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JP2016186156A - 太陽電池一体型壁材 - Google Patents

太陽電池一体型壁材 Download PDF

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JP2016186156A JP2015066104A JP2015066104A JP2016186156A JP 2016186156 A JP2016186156 A JP 2016186156A JP 2015066104 A JP2015066104 A JP 2015066104A JP 2015066104 A JP2015066104 A JP 2015066104A JP 2016186156 A JP2016186156 A JP 2016186156A
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淳 八木澤
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Ryosuke Ogata
亮介 尾形
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Abstract

【課題】既存の建築物に太陽電池モジュールを組み込む際に施工しやすく、太陽電池モジュールの交換が容易な太陽電池一体型壁材を提供する。【解決手段】透光性を有する壁材と、壁材と並設される薄膜太陽電池モジュールと、前記壁材と前記薄膜太陽電池モジュールとを磁力により固定する、第一固定部材および第二固定部材と、を有する、太陽電池一体型壁材である。【選択図】 図1

Description

本発明は、薄膜太陽電池と壁材が一体となった、太陽電池一体型壁材に関する。
従来、カーテンウォールに太陽電池モジュールを一体化させるために、専用枠付きの太陽光発電モジュールを用いる方法が知られている(特許文献1)。
また、前記特許文献1によれば太陽電池モジュールの背面の端子箱や接続ケーブルを保護・隠蔽するためのカバー材が必要であった。そこで、カバー材などの付帯設備を必要としない太陽光発電モジュールとして、端子ボックスを、モジュール本体の外周部に突出させて有する、太陽電池モジュールの設置構造が知られている(特許文献2)。
特開平11−13130号公報 特開2002−164561号公報
これらの特許文献に開示された技術は、基本的に建物の躯体に設置した建築構造体に太陽電池モジュールを組み込むことを前提とした技術であり、建物に太陽電池モジュールを設置するためには建築構造体を専用に設計する必要があった。従って、既存の建築物に太陽電池モジュールを組み込もうとすると施工が煩雑で、また、専用に設計された部材を調達する必要がある等、コスト高を招いていた。
また、近年は太陽電池モジュール、特に薄膜太陽電池の発電性能は日々向上しており、既設の太陽電池モジュールを最新の太陽電池モジュールに交換することで建築物全体としての発電性能が向上させることができる。しかし、太陽電池モジュールが建築構造体に組み込まれていると取り外すだけでも煩雑な工事が必要であり、交換するためのコストが高くなってしまう。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、薄膜太陽電池モジュールであれば、磁力による固定する固定部材によって、壁材と薄膜太陽電池モジュールを固定できることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
透光性を有する壁材と、壁材と並設される薄膜太陽電池モジュールと、前記壁材と前記薄膜太陽電池モジュールとを磁力により固定する、第一固定部材および第二固定部材と、を有する、太陽電池一体型壁材。
本発明により、太陽電池モジュールを建築構造体に組み込む必要はなく、簡便に施工でき、太陽電池モジュールの取り外しも容易な、太陽電池一体型壁材を提供することができる。
本発明の一実施形態としての太陽電池一体型壁材を模式的に表す(a)斜視図及び(b)断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池一体型壁材を模式的に表す(a)斜視図及び(b)断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池一体型壁材を模式的に表す(a)斜視図及び(b)断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池一体型壁材を模式的に表す(a)斜視図及び(b)断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池一体型壁材を模式的に表す(a)斜視図及び(b)断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
また、本発明の説明において図面を用いるが、用いる図面はいずれも本発明の具体的実施形態に係る太陽電池一体型壁材の構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、図面を用いた説明に用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することができる。
図1乃至図5は、本発明の太陽電池一体型壁材の一実施形態を、それぞれ模式的に示す。また、図1乃至図5はそれぞれ(a)斜視図及び(b)断面図を含む。
図1において、太陽電池一体型壁材10は、透光性を有する壁材の一例であるガラス11、ガラス11と並設される薄膜太陽電池モジュール12を有する。ガラス11の、薄膜太陽電池モジュール12と対向する面には、薄膜太陽電池モジュール12の4隅となる位置に金属板15が設置され、金属板15は薄膜太陽電池モジュール12を介在させて磁石16と固着し、薄膜太陽電池モジュール12を保持する。
ガラス11は、透光性を有する壁材の一形態であり、その他の透光性を有する壁材としては樹脂などがあげられる。ガラス11は、壁材として用いられるものであればよく、ガラスカーテンウォールの形態であってもよく、窓ガラスでもよい。また、ガラス11は単層であっても複層であってもよい。
薄膜太陽電池モジュール12は、ガラス11を透過した太陽光を受光して発電する。薄膜太陽電池モジュール12は、通常薄膜太陽電池素子からなる発電部13と非発電部14を有する。
金属板15は両面テープ、接着剤などの接着手段によりガラス11に固着される。金属板15は、図1においては、ガラス11の4隅にそれぞれ設置されているが、薄膜太陽電池モジュール12を介在させて磁石16と固着し、薄膜太陽電池モジュール12を保持することができればこれに限られない。例えば図2では、ガラス21の上辺、下辺にそれぞれ4個ずつ、加えて右辺、左辺にそれぞれ5個ずつ金属板25が配置され、当該金属板25が配置された位置に対応して磁石26を準備し、金属板25と磁石26とを固着させることで、薄膜太陽電池モジュール22を保持する。また、図3では、それぞれの辺に対応する長さで金属板35が配置され、当該金属板35が配置された位置に対応して磁石36を準備し、金属板35と磁石36を固着させることで、薄膜太陽電池モジュール32を保持する。
なお、金属板15及び磁石16による薄膜太陽電池モジュール12の保持は、薄膜太陽電池モジュール12の発電性能を十分に発揮するため、通常非発電部14において行われる。
金属板15及び磁石16は、ともに固定部材の一例であり、それぞれ第一固定部材、第二固定部材に対応するが、これに限られるものではなく逆であってもよい。金属板としては鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性体があげられる。磁石としては、フェライト磁石、ネオジム磁石等があげられる。
固定部材としては、壁材と薄膜太陽電池モジュールを磁力により固定できればこれに限られない。例えば磁石同士を用いた固定であってもよい。
ガラス11は、枠体17により保持される。図1においてガラス11は、ガラス11の上方((a)では図示せず)、及び下方に配置される枠体17により保持されるが、必要に応じガラスの右方、左方などから保持されてもよい。
ガラスの右方、及び左方からも枠体によりガラスを保持する形態は、図4及び図5に示される。図4においてガラス41は、枠体47により、上下左右の4方向から保持される。そして、このように4方向に枠体が配置されることで、アルミアングル48を用いて、ガラス41と薄膜太陽電池モジュール42を磁力により固定することができる。
より具体的には、枠体47の、向かい合う枠体同士が対向する面に金属板45を固着する。そして、アルミアングルは通常L型の形状であり、枠体と対向する面及び薄膜太陽電池モジュールと対向する面(モジュール固定面ともいう)を有することから、アルミアングル48の枠体と対向する面に磁石46を設置する、又はアルミアングル48の枠体と対向する面を磁石とすることで、アルミアングル48は磁力により枠体47と固定されるとともに、アルミアングル48のモジュール固定面が薄膜太陽電池モジュール42をガラス41に押圧し、固定する。
図4では、薄膜太陽電池モジュール42の非発電部44の外周が、枠体47で囲まれる範囲と略同一であり、アルミアングル48のモジュール固定面を利用して薄膜太陽電池モジュール42を固定する。一方で図5に示すように、薄膜太陽電池モジュール52の非発電部54を、枠体57で囲まれる範囲よりも大きくしてもよい。このような形態に用いる薄膜太陽電池モジュールは柔軟であることが好ましい。このような形態によれば、アルミアングル58のモジュール固定面と壁体41との間にモジュールを介在させるだけではなく、磁石面と枠体47に設置した金属板45との間にも薄膜太陽電池モジュール52を介在させることができるため、より強固に薄膜太陽電池モジュール52を固定することができる。
以下、本発明を構成するそれぞれの構成について、説明する。
透光性を有する壁材は、透光性を有し、壁材として使用できるものであればよく、通常はガラスまたは樹脂を用いる。
ガラスとしては、フロートガラス、強化ガラス、耐熱ガラス、防火ガラス、合わせガラス、色ガラス、すりガラス、など必要に応じて任意のガラスを用いることができる。ガラスの表面に反射防止層や熱線吸収層、熱線反射層、UV吸収層、UV反射層等、機能を付与する層を有しても良い。
樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、が挙げられる。
これらの中でも、熱膨張率が小さい点でガラスが好ましい。ガラスとしてはフロートガラス、強化ガラス、耐熱ガラス、が好ましい。
厚さは、壁材として使用しうる限り限定されないが、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、通常12cm以下、好ましくは6cm以下、より好ましくは3cm以下、更に好ましくは2.4cm以下である。上記下限以上であると壁材の強度を担保しやすく、上記上限以下であると壁材を軽量化することができ、施工性に優れる点で好ましい。
大きさは、特に限定されないが、幅が、通常30cm以上、好ましくは60cm以上、より好ましくは90cm以上であって、通常10m以下、好ましくは5m以下、より好ましくは3m以下、更に好ましくは2m以下である。長さが、通常30cm以上、好ましくは60cm以上、より好ましくは90cm以上であって、通常10m以下、好ましくは5m以下、より好ましくは3m以下、更に好ましくは2m以下である。
上記下限以上であると太陽電池モジュールの受光面を大きくしやすく、上記上限以下であると、壁材の強度を担保しやすく、また、壁材を軽量化することができ、施工性に優れる点で好ましい。
枠体は、壁材の保持部材であり、壁材を保持できるかぎりその配置に限定はない。枠体は一つの部材から形成されても、複数の部材から形成されてもよい。
枠体の材質は特に限定されず、金属、樹脂、木等を用いることができる。断熱性能の点では樹脂及び木が好ましく、耐久性の点で金属が好ましい。軽量化の点で中空構造を有することが好ましい。
金属としては、鉄、アルミニウム等、建材として用いられる金属であれば限定されず、軽量なためアルミニウムが好ましい。樹脂としては、硬質塩化ビニル等が挙げられる。
壁材と枠体の固定についても限定はなく、例えばはシーリング材等を介して固定されていてもよく、嵌合により固定されていてもよい。壁材を側面からの振動や衝撃による破損から保護するためには、壁材と枠材とがシーリング材を介して固定されているのが好ましい。
固定部材は、第一固定部材、第二固定部材の少なくとも2つの固定部材からなり、磁力により、壁材と薄膜太陽電池モジュールを固定するものである。
磁力による固定とは、通常磁界による吸着力、または吸引力によるものである。
固定部材は、磁力により壁材と薄膜太陽電池モジュールを固定できればよく、例えば金属板など磁性体と磁石の組み合わせ、磁石同士の組み合わせ、などがあげられる。
金属板としては鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性体があげられる。磁石としては、フェライト磁石、ネオジム磁石等があげられる。
固定部材の配置は、薄膜太陽電池モジュールの発電能を阻害しないことが好ましく、通常薄膜太陽電池モジュールの非発電部において固定部材を配置することが好ましい。
また、固定部材の数や大きさは、磁力により壁材と薄膜太陽電池モジュールを固定できれば特段限定されず、適宜設定すればよい。本発明に係る太陽電池一体型壁材を用いる建築物の景観を損なわないことが好ましい。
また、枠体を介して固定部材を用いる場合には、アルミアングルなどを用いてもよい。アルミアングルとは、断面L字型の固定部材であり、直角をなす2面を有することから、2方向に向かっての押圧が可能となる部材である。このような構造を有するアルミアングルを用いることで、アルミアングルの、向かい合う枠体が対向する面と壁材と対向する面との両面を利用して、壁面と薄膜太陽電池モジュールを固定することができる。
本発明における太陽電池一体型壁材は、壁材と薄膜太陽電池モジュールとの間に、光干渉防止部材を有してもよい。光干渉防止部材は薄膜太陽電池モジュールの壁材側の面(以下、受光面と言うことがある)の全面に位置するように設けてもよく、薄膜太陽電池モジ
ュールの外周部のみに設けてもよい。光干渉防止部材を設けることにより、壁材と薄膜太陽電池モジュールの表面で反射される光の干渉により発生しうるニュートンリングを防止したり、薄膜太陽電池モジュールを安定して保持することができる。
光干渉防止部材は、壁材と薄膜太陽電池モジュールによるニュートンリングの発生を低減できれば限定されない。ニュートンリングは、壁材および/または薄膜太陽電池が撓むこと等により、接触する箇所と接触しない箇所があることに起因して発生する。従って、壁材と薄膜太陽電池モジュールとが密着しているか、一切接触しないかの、いずれかの態様により、ニュートンリングの発生を防止できる。
光干渉防止部材を介して壁材および薄膜太陽電池モジュールが密着する場合には、光干渉防止部材は薄膜太陽電池モジュールの受光面を覆うことになる。従って、フッ素系樹脂等の弾性率の低い樹脂や、粘着性または接着性の樹脂が好ましい。大きさは、薄膜太陽電池モジュールの受光面側の面を全て覆う大きさであると外観の意匠性の点で好ましいが、一部のみを覆う大きさであってもよい。薄膜太陽電池モジュールは光干渉防止部材を介して受光するため、光干渉防止部材の透過率は高い方が好ましく、通常75%以上好ましくは85%以上であって、通常99%以下、好ましくは98%以下である。透過率を上げるためには薄い方がよい。
厚さは通常0.01mm以上、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、通常3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下である。
一方、光干渉防止部材を薄膜太陽電池モジュールの外周部にのみ設ける場合には、光干渉防止部材により壁材と薄膜太陽電池モジュールとが接触しない距離に保持することにより、ニュートンリングの発生を抑制できる。その場合、比較的硬質な材質が好ましく、ガラス、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂等が例示される。
また、壁材に押しつけられる際の薄膜太陽電池モジュールの破損を防止する観点からは、比較的柔軟な材質が好ましく、シリコーン、合成ゴム、軟質ポリ塩化ビニル等が例示される。光干渉防止部材を用いることで薄膜太陽電池モジュールの受光を妨げづらいため、受光面と重なる位置に設置できる。
大きさと厚さは、目的を達成できれば限定されないが、壁材と薄膜太陽電池モジュールとが接触しないためには、通常厚さは0.5cm以上、好ましくは1cm以上であり、通常5cm以下、好ましくは3cm以下である。
薄膜太陽電池モジュールの厚さは、通常0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、通常4mm以下、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記下限以上であることによりモジュールの機械強度が得られる点で好ましい。上記上限以下であることにより、モジュール軽量化できる点で好ましい。
薄膜太陽電池モジュールの層構成は特段限定されず、例えば受光面側から表面保護層、封止層で封止された薄膜太陽電池素子、裏面保護層を含む。必要に応じ、これ以外の層を含んでもよい。
表面保護層は、多くの太陽光を薄膜太陽電池素子に供給する観点から、全光線透過率は、通常80%以上、好ましくは85%以上である。上限は特に限定されないが、通常99%以下である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS K 7361−1による。
表面保護層の材質としては、ガラス、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、等が挙げられる。好ましくは、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
表面保護層の厚さは通常0.02mm以上である。好ましくは0.03mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。一方上限は特段限定されないが、通常2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.3mm以下である。上記範囲とすることで、耐衝撃性と軽量性を両立することができる。
なお、表面保護層の受光面側に更に表面保護シートを有してもよいが、薄膜太陽電池モジュールが屋外に配置されない場合には、表面保護シートはなくてもよい。
裏面保護層としては、表面保護層と同様の層を用いることができる。但し、裏面保護層は必ずしも透光性を有さなくてもよいことから、透光性と材質についてはその限りではない。
例えば、表面保護層に例示した樹脂以外の樹脂、金属箔、樹脂中に繊維等を分散させたフィルム、または樹脂含浸された織布または不織布等、ガラスを用いることができる。
表面保護層に例示した樹脂以外の樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、これらの共重合体、PVDF、シリコーン樹脂、セルロース、ニトリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、アイオノマー、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等の樹脂が挙げられる。
金属箔としては、アルミニウム、ステンレス、金、銀、銅、チタン、ニッケル、鉄、それらの合金からなる箔が挙げられる。
繊維等を分散した樹脂、および樹脂含浸された織布または不織布の、樹脂としては、表面保護層に用いる樹脂が挙げられる。繊維としては、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維、セルロース繊維、炭素繊維、および/またはアクリル繊維、等が挙げられ、織布または不織布としては、これらの繊維からなる織布または不織布が挙げられる。
裏面保護層として表面保護層と同様の透光性の層を用いると、薄膜太陽電池が透光性を有する場合には、シースルーの太陽電池を提供することができる点で好ましい。
また、表面保護層と裏面保護層とは同一の材料、厚さであることが好ましい。製造過程における加熱や、薄膜太陽電池モジュールを使用する際の太陽光等により熱膨張するが、その際に生じる応力を相殺して、薄膜太陽電池モジュールの変形を抑制することができる。
加えて、表面保護層及び/又は裏面保護層が、剛性を有する材料からなると、薄膜太陽電池モジュールがたわみづらい点で好ましい。剛性を有する材料としては、ガラス、ポリカーボネート等の透明樹脂、アルミニウム、木材、ポリ塩化ビニル等があげられ、上記の透光性をも満たす点で、ガラス及び透明樹脂が好ましい。
薄膜太陽電池素子は、太陽光を電気に変換する薄膜太陽電池と、太陽電池の形状変化を
抑制するための太陽電池基材から構成されている。
薄膜太陽電池素子は、耐候層側から入射される太陽光に基づき発電を行う素子である。薄膜太陽電池素子の種類は、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、変換によって得られた電気エネルギーを外部に取り出せるものであれば、特に限定されない。
本発明では、薄膜太陽電池を含む薄膜太陽電池モジュールを使用することで、モジュールが軽量となり、壁材と薄膜太陽電池モジュールを磁力により固定することができる。
薄膜太陽電池素子としては、一対の電極で発電層(光電変換層、光吸収層)を挟んだもの、一対の電極で発電層と他層(バッファ層等)との積層体を挟んだもの、そのようなものを複数個、直列接続したものを用いることができる。発電層に用いられる材料としては、薄膜単結晶シリコン、薄膜多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、球状シリコン、無機半導体材料、有機色素材料、または有機半導体材料が挙げられる。これらの材料を用いることで、発電効率が比較的高く、薄い(軽量な)太陽電池を実現できる。さらに効率を上げる観点から、これらを積層したHIT型、タンデム型でもよい。
発電層を薄膜多結晶シリコン層とした場合、太陽電池は間接光学遷移を利用するタイプの素子となる。そのため、発電層を薄膜多結晶シリコン層とする場合には、光吸収を増加させるために、後述する太陽電池基材又はその表面に凸凹構造を形成するなど十分な光閉じ込め構造を設けておくことが好ましい。
発電層をアモルファスシリコン層とした場合、可視域での光学吸収係数が大きく、厚さ1μm程度の薄膜でも太陽光を十分に吸収できる太陽電池素子を実現できる。しかも、アモルファスシリコンは、非結晶質の材料であるが故に、変形にも耐性を有している。そのため、発電層をアモルファスシリコン層とした場合、特に軽量な、変形に対してもある程度の耐性を有する太陽電池モジュールを実現できる。
発電層を無機半導体材料(化合物半導体)層とした場合、発電効率が高い太陽電池を実現することが出来る。なお、発電効率(光電変換効率)の観点からは、発電層をS、Se、Teなどカルコゲン元素を含むカルコゲナイド系発電層とすることが好ましく、I−III−VI2族半導体系(カルコパイライト系)発電層としておくことがより好ましく、I族元素としてCuを用いたCu−III−VI2族半導体系発電層、特に、CIS系半導体〔CuIn(Se1-yy)2;0≦y≦1〕層やCIGS系半導体〔Cu(In1-xGax)(Se1-yy)2;0<x<1、0≦y≦1〕〕層としておくことが、好ましい。
発電層として、酸化チタン層及び電解質層などからなる色素増感型発電層を採用しても、発電効率が高い太陽電池を実現することができる。
発電層として有機半導体層(p型の半導体とn型の半導体を含む層)を採用することもできる。有機半導体層は、形成が効率的に行える点や、発電層が多様な色を有するため意匠性に優れる点で好ましい。
上記理由によりこれらの前記薄膜太陽電池素子が、発電層として有機半導体層を採用した有機薄膜太陽電池素子であるのが好ましい。 以下有機半導体層について説明する。
有機半導体層の具体的な構成例としては、p型半導体とn型半導体が層内で相分離した層(i層)を有するバルクヘテロ接合型、それぞれp型半導体を含む層(p層)とn型半導体を含む層(n層)を積層した積層型(ヘテロpn接合型)、PIN型、ショットキー型およびそれらの組み合わせを挙げることができる。中でも、バルクヘテロ接合型が好ましい。
p型半導体化合物とは、その膜が正孔を輸送できるp型半導体として動作する材料であ
るが、π共役高分子材料やπ共役低分子有機化合物などが好ましく用いられ、一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。共役高分子材料は単一あるいは複数のπ共役モノマーを重合したものであり、そのモノマーとしては、置換基を有してもよいチオフェン、フルオレン、カルバゾール、ジフェニルチオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノシロール、ジチエノシクロヘキサン、ベンゾチアジアゾール、チエノチオフェン、イミドチオフェン、ベンゾジチオフェン等が挙げられ、分子量は1万以上の材料である。これらのモノマーは直接結合するか、CH=CHやC≡C、NやOを介して結合していてもよい。低分子有機半導体材料としてはペンタセンやナフタセン等の縮合芳香族炭化水素、チオフェン環を4個以上結合したオリゴチオフェン類、ポルフィリン化合物やテトラベンゾポルフィリン化合物及びその金属錯体、並びにフタロシアニン化合物及びその金属錯体等、が挙げられる。
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、フラーレン化合物及びその誘導体、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類が挙げられる。フラーレンとしてはC60又はC70等があげられ、そのフラーレンの2個の炭素に置換基を付加したもの、4個の炭素に置換基を付加したもの、さらには6個の炭素に置換基を付加したものが挙げられる。フラーレン化合物は、塗布法に適用できるようにするためには、当該フラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。
発電層に有機半導体層を使用する場合には、正孔取出層および/または電子取出層を積層するのが好ましい。
正孔取出層の材料は、ポリチオフェン、ポリピロール、又はポリアニリンなどに、スルホン酸及び/又はハロゲンなどがドーピングされた導電性ポリマーや、酸化モリブデンや酸化ニッケルのような、仕事関数の大きな金属酸化物が用いられる。
電子取出層の材料は特に限定されないが、具体的には、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、LiF等のアルカリ金属の塩や酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型の酸化物半導体が挙げられる。有機化合物としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)のようなフェナントレン誘導体や、P=OあるいはP=S構造を有するホスフィン化合物が挙げられ、中でも、リン原子に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基ホスフィン化合物が好ましい。
太陽電池の各電極は、導電性を有する任意の材料を1種又は2種以上用いて形成することができる。電極材料(電極の構成材料)としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属、あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO:酸化スズインジウム);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;そのような導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。
電極材料は、正孔又は電子を捕集するのに適した材料としておくことが好ましい。なお、正孔の捕集に適した電極材料(つまり、高い仕事関数を有する材料)としては、金、ITO等を例示できる。また、電子の捕集に適した電極材料(つまり、低い仕事関数を有する材料)としては、銀、アルミニウムを例示できる。
太陽電池の各電極は、発電層とほぼ同サイズのものであっても、発電層よりも小さなものであっても良い。ただし、太陽電池の,受光面側(耐候層側)の電極を、比較的に大き
なもの(その面積が、発電層面積に比して十分に小さくないもの)とする場合には、当該電極を、透明な(透光性を有する)電極、特に、発電層が効率良く電気エネルギーに変換できる波長の光の透過率が比較的に高い(例えば、50%以上)電極、としておくべきである。なお、透明な電極材料としては、ITO、IZO(酸化インジウム−亜鉛酸化物)等の酸化物;金属薄膜などを、例示できる。
太陽電池の各電極の厚さ及び発電層の厚さは、必要とされる出力等に基づき、決定することが出来る。さらに電極に接するように補助電極を設置してもよい。特に、ITOなど導電性のやや低い電極を用いる場合には効果的である。補助電極材料としては、導電性が良好ならば上記金属材料と同じ材料を用いることができるが、銀、アルミニウム、銅が例示される。
上記太陽電池基材は、その一方の面上に、太陽電池が形成される部材である。そのため太陽電池基材は、機械的強度が比較的に高く、耐候性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、且つ軽量なものであることが望まれる。また、太陽電池基材は、変形に対して或る程度の耐性を有するものであることも望まれる。そのため、太陽電池基材としては、金属箔や、融点が85〜350℃の樹脂フィルム、幾つかの金属箔/樹脂フィルムの積層体を採用することが好ましく、太陽電池基材が樹脂フィルム、すなわち樹脂基材であることがより好ましい。
太陽電池基材(又は、その構成要素)として使用し得る金属箔としては、アルミニウム、ステンレス、金、銀、銅、チタン、ニッケル、鉄、それらの合金からなる箔を、例示できる。
また、融点が85〜350℃の樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、これらの共重合体、PVDF、PVFなどのフッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、ニトリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、アイオノマー、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなどからなるフィルムを、例示できる。なお、太陽電池基材として使用する樹脂フィルムは、上記のような樹脂中に、ガラス繊維、有機繊維、炭素繊維等を分散させたフィルムであってもよい。
なお、太陽電池基材(又は、その構成要素)として使用する樹脂フィルムの融点が85〜350℃の範囲である場合には、太陽電池基材の変形が生じず太陽電池との剥離が生じないため、好ましい。また、太陽電池基材(又は、その構成要素)として使用する樹脂フィルムの融点は、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることが特に好ましく、180℃以上であることが最も好ましい。また、当該樹脂フィルムの融点は、300℃以下であることがより好ましく、280℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。
薄膜太陽電池素子の電極は、集電線と電気的に接続されることで、薄膜太陽電池で発電した電気が取り出される。
集電線の材料としては、金属や合金などが挙げられ、中でも抵抗率の低い銅やアルミ、銀、金、ニッケルなどを用いることが好ましく、銅やアルミが安価であることから、特に好ましい。また、錆防止のため、集電線の周囲をスズや銀などでメッキしたり、表面を樹脂などでコートしてあったり、フィルムをラミネートしてあってもよい。集電線の形状としては、平角線、箔、平板、ワイヤー状のものがあるが、接着面積の確保などの理由から
、平角線や、箔、平板状のものを用いることが好ましい。また、集電線を電気取出端子として使用することができるため、平板状であることがより好ましい。
なお、本明細書において「箔」は厚みが100μm未満のものをいい、「板」は厚みが100μm以上のものをいう。また「平角線」とは、断面が円形のワイヤーを圧延して、断面の形状を四角形にしたものをいう。
また集電線は、導電性を有する限り特段の限定はされないが、接続する上部電極や下部電極よりも抵抗値が低いものが好ましく、特に、上部電極や下部電極より厚さを厚くすることによって、抵抗値を低減させることが好ましい。集電線の厚さとしては、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。また、2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。集電線の厚さが上記下限以上であることで、集電線の抵抗値の上昇を抑制し、発電した電力を効率よく外部に取り出すことができる。また、上記上限以下であることで、有機薄膜太陽電池モジュールの重量が増加するとともに可撓性が減少したり、薄膜太陽電池モジュール表面に凹凸が発生しやすくなったり、生産コストが増加するなどの問題が生じる恐れがある。
また、集電線の幅は、通用0.5mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、通常50mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。集電線の幅が上記下限以上であることで、集電線の抵抗値の上昇を抑制し、発電した電力を効率よく取り出すことができる。また、集電線の機械強度を維持し、破断等を抑制することができる。上記上限以下であることで、モジュール全体における開口率を維持し、モジュールの発電量の低下を抑制することができる。
薄膜太陽陽電池素子と裏面保護層との間に少なくとも一層の封止層を有することが好ましく、表面保護層と薄膜太陽電池素子との間、および薄膜太陽電池素子と裏面保護層との間に少なくとも一層の封止層を有するのがより好ましい。このような封止層を設けることで、上述した太陽電池を封止するとともに、耐衝撃性等を太陽電池モジュールに付与することができる。薄膜太陽電池素子を挟むように封止層が積層される態様が好ましい。
封止層の材料には、全光線透過率が比較的高い樹脂材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、合成ゴム等を使用することができ、これらの1種以上の混合体、若しくは共重合体を使用できる。
封止層の厚さは、1層あたり、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。一方、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。すなわち、好ましい態様である表面保護層と薄膜太陽電池素子との間、および薄膜太陽電池素子と裏面保護層との間に少なくとも一層の封止層を有する場合には、薄膜太陽電池モジュールあたりの封止層の厚さは、200μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましく、600μm以上であることが更に好ましい。一方、2000μm以下であることが好ましく、1600μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることが更に好ましい。封止層の厚さを上記範囲とすることで、適度な耐衝撃性を得ることができると共に、コストおよび重量の観点からも好ましく、発電特性も十分に発揮することができる。
薄膜太陽電池素子の封止層には、紫外線吸収剤が添加されていてもよい。そのような紫外線吸収剤としては、市販されているものを含め、特段の限定なく用いることができる。例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
封止層に紫外線吸収剤を添加する場合には、封止層全量に対して0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましい。一方、この含有量は1重量%以下であることが好ましく、0.8重量%以下であることがより好ましく、0.6重量%以下であることが特に好ましい。0.01重量%未満であると、紫外線吸収効果を発揮することが難しくなり、1重量%を超えるとブリードアウトの原因となるからである。
また、上記封止層がシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤が含まれていることで、封止層とそれに接する層との接着性が向上する。シランカップリング剤としては、官能基としてアルキル基を有するものが好ましく例示でき、具体的には、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。封止材とシランカップリング剤の重量比は、封止材の重量を100としたとき、0.1〜2.0であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましく、0.5〜0.7であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、接着性を好適なものとすることができる。ここでいうシランカップリング剤を含むとは、封止材にシランカップリング剤を添加ないしは混合することを意味し、シランカップリング剤は太陽電池モジュールの積層前に予め封止材に添加ないし混合しておいてもよいし、積層時に封止材に添加ないし混合してもよい。
薄膜太陽電池素子は、その他の層を必要に応じて含んでもよい。例えば、表面保護層と裏面保護層の間に紫外線カット層、ガスバリア層、ゲッター材層などの層を有してもよい。これらの層を形成する材料は公知の材料を用いることができ、大きさや厚さ等は特に限定されず、適宜設定される。
中でもガスバリア層を有することで薄膜太陽電池素子を水および/または酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリア層の防湿能力の程度は、薄膜太陽電池素子の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m2)の1日あたりの水蒸気透過率が100μm厚み換算で、通常1×10-1g/m2/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
酸素透過性の程度は、薄膜太陽電池素子の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m2)の1日あたりの酸素透過率が100μm厚み換算で、通常1×10-1cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリア層の具体的な構成は、薄膜太陽電池素子を水から保護できる限り任意である。ただし、表面保護層を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
ガスバリア層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムに酸化ケイ素(SiOx)を真空蒸着したフィルム等が挙げられる。
なお、ガスバリア性を有する表面保護層は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ガスバリアフィルムは単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
以下、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法について説明するが、以下に限定されるものではなく、有機薄膜太陽電池モジュールが製造できる限りにおいては、どのように製
造してもよい。
まず、薄膜太陽電池素子と集電線との電気的接続と、集電線と電気取出端子との電気的接続を行う。これらの電気的接続の方法は限定されず、導電性の熱硬化性樹脂組成物、導電性粒子を含む熱可塑性塑性物、はんだ、金属ペースト、等を用いることができる。薄膜太陽電池素子の変形や劣化を抑制しやすい点で、導電性の熱硬化性樹脂組成物、導電性粒子を含む熱可塑性塑性組成物、および金属ペーストが好ましい。中でも、外観不良を起こし難い導電性の熱硬化性樹脂組成物、導電性粒子を含む熱可塑性塑性組成物が好ましい。
次に、表面保護層、必要に応じて封止層、集電線と電気取り出し端子を電気的に接続した有機薄膜太陽電池素子、封止層、裏面保護層を積層する。これらを積層した後、真空ラミネーション、ホットプレス、またはロールラミネーション等により一体化することで薄膜太陽電池モジュールを得ることができる。以下一例として真空ラミネーションの例を説明する。
前述の積層の後、真空ラミネーション装置内へ配置し、真空引きの後、加熱し、一定時間経過後に冷却することにより、有機薄膜太陽電池モジュールを得ることができる。上記熱プレス条件は特に限定されず、通常行う条件で実施することができるが、真空条件で行うことが好ましく、通常真空度が30Pa以上、好ましくは50Pa以上、より好ましくは80Pa以上である。一方上限は、通常150Pa以下、好ましくは120Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。上記範囲とすることで、モジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができ、生産性も向上するため好ましい。
真空時間としては、通常1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは3分以上である。一方上限は、通常8分以下、好ましくは6分以下、より好ましくは5分以下である。真空時間を上記範囲とすることで、熱プレス後の太陽電池モジュールの外観が良好となり、またモジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができるため好ましい。
熱プレスの加圧条件は、通常圧力が50kPa以上、好ましくは70kPa以上、より好ましくは90kPa以上である。一方上限値は、101kPa以下であることが好ましい。上記範囲の加圧条件とすることで、太陽電池モジュールを損傷することなく、また適度な接着性を得ることができるため、耐久性の観点からも好ましい。
上記圧力の保持時間は、通常1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上である。一方上限は、通常30分以下、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下である。上記保持時間とすることで、封止層の太陽電池を保護する機能を十分に発揮することができ、また十分な接着強度を得ることができる。
熱プレスの温度条件は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。一方上限値は、通常180℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。上記温度範囲とすることで、十分な接着強度を得ることができる。
また、上記温度の加熱時間は、通常5分以上、好ましくは8分以上、より好ましくは10分以上である。一方上限は60分以下、好ましくは45分以下、より好ましくは30分以下である。上記加熱時間とすることで、封止材の架橋が適度に行われるため耐久性能が向上し、適度な柔軟性を有することができるため、好ましい。
本発明の太陽電池一体型壁材は、ガラスカーテンウォール等のビルの壁面に太陽電池を設置するために好適に用いることができる。
10、20、30、40、50 太陽電池一体型壁材
11、21、31、41、51 壁材(ガラス)
12、22、32、42、52 薄膜太陽電池モジュール
13、23、33、43、53 発電部
14、24、34、44、54 非発電部
15、25、35、45、55 金属板
16、26、36、46、56 磁石
17、27、37、47、57 枠体
48、58 アルミアングル

Claims (13)

  1. 透光性を有する壁材と、
    壁材と並設される薄膜太陽電池モジュールと、
    前記壁材と前記薄膜太陽電池モジュールとを磁力により固定する、第一固定部材および第二固定部材と、
    を有する、太陽電池一体型壁材。
  2. 前記磁力が、磁界による吸着力または吸引力である、請求項1に記載の太陽電池一体型壁材。
  3. 前記第一固定部材と前記第二固定部材は、一方が強磁性体材料であり、他方が磁石である、請求項1または2に記載の太陽電池一体型壁材。
  4. 前記第一固定部材と前記第二固定部材がいずれも磁石である、請求項1または2に記載の太陽電池一体型壁材。
  5. 前記磁力の方向が、前記薄膜太陽電池モジュールの受光面と前記壁材の壁面とが接近する方向である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  6. 前記壁材に前記第一固定部材が設置され、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材との間に前記薄膜太陽電池モジュールの一部を配置することで、前記壁材と前記薄膜太陽電池モジュールが固定された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  7. 前記壁材を保持する枠体と、
    該枠体に設置された前記第一固定部材と、を有し、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材との間に前記薄膜太陽電池モジュールの一部を配置することで、前記壁材と前記薄膜太陽電池モジュールが固定された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  8. 前記壁材を保持する枠体と、
    該枠体に設置された前記第一固定部材と、
    前記第一固定部材と磁界により固定され、かつ該第一固定部材との固定面とは異なるモジュール固定面を備えた第二固定部材とを有し、
    該モジュール固定面と壁材との間に前記薄膜太陽電池モジュールの一部を配置することで、前記壁材と前記薄膜太陽電池モジュールが固定された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  9. 前記薄膜太陽電池モジュールが、表面保護層および裏面保護層により、薄膜太陽電池素子を挟持した構造を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  10. 前記表面保護層および/または前記裏面保護層が、剛性を有する材料からなる請求項9に記載の太陽電池一体型壁材。
  11. 薄膜太陽電池モジュールが有機薄膜太陽電池モジュールである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  12. 壁材の材質がガラス又は樹脂である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
  13. 壁材と薄膜太陽電池モジュールの間に光干渉防止部材を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の太陽電池一体型壁材。
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