成される。
加熱されたプリフォーム10は、二軸延伸ブロー成形装置60の金型61に装着される。その後には、金型61に装着されたプリフォーム10の胴部20、及び底部24が延伸ロッド62によって縦方向に延伸される。この際のプリフォーム10からPETボトル100への縦延伸倍率は1.3倍以上、3.6倍以下であることが好ましい。
ここで、縦延伸倍率とは、プリフォーム10の胴部20の上端から底部24の下端までの長さL2(図1参照)に対するPETボトル100の首部110の上端から底部140の下端までの長さL3(図5、及び図6参照)の比である。なお、サポートリング14の下面から底部140の下端の底壁141までの距離が長さL3である。非晶部と、結晶部との集合体であるアモルファス構造を有するプリフォーム10の分子は延伸によって配向結晶化がおこり、その結果として、PETボトル100の強度や、剛性、及び耐熱性等が上がる。縦延伸倍率が1.3倍未満の場合にはPETボトル100(プリフォーム10)の分子の配向性が上がらず、一方で、縦延伸倍率が3.6倍以上の場合にはPETボトル100が成形しにくくなる。
更に、縦方向に延伸されたプリフォーム10の胴部20が高圧エアAによって横方向に、金型61に当たるまで延伸される。この際のプリフォーム10からPETボトル100への横延伸倍率は2.0倍以上、4.1倍以下であることが好ましい。
ここで、横延伸倍率とは、プリフォーム10の胴部20の小径部23における外径D4(図1、及図2参照)に対するPETボトル100の胴部130における外径D5の比である。プリフォーム10の分子は横方向の延伸によっても同様に配向結晶化がおこり、その結果として、PETボトル100の強度や、剛性、耐熱性等が上がる。横延伸倍率が2.0未満の場合にはPETボトル100(プリフォーム10)の分子の配向性が上がらず、一方で、横延伸倍率が4.1以上の場合にはPETボトル100が成形しにくくなる。
このように、二軸延伸ブロー成形装置60による成形が、縦方向の延伸倍率が1.3倍以上、3.6倍以下、横方向の延伸倍率が2.0倍以上、4.1倍以下の二軸延伸ブロー成形である構成によれば、プリフォーム10からより良好なブロー成形性で軽量化されたPETボトル100を成形することができる。
ここで、PETボトル100の首部110から肩部120は、おおよそプリフォーム10のサポートリング14の直下からくびれ部22における樹脂が縦方向及び横方向に延伸されて形成される。また、上述したように、プリフォーム10は、大径部21及び肉薄部25に対応する所定の範囲に規定された易延伸領域がサポートリング14の直下に形成されている。したがって、プリフォーム10は、縦方向に延伸される際に、この易延伸領域である大径部21及び肉薄部25に対応する樹脂が効果的に延伸されるので、PETボトルの肩部120に十分な樹脂を行き渡らせることができ、プリフォーム10から良好なブロー成形性で軽量化されたPETボトル100を成形することができる。
なお、プリフォーム10の胴部20の全長L2は、42mm以上、65mm以下である。上述したようにプリフォーム10の重量は17g以下であるため、胴部20の全長L2が65mmより大であると、所定肉厚部27の肉厚T2が薄くなり過ぎ、ブロー成形性が低下して好ましくない。一方で、全長L2が42mmより小であると、プリフォーム10の重心が口部11の側により過ぎる。詳細な説明は省略するが、プリフォーム10は、口部11が上方を向いた図1の状態で、口部11のカブラ15の下の部分やサポートリング14の下の部分を把持する把持装置によって搬送される場合がある。このような把持装置を用いて搬送する場合、プリフォーム10の重心が口部11の側により過ぎると、プリフォーム10がふらつきやすくなり、横倒しして詰まる場合がある。したがって、全長L2が42mmより小であると、搬送適性が低下して好ましくない。また、全長L2が42mmより小であると、良好なブロー成形が可能なPETボトル100の首部110の上端から底部140の下端までの長さL3が短くなり、プリフォーム10の汎用性が低下して好ましくない。
また、大径部21及び肉薄部25に対応する易延伸領域の範囲は、上述したように、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であることによって規定される。また、大径部21の範囲と肉薄部25の範囲とのバランスよって、易延伸領域の下部からくびれ部22及び肉厚増加部26の上部における延伸が適切となるように設計されている。
なお、比L4/L2が0.02より小であると、肉薄部25の範囲が狭くなり、PETボトル100(プリフォーム10)の軽量化の効果が発揮されにくくなる。また、易延伸領域の範囲が狭くなり、PETボトル100の肩部120が厚肉になるとともに、PETボトル100の底部140に十分な樹脂が行き渡らなくなって底部140が薄肉になる。したがって、PETボトル100のブロー成形性が低下して好ましくない。一方で、比L4/L2が0.25より大であると、プリフォーム10を射出成形する際のキャビティ45において、狭い流路空間となる肉薄部25に対応する部位が長くなる。したがって、ゲートからの樹脂の流れがキャビティ45の肉薄部25に対応する部位で悪くなり、ショートモールドやウェルド等の成形不良が生じやすく、射出成形性が低下して好ましくない。また、比L6/L2が0.02より小であると、易延伸領域としての大径部21の範囲が狭くなり、PETボトル100の肩部120が厚肉になるとともに、PETボトル100の底部140に十分な樹脂が行き渡らなくなって底部140が薄肉になる。したがって、PETボトル100のブロー成形性が低下して好ましくない。一方で、比L6/L2が0.20より大であると、易延伸領域としての大径部21の範囲が広くなり、大径部21が延伸されすぎてPETボトル100の肩部120が薄肉になる。したがって、PETボトル100のブロー成形性が低下して好ましくない。また、くびれ部22及び小径部23の範囲が狭くなり、PETボトル100(プリフォーム10)の軽量化の効果が発揮されにくくなる。また、鉛直方向に対するくびれ部22の傾きが大きくなり、プリフォーム10の射出成形の際に、ゲートからの樹脂の流れがキャビティ45のくびれ部22に対応する部位で悪くなり、射出成形性が低下して好ましくない。
なお、プリフォーム10の射出成形性やプリフォーム10から軽量化されたPETボトル100を成形する際のブロー成形性を良好にするという観点から、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の下端までの距離L7の比L7/L2が0.10以上、0.40以下であることが好ましい。比L7/L2が0.10より小であると、鉛直方向に対するくびれ部22の傾きが大きくなり、プリフォーム10の射出成形の際に、ゲートからの樹脂の流れがキャビティ45のくびれ部22に対応する部位で悪くなり、射出成形性が低下して好ましくない。また、くびれ部22が横方向に延伸しにくくなり、ブロー成形性が低下して好ましくない。一方で、比L7/L2が0.40より大であると、小径部23の範囲が狭くなり、PETボトル100(プリフォーム10)の軽量化の効果が発揮されにくくなる。
また、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉厚増加部26の下端までの距離L5の比L5/L2は、0.10以上、0.32以下であることが好ましい。比L5/L2が0.10より小であると、肉厚増加部26の範囲が狭くなるので肉厚増加部26における肉厚の変化が局所的となり、ブロー成形性が低下して好ましくない。一方で、比L5/L2が0.32より大であると、所定肉厚部27の範囲が狭くなり、ブロー成形する際に、PETボトル100の胴部130の肉厚に偏りが生じやすくなる。
また、所定肉厚部27の肉厚T2に対する肉薄部25の肉厚T1の比T1/T2は、0.60以上、0.85以下であることが好ましい。比T1/T2が0.6より小であると、ブロー成形する際に、肉薄部25が効果的に延伸されず、PETボトル100の肩部120が厚肉になるとともに、PETボトル100の底部140が薄肉となり、ブロー成形性が低下して好ましくない。また、プリフォーム10の射出成形の際に、ゲートからの樹脂の流れがキャビティ45の肉薄部25に対応する部位で悪くなり、射出成形性が低下して好ましくない。また、PETボトル100の首部110の肉厚が薄くなり、首部110に十分な強度を付与しにくくなる。一方で、比T1/T2が0.6より大であると、PETボトル100(プリフォーム10)の軽量化の効果が発揮されにくくなる。また、易延伸領域としての肉薄部25が効果的に延伸されず、PETボトル100の肩部120や底部140の肉厚に偏りが生じやすくなる。
また、肉薄部25の肉厚T1に対する底部中央28の肉厚T3の比T3/T1は、1.01以上、1.30以下であることが好ましい。比T3/T1が1.01より小であると、ブロー成形する際に、底部中央28が効果的に延伸されず、PETボトル100の肩部120が薄肉になるとともに、PETボトル100の底部140が厚肉となり、ブロー成形性が低下して好ましくない。また、プリフォーム10の射出成形の際に、ゲートからの樹脂の流れがキャビティ45の底部中央28に対応する部位で悪くなり、射出成形性が低下して好ましくない。一方で、比T3/T1が1.30より大であると、ブロー成形する際に、底部中央28が効果的に延伸されず、PETボトル100の肩部120や底部140の肉厚に偏りが生じやすくなる。また、PETボトル100(プリフォーム10)の軽量化の効果が発揮されにくくなる。
また、大径部21の外径D3に対する小径部23の外径D4の比D4/D3は、0.60以上、0.90以下であることが好ましい。比D4/D3が0.60より小であると
鉛直方向に対するくびれ部22の傾きが大きくなり、プリフォーム10の射出成形の際に、ゲートからの樹脂の流れがキャビティ45のくびれ部22に対応する部位で悪くなり、射出成形性が低下して好ましくない。また、くびれ部22が横方向に延伸しにくくなり、ブロー成形性が低下して好ましくない。一方で、比D4/D3が0.90より大であると、PETボトル100(プリフォーム10)の軽量化の効果が発揮されにくくなる。
また、肉薄部25の下端はくびれ部22内の上端部近傍に位置し、肉厚増加部26の下端はくびれ部22内の下端部近傍に位置していることが好ましい。このような構成にすることで、肉薄部25と肉厚増加部26との接合部、及び肉厚増加部26と所定肉厚部27との接合部において、胴部20の延伸性が急激に変化することがなく、プリフォーム10から軽量化されたPETボトル100を成形する際のブロー成形性を良好にすることができる。しかしながら、くびれ部22に対する、肉薄部25、及び肉厚増加部26の配置は上述の構成に限定されるものではなく、PETボトル100の形態や重量等に応じて適宜設計でき、例えば、肉薄部25の下端は大径部21内に位置していても良く、肉厚増加部26の下端は、小径部23内に位置していても良い。また、所定肉厚部27の下端は、底部24内に位置していても良い。また、底部24は肉厚が均一になるように形成されていても良く、底部24の上端よりも下方の位置から中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されていても良い。しかしながら、PETボトル100(プリフォーム10)を効果的に軽量化する観点から、底部24は、小径部23の下端から中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係るPETボトル100の製造方法は、胴部20は、大径部21、くびれ部22、小径部23、底部24を有し、更にその肉厚に関して、最小の肉厚が均一に形成された肉薄部25と、肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部26、肉厚が均一に形成された所定肉厚部27とを有し、胴部20の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下であるプリフォーム10を射出成形装置40で製造する工程と、プリフォーム10を二軸延伸ブロー成形装置60でボトル状に成形する工程とを備える。そして、この製造方法によって、プリフォーム10から良好なブロー成形性で軽量化されたPETボトル100を製造することができる。そして、その際に、特殊な製法を用いる必要がない。
なお、PETボトル100の胴部130の成形後の肉厚T4が0.05mm以上、0.18mm以下であることが好ましい。胴部130の厚さがこの範囲であれば、プリフォーム10からより良好なブロー成形性で軽量化されたPETボトル100を成形することができる。
更に、プリフォーム10の内で、大径部21の下部、及びくびれ部22が、PETボトル100の内で、水平方向に対して傾斜を有する肩部120を形成するように成形されることが好ましい。このように成形されることによって、プリフォーム10からより良好なブロー成形性で軽量化されたPETボトル100を成形することができる。
なお、本実施形態においては、成形されるPETボトル100の用途が限定されない。したがって、PETボトル100は、耐圧性や耐熱性等を有するように成形されても良い。更に、PETボトル100への内容物の充填方法についても限定されない。したがって、PETボトル100は、ホット充填に用いられても、アセプティック充填に用いられても良い。
以上のように、本実施形態に係るPETボトル100はプリフォーム10が、二軸延伸ブロー成形装置60でボトル状に成形される。そして、二軸延伸ブロー成形装置60が用いられることによって効果的に、本実施形態に係るプリフォーム10から良好なブロー成形性で軽量化されたPETボトル100を成形することができる。
次に、本実施形態に係るプリフォーム10から形成されるPETボトル100の構成を詳細に説明する。図6は、本実施形態に係るプリフォーム10から形成されたPETボトル100が示された正面図である。図6に例示されたPETボトル100は水平方向の断面視が略正方形の角ボトルである。上述されたように、PETボトル100は、口部11と、首部110と、肩部120と、胴部130と、底部140とを有する。そして、上述されたように、PETボトル100の口部11の構成はプリフォーム10の口部11の構成と同様である。
首部110はその上側が口部11のサポートリング14の下面に連なり、一方で、その下側が肩部120に連なる。首部110は、円筒形状を有する。
肩部120は、その上側が首部110に連なり、一方で、その下側が胴部130に連なる。肩部120は、上方から下方に向かって拡径する略四角錐台の形状を有する。
胴部130は、互いに同一の形状からなる4つの壁部131が周(水平)方向に連接して、全体として略正四角筒の形状を有している。壁部131の各々は、圧力吸収パネル132や、複数の横溝133、縦溝134等を有している。凹凸形状の圧力吸収パネル132は、PETボトル100の内部の圧力が特に、減圧側に変化した際に、自身が変形することによって圧力変化を吸収するとともに、PETボトル100の特に、水平方向の荷重に耐える強度である側壁強度を保持する機能を有する。横溝133も、胴部130の側壁強度を保持する機能を有する。一方で、縦溝134は、胴部130の上下方向の荷重に耐える強度である座屈強度を向上させる機能を有する。
底部140はその上側が、胴部130の下側に連なる。底部140は、底壁141や、ドーム142等を有している。略平板環状の底壁141は、胴部130に対して垂直方向に延び、PETボトル100の接地面となる。ドーム142は、底壁141の内周において底壁141から、PETボトル100の内方(上方)へ突出するように構成され、底部140の強度を向上させる機能を有する。なお、底部140の構成は、図6の例示に限らず、内容物に対応した形状、例えば放射状にリブが設けられた形状や、いわゆるペタロイド形状であっても良い。
PETボトル100の特にサポートリング14より下の形状は、図6の例示に限らず、プリフォーム10がブロー成形されることによって形成されるものであればどのような形状であっても良い。例えば、本実施形態においては、図6に示された角ボトルを好適に形成することができる。しかしながら、本実施形態において形成されるプラスチックボトルは角ボトルには限定されず、丸ボトルであっても良い。更に、胴部130の幅が下方に向けて拡開する形状であっても良い。そして、胴部130に形成される圧力吸収パネル132や、横溝133、縦溝134の形状についても自由に設計することができる。
図7は、本実施形態に係るプリフォーム10から形成された別のPETボトル200が示された正面図である。上述された角ボトルのPETボトル100と同様に、PETボトル200は、口部11と、首部210、肩部220と、胴部230と、底部240とを有する。本実施形態においては、図7に示された丸ボトルも好適に形成することができる。
なお、このようにして成形されたPETボトル100、及びPETボトル200(以下では、単にPETボトル100と称す)と、このPETボトル100に充填される内容物と、内容物の充填されたPETボトル100を密閉するキャップとによって充填体が構成される。
本実施形態に係るPETボトル100にはサイズによる限定はなく、種々のサイズに対して適用することができる。例えば、PETボトル100の容積が100ml〜2000mlであっても良く、特に、容積が200ml〜600mlであるPETボトル100に対して好適である。とりわけ、PETボトル100の全高が100mm〜250mmであり、胴部130の外径D5が40mm〜80mmであることが好ましく、本実施形態に係るPETボトル100の奏する効果を好適に得ることができる。
上述においては、本実施形態に係るプリフォーム10に特に好適な材料としてPETが用いられた例が示された。しかしながら、本実施形態においては、ブロー成形に対する適性を有する材料であれば良い。したがって、本実施形態に係るPETボトル100の材料としては熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。
PETボトル100を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタラート以外にも例えば、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、又はこれらの共重合体等の熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂、あるいは他の樹脂とのブレンド物が好適であり、特に、ポリエチレンテレフタラート等のエチレンテレフタラート系熱可塑性ポリエステルを好適に使用することができる。更に、アクリロニトリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等も使用することができる。更に、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えば、ポリ乳酸(PLA:PolyLactic Acid)を用いることも可能である。
上述された樹脂には、成形品の品質を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、核剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を配合することができる。なお、PETボトル100は、過酸化水素、過酢酸を添加して無菌化させることが好ましい。
PETボトル100を構成するエチレンテレフタラート系熱可塑性樹脂として、エステル反復部分の大部分、一般に70モル%以上をエチレンテレフタラート単位が占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50〜90℃であり、融点(Tm)が200〜275℃の範囲にあるものが好適である。また、エチレンテレフタラート系熱可塑性ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタラートが耐圧性等の点で特に優れているものの、エチレンテレフタラート単位以外に、イソフタル酸や、ナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸と、プロピレングリコール等のジオールからなるエステル単位を少量含む共重合ポリエステルも使用することができる。
更に、PETボトル100は、二層以上の熱可塑性ポリエステル層により構成することもできる。更に、PETボトル100は、二層以上の熱可塑性ポリエステル層により構成する場合には、層間にバリア層や、酸素吸収層等の中間層を備えることができる。酸素吸収層としては、酸化可能有機成分、及び遷移金属触媒の組み合わせ、あるいは実質的に酸化しないガスバリア性樹脂等を含む層を使用することができる。
本実施形態に係るプリフォーム10は、プラスチック、特に、PETである構成によれば、適度な強度と、塑性変形性を併せ持ち、汎用性の高い材料で効果的に成形することができる。そして、プラスチック、特にPETは、PETボトル100としての成形が容易であり、PETボトル100は、汎用性の高い装置で製造することができる。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係るプリフォーム10は、下端にサポートリング14を有する口部11と、サポートリング14の下端に連設された胴部20とを備える有底筒状であり、胴部20は、サポートリング14の下端に連設された大径部21と、大径部21の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部22と、くびれ部22の下端に連設された小径部23と、小径部23の下端に連設された底部24とを有し、胴部20は、肉厚の異なる部分を有し、サポートリング14の下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部25と、肉薄部25の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部26と、肉厚増加部26の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部27とを有し、胴部20の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下であるように構成されている。そして、本実施形態に係る構成によれば、プリフォーム10から二軸延伸ブロー成形装置60で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性を良好にすることができる。
以下に、実施例を示して、本開示を更に詳細、かつ具体的に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料、及び方法>
[実施例1]
射出成形装置40が用いられ、図1、及び図2に示される本実施形態に係るプリフォーム10が作製された。すなわち、プリフォーム10は、下端にサポートリング14を有する口部11と、サポートリング14の下端に連設された胴部20とを備える有底筒状であり、胴部20は、大径部21と、下方へ向けて縮径するくびれ部22と、小径部23と、底部24とを有する。更に、プリフォーム10は、胴部20が、肉厚の異なる部分を有し、サポートリング14の下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部25と、肉薄部25の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部26と、肉厚増加部26の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部27とを有し、胴部20の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.02以上、0.25以下であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下である特徴を有する。プリフォーム10は、ポリエチレンテレフタラート製であり、重量が17gであった。また、プリフォーム10は、肉薄部25の肉厚T1が2.0mm、所定肉厚部27の肉厚T2が2.7mm、底部中央28の肉厚T3が2.2mm、胴部20の全長L2が59mm、サポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4が5.0mm、サポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6が5.0mm、大径部21の外径D3が26mm、小径部23の外径D4が17mmであった。そして、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.08であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.08であった。なお、射出成形時に賦形不良が発生することはなかった。加熱装置50、及び二軸延伸ブロー成形装置60が用いられ、このプリフォーム10がブロー成形されることによって図6に示されるPETボトル100が作製された。作製されるPETボトル100の容量は500mlとされた。なお、ブロー成形時に賦形不良が発生することはなかった。
[比較例1]
射出成形装置40が用いられ、図1、及び図2に示されるプリフォーム10において、胴部20の大径部21、くびれ部22、及び小径部23の肉厚がどの部位でも略同一である比較例1としてのプリフォームが作製された。すなわち、比較例1のプリフォームは、図1、及び図2に示されるプリフォーム10における、肉薄部25と、肉厚増加部26とを有していない。なお、底部24は、小径部23の下端から中央にかけて徐々に肉厚が薄くなっている。この比較例1のプリフォームは、ポリエチレンテレフタラート製であり、重量が19gであった。また、比較例1のプリフォームは、大径部21、くびれ部22、小径部23の肉厚が2.7mm、底部中央28の肉厚T3が2.2mm、胴部20の全長L2が59mm、サポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6が5.0mm、大径部21の外径D3が26mm、小径部23の外径D4が17mmであった。なお、射出成形時に賦形不良が発生することはなかった。加熱装置50、及び二軸延伸ブロー成形装置60が用いられ、比較例1のプリフォームがブロー成形されることによってPETボトル100の形状のボトルが作製された。作製されるPETボトルの容量は500mlとされた。なお、ブロー成形時に底部が薄肉となることによって白化が生じる賦形不良が発生した。
[比較例2]
射出成形装置40が用いられ、比較例1におけるプリフォームにおいて、小径部23の外径D4が小さい比較例2としてのプリフォームが作製された。比較例2のプリフォームは、重量が17g、大径部21、くびれ部22、小径部23の肉厚が2.7mm、底部中央28の肉厚T3が2.2mm、胴部20の全長L2が59mm、サポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6が5.0mm、大径部21の外径D3が26mm、小径部23の外径D4が13mmであった。なお、射出成形時に口部11にウェルドが生じる成形不良が発生した。
[比較例3]
射出成形装置40が用いられ、図8に示される、口部311と、胴部320とを備えた構成のプリフォーム310が比較例3として作製された。ここで、図8は、図2と同様のプリフォーム310の断面図である。比較例3のプリフォーム310は、図1、及び図2に示されるプリフォーム10における、くびれ部22を有していない構成であり、胴部320はその外径が寸胴に形成され、口部311は、プリフォーム10の口部11と同様の構成である。その一方で、比較例3のプリフォーム310の胴部320は、プリフォーム10と同様に肉厚の異なる部分を有し、口部311のサポートリング314の下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部325と、肉薄部325の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部326と、肉厚増加部326の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部327とを有する。また、底部324は、その上端から中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されている。
比較例3のプリフォーム310は、ポリエチレンテレフタラート製であり、重量が20gであった。また、比較例3のプリフォーム310は、肉薄部325の肉厚T31が2.0mm、所定肉厚部327の肉厚T32が2.7mm、底部中央328の肉厚T33が2.2mm、胴部320の全長L32が59mm、サポートリング314の直下から肉薄部325の下端までの距離L34が3.0mm、胴部320の外径D33が26mmであった。なお、射出成形時に賦形不良が発生することはなかった。加熱装置50、及び二軸延伸ブロー成形装置60が用いられ、比較例3のプリフォーム310がブロー成形されることによってPETボトル100の形状のボトルが作製された。作製されるPETボトルの容量は500mlとされた。なお、ブロー成形時に底部が薄肉となることによって白化が生じる賦形不良が発生した。
[比較例4]
射出成形装置40が用いられ、比較例3におけるプリフォーム310において、サポートリング314の直下から肉薄部325の下端までの距離L34が長い比較例4としてのプリフォームが作製された。比較例4のプリフォームは、重量が17g、肉薄部325の肉厚T31が2.0mm、所定肉厚部327の肉厚T32が2.7mm、底部中央328の肉厚T33が2.2mm、胴部320の全長L32が59mm、サポートリング314の直下から肉薄部325の下端までの距離L34が24mm、胴部320の外径D33が26mmであった。なお、射出成形時に口部311にウェルドが生じる成形不良が発生した。
[比較例5]
射出成形装置40が用いられ、図1、及び図2に示されるプリフォーム10において、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4の比L4/L2が0.01であり、胴部20の全長L2に対するサポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6の比L6/L2が0.3である比較例5としてのプリフォームが作製された。比較例5のプリフォームは、重量が17g、肉薄部25の肉厚T1が2.0mm、所定肉厚部27の肉厚T2が2.7mm、底部中央28の肉厚T3が2.2mm、胴部20の全長L2が59mm、サポートリング14の直下から肉薄部25の下端までの距離L4が0.6mm、サポートリング14の直下からくびれ部22の上端までの距離L6が17.7mm、大径部21の外径D3が26mm、小径部23の外径D4が17mmであった。なお、射出成形時に賦形不良が発生することはなかった。加熱装置50、及び二軸延伸ブロー成形装置60が用いられ、比較例5のプリフォームがブロー成形されることによってPETボトル100の形状のボトルが作製された。作製されるPETボトルの容量は500mlとされた。なお、ブロー成形時に底部が薄肉となることによって白化が生じる賦形不良が発生した。
<結果>
(軽量化評価)
実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、及び比較例5のそれぞれのプリフォーム10、及び310の各々について軽量化の評価がなされた。表1には、各プリフォーム10、及び310の軽量化の評価の結果が示され、○:17g以下、×:17gより大、で表記されている。
(射出成形評価)
実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、及び比較例5のそれぞれのプリフォーム10、及び310の各々について射出成形性の評価がなされた。表1には、射出成形によって作製された各プリフォーム10、及び310の目視による成形評価の結果が示され、○:賦形不良なし、×:賦形不良発生、で表記されている。
(ブロー成形評価)
射出成型時に賦形不良が発生しなかった実施例1、比較例1、比較例3、及び比較例5のそれぞれのプリフォーム10、及び310の各々についてブロー成形性の評価がなされた。表1には、各プリフォーム10、及び210からブロー成形によって作製されたボトルの目視による成形評価の結果が示され、○:賦形不良なし、×:賦形不良発生、−:未実施、で表記されている。
(総合評価)
上述された軽量化評価、射出成形評価、ブロー成形評価に基づいて、実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、及び比較例5のそれぞれのプリフォーム10、及び310の総合評価がなされた。表1には、総合評価の結果が示されている。総合評価は、○:良好、×:適性なし、で表記されている。
Figure 2017007264
上述された実施例から以下の点が導き出された。表1に示されたように、実施例1は、軽量化が実現されており、射出成形性、及びブロー成形性が良好であった。比較例1は、射出成形性を有していたものの、軽量化が実現されておらず、また、ブロー成形時にPETボトルの底部に賦形不良が発生した。比較例2は、軽量化実現のために小径部の重量を極度に減らした、つまり、小径部の外径を極度に小さくしたので、射出成形時に成形不良が発生した。比較例3は、射出成形性を有していたものの、軽量化が実現されておらず、また、ブロー成形時にPETボトルの底部に賦形不良が発生した。比較例4は、軽量化実現のために胴部の重量を極度に減らした、つまり、肉薄部の範囲を極度に広くしたので、射出成形時に成形不良が発生した。比較例5は、胴部の全長に対して大径部の範囲が適切ではなく、ブロー成形時にPETボトルの底部に賦形不良が発生した。
以上の実施例の結果から、本実施形態に係るプリフォーム10は、良好な射出成形性を有するとともに、ブロー成形機で軽量化ボトルが成形される際のブロー成形性が良好であるあることが示された。
本開示は、内容物として液体が充填される種々の容器に好適に利用することができる。しかしながら、本開示は、上述された実施形態に限定されるものではない。本開示の容器は、内容物に、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、果汁、清涼飲料等の各種非炭酸飲料や、炭酸飲料、あるいはしょうゆ、ソース、みりん等の調味料、食用油、酒類を含む食品等、洗剤、シャンプー、化粧品、医薬品、その他を収容した、あらゆる容器に有用であり、容器の形状が限定されないので自動販売機等による販売にも適している。更に、内容物として液体に限らず粉体が充填される容器にも利用することができる。
10 プリフォーム
11 口部
20 胴部
21 大径部
22 くびれ部
23 小径部
24 底部
25 肉薄部
26 肉厚増加部
27 所定肉厚部
28 底部中央
100、200 PETボトル(プラスチックボトル)
D3 大径部の外径
D4 小径部の外径
L2 胴部の全長
L4 サポートリングの直下から肉薄部の下端までの距離
L5 サポートリングの直下から肉厚増加部の下端までの距離
L6 サポートリングの直下からくびれ部の上端までの距離
L7 サポートリングの直下からくびれ部の下端までの距離
T1 肉薄部の肉厚
T2 所定肉厚部の肉厚
T3 底部中央の肉厚

Claims (14)

  1. 下端にサポートリングを有する口部と、前記サポートリングの下端に連設された胴部とを備える有底筒状のプリフォームにおいて、
    前記胴部は、
    前記サポートリングの下端に連設された大径部と、
    前記大径部の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部と、
    前記くびれ部の下端に連設された小径部と、
    前記小径部の下端に連設された底部とを有し、
    前記胴部は、肉厚の異なる部分を有し、
    前記サポートリングの下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部と、
    前記肉薄部の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部と、
    前記肉厚増加部の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部とを有し、
    前記胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、
    前記胴部の全長に対する前記サポートリングの直下から前記肉薄部の下端までの距離の比が0.02以上、0.25以下であり、
    前記胴部の全長に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の上端までの距離の比が0.02以上、0.20以下であり、
    重量が17g以下であることを特徴とするプリフォーム。
  2. 前記胴部の全長に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の下端までの距離の比が0.10以上、0.40以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載のプリフォーム。
  3. 前記胴部の全長に対する前記サポートリングの直下から前記肉厚増加部の下端までの距離の比が0.10以上、0.32以下であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載のプリフォーム。
  4. 前記所定肉厚部の肉厚に対する前記肉薄部の肉厚の比が、0.60以上、0.85以下であることを特徴とする、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリフォーム。
  5. 前記大径部の外径に対する前記小径部の外径の比が、0.60以上、0.90以下であることを特徴とする、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリフォーム。
  6. 前記底部は、前記小径部の下端から前記底部の中央にかけて徐々に肉厚が薄くなるように形成されることを特徴とする、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリフォーム。
  7. 前記肉薄部の肉厚に対する前記底部中央の肉厚の比が、1.01以上、1.30以下であることを特徴とする、
    請求項6に記載のプリフォーム。
  8. 前記肉薄部の下端は、前記くびれ部内に位置することを特徴とする、
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプリフォーム。
  9. 前記肉厚増加部の下端は、前記くびれ部内に位置することを特徴とする、
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプリフォーム。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプリフォームがブロー成形機でボトル状に形成されることを特徴とする、プラスチックボトル。
  11. 前記ブロー成形機による成形が、縦方向の延伸倍率が1.3倍以上、3.6倍以下、横方向の延伸倍率が2.0倍以上、4.1倍以下の二軸延伸ブロー成形であることを特徴とする、
    請求項10に記載のプラスチックボトル。
  12. 前記胴部の成形後の厚さが0.05mm以上、0.18mm以下であることを特徴とする、
    請求項10または11に記載のプラスチックボトル。
  13. 前記大径部の下部、及び前記くびれ部が、水平方向に対して傾斜を有する肩部を形成することを特徴とする、
    請求項10乃至12のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
  14. 下端にサポートリングを有する口部と、前記サポートリングの下端に連設された胴部とを備え、前記胴部は、前記サポートリングの下端に連設された大径部と、前記大径部の下端に連設され、下方へ向けて縮径するくびれ部と、前記くびれ部の下端に連設された小径部と、前記小径部の下端に連設された底部とを有し、前記胴部は、肉厚の異なる部分を有し、前記サポートリングの下端から下方に向けて最小の肉厚が均一に形成された肉薄部と、前記肉薄部の下端から下方に向けて肉厚が徐々に厚くなるよう形成された肉厚増加部と、前記肉厚増加部の下端から下方に向けて肉厚が均一に形成された所定肉厚部とを有し、前記胴部の全長L2が42mm以上、65mm以下であり、前記胴部の全長に対する前記サポートリングの直下から前記肉薄部の下端までの距離の比が0.02以上、0.25以下であり、前記胴部の全長に対する前記サポートリングの直下から前記くびれ部の上端までの距離の比が0.02以上、0.20以下であり、重量が17g以下であるプリフォームを射出成形機で製造する工程と、
    前記プリフォームをブロー成形機でボトル状に成形する工程とを備えることを特徴とする、プラスチックボトルの製造方法。

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