以下に図面を参照して、印刷装置、印刷システム、および印刷方法の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の印刷装置は、プラズマ処理部を備える。プラズマ処理部は、被処理物をプラズマ処理する。
本実施の形態において用いる被処理物は、例えば、非浸透性の記録媒体、緩浸透性の記録媒体、浸透性の記録媒体である。
非浸透性の記録媒体とは、実質的にインクなどの液滴が浸透しない記録媒体をいう。「実質的に浸透しない」とは、1分後の液滴の浸透率が5%以下であることをいう。非浸透性の記録媒体としては、例えば、アート紙、合成樹脂、ゴム、コート紙、ガラス、金属、陶器、木材などが挙げられる。また、機能付加の目的で、これら材質を複数組み合わせて複合化した基材も使用できる。また、普通紙などに、これらの非浸透性の層(たとえば、コート層)を形成した媒体を用いてもよい。
また、緩浸透性の記録媒体とは、10pl(ピコリットル)の液滴を記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100m秒以上である記録媒体をいい、具体的にはアート紙などが挙げられる。浸透性の記録媒体とは、10plの液滴を記録媒体上に滴下した場合に全液量が浸透するまでの時間が100m秒以下である記録媒体であり、具体的には普通紙、多孔質紙などである。
本実施の形態の印刷装置は、被処理物として、非浸透性の記録媒体、または緩浸透性の記録媒体を適用した場合に、特に効果的である。
なお、以下では、被処理物を、記録メディア、または、記録媒体と称する場合がある。
本実施の形態の印刷装置は、被処理物をプラズマ処理する。具体的には、本実施の形態の印刷装置は、被処理物の表面をプラズマ処理する。
被処理物の表面をプラズマ処理すると、被処理物表面の濡れ性が向上する。被処理物表面の濡れ性が向上すると、プラズマ処理された被処理物に着弾したドットが素早く拡がる。このため、被処理物の表面のインクを素早く乾燥させることが可能となる。このため、インク顔料の分散が防止されつつ顔料が凝集する。その結果、ビーディングやブリーディングなどの発生の抑制を図ることができる。ビーディングとは、隣り合ったドットが引き付けあうなどにより、ドットが合一する現象である。ブリーディングは、異なる色間での滲みを示す。
詳細には、プラズマ処理では、プラズマで発生した酸素ラジカルや水酸ラジカル(−OH)、オゾンのような活性種によって表面の有機物が酸化反応し、親水性の官能基が形成される。
このため、プラズマ処理を用いることで、被処理物の表面の濡れ性(親水性)を制御できるだけでなく、被処理物の表面のpH値も制御(酸性化)することが可能になる。また、プラズマ処理を用いることで、プラズマ処理された被処理物上に形成されるインク層に含まれる顔料の凝集性をコントロールすることができる。
また、プラズマ処理を用いることで、浸透性をコントロールしてインクによるドット(以下、単にドットという)の真円度を向上させるとともに、ドットの合一を防止してドットの鮮鋭度や色域を拡げることも可能である。その結果、ビーディングやブリーディングといった画像不良を解決し、高品質な画像が形成された印刷物を得ることができる。また、被処理物上の顔料の凝集厚みを薄く均一にすることにより、吐出するインクの量(以下、インク量と称する場合がある)を削減して、インク乾燥エネルギーの低減および印刷コストの低減を図ることも可能になる。
図1は、本実施の形態で採用するプラズマ処理の概略の説明図である。図1に示すように、本実施の形態で採用されるプラズマ処理には、放電電極11と、カウンタ電極14と、誘電体12と、高周波高圧電源15と、を備えたプラズマ処理装置10を用いる。誘電体12は、放電電極11とカウンタ電極14との間に配置される。高周波高圧電源15は、放電電極11とカウンタ電極14との間に高周波・高電圧のパルス電圧を印加する。
このパルス電圧の電圧値は、たとえば約10kV(キロボルト)(p−p)程度である。また、その周波数は、例えば、約20kHz(キロヘルツ)である。このような高周波・高電圧のパルス電圧を2つの電極間に供給することで、放電電極11と誘電体12との間に大気圧非平衡プラズマ13が発生する。被処理物20は、大気圧非平衡プラズマ13の発生中に放電電極11と誘電体12との間を通過する。これにより、被処理物20の放電電極11側(すなわち、被処理物20の処理対象面側の表面)がプラズマ処理される。
なお、図1には、一例として、プラズマ処理装置10が、回転型の放電電極11とベルトコンベア型の誘電体12とを採用した場合を示した。被処理物20は、回転する放電電極11と誘電体12との間で挟持搬送されることで、大気圧非平衡プラズマ13中を通過する。これにより、被処理物20の処理対象面側が大気圧非平衡プラズマ13に接触し、プラズマ処理が施される。大気圧非平衡プラズマ13は、誘電体バリア放電を利用したプラズマである。
大気圧非平衡プラズマ13によるプラズマ処理は、電子温度が極めて高く、ガス温度が常温付近であるため、被処理物20に対するプラズマ処理方法として好ましい方法の1つである。
大気圧非平衡プラズマ13を広範囲に安定して発生させるには、ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電を採用した大気圧非平衡プラズマ処理を実行することが好ましい。ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電は、たとえば誘電体で被覆された電極間に交番する高電圧が印加することで得ることが可能である。
ただし、大気圧非平衡プラズマ13を発生させる方法としては、ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電以外にも、種々の方法を用いることができる。たとえば、電極間に誘電体などの絶縁物を挿入する誘電体バリア放電、細い金属ワイヤ等に著しい不平等電界を形成するコロナ放電、短パルス電圧を印加するパルス放電などを適用することが可能である。また、これらの方法を2つ以上組み合わせることも可能である。また、本実施の形態におけるプラズマ処理は、大気中で実施されているが、これに限らず、窒素や酸素等のガス雰囲気下で実施されてもよい。
また、図1に例示したプラズマ処理装置10では、被処理物20の搬送方向に合わせて被処理物20を送り出すように回転可能な放電電極11が採用されている。しかし、プラズマ処理装置10は、この構成に限られない。たとえば後述において例示されるような、被処理物20の搬送方向に対して垂直方向(スキャン方向)に移動可能な1つ以上の放電電極が採用されてもよい。
次に、本実施の形態で用いるプラズマ処理について、更に具体的に説明する。
プラズマ処理では、被処理物20に大気中のプラズマ照射を行うことによって、被処理物20の表面の高分子を反応させ、親水性の官能基を形成する。詳細には、放電電極から放出された電子が電界中で加速されて、大気中の原子や分子を励起・イオン化する。イオン化された原子や分子からも電子が放出され、高エネルギーの電子が増加し、その結果、ストリーマ放電(プラズマ)が発生する。
このストリーマ放電による高エネルギーの電子によって、被処理物20(たとえばコート紙)表面の高分子結合が切断され、気相中の酸素ラジカルO*や水酸ラジカル(−OH)、オゾンO3と再結合する。なお、コート紙のコート層は炭酸カルシウムとバインダとしての澱粉で固められているが、その澱粉が高分子構造を有している。
これにより、被処理物20の表面に水酸基やカルボキシル基などの極性官能基が形成される。その結果、被処理物20の表面に親水性や酸性が付与される。それにより、被処理物20の表面の濡れ性が向上すると共に、酸性化(pH値の低下)する。
なお、本実施の形態における酸性化とは、インクに含まれる顔料が凝集するpH値まで被処理物20の表面のpH値を下げることを意味する。pH値を下げるとは、物体中の水素イオンH+濃度を上昇させることである。被処理物20の表面に触れる前のインク中の顔料はマイナスに帯電し、ビヒクル中で顔料が分散している。
図2は、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す図である。図2に示すように、インクは、そのpH値が低いほど、その粘度が上昇する。これは、インクの酸性度が高くなるほど、インクのビヒクル中でマイナスに帯電している顔料が電気的に中和され、その結果、顔料同士が凝集するためである。
したがって、例えば図2に示すグラフにおいてインクのpH値が必要な粘度に対応する値となるように、被処理物20の表面のpH値を下げることで、インクの粘度を上昇させることが可能である。これは、インクが、被処理物20の表面に付着した際、顔料が該表面の水素イオンH+によって電気的に中和され、顔料同士が凝集するためである。それにより、隣接したドット間の混色を防止するとともに、顔料が被処理物20の奥深く(さらには裏面まで)浸透するのを防止することが可能となる。ただし、被処理物20の表面のpH値を、必要な粘度に対応するインクのpH値よりも低くしておく必要がある。
また、インクを必要な粘度とするためのpH値は、インクの特性によって異なる。すなわち、図2のインクAは、比較的中性に近いpH値で顔料が凝集して粘度が上がる。一方、インクBは、顔料を凝集させるためには、インクAより低いpH値とする必要がある。
顔料がドット内で凝集する挙動や、ビヒクルの乾燥速度や被処理物20内への浸透速度は、ドットの大きさによって変わるインクの量(例えば、小滴、中滴、大滴)や、被処理物20の種類や、インクの種類などによって異なる。そこで本実施の形態の印刷装置では、プラズマ処理におけるプラズマエネルギー量を、被処理物20の種類や、吐出されるインクの量や、インクの種類などに応じて最適な値に制御してもよい。
なお、制御時に用いるインクの量は、被処理物20上の単位面積当たりに吐出されるインクの量であってもよいし、1ドットの記録に用いるインクの量であってもよい。本実施の形態では、制御時に用いるインクの量は、1ドットの記録に用いるインクの量である場合を一例として説明する。
図3は、本実施の形態にかかる、プラズマエネルギーと、被処理物20の表面の濡れ性、ビーディング、pH値および浸透性と、の評価結果を示すグラフである。図3では、被処理物20としてコート紙へ印刷した場合の表面特性(濡れ性、ビーディング、pH値、浸透性(吸液特性))がプラズマエネルギーに依存してどのように変化するかを示した。なお、図3に示す評価を得るにあたり、インクには、顔料が酸により凝集する特性の水性顔料インク(マイナスに帯電した顔料が分散されているアルカリ性インク)を使用した。
図3に示すように、コート紙表面の濡れ性は、プラズマエネルギーが低い値(たとえば0.2J/cm2程度以下)で急激に良くなり、それ以上エネルギーを増加させてもあまり改善しなかった。一方、コート紙表面のpH値は、ある程度まではプラズマエネルギーを高めることにより低下した。ただし、プラズマエネルギーがある値(たとえば4J/cm2程度)を超えたところで飽和状態になった。また、浸透性(吸液特性)は、pH値の低下が飽和したあたり(たとえば4J/cm2程度)から急激に良くなった。ただし、この現象は、インクに含まれている高分子成分に依存して異なると考えられる。
この結果として、浸透性(吸液特性)がよくなり始めて(例えば4J/cm2程度)から、ビーディング(粒状度)の値も非常に良い状態となっていることが判明した。ここでのビーディング(粒状度)とは、画像のざらつき感を数値で表したものであり、濃度のばらつきを平均濃度の標準偏差で表したものである。
図3では、2色以上のドットからなる色のベタ画像の濃度を複数サンプリングし、その濃度の標準偏差をビーディング(粒状度)として表している。このように、本実施の形態に係るプラズマ処理を施したコート紙に吐出されたインクは、真円状に広がりかつ凝集しながら浸透することが分かった。
また、被処理物20の表面の濡れ性向上や、被処理物20の表面の酸性化(pH値の低下)により、インク顔料の凝集、浸透性の向上、ビヒクルのコート層内部への浸透などが生じる。これらにより、被処理物20の表面の顔料濃度が上昇するため、ドットが合一したとしても、顔料の移動を抑えることが可能となる。このため、顔料の混濁を抑制し、顔料を均一に被処理物20の表面に沈降凝集させることが可能となる。
また、被処理物20の表面の濡れ性の向上や、被処理物20の表面の酸性化(pH値の低下)により、インクに含まれる顔料の凝集速度が上がり、このインクによるインク層の表面の凹凸(表面粗さ)も調整される。
図4および図5には、プラズマエネルギーと、表面粗さと、pH値と、の関係を示した。表面粗さは、プラズマ処理された被処理物20上に形成されたインクによるインク層の表面の表面粗さである。pH値は、プラズマ処理された被処理物20の表面のpH値である。図4は、被処理物20として塩化ビニルシートを用いた場合を示す。図5は、被処理物20としてPETフィルムを用いた場合を示す。
図4および図5に示すように、プラズマエネルギーが大きいほど、pH値は低下し、インク層の表面粗さは低下した。また、プラズマエネルギーを上げると、表面粗さが大きくなり、あるプラズマエネルギー以上では飽和した。
このように、プラズマ処理のプラズマエネルギーを調整することで、インクによるインク層の表面の凹凸(表面粗さ)や、pH値を調整可能であることが分かった。
ただし、表面粗さの調整効果は、インクの成分(インク種)やインク量に依存して異なる。たとえば、吐出するインク量が小滴の場合、大滴の場合に比べて、ドットの合一による顔料の混濁は発生し難い。それは、ビヒクル量が小滴の場合の方が、ビヒクルがより早く乾燥・浸透するためである。すなわち、少しのpH反応で顔料を凝集することができるためである。また、プラズマ処理の効果は、図4および図5に示すように、被処理物20の種類によって変動した。そこで、プラズマ処理におけるプラズマエネルギーを、インク量や、被処理物20の種類、インクの成分(すなわちインク種)などに応じて最適な値に制御してもよい。
図6は、プラズマエネルギーと、顔料凝集の均一性と、の観察結果を示す図である。図6に示すように、プラズマエネルギーが大きいほど、顔料凝集の均一性が向上することが分かった。また、プラズマエネルギーに応じて、ドットの真円度を調整できることが分かった。このため、プラズマエネルギーに応じて、ドットの形状、ドットの直径、ドット内の濃度分布を調整できることが分かった。
図7は、各種非浸透性の記録媒体をプラズマ処理したときの純水の接触角の測定結果を示すグラフである。図7において、横軸はプラズマエネルギーを示す。図7に示されるように、非浸透性の記録媒体であっても、プラズマ処理することで、濡れ性が高くなることが判明した。これは、水性顔料インクの場合、純水よりも表面張力が低いことから、より濡れ易いためと考えられる。すなわち、プラズマ処理によって水性顔料インクが薄く濡れ広がり易くなった結果、水分の蒸発に有利な表面状態が得られるといえる。また、塩化ビニルや、ポリエステルやアクリル等の熱可塑性樹脂からなる非浸透性の記録媒体に対しても、プラズマ処理の効果が見られた。
図8は、同じ大きさのインク滴を、非浸透性の記録媒体である塩化ビニルシート表面に滴下した際のドットの直径(以下、ドット径と称する場合がある)を示すグラフである。また、図9は、同じ大きさのインク滴を、非浸透性の記録媒体であるターポリン表面に滴下した際のドット径を示すグラフである。ターポリンとは、ポリエステル系の繊維を合成樹脂で挟んで作られるシートである。
なお、図8および図9の実験で用いたインクには、エーテル系およびジオール系溶剤約50wt%、および界面活性剤少量の混合液中に、顔料約3wt%、粒径100〜300nmのスチレン・アクリル樹脂約5wt%を加えて分散させ、表面張力:21〜24N/m、粘度:8〜11mPa・sに調製した水性顔料インクを用いた。
図8および図9に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、ドット径が1.2〜1.3倍に広がった。これは、上述のように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)に、非浸透性の記録媒体表面に着弾したインクを素早く乾燥させることができることを意味している。
図10は、同じ大きさのインク滴を非浸透性の記録媒体(塩化ビニルシート)表面に滴下した際に、実際に記録媒体の表面に形成されたドットを示す画像である。なお、図10では、左側の列が黒インクのインクドットを示し、右側の列がシアンインクのインクドットを示す。また、図10では、それぞれの条件について4回のドット形成を行った。図10に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、ドット径が広がっていた。また、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)では、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、ドットの真円度も向上した。
図11は、非浸透性の記録媒体である塩化ビニルシートに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。図12は、非浸透性の記録媒体であるターポリンに対してそれぞれの条件でベタ印刷した際に得られる画像濃度を示すグラフである。図11および図12に示すように、プラズマ処理を施した場合(5.6J/cm2)は、プラズマ処理を施さない場合(Ref.)およびプラズマ処理を施さずにインク乾燥に用いるヒータ数を減らした場合(0J/cm2)と比較して、画像濃度が上がった。これは、プラズマ処理を施すことで、インク量を減らしても、インク量が多く且つプラズマ処理を施さない場合と同じ濃度が得られることを示している。
ここで、本実施の形態の印刷装置は、加熱部を更に備える。すなわち、本実施の形態の印刷装置は、プラズマ処理部と、加熱部と、を備える。
加熱部は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。
すなわち、本実施の形態の印刷装置は、被処理物20にプラズマ処理を施すと共に、被処理物20のインク吐出領域を加熱する。
なお、本実施の形態におけるインク吐出領域とは、被処理物20上における、インクの吐出対象の領域、およびインクの吐出された領域、の双方を示す。すなわち、インクによるドットの記録される前、またはインクによるドットの記録時のタイミングでは、被処理物20におけるインクの吐出対象の領域が、インク吐出領域である。また、インクによりドットが記録された後のタイミングでは、インクの吐出された領域が、インク吐出領域である。
図13は、画像の滲みの評価結果を示す図である。なお、図13に示す評価結果では、加熱条件として、加熱部を、インクによるドットの記録時の被処理物20を加熱可能な位置に設けた。また、この加熱条件では、加熱部を、マルチパス方式の記録ヘッドに設け、加熱時間をパス数(スキャン数と称する場合もある)で調整した。また、加熱部による加熱温度(すなわち、加熱部の発熱温度)を55℃に設定した場合、加熱された被処理物20の表面温度の実測値は50℃であった。また、加熱部による加熱温度を65℃に設定した場合、加熱された被処理物20の表面温度の実測値は55℃であった。また、インクによるドットの記録は、マルチパス方式の記録ヘッドで行い、加熱時間と同じパス数でドットの記録を行った。
図13(A)に示すように、加熱部による加熱温度を55℃に設定し、加熱時間が短い場合、滲みが顕著にみられた。なお、図13に示す評価結果では、加熱時間が短い、とは、マルチパス方式の記録ヘッドを6パス(すなわち6スキャン)させる時間に相当する。また、図13に示す評価結果では、加熱時間が長い、とは、マルチパス方式の記録ヘッドを24パス(すなわち、24スキャン)させる時間に相当する。
図13(B)に示すように、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間が短い場合、図13(A)より少ないものの、滲みが見られた。図13(C)に示すように、加熱部による加熱温度を55℃に設定し、加熱時間が長い場合、滲みは、ほぼ見られなかった。また、図13(D)に示すように、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間が長い場合、滲みは、ほぼ見られなかった。
図13に示す評価結果から、加熱温度と加熱時間によって定まる加熱エネルギーを調整することで、画質劣化を抑制することが出来ることが判明した。
しかし、被処理物20を加熱するのみでは、印刷速度を上げると、ドットにより記録される画像の画質が劣化する場合がある。
図14は、画像のビーディングの評価結果を示す図である。なお、図14の加熱条件は、加熱時間を変更した以外は、図13の加熱条件と同様である。図14では、加熱時間は、マルチパス方式の記録ヘッドを3パスさせる時間と、6パスさせる時間と、の各々とした。
詳細には、図14(A)は、加熱部の加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を3パス(すなわち3スキャン)させる時間とした場合の、形成された画像の評価結果を示す図である。図14(B)は、加熱部の加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を6パスさせる時間とした場合の、形成された画像の評価結果を示す図である。
図14(A)および図14(B)に示すように、印刷速度の向上を図る場合、搬送速度を向上させる必要があることから、記録ヘッドによるパス数(スキャン数)をより少なくする必要がある。図14(A)に示すように、3パスによる記録は、ビーディングが発生していた。一方、同じ加熱温度であっても、6パスによる記録は、ビーディングの発生が抑制されていた(図14(B)参照)。このように、印刷速度を上げると(ここでは、6パスから3パスにすると)、加熱を行った場合でも画質が劣化した。
ここで、被処理物20にプラズマ処理を行った後に、インクによるドットの記録と、図14(A)と同じ加熱条件(同じ加熱温度および加熱時間)による加熱と、を行った。その結果、図14(C)に示すように、3パスによる記録であっても、図14(A)に比べて、ビーディングの発生が抑制された。
図15は、画像のブリーディングの評価結果を示す図である。なお、図15(A)〜(C)の加熱条件およびプラズマ処理の有無は、図14(A)〜(C)の各々と同じである。
詳細には、図15(A)は、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を3パス(すなわち3スキャン)させる時間とした場合の、形成された画像の評価結果を示す図である。図15(B)は、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を6パスさせる時間とした場合の、形成された画像の評価結果を示す図である。図15(C)は、プラズマ処理を行った後に、インクによるドットの記録と、加熱部による加熱(加熱温度65℃、加熱時間を3パスさせる時間)と、を行った場合の、評価結果を示す図である。
図15(A)に示すように、3パスによる記録では、65℃で加熱してもビーディングが発生した。また、同じ加熱温度であっても、3パスに比べて印刷速度は下がるが、6パスによる記録は、ブリーディングの発生が抑制されていた(図15(B)参照)。
一方、図15(C)に示すように、3パスによる記録であっても、プラズマ処理と、インクの吐出によるドットの記録(3パス)と、被処理物20の加熱(3パスに相当する時間)と、を行った場合には、ブリーディングの発生が抑制されていた。
図16は、画像データに示される階調値(画素値と称する場合もある)と、該画像データに基づいて形成された画像の濃度と、の関係を示す図である。図16には、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を3パスさせる時間とした場合の、3パスで記録された画像の階調値と濃度との関係を線図Aで示した。また、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を6パスさせる時間とした場合の、6パスで記録された画像の階調値と濃度との関係を線図Cで示した。また、加熱部による加熱温度を65℃に設定し、加熱時間を3パスさせる時間とし、3パスによる記録と、記録前のプラズマ処理と、加熱と、を行った場合の画像の階調値と濃度との関係を、線図Bで示した。
図16に示すように、同じ階調値の画像データから形成したドットであっても、プラズマ処理と加熱とを組合せた場合、画像濃度が向上した。
特に、中間階調部分(階調値20%〜70%)の領域(図16中、領域Q参照)では、加熱のみを行った場合(線図A、線図C参照)に比べて、加熱とプラズマ処理とを組み合わせた場合(線図B参照)の方が、画像濃度が向上した。これは、プラズマ処理を行うことにより、被処理物20に吐出するインク量は同じであっても、ドットの真円度が向上したためであると考えられる。また、図16に示す評価結果から、同じ階調値の画像データからドットを形成する場合、加熱とプラズマ処理とを組み合わせると、加熱のみを行った場合に比べて、印刷速度をあげた場合であっても、画質劣化を抑制することが出来るといえる。また、加熱とプラズマ処理とを組み合わせると、必要なインク量を減らすことも出来るといえる。
図17は、堅牢性の評価結果を示す図である。図17は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱温度と、に対応する記録されたドットによる画像の堅牢性の評価結果である。なお、プラズマ処理は、インク吐出によるドット記録より前に行った。また、加熱時間は一定とし、加熱温度のみを調整した。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図17に示す堅牢性の評価結果の値は、値が大きいほど堅牢性が高いことを示す。具体的には、値「3」は、堅牢性が通常であり、値「5」は、堅牢性が良好であることを示す。
図17に示すように、プラズマエネルギーと、加熱温度と、の少なくとも一方が高いほど、堅牢性は良好であった。また、プラズマエネルギーと加熱温度の双方が高いほど、堅牢性は良好であった。
被処理物20の種類により異なるが、これは、プラズマエネルギーが高いほど、インク層の表面の凹凸が大きくなり(粗面化され)、酸性化が強くなり、顔料の凝集速度が速くなるためと考えられる。また、加熱温度が高いほど、顔料の凝集速度が速くなるためと考えられる。また、プラズマエネルギーと加熱温度の双方が高いほど、高いプラズマエネルギーによりインク層の粗面化が大きくなった状態で、乾燥されるためと考えられる。
図18は、ブリーディングの評価結果を示す図である。図18は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱温度と、に対応する記録されたドットによる画像のブリーディングの評価結果である。
なお、図18では、マルチパス方式の記録ヘッドを6パス(すなわち、6スキャン)させる記録を行い、加熱時間を6パスさせる時間とした場合と、3パスさせる記録を行い、加熱時間を3パスさせる時間とした場合と、の各々について、加熱温度とプラズマエネルギーとに対応するブリーディング評価結果を示した。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図18に示すブリーディングの評価結果の値は、値が大きいほど評価結果が良好であることを示す。具体的には、値「2」以下は評価結果が悪く、値「5」は評価結果が良好であることを示す。
図18に示すように、プラズマエネルギーと、加熱温度と、の少なくとも一方が高いほど、ブリーディングの評価結果は良好であった。また、プラズマエネルギーと加熱温度の双方が高いほど、ブリーディングの評価結果は良好であった。また、印刷速度の速い3パスの記録であっても、印刷速度の遅い6パスの記録時と同様に、加熱温度とプラズマエネルギーを調整することで、ブリーディングの評価結果が良好であることを示す値「5」が得られることが判明した。
図19は、ビーディングの評価結果を示す図である。図19は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱温度と、に対応する記録されたドットによる画像のビーディングの評価結果である。
なお、図19では、マルチパス方式の記録ヘッドを6パス(すなわち、6スキャン)させる記録を行い、加熱時間を6パスさせる時間とした場合と、3パスさせる記録を行い加熱時間を3パスさせる時間とした場合と、の各々について、加熱温度とプラズマエネルギーとに対応するビーディング評価結果を示した。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図19に示すビーディングの評価結果の値は、値が大きいほど評価結果が良好であることを示す。具体的には、値「2」以下は評価結果が悪く、値「5」は評価結果が良好であることを示す。
図19に示すように、プラズマエネルギーと、加熱温度と、の少なくとも一方が高いほど、ビーディングの評価結果は良好であった。また、プラズマエネルギーと加熱温度の双方が高いほど、ビーディングの評価結果は良好であった。また、印刷速度の速い3パスの記録であっても、印刷速度の遅い6パスの記録時と同様に、加熱温度とプラズマエネルギーを調整することで、ビーディングの評価結果が良好であることを示す値「5」が得られることが判明した。
以上の評価結果から、本発明者は、被処理物20へのプラズマ処理と、被処理物20におけるインク吐出領域の加熱と、を組み合わせることによって、画質劣化を抑制することが出来ることを見出した。また、本発明者は、この組み合わせた構成とすることによって、印刷速度を上げた場合であっても、画質劣化を抑制することができることを見出した。
また、本発明者は、被処理物20へのプラズマ処理のプラズマエネルギーと、加熱エネルギーと、を調整することで、予め定めた直径、予め定めた形状、および予め定めた濃度分布(顔料の凝集の度合い)の少なくとも1つを満たす、目的とする予め定めたドットを記録することが出来る事を見出した。
また、本発明者は、被処理物20の種類や、インクの量や、インクの種類や、印刷モードによって、目的とする予め定めたドットを記録するために必要な、プラズマエネルギーや加熱エネルギーが異なることを見出した。
なお、印刷モードとは、印刷速度を示す。印刷速度は、具体的には、記録される画像の解像度を示す。印刷速度が速いほど、記録される画像の解像度は低い。また、印刷速度が遅いほど、記録される画像の解像度は高い。更に詳細には、マルチパス方式の記録ヘッドを用いてドットを記録する場合、パス数(スキャン数)が多いほど、解像度が高く、印刷速度が遅い。また、パス数(スキャン数)が少ないほど、解像度が低く、印刷速度が速い。このため、印刷モードは、印刷速度、解像度、パス数の少なくとも1つを示す。
そこで、本実施の形態の印刷装置は、プラズマ処理部と、加熱部と、記録部と、を備える。また、本実施の形態の印刷装置は、制御部を更に備え、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部のプラズマエネルギー、および加熱部の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
また、本実施の形態の印刷装置は、被処理物20の種類、インク量、インク種、および印刷モードの少なくとも1つに応じて、プラズマ処理部のプラズマエネルギー、および加熱部の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
次に、本実施の形態に係る印刷装置を備えた印刷システムを具体的に説明する。
図20は、本実施の形態にかかる印刷システムの概略構成を示す模式図である。図20(A)に示すように、印刷システム1は、印刷装置170を備える。印刷装置170は、記録部171と、プラズマ処理部101と、加熱部103と、制御部160と、を含む。
プラズマ処理部101は、被処理物20をプラズマ処理する。記録部171は、プラズマ処理された被処理物20にインクを吐出してドットを記録する。加熱部103は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。印刷装置170は、被処理物20を順次搬送し、プラズマ処理、およびインクによるドットの記録、および被処理物20の加熱を行う。
なお、本実施の形態では、印刷装置170が、プラズマ処理部101を含む構成である場合を説明する。しかし、印刷装置170と、プラズマ処理部101と、を別体として構成してもよい。この場合、図20(B)に示すように、印刷システム1Aを、印刷装置170Aと、プラズマ処理部101と、を備えた構成とすればよい。印刷装置170Aは、プラズマ処理部101を備えない以外は、印刷装置170と同様である。
次に、印刷装置170の概略構成を、図21〜図23に抜粋して示す。
なお、本実施の形態では、一例として、印刷装置170のインクジェット記録方式として、マルチパス方式を用いる場合を説明する。
図21は、印刷装置170のヘッド部173の概略構成を示す上視図である。図22は、ヘッド部173のスキャン方向(主走査方向、矢印X方向)に沿った概略構成を示す側視図である。図23は、ヘッド部173に搭載されたプラズマ処理部101の概略構成を示す模式図である。
図21および図22に示すように、印刷装置170は、制御部160と、記録部171と、プラズマ処理部101と、を含む。また、印刷装置170は、加熱部103と、検出部102と、を含む。検出部102と、加熱部103と、記録部171と、プラズマ処理部101と、は、制御部160に電気的に接続されている。
プラズマ処理部101と、検出部102と、加熱部103と、記録部171と、は、主走査方向(図21〜図22中、矢印X方向)に走査されるキャリッジ172に搭載されている。そして、ヘッド部173は、プラズマ処理部101と、検出部102と、加熱部103と、記録部171と、を含み、これらを支持する。
キャリッジ172は、不図示の駆動機構によって、被処理物20の搬送方向(副走査方向、矢印Y方向)に対して直交する方向(スキャン方向または主走査方向という(矢印X方向参照))にヘッド部173を往復移動させる。記録部171は、キャリッジ172によってスキャン方向へ搬送されている最中にインク滴を吐出することで、被処理物20にドットを記録する。
プラズマ処理部101は、被処理物20をプラズマ処理する。プラズマ処理部101は、図1に示すプラズマ処理装置10と同様の構成である。
図21〜図23に示す例では、プラズマ処理部101は、複数の放電電極11a〜11d,11w〜11zを備える。放電電極11a〜11d,11w〜11zは、キャリッジ172によってスキャン方向へ搬送されている最中に放電することで、被処理物20の表面(被処理物20における、プラズマ処理部101との対向面側)にプラズマ処理を施す。
記録部171は、プラズマ処理部101によってプラズマ処理された被処理物20にインクを吐出して、ドットを記録する。
記録部171は、例えば、複数の吐出ヘッド(たとえば4色×4ヘッド)を備える。本実施の形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K)を有する場合を説明する。しかし、これらの吐出ヘッドに限定されない。すなわち、ホワイト(W)、グリーン(G)、レッド(R)及びその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有してもよいし、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有していてもよい。ここで、以後の説明において、K、C、M、Yは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各々に対応するものとする。
記録部171が吐出するインクの種類は限定されない。例えば、顔料(例えば、約3wt%)と、界面活性剤少量と、スチレン・アクリル樹脂(例えば、粒径100nm〜300nm)(例えば、約5wt%)と、各種添加剤(防腐剤、防かび剤、pH調整剤、染料溶解助剤、または酸化防止剤、導電率調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤など)と、を有機溶媒(例えば、エーテル系およびジオール系溶剤)(例えば、約50wt%)に分散させたものをインクとして用いる。
なお、スチレン・アクリル樹脂に代えて、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などの疎水性の樹脂を用いても良い。なお、何れの樹脂についても、分子量が比較的低く、エマルジョンを形成することが好ましい。
また、インクには、ノズルの目詰まりを有効に防止する成分として、グリコール類を添加することが好ましい。添加するグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等がある。また、他のチオジグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の単体及び混合物等が挙げられる。
有機溶媒の好ましい例としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また、インクの主成分は、水であってもよい。インクに、有機溶剤やモノマーやオリゴマーを使用しない場合、特別な部材でできたインクカートリッジや供給路を選定する必要が無いので、装置構成の簡略化を図ることができる。
インクに含まれるこれらの材料の混合比や含まれる成分の種類によって、インクの種類が定まる。
また、本実施の形態では、印刷装置170は、被処理物20として、予め定めた大きさ(例えば、A4、B4など)に切断されたカット紙を用いる場合を説明する。しかし、印刷装置170が用いる被処理物20は、これに限定されず、連続紙(ロール紙と称される場合もある)でもよい。
なお、被処理物20の種類は、限定されないが、被処理物20としてコート紙のような非浸透性の記録媒体や、緩浸透性の記録媒体を用いる場合、本実施の形態の印刷装置170は、より効果を発し得る。
図21に示す例では、4色分の4つの吐出ヘッド(171Y、171M、171C、171K)が主走査方向に沿って配列されている。各色の吐出ヘッドは、副走査方向(図21〜図23中、矢印Y方向参照)に配列された複数のノズルを備える。各ノズルは、画像データの各画素に対応するインク滴を吐出する。
本実施の形態では、各色の吐出ヘッドに設けられた複数のノズルは、副走査方向(矢印Y方向)に沿って4つのまとまり(以下、ノズルグループという)に分割されている。したがって、主走査方向の各列には、4色分のノズルグループが並んでいることとなる。この場合、図21に例示する記録部171は、ノズルグループ(a)〜(d)を備えることとなる。また、以下の説明において、各ノズルグループ(a)〜(d)が一度のスキャンで印字する帯状の領域またはこの帯状の領域に印刷された画像を、バンドという。
各ノズルグループ(a)〜(d)におけるノズルは、高解像度(たとえば1200dpi)の画像形成を達成するために、間隔を補正するようにずらして固定されている。また、記録部171は、例えば、各ノズルから吐出されるインクの液滴が大滴、中滴、小滴と呼ばれる3種類の容量に対応するように、複数種類の駆動周波数に対応している。この駆動周波数は、制御部160に接続された不図示の駆動回路から記録部171へ入力される。
プラズマ処理部101に設けられた複数の放電電極11a〜11d,11w〜11zは、たとえば、記録部171をスキャン方向に両側から挟むように、記録部171の両サイドに搭載されている。図21および図22において、記録部171に対して一方の側に配置された放電電極を放電電極11a〜11dとし(これらをプラズマ処理部101Aとする)、これらと反対側に配置された放電電極を放電電極11w〜11zとする(これらをプラズマ処理部101Bとする)。
個々の放電電極11a〜11d,11w〜11zの長さは、例えば、記録部171における各ノズルグループ(a)〜(d)の副走査方向に沿った長さ(以下、バンド幅という)に一致している。たとえば4スキャンのマルチスキャンヘッドの場合、バンド幅は、記録部171全体の副走査方向に沿った長さの1/4になる。その場合、各放電電極11a〜11d,11w〜11zの副走査方向に沿った長さも、バンド幅と同様、記録部171全体の長さの1/4に設定される。
なお、個々の放電電極11a〜11d,11w〜11zの長さは、各ノズルの副走査方向に沿った長さであってもよく、バンド幅に一致する形態に限定されない。
このような放電電極11a〜11d,11w〜11zを備えるプラズマ処理部101は、図23に示すように、放電電極11a〜11d,11w〜11zそれぞれに設けられた高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15z(ただし、高周波高圧電源15w〜15zは、図23には不図示)と、放電電極11a〜11d,11w〜11zの移動領域全体に対して対向配置された誘電体12およびカウンタ電極14と、高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15zを制御する制御部160とを備える。誘電体12は、たとえば放電電極11a〜11d,11w〜11zとカウンタ電極14との間であってたとえばカウンタ電極14側に設けられている。ただし、これに限定されず、誘電体12が放電電極11a〜11d,11w〜11z側に設けられてもよい。その場合、誘電体12は、放電電極11a〜11d,11w〜11zの配置に応じて複数のピースに分断されていてもよい。
図23に示す誘電体12およびカウンタ電極14は、たとえば放電電極11a〜11d,11w〜11zの移動範囲全体を覆うサイズを有する。放電電極11a〜11d,11w〜11zとカウンタ電極14との間には、被処理物20が通過するためのギャップが設けられている。このギャップの距離は、通過する被処理物20が放電電極11a〜11d,11w〜11zに接触する距離であってもよいし、接触しない距離であってもよい。
高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15zは、制御部160の制御に従い、放電電極11a〜11d,11w〜11zとカウンタ電極14の間に電圧約10kV(p−p)、周波数約20kHzのパルス電圧を供給することで、被処理物20の搬送経路上に大気圧非平衡プラズマを発生させる。この際のプラズマエネルギーは、たとえば各放電電極11a〜11d,11w〜11zへ供給した高周波・高電圧パルスの電圧値および印加時間と、その際に被処理物20に流れた電流とから求めることができる。
制御部160は、高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15zを個別にオン/オフすることが可能である。すなわち、制御部160は、高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15zを個別にオン/オフすることによって、被処理物20に与えるプラズマエネルギーを制御する。
また、制御部160は、高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15zを選択的に駆動することで、プラズマエネルギーを制御してもよい。また、ヘッド部173による走査と、各高周波高圧電源15a〜15d,15w〜15zのオンオフ制御と、を組み合わせることで、プラズマエネルギーを制御してもよい。
図21に示す例では、各ノズルグループ(a)〜(d)と各放電電極11a〜11dまたは11w〜11zとが一対一で対応している。すなわち、あるノズルグループ(たとえばノズルグループ(a))がインク吐出の対象領域とするバンドに対しては、これに対応づけられた放電電極11がプラズマ処理を行うように構成されている。その場合、プラズマ処理と印字処理とを一度のスキャンで実行することで、効率的な印刷処理を実行することができる。
また、ノズルグループを更に細かく分割し、ノズルグループ毎に放電電極11を対応づけて配置してもよい。また、副走査方向(矢印Y方向)に配列されたノズルごとに、ノズル幅(ノズルの副走査方向(矢印Y方向)における幅)に応じた幅(矢印Y方向の長さ)の放電電極11を配置させた構成としてもよい。このような構成とすることで、プラズマ処理部101でプラズマ処理する領域を、更に細分化し、所望の領域ごとに任意のプラズマエネルギーでプラズマ処理することが可能となる。
また、主走査方向(矢印X方向)に配列された複数のノズルを有する記録部171による画像の記録方法としては、オーバーラップ記録方式を採用することができる。オーバーラップ記録方式とは、同一の主走査ラインに対して異なるノズルを用いて複数回印字することで、1つの主走査ラインの画像を完成させる記録方式である。また、同じく記録部171による画像の記録方法としては、複数のパスに対応したノズルで主走査方向の走査(スキャン)を繰り返すことにより画像を形成するマルチパス方式も合わせて採用することもできる。
加熱部103は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。加熱部103は、被処理物20におけるインク吐出領域を少なくとも加熱可能であればよく、被処理物20の全領域を加熱してもよい。
加熱部103が、被処理物20のインク吐出領域を加熱すると、インク吐出領域に吐出された(または吐出されている)インクに含まれる水分が蒸発し、顔料が凝集する。このため、加熱により、ブリーディング(色境界にじみ)や、ビーディング(ドット合一による濃度ムラ)の発生を、さらに抑制することができる。
インク吐出領域とは、上述したように、被処理物20上における、インクの吐出対象の領域、およびインクの吐出された領域、の双方を示す。すなわち、インクによるドットの記録される前、またはインクによるドットの記録時のタイミングでは、被処理物20におけるインクの吐出対象の領域が、インク吐出領域である。また、インクによりドットが記録された後のタイミングでは、インクの吐出された領域が、インク吐出領域である。
加熱部103は、被処理物20上における、インクの吐出対象の領域またはインクの吐出された領域に非接触で、被処理物20に熱を加えることの可能な装置であればよい。本実施の形態では、一例として、加熱部103は、加熱部103本体が発熱する装置である場合を説明する。すなわち、本実施の形態では、加熱部103本体の発熱により発生した熱によって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する形態を一例として説明する。
加熱部103は、第1タイミング、第2タイミング、および第3タイミングの少なくとも1つのタイミングで、被処理物20のインク吐出領域を加熱可能な位置に配置されている。第1タイミングは、被処理物20にインクが吐出されてドットが記録される前のタイミングである。なお、第1タイミングは、記録部171によりドットが記録される前で且つプラズマ処理される前であってもよいし、ドットが記録される前で且つプラズマ処理された後、の何れであってもよい。第2タイミングは、被処理物20への記録部171によるドットの記録時のタイミングである。第3タイミングは、被処理物20に記録部171によってドットが記録された後のタイミングである。
本実施の形態では、加熱部103は、記録部171および検出部102を、主走査方向(矢印X方向)の両側から挟むように配置されている。加熱部103は、記録部171のプラズマ処理部101A側(矢印XA方向側)に設けられた加熱部103Bと、記録部171のプラズマ処理部101B側(矢印XB方向側)に設けられた加熱部103Aと、を含む。
加熱部103Aは、ヘッド部173が主走査方向における矢印XA方向側に移動するときに、プラズマ処理部101Aによってプラズマ処理され、記録部171によってドットの記録されたインク吐出領域を加熱する。制御部160は、この順でプラズマ処理、ドットの記録、加熱が行われるように、ヘッド部173の駆動、プラズマ処理部101A、記録部171、および加熱部103Aを制御する。
加熱部103Bは、ヘッド部173が主走査方向における矢印XB方向側に移動するときに、プラズマ処理部101Bによってプラズマ処理され、記録部171によってドットの記録されたインク吐出領域を加熱する。制御部160は、この順でプラズマ処理、ドットの記録、加熱が行われるように、ヘッド部173の駆動、プラズマ処理部101B、記録部171、および加熱部103Bを制御する。
このため、図21に示す例では、加熱部103(加熱部103A、加熱部103B)は、第2タイミングで被処理物20のインク吐出領域を加熱可能な位置に設けられている。なお、加熱部103による加熱のタイミングや、加熱部103の配置を調整することによって、加熱部103を、第1タイミング、第2タイミング、および第3タイミングの何れのタイミングで加熱してもよい。また、加熱部103を、第1タイミング、第2タイミング、および第3タイミングの内、2以上のタイミングで加熱可能となるように、加熱部103の設置位置などを調整してもよい。
加熱部103の加熱エネルギーは、制御部160によって調整される。加熱エネルギーは、加熱時間と加熱温度によって定まる。加熱部103は、インクの種類などにもよるが、例えば、30℃〜60℃の加熱温度で被処理物20を加熱する。
なお、加熱部103による被処理物20の加熱によって、記録部171のノズルの吐出口へのインク詰まり等により、吐出不良が発生する場合がある。このため、加熱部103による加熱温度は、インクの吐出不良の発生しない温度範囲で調整することが好ましい。
検出部102は、記録部171によるドットの記録時の、被処理物20の表面温度を検出する。検出部102は、被処理物20の表面温度を検出可能な公知の機器であればよい。本実施の形態では、検出部102は、検出部102Aと、検出部102Bと、を含む。
本実施の形態では、検出部102Aおよび検出部102Bは、ヘッド部173に設置されている。検出部102Aおよび検出部102Bは、記録部171を、スキャン方向(矢印X方向)の両側から挟むように設置されている。図21および図22に示す例では、検出部102Aは、記録部171とプラズマ処理部101Bとの間に配置されている。また、検出部102Bは、記録部171とプラズマ処理部101Aとの間に配置されている。
ヘッド部173が主走査方向(矢印X方向)の一方(例えば、矢印XA方向、図21、図22参照)に走査されるときには、プラズマ処理部101Aによってプラズマ処理された領域に、記録部171によってインクが吐出されてドットが記録され、検出部102Aによって被処理物20の表面温度が検出され、加熱部103Aによって被処理物20が加熱される。制御部160は、この順でプラズマ処理、ドットの記録、表面温度の検出、加熱が行われるように、ヘッド部173の駆動、プラズマ処理部101A、記録部171、検出部102A、および加熱部103Aを制御する。
また、ヘッド部173が主走査方向(矢印X方向)の他方(例えば、矢印XB方向、図21、図22参照)に走査されるときには、プラズマ処理部101Bによってプラズマ処理された領域に、記録部171によってインクが吐出されてドットが記録され、検出部102Bによって被処理物20の表面温度が検出され、加熱部103Bによって被処理物20が加熱される。制御部160は、この順でプラズマ処理、ドットの記録、表面温度の検出、加熱が行われるように、ヘッド部173の駆動、プラズマ処理部101B、記録部171、検出部102B、および加熱部103Bを制御する。
なお、検出部102(検出部102A、検出部102B)の設置位置は、ドットの記録時の被処理物20の表面温度を検出可能な位置であればよく、上記位置に限定されない。
制御部160は、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部103の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
図24は、印刷装置170の機能ブロック図である。
印刷装置170は、制御部160と、記憶部162と、プラズマ処理部101と、記録部171と、検出部102と、加熱部103と、を備える。制御部160と、記憶部162、プラズマ処理部101、記録部171、検出部102、および加熱部103と、は、データや信号授受可能に接続されている。上述したように、プラズマ処理部101と、記録部171と、検出部102と、加熱部103と、が、ヘッド部173を構成する。記憶部162は、各種データを記憶する。
制御部160は、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成されるコンピュータであり、印刷装置170全体を制御する。なお、制御部160は、CPU以外の回路などで構成してもよい。
制御部160は、通信部160Aと、取得部160Bと、算出部160Cと、プラズマ制御部160Dと、記録制御部160Eと、加熱制御部160Fと、再算出部160Gと、を含む。通信部160A、取得部160B、算出部160C、プラズマ制御部160D、記録制御部160E、加熱制御部160F、および再算出部160G、の一部またはすべては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
通信部160Aは、図示を省略する外部装置などと、インターネットなどを介して通信する。本実施の形態では、通信部160Aは、外部装置から印刷データを受信する。印刷データは、記録部171で記録対象の画像の画像データと、設定情報と、を含む。設定情報は、本実施の形態では、印刷モード、画像形成対象の被処理物20の種類、およびインクの種類を含むものとする。設定情報に含まれる印刷モードは、例えば、高解像度(すなわち、画質優先)、または低解像度(すなわち、印刷速度優先)であるとして説明する。
取得部160Bは、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、および被処理物20に吐出されるインクの量を取得する。
例えば、取得部160Bは、印刷データに含まれる設定情報を読取ることによって、印刷モード、被処理物20の種類、およびインクの種類を取得する。また、制御部160Bは、印刷モードから、被処理物20に吐出されるインクの量を算出することによって、該インクの量を取得する。
ここで、記録部171は、例えば、吐出量の異なる、大滴、中滴、小滴のインクを吐出可能であるとする。大滴、中滴、小滴、の各々のインクの量は、印刷モードによって示される解像度によって定まる。例えば、同じ小滴であっても、解像度が高いほど、吐出するインクの量は少ない。
このため、記憶部162は、予め、解像度ごとに、小滴、中滴、大滴、の各々に対応するインク量を記憶する。そして、記録部171は、解像度、および画像データに示される各画素の画素値に応じた大きさ(大滴、中滴、小滴)に対応するインク量のインクを、各画素位置の画素に対応する走査位置で、対応するノズルから吐出する。
すなわち、記録制御部160Eは、解像度および画像データの各画素の画素値に応じた量のインクを、各画素位置の画素に対応する走査位置で、対応するノズルから吐出するように記録部171を制御する。
このため、被処理物20上の各画素に対応する領域に吐出されるインク量は、印刷時の画像の解像度と、画像データに規定された各画素の画素値によって定まることとなる。そこで、取得部160Bは、設定情報に含まれる印刷モードにより示される解像度と、画像データによって示される各画素の階調値(画素値)と、から、吐出されるインクの量を算出すればよい。
なお、取得部160Bは、操作部から、印刷モード、被処理物20の種類、およびインクの種類を取得してもよい。操作部は、ユーザが各種情報を入力するときに用いる機器である。操作部は、例えば、キーボードやタッチパネルなどである。この場合、印刷装置170を、操作部を更に備えた構成とし、操作部と制御部160とを信号授受可能に接続した構成とすればよい。
また、印刷装置170に、被処理物20の種類やインクの種類を検出するセンサを設けてもよい。この場合、取得部160Bは、センサから、被処理物20の種類やインクの種類を取得すればよい。また、被処理物20の電気抵抗を測定器で測定することで被処理物20の厚みや性質などによって定まる、被処理物20の種類を計測してもよい。そして、取得部160Bは、測定器から、被処理物20の種類を取得してもよい。
算出部160Cは、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマ処理部101によるプラズマエネルギー、および加熱部103による加熱エネルギーを算出する。
なお、算出部160Cは、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの一方を一定の値とし、他方を可変とし、この他方のエネルギーを算出してもよい。また、算出部160Cは、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの双方を可変とし、双方のエネルギーを算出してもよい。
予め定めたドットとは、予め定めた直径、予め定めた形状、および予め定めた濃度分布の少なくとも1つである。詳細には、予め定めた直径は、吐出されるインクの量(大滴、中滴、小滴など)に対応する、理想とするドットの直径である。予め定めた形状は、例えば、真円状である。予め定めた濃度分布とは、各ドット内の均一な濃度分布である。
本実施の形態では、算出部160Cは、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの量、および被処理物20に吐出されるインクの種類、の少なくとも1つに応じて、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギー、および加熱エネルギーを算出する。
例えば、予め記憶部162に、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、および吐出するインクの量に対応づけて、予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを記憶する。
そして、算出部160Cは、取得部160Bで取得した、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、および吐出するインクの量に対応する、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを記憶部162から読取る。この読取りにより、算出部160Cは、予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを算出すればよい。
なお、ユーザは、予め、複数種類の印刷モードと、複数種類の被処理物20と、複数種類のインクと、複数種類のインク量と、を用いて、記録するドットを目的とする予め定めたドットとするためのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを、印刷装置170を用いて測定すればよい。そして、制御部160は、測定された各条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、およびインクの量、の組合せ)と、目的とする予め定めたドット(目的の形状、直径、濃度分布のドット)を記録するためのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーと、を対応づけて記憶部162に予め記憶すればよい。
例えば、各条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、およびインクの量の組合せ)を変えて被処理物20に画像を形成し、目的とする良好なドットが形成されたときのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを、該条件に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーとして記憶部162に記憶すればよい。
なお、良好な評価結果が複数得られた場合、何れの加熱エネルギーとプラズマエネルギーの組合せを記憶部162に記憶してもよい。しかし、良好な評価結果の内、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方がより低い組合せを記憶部162に記憶することが、生産性向上や消費エネルギーの低減の観点から好ましい。
具体的には、図18〜図19に示す評価結果が得られたとする。この場合、評価結果が良好であることを示す値「5」に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギー(加熱時間と加熱温度によって定まる)を、該評価結果が得られたときの測定条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、インクの量)に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーとして記憶部162に記憶すればよい。
また、良好な評価結果(例えば、良好を示す値「5」)が複数得られた場合、何れの加熱エネルギーとプラズマエネルギーの組合せを記憶部162に記憶してもよい。しかし、良好な評価結果の内、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方がより低い組合せを記憶部162に記憶することが、生産性向上や消費エネルギーの低減の観点から好ましい。
また、加熱部103による加熱温度が高すぎると、ノズルの乾燥による吐出不良が発生する場合がある。また、高速で印刷を行うほど、プラズマ処理部101によるプラズマエネルギーを上げる必要がある。このため、記憶部162には、より低いプラズマエネルギーで、且つ加熱温度をノズルの吐出不良の生じない温度範囲内とした上で、良好な評価結果の得られたときの、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを特定し、記憶することが好ましい。
プラズマ制御部160Dは、被処理物20の表面を、算出部160Cで算出されたプラズマエネルギーでプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。
例えば、プラズマ制御部160Dは、プラズマ処理部101に設けられた、複数の放電電極11a〜11d,11w〜11zの内の電圧を印加する放電電極11の選択や、放電電極11に印加する電圧の電圧値、電圧印加時間、キャリッジ172の主走査方向(矢印X方向)への走査速度、被処理物20の副走査方向(矢印Y方向)への搬送タイミング、などを組み合わせて制御することで、被処理物20の表面に、算出したプラズマエネルギーでプラズマ処理を行うように、制御する。
加熱制御部160Fは、被処理物20の少なくともインク吐出領域を、算出部160Cで算出された加熱エネルギーで加熱するように、加熱部103を制御する。
例えば、加熱制御部160Fは、加熱部103による加熱時間や、加熱温度を調整することで、被処理物20の少なくともインク吐出領域を、算出した加熱エネルギーで加熱するように、制御する。
このため、制御部160は、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部103の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することとなる。
なお、制御部160は、プラズマ処理部101のプラズマエネルギーを一定とし、加熱部103の加熱エネルギーを調整してもよい。また、制御部160は、加熱部103の加熱エネルギーを一定とし、プラズマ処理部101のプラズマエネルギーを調整してもよい。
また、制御部160は、記録部171による印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの量、および被処理物20に吐出されるインクの種類に応じて、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することとなる。
なお、制御部160は、記録部171による印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの量、および被処理物20に吐出されるインクの種類の少なくとも1つに応じて、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を制御すればよい。
ここで、被処理物20の厚みや環境温度等により、被処理物20の表面温度が、加熱部103による目標の加熱温度(以下、目標温度と称する)とは異なる温度となる場合がある。
そこで、再算出部160Gは、検出部102から表面温度の検出結果を取得する。そして、再算出部160Gは、取得した表面温度に応じて、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を再算出する。
具体的には、再算出部160Gは、取得した表面温度に応じて、算出部160Cで算出したプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを、再度算出する。
詳細には、取得した表面温度が、加熱部103の目標温度未満であったとする。加熱部103の目標温度とは、算出部160Cで算出した加熱エネルギーによって示される加熱温度である。言い換えると、加熱部103の目標温度は、加熱制御部160Fが現在制御している、加熱部103の加熱温度である。
このように、取得した表面温度が目標温度未満である場合、再算出部160Gは、加熱エネルギーを加熱部103が現在与えている加熱エネルギーで一定とする。そして、再算出部160Gは、プラズマ処理部101が現在与えているプラズマエネルギーより高いプラズマエネルギーを算出する。例えば、検出された表面温度が目標温度より低いほど、現在プラズマ処理部101が与えているプラズマエネルギーに、より大きい倍率(1より大きい値)を乗算した値を、新たなプラズマエネルギーとして再算出する。
一方、取得した表面温度が目標温度と一致する場合、再算出部160Gは、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの再算出を行わない。
また、取得した表面温度が目標温度を超える場合、再算出部160Gは、現在与えているプラズマエネルギーより低いプラズマエネルギー、および、現在与えている加熱エネルギーより低い加熱エネルギー、の少なくとも一方となるように、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを再算出すればよい。
再算出部160Gが、プラズマエネルギーを再算出した場合、プラズマ制御部160Dは、再算出されたプラズマエネルギーでプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。また、再算出部160Gが加熱エネルギーを再算出した場合、加熱制御部160Fは、再算出された加熱エネルギーで加熱するように、加熱部103を制御する。
このため、制御部160は、検出された表面温度に応じて、被処理物20に予め定めたドットが形成されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部103の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することとなる。また、制御部160は、検出された表面温度が加熱部103による目標温度未満である場合、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を高くするように制御することとなる。
次に、印刷装置170が実行する印刷処理の手順を説明する。図25は、印刷装置170が実行する印刷処理の手順を示すフローチャートである。
まず、通信部160Aが、印刷データを外部装置から受信する(ステップS100)。次に、通信部160Aは、受信した印刷データを、記憶部162に記憶する(ステップS102)。
次に、取得部160Bが、印刷モードと、被処理物20の種類と、インクの種類と、インクの量と、を取得する(ステップS104)。
次に、算出部160Cが、ステップS104で取得した、印刷モード、被処理物20の種類、インクの量、およびインクの種類に応じて、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギー、および加熱エネルギーを算出する(ステップS106)。
次に、プラズマ制御部160Dが、ステップS106で算出されたプラズマエネルギーで、被処理物20の表面をプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する(ステップS108)。
そして、記録制御部160Eが、ステップS100で受信した印刷データに含まれる画像データによって示される各画素の画素値および解像度に応じて、インクを吐出するように、記録部171を制御する(ステップS110)。
加熱制御部160Fは、ステップS106で算出された加熱エネルギーで、被処理物20の少なくともインク吐出領域を加熱するように、加熱部103を制御する(ステップS112)。
ステップS108〜ステップS112の処理時には、制御部160は、ヘッド部173の走査および被処理物20の搬送を制御する。
次に、制御部160は、印刷データに含まれる画像データの画像の形成が終了したか否かを判断する(ステップS114)。ステップS114で肯定判断すると(ステップS114:Yes)、本ルーチンを終了する。
ステップS114で否定判断すると(ステップS114:No)、ステップS116へ進む。
ステップS116では、再算出部160Gが検出部102から被処理物20の表面温度を取得する(ステップS116)。次に、再算出部160Gは、取得した表面温度が目標温度と一致するか否かを判断する(ステップS118)。取得した表面温度が目標温度と一致しない場合(ステップS118:No)、ステップS120へ進む。ステップS120では、再算出部160Gは、ステップS116で取得した表面温度を用いて、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを再算出する(ステップS120)。そして、ステップS108へ戻る。
なお、ステップS120で再算出された後に、ステップS108およびステップS112の処理を実行する場合、ステップS108では、プラズマ制御部160Dは、再算出されたプラズマエネルギーでプラズマ処理するようにプラズマ処理部101を制御すればよい。また、ステップS112では、加熱制御部160Fは、再算出された加熱エネルギーで加熱するように、加熱部103を制御すればよい。
一方、上記ステップS118の判断において、取得した表面温度と目標温度が一致する場合(ステップS118:Yes)、ステップS122へ進む。ステップS122では、制御部160が、印刷データに含まれる画像データの画像の形成が終了したか否かを判断する(ステップS122)。ステップS122で否定判断すると(ステップS122:No)、上記ステップS108へ戻る。一方、ステップS122で肯定判断すると(ステップS122:Yes)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の印刷装置170は、プラズマ処理部101と、記録部171と、加熱部103と、を備える。プラズマ処理部101は、被処理物20をプラズマ処理する。記録部171は、プラズマ処理された被処理物20にインクを吐出してドットを記録する。加熱部103は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。
このように、本実施の形態の印刷装置170は、プラズマ処理部101によってプラズマ処理された被処理物20に、インクを吐出してドットを記録し、加熱部103によって被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。
従って、本実施の形態の印刷装置170は、画質劣化を抑制することができる。
また、本実施の形態の印刷装置170は、印刷速度を高速とした場合であっても、画質劣化を抑制することができる。このため、印刷装置170は、上記効果に加えて、生産性の向上も図ることができる。
また、本実施の形態の印刷装置170では、プラズマ処理によって被処理物20の表面を粗面化し、そこにインクを吐出してドットを記録し、被処理物20を加熱する。このため、被処理物20に形成された画像の耐擦過性や堅牢性の向上をも図ることが出来る。
また、本実施の形態の印刷装置170は、被処理物20として、非浸透性の記録媒体、または緩浸透性の記録媒体を適用した場合に、特に効果的に画質劣化を抑制することができる。また、印刷装置170は、インクの種類として、水性インクを用いた場合に、特に効果的に、画質劣化を抑制することができる。
また、本実施の形態の印刷装置170の加熱部103は、ドットが記録される前の第1タイミング、ドットの記録時の第2タイミング、およびドットが記録された後の第3タイミング、の少なくとも1つのタイミングで、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。
また、本実施の形態の印刷装置170は、制御部160を更に備える。制御部160は、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部103の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
予め定めたドットとは、予め定めた直径、予め定めた形状、および予め定めた濃度分布の少なくとも1つを示す。
また、制御部160は、記録部171による印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの量、および被処理物20に吐出されるインクの種類、の少なくとも1つに応じて、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部103の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
このため、本実施の形態の印刷装置170は、印刷条件に応じて、目的とする予め定めたドットを記録することができる。このため、印刷装置170は、上記効果に加えて、生産性の向上や、省エネルギーや、更なる画質向上を図ることができる。また、インク消費量の低減も図ることが出来る。
また、本実施の形態の印刷装置170は、検出部102を更に備える。検出部102は、ドットの記録時の被処理物20の表面温度を検出する。この場合、制御部160は、検出された表面温度に応じて、被処理物20に予め定めたドットが形成されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部103の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
被処理物20の種類や環境温度などにより、加熱部103によって加熱された被処理物20の表面が、目標温度とは不一致となる場合がある。このため、制御部160は、検出部102で検出された表面温度に応じて、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することが好ましい。この制御により、被処理物20の種類や環境温度などに拘らず、被処理物20の表面を加熱部103による目標温度となるように調整することができる。このため、本実施の形態の印刷装置170は、上記効果に加えて、画質の安定した印刷(画像形成)を行うことが可能となる。
また、制御部160は、検出された表面温度が加熱部103による目標温度未満である場合、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を高くするように制御する。このため、本実施の形態の印刷装置170は、上記効果に加えて、被処理物20の種類や環境温度などに拘らず、画質の安定した印刷を行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、加熱部103は、加熱部103の発熱により発生した熱によって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱することができる。また、制御部160は、加熱部103の発熱温度としての加熱温度および加熱部103の加熱時間を制御することによって、加熱部103の加熱エネルギーを制御することができる。
なお、本実施の形態では、記憶部162には、印刷モード、被処理物の種類、被処理物に吐出されるインクの量、および被処理物20に吐出されるインクの種類に対応する、目的とするドットを記録するためのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを記憶する場合を説明した。
しかし、記憶部162には、プラズマエネルギーに代えて、該プラズマエネルギーでプラズマ処理を実現するための条件を登録してもよい。例えば、記憶部162には、プラズマエネルギーに代えて、プラズマ処理部101の放電電極11の駆動数や、放電電極11に印加する電圧の電圧値、電圧印加時間、キャリッジ172の主走査方向(スキャン方向)への走査速度、スキャン数(パス数)、被処理物20の副走査方向への搬送タイミング、などを組み合わせた値を登録してもよい。
同様に、記憶部162には、例えば、加熱エネルギーに変えて、加熱温度と、加熱時間と、を登録してもよい。加熱時間は、例えば、キャリッジ172の主走査方向(スキャン方向)への走査速度、スキャン数(パス数)、被処理物20の副走査方向への搬送タイミングであってもよい。なお、キャリッジ172にプラズマ処理部101および加熱部103が搭載されている場合、記憶部162に記憶されている、各プラズマエネルギーに対応する加熱エネルギーは、キャリッジ172の主走査方向(スキャン方向)への走査速度、スキャン数(パス数)、および被処理物20の副走査方向への搬送タイミングについては同じ値とすればよい。
また、印刷装置170は、記録部171によって記録されたドットによる画像の濃度を検出する濃度検知部を更に備えた構成としてもよい。この場合、制御部160は、濃度検知部で検知された画像の濃度に応じて、該画像の画像データに示される濃度が実現されるように、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を更に調整してもよい。
(第2の実施の形態)
上記実施の形態では、印刷装置170は、インクジェットの記録方式として、マルチパス方式を用いる場合を一例として説明した。しかし、印刷装置170によるインクジェット記録方式は、マルチパス方式に限定されず、例えば、シングルパス方式であってもよい。
図26は、本実施の形態の印刷システム1Bの説明図である。
印刷システム1Bは、印刷装置170Bを含む。印刷装置170Bは、制御部160と、記録部171Bと、プラズマ処理部101と、加熱部103と、検出部102と、を備える。制御部160と、記録部171B、プラズマ処理部101、加熱部103、および検出部102と、は、信号やデータ授受可能に接続されている。
プラズマ処理部101は、プラズマ処理装置10(図1参照)と同様の機構を備える。図26に示す例では、プラズマ処理部101には、複数の放電電極11(11H〜11M)と、カウンタ電極14と、が誘電体12を介して対向配置されている。複数の放電電極11とカウンタ電極14とには、複数の高周波高圧電源15(15H〜15M)の各々が高周波高電圧を印加する。制御部160は、プラズマ処理部101に設けられた複数の放電電極11の内、駆動する放電電極11の数や、印加する電圧値、電圧印加時間などを調整することで、プラズマエネルギーを制御する。
印刷装置170Bでは、誘電体12は、無端ベルト状に構成され、搬送ベルトとして機能する。誘電体12は、内側を一対の搬送ローラ50(50A、50B)によって支持されている。誘電体12は、これらの搬送ローラ50の回転に従動して回転することで、被処理物20を搬送方向(矢印Y方向)に搬送する。また、被処理物20は、他の搬送ローラ50(50C)などにより、プラズマ処理部101から記録部171Bの方向へと搬送される。
プラズマ処理部101の搬送方向下流側には、記録部171Bが設けられている。記録部171Bは、プラズマ処理された被処理物20にインクを吐出してドットを記録する。記録部171Bは、シングルパス方式である。なお、記録部171Bは、インクジェット記録方式が異なる以外は、第1の実施の形態の記録部171と同様である。
検出部102は、ドットの記録時の被処理物20の表面温度を検出する。本実施の形態では、検出部102は、記録部171Bによるドットの記録時の被処理物20の表面温度を検出可能な位置に設けられている。本実施の形態では、検出部102は、記録部171Bの近傍に配置されている。
加熱部103は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。本実施の形態では、加熱部103は、記録部171Bのインク吐出面(ノズルのインク吐出口)に対して、被処理物20を介して対向配置する位置に設けられている。このため、本実施の形態では、加熱部103は、インク吐出によるドットの記録時の被処理物20を、ドットの吐出される面の反対側から加熱する。すなわち、本実施の形態では、加熱部103は、ドットの記録時の第2タイミングで被処理物20を加熱可能な位置に配置されている。
なお、第1の実施の形態と同様に、加熱部103は、ドットが記録される前の第1タイミング、ドットの記録時の第2タイミング、およびドットが記録された後の第3タイミングの少なくとも1つのタイミングで、被処理物20を加熱すればよい。
制御部160は、記録部171に代えて、シングルパス方式の記録部171Bを制御する以外は、第1の実施の形態と同様である。
このため、インクジェットの記録方式としてシングルパス方式を用いた場合であっても、印刷装置170Bは、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
上記実施の形態では、加熱部103は、加熱部103本体が発熱する装置である場合を一例として説明した。すなわち、上記実施の形態では、加熱部103本体の発熱により発生した熱によって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する形態を一例として説明した。
本実施の形態では、加熱部103に代えて、被処理物20におけるインク吐出領域に向かって熱風を吹き当てることによって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する、加熱部を用いる形態を説明する。なお、上記実施の形態と同じ機能を示す構成には、同じ符号を付与して詳細な説明を省略する。
図27は、本実施の形態にかかる印刷システム2の概略構成を示す模式図である。図27(A)に示すように、印刷システム2は、印刷装置169を備える。印刷装置169は、記録部171と、プラズマ処理部101と、加熱部104と、制御部161と、を含む。
プラズマ処理装置101および記録部171は、第1の実施の形態と同様である。加熱部104は、被処理物20におけるインク吐出領域に向かって熱風を吹き当てることによって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。
制御部161は、印刷装置169を制御する。
加熱部104は、熱風を吹きだす公知の機構と、熱風の温度および熱風の風速を調整する調整機構と、を含む構成であればよい。加熱部104には、公知の装置を用いればよい。
なお、本実施の形態では、印刷装置169が、プラズマ処理部101を含む構成である場合を説明する。しかし、印刷装置169と、プラズマ処理部101と、を別体として構成してもよい。この場合、図27(B)に示すように、印刷システム2Aを、印刷装置169Aと、プラズマ処理部101と、を備えた構成とすればよい。印刷装置169Aは、プラズマ処理部101を備えない以外は、印刷装置169と同様である。
次に、印刷装置169の概略構成を、図28〜図29に抜粋して示す。
なお、本実施の形態では、一例として、印刷装置169のインクジェット記録方式として、マルチパス方式を用いる場合を説明する。
図28は、印刷装置169のヘッド部174の概略構成を示す上視図である。図29は、ヘッド部174のスキャン方向(主走査方向、矢印X方向)に沿った概略構成を示す側視図である。
図28および図29に示すように、印刷装置169は、制御部161と、記録部171と、プラズマ処理部101と、を含む。また、印刷装置169は、加熱部104と、検出部102と、検知部105と、駆動部175と、を含む。検出部102と、検知部105と、加熱部104と、記録部171と、プラズマ処理部101と、駆動部175と、は、制御部161に電気的に接続されている。
検出部102と、記録部171と、プラズマ処理部101と、は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、印刷装置169は、加熱部103に代えて加熱部104を備え、制御部160に代えて制御部161を備え、ヘッド部173に替えてヘッド部174を備え、検知部105および駆動部175を更に備えた以外は、第1の実施の形態の印刷装置170と同様の構成である。
ヘッド部174は、プラズマ処理部101と、検出部102と、加熱部104と、記録部171と、検知部105と、を含み、これらを支持する。本実施の形態では、キャリッジ172は、不図示の駆動機構によって、被処理物20の搬送方向(副走査方向、矢印Y方向)に対して直交する方向(主走査方向、矢印X方向参照))にヘッド部174を往復移動させる。
検知部105は、ヘッド部174と被処理物20との距離(以下、ギャップGと称する場合がある)を検知する。図29に示すように、ギャップGは、ヘッド部174における被処理物20との対向面と、被処理物20におけるヘッド部174との対向面と、の最小距離を示す。
検知部105は、ギャップGを検知可能な装置であればよく、公知の装置を用いることができる。
駆動部175は、ヘッド部174を、被処理物20に近づく方向または離れる方向(矢印Z方向)に移動させる。駆動部175は、ヘッド部174を矢印Z方向に移動させる機構であればよく、その構成は限定されない。駆動部175は、例えば、ヘッド部174を覆う筐体と、該筐体を水平方向(矢印X方向)に支持する支持部材と、該支持部材の鉛直方向(矢印Z方向)の位置を調整するための偏芯カムと、を含む。そして、偏芯カムを回転駆動させることで、支持部材の鉛直方向(矢印Z方向)における位置を調整することで、ギャップGを変更するように調整する機構であってもよい。
本実施の形態の印刷装置169は、被処理物20にプラズマ処理を施すと共に、被処理物20のインク吐出領域を、加熱部104を用いて加熱する。
ここで、加熱部として加熱部104を用いた場合の、堅牢性、ブリーディング、ビーディングについての評価結果を説明する。
図30は、堅牢性の評価結果を示す図である。詳細には、図30は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱条件と、に対応する記録されたドットによる画像の堅牢性の評価結果である。
なお、プラズマ処理は、インク吐出によるドット記録より前に行った。また、加熱時間は一定とし、加熱条件のみを調整した。加熱条件は、熱風の風速と、熱風の温度(以下、熱風温度と称する場合がある)と、を含む。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図30に示す堅牢性の評価結果の値は、値が大きいほど堅牢性が高いことを示す。具体的には、値「3」は、堅牢性が通常であり、値「5」は、堅牢性が良好であることを示す。
図30に示すように、プラズマエネルギーと、加熱条件によって規定される風速と、熱風温度と、の少なくとも1つが高いほど、堅牢性は良好であった。また、プラズマエネルギーと加熱温度の双方が高いほど、堅牢性は良好であった。
被処理物20の種類により異なるが、これは、プラズマエネルギーが高いほど、インク層の表面の凹凸が大きくなり(粗面化され)、酸性化が強くなり、顔料の凝集速度が速くなるためと考えられる。また、熱風の風速および熱風温度の少なくとも一方が高い(風速の場合は“速い”)ほど、顔料の凝集速度が速くなるためと考えられる。また、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風の温度と、の全てが高い(風速の場合は“速い”)ほど、高いプラズマエネルギーによりインク層の粗面化が大きくなった状態で、乾燥されるためと考えられる。
図31は、ブリーディングの評価結果を示す図である。図31は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱条件と、に対応する記録されたドットによる画像のブリーディングの評価結果である。加熱条件は、図30の評価と同様に、熱風の風速と、熱風温度と、を含む。
なお、図31では、マルチパス方式の記録ヘッドを6パス(すなわち、6スキャン)させる記録を行い、加熱時間を6パスさせる時間とした場合と、3パスさせる記録を行い、加熱時間を3パスさせる時間とした場合と、の各々について、加熱条件とプラズマエネルギーとに対応するブリーディング評価結果を示した。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図31に示すブリーディングの評価結果の値は、値が大きいほど評価結果が良好であることを示す。具体的には、値「2」以下は評価結果が悪く、値「5」は評価結果が良好であることを示す。
図31に示すように、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風温度と、の少なくとも一つが高い(風速の場合は“速い”)ほど、ブリーディングの評価結果は良好であった。また、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風温度と、の全てが高い(風速の場合は“速い”)ほど、ブリーディングの評価結果は良好であった。また、印刷速度の速い3パスの記録であっても、印刷速度の遅い6パスの記録時と同様に、加熱条件とプラズマエネルギーを調整することで、ブリーディングの評価結果が良好であることを示す値「5」が得られることが判明した。
図32は、ビーディングの評価結果を示す図である。図32は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱条件と、に対応する記録されたドットによる画像のビーディングの評価結果である。加熱条件は、図30の評価と同様に、熱風の風速と、熱風温度と、を含む。
なお、図32では、マルチパス方式の記録ヘッドを6パス(すなわち、6スキャン)させる記録を行い、加熱時間を6パスさせる時間とした場合と、3パスさせる記録を行い、加熱時間を3パスさせる時間とした場合と、の各々について、加熱条件とプラズマエネルギーとに対応するビーディング評価結果を示した。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図32に示すビーディングの評価結果の値は、値が大きいほど評価結果が良好であることを示す。具体的には、値「2」以下は評価結果が悪く、値「5」は評価結果が良好であることを示す。
図32に示すように、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風温度と、の少なくとも一つが高い(風速の場合は“速い”)ほど、ビーディングの評価結果は良好であった。また、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風温度と、の全てが高い(風速の場合は“速い”)ほど、ビーディングの評価結果は良好であった。また、印刷速度の速い3パスの記録であっても、印刷速度の遅い6パスの記録時と同様に、加熱条件とプラズマエネルギーを調整することで、ビーディングの評価結果が良好であることを示す値「5」が得られることが判明した。
以上の評価結果から、本発明者は、被処理物20へのプラズマ処理と、被処理物20におけるインク吐出領域の加熱条件としての熱風の風速および熱風温度と、を組み合わせることによって、画質劣化を抑制することが出来ることを見出した。また、本発明者は、この組み合わせの構成とすることによって、印刷速度を上げた場合であっても、画質劣化を抑制することができることを見出した。
また、本発明者らは、ある加熱条件となるように調整する場合、風速を可能な限り抑え、熱風温度を調整することで、画質劣化を抑制することができることを見出した。
すなわち、本発明者らは、熱風の風速が遅いほど、ビーディングやブリーディングが発生しやすいが、プラズマエネルギーおよび熱風温度を増加させることで、画質劣化を抑制することができることを見出した。これは、顔料の凝集性能の低下を抑制することができるためと考えられる。
また、本発明者らは、熱風の風速が速い場合、プラズマエネルギーおよび熱風温度の何れか一方を低くすることで、画質劣化の抑制と、省エネルギーと、の双方を実現することができることを見出した。
図33は、加熱部104による熱風温度を一定とし、熱風の風速を変えた場合の評価結果の一例を示す図である。
なお、図33(A)は、熱風の風速を高速とした場合の画像であり、図33(B)は、熱風の風速を低速とした場合の画像である。図33に示すように、熱風温度が一定の場合、熱風の風速が遅いと(図33(B)参照)、熱風の風速が速い場合(図33(A)参照)に比べて、画質劣化が抑制されていた。
また、本発明者らは、ヘッド部174と被処理物20とのギャップGに応じて、被処理物20へのプラズマ処理のプラズマエネルギーと、加熱エネルギーと、を調整することが好ましいことを見出した。
ヘッド部174と被処理物20とのギャップGが大きいほど、記録部171から吐出されたインクが被処理物20へ到達するまでの距離が大きくなる。このため、記録部171から吐出されたインクが被処理物20へ到達するまでの間に、加熱部104による熱風によって被処理物20へのインクの着弾位置ずれや着弾位置のバラツキが発生すると考えられる。
このため、本発明者らは、ギャップGが大きいほど、加熱部104による熱風の風速を低速とし、且つ、熱風温度およびプラズマエネルギーの少なくとも一方を大きくすることで、画質劣化を抑制することができることを見出した。
図34は、画質の評価結果を示す図である。図34は、プラズマ処理によるプラズマエネルギーと、加熱条件と、に対応する記録されたドットによる画像の画質の評価結果である。加熱条件は、図30の評価と同様に、熱風の風速と、熱風温度と、を含む。
なお、図34では、ギャップGが1.8mmである場合と、ギャップGが2.8mmである場合と、の各々について、加熱要件とプラズマエネルギーとに対応する画質の評価結果を示した。また、被処理物20の加熱のタイミングは、インクによるドットの記録時とした。
なお、図34に示す画質の評価結果の値は、値が大きいほど評価結果が良好であることを示す。具体的には、値「2」以下は評価結果が悪く、値「5」は評価結果が良好であることを示す。
図34に示すように、プラズマエネルギーおよび熱風温度が一定の場合、風速が遅いほど画質が向上し、ギャップGが小さいほど画質が向上した。
また、プラズマエネルギーおよび風速が一定の場合、熱風温度が高いほど、画質が劣化する場合があった。これは、加熱部104からの熱風によって、記録部171の液室内のインク温度が上昇することで、記録部171の液室内のインクの溶存酸素量が増え、気泡が発生するためと考えられる。記録部171の液室内で気泡が発生すると、記録部171から吐出されるインクの飛翔曲がりが発生したためと考えられる。ただし、図34に示すように、熱風温度が高い場合であっても、プラズマエネルギーを高くすることで、画質が向上した。
以上の評価結果から、本発明者は、被処理物20へのプラズマ処理と、被処理物20におけるインク吐出領域の加熱条件としての熱風の風速および熱風温度と、ギャップGと、を調整することによって、画質劣化を抑制することが出来ることを見出した。
また、第1の実施の形態で説明したように、本発明者は、被処理物20へのプラズマ処理のプラズマエネルギーと、加熱エネルギーと、を調整することで、予め定めた直径、予め定めた形状、および予め定めた濃度分布(顔料の凝集の度合い)の少なくとも1つを満たす、目的とする予め定めたドットを記録することが出来る事を見出した。
また、第1の実施の形態で説明したように、本発明者は、被処理物20の種類や、インクの量(大滴、中滴、小滴など)や、インクの種類や、印刷モードによって、目的とする予め定めたドットを記録するために必要な、プラズマエネルギーや加熱エネルギーが異なることを見出した。
そこで、印刷装置169の制御部161は、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部のプラズマエネルギー、および加熱部104の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御する。
本実施の形態では、制御部161は、熱風の温度、該熱風の風速、および加熱時間の少なくとも1つを制御することによって、加熱部104の加熱エネルギーを制御する。
なお、制御部161は、被処理物20の種類、インク量、インク種、印刷モード、検知部105によって検知されたギャップG、および、検出部102によって検出された被処理物20の表面温度、の少なくとも1つに応じて、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部104の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することが好ましい。
図35は、印刷装置169の機能ブロック図である。
印刷装置169は、制御部161と、記憶部163と、プラズマ処理部101と、記録部171と、検出部102と、加熱部104と、検知部105と、駆動部175と、を備える。制御部161と、記憶部163、プラズマ処理部101、記録部171、検出部102、加熱部104、検知部105、および駆動部175と、は、データや信号授受可能に接続されている。上述したように、プラズマ処理部101と、記録部171と、検出部102と、加熱部104と、検知部105と、駆動部175と、が、ヘッド部174を構成する。記憶部163は、各種データを記憶する。
制御部161は、CPUなどを含んで構成されるコンピュータであり、印刷装置169全体を制御する。なお、制御部161は、CPU以外の回路などで構成してもよい。
制御部161は、通信部160Aと、取得部161Bと、算出部161Cと、プラズマ制御部161Dと、記録制御部161Eと、加熱制御部161Fと、再算出部161Gと、駆動制御部161Hと、を含む。通信部160A、取得部161B、算出部161C、プラズマ制御部161D、記録制御部161E、加熱制御部161F、再算出部161G、および駆動制御部161Hの一部またはすべては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
通信部160Aは、図示を省略する外部装置などと、インターネットなどを介して通信する。通信部160Aは、第1の実施の形態と同様であり、外部装置から印刷データを受信する。
駆動制御部161Hは、画像形成対象の被処理物20の種類に応じて、ギャップGを調整するように、駆動部175を制御する。
例えば、記憶部163は、被処理物20の種類と、該種類の被処理物20に画像を形成するときの好ましいギャップGと、を予め対応づけて記憶する。被処理物20の種類によって、表面に凹凸を有する被処理物20や、平面性の劣る被処理物20や、厚みの厚い被処理物20などがある。そこで、記憶部163は、ドット記録時に被処理物20の表面と記録部171によるインク吐出面とが非接触であり、且つ良好にインクを吐出して画像形成可能な距離をギャップGとして、被処理物20の種類毎に予め記憶部163に記憶すればよい。
そして、駆動制御部161Hは、例えば、印刷データに含まれる設定情報を読取ることによって、被処理物20の種類を取得する。そして、駆動制御部161Hは、読取った種類に対応するギャップGを記憶部163から読取る。さらに、駆動制御部161Hは、検知部105で検知されるギャップGが、読取ったギャップGと一致するまで、駆動部175を駆動制御する。駆動制御部161Hの制御によって駆動部175がヘッド部174を駆動することで、ヘッド部174と被処理物20との距離が、読取ったギャップGとなるように調整される。
取得部161Bは、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、被処理物20に吐出されるインクの量、およびヘッド部174と被処理物20とのギャップGを取得する。
取得部161Bは、駆動制御部161Hが調整に用いた、被処理物20の種類に対応するギャップGを記憶部163から読取ることで、ギャップGを取得する。なお、取得部161Bは、検知部105で検知されたギャップGを読取ることで、ギャップGを取得してもよい。
なお、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、および被処理物20に吐出されるインクの量については、取得部161Bは、第1の実施の形態で説明した取得部160Bと同様にして取得すればよい。
算出部161Cは、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマ処理部101によるプラズマエネルギー、および加熱部104による加熱エネルギーを算出する。本実施の形態では、算出部161Cは、加熱部104の熱風の風速と、熱風温度と、を、加熱エネルギーとして算出する。
なお、算出部161Cは、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの一方を一定の値とし、他方を可変とし、この他方のエネルギーを算出してもよい。また、算出部161Cは、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの双方を可変とし、双方のエネルギーを算出してもよい。
また、算出部161Cは、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風温度と、の内の1つまたは2つを固定とし、他の2つまたは1つを可変とし、可変したものの値(プラズマエネルギー、風速、熱風温度)を算出してもよい。また、算出部161Cは、プラズマエネルギーと、熱風の風速と、熱風温度と、の全てを可変とし、全ての値を算出してもよい。
本実施の形態では、算出部161Cは、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの量、被処理物20に吐出されるインクの種類、ギャップG、および検出部102によって検出された被処理物20の表面温度、の少なくとも1つに応じて、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギー、および加熱エネルギーを算出する。
例えば、予め記憶部163に、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、吐出するインクの量、およびギャップGに対応づけて、予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを記憶する。
そして、算出部161Cは、取得部161Bで取得した、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、吐出するインクの量、およびギャップGに対応する、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを記憶部163から読取る。この読取りにより、算出部161Cは、予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを算出すればよい。
なお、ユーザは、予め、複数種類の印刷モードと、複数種類の被処理物20と、複数種類のインクと、複数種類のインク量と、複数種類のギャップGと、を用いて、記録するドットを目的とする予め定めたドットとするためのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを、印刷装置169を用いて測定すればよい。そして、制御部161は、測定された各条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、インクの量、およびギャップGの組合せ)と、目的とする予め定めたドット(目的の形状、直径、濃度分布のドット)を記録するためのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーと、を対応づけて記憶部163に予め記憶すればよい。
例えば、各条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、インクの量、およびギャップG、の組合せ)を変えて被処理物20に画像を形成し、目的とする良好なドットが形成されたときのプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを、該条件に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーとして記憶部163に記憶すればよい。
なお、良好な評価結果が複数得られた場合、何れの加熱エネルギーとプラズマエネルギーの組合せを記憶部163に記憶してもよい。しかし、良好な評価結果の内、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方がより低い組合せを記憶部163に記憶することが、生産性向上や消費エネルギーの低減の観点から好ましい。
具体的には、図34に示す評価結果が得られたとする。この場合、評価結果が良好であることを示す値「5」に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギー(加熱部104による熱風の風速、および熱風温度によって定まる)を、該評価結果が得られたときの測定条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、インクの量、ギャップG)に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーとして記憶部163に記憶すればよい。
更に具体的には、例えば、インク量が少ない(例えば、小滴)場合には、熱風の風速を低速とし、インク量が多い(例えば大滴)場合には、より大きいプラズマエネルギーを記憶することが好ましい。
インク量が少ない場合に熱風の風速が高速であると、インクの飛散や着弾位置ずれによって画質劣化が生じる場合がある。また、速度優先で印刷する場合、解像度を低くした画像(例えば、1200dpiから600dpiへ解像度を低下させた画像)を印刷することから、吐出されるインク量を多くし、ドット径を大きくしなければ、濃度低下により画質劣化が生じる場合がある。このような場合に、インク量を単に多くすると、ブリーディングが発生して境界にじみが発生する。このため、従来では、このような場合、濃度低下による画質劣化が発生する場合もあった。
そこで、本実施の形態では、例えば、評価結果が良好であることを示す値(例えば「5」)に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギー(加熱部104による熱風の風速、および熱風温度によって定まる)を、該評価結果が得られたときの測定条件(印刷モード、被処理物20の種類、インクの種類、インクの量、ギャップG)に対応するプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーとして記憶部163に記憶すればよい。
そして、算出部161Cは、取得部161Bで取得した、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、吐出するインクの量、およびギャップGに対応する、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを記憶部163から読取ることで、予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを算出すればよい。
これによって、例えば、より少ないインク量で画像濃度を向上させ、画質劣化を抑制することも可能となる。
また、良好な評価結果(例えば、良好を示す値「5」)が複数得られた場合、何れの加熱エネルギーとプラズマエネルギーの組合せを記憶部163に記憶してもよい。しかし、良好な評価結果の内、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方がより低い組合せを記憶部163に記憶することが、生産性向上や消費エネルギーの低減の観点から好ましい。
また、加熱部104による熱風の風速や熱風温度が高すぎると、ノズルの乾燥による吐出不良が発生する場合がある。また、高速で印刷を行うほど、プラズマ処理部101によるプラズマエネルギーを上げる必要がある。このため、記憶部163には、より低いプラズマエネルギーで、且つ、加熱条件(熱風の風速および熱風温度)をノズルの吐出不良の生じない温度範囲内とした上で、良好な評価結果の得られたときの、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを特定し、記憶することが好ましい。
プラズマ制御部161Dは、被処理物20の表面を、算出部161Cで算出されたプラズマエネルギーでプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。プラズマ制御部161Dによるプラズマ処理部101の制御は、第1の実施の形態で説明したプラズマ制御部160Dと同様に行えばよい。
加熱制御部161Fは、被処理物20の少なくともインク吐出領域を、算出部161Cで算出された加熱エネルギーで加熱するように、加熱部104を制御する。
例えば、加熱制御部161Fは、制御部161で算出された加熱エネルギーによって示される、熱風の風量および熱風温度となるように加熱部104を制御する。これにより、加熱制御部161Fは、被処理物20の少なくともインク吐出領域を、算出された加熱エネルギーで加熱するように、制御する。
このため、制御部161は、被処理物20に予め定めたドットが記録されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部104の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することとなる。
再算出部161Gは、再算出部160G(図24参照)と同様に、検出部102から取得した表面温度に応じて、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を再算出する。
本実施の形態では、再算出部161Gは、取得した表面温度に応じて、算出部161Cで算出したプラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを、再度算出する。プラズマエネルギーの算出および加熱エネルギーの再算出は、表面温度に応じて算出する以外は、上記算出部161Cと同様にして行えばよい。
詳細には、取得した表面温度が、加熱部104の目標温度未満であったとする。加熱部104の目標温度とは、算出部161Cで算出した加熱エネルギーによって示される熱風温度である。言い換えると、加熱部104の目標温度は、加熱制御部161Fが現在制御している、加熱部104の熱風温度である。
このように、取得した表面温度が目標温度未満である場合、再算出部161Gは、加熱エネルギーを加熱部104が現在与えている加熱エネルギーで一定とする。そして、再算出部164Gは、プラズマ処理部101が現在与えているプラズマエネルギーより高いプラズマエネルギーを算出する。例えば、検出された表面温度が目標温度より低いほど、プラズマ処理部101が現在与えているプラズマエネルギーに、より大きい倍率(1より大きい値)を乗算した値を、新たなプラズマエネルギーとして再算出する。
一方、取得した表面温度が目標温度と一致する場合、再算出部164Gは、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの再算出を行わない。
また、取得した表面温度が目標温度を超える場合、再算出部161Gは、現在与えているプラズマエネルギーより低いプラズマエネルギー、および、現在与えている加熱エネルギーより低い加熱エネルギー、の少なくとも一方となるように、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを再算出すればよい。
再算出部161Gが、プラズマエネルギーを再算出した場合、プラズマ制御部161Dは、再算出されたプラズマエネルギーでプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する。また、再算出部161Gが加熱エネルギーを再算出した場合、加熱制御部161Fは、再算出された加熱エネルギーで加熱するように、加熱部104を制御する。
このため、制御部161は、検出された表面温度に応じて、被処理物20に予め定めたドットが形成されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部104の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することとなる。また、制御部161は、検出された表面温度が加熱部104による目標温度未満である場合、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーの少なくとも一方を高くするように制御することとなる。
次に、印刷装置170が実行する印刷処理の手順を説明する。図36は、印刷装置169が実行する印刷処理の手順を示すフローチャートである。
まず、通信部160Aが、印刷データを外部装置から受信する(ステップS200)。次に、通信部160Aは、受信した印刷データを、記憶部163に記憶する(ステップS202)。
次に、駆動制御部161Hが、印刷対象の被処理物20の種類を読取る(ステップS204)。次に、駆動制御部161Hは、検知部105で検知されるギャップGが、ステップS204で読取ったギャップGと一致するまで、駆動部175を駆動制御する(ステップS206)。ステップS206の制御によって駆動部175がヘッド部174を駆動することで、ヘッド部174と被処理物20との距離が、ステップS204で読取ったギャップGとなるように調整される。
次に、取得部161Bが、印刷モード、被処理物20の種類、被処理物20に吐出されるインクの種類、被処理物20に吐出されるインクの量、および、ヘッド部174と被処理物20とのギャップGを取得する(ステップS208)。
次に、算出部161Cが、ステップS208で取得した、印刷モード、被処理物20の種類、インクの量、インクの種類、およびギャップGに応じて、被処理物20に予め定めたドットを記録するための、プラズマエネルギー、および加熱エネルギーを算出する(ステップS210)。ステップS210では、算出部161Cは、加熱エネルギーとして、加熱部104による熱風の風速と、熱風温度と、を算出する。
次に、プラズマ制御部161Dが、ステップS106で算出されたプラズマエネルギーで、被処理物20の表面をプラズマ処理するように、プラズマ処理部101を制御する(ステップS212)。
そして、記録制御部161Eが、ステップS200で受信した印刷データに含まれる画像データによって示される各画素の画素値および解像度に応じて、インクを吐出するように、記録部171を制御する(ステップS214)。
加熱制御部161Fは、ステップS210で算出された加熱エネルギーで、被処理物20の少なくともインク吐出領域を加熱するように、加熱部104を制御する(ステップS216)。ステップS216の処理によって、被処理物20におけるインク吐出領域が、加熱部104から吹き出す、加熱制御部161Fで制御された風量および熱風温度の熱風によって加熱される。
なお、ステップS212〜ステップS216の処理時には、制御部161は、ヘッド部174の走査および被処理物20の搬送を制御する。
次に、制御部161は、印刷データに含まれる画像データの画像の形成が終了したか否かを判断する(ステップS218)。ステップS218で肯定判断すると(ステップS218:Yes)、本ルーチンを終了する。
ステップS218で否定判断すると(ステップS218:No)、ステップS220へ進む。
ステップS220では、再算出部161Gが検出部102から被処理物20の表面温度を取得する(ステップS220)。次に、再算出部161Gは、取得した表面温度が目標温度と一致するか否かを判断する(ステップS222)。取得した表面温度が目標温度と一致しない場合(ステップS222:No)、ステップS226へ進む。ステップS226では、再算出部161Gは、ステップS220で取得した表面温度を用いて、プラズマエネルギーおよび加熱エネルギーを再算出する(ステップS226)。そして、ステップS212へ戻る。
なお、ステップS226で再算出された後に、ステップS212およびステップS216の処理を実行する場合、ステップS212では、プラズマ制御部161Dは、再算出されたプラズマエネルギーでプラズマ処理するようにプラズマ処理部101を制御すればよい。また、ステップS216では、加熱制御部161Fは、再算出された加熱エネルギーで加熱するように、加熱部104を制御すればよい。
一方、上記ステップS222の判断において、取得した表面温度と目標温度が一致する場合(ステップS222:Yes)、ステップS224へ進む。ステップS224では、制御部161が、印刷データに含まれる画像データの画像の形成が終了したか否かを判断する(ステップS224)。ステップS224で否定判断すると(ステップS224:No)、上記ステップS212へ戻る。一方、ステップS224で肯定判断すると(ステップS224:Yes)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の印刷装置169は、プラズマ処理部101と、記録部171と、加熱部104と、を備える。プラズマ処理部101は、被処理物20をプラズマ処理する。記録部171は、プラズマ処理された被処理物20にインクを吐出してドットを記録する。加熱部104は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。本実施の形態では、加熱部104は、被処理物20におけるインク吐出領域に向かって熱風を吹き当てることによって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。
このように、加熱部として、被処理物20におけるインク吐出領域に向かって熱風を吹き当てることによって、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する加熱部104を用いた場合であっても、第1の実施の形態の印刷装置170と同様に、制御部160は、画質劣化を抑制することができる。
また、この場合、制御部161は、熱風の温度、熱風の風速、および加熱時間を制御することによって、加熱部104の加熱エネルギーを制御することができる。
また、本実施の形態の印刷装置169は、プラズマ処理部101と、記録部171と、加熱部104と、を支持するヘッド部174を備える。また、印刷装置169は、駆動部175と、検知部105と、を備える。駆動部175は、ヘッド部174を被処理物20に近づく方向または離れる方向に移動させる。検知部105は、ヘッド部174と被処理物20との距離(ギャップG)を検知する。そして、この場合、制御部161は、検知された距離(ギャップG)および加熱部104で検出された表面温度の少なくとも一方に応じて、被処理物20に予め定めたドットが形成されるように、プラズマ処理部101のプラズマエネルギー、および加熱部104の加熱エネルギーの少なくとも一方を制御することができる。
(第4の実施の形態)
上記第3実施の形態では、印刷装置169は、インクジェットの記録方式として、マルチパス方式を用いる場合を一例として説明した。しかし、印刷装置169によるインクジェット記録方式は、マルチパス方式に限定されず、例えば、シングルパス方式であってもよい。
図37は、本実施の形態の印刷システム2Bの説明図である。
印刷システム2Bは、印刷装置169Bを含む。印刷装置169Bは、制御部161と、記録部171Bと、プラズマ処理部101と、加熱部104と、検出部102と、検知部105と、駆動部175と、を備える。制御部161と、記録部171B、プラズマ処理部101、加熱部104、検出部102、検知部105、および駆動部175と、は、信号やデータ授受可能に接続されている。
プラズマ処理部101は、図26に示すプラズマ処理部101と同様である。プラズマ処理部101の搬送方向下流側には、記録部171Bが設けられている。記録部171Bは、図26に示す記録部171Bと同様である。
検出部102は、ドットの記録時の被処理物20の表面温度を検出する。本実施の形態では、検出部102は、記録部171Bによるドットの記録時の被処理物20の表面温度を検出可能な位置に設けられている。本実施の形態では、検出部102は、記録部171Bの近傍に配置されている。
加熱部104は、被処理物20におけるインク吐出領域を加熱する。本実施の形態では、加熱部104は、被処理物20におけるインク吐出領域に向かって、熱風を吹き当てることの可能な位置に配置されている。すなわち、本実施の形態では、加熱部104は、ドットの記録時の第2タイミングで被処理物20を加熱可能な位置に配置されている。
なお、第1の実施の形態と同様に、加熱部104は、ドットが記録される前の第1タイミング、ドットの記録時の第2タイミング、およびドットが記録された後の第3タイミングの少なくとも1つのタイミングで、被処理物20を加熱すればよい。
制御部161は、記録部171に代えて、シングルパス方式の記録部171Bを制御する以外は、第2の実施の形態と同様である。このため、インクジェットの記録方式としてシングルパス方式を用いた場合であっても、印刷装置169Bは、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
次に、上述した印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101のハードウェア構成について説明する。
図38は、印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101のハードウェア構成図である。なお、図20に示すように、印刷装置170Aとプラズマ処理部101とを別体として構成した場合には、プラズマ処理部101についても、図27に示すハードウェア構成となる。
印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101は、ハードウェア構成として、装置全体を制御するCPU401と、各種データや各種プログラムを記憶するROM402と、各種データや各種プログラムを記憶するRAM403と、キーボードやマウス等の入力装置405と、ディスプレイ装置等の表示装置404と、通信装置406と、がバス407を介して接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
上記実施の形態の印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。
また、上記実施の形態の印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施の形態の印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
また、上記実施の形態の印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
上記実施の形態の印刷装置170、170A、170B、169、169A、169B、およびプラズマ処理部101で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、種々の変形が可能である。