JP2014042492A - 水耕栽培を備える水生生物の養殖システム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で、植物の種類、生育時期などにより植物の設置場所を容易に移動することができ、植物の養分吸収効率も高め、低設置コストで広い設置場所も必要とせず、ランニングコストも低廉な水耕栽培を備える水生生物の養殖システムを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、水生生物を養殖する水槽を備える養殖部と、前記水槽の水を浄化部に送水する送水部と、前記送水部から送水された被処理水を貯留しつつ曝気処理する浄化槽を備える浄化部と、前記浄化部で曝気処理された水を前記水槽に戻すとともに上面に穴が穿設された還路パイプを備えた水耕栽培部と、からなり、
前記還路パイプの穴に植物栽培用のポットを嵌め植物を水耕栽培するとともに、養殖用の水を浄化処理して循環再利用することを特徴とする水耕栽培を備える水生生物の養殖システム
の構成とした。
【選択図】図2
Description
本発明は、魚等の水生生物を陸上の水槽で養殖するとともに、植物の水耕栽培を利用して水槽の水の浄化を補助する、水耕栽培を備える水生生物の養殖システムに関する。
水耕栽培と、魚の養殖に利用した水を水耕栽培に利用し、水を循環再利用する技術は知られている。例えば、特許文献1等に公開されている。特許文献1の発明は、養魚に供した水とそれに含まれる有機物等を主な栄養源として成立する生物濾過床自身を栽培床とし、もしくは生物濾過床に栽培床を設備し、養魚に供した水に含まれる有機物等を肥料として栽培することを特徴とした水耕栽培の方法というものである。
しかしながら、特許文献1は、水槽に栽培床8及び植物をドブ浸けするもので、植物を移動させることが困難な上、植物の養分吸収率は高くない。また、植物栽培用水槽の施工が煩雑な上、コストも高く、養魚水槽とは別に植物栽培用水槽を設置する広いスペースも必要とする。
そこで、本発明は、簡易な構造で、植物の種類、生育時期などにより植物の設置場所を容易に移動することができ、植物の養分吸収効率も高め、低設置コストで広い設置場所も必要とせず、ランニングコストも低廉な水耕栽培を備える水生生物の養殖システムを提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するために、
(1)
水生生物を養殖する水槽を備える養殖部と、前記水槽の水を浄化部に送水する送水部と、前記送水部から送水された被処理水を貯留しつつ曝気処理する浄化槽を備える浄化部と、前記浄化部で曝気処理された水を前記水槽に戻すとともに上面に穴が穿設された還路パイプを備えた水耕栽培部と、からなり、
前記還路パイプの穴に植物栽培用のポットを嵌め植物を水耕栽培するとともに、養殖用の水を浄化処理して循環再利用することを特徴とする水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(2)
前記還路パイプが、前記水槽の上部に折返され複数列配置されたことを特徴とする(1)に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(3)
前記水槽底部に擂り鉢状に窪ませた取水部を設けるとともに前記取水部底部に穴を設け、前記取水部底部の穴に前記送水部の端部を連結したことを特徴とする(1)又は(2)に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(4)
前記取水部の穴と送水部の端部の連結を、前記取水部の穴に送水部の末端の送水パイプのフランジを係止し、前記フランジをボルト及びナットで前記水槽底部に固定し、前記送水パイプの取水口に、目皿を設置したことを特徴とする(3)に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(5)
前記浄化部が、被処理水の流れの上流から下流に向け階段状に水位が低くなる複数のタンクと、隣接するタンクを連結する連結管と、からなり、
前記連結管の上流側がタンクの底部汚泥層の上に位置して、被処理水が次のタンクへ自然落下で移送されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(6)
前記還路パイプが、透明であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(7)
前記浄化槽に、小袋に詰めた赤玉土及び御影石を沈めたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(8)
前記水生生物が、魚であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム。
(9)
前記魚が、チョウザメであることを特徴とする(8)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム。
(10)
(9)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システムにおいて、水系にサカマキガイを生息させることを特徴とする水耕栽培を備える魚の養殖方法。
(11)
(1)〜(7)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム、
(8)又は(9)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム、
或いは(10)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖方法において、
植物の種類、又は/及び植物の生育時期に応じて、前記植物栽培用のポットを嵌める穴の位置を変更することを特徴とする水耕栽培方法。の構成とした。
(1)
水生生物を養殖する水槽を備える養殖部と、前記水槽の水を浄化部に送水する送水部と、前記送水部から送水された被処理水を貯留しつつ曝気処理する浄化槽を備える浄化部と、前記浄化部で曝気処理された水を前記水槽に戻すとともに上面に穴が穿設された還路パイプを備えた水耕栽培部と、からなり、
前記還路パイプの穴に植物栽培用のポットを嵌め植物を水耕栽培するとともに、養殖用の水を浄化処理して循環再利用することを特徴とする水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(2)
前記還路パイプが、前記水槽の上部に折返され複数列配置されたことを特徴とする(1)に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(3)
前記水槽底部に擂り鉢状に窪ませた取水部を設けるとともに前記取水部底部に穴を設け、前記取水部底部の穴に前記送水部の端部を連結したことを特徴とする(1)又は(2)に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(4)
前記取水部の穴と送水部の端部の連結を、前記取水部の穴に送水部の末端の送水パイプのフランジを係止し、前記フランジをボルト及びナットで前記水槽底部に固定し、前記送水パイプの取水口に、目皿を設置したことを特徴とする(3)に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(5)
前記浄化部が、被処理水の流れの上流から下流に向け階段状に水位が低くなる複数のタンクと、隣接するタンクを連結する連結管と、からなり、
前記連結管の上流側がタンクの底部汚泥層の上に位置して、被処理水が次のタンクへ自然落下で移送されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(6)
前記還路パイプが、透明であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(7)
前記浄化槽に、小袋に詰めた赤玉土及び御影石を沈めたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
(8)
前記水生生物が、魚であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム。
(9)
前記魚が、チョウザメであることを特徴とする(8)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム。
(10)
(9)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システムにおいて、水系にサカマキガイを生息させることを特徴とする水耕栽培を備える魚の養殖方法。
(11)
(1)〜(7)のいずれかに記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム、
(8)又は(9)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム、
或いは(10)に記載の水耕栽培を備える魚の養殖方法において、
植物の種類、又は/及び植物の生育時期に応じて、前記植物栽培用のポットを嵌める穴の位置を変更することを特徴とする水耕栽培方法。の構成とした。
本発明は、上記構成であるので、簡易な構造で、植物の種類、生育時期などにより植物の設置場所を容易に移動することができ、植物の養分吸収効率も高め、低設置コストで広い設置場所も必要とせず、ランニングコストも低廉な水耕栽培を備える水生生物の養殖システムを提供することができる。
また、植物を日当たり、窒素源濃度に応じ、例えば、植物の種類、生育時期に応じて生育場所となる還路パイプの穴を選択し、好適な栽培状況、高い水の浄化効果を得ることができる水耕栽培方法を提供することができる。
以下、本願発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
ここで、水生生物とは、淡水性の魚、貝など、水中に生息する生物である。本発明である水耕栽培を備える水生生物の養殖システム1は、図1、2に示すように、建屋2と、養殖部3と、送水部4と、浄化部5と、水耕栽培部6と、からなる。
建屋2は、入出口、通気用の開口等を備え、養殖部3を覆うように設置され、養殖する水生生物の種類に応じて設ける。鳥から水生生物を保護するとともに、直射日光の照射量を調節する。例えば、ビニールハウスの上部に、網目状の遮光ネット(採光量調節ネット)で覆うなどすればよい。完全に遮光してしまうと、当然植物は育たない。
養殖部3は、ここでは、底部に取水部3iを設けた大きさの異なる3区画の第一水槽3a、第二水槽3b、第三水槽3cと、必要に応じて各水槽内部に敷かれ水槽の縁に留め具3fで固定されたビニルシート3eと、水槽上部に渡された渡棒6iと、渡棒6iに固定した足場6kを備える。ビニルシート3e上に養殖用の水3dが溜められ、その水で魚3gなどの水生生物を飼育、養殖する。
各水槽は、コンクリート製などが採用でき、底部には水槽の大きさに応じて適当数の鉢状に窪ませた取水部3iを設ける。ビニルシート3eは、水生生物が水槽に擦れて、傷付くのを防ぐ。足場6kは、水耕栽培部6での作業を容易にするために設けてある。水槽には、水生生物に応じて、水3dに酸素、空気を供給するエアレーション6mラインが設けられる。
送水部4は、水槽の水を浄化部5に送水する装置であって、水槽底部の取水部3iに連結する土9aに埋まった送水パイプ4aと、送水パイプ4aから送られた水を受ける桝4bと、桝4b内の水を浄化部5に送水するポンプ4cと、ポンプ4cによって送水された水を流す往路パイプ4eとからなる。送水パイプ4aは、組み立てやすいように、フランジ4hを含む水槽側端部を分割し、嵌着するようにするとよい。
次に、図3を参照して、取水部3iの穴3kと送水部4の連結を説明する。取水部3iの底の穴3kに送水部4の末端の送水パイプ4aのフランジ4hを係止し、その上に穴3kに相当する穴を設けたビニルシート3eを載せ、さらに押さえ4nでビニルシート3eを挟み、押さえ4nと共にフランジ4hをボルト4k及びナット4mで水槽底部に固定する。これにより、ビニルシート3eは、フランジ4hと押さえ4nの間に挟持される。取水部3iの大きさは直径50−100cm程度あるとよい。
そして、送水パイプ4aの取水口4gに、目皿4iを設置する。目皿4iは、網目状のプレートで、食べ残しの餌、糞を通すが、水生生物を通さない目開きのものを用いる。目皿4iは、ネジで取水口4gの送水パイプ4aに固定してもよいし、螺着してもよい。
フランジ4hの周囲に、段差が生じた場合には、水生生物の餌の食べ残し、糞が溜まらないように、コーティング剤4pでコーティングするとよい。コーティングすることで、また、水槽の水3dの漏洩が防止できる。
図2に示すように、水槽と桝4bとは送水パイプ4aで連結されているため、ポンプ4cで桝4b内の水を浄化部5に送水することで、桝4bの水位4dが低下する。すると水槽の水位3hは桝4bの水位4dと同じ高さになるように、自然と水槽の水3dは桝4b内に流れ込む(点線矢印)。即ち、原理的には、ポンプ4cで送水した量の水が水槽に戻されることとなる。
桝4b内の水位4dは、水槽の水位3hと同じになるので、そのときの桝4bの水位に応じて、飛散、蒸散、排水した水量に相当する水を水系に補給すればよい。桝4b内の水位4dは、エアレーションなどの攪乱要因がないので、他の場所の水位より安定している。したがって、桝4b内の水位を感知するセンサーを設け、桝4b内の水位4dに応じて水の循環系に、自動かつ安定的に給水することができる。
このように、水槽底部の擂り鉢状の取水部3iと、桝4bを設けることで、さらに水生生物が魚であれば、魚が水槽底部を泳ぐことで、餌の食べ残し、糞を取水口4g集め、送水パイプ4a、送水部4を経由して浄化部5に送られることとなる。その結果、食べ残し、糞に起因する水槽内の水3dを廃棄しての水槽内の清掃回数を減らすことができ、さらには必要としなくなる。
浄化部5は、ここでは、送水部4と接続する第一浄化槽5a、連結管5sをそれぞれ介して第一浄化槽5aに続く、第二浄化槽5b、第三浄化槽5c、さらに養殖部3に浄化水を戻す還路パイプ6e(水耕栽培部6)に接続する第四浄化槽5dを、2列並列に備えてなる。図1上段の浄化部5は第一水槽3aに、図1下段の浄化部5は、第二、第三水槽3b、3cに、浄化水を戻す。
そして、浄化部5の複数の浄化槽は、被処理水5wの流れの上流から下流に向け階段状に水位5uが低くなり、次の浄化槽へ自然落下で移送されるよう、地面9から高さの異なる台5gに載置され、多段式の滝のように構成される。勿論、台5gを用いることなく、地面9を階段状に造成して、台5gを用いたように水位5uに段差を設けてタンク5eを設置してもよい。
図2、図4に示すように、第一浄化槽5aは、送水部4から送水された被処理水5wを貯留しつつ曝気5iするタンク5eと、タンク5eの口部5xに係止され底部にフィルタ5qを備える穴5pが穿設された容器5nと、穴5oが穿設されタンク5eの口部5xに螺着する蓋5fと、タンク5e底部にネットなどに小分けして詰められた微生物の菌床となる赤玉土5kと御影石5mと、第二浄化槽5bに連通する側に配置されたフィルタ5rと、第二浄化槽5bに被処理水5wを流す連結管5sと、からなる。
さらに、浄化部5には、浄化部5の各タンク5eの側面底部には、タンク5e内の排水、タンク5e底部に溜まった汚泥5aaを個別に排出することができる配管5y及びその開閉を制御するバルブ5zが設けられ、配管5yはそれぞれ連結し、一箇所に汚泥を収集することができるようにしてある。
図4に示すように、蓋5fの穴5oに往路パイプ4eが挿通し、被処理水5wをポンプ4cによって、第一浄化槽5aに連続送水する。容器5nを設けることで、フィルタ5rの洗浄回収を減らし、メンテナンス作業が用になるとともに、フィルタ5qの洗浄を容易にする。また、容器5n側面に穴5pを設けることで、藻などが急速に増殖しフィルタ5qが目詰まりしたときでも、タンク5e外に、被処理水5wが漏出することを防ぐことができる。フィルタ5rは第一浄化槽5aにだけ設置すれば十分である。
曝気5iは、コンプレッサ5hからチューブ5jを介してタンク5e内に空気を導入する。好気的条件で微生物による有機物の分解を促進させ、アンモニアを亜硝酸イオン、硝酸イオンへと硝化させ、植物に窒素源として吸収させやすくさせる。曝気5iは、他の水槽にも同様に導入される。
赤玉土5kは、一般に関東ローム層の赤土を乾燥後、ふるいで粒の大きさごとに選別して作られ、園芸に用いられる。赤玉土5kは、微生物の菌床、濾過材である。ここでは、鉾田産を使用した。鉾田産は硬質で知られ、試験では、つぶれることなく、長期間粒の形状を保持した。
御影石5mは、花崗岩のことであり、微生物の菌床、濾過材であるとともに、ミネラル供給減でもある。ここでは、笠間市稲田産の御影石の砂利を使用した。このように、赤玉土5k、御影石5mともに地産品を使用することで、地域振興に資する。赤玉土5k、御影石5mは、他の水槽にも同様に投入される。ネットなどに小分けして、使用することで、定期的なタンク5e内清掃において、それらも洗浄するときに、扱いやすい。
連結管5sは、図2、4に示すように、上流側がタンク5e底部汚泥層の上の側面に連結し、上に起立し、第二浄化槽5b内に挿通し、被処理水5wを水位5u差により、第二浄化槽5bに流す。連結管5sの上方は開口し、左右が開口し断面T字状の空気抜き5tが上部に嵌る。連結管5sの直上を開口しないことで、タンク5e間の縁を切り、真上からの有害物質の被処理水5wへの混入を防止する。有害物質として、田畑に散布される農薬などが例示される。
第二浄化槽5bは、図2に示すように、第一浄化槽5aから送水された被処理水5wを貯留しつつ曝気5iするタンク5eと、タンク5eの口部5xに螺着する蓋5f(穴5oなし)と、タンク5e底部にネットなどに小分けして詰められた微生物の菌床となる赤玉土5kと御影石5mと、第三浄化槽5cに被処理水5wを流す連結管5sと、からなる。第三、第四浄化槽5c、5dの構成は、第二浄化槽5bと同じである。ただし、第四浄化槽5dは、還路パイプ6eに接続する。浄化部5は、養殖部3の水3dの容積の1/3程度とすることが望ましいため、複数のタンク5eを用いた。
このような浄化槽を備えことで、内部に赤虫、淡水性の貝などの水生小動物が自生、飼育することができ、自然環境が構築され、一層有機物の分解が促進されるとともに、浄化槽内に生息する水生小動物が、自然落下による被処理水5wの流れで移送されることで、還路パイプ6eを通り、水槽に流れていき、養殖魚のエサにもなり得る。
水生小動物の自生は、チョウザメの養殖に最適である。貝としては、サカマキガイが例示できる。当該養殖システムでは、チョウザメは貝を餌にし、排泄し、浄化部5で貝が排泄物を有機体窒素に分解し、増殖する食物サイクルが形成される。また、過剰に増殖したサカマキガイは、採取して、鶏の餌などに使用できる。
水耕栽培部6は、図1、2に示すように、還路パイプ6eは、第四浄化槽5dの側面に連絡し、水位5u差によって流れ出した曝気処理された水を養殖部3の水槽に端部から放水6hして戻す。次に、図5を参照して、還路パイプ6eの敷設方法を説明する。
還路パイプ6eは、上面に穴6fが穿設された直長パイプ6a、直短パイプ6b、90°に屈曲したエルボーパイプ6d、水の流れを分ける分岐パイプ6cを連結して、水槽上部に配置し、水耕栽培部6となす。長さの異なるパイプ、各パイプの連結の組み合わせ工夫することで、水槽の大きさ等に応じて、種々の形状の敷設を可能にする。還路パイプ6eの穴6fに水耕栽培用のポット7を嵌めて水耕栽培をする。
還路パイプ6eを水槽の上部に折返し複数列配置(蛇行)することで、水耕栽培部6の設置場所を水槽と別に確保する必要がなく、コンパクトな水耕栽培を可能にする。また、パイプ上部に穴6fを穿設して水耕栽培部6とすることで、施工費を低く抑え、かつ施工期間を短くすることができるとともに、配置変更、拡縮も容易になる。
さらに還路パイプ6eを透明な塩化ビニル管などを用いれば、水の汚れを容易に目視することができる。加えて、水槽の上部に還路パイプ6eを設置すれば、還路パイプ6eの穴6fから水が溢れても、水槽に落ちるだけであるので、養殖水の減少の心配はない。
還路パイプ6eは、水平に敷設しても水位5uに応じて自然に曝気処理水を水槽まで移送することができるが、後述のように、還路パイプ6eは植物栽培用のポット7が嵌められるため、還路パイプ6eの端部に向けやや傾斜させて敷設するとよい。
次に、水耕栽培用のポット7を穴6fに嵌めて水耕栽培をする状況について図6を参照して詳しく説明する。図6は、還路パイプ6eの縦断面図模式図である。
還路パイプ6eは、図6(A)に示すように、上面に穴6fが穿設され、内部に処理水6gが流れる。図6(B)に示すように、還路パイプ6eの穴6fに植物栽培用のポット7を嵌め植物8を水耕栽培する。
ポット7は、培養土7bが内部に詰められ、側面及び底面には貫通孔7aが穿設されている。培養土7bとしては、バーミキュライトとが好適である。貫通孔7aから植物8の根8aが還路パイプ6e内張りだし、養分を吸収する。還路パイプ6e内では、曝気処理水6gの流れが形成され、根8aと次々と接触するため、水の流れの少ない栽培床である水槽での水耕栽培に比べ、植物8の水槽へのドブ漬けに比べ、水耕栽培部6での植物8の窒素源の吸収率は極めて高い。
また、図6(B)に示すように、還路パイプ6eに穴を穿設し、ポット7を嵌める方式の水耕栽培部6とすることで、植物の種類、又は/及び植物の生育時期に応じて、植物栽培用のポット7を挿入する穴6fの位置を容易に変更することができ、栽培植物に適した窒素濃度、日当たりを容易に調節することができる。還路パイプ6e上流では、窒素源濃度が高く、植物8の根8aと接触を繰り返した下流部では窒素源濃度が低い。窒素源濃度差を利用して、水耕栽培植物を選択することもできる。
他方、図1の第一水槽3aに示すように、建屋2の外に還路パイプ6eを敷設することで、一層日当たりのより環境で水耕栽培することもできる。
なお、当該水耕栽培では、一般に水耕栽培に使用できる野菜類が栽培可能であるが、特に、ハーブ類、クレソン、セリ、バジル、ミント、シソなどが良く育つ。またレタス類の生育も良好であった。還路パイプ6e内の流水の上流側の窒素源濃度が高く、内部に空洞が形成される野菜の栽培に適している。例えば、シシトウ、ピーマン、タカノツメなどである。
これにより、養殖用の水から硝化された窒素源を根8aから吸収し、水の浄化を補助する。そうすることで、養殖用の水3dを循環再利用することができ、水3dの節水、さらに、清掃、水の入れ換え作業を軽減することができる。
具体的には、2.5×15×0.5≒19(m3)の水槽(第一水槽3a)に、チョウザメ約500匹(1歳魚)を飼育した本年7月中旬からの1月の養殖試験では、水槽の水3dの交換は1度も行わなかったが、チョウザメは1匹も死亡しなかった。本発明導入前における単純曝気浄水処理においては、夏場では月3回の水の交換が必要であったことからすると、本発明の節水効果、水の入れ換え作業の軽減効果は極めて大きい。
なお、水耕栽培を備える水生生物の養殖システムにおいて、給水、排水経路は省略したが、どのブロックから給水、排水してもよい。給水は、水槽に井戸水を給水することが経済的かつ簡易である。排水は、各ブロックから可能にすることが清掃の観点から望ましい。また、各ライン(パイプ)等には、バルブが設けられ、水の流量を調節することができる。
1 水耕栽培を備える水生生物の養殖システム
2 建屋
3 養殖部
3a 第一水槽
3b 第二水槽
3c 第三水槽
3d 水
3e ビニルシート
3f 留め具
3g 魚
3h 水位
3i 取水部
3k 穴
4 送水部
4a 送水パイプ
4b 桝
4c ポンプ
4d 水位
4e 往路パイプ
4g 取水口
4h フランジ
4i 目皿
4k ボルト
4m ナット
4n 押さえ
4p コーティング剤
5 浄化部
5a 第一浄化槽
5b 第二浄化槽
5c 第三浄化槽
5d 第四浄化槽
5e タンク
5f 蓋
5g 台
5h コンプレッサ
5i 曝気
5j チューブ
5k 赤玉土
5m 御影石
5n 容器
5o 穴
5p 穴
5q フィルタ
5r フィルタ
5s 連結管
5t 空気抜き
5u 水位
5w 被処理水
5x 口部
5y 配管
5z バルブ
5aa 汚泥
6 水耕栽培部
6a 直長パイプ
6b 直短パイプ
6c 分岐パイプ
6d エルボーパイプ
6e 還路パイプ
6f 穴
6g 処理水
6h 放水
6i 渡棒
6k 足場
6m エアレーション
7 ポット
7a 貫通孔
7b 培養土
8 植物
8a 根
9 地面
9a 土
2 建屋
3 養殖部
3a 第一水槽
3b 第二水槽
3c 第三水槽
3d 水
3e ビニルシート
3f 留め具
3g 魚
3h 水位
3i 取水部
3k 穴
4 送水部
4a 送水パイプ
4b 桝
4c ポンプ
4d 水位
4e 往路パイプ
4g 取水口
4h フランジ
4i 目皿
4k ボルト
4m ナット
4n 押さえ
4p コーティング剤
5 浄化部
5a 第一浄化槽
5b 第二浄化槽
5c 第三浄化槽
5d 第四浄化槽
5e タンク
5f 蓋
5g 台
5h コンプレッサ
5i 曝気
5j チューブ
5k 赤玉土
5m 御影石
5n 容器
5o 穴
5p 穴
5q フィルタ
5r フィルタ
5s 連結管
5t 空気抜き
5u 水位
5w 被処理水
5x 口部
5y 配管
5z バルブ
5aa 汚泥
6 水耕栽培部
6a 直長パイプ
6b 直短パイプ
6c 分岐パイプ
6d エルボーパイプ
6e 還路パイプ
6f 穴
6g 処理水
6h 放水
6i 渡棒
6k 足場
6m エアレーション
7 ポット
7a 貫通孔
7b 培養土
8 植物
8a 根
9 地面
9a 土
Claims (11)
- 水生生物を養殖する水槽を備える養殖部と、前記水槽の水を浄化部に送水する送水部と、前記送水部から送水された被処理水を貯留しつつ曝気処理する浄化槽を備える浄化部と、前記浄化部で曝気処理された水を前記水槽に戻すとともに上面に穴が穿設された還路パイプを備えた水耕栽培部と、からなり、
前記還路パイプの穴に植物栽培用のポットを嵌め植物を水耕栽培するとともに、養殖用の水を浄化処理して循環再利用することを特徴とする水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。 - 前記還路パイプが、前記水槽の上部に折返され複数列配置されたことを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
- 前記水槽底部に擂り鉢状に窪ませた取水部を設けるとともに前記取水部底部に穴を設け、前記取水部底部の穴に前記送水部の端部を連結したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
- 前記取水部の穴と送水部の端部の連結を、前記取水部の穴に送水部の末端の送水パイプのフランジを係止し、前記フランジをボルト及びナットで前記水槽底部に固定し、前記送水パイプの取水口に、目皿を設置したことを特徴とする請求項3に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
- 前記浄化部が、被処理水の流れの上流から下流に向け階段状に水位が低くなる複数のタンクと、隣接するタンクを連結する連結管と、からなり、
前記連結管の上流側がタンクの底部汚泥層の上に位置して、被処理水が次の浄化槽へ自然落下で移送されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。 - 前記還路パイプが、透明であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
- 前記浄化槽に、小袋に詰めた赤玉土及び御影石を沈めたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム。
- 前記水生生物が、魚であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム。
- 前記魚が、チョウザメであることを特徴とする請求項8に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム。
- 請求項9に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システムにおいて、水系にサカマキガイを生息させることを特徴とする水耕栽培を備える魚の養殖方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の水耕栽培を備える水生生物の養殖システム、
請求項8又は請求項9に記載の水耕栽培を備える魚の養殖システム、
或いは請求項10に記載の水耕栽培を備える魚の養殖方法において、
植物の種類、又は/及び植物の生育時期に応じて、前記植物栽培用のポットを嵌める穴の位置を変更することを特徴とする水耕栽培方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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