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JP2016111455A - アンテナ装置及びこれを用いた携帯電子機器 - Google Patents

アンテナ装置及びこれを用いた携帯電子機器 Download PDF

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裕文 麻生
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Abstract

【課題】携帯電子機器側に設けられた大きな金属層を利用してアンテナコイルの通信距離を延ばすことが可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、スリットSLを有する金属層3と、金属層3の主面に垂直なコイル軸及びスリットSLと平面視にて重なる内径部13aを有するアンテナコイル13とを備える。金属層は3、第1の金属面3Aと、スリットSLを介して第1の金属面3Aと隣接する第2の金属面3Bと、スリットSLを跨いで第1の金属面3Aと第2の金属面3Bとを接続して一体化させる連結部3Cとを含む。スリットSLの幅Wはアンテナコイル13の内径部13aの幅Wよりも狭く、アンテナコイル13はスリットSLと交差する第1の露出部分E1と第2の露出部分E2とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンテナ装置に関し、特に、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)に好適なアンテナ装置に関するものである。また、本発明はそのようなアンテナ装置を用いた携帯電子機器に関するものである。
近年、スマートフォン等の携帯電子機器にはRFID(Radio Frequency Identification:電波による個体識別)システムが搭載されており、そのための通信手段としてリーダ・ライタ等と近距離無線通信を行うためのアンテナが搭載されている。
一方、内蔵回路を外部ノイズから保護すると共に機器内で発生するノイズの不要輻射を防止するため、携帯電子機器には金属シールドが設けられている。特に最近は、薄型化、軽量化、落下等の衝撃に対する耐久性、デザイン性等を考慮して、携帯電子機器の筐体自体が樹脂製から金属製となり、金属シールドを兼ねるケースも増えてきている。しかし、一般に金属シールドは電波を妨げることから、アンテナを設ける場合には金属シールドと重ならない位置に設ける必要があり、金属シールドが広範囲に設けられているときにはアンテナの配置が問題となる。
上記問題を解決するため、例えば特許文献1〜3に開示されたアンテナ装置は、導体層に開口部を形成すると共に当該開口部と外縁との間を連接するスリットを形成し、内径部が開口部と重なるようにアンテナコイルを配置している。このアンテナ装置によれば、コイル導体に電流が流れることにより生じる磁界を遮るように導体層に電流が流れ、そして導体層の開口部の周囲に流れる電流がスリットの周辺を通り、縁端効果により導体層の周囲にも電流が流れる。これにより、導体層からも磁界が生じ、導体層が磁束を大きく周回させるので、アンテナ装置と相手側アンテナとの通信距離を広げることができる。すなわち、導体層をアンテナコイルの通信距離を広げるアクセラレータとして機能させることができる。
特許第4687832号公報 特開2002−111363号公報 特開2013−162195号公報
しかしながら、上述した従来のアンテナ装置は、導体層に開口部及びスリットが形成されており、スリットが開口部と導体層の外縁とを連接するように形成され、導体層に覆われないアンテナコイルがスリットと交差して露出する箇所は1箇所だけである。すなわち、開口部を設けることでアンテナコイルの内径部を通過する磁束の磁路が確保されているものの、アンテナコイルが導体層に覆われる範囲が広範囲であるため、アンテナの放射特性が十分ではない。
特許文献3の図9には、スリットが平面視にて第1開口部を横切るように設けられ、第1開口部を周回するアンテナコイルの2箇所がスリットと交差するように構成されたアンテナ装置が開示されている。しかし、このアンテナ装置は、スリットを介して第1開口部と連通された第2開口部を有しており、スリットの先端部の幅が大きく広げられているので、スリットの両側の導体層に発生する渦電流のループサイズが小さくなり、十分な放射特性が得られないおそれがある。
したがって、本発明の目的は、携帯電子機器側に設けられた金属面にスリットを設ける構成においてアンテナコイルの通信距離を延ばすことが可能であり、製造も容易なアンテナ装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によるアンテナ装置は、第1の方向に延在するスリットを有する金属層と、前記金属層の主面に垂直なコイル軸及び前記スリットと平面視にて重なる内径部を有するアンテナコイルとを備え、前記金属層は、第1の金属面と、前記スリットを介して前記第1の金属面と隣接する第2の金属面と、前記スリットを跨いで前記第1の金属面のコーナー部と前記第2の金属面のコーナー部とを接続して一体化させる連結部とを含み、前記スリットの幅は前記アンテナコイルの前記内径部の幅よりも狭く、前記アンテナコイルは前記スリットと交差する第1の露出部分と第2の露出部分を有することを特徴とする。
本発明によれば、金属層に形成されたスリットがアンテナコイルの内径部と重なっており、さらにアンテナコイルの2箇所がスリットから露出しているので、アンテナの放射特性を向上させることができ、アンテナコイルの通信距離を延ばすことができる。また、スリットの幅はアンテナコイルの内径部の幅よりも狭いので、スリットの両側に発生する渦電流のループサイズを大きくすることができ、通信範囲を広げることができる。さらに、第1の金属面と第2の金属面とが連結部を介して連結されて一体化しているので、単一の金属体として取り扱うことができる。したがって、このような金属面を有するカバーを作製しやすく、第1の金属面と第2の金属面との間の位置合わせを行う必要が無く、スリット幅がずれることもない。
本発明において、前記スリットの幅は、当該スリットの全長に亘って一定であることが好ましい。スリットの幅がその全長に亘って一定である場合には、スリットの両側の第1及び第2の金属面のまとまった面積を広く確保することができる。したがって、スリットの両側に発生する渦電流のループサイズを大きくすることができ、通信範囲を広げることができる。
本発明において、前記第1の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第1の方向と直交する第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅の0.5倍以上3倍以下であり、前記第2の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅の0.5倍以上3倍以下であることが好ましい。この場合、前記第1の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第1の方向と直交する第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅以下であることがさらに好ましく、前記第2の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅以下であることがさらに好ましい。これによれば、アンテナコイルの内径部で発生する渦電流とアンテナコイルに流れる電流とが互いに打ち消し合うことによる損失を抑えることができ、これによりアンテナの通信距離をアップさせることができる。
本発明において、前記第1の方向の幅が前記連結部の幅と等しく、前記第2の方向の幅が前記アンテナコイルの前記第2の方向の最大幅と等しい第1の矩形領域の面積は、前記第1の方向の幅が前記アンテナコイルの第1の方向の最大幅と等しく、前記第2の方向の幅が前記金属層の前記第1の方向と平行な一辺から前記アンテナコイルまでの最短距離と等しい第2の矩形領域の面積よりも小さいことが好ましい。これによれば、スリットの縁でブーストされた磁束のループを大きく周回させることができ、これによりアンテナの通信距離をアップさせることができる。
本発明において、前記金属層は、前記アンテナコイルが実装される携帯電子機器のケースの少なくとも一部を構成していることが好ましい。携帯電子機器のケースが樹脂製から金属製となり、金属シールドを兼ねる場合において、ケースの一部をアンテナコイルのアクセラレータとして利用することにより、アンテナの放射特性を向上させることができ、アンテナコイルの通信距離を延ばすことができる。
また、本発明による携帯電子機器は、ケースと、前記ケース内に収められた回路基板と、前記回路基板と共に前記ケース内に収められたアンテナ装置とを備え、前記アンテナ装置は、スリットを有する金属層と、前記金属層の主面に垂直なコイル軸及び前記スリットと平面視にて重なる内径部を有するアンテナコイルとを備え、前記金属層は、第1の金属面と、前記スリットを介して前記第1の金属面と隣接する第2の金属面と、前記スリットを跨いで前記第1の金属面のコーナー部と前記第2の金属面のコーナー部とを接続して一体化させる連結部とを含み、前記スリットの幅は前記アンテナコイルの前記内径部の幅よりも狭く、前記アンテナコイルは前記スリットと交差する第1の露出部分と第2の露出部分を有することを特徴とする。
本発明によれば、携帯電子機器側に設けられた金属面にスリットを設ける構成においてアンテナコイルの通信距離を延ばすことが可能であり、製造も容易なアンテナ装置を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置を含む携帯電子機器の構成を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。 図2は、アンテナ装置の構成を詳細に示す略平面図であって、(a)は金属層のみを示す図、(b)はアンテナコイルと金属層の両方を示す図である。 図3は、アンテナコイルに対する金属層の作用を示す図であって、(a)は略平面図、(b)は略断面図である。 図4は、本発明の第2の実施の形態によるアンテナ装置の構成を示す図であって、(a)は金属層のみを示す図、(b)はアンテナコイルと金属層の両方を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置を含む携帯電子機器の構成を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、アンテナ装置10Aは、アンテナ素子11と、アンテナ素子11が内蔵される携帯電子機器1のケース2を構成する金属層3とを備えている。
携帯電子機器1は例えばスマートフォンであり、薄型の直方体形状を有している。携帯電子機器1の内部にはメイン回路基板5やバッテリーパック6が設けられている。本実施形態において、メイン回路基板5はバッテリーパック6と平面視にて重ならないように設けられたL字基板である。携帯電子機器1の一方の主面(前面)にはディスプレイ7が設けられており、ディスプレイ7の外周部には樹脂フレーム8が設けられている。
金属層3はケース2の主要部を構成する肉厚なカバー部材であり、携帯電子機器1の他方の主面(背面)を構成している。金属層3は、スリットSLが形成された金属面を有している。ただし、ケース2はその全体が金属ではなく、ケース2の長手方向(Y方向)の両端部とスリットSL内は絶縁性樹脂4で構成されている。なおケース2の主要部に金属を用いる理由は、剛性及び磁気シールド性を高めつつ薄型化及び軽量化を図るためである。またケース2の一部に樹脂を用いる理由は、金属によって内蔵アンテナが完全にシールドされて電波の送受信が妨げられることを回避するためである。
アンテナ素子11は、基板12と、基板12の一方の主面(上面)に形成されたアンテナコイル13とを備えている。
アンテナコイル13は略矩形のスパイラルパターンを有する平面アンテナであり、金属層3の主面に垂直なコイル軸を有している。基板12は例えばPET樹脂からなるフレキシブル基板であり、その平面サイズは例えば40×50mm、厚さは約30μmである。アンテナコイル13はめっきにより形成してもよく、基板12の全面に予め形成された金属層のエッチング(パターニング)により形成してもよい。
アンテナコイル13を構成する平面スパイラルパターンの両端はリード部によって基板12のエッジまで引き出されており、特にスパイラルパターンの内周端はスパイラルのループを横切ってループの外側に引き出されている。アンテナコイル13の両端は例えばNFCチップ(不図示)に接続される。
アンテナコイル13は絶縁膜14で覆われており、また基板12の他方の主面(裏面)には磁性体シート15が設けられている。基板12及び磁性体シート15は金属層3から見てアンテナコイル13よりも遠方に位置している。磁性体シート15はアンテナコイル13から発生する磁束の磁路を構成するものである。
本実施形態において、アンテナ素子11の直下にはバッテリーパック6が配置されており、磁性体シート15はアンテナコイル13とバッテリーパック6との間に配置されている。磁性体シート15をアンテナコイル13とバッテリーパック6との間に介在させることにより、バッテリーパック6を構成する金属体がアンテナコイル13に与える影響を抑えてインダクタンスを高めることができ、これによりアンテナ特性の向上を図ることができる。
図2は、アンテナ装置10Aの構成を詳細に示す略平面図であって、(a)は金属層3のみを示す図、(b)はアンテナコイル13と金属層3の両方を示す図である。
図2(a)及び(b)に示すように、金属層3は、第1の金属面3Aと、スリットSLを介して第1の金属面3Aと隣接する第2の金属面3Bと、スリットSLを跨いで第1の金属面3AのX方向の一端部と第2の金属面3BのX方向の一端部とを接続する連結部3Cとで構成されている。
第1及び第2の金属面3A,3Bは矩形パターンであり、X方向(第1の方向)の幅は同一である。スリットSLはX方向に延びる直線スリットであり、第1の金属面3Aは、スリットSLから見てY方向(第2の方向)の一端側(上側)に位置し、第2の金属面3Bは、スリットSLから見てY方向の他端側(下側)に位置する。スリットSLは金属層3のY方向の一端寄り(上端寄り)に設けられているので、第1の金属面3Aの面積は第2の金属面3Bの面積よりも小さい。
第1及び第2の金属面3A、3Bはその大部分がスリットSLによって分断されているが、第1の金属面3Aの右下と第2の金属面3Bの右上をつなぐ連結部3Cによって連結されているので、物理的及び電気的に完全には分離されていない。そのため、一つの金属体として取り扱うことができ、一つの金型を用いて作製することができる。また、第1及び第2の金属面3A,3Bが一体化しているので、両者の配置のばらつきが発生せず、スリットSLの幅のばらつきが発生することもない。連結部3CのX方向の幅は、第1及び第2の金属面3A,3BのX方向の幅の1/3以下であることが好ましく、1/5以下であることがより好ましい。
連結部3Cは、スリットSLがX方向の一方(図中右方向)に延びて金属層3を完全に上下に分断されないように繋ぎ止める役割を果たすものである。連結部3CはスリットSLの先端部と接しており、スリットSLと連結部3Cとの間に開口部は存在しない。すなわち、スリットSLの幅は、アンテナコイル13の内径部13aと重なる領域を除きスリットSLの全長に亘って一定である。
本実施形態において、スリットSLの幅Wはアンテナコイル13の内径部13aのY方向の幅Wよりも狭い。スリットSLは基板12のY方向の中央であってアンテナコイル13の内径部13aを横切るように設けられている。すなわち、アンテナコイル13はその内径部13aがスリットSLと平面視にて重なるようにレイアウトされている。これに対し、アンテナコイル13のスリットSLと略平行な部分は、第1及び第2の金属面3A,3Bと平面視にて重なっている。
本実施形態において、スリットSLの幅Wは、アンテナコイル13の内径部13aの幅Wよりも狭い。そのため、スリットSLを横切るアンテナコイル13のループの2箇所以外は金属面3A、3Bに覆われている。
図示のように、アンテナコイル13はスリットSLと交差する第1の露出部分E1と第2の露出部分E2を有し、アンテナコイル13の2箇所が第1の金属面3A又は第2の金属面3Bに覆われることなく露出している。そのため、アンテナコイル13の1箇所だけがスリットから露出する従来の構成に比べて、アンテナの放射特性をさらに高めることができる。
図3は、アンテナコイル13に対する金属層3の作用を示す図であって、(a)は略平面図、(b)は略断面図である。
図3(a)及び(b)に示すように、アンテナコイル13に反時計回りの電流Iaが流れるとき、アンテナコイル13の内径部13aを貫通する磁束φが発生し、この磁束φは第1及び第2の金属面3A,3B間のスリットSLを通過して第1及び第2の金属面3A,3Bの各々と鎖交する。一方、第1の金属面3A及び第2の金属面3Bにはこの磁束φを打ち消そうとする方向の電流が流れ、この電流は縁端効果により第1及び第2の金属面3A,3Bの外周に沿った渦電流となる。
渦電流としては、図3(a)に示すように、アンテナコイル13の外側領域に発生する渦電流Ibと、アンテナコイル13の内側領域に発生する渦電流Icの2つが発生する。渦電流Ibは磁束φが紙面上側から金属層3に当たることで発生する渦電流であり、渦電流Icは磁束φが紙面下側から金属層3に当たることで発生する渦電流である。そしてアンテナコイル13の内径部13aにおいてスリットSLの縁で流れる渦電流Icの成分がアンテナコイル13の磁束φをブーストするように働く。渦電流Ibは、アンテナコイル13のサイズやアンテナコイル13の内径部13aと金属層3との重なり幅によってはスリットSLのエッジ付近において電流の縁端効果が弱くなり、スリットSLのエッジに沿って大回りしない渦電流となる場合もある。
図3(b)において、アンテナコイル13に流れる電流Iaによって発生する磁束φは太い実線の矢印で示されている。一方、細い実線の矢印で示す磁束φは、磁束φが金属層3に入射することによって発生する渦電流Ibによって発生する磁束であり、細い点線の矢印で示す磁束φは、磁束φが金属層3に入射することによって発生する渦電流Icによって発生する磁束である。
金属層3は、アンテナコイル13の内径部13a側へ出っ張る部分が少しでもあればブースト効果を発揮することができる。図示のように、渦電流IcのY方向に向かう電流成分はアンテナコイル13の電流と打ち消し合って損失となるだけであるため、通信距離を延ばす(ブースト効果を高める)ためには、金属層3のコイル内径部13a側へ出っ張る部分の幅W2a,W2bはなるべく小さいほうが好ましい。
具体的には、第1の金属面3Aがアンテナコイル13の内径部13aと平面視にて重なる領域におけるY方向の重なり幅W2aは、アンテナコイル13の線幅の3倍以下であることが好ましく、アンテナコイル13の線幅以下であることがさらに好ましい。同様に、第2の金属面3Bがアンテナコイル13の内径部13aと平面視にて重なる領域におけるY方向の重なり幅W2bは、アンテナコイル13の線幅の3倍以下ことが好ましく、アンテナコイル13の線幅以下ことがさらに好ましい。
ただし、アンテナコイル13の内径部13aに対する金属層3の重なりマージンを確保するため、金属層3のコイル内径部13a側へ出っ張る部分の幅W2a,W2bはアンテナコイル13の線幅の0.5倍以上であることが好ましい。これにより、スリットSLに対するアンテナコイル13の位置が多少ずれたとしてもアンテナコイル13の内径部と金属層3との重なりを確保することができ、アンテナ特性の低下を回避することができる。
第1の金属面3AのX方向の一端部と第2の金属面3BのX方向の一端部は連結部3Cを介して連結されているが、スリットSLのX方向の長さに比べて連結部3CのX方向の長さ(幅)は非常に短いため、連結部3Cによって渦電流Ibが大きく乱されることはなく、連結部3Cの影響を無視することができる。そして、渦電流Ibがアンテナコイル13の外側領域において第1及び第2の金属面3A,3B内を大きく周回することにより、アンテナの通信範囲(角度及び距離)を広げることができる。
スリットSLを通過した磁束φは、第1の金属面3Aと第2の金属面3Bとの間のスリットSLを内側とし、第1の金属面3Aおよび第2の金属面3Bの外縁を外側とする経路を通って迂回しようとする。その結果、磁束φは相対的に大きなループを描き、リーダ・ライタのアンテナコイル13と鎖交し、アンテナコイル13は通信相手側アンテナと磁気的に結合する。特に、第1の金属面3A、第2の金属面3B及びスリットSLを含む金属面全体の外周の平面サイズがアンテナコイル13の平面サイズよりも大きいことから、大きなループ磁界を生じさせることができる。さらに、アンテナコイル13から見て第1及び第2の金属面3A,3Bとは反対側に磁性体シート15が設けられているので、磁束φの磁路を確保してインダクタンスを高めることができ、これによりアンテナ特性の向上を図ることができる。
図3(a)に示すように、連結部3Cを含む金属層3の第1の矩形領域Sの面積は、アンテナコイル13の外側に位置する金属層3の第2の矩形領域Sの面積よりも小さいことが好ましい。本実施形態において、第2の金属面3Bの面積のほうが第1の金属面3Aの面積よりも大きい(あるいは、第2の金属面3BのY方向の幅が第1の金属面3AのY方向の幅よりも広い)ので、第2の矩形領域Sは、より大きな面積を確保できる第2の金属面3Bに設定する。ここで、第1の矩形領域SのX方向の幅は、連結部3CのX方向の幅と等しく、第1の矩形領域SのY方向の幅は、アンテナコイル13のY方向の最大幅と等しい。また、第2の矩形領域SのX方向の幅は、アンテナコイル13のX方向の最大幅と等しく、第2の矩形領域SのY方向の幅は、金属層3のX方向と平行な一辺からアンテナコイル13までの最短距離W3bと等しい。第2の矩形領域Sの面積をより大きくすることにより、スリットSLの縁でブーストされた磁束φが相対的に大きなループを描き、リーダ・ライタのアンテナコイルと鎖交するように大きく周回させることができる。
以上説明したように、本実施形態によるアンテナ装置10Aは、金属層3の第1の金属面3Aと第2の金属面3Bとがアンテナコイル13の磁束φのループを大きく周回させるので、アンテナ装置10Aの通信距離を延ばすことができる。また、アンテナコイル13の2箇所がスリットSLと交差しており、金属面に覆われることなく露出しているので、アンテナコイル13の1箇所だけがスリットから露出する構成に比べて、アンテナの放射特性をさらに高めることができる。さらに、第1及び第2の金属面3A,3Bが連結部3Cを介して連結されて一体化しているので、これらを単一の金属部材として取り扱うことができる。したがって、スリットSLを有する金属面が設けられたケース2を作製しやすく、第1の金属面3Aと第2の金属面3Bとの間の位置合わせを行う必要がなく、スリットSLの幅が製品ごとにずれることもない。
さらに、本実施形態においては、スリットSLの幅が広いので、アンテナコイル13の内径部13aが金属面に覆われる面積を小さくすることができ、これによりアンテナ特性の向上を図ることができる。また、スリットSLと交差するアンテナコイル13の第1の露出部分E1と第2の露出部分E2の露出面積を大きくすることができ、アンテナの放射特性をさらに高めることができる。
図4は、本発明の第2の実施の形態によるアンテナ装置の構成を示す図であって、(a)は金属層3のみを示す図、(b)はアンテナコイル13と金属層3の両方を示す図である。
図4(a)及び(b)に示すように、このアンテナ装置10Bの特徴は、第1の実施の形態よりもスリットSLの幅Wがさらに狭い点にある。本実施形態において、図3(a)に示した第1の金属面3Aのアンテナコイル13の内径部13aとの重なり幅W2a(参照)や第2の金属面3Bのアンテナコイル13の内径部13aとの重なり幅W2b(図3(a)参照)は、アンテナコイル13の線幅の3倍以上であってもよい。
本実施形態によれば、金属層3の第1の金属面3Aと第2の金属面3Bとがアンテナコイル13の磁束φのループを大きく周回させるので、第1の実施の形態と同様にアンテナ装置10Aの通信距離を延ばすことができる。また、アンテナコイル13の2箇所がスリットSLと交差しており、金属面に覆われることなく露出しているので、アンテナコイル13の1箇所だけがスリットから露出する構成に比べて、アンテナの放射特性をさらに高めることができる。さらに、第1及び第2の金属面3A,3Bが連結部3Cを介して連結されて一体化しているので、これらを単一の金属部材として取り扱うことができる。したがって、スリットSLを有する金属面が設けられたケース2を作製しやすく、第1の金属面3Aと第2の金属面3Bとの間の位置合わせを行う必要がなく、スリットSLの幅が製品ごとにずれることもない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記各実施形態においては、アンテナコイル13が数ターンのスパイラルパターンで構成されているが、1ターン未満のループパターンであってもよい。すなわち、アンテナコイル13は、ループ状又はスパイラル状の平面コイルパターンであればよい。また、スリットSLは直線スリットでなくてもよく、例えば曲線スリットや蛇行スリットであってもよい。また、第1及び第2の金属面3A,3Bはケースを構成する肉厚な金属層ではなく樹脂ケースの外表面又は内表面に貼り付けられた金属箔であってもよい。
1 携帯電子機器
2 ケース
3 金属層
3A 第1の金属面
3B 第2の金属面
3C 連結部
4 絶縁性樹脂
5 メイン回路基板
6 バッテリーパック
7 ディスプレイ
8 樹脂フレーム
10A アンテナ装置
10B アンテナ装置
11 アンテナ素子
12 基板
13 アンテナコイル
13a アンテナコイルの内径部
14 絶縁膜
15 磁性体シート
E1 アンテナコイルの第1の露出部分
E2 アンテナコイルの第2の露出部分
SL スリット

Claims (7)

  1. 第1の方向に延在するスリットを有する金属層と、
    前記金属層の主面に垂直なコイル軸及び前記スリットと平面視にて重なる内径部を有するアンテナコイルとを備え、
    前記金属層は、第1の金属面と、前記スリットを介して前記第1の金属面と隣接する第2の金属面と、前記スリットを跨いで前記第1の金属面と前記第2の金属面とを接続して一体化させる連結部とを含み、
    前記スリットの幅は前記アンテナコイルの前記内径部の幅よりも狭く、
    前記アンテナコイルは前記スリットと交差する第1の露出部分と第2の露出部分を有することを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記スリットの幅は、当該スリットの全長に亘って一定である、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記第1の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第1の方向と直交する第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅の0.5倍以上3倍以下であり、
    前記第2の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅の0.5倍以上3倍以下である、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記第1の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第1の方向と直交する第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅以下であり、
    前記第2の金属面が前記アンテナコイルの内径部と平面視にて重なる領域における前記第2の方向の重なり幅は、前記アンテナコイルの線幅以下である、請求項3に記載のアンテナ装置。
  5. 前記第1の方向の幅が前記連結部の幅と等しく、前記第2の方向の幅が前記アンテナコイルの前記第2の方向の最大幅と等しい第1の矩形領域の面積は、
    前記第1の方向の幅が前記アンテナコイルの第1の方向の最大幅と等しく、前記第2の方向の幅が前記金属層の前記第1の方向と平行な一辺から前記アンテナコイルまでの最短距離と等しい第2の矩形領域の面積よりも小さい、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記金属層は、前記アンテナコイルが実装される携帯電子機器のケースの少なくとも一部を構成している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  7. ケースと、
    前記ケース内に収められた回路基板と、
    前記回路基板と共に前記ケース内に収められたアンテナ装置とを備え、
    前記アンテナ装置は、
    スリットを有する金属層と、
    前記金属層の主面に垂直なコイル軸及び前記スリットと平面視にて重なる内径部を有するアンテナコイルとを備え、
    前記金属層は、第1の金属面と、前記スリットを介して前記第1の金属面と隣接する第2の金属面と、前記スリットを跨いで前記第1の金属面と前記第2の金属面とを接続して一体化させる連結部とを含み、
    前記スリットの幅は前記アンテナコイルの前記内径部の幅よりも狭く、
    前記アンテナコイルは前記スリットと交差する第1の露出部分と第2の露出部分を有することを特徴とする携帯電子機器。
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