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JP2016208866A - 自動培養装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞又は組織を培養する単回使用の閉鎖系流路を用いた自動培養装置において、弁及びポンプに関する流路設置正常性の確認を可能とする。【解決手段】閉鎖系流路は、ガス混合機328などの気体供給部と、圧力センサ337を有し、気体供給部と圧力センサに接続された第1流路と、加湿ボトル335を介して気体供給部と圧力センサに接続された第2の流路を備えている。コントローラ302の制御により、複数の弁334、336、308等、及びポンプ320の稼働/非稼働に応じ、気体供給部から第1流路に供給される加湿されていない気体の送気による圧力値の上昇或いは下降を、圧力センサ337により計測することにより、流路設置の正常性を判定する。細胞播種時は、加湿ボトルで加湿された気体を流路に供給する。【選択図】図3

Description

本発明は、細胞又は組織を自動操作により培養する培養技術に関する。
細胞を原料とし製造した再生組織を用い臓器等の機能を回復させる再生医療は、従来治療法のなかった疾病に対する根治療法として期待される。治療対象は皮膚、角膜、食道、心臓、骨、軟骨等と多岐に渡り、その臨床応用例も急増している。再生組織の製造工程では患者自身又は他者から採取した生体試料を分離・精製し、増幅・組織化等の加工を行う。この工程は細胞処理施設(CPC:Cell Processing Center)において、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準である適正製造基準(GMP:Good Manufacturing Practice)を満たした標準手順書(SOP:Standard Operating Procedure)に従い実施する。よってCPCの運用には多大なコストと専門の培養技術を有した人材を必要とする。加えて製造工程は手作業を中心とするため、製造量の増加には限界がある。低生産性と製造コスト高が再生医療の普及の妨げとなっており、製造工程の中で特に労力とコストを要する培養作業の自動化が求められている。培養作業の自動化により省力化、コストダウン、大量生産が可能となる。
自動培養装置の例として、例えば特許文献1に示すように、閉鎖空間を有した閉鎖系流路を自動で取り扱う装置がある。閉鎖系流路において、1層の閉鎖系培養容器が流路チューブ等により常時接続された状態であり、閉鎖系培養容器の内部で細胞を培養し再生組織を製造する。閉鎖系流路は、その外部に設置された弁、ポンプ等の稼動により、その内部に保持された液体、気体の移動を可能とする。これにより自動培養装置は、培養空間の閉鎖性を維持した状態のまま細胞播種、培地交換、顕微鏡観察等を自動で実施する。
一方、特許文献2に、半導体製造設備等に使用されるガス配管系装置において、遮断弁、流量計、圧力センサを有し、装置稼働前に、固形物析出による異常を、圧力センサが計測した圧力値を正常値と比較することにより検知する流量検知システムが開示されている。
特開2007−312668号公報 特開2009−054094号公報
上述した従来技術においては、閉鎖系流路は、生物学的汚染を回避するため、閉鎖系流路は単回使用であり、自動培養の度にユーザが自動培養装置内へ新しい閉鎖系流路を設置することが必要である。この際、弁またはポンプへ流路チューブを不適切に設置するといった操作ミスが生じた場合、自動培養が正常に実施されない危険性を有する。よって自動培養装置への流路設置の正常性を確認可能なシステムが必要である。また設置後の流路において細胞の培養がなされるが、流路設置確認時の閉鎖系流路内が細胞の培養に適した環境ではないままに播種等の操作がなされた場合、良好な再生組織が製造できない危険性を有する。よって流路設置正常性を確認後、細胞の培養に適した環境へ変更する必要がある。
ここで、特許文献2に開示されている流量検知システムの気体供給部と圧力センサを用い、閉鎖系流路内の異常を圧の変化により検知することが考えられる。
しかしながら、自動培養装置における閉鎖系流路は細胞の培養を目的とするものであり、清浄性を維持した状態で流路設置正常性を確認する必要がある。閉鎖系流路外に配置されたポンプ、弁に対し設置することとなるが、ここで万一設置時に閉鎖系流路を不適切に設置する操作ミスが生じた場合、自動培養が正常に実施されない危険性を有する。また、流路設置正常性の確認後において最終的に細胞に対し、適切な環境を実現している必要がある。細胞の培養結果は、細胞が晒される環境に左右されるものであり、仮に細胞が適切な環境下で培養されなかった場合、培養後に得られる再生組織の品質が良好ではない危険性がある。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、流路設置時に清浄性を維持した状態で流路設置正常性を確認しつつ、培養に適した環境を確立し、培養後の再生組織の品質を良好なものとすることが可能な自動培養装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明においては、自動培養装置であって、細胞が保持される培養容器と、気体供給部と、圧力センサと、加湿ボトルと、流体或いは気体の送液或いは送気を行うポンプと、これらを接続する流路と、流路を開閉する弁と、気体供給部、ポンプ、及び弁を制御する制御部とを備え、制御部は、流路設置正常性確認時は、加湿ボトルで加湿されていない気体を流路に供給し、圧力センサで流路の正常設置の確認を行い、細胞播種時は、加湿ボトルで加湿された気体を流路に供給するよう制御する構成の自動培養装置を提供する。
本発明によれば、培養前において、清浄性を維持した状態で閉鎖系流路が正常に設置されていることを確認することが可能な自動培養装置を提供できる。
実施例1に係る、自動培養装置の一構成を示す図である。 実施例1に係る、閉鎖系培養容器の一例を示す図である。 実施例1に係る、閉鎖系培養容器の一例を示す図である。 実施例1に係る、閉鎖系培養容器を含む流路回路の一例を示す図である。 実施例1に係る、閉鎖系流路の設置正常性を確認する手順例を示す図である。 実施例1に係る、閉鎖系流路の設置正常性を確認する手順例を示す図である。 実施例1に係る、自動培養装置の制御機構の一例を示す図である。 実施例1に係る、自動培養装置の稼働時のフローを示す図である。 実施例1に係る、閉鎖系流路の設置正常性を確認する手順例を示すフロー図である。
以下、図面に従い本発明を実施するための実施例を説明する。
実施例1は、細胞が保持される培養容器と、気体供給部と、圧力センサと、加湿ボトルと、流体或いは気体の送液或いは送気を行うポンプと、これらを接続する流路と、流路を開閉する弁と、気体供給部、ポンプ、及び弁を制御する制御部とを備え、制御部は、流路設置正常性確認時は、加湿ボトルで加湿されていない気体を流路に供給し、圧力センサで流路の正常設置の確認を行い、細胞播種時は、加湿ボトルで加湿された気体を流路に供給するよう制御する構成の自動培養装置の実施例である。
まず、図1を用い、閉鎖系培養容器を用いて培養を行う本実施例の自動培養装置の構成要素を説明する。自動培養装置は、培養温度である37℃にて細胞を培養する空間であるインキュベータ103、インキュベータ103に設置された培養容器部100、顕微鏡108、細胞ボトル112、細胞や培地を送液する送液機構117を有する流路部116、内部に培地の入った培地ボトル113及び培養上清を回収する培養上清バッグ114を保管する冷蔵庫115、培養容器部100内の閉鎖系培養容器101へ5%C2を含む空気等を供給する気体供給部105、電源ボックスを含み、送液機構117を含め、自動培養装置全体を制御する制御部102、制御用端末110等から成る。
培養容器部100内の閉鎖系培養容器101の個数は1個でも複数個でも良い。また閉鎖系培養容器101は、流路部116中の流路チューブ等を介し、細胞ボトル112、培地ボトル113、培養上清バッグ114等と常時連結している。なお、本明細書において、細胞ボトル112、培地ボトル113、更には培養上清バッグ114を総称して保持部と呼ぶ場合がある。閉鎖系培養容器101内の細胞は顕微鏡108により適宜観察する。制御部102に制御される、流路部116の送液機構117は、閉鎖系培養容器101に対し、培地等を送液する電磁弁、チューブポンプ等の駆動系を構成する。
この自動培養装置は、細胞培養に際し、閉鎖系培養容器101への細胞懸濁液の送液による細胞播種、温度及び気体環境等を維持する培養、古い培地を排出し新しい培地を供給する培地交換、顕微鏡による細胞観察等を実施する。自動培養装置の実施する工程を本例では細胞播種、培地交換、培養、顕微鏡観察としたが、一部の工程を手作業により代替しても適用可能であることは云うまでもない。
図2A、図2Bを用い、本実施例の閉鎖系培養容器の基本的な構成要素の一例を説明する。閉鎖系培養容器は内部に生体試料である細胞、再生組織を保持する。よって培養前に滅菌処理により無菌化する。例えば素材をポリスチレンとする場合、使用前にγ線照射またはエチレンオキシダイドガス処理による滅菌操作を施すことによる無菌化が可能である。上記ではポリスチレンを例としたが、生体試料にとって有害ではない素材で滅菌が可能であれば適用可能であることは云うまでもない。また有害物質等を発することのない医療用途の品質のものが好ましい。
閉鎖系培養容器は、流路チューブと接続可能なコネクタ部を除き閉鎖空間を形成する。本例では、2層培養の場合と1層培養の場合とを示している。図2Aは2層培養の場合を示しており、手培養での細胞培養において一般に使用する培養皿201及びセルカルチャーインサート202を内部に組み込み閉鎖空間を形成している。例えばフィーダー細胞を用いた上皮系細胞に対する2層培養を可能とする。図2Bは1層培養の場合を示しており、手培養での細胞培養において一般に使用する培養皿201を内部に組み込み閉鎖空間を形成している。例えば心筋細胞に対する1層培養を可能とする。ここでは手作業での細胞培養において一般に使用する各種培養容器を組み込んだものを示したが、それを用いず、一体成型で一般に使用する培養容器を組み込んでいない培養容器を使用しても良い。
両方の閉鎖系培養容器共に、自動培養時は、流路チューブ203を介し閉鎖系流路回路に常時接続している。流路チューブは閉鎖系培養容器が有するコネクタ204に取り付ける。図2Aは2層培養であるため、片方の層につき供給用及び排出用コネクタを設置し、よって計4個のコネクタを有する。図2Bでは1層培養であるため、計2本のコネクタを有する。
図3により、本実施例の閉鎖系培養容器を用い自動培養装置にて再生組織を製造する場合の閉鎖系流路の回路の一例を示す。閉鎖系培養容器と、閉鎖系培養容器への培地または気体の、供給または排出に関する送液を制御する送液機構を備える。
図3では1層の閉鎖系培養容器が1個の場合を示しているが、閉鎖系培養容器を並列的に配置することにより、同時に複数個の閉鎖系培養容器に対する自動培養が可能である。その場合、本図で示した1個の閉鎖系培養容器に至る全流路チューブにおいて、複数個の閉鎖系培養容器を並列的に並べ、かつ、流路チューブを分岐させる。分岐させた各流路チューブ上には弁を配置する。複数個の閉鎖系培養容器を同時培養する場合、各閉鎖系培養容器へ送液または送気を順次行う。これらの弁の開閉は、図示を省略した制御信号を介して、制御部によって制御される。
さらに本例では後述する細胞ボトルを1個使用するが、これは1層の閉鎖系培養容器を用いた培養を例としているためである。2層の閉鎖系培養容器を用いた培養を行う場合、一般に各層で培養する細胞が異なるため、細胞ボトルは2個使用し、それぞれに適切な細胞懸濁液を入れる。そして各細胞ボトルから各層へ送液するため、流路チューブを分岐させる。分岐させた各流路チューブ上には弁を配置する。培養時は、各閉鎖系培養容器の各層へ送液または送気を順次行う。
以下、閉鎖系培養容器への液体または気体の、供給または排出を行う送液制御手段を備えた自動培養装置の実施例を説明する。図3において、インキュベータ301は、制御部を構成するコントローラ302の制御により培養に適した温度にて閉鎖系培養容器を保持する。インキュベータ301と冷蔵庫303内に設置された閉鎖系流路は交換が可能であり、先に説明したように自動培養を実施する度に新たな流路を設置し使用する。尚、閉鎖系培養容器の一部を気体透過膜とした構成の場合、気体透過膜を介し気体を送気することとなるが、インキュベータ301は温度だけでなく気相も制御することとなり、インキュベータ301が閉鎖系培養容器に対する送気手段となる。気相の例は、5%CO2を含む空気である。
図3に示した本実施例の閉鎖系流路の構成を以下説明する。細胞ボトル304は細胞を懸濁した細胞懸濁液を、内部を気密に保持する。細胞ボトル304は流路チューブと連結可能であり、内部に保持した細胞懸濁液はポンプ、弁の稼働により閉鎖系流路内へ送液可能である。ここで稼働、稼働時とはポンプ、弁が開かれた状態の時を意味する。なお、細胞ボトル304は開閉弁305を介し分岐点306に接続される。分岐点306は複数の分岐合流点であり、ひとつは気体導入管307を制御する気体導入弁308に接続され、ひとつは後述する供給管309を制御する供給弁310に接続される。分岐点306からさらに下流には、後述するガス供給管311との換気分岐点312に接続される。
供給管309は培地ボトル313に接続される。培地ボトル313は培地交換用の培地を保持し、温度を低温に維持可能な冷蔵庫303内に保持される。細胞ボトル304の蓋に設けた気圧調整管314は、細胞ボトル内の気圧調整を目的とし、ガス導入弁315で気圧調整管314の開閉を制御する。気体導入管307はフィルタ316を介し気体バッグ317に接続され、気体バッグ317には、気体供給部から供給された、細胞懸濁液または培地のpH値の変化を抑制する気体を至適な濃度で保持する。気体バッグ317は気体導入管318を有し、その先端には逆止弁319が設けられ、インキュベータ301内へ開放されている。逆止弁319は閉鎖系流路内から閉鎖系流路外へ、気体の流れる方向を一方向に制限する。
分岐点306は細胞バッグ304が保持する細胞懸濁液の液面より上方に設けられ、かつ、培地ボトル313が保持する培地の液面より上方に設けられる。換気分岐点312はポンプ320に接続される。ポンプ320をバイパスするように第3ガス開閉弁321が設けられ、送液管322に接続される。送液管322から分岐した位置にはガス開閉弁338を介して排液トラップボトル323が設置される。閉鎖系流路内の気体を閉鎖系流路外へ排出する際、排液トラップボトル323を通過させることで、送液後の閉鎖系流路内に生じた微量な液滴を集め、続く自動培養における影響を排除することができる。
閉鎖系培養容器324は、本体部と蓋部からなる気密された容器である。本図の構成では、図2Bに示した1層構造のものであり、内部に細胞を保持して培養可能である。蓋部には、蓋部を貫通する2つのポート、すなわち、送液ポート325、排出ポート326が設けられている。送液ポート325は流路チューブ203に対応する送液管322に接続され、その開口端は蓋部の内側近傍に設けられている。排出ポート326は流路チューブ203に対応する排出管327に接続され、その開口端は内底面近傍に接して設けられている。排出ポート326の先に開閉弁とポンプを介して排液回収バッグを設置し、排液を回収する。以上の構成を用い、閉鎖系培養容器内を常圧に保ちつつ、閉鎖系培養容器への送液、及び、閉鎖系培養容器からの排出を行う。
また閉鎖系培養容器324内へは、図1の気体供給部105より適切な気体を送気する。気体供給部はガス混合機328と、例として減圧調整された100%CO2ボンベ329、窒素ボンベ330とから成る。大気に開放されたフィルタ331が接続され、フィルタ331を介し清浄な空気を取り込むことができる。ガス混合機328は任意のガス濃度を生成することが可能であり、一例として5%CO2を含む空気が必要な場合、フィルタ331から供給される空気を用い、100%CO2ボンベ329から供給されるCO2ガスを希釈し目的のガス濃度を生成する。また低酸素ガスとして5%CO2、1%O2ガスが必要なとき、窒素ボンベ330で100%CO2ボンベ329から供給されるCO2ガスを希釈し目的のガス濃度を生成する。
本実施例の構成にあっては、流量調整機332がフィルタを介してガス混合機328に接続され、ガス混合機328で目的の気体濃度に調整された気体の流量を、ゼロから任意の量に制御する。流量調整機332から下流側の途中で分岐され、第1流路を構成する換気管311に第2流路を構成する加湿管333が接続される。第1流路である換気管311は、第1ガス開閉弁334を有する。第2流路である加湿管333は、滅菌水を内部に保持した加湿ボトル335と、加湿管333を制御する第2ガス開閉弁336に接続される。第1ガス開閉弁334と第2ガス開閉弁336は合流し、換気管311を通じて前記した換気分岐点312に接続される。
細胞培養中の液体培地はpH値が径時的に変化することを防止するため、定期的に適切なCO2ガス濃度の気体を閉鎖系培養容器324内へ送気する。またこの時、液体培地の蒸発による液体培地成分の濃縮を防止する必要があるため、あらかじめ気体は加湿ボトル335を通過することにより加湿する。具体的には加湿ボトル335内で泡末状にし、内部の気相に滞留した後、各管を通過し閉鎖系培養容器324まで送気する。
気体バッグ317は、閉鎖系流路内に気体供給部105からの気体を充填する役割を担うが、気体バッグ317に気体を必要量充填するときは、第1ガス開閉弁334と気体導入弁308を開放した後、ガス混合機328より調整された気体が流量調整機332の流量調節により、各管を通過し気体バッグ317に到達させる。そして気体バッグ317内に保持した気体を用い、送液及び送気を行う。後で詳述する流路設置正常性確認システムのため、圧力センサ337が閉鎖系流路内に設置されている。
上述の通り、本実施例の自動培養装置における閉鎖系流路は単回使用であるため、自動培養を実施する度に設置を行う。以下、本実施例における、主な設置作業を説明する。弁に対しては、各弁に設置する流路チューブを両手に持ち、弁の駆動部へ押し込む。稼働時に流路チューブが外れないようにする。ポンプに対しては、例えばポンプがポンプヘッドとポンプ駆動部に分離でき、流路チューブがポンプヘッドと連結するタイプの場合、流路チューブをポンプヘッドへ設置後、ポンプ駆動部へポンプヘッドをはめ込む。これらは一般に手作業での実施が想定され、例えば弁及びポンプと、そこへ対応する流路チューブにラベルをあらかじめ貼り付け、設置時は両者を対応させつつ行うことで、設置間違いの発生確率を下げることが考えられる。この作業は全てのポンプ、弁に対し実施する必要がある。
図3では1個の1層の閉鎖系培養容器を用いた回路を示したが、閉鎖系培養容器の個数がn倍となれば、その部分の流路チューブの本数もn倍となる。また閉鎖系培養容器の層数を1層から、図2Aに示した2層構造へ変更すれば、同じく流路チューブの本数は2倍となる。培養容器の個数または層数の変更により、並行するように増やした流路チューブ全てに対しポンプ、弁を設置する必要はなく共用で使用することが可能な回路部分もあるものの、共用で使用できない回路部分もある。特に弁は基本的に増加した流路チューブ上の全てに1個ずつ追加で設置する。このようにポンプ、弁の個数が増えた場合、手作業で設置後の流路設置正常性を制御部の制御により自動で確認可能であることは、ヒューマンエラー防止の観点で重要である。仮に何らかの原因により設置ミスが生じたり、或いは取り付け忘れが生じたりした場合、自動培養も正常に実施されないこととなる。
以下、本実施例の構成における、制御部の制御により、流路設置正常性を確認する流路設置正常性確認システムの原理について説明する。図3で示した通り、閉鎖系流路内には圧力センサ337が設置されている。設置正常性は、手作業で実施する弁、ポンプへの流路チューブの設置作業が正常になされたことを確認することで判定される。非稼働時において弁またはポンプが閉じた状態の時、流路チューブの内部において、気体を移動させることのない圧は、弁及びポンプの仕様により決定される。封止可能な圧以下の気体を送気した場合、その部分を気体は通過しないこととなる。つまり気体供給部から、弁及びポンプの仕様により決まる封止可能な圧の気体を送気した場合、圧力センサ337における圧力値は変化しない。逆に稼働時では弁及びポンプが開かれ、流路チューブを封止していないため、流路チューブの内部を気体は通過することができ、よって圧力センサ337において送気前より高い圧力値が計測される。本実施例の構成における流路設置正常性確認システム、正常性確認プロトコルは以上の現象を基本とする。
また、正常性確認プロトコルにおいて、弁、ポンプの流路設置正常性を確認する際に使用する気体は、加湿ボトルを通過しない第1ガス開閉弁334を通過した低湿の気体を用いる。理由は、正常性確認プロトコルに際し、何らかの原因で温度低下が生じ、閉鎖系流路が有するフィルタ内等に液滴が生じた場合、フィルタ内等を気体が自由に通過できなくなり閉鎖系流路の内外に圧力差が生じ圧力センサ337による圧計測が正常になされない危険性があるためである。
一方、弁、ポンプの設置正常性を確認後、閉鎖系培養容器324内へ細胞を播種する直前に、今度は第2ガス開閉弁336を通過した気体、つまり加湿ボトル335を通過した気体を閉鎖系流路内に充填する。理由は、細胞播種時において閉鎖系流路内が完全に乾燥状態である場合、流路チューブの内壁に細胞懸濁液が付着しやすくなり、結果として細胞損失の危険性があるためである。また送液量の制御も困難となる。加えて、気体供給部105から供給される気体は、培養に適した気体であり、例として5%CO2を含む空気である。細胞播種時、細胞懸濁液は閉鎖系流路内の気相中を送液されるが、細胞ボトルから閉鎖系培養容器まで細胞が送液される時点から細胞懸濁液の周囲にある気体は培養に適した気体となるため、特にpHは培養に適した値を維持することが可能となる。結果として細胞の生育(接着・伸展・増殖)が良好となることが期待される。
本実施例の構成における流路設置の正常性確認プロトコルの全体の流れは次の通りである。最初に気体供給部から圧力センサ337までの最短経路において、気体供給部からの気体送気後、圧力センサ337において計測する圧力値が上昇することを確認する。そして第1ガス開閉弁334及び第2ガス開閉弁336の開閉と、気体導入弁308における設置正常性を確認する。続いて、それ以外の弁、ポンプについて、設置正常性を順次確認作業を行う。
図4A、図7を用いて、最初に実施する、気体供給部105から圧力センサ337までの最短経路における圧力センサ337の圧力値上昇の確認と、第1ガス開閉弁334、第2ガス開閉弁336、気体導入弁308の設置正常性の確認について、具体的に説明する。図4Aは、気体供給部105から圧力センサ337までの最短経路において、気体供給部から送気された気体が充填される範囲を示したものである。
図7の流路設置正常性確認システムの制御フローに従い、図4Aに示す範囲の流路回路の設置正常性を確認する。まず、全電磁弁・チューブポンプを非導通とし(701)、気体供給部から、図4Aが示す回路の部分339に対し送気する(702)。そして、圧力センサ337により圧計測を開始する(703)。各弁に対し、最初に非稼働状態で送気した気体を高圧状態で封止可能か評価する。すなわち、ステップ704において、圧計測結果が、圧無変化、圧上昇かを判定する。これにより回路の部分339の各弁において流路チューブが外れていないこと、破損等により気体漏出が生じていないことを確認する。
もし、圧無変化の場合、その原因は以下の何れかである(705)。すなわち、
・弁334または弁336が正常に設置されていない、且つ、弁308が正常に設置されていない。
・弁334または弁336が正常に設置されていない、且つ、弁305が正常に設置されていない。
・弁334または弁336が正常に設置されていない、且つ、弁321かつ弁338が正常に設置されていない。
・弁334及び弁336までの流路チューブが破損し気体が漏出している。
そこで、上記の原因箇所をチェックして対応の上、最初に戻り、確認を行う。複数回確認後もこのステップ705に戻る場合、流路チューブが破損していると判定し、流路チューブを交換する。
一方、圧上昇の場合は、以下の状態の何れかである(706)。すなわち、
・弁334及び弁336は正常に設置。
・弁334または弁336が正常に設置されていない、且つ、弁308、弁310、弁305、弁321、ポンプ320全てが正常に設置されている。
・弁334または弁336が正常に設置されていない、且つ、弁308、弁310、弁305、ポンプ320が正常に設置されている、及び弁321が正常に設置されていない、且つ、弁338が正常に設置されている。
次に、流路設置正常性確認システムは、図7のステップ706に引き続いて、同図に示すフローの各ステップ707〜722を、同様に順次実行して行くことにより、部分339の第1ガス開閉弁334、第2ガス開閉弁336、及び気体導入弁308の設置正常性の確認が終了する。
続いて、ここまでに確認を完了した部分339の第1ガス開閉弁334、第2ガス開閉弁336、気体導入弁308以外の弁、ポンプについて、設置正常性を順次確認する。すなわち、図4Bが示す回路の部分340に示す状態となるよう弁を稼働させ、圧力センサ337において圧が上昇した状態を維持していることを確認する。この時点で、第1ガス開閉弁334、第2ガス開閉弁336、気体導入弁308以外の弁、ポンプは、非稼働状態において、流路チューブが正常に設置されていること、また、この回路部分では破損による気体漏出が生じていないことが確認されたことになる。
続いて、第1ガス開閉弁334、第2ガス開閉弁336、気体導入弁308以外の弁、ポンプ、例えば弁305を稼働させる。弁305が正常に稼働した場合、稼働前の時点では圧力センサ337は高い圧力値を示していたのに対し、稼働後は気体がフィルタ315を通り閉鎖系流路外へ移動することとなるため、圧力値は低下する。その場合、弁305は正常に稼働したと判定する。圧力値が低下しなかった場合、弁305は正常に稼働せず故障していると判定する。同様の操作を弁308、弁321、ポンプ320に対し実施することにより、それらが正常に稼働していると判定することができる。
尚、閉鎖系培養容器324よりも下流にある弁、ポンプについては、流路設置正常性確認システムを用いた設置正常性を確認することができないため、目視により確認を行う。全ての弁、ポンプの確認を終えた時点で、流路設置正常性確認の完了とみなす。その後、細胞播種を実施する直前に、前述した通り、加湿された培養に適した気体を気体供給部105から閉鎖系流路内に送気し充填し、その状態で細胞ボトルから細胞懸濁液を送液し、閉鎖系培養容器324への播種を行う。
以上説明した、本実施例の自動培養装置における、制御部の制御により実行される流路設置正常性確認システムにおける確認、制御事項は下記の通りである。
確認対象とする弁において、非稼働時、気体を流路内に封止しているにもかかわらず圧力センサが測定する圧力値が上昇しない場合、確認対象とした弁に対し流路が正常設置されていない、或いは流路が破損していると判定する。
確認対象とする弁において、稼働時、気体を流路内に封止していないにもかかわらず圧力センサが測定する圧力値が下降しない場合、確認対象とした弁は故障していると判定する。
確認対象とするポンプにおいて、非稼働時、気体を流路内に封止しているにもかかわらず、圧力センサが測定する圧力値が上昇しない場合、確認対象としたポンプに対し流路が正常に設置されていない、或いは、流路が破損していると判定する。
確認対象とするポンプにおいて、稼働時、気体を流路内に封止していないにもかかわらず、圧力センサが測定する圧力値が下降しない場合、確認対象としたポンプは故障していると判定する。
制御部は、流路設置確認後に気体供給部より細胞の培養に適した気体を供給し、流路内全体を培養に適した気体で充填するよう制御する。
流路は、一方の端が気体供給部に接続され、他方の端が圧力センサに接続された第1流路と、一方の端が気体供給部に接続され、他方の端が圧力センサに接続され、その間に加湿ボトルが接続された第2流路とを含み、弁は、第1流路に接続され、第1流路を流れる気体を制御する第1弁と、第2流路に接続され、第2流路を流れる気体を制御する第2弁とを含み、制御部は、気体供給部から、第1弁及び第2弁を含む弁それぞれの開閉条件を異ならしめた状態で、開閉条件ごとに第1流路に加湿されていない気体を供給するよう制御し、圧力センサは、開閉条件ごとに圧力を測定する。また、制御部は、流路の正常設置の確認後に加湿ボトルから第2流路に加湿された気体を供給し、流路内全体を加湿された気体で充填するよう制御する。
図5は本実施例の閉鎖系培養容器501を含む自動培養装置の機能構成例を説明するブロック図である。制御部である制御装置502により制御される各構成要素が、インキュベータ103に対応するインキュベータ503の内部に配置された閉鎖系培養容器501に接続された全体構成図である。尚、インキュベータ503内に配置されるものは、前述の閉鎖系培養容器101、201、或いは自動培養装置内に設置された当該培養容器であることは言うまでもない。
図5において、制御装置502には、インキュベータ503の温度を制御するための温度調節部504と、閉鎖系培養容器内の気体濃度を制御するための、気体供給部505を有する気体濃度調節部506と、閉鎖系培養容器201内の培地を自動で交換するための流路回路に設置されたポンプ507と、それぞれの構成要素の動作を制御することを目的とした細胞観察用の顕微鏡108に対応する顕微鏡508、CO2・O2センサ509が接続されている。
制御部102、コントローラ302に対応する制御装置502と、制御用端末110の表示画面510は、CPU(Central Processing Unit;中央処理部)から成る処理部、記憶部や、ディスプレイ、キーボードから成る入出力部等を備えた通常のコンピュータの、処理部および記憶部とディスプレイの表示部にそれぞれ対応している。制御装置502は、記憶部で記憶された各種プログラムを、処理部としてのCPU上で動作させる。これにより、流路部の送液機構117の制御に加え、温度調整部504、気体供給部505、ポンプ507、顕微鏡508、CO2・O2センサ509、気体濃度調整部506、細胞ボトル・培地ボトル・培養上清バッグ512により、インキュベータ503中の培養環境を制御し、閉鎖系培養容器501中での所定の培養工程の実施を可能とする。
気体濃度調節部506は、閉鎖系培養容器501に直接接続されている必要はない。温度調節部504、気体濃度調節部506と、CO2・O2センサ509がインキュベータ503に接続された構成でも構わない。この構成の場合、閉鎖系培養容器501へは容器外から気体を供給する必要があるため、閉鎖系培養容器501の蓋部の一部に、PC、PS、ポリメチルペンテン等の気体透過性を有した透明な薄膜を溶着し、閉鎖系培養容器501内部の気体交換を可能とすることで細胞培養を可能とすることができる。
次に図6を用いて、以上の機能・構成を有する閉鎖系培養容器を含む本実施例の自動培養装置を用い、再生組織を製造し、製造後に回収・輸送する時の一連の手順を示す。
<ステップS1:スタート>
事前に閉鎖系培養容器を含む流路を自動培養装置に設置する。流路は閉鎖系培養容器、細胞懸濁液の入った細胞ボトル、培地の入った培地ボトル、培養上清を回収する培養上清バッグ等と、それらをつなぐ流路チューブから成る。流路を設置後、設置正常性を確認する。
続いて自動培養装置を起動させる。作業者が制御装置にある操作部のスタートスイッチを押し起動する。尚、装置内はあらかじめ消毒或いは除菌の実施により清浄な環境となっている。続いて制御部のディスプレイの操作画面にて自動培養装置の内部環境が適切であることを確認する。例えばインキュベータの温度が37℃であることを確認する。これらの数値は限定的なものでなく、例えば温度は0℃から45℃の範囲より選択可能である。
<ステップS2:スケジュール決定>
自動培養装置の実施する自動培養スケジュールを決定する。細胞播種、培地交換、培養上清回収、気体交換、顕微鏡観察、検査用組織回収、移植用組織回収等の操作を行う日時、液量等の条件を制御部の操作部より入力する。
<ステップS3:細胞播種>
適切な電磁弁を開閉後、ポンプを作動させ細胞ボトルより細胞懸濁液を吸引する。細胞懸濁液を閉鎖系培養容器まで送液する。全ての閉鎖系培養容器に対し播種終了後、閉鎖系培養容器を設置する培養容器ベースに取り付けたアクチュエータを作動させ培養容器ベースへ傾きを与え揺動し細胞分布を一様化する。
<ステップS4:細胞の培養>
細胞播種直後、各培養容器の内部へ所定量の気体を送気する気体交換を行う。気体交換は培養期間中、1日に数回程度の頻度でも実施する。供給する気体は例としてCO2濃度5%を含む空気を用いる。気体は各閉鎖系培養容器へガスボンベから気体フロメータにより流量を制御し加湿ボトルを通し、水分子を飽和させた状態で供給する。閉鎖系培養容器へ送気後の不要な気体はフィルタを介し流路外へ排出する。フィルタは必要に応じ流路内の圧力を調整する。フィルタは、例えば0.22μm以上の粒子を通さない品質のものを使用する。
その後は閉鎖系培養容器を水平に静置した状態で所定時間、培養する。培養中はインキュベータにより37℃に維持する。装置内の空気はファンにより常に攪拌し、温度分布が常に一様となるようにする。尚、装置にパーティクルカウンタや生菌数計測装置を取り付け、清浄度のモニタリングにより製造安全性の向上が可能である。
<ステップS5:顕微鏡による観察>
自動培養装置内に設置した顕微鏡を用い細胞画像を取得する。自動培養装置内に設置した光源を適宜発光させ、細胞に焦点を合わせ撮像する。取得した細胞画像は制御部内のデータベースに保存し、自動培養装置の制御用端末上で閲覧し細胞の状態を作業者が適宜確認する。また自動細胞撮影時以外は作業者が必要に応じ顕微鏡を手作業で操作し、細胞の観察、撮影を行う。
<ステップS6:培地交換>
培地交換は培養期間中、数日に一度の頻度で実施する。冷蔵庫内で4℃にて保管されている培地を予熱ボトルまで送液し予熱する。最初に閉鎖系培養容器から古い培地を排出する。この時、アクチュエータにより閉鎖系培養容器を傾け排出効率を向上させる。排出後、速やかに新しい培地を閉鎖系培養容器内へ供給する。古い培地は最終的に培養上清バッグへ排出する。必要に応じ培養上清バッグ内の培養上清を回収し、培地成分分析により細胞の生育状態を評価する。尚、培地交換は古い培地が入った状態で新しい培地を押し出す方式により実施しても構わない。
<ステップS7:検査用組織の回収>
移植予定日の前日、複数個の閉鎖系培養容器を同時培養している場合は、閉鎖系培養容器の一部を検査用に回収する。自動培養装置の扉を開け、検査用の閉鎖系培養容器の流路チューブを熱溶着等の手段により無菌切断し取り出す。取り外した閉鎖系培養容器は安全キャビネット又はCPC外へ輸送し、速やかに検査を実施する。例えば生体試料の細胞数、生存率、特定タンパク質の発現等を評価する。
<ステップS8:移植直前の培養及び培地交換>
ステップS4と同じ操作による培養を行う。そしてステップS9を実施する直前に、ステップS6と同じ操作による培地交換を行う。必要に応じステップS5と同じ操作による顕微鏡観察も実施する。
<ステップS9:移植用組織の回収及び輸送>
ステップS7による評価の結果、移植に適した状態と判定した場合、生体試料を回収し再生医療治療に用いる。ステップS6と同じ操作により、輸送用培地への培地交換を行う。この時、インサート容器内に十分量の輸送用培地が充填されるようにする。輸送用培地の量は図4Bに示した通りである。続いてS7同様、閉鎖系培養容器を流路から無菌的に分離させインキュベータから取り出す。そして出荷室にて輸送容器内へ閉鎖系培養容器を収容する。輸送容器は蓄熱材または蓄冷材、気密容器、包装等から成り、輸送ルート、要する時間に応じ仕様を選択する。これにより輸送中の全行程にわたり温度、圧力、衝撃等の影響を回避する。輸送容器に閉鎖系培養容器を梱包後、CPC外へ運び出す。必要に応じ車両、鉄道、航空機、手運び等の手段により手術室まで輸送する。
手術室での治療前には、必要に応じ受入検査として顕微鏡による細胞観察を行う。閉鎖系培養容器は、自動培養時に顕微虚観察が可能な透明性を有するため、閉鎖系培養容器内に再生組織を収容したまま、つまり清浄性を維持したまま、受入検査として再生組織の顕微鏡観察が可能である。尚、短距離輸送の場合は輸送直前と状態はほとんど変わらないことが想定されるため、作業者の判断により実施しなくともよい。
<ステップS10:移植>
手術室へ到着後、再生組織を閉鎖系培養容器から取り出す。開封時、閉鎖系培養容器の外側は菌等の生物や粒子が付着している可能性があるため、閉鎖系培養容器内が清浄性を維持するよう無菌的に開封する。最初に閉鎖系培養容器の蓋部を取り外す。この時点において、第1容器内は気相を有した状態である。よって閉鎖系培養容器を水平状態にし蓋部を取り外せば、閉鎖系培養容器外へ輸送用培地が漏出することを回避できる。また第1容器内からインサート容器を取り出す場合、インサート容器の外側である第1容器内の気相により、同じく閉鎖系培養容器外への輸送用培地の漏出を回避できる。或いは、インサート容器内に満たされた輸送用培地を、インサート容器を取り出す際に、事前にインサート容器から第1培養容器へインサート容器を傾けることで移動させる。これによりインサート容器内の輸送用培地量が少ない状態で閉鎖系培養容器外でハンドリングすることが可能となる。その後、インサート容器から再生組織を取り出す。別の方法として、閉鎖系培養容器内にインサート容器が収容されたまま、インサート容器から直接再生組織を取り出す。
<ステップS11:終了>
再生組織を取り出した後の閉鎖系培養容器は、医療用廃棄物として適切に廃棄する。自動培養装置は、培養に用いた流路を取り外し、装置内部への適切な操作により、滅菌ガスによる滅菌或いはエタノールによる消毒を施し清浄状態にする。自動培養装置の各種ソフトを終了させ、自動培養装置の作動を終了させる。
以上のように構成された閉鎖系培養容器を含む自動培養装置の好適な実施形態によれば、培養時において無菌性を維持した培養を実現すると共に、製造後の輸送時においてシアストレスによる細胞への影響の回避と、閉鎖系培養容器の内部の清浄性維持が可能となる。結果として再生医療治療を安全に実施することができる。
以上、詳述したように、本発明の自動培養装置においては、培養に使用する閉鎖系流路は、気体供給部、圧力センサを有し、気体供給部が保持する気体は、培養対象とする細胞種に応じた、培養に適した種類の気体とすると共に、培養時において気体供給部から供給された気体を加湿することを目的とした加湿ボトルを設置し、加湿ボトルを経由する流路と、それに並行した加湿ボトルを経由しない流路を有する構成を有する。
この構成により、閉鎖系流路の外部にはポンプ、弁等が設置され、これらポンプ、弁の稼働により、閉鎖系流路の内部に保持された液体、気体の移動を可能とすると共に、これらの構成を用い、流路を手作業で設置後、かつ、自動培養の開始前に、制御部の制御により、閉鎖系流路の設置正常性を自動で確認する流路設置正常性確認システムを稼働する。気体供給部から供給された気体に対し、加湿ボトルを経ない流路を通過させることにより、非加湿の気体を用い設置正常性を確認する。すなわち、適切に閉鎖系流路がポンプ、弁に設置されている場合に圧力センサが計測する値をあらかじめ求めておき、その値との比較により、閉鎖系流路の設置の正常/異常を判定することが可能となる。
更に、本発明の自動培養装置においては、設置正常性確認の終了後、気体供給部が保持している培養に適した気体に対し、加湿ボトルを経由する流路を通過させ加湿し、それを閉鎖系流路内に充填し。その状態で、再生組織の原料となる細胞を、閉鎖系流路内を閉鎖系培養容器まで移動させることにより播種し自動培養を開始するという構成により、最初に閉鎖系流路の設置正常性を確認し、続いて細胞播種直前に閉鎖系流路内を細胞の培養に適した環境へ変え、その状態で細胞播種を行う。結果として良好な品質を有した再生組織の製造を実現することが可能となった。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。更に、上述した各構成、機能、制御装置等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成して実現しても良いし、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。
201 培養皿
202 セルカルチャーインサート
203 流路チューブ
204 コネクタ
301 インキュベータ
302 コントローラ
303 冷蔵庫
304 細胞ボトル
305 開閉弁
306 分岐点
307 気体導入管
308 気体導入弁
309 供給管
310 供給弁
311 ガス供給管
312 換気分岐点
313 培地ボトル
314 気圧調整管
315 ガス導通弁
316 フィルタ
317 気体バッグ
318 気体導入管
319 逆止弁
320 ポンプ
321 第3ガス開閉弁
322 送液管
323 排液トラップボトル
324 閉鎖系培養容器
325 送液ポート
326 排出ポート
327 排出管
328 ガス混合機
329 100%CO2ボンベ
330 窒素ボンベ
331 フィルタ
332 流量調整機
333 加湿管
334 第1ガス開閉弁
335 加湿ボトル
336 第2ガス開閉弁
337 圧力センサ
338 ガス開閉弁
501 閉鎖系培養容器
502 制御装置
503 インキュベータ
504 温度調節部
505 気体供給部
506 気体濃度調節部
507 ポンプ
508 顕微鏡
509 CO2・O2センサ
510 表示画面
511 温度センサ
512 細胞ボトル・培地ボトル・培養上清バッグ

Claims (8)

  1. 自動培養装置であって、
    細胞が保持される培養容器と、気体供給部と、圧力センサと、加湿ボトルと、流体或いは気体の送液或いは送気を行うポンプと、これらを接続する流路と、前記流路を開閉する弁と、前記気体供給部、前記ポンプ、及び前記弁を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    流路設置正常性確認時は、前記加湿ボトルで加湿されていない気体を前記流路に供給し、前記圧力センサで前記流路の正常設置の確認を行い、細胞播種時は、前記加湿ボトルで加湿された気体を前記流路に供給するよう制御する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  2. 請求項1に記載の自動培養装置であって、
    前記流路は、一方の端が前記気体供給部に接続され、他方の端が前記圧力センサに接続された第1流路と、一方の端が前記気体供給部に接続され、他方の端が前記圧力センサに接続され、その間に前記加湿ボトルが接続された第2流路と、を含み、
    前記弁は、前記第1流路に接続され、前記第1流路を流れる気体を制御する第1弁と、前記第2流路に接続され、前記第2流路を流れる気体を制御する第2弁と、を含み、
    前記制御部は、前記気体供給部から、前記第1弁及び前記第2弁を含む前記弁それぞれの開閉条件を異ならしめた状態で、前記開閉条件ごとに前記第1流路に加湿されていない気体を供給するよう制御し、前記圧力センサは前記開閉条件ごとに圧力を測定する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  3. 請求項1に記載の自動培養装置であって、
    前記制御部は、
    確認対象とする前記弁において、非稼働時、気体を前記流路内に封止しているにもかかわらず前記圧力センサが測定する圧力値が上昇しない場合、確認対象とした前記弁に対し前記流路が正常設置されていない、或いは、前記流路が破損していると判定する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  4. 請求項1に記載の自動培養装置であって、
    前記制御部は、
    確認対象とする前記弁において、稼働時、気体を前記流路内に封止していないにもかかわらず前記圧力センサが測定する圧力値が下降しない場合、確認対象とした前記弁は故障していると判定する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  5. 請求項1に記載の自動培養装置であって、
    前記制御部は、
    確認対象とする前記ポンプにおいて、非稼働時、気体を前記流路内に封止しているにもかかわらず、前記圧力センサが測定する圧力値が上昇しない場合、確認対象とした前記ポンプに対し前記流路が正常に設置されていない、或いは、前記流路が破損していると判定する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  6. 請求項1に記載の自動培養装置であって、
    前記制御部は、
    確認対象とする前記ポンプにおいて、稼働時、気体を前記流路内に封止していないにもかかわらず、前記圧力センサが測定する圧力値が下降しない場合、確認対象とした前記ポンプは故障していると判定する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  7. 請求項1に記載の自動培養装置であって、
    前記制御部は、
    流路設置確認後に前記気体供給部より細胞の培養に適した気体を供給し、前記流路内全体を培養に適した気体で充填するよう制御する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
  8. 請求項2に記載の自動培養装置であって、
    前記制御部は、
    前記流路の正常設置の確認後に前記第2流路に加湿された気体を供給し、前記流路内全体を加湿された気体で充填するよう制御する、
    ことを特徴とする自動培養装置。
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