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JP2016208890A - アワビの養殖方法とそのシステム - Google Patents

アワビの養殖方法とそのシステム Download PDF

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俊之 久原
Toshiyuki Kuhara
俊之 久原
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Abstract

【課題】アワビに必要な甲殻形成に必要な珪藻を摂取でき、飼育水の交換頻度を低くでき、飼育水内の二酸化炭素、硝酸態窒素等を低くする養殖システムの提供。
【解決手段】アワビの養殖システムは、アワビを養殖する水槽である飼育槽2、飼育水中の固形物をサイクロンで分離する固形異物回収装置2、サイクロン型汚物収集装置4,飼育水に薬液、酸素、空気等を吹き込む活性化装置5、緑藻類により、飼育水中の成分を光合成により吸収して栽培する藻類栽培装置7、地中熱で飼育水を加温、冷却する熱交換パイプ9、微生物で有機物を分解する微生物濾過槽1等からなる。飼育水中に、アワビの甲殻の生育に重要な珪藻を繁茂させるためにケイ酸カリ又はケイ酸ナトリウム水溶液等をキャビテーション作用により混合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アワビの養殖方法とそのシステムに関する。更に詳しくは、アワビの生育のための生育環境である水質を良好に保ち、効率的にアワビを生産できる、アワビの養殖方法とそのシステムに関する。
アワビを陸上で養殖することは行われており、このための装置も種々提案されている(特許文献1、2)。特許文献1に記載のものは、飼育水である飼育海水を案内するシェルター(アワビが付着する付着板)を同心円状に複数枚配置し、海水を回転させて異物を中心の底から飼育海水と共に排出して水質を保つものである。特許文献2に記載のものは、飼育槽とミネラル分を含んだ濾材が収納されている濾過タンクとの間で、飼育槽内の貯水を循環させて、濾材のミネラル分で好気性バクテリアを活性化するものである。
一方、エゾアワビの生育の報告では、海水温が26℃以上の場合には、24℃よりも酸素消費量が低下し、また、海水の汚染指標として、生物の糞尿等を由来とするアンモニア態窒素(アンモニア性窒素)が用いられているが、この値が10μg-atoms/Lを越えると飼育海水では、酸素消費量が急激に減少する報告がある(非特許文献1)。即ち、アンモニア態窒素の水中濃度とアワビの酸素消費量には強い相関があり、この酸素消費量の低下は、エゾアワビの活動が低下していることを意味する。水温を低下させるためには、冷却装置で飼育海水を冷却すれば良いが、エネルギー消費が大きくなり、しかもアンモニア態窒素を除去することは容易ではない。上記のような提案がされている装置により、飼育海水を浄化しても限界があり、特に、海水温が上昇する夏期は、養殖中のアワビの死滅はある程度避けられない。
アワビの陸上養殖装置において、電気分解で塩素を作り、この塩素ガスが溶けた水で次亜塩素酸の酸化力で有機物を分解し易くし、これを微生物濾過で分解するものも提案されている(特許文献5)。しかしながら、毒として知られている塩素ガス、次亜塩素酸の取り扱いが困難である。また、新鮮な海水を頻繁に入れ替える方法も採用されており、例えば、低水温期で4日に1回、高水温期は2日に1回の間隔で飼育海水を全て入れ替えている。この海水を頻繁に入れ替える方法は、この給排水のためのポンプエネルギーの損失、冷却海水の放出によるエネルギー損失、海洋汚染等の問題が発生する。
更には、この海水の入れ替えは、新鮮な海水温との間での温度差、水質の急激な変化により、飼育中のアワビに大きなストレスを与えることになるので、可能な限り少ない頻度で海水を交換するほうがよい。他方、本発明者は、飼育海水に酸素供給と同時に、薬液注入装置から水酸化ナトリウムを供給して、pH値の低下を防ぐための魚介類生息水の活性化装置を提案した。これにより、飼育海水中の二酸化炭素の蓄積を防ぐものである。しかしながら、この装置をアワビにそのまま適用しても、溶存酸素を多くすることはできても、アンモニア態窒素を取り除くことはできないので、アワビの最適な環境は必ずしも得られない。
クルマエビの養殖において、餌として重要な飼育海水中の褐色性プランクトン、或いは緑色植物プランクトンの発生を、窒素濃度及びリン酸濃度で調節することによって、理想的な植物プランクトンと褐色性プランクトンを発生する方法が提案されている(特許文献4)。他方、海ぶどう等の藻類の栽培を促進するために、温度を一定に保ち、波長を制御した光を照射し、酸素を含む空気又は窒素ガスを溶解させ、かつ藻類の生長に不可欠な必須栄養素等を供給する、促進栽培装置とその栽培方法も提案されている(特許文献6)。しかしながら、提案されているものは、何れも発明の目的が異なり、本発明のアワビの飼育海水の改善に直ちに適用できるものではない。
特開2004−329042号公報 特開2002−119169号公報 特開2004−159558号公報 特開平8−154664号公報 特開2015−61513号公報 WO2005/102031号
「エゾアワビの生育に及ぼす環境条件について」東北区水産研究所報第21号
本発明は、以上のような技術背景で発明されたものであり、次の目的を達成するものである。
本発明の目的は、アワビに必要な栄養をアワビが効率的に摂取できるようにしたアワビの養殖方法とその養殖システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、飼育海水の交換頻度を低くできるアワビの養殖方法とその養殖システムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、飼育海水の加熱、又は冷却のために供給するエネルギーが少ないアワビの養殖方法とその養殖システムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、飼育海水中の糞、残餌等の有機物由来の二酸化炭素、硝酸態窒素、及びリン酸態リン等の含有率を低くできるアワビの養殖方法とその養殖システムを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用する。
本発明1のアワビの養殖方法は、
主に好気性微生物を利用して、前記飼育水中に含まれている有機物を硝化細菌により酸化分解する微生物濾過槽と、
前記飼育水を入れた水槽であり、アワビを棲息させ養殖するための飼育槽と、
前記飼育水中の固形物を分離するための固形異物回収装置とからなり、
前記微生物濾過槽、前記飼育槽、及び前記固形異物回収装置内で、前記生育水の一部又は全部を循環させて使用する陸上のアワビの養殖システムにおいて、
前記飼育水に、酸素又は空気、及び前記飼育水を改質するための薬液を、前記飼育水中に溶解させて前記飼育水を活性化させる、及び/又は
前記飼育水に緑藻類を浸漬し、前記緑藻類に光を照射して、生育に有効な前記飼育水中の成分を吸収させ前記緑藻類を栽培することを特徴とする。
本発明2のアワビの養殖方法は、本発明1のアワビの養殖方法において、前記薬液は、前記飼育水中にケイ酸カリ及び/又はケイ酸ナトリウム水溶液を添加するものであることを特徴とする。
本発明3のアワビの養殖方法は、本発明1又は2のアワビの養殖方法において、
前記活性化は、閉鎖された矩形空間を有する噴流発生室に、加圧された前記飼育水をノズルから噴出させてキャビテーションを発生させ、前記飼育水に前記酸素又は空気、及び前記薬液を混合するものであり、
前記飼育水の加熱又は冷却は、地中に埋設された地中熱交換パイプを通して地中の温熱又は冷熱を利用するものであることを特徴とする。
本発明4のアワビの養殖方法は、本発明1又は2のアワビの養殖方法において、
前記固形物の分離は、前記飼育槽から排出された前記飼育水に旋回流を発生させて、遠心力と重力により前記固形物の分離を行うものものであり、
前記緑藻類の生育は、太陽光、及び/又は、人工光を照射して前記緑藻類を栽培し、
前記飼育槽にアワビが付着するアワビ活着板を配置し、前記アワビ活着板に人工光を照射して珪藻類を前記アワビ活着板に発生させることを特徴とする。
本発明1のアワビの養殖システムは、
主に好気性微生物を利用して、前記飼育水中に含まれている有機物を硝化細菌により酸化分解する微生物濾過槽と、
前記飼育水を入れた水槽であり、アワビを棲息させ養殖するための飼育槽と、
前記飼育水中の固形物を分離するための固形異物回収装置とからなり、
前記微生物濾過槽、前記飼育槽、及び前記固形異物回収装置内で、前記生育水の一部又は全部を循環させて使用する陸上のアワビの養殖システムにおいて、
前記飼育水に、酸素又は空気、及び飼育水を改質するための薬液を吹き込んで溶解させて、前記飼育水を活性化させるための活性化装置、及び/又は
前記飼育水に浸漬した緑藻類に光を照射し、前記緑藻類の生育に有効な前記飼育水中の成分を光合成により吸収して前記緑藻類を栽培するための藻類栽培装置とからなる。
本発明2のアワビの養殖システムは、本発明1のアワビの養殖システムにおいて、
前記飼育槽に供給される前記飼育水を加熱又は冷却するために、前記飼育水を通して、地中の温熱又は冷熱を利用するように地中に埋設された地中熱交換パイプとを有することを特徴とする。
本発明3のアワビの養殖システムは、本発明1又は2のアワビの養殖システムにおいて、
前記活性化装置は、閉鎖された矩形空間を有する噴流発生室に、加圧された前記飼育水をノズルから噴出させてキャビテーションを発生させ、前記飼育水に前記酸素又は空気、及び前記薬液を混合するものであり、
前記藻類栽培装置には、前記緑藻類の生育のために太陽光及び/又は人工光を照射して前記緑藻類を生育するものであり、
前記飼育槽にアワビが付着するアワビ活着板を配置し、前記アワビ活着板に人工光を照射して珪藻類を前記アワビ活着板に発生させるための人工灯を有することを特徴とする。
本発明4のアワビの養殖システムは、本発明3のアワビの養殖システムにおいて、
前記飼育水の主な流れは、前記微生物濾過槽、前記飼育槽、前記固形異物回収装置、前記活性化装置、前記藻類栽培装置、及び前記地中熱交換パイプの順序で循環されることを特徴とする。
本発明のアワビの養殖方法とその養殖システムは、アワビに必要な栄養を養殖中のアワビが効率的に摂取できる、飼育海水の交換頻度を低くできる、飼育海水中の糞、残餌等の有機物由来の有害なアンモニア、二酸化炭素、硝酸態窒素、及びリン酸態リン等の含有率を低くできる、飼育海水の温度を最適に維持できる、というものである。
図1は、本発明のアワビの養殖システムの概要を示す平面図である。 図2は、図1のA−A線で切断した断面図である。 図3は、飼育槽の排水空間部の拡大断面図である。 図4は、サイクロン型汚物収集装置の旋回槽、活性化装置の活性化槽、及び藻類栽培装置の藻類栽培槽の断面図である。 図5は、活性化装置の部分断面図である。
[アワビの養殖システムの概要]
以下、本発明のアワビの養殖システムの概要を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のアワビの養殖システムの概要を示す平面図である。この沿岸からの海水を貯水槽(図示せず)にポンプアップして貯水する。ポンプから送られた海水は、周知技術であるフロート弁(図示せず)により、常に貯水槽内で一定水位になるように、貯水槽に汲み上げて貯められている。
貯水槽には、飼育水である海水を入れるが、この海水は海岸から近くて可能な限り深い水深のもので、かつ季節的に変動の少ない海水温のものを用いる。また、貯水槽には、蓄えた海水が外気からの温度の影響を避けるために槽壁や天井に断熱材が貼られている。沿岸からポンプで汲み上げた海水は、飼育水に有害なフジツボの卵、有害なプランクトン等の異物を含むので、フィルター等で除去したものを貯水する。貯水槽の下部には、手動の開閉弁が配置されている。開閉弁の開度を調整して、貯水した海水を微生物濾過槽1に通常は常時配水する。
開閉弁の弁の開度は、次のように決める。例えば、1日で10回の循環で全ての飼育水が入れ替わるように設定したとき、1循環中に要する時間内に循環水の約10%を追加する量の新規の海水を配水する。海水温、微生物等の海水の状態、天候等で異なるが、本システムでは、上記の条件の場合、約5〜20%程度の新規の海水を配水する。この新規の海水の配水により、循環している飼育水が多くなるので、後述する活性化槽51の排出ゲート52、サイクロン型汚物回収装置4の開閉弁43(図4参照)等からその余分な海水はオーバーフローさせて廃棄する。
微生物濾過槽1は、主に好気性の硝化菌を利用して、海水中に含まれているアワビの糞、残餌等の有機物を酸化分解するものである。微生物濾過槽1で濾過された海水は、アワビを養殖するための飼育水に水位差を利用した流れで供給される。飼育槽2は、アワビを養殖するための海水で満たされた飼育のための水槽であり、アワビはこの中に配置された棚であるアワビ活着板25で飼育される。飼育槽2内の飼育水は、残餌、糞等と共に、飼育槽1の下部の排水口から排出される。排出された飼育水は、落差により調整槽3に自然に排出される。調整槽3は、飼育水を一時的に貯留し流れを一定に保つ機能と、残餌、糞等の固形物を濾過するフィルター機能を有するものである。調整槽3から流出する飼育水は、二方向に分岐し、一方の分流はサイクロン型汚物回収装置4に送られる。サイクロン型汚物収集装置4は、その原理は知られているように、旋回流による遠心力で飼育水中の固形物を分離するための装置である。
調整槽3から流出する飼育水の他方の分流は、活性化槽5に送られる。活性化槽5は、空気又は酸素、及び水ガラスであるケイ素ナトリウムの水溶液をキャビテーション作用により、微細にして飼育水に溶解させるためのものである。更に、活性化槽5内の飼育水に、食品添加物としても利用可能な農業用肥料のケイ酸カリ等を添加する。活性化槽5からの飼育水は、藻類栽培装置4に送られる。藻類栽培装置7は、主に高水温期に繁殖力が強いアオサ等の緑藻類を人工的に栽培し養殖するための養殖装置であり、微生物濾過槽1の硝化菌によって分解された硝酸態窒素(NO3-N)、リン酸態リン(PO4-P)、飼育水中の栄養塩等を栄養として取り込み吸収する。藻類栽培装置7から排出された飼育水は、循環ポンプ8に流れる。循環ポンプ8は、飼育水を加圧して地中に埋められたポリエチレン製の熱交換パイプ9に送る。飼育水は地中の温度の近くまで熱交換され、微生物濾過槽2に戻される。温度コントローラ10は、微生物濾過槽2から取水し、飼育水を設定された温度に制御した後、微生物濾過槽2に戻すものであり、常時運転するものではない。以下、アワビの養殖システムを構成する個々の機器について、詳細に説明する。
[微生物濾過槽1]
微生物濾過槽1は、主に好気性の硝化菌を利用して、海水中に含まれているアワビの排泄物等の有機物を酸化分解するものである。本例では、蛎殻、通水性の合成繊維からなる長繊維不織布が積層され、その中間には通水のための通水空間をサンドウッチ状に挟んだ構成である。長繊維不織布に付着した好気性の硝化菌等の微生物がアワビの排泄物、残餌等を分解してくれる。この微生物濾過槽1の一例は、本発明の発明者の発明であるが、公知の技術であるのでその詳細な構造の説明は省略する(特開平10−118676号公報)。ただし、この構造、機能のものを必ずしも用いる必要はなく、硝化菌が有効に働くものであれば良い。
アワビの飼育で発生した有機物は、微生物濾過槽1の長繊維不織布層の好気性の菌、バクテリア等で処理され、二酸化炭素(CO2)、硝酸態窒素(NO3-N)、リン酸態リン(PO4-P)等に分解される。好気性の菌、バクテリアの活動を促進させるために、必要に応じて飼育水中に空気、酸素を溶かし込むエアーレーションを行うと良い。微生物濾過槽1の飼育水は、この低部に連結された飼育水供給菅11から各飼育槽2に分岐している。更に、分岐した飼育水供給菅11は、それぞれ2方向にそれぞれ分岐した吐出管12を有している。この吐出管12は、飼育槽2の長手方向で底面22に沿うよう配置されている(図2参照)。この吐出管12の長手方向に、一定間隔で複数の貫通孔が開けられており、この貫通孔から飼育水を噴出13させる。この飼育水の噴出13により、底面22に堆積している残餌、糞等を排水パイプ18の方向に流すことができる。また、飼育水の噴出13、及びその噴出に伴って発生するキャビテーション作用により、浄化された飼育水が二つの養殖空間24に満遍なく行き渡る。
[飼育槽2]
図2は、図1のA−A線で切断した飼育槽2の断面図である。飼育槽2は、区画された空間であり、そこに海水を入れてアワビを飼育するものである。飼育槽2の水槽本体21は、本例ではFRP、アクリル板などで作られたもので、図1に示すように、上面から見て両端は円孤状で長方体状の形をしたものであり、上面は開口している。水槽本体21は、本例では隔壁23により4つの空間に、即ち、2個の長方体状の空間、及び2個の半円筒に区画された空間である。ただし、半円筒の部分の隔壁23は、水槽本体21の底面まで延びていない(図2参照)ので、この4つの空間完全に区画されいない。このために飼育水は、水槽本体21の下部で自由に流れている。水槽本体21の中央部に位置する二つの区画された長方体状の空間は、アワビを養殖するための養殖空間24である。養殖空間24内には、複数台の板材のアワビ活着板25が積層して配置されている。
このアワビ活着板25は、本例ではアワビの中でもクロ鮑の性質に適したものである。本例では繊維強化プラスチック、珪藻土、セメント等で作られたものであり、アワビが自由に移動できる、餌となる海草を与えられる空間を有している、清掃が容易にできる等の理由から、外壁がなく、複数の板を隙間を有して積層したものであり、この板状体を井桁状に組んだ構造を有するものである。この構造のアワビ活着板25は、特開2004−129606号公報等で公知のものであり、その詳細については説明を省略する。本例では、上下に2台のアワビ活着板25を積層し、一つの養殖空間24に合計で12台を設置し、長方体状の空間である二つの養殖空間24で合計24台を設置できる。アワビ活着25は、複数の貫通孔を有する網状の底板(図示せず)上に設置されている。
このために、底板と水槽本体21の底面との間には、平たい空間である底部空間が形成されている。また、底部空間の底面22で、一つの養殖空間24の両側の隅には、養殖空間24内の養殖水に空気を供給するための空気パイプ(図示せず)が敷設されている。空気パイプは、養殖空間24内の海水に空気が満遍なく行き渡るように、底面の複数箇所に吐出口が配置されエアレーションを行う。エアレーションは、水中に空気を送り込み、泡を作って水をかき混ぜ、水中に空気を溶かし込むものである。海水中のアワビは、この空気中の酸素により呼吸を行うことができる。更に、養殖空間24の両側の隅に配置されたエアレーションにより、養殖空間24内の養殖水は、対流を起こして、均一に攪拌されることになる。
(排水空間15)
飼育槽2の一端部には、排水空間15が配置されている。図3は、飼育槽2の排水空間15部の拡大断面図である。図3の断面図に示すように、水槽本体21の一端部に配置された排水空間15には、下端が水槽本体21に固定された水位管16が鉛直方向に配置されている。水位管16の内部には、排水パイプ18が水位管16の中心線と同心に配置されている。水位管16の上端と排水管18の上端との間は、段差Sがある。水槽本体21の水位が、水位管16の上端面以上より高いときは、水位管16の上面からも飼育水が流れ込む。水槽本体21の水位が水位管16の上端面以上より低いときは、飼育水は異物排出空間19を通って排水される。
水位管16の下部には、槽本体21の底面22と平行なフランジ17が一体に形成されている。水位管16の内径と排水パイプ18との間は、円筒で環状の異物排出空間19が形成されている。異物排出空間19は、槽本体21の底部に堆積した糞、残餌等の固形物、半固形物等からなる異物19をエアレーションで浮上させて、排水パイプ18の上端の開口から排出するための空間である。この異物19の排出の原理は、一種のエアーリフトポンプである。水位管16の下部にフランジ17を設けた理由は、槽本体21の底部に堆積した糞、残餌等の固形、半固形の異物19の排出を促すためである。通常、飼育水は槽本体21の底面22の近傍から異物排出空間19を通って、異物と共に排水パイプ18からの異物の排出が排出される。
このとき、排水される飼育水は、フランジ17と槽本体21の底面22との間の空間は、狭くなっているのでこのフランジ17の位置では流速が速くなる。この流れの動圧により、異物19の排出を促すことができる。なお、循環ポンプ8により、飼育槽2の水位は微生物濾過槽1より高く水位が形成されるので、排水パイプ18の上端の水位以下に下がることはない。即ち、フランジ17の近くの飼育水と共に吸い込まれた異物19は、異物排出空間19に流れ込む。異物排出空間19内には、空気パイプ20から空気が供給されているので、異物19は一種のエアーリフトポンプにより飼育水と共にリフトされて、排水パイプ18の上部に浮上し、排水パイプ18から排出される。
(LED照明装置)
飼育槽2の上部には、LED照明装置(図示せず)が配置されている。LED照明装置は、可能な限り昼光に近いものを用いる。LED照明装置は、アワビ活着板25の表面、飼育水中等に主に珪藻類を繁殖させるためのものである。珪藻は光合成を行って、飼育水の栄養で増殖させるものである。この珪藻は、養殖中のアワビの餌となり、丈夫な殻を作ることになる。珪藻類を効率的に繁殖させるために、後述するように、本実施の形態ではキャビテーション作用等で微細化した水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)を混入させる。
[調整槽3]
調整槽3は、上部が開口した長方体状の本体31を有し、各飼育槽2から排出された飼育水を一時的に貯留し、流量を調整するためのものである。各飼育槽2の排水パイプ18から排出された飼育水は、調整槽3に流れる。調整槽3の水位は、飼育槽2の排水パイプ18の上面以下であるので、飼育水はサイフォンの原理で、飼育槽2から調整槽3の上面から注がれる(図1参照)。調整槽3内には、上面が開放され籠状容器に張られた籠状フィルター32が配置されている。籠状フィルター32は、飼育槽2から送られてくる飼育水中の残餌、糞等の固形物を濾過するためのものである。籠状フィルター32内の固形物は、人手により定期的に清掃して取り除く。調整槽3の飼育水は、サイクロン型汚物回収装置4と活性化槽5に分流して送られる。図1に示すように、一方の分流は、調整槽3の本体31に排出パイプ33が取り付けられており、排出パイプ33に連結された開閉弁34を介して、サイクロン型汚物回収装置4に飼育水が送られる。他方の分流は、調整槽3の本体31に設けられた連結パイプ35により、活性化槽51に送られる。
[サイクロン型汚物回収装置4]
図4は、サイクロン型汚物収集装置4の旋回槽41、活性化装置5の活性化槽51、及び藻類栽培装置7の藻類栽培槽71の断面図である。図4の向かって左端部に示すものは、サイクロン型汚物収集装置4の旋回槽41の断面図である。サイクロン型汚物収集装置4は、旋回流による遠心力で飼育水中の糞、残餌等の固形物を分離するための装置である。調整槽3から供給された飼育水は円筒状の旋回槽41に供給される。このとき調整槽3の排出パイプ33からの飼育水の吐出方向は、旋回槽41の外周面の接線方向に向けて設置されている(図1参照)。従って、供給された飼育水中の比重の大きい半固形、固形等の異物46は、遠心力により旋回槽41の内周面42上に追いやられ、遠心力と重力の合力で旋回槽41の内周面42に沿って、螺旋状に旋回して落下する。
そして、最終的には、上下の二次流れで、異物46は旋回槽41の底部の中心部に堆積される。旋回槽41の中心部には、下端が旋回槽41に固定された水位管47が鉛直方向に配置されている。水位管47の内部には、排水パイプ48が水位管47の中心線と同心に配置されている。水位管47の下部には、旋回槽41の底面と略平行なフランジが一体に形成されている。水位管47の内径と排水パイプ48との間は、円筒で環状の異物排出空間49が形成されている。この水位管41と排水パイプ48の構造、機能(水位機能、異物46の排出)は、前述した飼育槽21の排水空間15のものと実施ってきに同一であり、その詳細については説明を省略する。
この底部に堆積した異物46は、開閉弁43を介して排出される。なお、通常の運転では、開閉弁43は開放されているが、必ずしも常時開放する必要はないので、定期的に開放する方法でも良い。排出されたアワビの糞等の異物は、自然界と同様にナマコの餌として使える。旋回槽41の中心部には、排出パイプ44が配置されている。排出パイプ44から出た飼育水は、活性化槽5に開閉弁45を介して、活性化槽5に供給される。
[活性化装置5]
図4に活性化装置5の活性化槽51の断面図を示す。活性化装置5は、飼育水をアワビの飼育に最適なように最適化するためのものである。具体的には、飼育水へ水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)、ケイ酸カリ等の必要な成分の補給する、飼育水に水酸化ナトリウムを溶かしてpH値を高めて二酸化炭素の濃度を低める、有害なアンモニアをガス化して海水から除去する等である。飼育水は、アワビ、微生物等の活動により飼育水中の二酸化炭素が増加し、pH値が低下する。更に、アワビが出す排出物により、飼育水中のアンモニア量が増大する。これらのアンモニアも可能な限り除去するのが好ましい。活性化装置5は、飼育水のpH値を上げ、かつガス化したアンモニア等を海水から除去する、投入した成分を飼育水中に細分化して均質に溶け込ます等のためのものである。なお、ガス化したアンモニアが直接的に養殖海水から抜けることは、活性化装置5のキャビテーション機能により推定した機能であり、直接に確認したものではない。
図5は、噴流発生装置60を示す部分断面図である。活性化装置5の主要部をなすこの噴流発生装置60について説明する。噴流を発生させる基本的な方法、機能については、特開2000−563号公報等にその詳細が記載され公知技術であるので、詳細な説明は省略するが、この噴流発生原理はコアンダ効果を利用し噴流を発生させるものである。一般に水力機械等において、キャビテーションの発生は振動や材料の腐食、破損をもたらすので避けなければならないが、この噴流発生装置60においては、生息水の酸素濃度の向上、又アルカリ化等に積極的にこの現象を利用するものである。一般にベルヌーイの定理が成立するところでは、キャビテーションは当然発生しない。前述のコアンダ効果は、流体が壁に引き寄せられる現象をいい、噴流においては、ウォータージェットが箱形の内部空間Vの壁に引き寄せられ渦を発生させる。
噴流発生装置60の基部をなす噴流発生箱64は、本例では扁平の長方体状のものである。長手方向が鉛直になるように配置されている。活性化槽51から取水した飼育水をポンプユニット61により加圧(0.1〜1.0MPa)する。この加圧された飼育水をパイブ62を通して、噴流発生箱64に設けられた噴射ノズル63に供給する。噴射ノズル63は、断面が円筒の環状空間である。噴流発生箱64の内部には、区画された噴流発生室65が形成されている。噴流発生室65の内部空間Vは、3次元の箱状の空間で扁平であり、空間の概ねの高さをHで、その概ねの幅をWで表し、鉛直(垂直)方向の長さをL1とし、噴射ノズル63の開口の有効直径をD1とすると、概略すると前述のように、渦流の発生条件として、D1<H、W/H>4、且つH<L1の関係にある。噴射ノズル63から噴出された噴流は、鉛直方向で内部空間Vの概ねの中心線の方向に噴射され、キャビテーションが発生する。
噴射ノズル63の中心には、空気、酸素等の吸入するための吸入管67が配置されている。吸入管67は、例えば、水酸化ナトリウム、ケイ酸カリ水溶液、水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)を定量注入する場合、定量ポンプ68を用いて、薬液タンク69から設定量を吸入管67から供給する。噴射ノズル63の中心部は負圧になるので、水ガラス、空気又は酸素等を吸入することができる。要するに、吸入管63から、飼育水に必要な成分である、空気又は酸素、水酸化ナトリウム、ケイ酸カリ水溶液、水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)等の気体、液体を供給する。これらの必要な薬剤等の供給は、定量ポンプ68で所望の供給量を供給する、又は設定された時間のみ供給する。また、噴流が噴射されると噴流発生室65の空間Vの8隅にはコアンダ効果により低圧渦である付着渦等が発生する。
このように渦流の伴った噴流の流れを発生させることにより、コアンダ効果、キャビテーション等により酸素等の気泡、薬剤等を微細化することができ溶存酸素濃度を高めることとなる。これらの噴流、付着渦等により、飼育水と酸素等の気体、水酸化ナトリウム、ケイ酸カリ水溶液、水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)等の液体を均一に混合、撹拌する機能がある。なお、水酸化ナトリウムを飼育水に加える意味は、次式のような反応により、飼育水中の二酸化炭素が減少する。
[化1]
2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2
このような反応と共に、噴流発生室65で微細化された気泡を含む噴流は排出管66により、活性化槽51内に吹き込まれる。魚、貝から排出されるアンモニアは、魚、貝等の呼吸器官への影響が出て、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の低下が起こることが知られているので、可能な限りこれを除去する必要がある。水中でのアンモニアは、解離性(NH4 +)と非解離性(NH3)の2形態をとり、それぞれの量は、一定の温度、圧力下において平衡している。この非解離性アンモニアは、生物の神経と呼吸器を傷つけることが知られており、これを可能な限り減らさなければならない。飼育水のpH値が上がれば([H+]を減らせば)、又は水温を上げればアンモニアの溶解率が低下し、溶存中の非解離性のアンモニアは増える。
飼育水に上述した水酸化ナトリウムを加えてpH値を上げることは、二酸化炭素の溶存率は低下させることができるが、次の反応により非解離性のアンモニアが増えることになる。
[化2]
NH4 + NaOH → NH3 + H2
そこで、飼育水中の非解離性のアンモニアをアンモニアガスとして除去するのが最も好ましい。活性化槽51の底部には、エアポンプから大量の空気を供給するための空気供給管(図示せず)が配置されており、空気憤出管は、多数のノズルを有しており、このノズルから空気を噴出させる。活性化槽51内の空気憤出管により大量の空気をその底から噴出させて、活性化槽51内の飼育水をエアレーションする。噴流発生装置50のキャビテーション作用により、アンモニアは沸点は低いので、気化しやすくなり、エアレーションによる泡等に含まれて空中に放出されることになる。この結果、飼育水中のアンモニアの濃度は減少することになる。
噴流発生室65の底面には、排出パイプ66が接続されており、水酸化ナトリウム、ケイ酸カリ(例えば、ケイ酸加里プレミアム34(開発肥料株式会社(竹原本店:広島県竹原市)製)等の必要な成分が加えられ、かつアニモニアガスを分離した飼育水を排水することができる。また、水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)を添加する理由は、飼育水を循環させる飼育において、アワビを高密度に収容すると、飼育水中のミネラルバランスが崩れ、表皮細胞からミネラルを多く吸収するアワビの場合は貝殻形成が悪くなる。特に、本発明者の知見では、自然の中での生育とは違って砂等がないため飼育水中では元素でいうとケイ素(Si)が不足しがちである。
噴流発生装置60のキャビテーション作用により、飼育水中の有機物は分解され泡沫になる。この泡沫は、所謂、波の花と呼ばれている有機物である。この波の花と水量がオーバーしたものは、活性化槽51を凹部状に切り欠いて形成された排出口52から排水される。調整槽3の連結パイプ35からの飼育水は、上部が開放された籠状フィルータ53に流れ込む。籠状フィルータ53は、飼育水中の固形異物を濾過する。活性化槽51の上面には、棒材54が架け渡してある。この棒材54には、網状の施肥袋55が吊り下げられている。施肥袋55には、本例では農業用等に使われている固体のケイ酸カリである。ただし、液体のケイ酸カリを使用する場合は、水ガラスと同時に噴流発生装置60で供給しても良い。
[藻類栽培装置7]
藻類栽培装置7は、空気による飼育水の攪拌と、アオサ等の主に緑藻類の培養を行うためのものである。藻類栽培装置7の藻類栽培槽71は、活性化槽51と連結パイプ59で連結されている。従って、活性化装置5で活性化された飼育水は、活性化槽51から連結パイプ59を通り藻類栽培槽71に流れてて供給される。藻類栽培槽71内には、藻類栽培籠72が浸漬されている。藻類栽培籠72は、アオサ等の緑藻類が流れないように留めるための籠であり、上面は開放しているが6面に網が張られた網籠である。藻類栽培籠72内にアオサ等の緑藻類が入れてあり、栽培される。
藻類栽培槽71の上部には、LED照明装置74が配置されている。LED照明装置74は、雨天、曇天時に太陽光の光が弱いときは、このLED光照射灯を付加的に用いると良い。ここで培養されるアオサ等の緑藻類73は、アワビの飼育で発生した有機物が、微生物濾過槽1の好気性の菌、バクテリア等で処理され、二酸化炭素(CO2)、硝酸態窒素(NO3-N)、リン酸態リン(PO4-P)に分解される。緑藻類73は、飼育水中の余分な栄養を吸収すると共に、成長した緑藻類73はアワビのエサにもなる。また、緑藻類73が光合成で発生した酸素(O2)を発生し、これを飼育水に溶かす役割も果たす。また、アオサ等の緑藻類は、アワビの餌としても使用できるので、循環型の養殖が可能となる。なお、アオサ等の緑藻類73に、飼育水の攪拌と光合成で作られた酸素を有効に飼育水に溶かすためにエアポンプから空気を供給しても良い。
[熱交換パイプ9]
熱交換パイプ9は、比較的浅い地中に長楕円状に何周も巻かれて配置されている。この熱交換パイプ9に飼育水を通して、地中熱で飼育水を加熱、又は冷却するためのものである。藻類栽培槽71の底部には排水パイプ75が配置されており、排出パイプ75は循環ポンプ73に接続されている。循環ポンプ8は、飼育水を加圧して、地中に埋められたポリエチレン製の熱交換パイプ9に送る。この熱交換パイプ9は、比較的大きな直径のパイプを使用して、飼育水の地中の対流時間を大きくする。地中温度は、一般的にその地域の平均気温とされているので、冬期は飼育水の加温に夏期は冷却に使用できる。熱交換パイプ9で加温、又は冷却された飼育水は、戻りパイプ91で微生物濾過槽1に戻される。なお、循環ポンプ8のポンプ能力は、飼育槽1内の全海水量を約10〜12回/1日で循環する程度のもので良い。
[その他]
前述した水槽本体21は、FRP製等の合成樹脂製であったが、これをコンクリート製にして、かつの高さの/1/2程度を地面に埋め込むような構造を採用しても良い。この構造を採用すると、地中熱を有効に利用できる利点がある。また、コンクリートは、蓄熱性に優れているので温度変化を防ぎ地中熱を有効に利用できる。
[全システム]
前述したように、アンモニア態窒素の水中濃度とアワビの酸素消費量には強い相関があり、この酸素消費量の低下は、エゾアワビ等の活動が低下していることを意味する。本システムは、アワビの糞尿等を由来とするアンモニア態窒素(アンモニア性窒素)を大幅に減少させることができた。また、溶存酸素量も増加することができた。また、単細胞性の珪藻類を繁茂させるためにケイ酸カリ等のケイ素(Si)の成分を添加したので、アワビの甲殻の形成が良好にできた。更に、本システムによるアワビの養殖は、殆どの飼育水を循環させて使用するので、長期間飼育水を交換する必要がないので、アワビにストレスがかからない。
1…微生物濾過槽
2…飼育槽
3…調整槽
4…サイクロン型汚物収集装置
5…活性化槽
7…藻類栽培装置
8…循環ポンプ
9…熱交換パイプ
10…温度コントローラ
11…飼育水供給菅
21…水槽本体
24…養殖空間
25…アワビ活着板
15…排水空間
16…水位管
41…旋回槽
51…活性化槽
60…噴流発生装置
63…噴射ノズル
65…噴流発生室

Claims (8)

  1. 主に好気性微生物を利用して、前記飼育水中に含まれている有機物を硝化細菌により酸化分解する微生物濾過槽と、
    前記飼育水を入れた水槽であり、アワビを棲息させ養殖するための飼育槽と、
    前記飼育水中の固形物を分離するための固形異物回収装置とからなり、
    前記微生物濾過槽、前記飼育槽、及び前記固形異物回収装置内で、前記生育水の一部又は全部を循環させて使用する陸上のアワビの養殖システムにおいて、
    前記飼育水に、酸素又は空気、及び前記飼育水を改質するための薬液を、前記飼育水中に溶解させて前記飼育水を活性化させる、及び/又は
    前記飼育水に緑藻類を浸漬し、前記緑藻類に光を照射して、生育に有効な前記飼育水中の成分を吸収させ前記緑藻類を栽培する
    ことを特徴とするアワビの養殖方法。
  2. 請求項1において、
    前記薬液は、前記飼育水中にケイ酸カリ及び/又はケイ酸ナトリウム水溶液を添加するものである
    ことを特徴とするアワビの養殖方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記活性化は、閉鎖された矩形空間を有する噴流発生室に、加圧された前記飼育水をノズルから噴出させてキャビテーションを発生させ、前記飼育水に前記酸素又は空気、及び前記薬液を混合するものであり、
    前記飼育水の加熱又は冷却は、地中に埋設された地中熱交換パイプを通して地中の温熱又は冷熱を利用するものである
    ことを特徴とするアワビの養殖方法。
  4. 請求項1又は2において、
    前記固形物の分離は、前記飼育槽から排出された前記飼育水に旋回流を発生させて、遠心力と重力により前記固形物の分離を行うものものであり、
    前記緑藻類の生育は、太陽光、及び/又は、人工光を照射して前記緑藻類を栽培し、
    前記飼育槽にアワビが付着するアワビ活着板を配置し、前記アワビ活着板に人工光を照射して珪藻類を前記アワビ活着板に発生させる
    ことを特徴とするアワビの養殖方法。
  5. 主に好気性微生物を利用して、前記飼育水中に含まれている有機物を硝化細菌により酸化分解する微生物濾過槽と、
    前記飼育水を入れた水槽であり、アワビを棲息させ養殖するための飼育槽と、
    前記飼育水中の固形物を分離するための固形異物回収装置とからなり、
    前記微生物濾過槽、前記飼育槽、及び前記固形異物回収装置内で、前記生育水の一部又は全部を循環させて使用する陸上のアワビの養殖システムにおいて、
    前記飼育水に、酸素又は空気、及び飼育水を改質するための薬液を吹き込んで溶解させて、前記飼育水を活性化させるための活性化装置、及び/又は
    前記飼育水に浸漬した緑藻類に光を照射し、前記緑藻類の生育に有効な前記飼育水中の成分を光合成により吸収して前記緑藻類を栽培するための藻類栽培装置
    とからなるアワビの養殖システム。
  6. 請求項5に記載において、
    前記飼育槽に供給される前記飼育水を加熱又は冷却するために、前記飼育水を通して、地中の温熱又は冷熱を利用するように地中に埋設された地中熱交換パイプと
    を有することを特徴とするアワビの養殖システム。
  7. 請求項5又は6において、
    前記活性化装置は、閉鎖された矩形空間を有する噴流発生室に、加圧された前記飼育水をノズルから噴出させてキャビテーションを発生させ、前記飼育水に前記酸素又は空気、及び前記薬液を混合するものであり、
    前記藻類栽培装置には、前記緑藻類の生育のために太陽光及び/又は人工光を照射して前記緑藻類を生育するものであり、
    前記飼育槽にアワビが付着するアワビ活着板を配置し、前記アワビ活着板に人工光を照射して珪藻類を前記アワビ活着板に発生させるための人工灯を有する
    ことを特徴とするアワビの養殖システム。
  8. 請求項7に記載において、
    前記飼育水の主な流れは、前記微生物濾過槽、前記飼育槽、前記固形異物回収装置、前記活性化装置、前記藻類栽培装置、及び前記地中熱交換パイプの順序で循環されることを特徴とするアワビの養殖システム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108651353A (zh) * 2018-04-29 2018-10-16 王爱金 一种鲍鱼养殖用喂料装置
WO2020028296A1 (en) * 2018-07-30 2020-02-06 Whitaferd Llc Marine farming system
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CN112021247A (zh) * 2020-09-28 2020-12-04 珠海南方利洋水产科技有限公司 一种带有生物碳源循环水养殖系统
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