JP2016172324A - 熱可塑性樹脂膜及びグレージング - Google Patents
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Abstract
【課題】高い引張弾性率によって剛性が高く、かつ、高周波域での遮音性も高い熱可塑性樹脂膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に積層された多層構造を有し、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が5層以上であり、前記第1の熱可塑性樹脂層中の前記熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、前記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率が1GPa以上である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に積層された多層構造を有し、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が5層以上であり、前記第1の熱可塑性樹脂層中の前記熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、前記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率が1GPa以上である。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱可塑性樹脂を含む層が複数積層されている熱可塑性樹脂膜に関する。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜をグレージング用中間膜として用いたグレージングに関する。
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、例えば、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
近年、合わせガラスを軽量化するために、合わせガラスの厚みを薄くすることが検討されている。しかし、合わせガラスの厚みを薄くすると、遮音性及び剛性が低くなる。
薄いガラスを用いた合わせガラスを自動車のフロントガラス等に用いた場合には、風切り音又はワイパーの駆動音等の5000Hz程度の音域の音に対して、遮音性が充分に得られないという問題がある。
そこで、中間膜の材料の変更により、合わせガラスの遮音性を高めることが検討されている。
例えば、下記の特許文献1には、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100質量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0質量部と、30質量部を超える可塑剤とを含む遮音層が開示されている。この遮音層は、単層で中間膜として、又は他の層と積層されて多層の中間膜として用いられ得る。
下記の特許文献2では、ヤング率が異なる2種類以上の層を積層した中間膜が開示されている。特許文献2の実施例1,2では、2つの層A,BがA/B/Aの積層構造で積層された多層中間膜が記載されている。
上記特許文献1に記載の中間膜を用いた合わせガラスでは、遮音性をある程度高めることができるものの、遮音性の更なる向上が求められている。
上記特許文献1に記載の中間膜では、特に、薄いガラスを用いた合わせガラスにおいて、5000Hz程度の高周波域での遮音性を充分に高めることが困難であり、更に、剛性も十分に高めることが困難である。従来、薄いガラスを用いた合わせガラスにおいて、剛性と高周波域での遮音性との双方を高いレベルで達成することは困難である。
本発明の目的は、高い引張弾性率によって剛性が高く、かつ、高周波域での遮音性も高い熱可塑性樹脂膜を提供することである。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜をグレージング用中間膜として用いたグレージングを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂を含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に積層された多層構造を有し、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が5層以上であり、前記第1の熱可塑性樹脂層中の前記熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、前記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率が1GPa以上である、熱可塑性樹脂膜が提供される。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記第1の熱可塑性樹脂層の合計の厚みの、前記第2の熱可塑性樹脂層の合計の厚みに対する比が、1以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が10層以上であり、他の特定の局面では、前記積層数の合計は160層以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記熱可塑性樹脂膜は、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層と前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層がこの順で積層された部分を有する。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記第2の熱可塑性樹脂層の層数が3層以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、グレージングを得るために用いられ、第1のグレージング部材と、第2のグレージング部材との間に配置されて用いられ、熱可塑性樹脂膜はグレージング用中間膜であることが好ましい。前記第1のグレージング部材の厚みが1.5mm以下であることが好ましい。前記グレージングが合わせガラスであり、前記第1のグレージング部材が第1の合わせガラス部材であり、前記第2のグレージング部材が第2の合わせガラス部材であり、前記グレージング用中間膜は合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
本発明の広い局面によれば、第1のグレージング部材と、第2のグレージング部材と、上述した熱可塑性樹脂膜であるグレージング用中間膜とを備え、前記第1のグレージング部材と前記第2のグレージング部材との間に、前記グレージング用中間膜が配置されている、グレージングが提供される。
前記第1のグレージング部材が第1の合わせガラス部材であり、前記第2のグレージング部材が第2の合わせガラス部材であり、前記グレージング用中間膜が合わせガラス用中間膜であり、前記グレージングは合わせガラスである。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に積層された多層構造を有し、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が5層以上であり、上記第1の熱可塑性樹脂層中の上記熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、上記第2の熱可塑性樹脂層の弾性率の1層での引張弾性率が1GPa以上であるので、高い引張弾性率によって剛性を高めることができ、かつ、5000Hz程度の高周波域での遮音性も高めることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備える。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に積層された多層構造を有する。上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計は5層以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜では、上記第1の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂と、上記第2の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂とが異なることが好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂層中の上記熱可塑性樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。上記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率は1GPa以上である。
本発明では、上述した構成が備えられているので、上記第2の熱可塑性樹脂層に由来して高い引張弾性率を確保することができ、従って剛性を高めることができる。さらに、本発明では、上述した構成が備えられているので、特に特定の第1の熱可塑性樹脂層と特定の第2の熱可塑性樹脂層とが数多く積層されているので、剛性を高めることができるだけでなく、高周波域での遮音性も高めることができる。従来、剛性と、高周波域での遮音性との双方を高いレベルで達成することは困難であったが、本発明によって、剛性と高周波域での遮音性との双方を高いレベルで達成することができる。さらに、本発明では、煩雑な工程を必要とせずに、合わせガラス用中間膜として好適な熱可塑性樹脂膜及び合わせガラスが得られる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。以下、熱可塑性樹脂膜を樹脂膜と省略して記載することがある。
図1に示す樹脂膜1は、熱可塑性樹脂膜である。樹脂膜1は、複数の熱可塑性樹脂層11を有する。樹脂膜1は、複数の第1の熱可塑性樹脂層11Aと、複数の第2の熱可塑性樹脂層11Bとを有する。第1の熱可塑性樹脂層11Aと、第2の熱可塑性樹脂層11Bとは、樹脂膜1の厚み方向に積層されている。本実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層11Aと、第2の熱可塑性樹脂層11Bとは、樹脂膜1の厚み方向に交互に積層されている。樹脂膜1は、多層構造を有する。
第1の熱可塑性樹脂層11Aは熱可塑性樹脂を含む。第2の熱可塑性樹脂層11Bは熱可塑性樹脂を含む。第1の熱可塑性樹脂層11Aと第2の熱可塑性樹脂層11Bとの厚み方向の積層数の合計は5層以上である。
第1の熱可塑性樹脂層11Aは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む。第2の熱可塑性樹脂層11Bは、熱可塑性樹脂を含む。第2の熱可塑性樹脂層11B中の熱可塑性樹脂は、第2の熱可塑性樹脂層11Bの1層での引張弾性率が1GPa以上となるように適宜選択される。このため、第2の熱可塑性樹脂層11Bに含まれる熱可塑性樹脂は、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体とは異なる。
上記第1の熱可塑性樹脂層の合計の厚み(T1)の、上記第2の熱可塑性樹脂層の合計の厚み(T2)に対する比(T1/T2)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは、0.3以上、更に好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。上記比が上記下限以上であると、特に上記比が1以上であると、高周波域での遮音性が効果的に高くなる。上記比が上記上限以下であると、剛性が効果的に高くなる。
上記第1の熱可塑性樹脂層の合計の積層数(L1)の上記第2の熱可塑性樹脂層の合計の積層数(L2)に対する比(L1/L2)は、好ましくは0.9以上、より好ましくは1以上、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
上記第1の熱可塑性樹脂層の層数は好ましくは3層以上、より好ましくは5層以上である。上記第2の熱可塑性樹脂層の層数は好ましくは3層以上、より好ましくは5層以上である。
上記第1の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率は、1GPa未満であることが好ましく、より好ましくは500MPa以下、更に好ましくは100MPa以下である。
上記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率は、1GPa以上であり、好ましくは2GPa以上、より好ましくは3GPa以上である。上記引張弾性率が上記下限以上であると、剛性が効果的に高くなる。上記第1の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率と、上記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率とは異なることが好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率は、以下の手順に従って測定される。上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物を、押出機を用いて単層で押出し、平均厚みが760μmである単層の樹脂膜を得る。鋭利なカミソリを使用し、得られる単層の樹脂膜の幅10mm、長さ150mmの短冊状にサンプリングした試験片を用意する。この試験片について、オリエンテック社製万能試験機RTC−1310Aを用いて、ASTM D 882:2012に準拠する方法で、23℃で引張弾性率を測定する。同様の手順により、上記第2の熱可塑性樹脂の1層での引張弾性率も測定される。
上記熱可塑性樹脂膜の引張弾性率は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは100MPa以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜では、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が10層以上であり、好ましくは40層以上であり、より好ましくは160層以上であり、更に好ましくは320層以上である。上記積層数の合計は、特に限定されないが、例えば実用面から100000層以下である。
上記熱可塑性樹脂膜は、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層と上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層がこの順で積層された部分を有することが好ましく、この部分を複数有することがより好ましい。
第1の熱可塑性樹脂層(A)と第2の熱可塑性樹脂層(B)とは、A/B/A/B・・・のようにそれぞれ交互に積層されていてもよく、A/B/A/A/B/A/・・・やA/B/B/A/B/B/・・・のように、同じ熱可塑性樹脂層が重なっていてもよい。また、上記第1の熱可塑性樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂層以外の他の樹脂層を積層してもよい。合わせガラスにする際の貼り合わせの簡便さから、熱可塑性樹脂層における一方側の表面層は、上記第1の熱可塑性樹脂層であることが好ましく、他方側の表面層は上記第1の熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂層のうちの1つ又は2つは、熱可塑性樹脂膜において、最表面に位置していることが好ましい。
上記第2の熱可塑性樹脂層のそれぞれの1層の厚みは好ましくは11μm以下、より一層好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下である。上記第2の熱可塑性樹脂層のそれぞれの1層の厚みが上記上限以下であると、第2の熱可塑性樹脂層が破断する際に第1の熱可塑性樹脂層がより一層破断し難くなり、樹脂膜がより一層破断し難くなる。上記第2の熱可塑性樹脂層のそれぞれの1層の厚みは、好ましくは0.01μm以上である。
上記熱可塑性樹脂膜は、延伸されていてもよい。延伸温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは64℃以上、好ましくは90℃未満、より好ましくは70℃未満、更に好ましくは66℃未満である。延伸温度が上記下限以上であると、樹脂の弾性による収縮が生じ難くなり、分子配向が効果的に発現する。延伸温度が上記上限以下又は上記上限未満であると、樹脂が流れるように変形し難くなり、分子配向が効果的に発現する。延伸倍率は、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、更に好ましくは3倍以上である。
上記の熱可塑性樹脂膜が合わせガラス用中間膜である場合に、中間膜の引裂強度を高めることで、該中間膜を備えた合わせガラスの耐貫通性が上昇する。よって、同等の耐貫通性能を維持したままで、従来のガラス板より薄いガラス板を、合わせガラスを得るために用いることが可能となり、合わせガラスの軽量化を図ることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、表面に他の熱可塑性樹脂膜が積層されて、複合膜として用いられてもよい。
上記の熱可塑性樹脂膜の表面は、エンボス加工されていてもよい。エンボス加工する方法としては、エンボスロール法及びリップエンボス法等が挙げられる。中でも定量的に一定の凹凸模様が形成されるようにエンボス加工を行うことができることから、エンボスロール法が好ましい。
合わせガラス部材との接着性をより一層高くし、合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、上記エンボス加工された樹脂膜の外側の表面の十点平均粗さRzは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上記十点平均粗さRzは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
以下、本発明に係る樹脂膜に含まれる各成分の詳細を説明する。
(熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂)
第1の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第1の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体であってもよく、架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体であってもよい。また、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体には、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などのエチレン−酢酸ビニルの変性樹脂が含まれる。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の方法により得られる。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは33質量%以下である。上記酢酸ビニル含量が上記下限以上及び上限以下であれば、得られる熱可塑性樹脂膜の剛性をより一層高めることができる。熱可塑性樹脂膜の透明性をより一層高める観点からは、上記酢酸ビニル含量は19質量%を超えることが好ましい。上記酢酸ビニル含量は、JIS K6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される。
第2の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂は、第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率が1GPa以上となるように適宜選択される。第2の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ABS樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸セルロース、MS樹脂、MBS樹脂、SB樹脂及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。なかでも、得られる熱可塑性樹脂膜の耐引き裂き性がより一層向上することから、上記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂及びアイオノマー樹脂が好ましい。上記アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。上記アイオノマー樹脂としては、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂などが挙げられる。第2の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(他の成分)
上記の樹脂膜における各層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
上記の樹脂膜における各層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(熱可塑性樹脂膜の製造方法)
上記の熱可塑性樹脂膜の製造方法としては、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、押出コーティング法、多層溶融押出成形法、ホットメルトラミネーション法及びヒートラミネーション法等が挙げられる。
上記の熱可塑性樹脂膜の製造方法としては、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、押出コーティング法、多層溶融押出成形法、ホットメルトラミネーション法及びヒートラミネーション法等が挙げられる。
製造が容易であり、かつ引張強度が優れた熱可塑性樹脂膜が得られるため、上記の樹脂膜は、多層溶融押出成形法により得られていることが好ましい。上記多層溶融押出成形法としては、例えば、マルチマニホールド法及びフィードブロック法等が挙げられる。
(グレージング)
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、グレージングを得るために好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、第1のグレージング部材と、第2のグレージング部材との間に配置されて好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、グレージング用中間膜であることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、グレージングを得るために好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、第1のグレージング部材と、第2のグレージング部材との間に配置されて好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、グレージング用中間膜であることが好ましい。
本発明に係るグレージングは、第1のグレージング部材と、第2のグレージング部材と、上記熱可塑性樹脂膜であるグレージング用中間膜とを備える。上記第1のグレージング部材と上記第2のグレージング部材との間に、上記グレージング用中間膜が配置されている。
上記第1のグレージング部材は、第1の合わせガラス部材であることが好ましい。上記第2のグレージング部材は、第2の合わせガラス部材であることが好ましい。上記グレージング用中間膜は、合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、合わせガラスを得るために好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材との間に配置されて好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
上記グレージングが合わせガラスである場合に、合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上記熱可塑性樹脂膜である合わせガラス用中間膜とを備える。上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記合わせガラス用中間膜が配置されている。
図2は、図1に示す熱可塑性樹脂膜を備えたグレージングを示す模式的な断面図である。
図2に示すグレージング51は、第1のグレージング部材52と、第2のグレージング部材53と、樹脂膜1とを備える。樹脂膜1は、第1のグレージング部材52と第2のグレージング部材53との間に配置されており、挟み込まれている。第1のグレージング部材52は、樹脂膜1の第1の表面1aに積層されている。第2のグレージング部材53は、樹脂膜1の第2の表面1bに積層されている。従って、グレージング51は、第1のグレージング部材52と、樹脂膜1と、第2のグレージング部材53とがこの順で積層されて構成されている。
上記グレージング部材としては、ガラス板、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム及びポリエステルフィルム等が挙げられる。
上記グレージング部材として、少なくとも1つのガラス板を用いることで、合わせガラスを得ることができる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材はそれぞれガラス板又はPETフィルムであることが好ましく、合わせガラスは、第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材のうちの少なくとも一方としてガラス板を備えることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記グレージング部材の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、グレージング部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは3mm以下である。グレージング部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜の使用により、剛性及び高周波域での遮音性を充分に高めることができるので、上記グレージング部材の厚みは、特にガラス板の厚みは、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.8mm以下、より一層好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下、更に一層好ましくは0.8mm以下、特に好ましくは0.7mm以下である。このような薄いグレージング及び薄いガラス板を用いると、一般的に剛性及び遮音性が低くなる傾向があるが、本発明に係る熱可塑性樹脂膜の使用により、剛性と高周波域での遮音性との双方を高いレベルで達成することができる。
第1のグレージング部材の厚みのみが上記上限以下であってもよい。第1のグレージング部材と第2のグレージング部材との双方の厚みが上記上限以下であることが好ましい。
上記グレージングの製造方法は特に限定されない。例えば、第1のグレージング部材と第2のグレージング部材との間に、樹脂膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1のグレージング部材と樹脂膜との間及び第1のグレージング部材と樹脂膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、グレージングを得ることができる。上記第2の層の上記積層体側とは反対の外側の表面にエンボスが形成されている場合には、第1のグレージング部材と中間膜との間、及び第2のグレージング部材と中間膜との間に残留する空気をより一層効果的に脱気できる。
グレージングは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。グレージングは、これら以外にも使用できる。グレージングは、建築用又は車両用のグレージングであることが好ましく、車両用のグレージングであることがより好ましい。グレージングは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。また、上記グレージングは、他の無機膜もしくは有機膜と積層して用いることにより、例えば遮音性を付与した遮音性グレージングなどの機能性グレージングとして用いることもできる。
上記グレージングのヘーズ値は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、より一層好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.4%以下である。グレージングのヘーズ値は、JIS K6714に準拠して測定できる。上記グレージングのヘーズを低くするために、上記の樹脂膜を構成する各層はフィラーを含まないことが好ましい。
なお、本発明の熱可塑性樹脂膜は、ガラス以外の剛性体と積層することにより、例えば、金属や無機材料等と積層することにより、制振素材として用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)熱可塑性樹脂膜の作製
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポン社製「エバフレックス EV260」)を用意した。第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、PMMA(ポリメチルメタクリレート)(アクリル樹脂、三菱レイヨン社製「アクリペットV001」)を用意した。
(1)熱可塑性樹脂膜の作製
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポン社製「エバフレックス EV260」)を用意した。第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、PMMA(ポリメチルメタクリレート)(アクリル樹脂、三菱レイヨン社製「アクリペットV001」)を用意した。
200℃に加熱された押出機1に、上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂を供給し、200℃に加熱された押出機2に上記第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂を供給した。このとき、時間当たりの押出量を、押出機1と押出機2との重量比が6:1となるようにした。それぞれギアポンプを介して、押出機1から押出される溶融樹脂と押出機2から押出される溶融樹脂とが交互に積層され、合わせて40層積層されるフィールドブロックにて合流させて、40層の積層体21を得た(図3参照)。その後、スクエアミキサーに、積層体21を供給して、80層の積層体22を得た(図4〜6参照)。その後、2つ目のスクエアミキサーに供給して160層の積層体を得た。その後、3つ目のスクエアミキサーに供給して320層の積層体を得た。
なお、スクエアミキサーは、断面形状が長方形である流路を通過した熱可塑性樹脂を、分岐流路により2分割し、それらを積み重ねて合流させて層数を2倍にすることが可能な流路を有する筒体である。スクエアミキサーでは、図3に示す40層の積層体21を、図4に示すように中央で2分割するように、矢印X1の方向に流路を圧縮することで、層数が40層であり、かつ厚みが1/2である2つの圧縮物を得ることができる。次に、図5に示すように矢印X2の方向に流路を拡大することで、図6に示すように層数が2倍の80層である積層体22を得ることができる。同様の操作を繰り返して、160層の積層体、320層の積層体を得ることができる。
このようにして得られた320層の積層体をTダイに供給して、シート状に成形した後、引取ロールで引き取り、全体の厚み(平均厚み)が760μmである320層の樹脂膜を得た。ただし、実施例及び比較例の評価に用いる際は、厚み760μmの部分を選択してサンプリングを行った。
(2)合わせガラスの作製
得られた樹脂膜を縦30cm×横30cmの大きさに切断した。次に、JIS R3208に準拠したグリーンガラス(縦30cm×横30cm×厚さ1.1mm)2枚の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
得られた樹脂膜を縦30cm×横30cmの大きさに切断した。次に、JIS R3208に準拠したグリーンガラス(縦30cm×横30cm×厚さ1.1mm)2枚の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
(実施例2)
時間当たりの押出量を、押出機1と押出機2との重量比が3:1となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、320層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
時間当たりの押出量を、押出機1と押出機2との重量比が3:1となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、320層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
(実施例3)
時間当たりの押出量を、押出機1と押出機2との重量比が1:1となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、320層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
時間当たりの押出量を、押出機1と押出機2との重量比が1:1となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、320層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
(比較例1)
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1、平均重合度1700、アセタール化度69mol%、アセチル化度1mol%、水酸基の含有率30mol%、積水化学工業社製)を用意した。第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(PVB2、平均重合度2300、アセタール化度64mol%、アセチル化度13mol%、水酸基の含有率23mol%、積水化学工業社製)を用意した。可塑剤として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を用意した。
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1、平均重合度1700、アセタール化度69mol%、アセチル化度1mol%、水酸基の含有率30mol%、積水化学工業社製)を用意した。第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(PVB2、平均重合度2300、アセタール化度64mol%、アセチル化度13mol%、水酸基の含有率23mol%、積水化学工業社製)を用意した。可塑剤として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を用意した。
押出機1に、上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂100質量部と上記可塑剤40質量部とを上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物として供給したこと、上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂を供給する際の押出機1の加熱温度を180℃に変更したこと、押出機2に、上記第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂100質量部と上記可塑剤60質量部とを上記第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物として供給したこと、上記第2の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂を供給する際の押出機2の加熱温度を180℃に変更したこと、使用するフィードブロックを、合わせて3層積層されるフィールドブロックに変更し、スクエアミキサーを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、全体の厚み(平均厚み)が760μmである厚み方向に第1の熱可塑性樹脂層/第2の熱可塑性樹脂層/第1の熱可塑性樹脂層の順に積層された3層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
(比較例2)
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1、平均重合度1700、アセタール化度69mol%、アセチル化度1mol%、水酸基の含有率30mol%、積水化学工業社製)を用意した。可塑剤として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を用意した。
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1、平均重合度1700、アセタール化度69mol%、アセチル化度1mol%、水酸基の含有率30mol%、積水化学工業社製)を用意した。可塑剤として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を用意した。
押出機1に、上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂100質量部と上記可塑剤35質量部とを上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物として供給したこと、上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための樹脂を供給する際の押出機1の加熱温度を180℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、320層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
(比較例3)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポン社製「エバフレックス EV260」)を用意した。200℃に加熱された押出機に、上記樹脂を供給し、ギアポンプを介してTダイに供給し、シート状に成形した後、引取ロールで引き取り、平均厚みが760μmである単層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポン社製「エバフレックス EV260」)を用意した。200℃に加熱された押出機に、上記樹脂を供給し、ギアポンプを介してTダイに供給し、シート状に成形した後、引取ロールで引き取り、平均厚みが760μmである単層の樹脂膜及び合わせガラスを得た。
(評価)
(1)全体の厚み
熱可塑性樹脂膜の厚み(第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚み)を、新潟精機社製マイクロメータMCD130−25を用いて、JIS K7127:1999に準拠した方法で測定した。
(1)全体の厚み
熱可塑性樹脂膜の厚み(第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚み)を、新潟精機社製マイクロメータMCD130−25を用いて、JIS K7127:1999に準拠した方法で測定した。
(2)第1の層と第2の層との厚み比(T1/T2)
樹脂膜の中央部を鋭利なカミソリで切った断面の幅方向の中央部において、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−2000を用いて各層の厚みを測定した。全ての第1の熱可塑性樹脂層の合計の厚み(T1)の、全ての第2の熱可塑性樹脂層の合計の厚み(T2)に対する比(T1/T2)を求めた。
樹脂膜の中央部を鋭利なカミソリで切った断面の幅方向の中央部において、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−2000を用いて各層の厚みを測定した。全ての第1の熱可塑性樹脂層の合計の厚み(T1)の、全ての第2の熱可塑性樹脂層の合計の厚み(T2)に対する比(T1/T2)を求めた。
(3)第1の熱可塑性樹脂層及び第2の熱可塑性樹脂層の引張弾性率
鋭利なカミソリを使用し、幅10mm、長さ150mmの短冊状にサンプリングした試験片を用意した。この試験片について、オリエンテック社製万能試験機RTC−1310Aを用いて、ASTM D 882:2012に準拠した方法で、23℃で引張弾性率を測定した。比較例3の単層の樹脂膜(実施例1〜3における第1の樹脂層に対応する)の引張弾性率は11MPaであった。なお、比較例1,2における第1の熱可塑性樹脂層、実施例1〜3及び比較例1,2における第2の熱可塑性樹脂層の引張弾性率はそれぞれ、比較例1,2における第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物、実施例1〜3及び比較例1,2における第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物又は樹脂を、押出機を用いて単層で押出し、平均厚みが760μmである単層の樹脂膜を作製後、得られた単層の樹脂膜を用いて同様の測定手順にて、測定した。
鋭利なカミソリを使用し、幅10mm、長さ150mmの短冊状にサンプリングした試験片を用意した。この試験片について、オリエンテック社製万能試験機RTC−1310Aを用いて、ASTM D 882:2012に準拠した方法で、23℃で引張弾性率を測定した。比較例3の単層の樹脂膜(実施例1〜3における第1の樹脂層に対応する)の引張弾性率は11MPaであった。なお、比較例1,2における第1の熱可塑性樹脂層、実施例1〜3及び比較例1,2における第2の熱可塑性樹脂層の引張弾性率はそれぞれ、比較例1,2における第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物、実施例1〜3及び比較例1,2における第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物又は樹脂を、押出機を用いて単層で押出し、平均厚みが760μmである単層の樹脂膜を作製後、得られた単層の樹脂膜を用いて同様の測定手順にて、測定した。
(4)熱可塑性樹脂膜の引張弾性率
鋭利なカミソリを使用し、幅10mm、長さ150mmの短冊状にサンプリングした試験片を用意した。この試験片について、オリエンテック社製万能試験機RTC−1310Aを用いて、ASTM D 882:2012に準拠した方法で、23℃で引張弾性率を測定した。
鋭利なカミソリを使用し、幅10mm、長さ150mmの短冊状にサンプリングした試験片を用意した。この試験片について、オリエンテック社製万能試験機RTC−1310Aを用いて、ASTM D 882:2012に準拠した方法で、23℃で引張弾性率を測定した。
(5)合わせガラスの遮音性
合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振し、そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレッドパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。
合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振し、そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレッドパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。
このようにして得られた損失係数と合わせガラスとの共振周波数との比から、20℃における音周波数(Hz)と音響透過損失(dB)との関係を示すグラフを作成し、音周波数5,000Hz付近における極小の音響透過損失(TL値)を求めた。このTL値が高いほど、遮音性が高くなる。
上記評価結果を表1に記載する。下記の表1において、「EVA」はエチレン−酢酸ビニル共重合体を示し、「PMMA」はポリメチルメタクリレートを示し、PVBはポリビニルブチラール樹脂を示す。
1…樹脂膜
1a…第1の表面
1b…第2の表面
11…熱可塑性樹脂層
11A…第1の熱可塑性樹脂層
11B…第2の熱可塑性樹脂層
21…積層体(40層)
22…積層体(80層)
51…グレージング
52…第1のグレージング部材
53…第2のグレージング部材
1a…第1の表面
1b…第2の表面
11…熱可塑性樹脂層
11A…第1の熱可塑性樹脂層
11B…第2の熱可塑性樹脂層
21…積層体(40層)
22…積層体(80層)
51…グレージング
52…第1のグレージング部材
53…第2のグレージング部材
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂を含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、
前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に積層された多層構造を有し、
前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が5層以上であり、
前記第1の熱可塑性樹脂層中の前記熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、
前記第2の熱可塑性樹脂層の1層での引張弾性率が1GPa以上である、熱可塑性樹脂膜。 - 前記第1の熱可塑性樹脂層の合計の厚みの、前記第2の熱可塑性樹脂層の合計の厚みに対する比が、1以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
- 前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が10層以上である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂膜。
- 前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が160層以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
- 前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層と前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層がこの順で積層された部分を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
- 前記第2の熱可塑性樹脂層の層数が3層以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
- グレージングを得るために用いられ、
第1のグレージング部材と、第2のグレージング部材との間に配置されて用いられ、
熱可塑性樹脂膜はグレージング用中間膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。 - 前記第1のグレージング部材の厚みが1.5mm以下である、請求項7に記載の熱可塑性樹脂膜。
- 前記グレージングが合わせガラスであり、前記第1のグレージング部材が第1の合わせガラス部材であり、前記第2のグレージング部材が第2の合わせガラス部材であり、
前記グレージング用中間膜は合わせガラス用中間膜である、請求項7又は8に記載の熱可塑性樹脂膜。 - 第1のグレージング部材と、
第2のグレージング部材と、
請求項7又は8に記載の熱可塑性樹脂膜であるグレージング用中間膜とを備え、
前記第1のグレージング部材と前記第2のグレージング部材との間に、前記グレージング用中間膜が配置されている、グレージング。 - 前記第1のグレージング部材が第1の合わせガラス部材であり、前記第2のグレージング部材が第2の合わせガラス部材であり、前記グレージング用中間膜が合わせガラス用中間膜であり、
グレージングは合わせガラスである、請求項10に記載のグレージング。
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Cited By (1)
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JP2019532898A (ja) * | 2016-10-19 | 2019-11-14 | ソルティア・インコーポレーテッド | 高い中間膜厚さ係数を有する遮音パネル |
-
2015
- 2015-03-16 JP JP2015052127A patent/JP2016172324A/ja active Pending
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