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JP2016177044A - 画像形成装置 - Google Patents

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JP2016177044A JP2015055972A JP2015055972A JP2016177044A JP 2016177044 A JP2016177044 A JP 2016177044A JP 2015055972 A JP2015055972 A JP 2015055972A JP 2015055972 A JP2015055972 A JP 2015055972A JP 2016177044 A JP2016177044 A JP 2016177044A
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杉浦 健治
Kenji Sugiura
健治 杉浦
芳賀 浩吉
Kokichi Haga
浩吉 芳賀
石井 宏一
Koichi Ishii
宏一 石井
熊谷 直洋
Naohiro Kumagai
直洋 熊谷
成一 小暮
Seiichi Kogure
成一 小暮
純平 藤田
Junpei Fujita
純平 藤田
武英 水谷
Takehide Mizutani
武英 水谷
和田 雄二
Yuji Wada
雄二 和田
直人 河内
naoto Kawachi
直人 河内
竜也 大杉
Tatsuya Osugi
竜也 大杉
一樹 與五澤
Kazuki Yogosawa
一樹 與五澤
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Abstract

【課題】中間転写ベルト31とシート搬送ベルト41との当接にいよる二次転写ニップにおける二次転写不良による画像濃度不足の発生を抑える。
【解決手段】直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなる二次転写バイアスを二次転写電源39から出力させる構成において、二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、二次転写ニップ内のトナーに対して中間転写ベルト31側からニップに挟まれた記録シート側に向かう転写方向の静電気力をより強く付与する転写ピーク値の絶対値を、一次転写バイアスの絶対値よりも大きくした。
【選択図】図5

Description

本発明は画像形成装置に関するものである。
従来より、直流電圧からなる一次転写バイアスを用いて像担持体上のトナー像を中間転写体に転写し、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いて中間転写体上のトナー像を記録シートに二次転写する画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、一次転写電源から出力した直流電圧からなる一次転写バイアスの作用により、像担持体たる感光体と中間転写ベルトとの当接による一次転写ニップでトナー像を感光体から中間転写ベルトに一次転写する。そして、二次転写電源から出力した重畳電圧からなる二次転写バイアスの作用により、中間転写ベルトとニップ形成ローラとの当接による二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに、中間転写ベルト上のトナー像を二次転写する。
かかる構成の画像形成装置においては、使用する二次転写バイアスのピークツウピークにおけるピーク値によっては、二次転写不良による画像濃度不足を発生させてしまうことがわかった。
上述した課題を解決するために、本発明は、像担持体の移動する表面にトナー像を作像する作像手段と、前記表面上のトナー像が自らの表面に転写されるように前記像担持体の表面に当接して一次転写ニップを形成する中間転写体と、前記一次転写ニップに一次転写電流を流すための一次転写バイアスとして直流電圧からなるものを出力する一次転写電源と、前記中間転写体に当接して二次転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記二次転写ニップに二次転写電流を流すための二次転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなるものを出力する二次転写電源とを備え、前記二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに前記中間転写体上のトナー像を二次転写する画像形成装置において、前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記二次転写ニップ内のトナーに対して前記中間転写体側から記録シート側に向かう転写方向の静電気力をより強く付与する転写ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも大きくしたことを特徴とするものである。
本発明によれば、二次転写不良による画像濃度不足の発生を抑えることができるという優れた効果がある。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおけるK用の画像形成ユニットを拡大して示す拡大構成図。 同プリンタの中間転写ベルトの横断面を部分的に示す拡大断面図。 同中間転写ベルトを部分的に拡大して示す拡大平面図。 同プリンタにおける二次転写電源の電気回路の要部を、二次転写裏面ローラや二次転写ニップ裏打ちローラなどとともに示すブロック図。 中間転写ベルトとして、同プリンタのものとは異なり、単層構造のものを用いた構成における二次転写ニップ及びその周囲を示す拡大構成図。 実施形態に係るプリンタにおける二次転写ニップ及びその周囲構成を示す拡大断面図。 同二次転写電源から出力される二次転写バイスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたデューティ=85%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたデューティ=90%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたデューティ=70%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたデューティ=50%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたデューティ=30%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたデューティ=10%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 デューティの定義を説明するためのグラフ。 温度25[℃]、湿度50[%]の環境下におかれた同プリンタにおける一次転写バイアスの出力電流目標値と、一次転写バイアス値V1との関係を示すグラフ。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。なお、本発明は、その適用分野がプリンタに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ、複写機能及びFAX機能を有する複合機などにも、本発明の適用が可能である。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、実施形態に係るプリンタは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための四つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを備えている。また、転写ユニット30、光書込ユニット80、定着装置90、給送カセット100、レジストローラ対101なども備えている。
四つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するための作像ユニット1Kを例にすると、これは、図2に示されるように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置、帯電装置6K、現像装置8K等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着することで、それらを同時に交換できるようになっている。
感光体2Kは、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成されたものであって、駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させることで、感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料からなる導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる方式を採用してもよい。
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、後述する光書込ユニット80から発せられるレーザー光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、Kトナーを用いる現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト31上に一次転写される。
ドラムクリーニング装置3Kは、一次転写工程(後述する一次転写ニップ)を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレード5Kなどを有している。回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2K表面から掻き取ったり、クリーニングブレードで転写残トナーを感光体2K表面から掻き落としたりする。
上記除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
現像装置8Kは、現像剤担持体たる現像ロール9Kを収容する現像部12Kと、K現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13Kとを有している。そして、現像剤搬送部13Kは、第1スクリュー部材10Kを収容する第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容する第2搬送室とを有している。それらスクリュー部材は、それぞれ、軸線方向の両端部がそれぞれ軸受けによって回転自在に支持される回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを具備している。
第1スクリュー部材10Kを収容している第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容している第2搬送室とは、仕切り壁によって仕切られているが、仕切壁におけるスクリュー軸線方向の両端部には、それぞれ両搬送室を連通させる連通口が形成されている。第1スクリュー部材10Kは、螺旋羽根内に保持しているK現像剤を、回転駆動に伴って回転方向に撹拌しながら、図中の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。第1スクリュー部材10Kと、後述する現像ロール9Kとは互いに向かい合う姿勢で平行配設されているため、このときのK現像剤の搬送方向は、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿った方向でもある。そして、第1スクリュー部材10Kは、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤をその軸線方向に沿って供給していく。
第1スクリュー部材10Kの図中手前側端部付近まで搬送されたK現像剤は、仕切壁の図中手前側端部付近に設けられた連通開口を通って、第2搬送室内に進入した後、第2スクリュー部材11Kの螺旋羽根内に保持される。そして、第2スクリュー部材11Kの回転駆動に伴って、回転方向に撹拌されながら、図中手前側から奥側に向けて搬送されていく。
第2搬送室内において、ケーシングの下壁にはトナー濃度センサが設けられており、第2搬送室内のK現像剤のKトナー濃度を検知する。Kトナー濃度センサとしては、透磁率センサからなるものが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有するK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサは、Kトナー濃度を検知していることになる。
本プリンタは、Y,M,C,K用の現像装置の第2収容室内にY,M,C,Kトナーをそれぞれ個別に補給するためのY,M,C,Kトナー補給手段を備えている。そして、プリンタの制御部は、RAMに、Y,M,C,Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値の目標値であるY,M,C,K用のVtrefを記憶している。Y,M,C,Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値と、Y,M,C,K用のVtrefとの差が所定値を超えた場合には、その差に応じた時間だけY,M,C,Kトナー補給手段を駆動する。これにより、Y,M,C,K用の現像装置における第2搬送室内にY,M,C,Kトナーが補給され、K現像剤のKトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
現像部12K内に収容されている現像ロール9Kは、第1スクリュー部材10Kに対向しているとともに、ケーシングに設けられた開口を通じて、感光体2Kにも対向している。また、現像ロール9Kは、回転駆動される非磁性パイプからなる筒状の現像スリーブと、これの内部にスリーブと連れ回らないように固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュー部材10Kから供給されるK現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送する。
現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像の電位よりも絶対値が大きく、且つ感光体2Kの一様帯電電位よりも絶対値が小さな現像バイアスが印加されている。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に向けて移動させる地肌ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び地肌ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。
図1において、Y,M,C用の作像ユニット1Y,M,Cにおいても、K用の作像ユニット1Kと同様にして、感光体2Y,2M,2C上にY,M,Cトナー像が形成される。作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの上方には、潜像書込手段たる光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体2Y,2M,2C,2Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,2M,2C,2K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光Lを、ポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写装置としての転写ユニット30が配設されている。転写ユニット30は、像担持体たる中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、4つの一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kなどを有している。また、ベルトクリーニング装置37、濃度センサー40なども有している。
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、及び4つの一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kによって張架されている。そして、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
4つの一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31を感光体2Y,2M,2C,2Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、感光体2Y,2M,2C,2Kとが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kには、一次転写電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2Y,2M,2C,2K上のY,M,C,Kトナー像と、一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト31は、その後、M,C,K用の一次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M,2C,2K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。なお、一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
転写ユニット30の下方には、二次転写ニップ裏打ちローラ36、シート搬送ベルト(一般的には二次転写ベルトや転写部材などとも呼称される)41などを具備するシート搬送ユニット38が配設されている。無端状のシート搬送ベルト41は、そのループ内側に配設された二次転写ニップ裏打ちローラ36などの複数のローラによって張架された状態で、二次転写ニップ裏打ちローラ36の回転駆動によって図中時計回り方向に回転せしめられる。そして、二次転写ニップ裏打ちローラ36により、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、二次転写裏面ローラ33に対する掛け回し領域に当接している。つまり、転写ユニット30の二次転写裏面ローラ33と、シート搬送ユニット38の二次転写ニップ裏打ちローラ36とは、互いの間に中間転写ベルト31及びシート搬送ベルト41を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、ニップ形成部材たるシート搬送ベルト41のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。シート搬送ベルト41のループ内に配設された二次転写ニップ裏打ちローラ36は接地されているのに対し、中間転写ベルト31のループ内に配設された二次転写裏面ローラ33には、二次転写電源39によって二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面ローラ33と、二次転写ニップ裏打ちローラ36との間に、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側から二次転写ニップ裏打ちローラ36側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。なお、ニップ形成部材として、シート搬送ベルト41の代わりに、二次転写ローラを用い、これを中間転写ベルト31に直接当接させてもよい。
転写ユニット31の下方には、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給送カセット100が配設されている。この給送カセット100は、紙束の一番上の記録シートPに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録シートPを給送路に向けて送り出す。給送路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。このレジストローラ対101は、給送カセット100から送り出された記録シートPをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートPを二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップで記録シートPに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートP上に一括二次転写されてフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録シートPは、二次転写ニップを通過すると、中間転写ベルト31から曲率分離する。更に、シート搬送ベルト41を掛け回している分離ローラ42の曲率によってシート搬送ベルト41から曲率分離する。
なお、ニップ形成部材たるシート搬送ベルト41を中間転写ベルト31に当接させて二次転写ニップを形成する構成に代えて、次のような構成を採用してもよい。即ち、ニップ形成部材たるニップ形成ローラを中間転写ベルト31に当接させて二次転写ニップを形成する構成である。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
濃度センサー40は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されている。そして、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、駆動ローラ32に対する掛け回し箇所に対して、所定の間隙を介して対向している。この状態で、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像が自らとの対向位置に進入した際に、そのトナー像の単位面積あたりのトナー付着量(画像濃度)を測定する。
二次転写ニップよりもシート搬送方向の下流側には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録シートPは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
実施形態に係るプリンタは、モノクロ画像を形成する場合に、転写ユニット30におけるY,M,C用の一次転写ローラ35(Y,M,C)を支持している支持板の姿勢をソレノイド等の駆動によって変化させる。これにより、Y,M,C用の一次転写ローラ35(Y,M,C)を、感光体2(Y,M,C)から遠ざけて、中間転写ベルト31のおもて面を感光体2(Y,M,C)から離間させる。このようにして、中間転写ベルト31をブラック用の感光体2Kだけに当接させた状態で、4つの作像ユニット1(Y,M,C,K)のうち、ブラック用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像をブラック用の感光体2K上に形成する。なお、本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置に限らず、モノクロ画像だけを形成する画像形成装置にも適用が可能である。
図3は、中間転写ベルト31の横断面を部分的に示す拡大断面図である。中間転写ベルト31は、ある程度の屈曲性を有し且つ剛性の高い材料からなる無端ベルト状の基層31aと、これのおもて面上に積層された柔軟性に優れた弾性材料からなる弾性層31bとを具備している。弾性層31bには、粒子31cが分散せしめられていて、それらの粒子31cが自らの一部を弾性層31bの表面から突出させた状態で、図4に示されるように、ベルト面方向に密集して並んでいる。それら複数の粒子31cにより、複数の凸がベルト面に形成されている。
基層31aの材料としては、樹脂中に、電気抵抗を調整するための充填材や添加材などからなる電気抵抗調整材を分散させたものを例示することができる。その樹脂としては、難燃性の観点からすると、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましい。また、機械強度(高弾性)や耐熱性の観点からすると、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
樹脂中に分散せしめる電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などを例示することができる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。分散性を向上させるために、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものを用いても良い。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。また、イオン導電剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等でもよい。それらのイオン導電剤を二種類以上混合して使用してもよい。なお、本発明を適用可能な電気抵抗調整材は、これまで例示したものに限られるものではない。
基層31aの前駆体となる塗工液(硬化前の液体の樹脂中に電気抵抗調整材を分散せしめたもの)には、必要に応じて、分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などを添加してもよい。中間転写ベルト31として好適に装備されるシームレスベルトの基層31aに含有される電気抵抗調整材の添加量は、好ましくは表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]となる量とされる。但し、機械強度の観点から、成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。つまり、樹脂成分(ポリイミド樹脂前駆体、ポリアミドイミド樹脂前駆体など)と電気抵抗調整材との配合率を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスがとれたシームレスベルトを製造して用いることが好ましい。電気抵抗調整材の含有量は、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25[wt%]がよく、更に好ましくは15〜20[wt%]である。また、金属酸化物の場合の含有量は、塗工液中の全固形分の1〜50[wt%]がよく、更に好ましくは10〜30[wt%]である。含有量が前述した範囲よりも少ないと十分な効果が得られず、また含有量が前述した範囲よりも多いと中間転写ベルト31(シームレスベルト)の機械強度が著しく低下するので、実使用上好ましくない。
基層31aの厚みは、特に制限されるものではなく、状況に応じて適宜選択することができるが、30μm〜150μmが好ましく、40μm〜120μmがより好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。基層31aの厚みが、30μm未満であると、亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150μmを超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、基層31aの厚みが前述した特に好ましい範囲であると、耐久性の点で有利になる。
ベルト走行安定性を高めるためには、基層31aの層厚ムラをできるだけ少なくすることが好ましい。基層31aの厚みを調整する方法は、特に制限されるものではなく、状況に応じて適宜選択することができる。例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
中間転写ベルト31の弾性層31bは、上述したように、分散せしめられた複数の粒子31cによる複数の凸形状を表面に有している。弾性層31bを形成するための弾性材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどを例示することができる。特に、柔軟性(弾性)に優れた弾性材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料が好適である。エラストマー材料としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系などを例示することができる。フッ素系共重合体系等の熱可塑性エラストマーなどでもよい。また、熱硬化性の樹脂としては、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系の樹脂等を例示することができる。また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等を例示することができる。更には、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等を例示することもできる。これまで例示した材料の中から、所望の性能が得られる材料を適宜選択することが可能である。特に、表面に凹凸のある記録シート、例えばレザック紙などの表面凹凸に追従させるためには、できるだけ柔らかい材料を選択することが好ましい。また、粒子31cを分散せしめることから、熱可塑性のものよりも熱硬化性のものの方が好ましい。熱硬化性のものの方が、その硬化反応に寄与する官能基の効果により樹脂粒子との密着性に優れ確実に固定化することが可能だからである。加硫ゴムも同様の理由により好ましい材料の1つである。
弾性層31bを構成する弾性材料の中でも、耐オゾン性、柔軟性、粒子との接着性、難燃性付与、耐環境安定性などの観点から、アクリルゴムが最も好ましい。アクリルゴムは一般的に市販されているものでよく、特定の製品に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系のものがゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性の点で優れているので、カルボキシル基架橋系のものを選択することが好ましい。カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いられる架橋剤としては、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などを例示することができる。更に、脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどを例示することができる。また、芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン等が挙げられる。4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等でもよい。更には、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチル等でもよい。
架橋剤の配合量の適正範囲は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。これに対し、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎて、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
弾性層31bに用いるアクリルゴムには、上述した架橋剤の架橋反応を促進する狙いで、架橋促進剤を配合してもよい。架橋促進剤の種類は特に限定されるものではないが、前述した多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができるものであることが好ましい。このような架橋促進剤としては、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤の使用量の適正範囲は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。これに対し、架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法を採用することが可能である。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することによって架橋物とすることができる。好ましい加熱温度は、130〜220℃であり、より好ましくは140℃〜200℃である。また、好ましい架橋時間は、30秒〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋の時間は、加熱方法、架橋温度、形状などによって異なるが、好ましくは1〜48時間である。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度については、適宜選択することが可能である。選択した材料に、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、架橋促進剤などの材料を適宜含有させてもよい。さらに、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤として、すでに述べた各種材料を使用することができる。但し、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、それらを併用しても構わない。
ゴム100重量部に対しは、種々の過塩素酸塩やイオン性液体を0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部以下であると、抵抗率を下げる効果が得られない。また、添加量が3部以上であると、ベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまう。
電気抵抗調整材の添加量については、弾性層31bの抵抗値を、表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]の範囲にするように調整することが好ましい。また、近年の電子写真方式の画像形成装置に求められるような、凹凸シートへの高いトナー転写性を得るために、弾性層31bの23℃50%RH環境下でのマイクロゴム硬度値を35以下にするように柔軟性を調整することが好ましい。マルテンス硬度、ビッカース硬度など、いわゆる微小硬度での計測は、測定部位のバルク方向の浅い領域、すなわち表面近傍のごく限られた領域の硬度しか測定していなのでベルト全体としての変形性能は評価できない。このため、例えば中間転写ベルト31全体としての変形性能が低い構成のものに、最表面に柔軟な材料を用いた場合、微小硬度値を低くしてしまう。このような中間転写ベルト31は変形性能が低い、すなわち凹凸シートへの追従性が悪いので、結果として近年の画像形成装置に求められる凹凸シートへの転写性能を十分に発揮することができなくなってしまう。よって、中間転写ベルト31全体の変形性能を評価することが可能なマイクロゴム硬度を測定して中間転写ベルト31の柔軟性を評価することが好ましい。
弾性層31bの層厚は、200μm〜2mmが好ましく、400μm〜1000μmがより好ましい。層厚が200μmよりも小さいと、記録シートの表面凹凸への追従性や転写圧力の低減効果を低くしてしまうので好ましくない。また、層厚が2mmよりも大きいと、弾性層31bが自重によって撓み易くなって走行性を不安定にしたり、ベルトを張架しているローラへの掛け回しでベルトに亀裂を発生させ易くなったりするので好ましくない。なお、層厚の測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で観察することによって測定する方法を例示することができる。
弾性層31bの弾性材料に分散せしめる粒子31cとしては、平均粒子径が100μm以下であり、真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶であり、且つ3%熱分解温度が200℃以上である樹脂粒子を用いる。粒子31cの樹脂材料に特に制限はないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴムなどを例示することができる。これらの樹脂材料からなる粒子の母体表面を異種材料で表面処理してもよい。ゴムからなる球状の母体粒子の表面に硬い樹脂をコートしてもよい。また、母体粒子として、中空のものや、多孔質のものを用いてもよい。
これまで例示した樹脂材料の中でも、滑性、トナーに対しての離型性、耐磨耗性などに優れているという観点から、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。樹脂材料を重合法などによって球状の形状に仕上げた粒子であることが好ましく、真球に近いものほど好ましい。また、粒子31cとしては、体積平均粒径が1.0μm〜5.0μmであり、且つ単分散粒子であるものを用いることが望ましい。単分散粒子は、単一粒子径の粒子ではなく、粒度分布が極めてシャープな粒子である。具体的には、±(平均粒径×0.5μm)以下の分布幅の粒子である。粒子31cの粒径が1.0μm未満であると、粒子31cによる転写性能の促進効果が十分に得られなくなる。これに対し、粒径が5.0μmよりも大きいと、粒子間の隙間が大きくなってベルト表面粗さを大きくしてしまうことから、トナーを良好に転写できなくなったり、中間転写ベルト31のクリーニング不良を発生させ易くなったりする。更には、樹脂材料からなる粒子31cは一般に絶縁性が高いことから、粒径が大きすぎると粒子31cの電荷により、連続プリント時にこの電荷の蓄積による画像乱れを引き起こし易くなる。
粒子31cとしては、特別に合成したものを用いても良いし、市販品を用いてもよい。粒子31cを弾性層31bに直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができる。このようにすることで、粒子31c同士のベルト厚み方向の重なり合いをほぼなくすことができる。複数の粒子31cの弾性層31bの表面方向における断面の径は、できるだけ均一であることが望ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5μm)以下の分布幅にすることが好ましい。このため、粒子31cの粉末として、粒径分布の小さなものを用いることが好ましいが、特定の粒径の粒子31cだけを選択的に弾性層31b表面に塗布することを実現する方法を採用すれば、粒径分布の比較的大きな粉末を用いることも可能である。なお、粒子31cを弾性層31b表面に塗布するタイミングは特に限定されず、弾性層31bの弾性材料の架橋前、架橋後の何れであってもよい。
粒子31cが分散せしめられた弾性層31bの表面方向において、粒子31が存在している部分と、弾性層31bの表面が露出している部分との投影面積比については、粒子31cが存在している部分の投影面積率を60%以上にすることが望ましい。60%に満たない場合には、トナーと弾性層31bの無垢の表面とを直接接触させる機会を増加させて良好なトナー転写性が得られなくなったり、ベルト表面からのトナークリーニング性を低下させたり、ベルト表面の耐フィルミング性を低下させたりする。なお、中間転写ベルト31として、弾性層31bに粒子31cを分散させていないものを用いることも可能である。
図4に示されるように、中間転写ベルト31の表面において、粒子31c同士の重なり合いは殆ど観測されない。粒子31cの弾性層31b表面における断面の径は、できるだけ均一であることが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅となることが好ましい。このような分布幅を実現するためには、粒径分布の狭い粒子粉末を用いることが好ましいが、特定の粒径の粒子31cを選択的に表面に局在させる方法を採用して弾性層31bを形成すれば、粒径分布の広い粒子粉末を使用してもよい。
記録シートPとして、和紙のような表面凹凸に富んだものを用いたとする。この場合に、記録シートPの表面における複数の凹部にそれぞれトナーを良好に二次転写して、表面凹凸にならった画像濃度ムラの発生を抑えるためには、弾性層31bをある程度の柔軟性(弾性)に優れたものを採用する必要がある。そして、そのような弾性層31bを採用すると、弾性層31bの単体だけでは、張架するとすぐに伸びてしまうことから、実使用に耐えられない。このため、弾性層31bよりも剛性のある基層31aを設け、その基層31aの剛性によってベルト全体の伸びを長期間に渡って抑えることが必須の条件になる。
図5は、二次転写電源の電気回路の要部を、二次転写裏面ローラ33や二次転写ニップ裏打ちローラ36などとともに示すブロック図である。二次転写電源39は、直流電源110、着脱可能に構成された交流電源140、電源制御部200などを有している。直流電源110は、中間転写ベルト31の表面上のトナーに対して二次転写ニップ内でベルト側から記録シート側に向かう静電気力を付与するための直流電圧を出力するための電源である。そして、直流出力制御部111、直流駆動部112、直流電圧用トランス113、直流出力検知部114、出力異常検知部115、電気接続部221などを具備している。
交流電源140は、二次転写ニップ内に交番電界を形成するための交流電圧を出力する電源である。そして、交流出力制御部141、交流駆動部142、交流電圧用トランス143、交流出力検知部144、除去部145、出力異常検知部146、電気接続部242と、電気接続部243などを具備している。
電源制御部200は、直流電源110及び交流電源140を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを有する制御装置からなる。直流出力制御部111には、電源制御部200から、直流電圧の出力の大きさを制御するDC_PWM信号が入力される。更に、直流出力検知部114によって検知された直流電圧用トランス113の出力値も入力される。そして、直流出力制御部111は、入力されたDC_PWM信号のデューティ比及び直流電圧用トランス113の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、直流電圧用トランス113の出力値をDC_PWM信号で指示された出力値にするように、直流駆動部112を介して直流電圧用トランス113の駆動を制御する。
直流駆動部112は、直流出力制御部111からの制御に従って、直流電圧用トランス113を駆動する。また、直流電圧用トランス113は、直流駆動部112によって駆動され、負極性の直流の高電圧出力を行う。なお、交流電源140が接続されていない場合には、電気接続部221と二次転写裏面ローラ33とがハーネス301によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス301を介して二次転写裏面ローラ33に直流電圧を出力(印加)する。一方、交流電源140が接続されている場合、電気接続部221と電気接続部242とがハーネス302によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス302を介して交流電源140に直流電圧を出力する。
直流出力検知部114は、直流電圧用トランス113からの直流高電圧の出力値を検知し、直流出力制御部111に出力する。また、直流出力検知部114は、検知した出力値をFB_DC信号(フィードバック信号)として電源制御部200に出力する。これは、環境や負荷によって転写性が落ちないように、電源制御部200においてDC_PWM信号のデューティを制御させるためである。本プリンタでは、二次転写電源39の本体に対して交流電源140が着脱可能であるため、交流電源140が接続されている場合と接続されていない場合とで、高電圧出力の出力経路のインピーダンスが変化する。このため、直流電源110が定電圧制御を行って直流電圧を出力した場合、交流電源140の有無に応じて出力経路中のインピーダンスが変化することにより分圧比が変化する。更に、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧が変化してしまうので、交流電源140の有無に応じて転写性が変化してしまう。
そこで、本プリンタでは、直流電源110が定電流制御を行って直流電圧を出力し、交流電源140の有無に応じて出力電圧を変化させるようになっている。これにより、出力経路中のインピーダンスが変化しても、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができ、交流電源140の有無によらず転写性を一定に保つことができる。更に、DC_PWM信号の値を変更せずに交流電源140を着脱することが可能になる。このように本プリンタでは、直流電源110を定電流制御するようになっているが、次のような構成を採用してもよい。即ち、交流電源140の着脱時にDC_PWM信号の値を変更するなどして、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができれば、直流電源110を定電圧制御する構成を採用してもよい。
出力異常検知部115は、直流電源110の出力ライン上に配置されており、電線の地絡等によって出力異常が発生した際には、リークなどの出力異常を示すSC信号を電源制御部200に出力する。これにより、電源制御部200による直流電源110からの高圧出力を停止するための制御を実施することが可能になる。
交流出力制御部141には、電源制御部200から、交流電圧の出力の大きさを制御するAC_PWM信号や、交流出力検知部144によって検知された交流電圧用トランス143の出力値が入力される。そして、交流出力制御部141は、入力されたAC_PWM信号のデューティ比、及び交流電圧用トランス143の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、交流電圧用トランス143の出力値がAC_PWM信号で指示された出力値となるように、交流駆動部142を介して交流電圧用トランス143の駆動を制御する。
交流駆動部142には、交流電圧の出力周波数を制御するAC_CLK信号が入力される。そして、交流駆動部142は、交流出力制御部141からの制御及びAC_CLK信号に基づいて、交流電圧用トランス143を駆動する。交流駆動部142は、AC_CLK信号に基づいて交流電圧用トランス143を駆動することで、交流電圧用トランス143によって生成される出力波形を、AC_CLK信号で指示された任意の周波数に制御することができる。
交流電圧用トランス143は、交流駆動部142によって駆動されて交流電圧を生成し、生成した交流電圧と直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧とを重畳して重畳電圧を生成する。交流電源140が接続されている場合、即ち、電気接続部243と二次転写裏面ローラ33とがハーネス301で電気的に接続されている場合、交流電圧用トランス143は、生成した重畳電圧を、ハーネス301を介して二次転写裏面ローラ33に印加する。なお、交流電圧用トランス143は、交流電圧を生成しない場合には、直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧を、ハーネス301を介して二次転写裏面ローラ33に出力(印加)する。二次転写裏面ローラ33に出力された電圧(重畳電圧又は直流電圧)は、その後、二次転写ニップ裏打ちローラ36を介して直流電源110内に帰還する。
交流出力検知部144は、交流電圧用トランス143の交流電圧の出力値を検知して交流出力制御部141に出力する。また、検出した出力値をFB_AC信号(フィードバック信号)として電源制御部200に出力する。これは、環境や負荷によって転写性を低下させないように、電源制御部200においてAC_PWM信号のデューティを制御するためである。なお、交流電源140は、定電圧制御を行うものであるが、定電流制御を行うものを用いてもよい。また、交流電圧用トランス143(交流電源140)が生成する交流電圧の波形については、正弦波、矩形波の何れであってもよいが、本プリンタでは、短パルス状矩形波を採用している。交流電圧の波形を短パルス状矩形波にすることで、より画像品質の向上を図ることが可能になるからである。
電源制御部200には、一次転写電源500が接続されている。一次転写電源500は、一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kに印加するための直流電圧からなるY,M,C,K用の一次転写バイアスを定電流制御で個別に出力するものである。一次転写電源500に記憶されているY,M,C,K用の一次転写バイアスを定電流制御するためのY,M,C,K用の出力電流目標値は、電源制御部200からの書き換え信号によって適宜書き換えられる。
図6は、中間転写ベルト31として、本プリンタのものとは異なり、単層構造のものを用いた構成における二次転写ニップ及びその周囲を示す拡大構成図である。中間転写ベルト31として図示のような単層構造のものを用いた場合には、二次転写裏面ローラ33と二次転写ニップ裏打ちローラ36との間において、二次転写電流が次のように流れる。即ち、図中矢印で示されるように、二次転写電流がニップ中心位置(ベルト移動方向の中心位置)に集中して一直線状に流れることから、ニップ入口付近やニップ出口付近では二次転写電流がそれほど流れない。二次転写電流がこのように流れることで、二次転写ニップにおいて、トナーに二次転写電流を作用させている時間は比較的短時間になる。このため、トナーに対して、二次転写電流によって正規極性とは逆極性の電荷を過剰に注入してしまうことは殆どない。
図7は、実施形態に係るプリンタにおける二次転写ニップ及びその周囲構成を示す拡大断面図である。実施形態に係るプリンタにおいては、既に述べたように、中間転写ベルト31として、多層構造のものを用いている。かかる構成では、二次転写裏面ローラ33と二次転写ニップ裏打ちローラ36との間において、二次転写電流が次のように流れる。即ち、基層31aと弾性層31bとの界面で、二次転写電流がベルト周方向に広がりながら、ベルト厚み方向に流れる。これにより、二次転写電流がニップ中心位置だけでなく、ニップ入口やニップ出口の付近にまで回り込むようになることから、二次転写ニップにおいて、トナーに二次転写電流を作用させる時間が長時間になる。そして、トナーに対して、二次転写電流によって正規極性とは逆極性の電荷を過剰に注入してしまい易くなることで、トナーの正規極性の帯電量を大きく低下させたり、トナーを逆帯電させてしまったりして、二次転写性を阻害してしまう。この結果、画像濃度不足を引き起こし易くなってしまうことが解った。なお、本プリンタで用いられているような二層構造のベルトに限らず、三層以上の多層構造のベルトにおいても、同様の二次転写電流の回り込みにより、二次転写電流を阻害してしまうことも解った。
図8は、実施形態に係るプリンタの二次転写電源39から出力される二次転写バイスの波形を示すグラフである。本プリンタのように、二次転写裏面ローラ33に対して二次転写バイアスを印加する構成において、二次転写ニップで中間転写ベルト31上のトナー像を記録シートPに二次転写するためには、二次転写バイアスとして次のような特性のものを採用する必要がある。即ち、時間平均の極性がトナーの帯電極性と同極性になるバイアスである。具体的には、図示のように、二次転写バイアスは、直流電圧と交流電圧との重畳により、周期的に極性を反転させる交番電圧からなるものであるが、時間平均(平均電位Vave)では、極性がトナーと同じマイナス極性になるバイアスになっている。このように、時間平均の極性がマイナス極性になる二次転写バイアスを採用することで、トナーを相対的に二次転写裏面ローラ33に対して反発させてベルト側から記録シートP側に静電移動させることが可能になる。なお、二次転写ニップ裏打ちローラ36に対して二次転写バイアスを印加する構成を採用した場合には、時間平均がトナーと逆極性になる二次転写バイアスを採用すればよい。かかる二次転写バイアスにより、トナーを相対的に二次転写ニップ裏打ちローラ36に向けて静電的に引き寄せることで、ベルト側から記録シートP側に移動させることが可能になるからである。
同図において、Tは、周期的に極性を反転させる二次転写バイアスの一周期を示している。同図において、Vtは、転写ピーク値を示している。この転写ピーク値Vtは、二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、二次転写転写ニップ内でトナーに対して中間転写ベルト31側からシート搬送ベルト41側に向かう転写方向の静電気力をより大きく付与する方のピーク値である。また、Vrは、もう一方のピーク値としての逆ピーク値である。二次転写バイアスがトナーの帯電極性とは逆のプラス極性になっているときには、ベルト側から記録シートP側へのトナーの静電移動が阻害される。これに対し、トナーの帯電極性と同極のマイナス極性になっているときには、ベルト側から記録シートP側へのトナーの静電移動が促進される。
同図におけるVoffは、二次転写バイアスの直流成分の値としてのオフセット電圧を示しており、これは、「(Vr+Vt)/2」の解と同じ値である。また、同図におけるVppは、ピークツウピーク値を示している。
二次転写バイスは、周期T内におけるデューティが50[%]を超える波形になっている。デューティは、波形における第1時間及び第2時間のうち、二次転写ニップで中間転写ベルト31側から記録シートP側へのトナーの静電移動を阻害する方の時間としての阻害時間を基準にした時間比である。本プリンタの場合、波形の周期T内において、二次転写バイアスの値が基線としてのゼロの線よりもプラス極性側に向けて立ち上がり始めた時点から、ゼロの線まで立ち下がった後、ゼロの線からマイナス極性側に向けて立ち下がり始める直前までが第1時間である。また、ゼロの線からからマイナス極性側に向けて立ち下がり始めた時点から、ゼロの線まで立ち上がった後、更にゼロの線からプラス極性側に向けて立ち上がり始める直前までが第2時間である。そして、それら第1時間と第2時間とのうち、第1時間において、ベルト側から記録シートP側へのトナーの静電移動を阻害することになるので、第1時間が阻害時間に相当する。よって、第1時間(プラス極性になっている時間)を基準にした周期Tにおける時間比がデューティである。第2時間をAで表すと、本プリンタにおける二次転写バイアスのデューティは、「(T−A)/T×100(%)」という式によって求められる。
同図におけるVaveは、二次転写バイアスの平均電位を示しており、「Vr×デューティ/100+Vt×(1−デューティ)/100」の解と同じ値である。また、Aは、第2時間(本例では周期Tから阻害時間を減じた時間)を示している。また、Tは、二次転写バイアスの交流成分の周期を示している。
図示のように、二次転写バイアスにおいて、プラス極性になっている時間は周期Tの半分よりも大きくなっている、即ち、デューティが50[%]を超えている。このような二次転写バイアスを採用すると、周期T内において、トナーに対してその帯電極性とは逆のプラス極性の電荷を注入する可能性のある時間を短くすることから、二次転写ニップ内での電荷注入によるトナー帯電量Q/Mの低下を抑えることが可能になる。これにより、トナー帯電量Q/Mの低下に起因する二次転写性の低下による画像濃度不足の発生を抑えることができる。なお、デューティが50[%]を超えていても、次のようにすることで、トナー像の二次転写が可能になる。即ち、0[V]を基準にしたプラス側のグラフ箇所の面積を、マイナス側のグラフ箇所の面積よりも小さくすることで、平均電位をマイナス極性にして、トナーを相対的にベルト側から記録シートP側に静電移動させることが可能になる。
図9は、本発明者らが実際の試作機の二次転写電源39から出力させた二次転写バイアスの波形を示すグラフである。同図において、転写ピーク値Vtは−4.8[kV]である。また、逆ピーク値Vrは1.2[kV]である。また、オフセット電圧Voffは−1.8[kV]である。また、平均電位Vaveは0.08[kV]である。また、ピークツウピーク値Vppは、6.0[kV]である。また、第2時間Aは、0.10[ms]である。また、周期Tは0.66[ms]である。また、デューティは、85[%]である。
本発明者らは、次のような条件のもとで、二次転写バイアスのデューティを様々に変化させながら、それぞれのデューティでテスト画像を印刷してみた。
・環境:27℃/80%
・記録シートPの種類:用紙:Mohawk Color Copy Gloss 270gsm(457mm×305mm)・・・いわゆるコート紙
・プロセス線速:630mm/s
・テスト画像:ブラックハーフトーン画像
・二次転写ニップ幅(ベルト移動方向の長さ):4mm
・転写ピーク値Vt:−4.8kV
・逆ピーク値Vr:1.2kV
・オフセット電位Voff:−1.8kV
・平均電位Vave:0.08kV
・ピークツウピーク値Vpp:6.0kV
・第2時間A:0.10ms
・周期T:0.66ms
・デューティ:90%、70%、50%、30%、10%
図10は、デューティを90%に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図11は、デューティを70%に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図12は、デューティを50%に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図13は、デューティを30%に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図14は、デューティを10%に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。
この実験の結果を次の表1に示す。
Figure 2016177044
表1におけるランクは、テスト画像の画像濃度の再現性を評価した結果である。十分なハーフトーンの濃度が得られている状態をランク5と評価した。また、ランク5に比べてやや薄いが、問題のない濃さが得られている状態をランク4として評価した。また、ランク4に比べてさらに薄く、ユーザーに提供する画質としては問題となる状態をランク3として評価した。また、ランク3に比べてさらに薄い状態をランク2として評価した。また、全体的に白っぽい場合やそれよりも薄い状態をランク1として評価した。ユーザーに提供できる画質の許容レベルは、ランク4以上である。
デューティを10%や30%に設定した条件では、周期T内において、トナーに対して逆極性の電荷を注入するおそれのある時間を比較的長くするとから、トナーへの逆電荷の注入によるトナー帯電量Q/Mの低下が顕著に求められた。このため、表1に示されるように、ランク1という著しい画像濃度不足を認める結果になった。
一方、デューティを70%や90%に設定した条件では、周期T内において、トナーに対して逆極性の電荷を注入するおそれのある時間を比較的短くすることから、トナーへの逆電荷の注入によるトナー帯電量Q/Mの低下が有効に抑えられた。このため、表1に示されるように、ランク5という適正画像濃度を認める結果になった。
なお、図示のように、二次転写バイアスとして、周期T内で極性を交互に反転させるものを採用すると、トナーへの逆電荷の注入をより確実に抑えることが可能になる。記録シートPが帯電している場合であっても、逆電荷の注入を抑える極性の電界を相対的に二次転写ニップ内で作用させることができるからである。
記録シートPとして、前述したコート紙の代わりに、普通紙を用いて、同様の実験を行った。主要な実験条件は次の通りである。
・環境:27℃/80%
・記録シートPの種類:普通紙
・プロセス線速:630mm/s
・テスト画像:ブラックハーフトーン画像
・二次転写ニップ幅(ベルト移動方向の長さ):4mm
・転写ピーク値Vt:−4.8kV
・逆ピーク値Vr:1.2kV
・オフセット電位Voff:−1.8kV
・平均電位Vave:0.08kV
・ピークツウピーク値Vpp:6.0kV
・第2時間A:0.10ms
・周期T:0.66ms
・デューティ:90%、70%、50%、30%、10%
その結果、デューティと転写性のランクとの関係は、コート紙の場合と同様に、表1のようになった。
なお、通常、重畳電圧からなる二次転写バイアスの波形は、図9〜図14に示されるように、綺麗な矩形波にはならない。綺麗な矩形波であれば、波形の立ち上がり部から立ち下がり部までの時間を一周期内におけるトナー転写阻害時間として容易に特定することが可能である。しかし、綺麗な矩形波でない場合には、そのような特定ができない。即ち、一方のピーク値(例えば転写ピーク値Vt)から他方のピーク値(例えば逆ピーク値Vr)への立ち上がりや、他方のピーク値から一方のピーク値への立ち下がりに時間を要する(ゼロでない)場合には、前述のような特定ができない。そこで、綺麗な矩形波でない場合には、本発明を適用するにあたって、ディーティを次のように定義するとよい。即ち、二次転写バイアスの周期変動の波形で、ピークツウピークにおける一方のピーク値と他方のピーク値とのうち、二次転写ニップでベルト側から記録シート側へのトナーの静電移動をより阻害する方を阻害ピーク値として定義する。実施形態ではプラス側のピーク値が阻害ピーク値である。阻害ピーク値を他方のピーク値に向けてピークツウピーク値の30%の値だけシフトさせた位置を波形の基線とする。また、波形が帰省よりも阻害ピーク値側となる時間を阻害時間A’として定義する。より詳しくは、波形が基線から阻害ピーク値に向けて立ち上がり又は立ち下がり始めた時点から、基線まで立ち下がる又は立ち上がる直前までの時間を阻害時間A’として定義する。そして、阻害時間A’の周期Tにおける割合をデューティとすればよい。
具体的には、図15における「(阻害時間A’/周期T)×100%」の解をデューティとして求めればよい。実施形態では、マイナス極性のトナーを用い、且つ二次転写バイアスを二次転写裏面ローラ33に印加する構成になっていることから、逆ピーク値Vrが阻害ピーク値になる。そして、阻害時間A’は、基線から逆ピーク値Vrに向けて立ち上がり始めた時点から、基線まで立ち下がった後、更に転写ピーク値Vtに向けて立ち下がり始める直前までの時間になる。これに対し、マイナス極性のトナーを用い、且つ二次転写バイアスを二次転写ニップ裏打ちローラ36に印加する構成では、二次転写バイアスとして、0[V]の位置を基準にして図15の波形を反転させた波形のものを採用することになる。この場合、転写ピーク値Vtが阻害ピーク値になる。そして、阻害時間A’は、基線から転写ピーク値Vtに向けて立ち下がり始めた時点から、基線まで立ち上がった後、更に逆ピーク値Vrに向けて立ち上がり始める直前までの時間になる。
中間転写ベルト31として、本プリンタのように、最上層(弾性層31b)の素材に粒子31cを分散せしめたものを用いと、二次転写ニップ内におけるベルト表面とトナーとの接触面積を低減する。これにより、ベルト表面からのトナー離型性を向上させて、二次転写効率を高めることができる。しかしながら、規則的に並ぶ絶縁性の粒子31cの粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷を注入し易くなる。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子31cを分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。そこで、高デューティの二次転写バイアスを採用することで、粒子31cによる二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。
粒子31cとしては、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いることができる。本プリンタでは、正帯電性のメラミン樹脂からなる粒子などである。かかる構成では、粒子31cの電荷により、粒子間で二次転写電流が集中する現象の発生を抑えて、トナーへの逆電荷の注入量をより低減することができる。
また、粒子31cとして、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。
中間転写ベルト31として、最上層としてウレタンやテフロン(登録商標)などからなる表面層を設けたものを用いてもよい。また、ポリイミドやポリアミドイミドなどの樹脂からなる層を複数積層したものを用いてもよい。何れのベルトを用いる場合であっても、高デューティの二次転写バイアスを採用することで、二次転写ニップでトナーに逆極性の電荷を注入してしまうことによる画像濃度不足の発生を抑えることができる。
なお、特許文献1に記載の画像形成装置では、特許文献1に記載されているように、カーボン分散ポリイミドからなる単層構造の中間転写ベルトを用いており、二次転写ニップでその表面を表面凹凸シートの表面凹凸にならわせて柔軟に変形させることができない。このため、二次転写ニップで、表面凹凸シートの表面凹部と中間転写ベルト表面との間に微小間隙を形成してしまうことから、表面凹部のトナー量を不足させ易くなる。そこで、表面凹部にも十分量のトナーを転写するために、二次転写バイアスとして重畳電圧からなるものを用い、ベルト表面と記録シートの表面凹部との間でトナーを往復移動させる。この往復移動の際に、ベルト表面に付着しているトナー粒子に対して表面凹凸シートの表面凹部内から転位してくるトナー粒子をぶつけることで、凹部内に転位するトナー量を往復移動に伴って徐々に増やしていき、最終的に十分量のトナーを表面凹部内に転位させている。
これに対し、実施形態に係るプリンタでは、ニップ内で弾性層31bを柔軟に変形させて表面凹凸シートの表面凹部に良好に密着させる。このため、二次転写バイアスとして、重畳電圧からなるものでなく、直流電圧だけからなるものを用いても、表面凹部内に十分量のトナーを転位させることが可能である。ところが、既に述べたように、直流電圧だけからなる二次転写バイアスを用いると、コート紙や普通紙のような表面凹凸シートではない記録シートPを用いると、二次転写ニップでトナーに逆極性の電荷を注入することによる画像濃度不足が発生する。この画像濃度不足は、凹部、非凹部の違いにかかわらず、シート表面の全域でトナー量を不足させるものである。
このように、特許文献1に記載の画像形成装置が凹凸紙で良好な転写性を得るために重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いているのに対し、本プリンタは普通紙で良好な転写性を得るために重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いている。つまり、両者は、全く逆の特性の記録シートに対応するために、重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いているのである。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
定電流制御によって一次転写電源500から出力されるY,M,C,K用の一次転写バイアスの電位である一次転写バイアス値V1は、環境変動に伴う一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kの電気抵抗の変化などにより変動する。そして、その大きさは、そのときの環境条件などの条件において、トナー像を感光体2Y,2M,2C,2Kから中間転写ベルト31に良好に一次転写し得る一次転写電流を一次転写ニップに流すのに必要な値になる。同じ条件で、前記値よりも一次転写バイアス値V1を小さくすれば、一次転写不良を引き起こしてしまう。
一方、二次転写電源39から出力される二次転写バイアスの直流電圧も定電流制御されることから、環境変動に伴う二次転写裏面ローラ33の電気抵抗の変化などによって出力値が変動する。そして、その変動に伴って、二次転写バイアスの転写ピーク値Vtも変動する。この転写ピーク値Vtは断続的に出現するものであり、直流電圧のように長期間に渡って持続するものではない。仮に、定電流制御で一次転写電源500から出力される一次転写バイアス値V1の絶対値がα[V]であった場合に、一次転写電源500から重畳電圧からなる一次転写バイアスを転写ピーク値がα[V]になるように出力したとする。すると、そのα[V]は断続的にしか出現しないことから、α[V]を長期間に渡って持続させる直流電圧からなる一次転写バイアスとは異なり、トナー像を良好に一次転写することはできない。二次転写バイアスも同様に、その転写ピーク値Vrを一次転写バイアスV1よりも小さくするとトナー像を良好に二次転写することができずに、二次転写不良による画像濃度不足を発生させてしまう。二次転写ニップでは、一次転写ニップとは異なり、ニップ内に高抵抗の記録シートを挟み込んでいて転写電流が流れ難くなっている。このため、重畳電圧からなる一次転写バイアスの転写ピーク値を一次転写バイアス値V1よりも小さくする場合に比べて、二次転写不良の度合いが深刻なものになる。
また、本プリンタのように、中間転写ベルト31の弾性層31bを柔軟に変形させて表面凹凸シートの凹部に良好に密着させるものでは、二次転写ニップ内において、ベルト表面と凹部との間でトナー粒子を往復移動させることはない。但し、二次転写バイアスを転写ピーク値と同じ極性にしているときにはトナー像全体に対してベルト表面からシート表面に向かう静電気力を付与するのに対し、逆極性にしているときにはトナー像全体に対してシート表面からベルト表面に向かう静電気力を付与する。以下、後者の静電気力を戻り方向の静電気力という。二次転写バイアスの逆ピーク値Vrの絶対値を、一次転写バイアス値V1の絶対値と同等以上にすると、戻り方向の静電気力を次のような値にしてしまう。即ち、転写ピーク値Vtによってシート表面に拘束したトナー像全体を、逆ピーク値Vrによってベルト表面側に引き戻してベルト表面上に拘束するほど大きな値にしてしまう。転写ピーク値Vtと逆ピーク値Vrとを交互に出現させることで、トナー像全体をシート表面上に拘束するタイミングと、ベルト表面上に拘束するタイミングとを交互に出現させることになる。本発明者らは、このようにすると、ベタ画像において画像濃度不足を引き起こし易くなることを見出した。
また、本発明者らは、逆ピーク値Vrの絶対値を一次転写バイアス値V1の絶対値よりも小さくすると、ベタ画像において良好な画像濃度が得られるようになることも実験によって見出した。二次転写ニップ内でシート表面に拘束されたトナー像全体を逆ピーク値Vrによってシート表面からベルト表面に引き戻してしまうほど戻り方向の静電気力を大きくしてしまうタイミングを発生させないからだと思われる。
そこで、電源制御部200は、二次転写バイアスの転写ピーク値Vt及び逆ピーク値Vrと、Y,M,C,K用の一次転写バイアス値V1とについて、次のような関係になるようにしている。即ち、転写ピーク値Vtの絶対値を一次転写バイアス値V1の絶対値よりも大きくし、且つ、逆ピーク値Vrの絶対値を一次転写バイアスV1の絶対値よりも小さくするようにしている(|Vt| > |V1| > |Vr|)。そのために、Y,M,C,K用の一次転写バイアスの出力電流目標値と、二次転写バイアスの直流電圧の出力電流目標値とをそれぞれ適切な値に設定している。
図16は、温度25[℃]、湿度50[%]の環境下におかれた実施形態に係るプリンタにおける一次転写バイアスの出力電流目標値と、一次転写バイアス値V1との関係を示すグラフである。同じ環境下では、図示のように、一次転写バイアスの出力電流目標値を大きくするにつれて、一次転写バイアス値V1も大きくなっていく。本プリンタにおいては、電源制御部200がY,M,C,K用の出力電流目標値を60[−μA]に設定することから、温度25[℃]、湿度50[%]の環境下では、Y,M,C,K用の一次転写バイアス値V1が約1600[−V]になる。以下、温度25[℃]、湿度50[%]の環境を標準環境という。
また、電源制御部200は、二次転写バイアスとして、図9に示されるデューティ=90[%]の波形のものを二次転写電源39から出力させる。二次転写バイアスの直流電圧の出力電流目標値と、交流電圧のピークツウピーク電位Vppとについては、次のような組み合わせに設定している。即ち、標準環境下において、転写ピーク値Vt=−4.7[kV]、逆ピーク値Vr=0.5[kV]にする組み合わせである。
Y,M,C,K用の一次転写バイアスの出力電流目標値と、二次転写バイアスの直流電圧の出力電流目標値とをそれぞれ前述したように設定することで、標準環境下において、各種の電圧は次のようになる。
・転写ピーク値Vtの絶対値=4.7[kV]
・一次転写バイアス値V1の絶対値=1.6[kV]
・逆ピーク値Vrの絶対値=0.5[kV]
これにより、|Vt| > |V1| |Vr|という関係が実現される。
環境が標準環境から変動すると、それに伴って一次転写バイアス値V1が変動するが、転写ピーク値Vrや逆ピーク値Vrも変動する。しかしながら、どのように環境が変動したとしても、|Vt| > |V1| |Vr|という関係が維持されることを、本発明者らは実験によって確かめた。
以上の構成の本プリンタにおいては、転写ピーク値Vtの絶対値を一次転写バイアス値V1の絶対値よりも大きくすることで、二次転写ニップ内で転写方向の電界強度を不足させて二次転写不良を引き起こしてしまう画像濃度不良の発生を抑えることができる。また、逆ピーク値Vrの絶対値を一次転写バイアス値の絶対値よりも小さくすることで、次の画像濃度不足の発生を抑えることもできる。即ち、二次転写ニップ内で転写ピーク値Vtによってシート表面上に拘束したトナー像全体を逆ピーク値によってベルト表面に引き戻すことによる画像濃度不足である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、像担持体(例えば感光体2Y,2M,2C,2K)の移動する表面にトナー像を作像する作像手段(例えば光書き込みユニット80、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kなどからなるもの)と、前記表面上のトナー像が自らの表面に転写されるように前記像担持体の表面に当接して一次転写ニップを形成する中間転写体(例えば中間転写ベルト31)と、前記一次転写ニップに一次転写電流を流すための一次転写バイアスとして直流電圧からなるものを出力する一次転写電源(例えば一次転写電源500)と、前記中間転写体に当接して二次転写ニップを形成するニップ形成部材(例えばシート搬送ベルト41)と、前記二次転写ニップに二次転写電流を流すための二次転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなるものを出力する二次転写電源(例えば二次転写電源39)とを備え、前記二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに前記中間転写体上のトナー像を二次転写する画像形成装置(例えばプリンタ)において、前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記二次転写ニップ内のトナーに対して前記中間転写体側から記録シート側に向かう転写方向の静電気力をより強く付与する転写ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも大きくしたことを特徴とするものである。
以下、重畳電圧からなる転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、転写ニップ内のトナーに対して転写元(例えば中間転写体)から転写先(例えが記録シート)に向かう静電気力をより強く付与する方を転写ピーク値と定義する。また、もう一方を逆ピーク値と定義する。
態様Aのように、重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いるものにおいて、一次転写バイアスを次のように設定したとする。即ち、トナー像を良好に一次転写することが可能な一次転写バイアスの絶対値がα[V]であった場合に、直流電圧からなる一次転写バイアスに代えて、転写ピーク値=α[V]の重畳電圧からなるものを一次転写電源から出力したとする。すると、そのα[V]は、直流電圧からなる一次転写バイアスとは異なり、長期間に渡って持続せずに断続的にしか出現しないことから、トナー像を良好に転写できずに一次転写不良を引き起こしてしまう。二次転写バイアスも同様の理由により、その転写ピーク値を一次転写バイアスよりも小さくするとトナー像を良好に二次転写することができずに、二次転写不良による画像濃度不足を発生させてしまう。しかも、二次転写ニップでは、一次転写ニップとは異なり、ニップ内に高抵抗の記録シートを挟み込んでいて転写電流が流れ難くなっていることから、転写不良の度合いは前述した一次転写不良よりも深刻なものになる。
そこで、態様Aにおいては、二次転写バイアスの転写ピーク値Vtの絶対値を一次転写バイアスの絶対値よりも大きくすることで、二次転写不良による画像濃度不良の発生を抑えることができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記転写ピーク値とは逆極性である逆ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも小さくしたことを特徴とするものである。
態様Aのように、重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いる構成では、二次転写バイアスを転写ピーク値と同じ極性にしているときには、二次転写ニップ内のトナー像全体に対してベルト表面からシート表面に向かう静電気力を付与する。これに対し、二次転写バイアスを逆ピーク値と同じ極性にしているときには、二次転写ニップ内のトナー像全体に対してシート表面からベルト表面に向かう静電気力(戻り方向の静電気力)を付与する。このように静電気力の向きを変化させる構成において、二次転写バイアスの逆ピーク値の絶対値を、一次転写バイアスの絶対値と同等以上にすると、戻り方向の静電気力を次のような値にしてしまう。即ち、転写ピーク値によってシート表面に拘束したトナー像全体を、逆ピーク値によってベルト表面側に引き戻してベルト表面上に拘束するほど大きな値にしてしまう。転写ピーク値と逆ピーク値とを交互に出現させることで、トナー像全体をシート表面上に拘束するタイミングと、ベルト表面上に拘束するタイミングとを交互に出現させることになる。本発明者らは、このようにすると、ベタ画像において画像濃度不足を引き起こし易くなることを実験によって見出した。また、逆ピーク値の絶対値を一次転写バイアス値の絶対値よりも小さくすると、ベタ画像において良好な画像濃度が得られるようになることも実験によって見出した。二次転写ニップ内でシート表面に拘束されたトナー像全体を逆ピーク値によってシート表面からベルト表面に引き戻してしまうほど戻り方向の静電気力を大きくしてしまうタイミングを発生させないからだと思われる。
そこで、態様Bでは、逆ピーク値の絶対値を一次転写バイアスの絶対値よりも小さくすることで、転写ピーク値によって記録シート表面に拘束したトナー像を逆ピーク値によってシート表面に引き戻してしまうことによる画像濃度不足の発生を抑えることができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記中間転写体として、無端状のベルト基体のおもて面上に、前記ベルト基体よりも弾性に優れた弾性層を設けた中間転写ベルトを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、記録シートとして表面凹凸に富んだものを用いる場合であっても、二次転写ニップで中間転写体の弾性層をシート表面凹凸にならわせて柔軟に変化させてシート表面凹部に弾性層を良好に密着させる。これによりシート表面凹部に対しても中間転写体上のトナーを良好に二次転写して、表面凹凸にならった濃度ムラの発生を抑えることができる。
[態様D]
態様Dは、態様Cにおいて、前記弾性層として弾性表面層を設け、前記弾性表面層の材料に分散した複数の微粒子による複数の微小突起を前記弾性表面層の表面に設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、弾性表面層の表面における複数の微小突起により、二次転写ニップ内で弾性表面層の表面とトナーとの接触面積を低減することで中間転写体表面からのトナー離型性を高めて転写効率を向上させることができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、前記微粒子として、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、粒子の電荷により、粒子間で転写電流が集中する現象の発生を抑えて、トナーへの逆電荷の注入量をより低減することができる。
[態様F]
態様Fは、態様Dにおいて、前記微粒子として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電特性を有するものを用いたことを特徴とするものである。
[態様G]
態様Gは、態様Cにおいて、前記中間転写ベルトとして、前記弾性層の上にコート層を積層したものを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、弾性層とコート層との界面で二次転写電流を中間転写体表面方向に回り込ませたとしても、その回り込み起因するトナーへの逆電荷の注入による転写不良の発生を抑えることができる。
[態様H]
態様Hは、態様C〜Gの何れかにおいて、前記中間転写ベルトとして、互いに直接重なり合う二つの樹脂層を設けたものを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、互いに直接重なり合う二つの樹脂層の界面で二次転写電流を中間転写体表面方向に回り込ませたとしても、その回り込み起因するトナーへの逆電荷の注入による転写不良の発生を抑えることができる。
[態様I]
態様Iは、態様A〜Hの何れかにおいて、前記一次転写電源として、前記一次転写バイアスを定電流制御で出力するものを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、一次転写バイアスの出力電流目標値を調整することで、一次転写バイアスの絶対値を調整することができる。
[態様J]
態様Jは、態様Iにおいて、前記二次転写電源として、前記二次転写バイアスにおける直流電圧を定電流制御で出力するものを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、一次転写バイアスと二次転写バイアスとのそれぞれについて出力電流目標値を調整することで、転写ピーク値の絶対値を一次転写バイアスの絶対値よりも大きい値に調整することができる。
[態様K]
態様Kは、像担持体の移動する表面にトナー像を作像する作像手段と、前記表面上のトナー像が自らの表面に転写されるように前記像担持体の表面に当接して一次転写ニップを形成する中間転写体と、前記一次転写ニップに一次転写電流を流すための一次転写バイアスとして直流電圧からなるものを出力する一次転写電源と、前記中間転写体に当接して二次転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記二次転写ニップに二次転写電流を流すための二次転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなるものを出力する二次転写電源とを備え、前記二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに前記中間転写体上のトナー像を二次転写する画像形成装置において、前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記二次転写ニップ内のトナーに対して前記中間転写体側から記録シート側に向かう転写方向の静電気力をより強く付与する転写ピーク値とは逆極性である逆ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも小さくしたことを特徴とするものである。かかる構成では、逆ピーク値の絶対値を一次転写バイアスの絶対値よりも小さくすることで、転写ピーク値によって記録シート表面に拘束したトナー像を逆ピーク値によってシート表面に引き戻してしまうことによる画像濃度不足の発生を抑えることができる。
1Y,1M,1C,1K:作像ユニット(作像手段の一部)
2Y,M,C,K:感光体(像担持体)
30:転写ユニット
31:中間転写ベルト(中間転写体)
39:二次転写電源(転写電源)
41:シート搬送ベルト(ニップ形成部材)
80:光書込ユニット(作像手段の一部)
200:電源制御部(制御手段)
500:一次転写電源
501:入力操作部(情報取得手段)
特開2012−63746号公報

Claims (10)

  1. 像担持体の移動する表面にトナー像を作像する作像手段と、前記表面上のトナー像が自らの表面に転写されるように前記像担持体の表面に当接して一次転写ニップを形成する中間転写体と、前記一次転写ニップに一次転写電流を流すための一次転写バイアスとして直流電圧からなるものを出力する一次転写電源と、前記中間転写体に当接して二次転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記二次転写ニップに二次転写電流を流すための二次転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなるものを出力する二次転写電源とを備え、前記二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに前記中間転写体上のトナー像を二次転写する画像形成装置において、
    前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記二次転写ニップ内のトナーに対して前記中間転写体側から記録シート側に向かう転写方向の静電気力をより強く付与する転写ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも大きくしたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記転写ピーク値とは逆極性である逆ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも小さくしたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2の画像形成装置において、
    前記中間転写体として、無端状のベルト基体のおもて面上に、前記ベルト基体よりも弾性に優れた弾性層を設けた中間転写ベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3の画像形成装置において、
    前記弾性層として弾性表面層を設け、前記弾性表面層の材料に分散した複数の微粒子による複数の微小突起を前記弾性表面層の表面に設けたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4の画像形成装置において、
    前記微粒子として、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項4の画像形成装置において、
    前記微粒子として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電特性を有するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項3の画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトとして、前記弾性層の上にコート層を積層したものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項3乃至7の何れかの画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトとして、互いに直接重なり合う二つの樹脂層を設けたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、
    前記一次転写電源として、前記一次転写バイアスを定電流制御で出力するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  10. 像担持体の移動する表面にトナー像を作像する作像手段と、前記表面上のトナー像が自らの表面に転写されるように前記像担持体の表面に当接して一次転写ニップを形成する中間転写体と、前記一次転写ニップに一次転写電流を流すための一次転写バイアスとして直流電圧からなるものを出力する一次転写電源と、前記中間転写体に当接して二次転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記二次転写ニップに二次転写電流を流すための二次転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなるものを出力する二次転写電源とを備え、前記二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに前記中間転写体上のトナー像を二次転写する画像形成装置において、
    前記二次転写バイアスのピークツウピークにおける二つのピーク値のうち、前記二次転写ニップ内のトナーに対して前記中間転写体側から記録シート側に向かう転写方向の静電気力をより強く付与する転写ピーク値とは逆極性である逆ピーク値の絶対値を、前記一次転写バイアスの絶対値よりも小さくしたことを特徴とする画像形成装置。
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