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JP4555855B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス Download PDF

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JP4555855B2 JP2007289973A JP2007289973A JP4555855B2 JP 4555855 B2 JP4555855 B2 JP 4555855B2 JP 2007289973 A JP2007289973 A JP 2007289973A JP 2007289973 A JP2007289973 A JP 2007289973A JP 4555855 B2 JP4555855 B2 JP 4555855B2
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Description

本発明は、耐湿性能、高温下での耐板ズレ性と耐発泡性、取扱性能に優れ、しかも優れた遮音性能を有し、更には遮熱性、電磁波透過性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関する。
一般に、一対のガラス板間に中間膜が挟着されてなる合わせガラスは、破損時に破片が飛散せず安全性に優れているため、例えば自動車等の交通車両の窓ガラスや建築物の窓ガラス等に広く用いられている。
こうした合わせガラス用の中間膜のうち、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂からなる中間膜は、ガラスとの優れた接着性、強靱な引っ張り強度及び高い透明性を兼ね備えており、この中間膜を用いて得られる合わせガラスは、特に、車両用窓ガラスとして好適である。
一般に、遮音性能は、周波数の変化に応じた透過損失量として示され、その透過損失量は、JIS A 4708では、図1中に実線で示すように、500Hz以上において遮音等級に応じてそれぞれ一定値で規定されている。ところで、ガラス板の遮音性は、図1中に波線で示すように、2000Hzを中心とする周波数領域ではコインシデンス効果により著しく低下する。
図1中の波線の谷部がコインシデンス効果による遮音性能の低下に相当し、所定の遮音性能を保持しないことを示す。ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射したとき、ガラス板の剛性と慣性によってガラス面上を横波が伝播して横波と入射音とが共鳴し、その結果音の透過が起こる現象をいう。
従来の合わせガラスは、破片の飛散防止の面では優れているものの、遮音性の面では、2000Hzを中心とする周波数領域において、やはりコインシデンス効果による遮音性能の低下が避けられず、この点の改善が求められている。
一方、人間の聴覚は、等ラウドネス曲線から、1000〜6000Hzの範囲では他の周波数に比べ非常に高い感度を示すことが知られており、コインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを解消することが防音性にとって極めて重要であることが判る。
合わせガラスの遮音性能を向上するには上記のごときコインシデンス効果を緩和して、コインシデンス効果によって生じる透過損失の極小部(以下、この極小部の透過損失をTL値という。図1参照)の低下を防ぐ必要がある。
従来TL値の低下を防ぐ手段として、合わせガラスの質量の増大、ガラスの複層化、ガラス面積の細分化、ガラス板支持手段の改善等、種々の方策が提案されている。しかし、これらはいずれも充分に満足できる効果をもたらさない上に、コスト的にも実用に採用するに妥当な価格になっていない。
遮音性能に対する要求は最近ますます高まり、例えば建築用窓ガラスでは常温付近で優れた遮音性が要求される。即ち、温度に対して透過損失(TL値)をプロットして求めた遮音性能が最も優れている温度(遮音性能最大温度=TLmax温度)が常温付近であり、かつ、遮音性能の最大値(遮音性能最大値=TLmax値)自体が大きいという、優れた遮音性能が要求されている。自動車においても同様に、高速走行時の風切り音及びエンジン部からの振動等、遮音性が要求されつつある箇所は多くなってきている。
また、実際に使用される場合を考慮すると、これら合わせガラスは低温域から高温域までの幅広い環境温度の変化にさらされるので、室温付近のみならず広い温度範囲での良好な遮音性能が要求される。
しかし、例えば従来の可塑化ポリビニルブチラール樹脂からなる中間膜を用いた合わせガラスでは、遮音性能最大温度が室温より高く、常温付近では遮音性能がよくないという問題点があった。また、遮音性能を発揮させようとすると、中間膜の膜物性が柔らかくなり、合わせガラスにした際に板ずれ、発泡が生じるという問題があった。
合わせガラスの遮音性能の向上を企図した中間膜の先行技術として、特許文献1には、ガラス転移温度15℃以下の高分子膜、例えば、塩化ビニル−エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体膜と可塑化ポリビニルアセタール膜との積層体からなる中間膜が開示されている。
しかしこの中間膜は、JIS A 4706による遮音等級でTs−35等級を超える遮音性を示さないうえに、遮音性を示す温度範囲が限定されており、広い温度範囲で良好な遮音性能を発揮できない。
また、すでに、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%で、かつ、これらアセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であるポリビニルアセタール樹脂と、その樹脂との曇り点が50℃以下を示す可塑剤とからなる合わせガラス用中間膜が提案されている。この中間膜では、確かに遮音性能と温度変化による性能の変動とは改善されているが、膜物性が柔らかいため、合わせガラスにした際の板ずれ、発泡が起こるという問題点を有していた。
特許文献2には、ガラス転移温度の異なる2種以上の樹脂を積層することによって、広い温度領域で制振性を有する構成体を得ることが提案されている。この構成体では、広い温度領域で制振性が改善されることが記載されている。しかし、この構成体が合わせガラスとして必要な遮音性、透明性等を有するという記述はなく、また、この構成体は安全ガラスとして必要な高い衝撃エネルギー吸収性、ガラス破損時の飛散防止性等の要件を満たすものではない。
特許文献3には、アセタール基の炭素数が6〜10であるポリビニルアセタールと可塑剤からなる膜と、アセタール基の炭素数が1〜4であるポリビニルアセタールと可塑剤からなる膜を積層した中間膜が提案されている。この中間膜では、確かに遮音性能の改善効果は認められ、かつ温度変化による遮音性能は大きく変動しないが、これらの効果は未だ充分ではない。このように上記先行技術の中間膜は、適度な膜物性を有し、かつ、広い温度領域で優れた遮音性能を発揮する合わせガラスを構成できるものではなかった。
特開平2−229742号公報 特開昭51−106190号公報 特開平4−254444号公報
本発明は、上記に鑑み、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、また中間膜の成形性及び取扱性を損なうこともなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮し、適度な膜物性により合わせガラスとしたときの板ずれ、発泡を防止することができる合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、及び、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤を含む膜を積層してなる合わせガラス用中間膜であって、少なくとも1層は、ポリビニルアルコール樹脂(A)及びポリビニルアルコール樹脂(B)が混合されてなるポリビニルアルコール樹脂より得られるポリビニルアセタール樹脂(C)、並びに、可塑剤を含み、前記ポリビニルアルコール樹脂(A)と前記ポリビニルアルコール樹脂(B)との平均重合度差は500以上であり、前記ポリビニルアルコール樹脂(A)の平均重合度が500〜3000、前記ポリビニルアルコール樹脂(B)の平均重合度が3000〜5000であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(C)は、平均重合度が1500以上であり、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であり、動的粘弾性より得られる損失正接の温度依存性において、最も低温側の極大値が示す温度が30℃以下である合わせガラス用中間膜である。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、及び、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤を含む膜を積層してなる合わせガラス用中間膜であって、少なくとも1層は、ポリビニルアセタール樹脂(D)及びポリビニルアセタール樹脂(E)が混合されてなるポリビニルアセタール樹脂(F)、並びに、可塑剤を含み、前記ポリビニルアセタール樹脂(D)とポリビニルアセタール樹脂(E)との平均重合度差は500以上であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(D)の平均重合度が500〜3000、前記ポリビニルアセタール樹脂(E)の平均重合度が3000〜5000であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(F)は、平均重合度が1500以上であり、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であり、動的粘弾性より得られる損失正接の温度依存性において、最も低温側の極大値が示す温度が30℃以下である合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
参考発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂(A)及びポリビニルアセタール樹脂(B)が混合されてなるポリビニルアセタール樹脂(C)、並びに、可塑剤からなる合わせガラス用中間膜である。
参考発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂(A)及び(B)は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を熱水に溶解し、得られた水溶液を所定温度に保持した後、これにアルデヒドと触媒とを加えアセタール化反応を進行させ、その後、反応液を所定温度で高温保持した後に中和、水洗、乾燥の諸行程を経て樹脂粉末を得る方法等により得られる。
上記PVAとしては特に限定されないが、平均重合度500〜5000のものが好ましい。500未満であると、得られる合わせガラス用中間膜の強度が弱くなりすぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不充分となることがある。一方、5000を超えると、樹脂の成形が困難となることがあり、また、得られる合わせガラス用中間膜の強度が強くなりすぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不充分となることがある。より好ましくは、1000〜5000である。
上記アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
こうして得られる各種ポリビニルアセタール樹脂は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよいが、なかでもn−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルブチラール樹脂を用いることにより、得られる合わせガラス用中間膜の透明性、耐候性、ガラスに対する接着性等が優れたものとなる。
参考発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂(A)は、平均重合度が1000〜3000であり、ポリビニルアセタール樹脂(B)は、平均重合度が3000〜5000であり、ポリビニルアセタール樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)との平均重合度差は、1500以上である。
平均重合度が1000〜3000のポリビニルアセタール樹脂(A)を用いることにより、得られる合わせガラス用中間膜の遮音性能は、広い温度範囲において、特に、低温域で良好になるが、膜物性は柔らかくなるので、合わせガラスにした際に板ずれ、発泡等が発生する。一方、平均重合度が3000〜5000のポリビニルアセタール樹脂(B)を用いると、得られる合わせガラス用中間膜の膜物性は硬くなり、合わせガラスにした際の板ずれ、発泡の防止効果は現れるが、高温での粘性が高くなりすぎるので、樹脂の成形性が悪くなる。そのため、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)との平均重合度差は、1500以上とされる。
ポリビニルアセタール樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)との平均重合度差が1500以上になるような組み合わせで混合されたポリビニルアセタール樹脂(C)を用いることにより、得られる合わせガラス用中間膜は、広い温度領域において優れた遮音性能を有するものとなり、かつ、適度な膜物性を有するので合わせガラスとしたときの板ずれ、発泡等を防止することができる。平均重合度差が1500未満では、得られる合わせガラス用中間膜が、良好な膜物性を有さない。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを混合する方法としては、例えば、平均重合度の異なるポリビニルアルコール(PVA)を所定量混合した後、アセタール化反応を行い混合ポリビニルアセタール樹脂を得る方法、平均重合度の異なる各PVAより得られた各ポリビニルアセタール樹脂を所定量混合する方法等が挙げられる。
参考発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂(C)は、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上である。
ポリビニルアセタール樹脂は、ビニルアセタール成分とビニルアルコール成分とから構成されている。参考発明において、これら成分量(アセタール化度、アセチル基量)は、例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」や、赤外線吸収スペクトル(IR)に基づいて測定することができる。
上記アセタール化度が60mol%未満であると、樹脂と後述する可塑剤との相溶性が悪くなり、遮音性能を発揮したり、合わせガラスの耐貫通性確保に必要な量の可塑剤の添加が困難となる。アセタール化度が85mol%を超える樹脂を得るには、長時間の反応が必要となるので、プロセス上好ましくない。好ましくは、63〜70mol%である。
上記アセチル基量が8mol%未満であると、樹脂と後述する可塑剤との相溶性が悪くなり、また、得られる樹脂のガラス転移温度が充分に低下せず、低温側における遮音性能が充分に向上しない。アセチル基量が30mol%を超えるポリビニルアセタール樹脂を得ようとすると、上述したPVAとアルデヒドとの反応性が著しく低下するので好ましくない。好ましくは、10〜24mol%である。
上記アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%未満であると、樹脂と後述する可塑剤との相溶性が不充分となる。好ましくは、77mol%以上である。上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、一塩基酸エステル系、多塩基酸エステル系等の有機エステル系可塑剤;有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。
上記一塩基酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸等の有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。
上記多塩基酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、炭素数4〜8の直鎖状又は分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライト酸等の有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。上記リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート等が挙げられる。
上記各種可塑剤の中でも、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジn−オクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジn−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好ましく、より好ましくは、3GH、3GO、3G7等である。上記可塑剤は単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
参考発明の合わせガラス用中間膜において、ポリビニルアセタール樹脂(C)と可塑剤との組み合わせとしては、ポリビニルアセタール樹脂(C)としてポリビニルブチラール樹脂を用い、可塑剤として3GH、3GO及び3G7からなる群より選択される少なくとも1種を用いる組み合わせが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(C)に対する可塑剤の添加量としては特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂(C)100重量部に対して、可塑剤30〜70重量部であることが好ましい。30重量部未満であると、ポリビニルアセタール樹脂の可塑化が不充分となることがある。70重量部を超えると、得られる合わせガラス用中間膜の機械的強度が低減するので耐衝撃性が劣り、合わせガラス用中間膜とガラスとの接着力が不充分となることがある。
参考発明の合わせガラス用中間膜は、可塑剤100重量部にポリビニルアセタール樹脂(C)8重量部を溶解した溶液の曇り点が、50℃以下である。50℃を超えると、樹脂と可塑剤との相溶性が悪いので、遮音性能を発揮したり、合わせガラスの耐貫通性確保に必要な量の可塑剤の添加が困難となる。好ましくは、30℃以下である。
なお、参考発明において、曇り点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して測定される曇り点であり、具体的には、可塑剤100重量部に対しポリビニルアセタール樹脂8重量部を溶解して得られる溶液を150℃以上に加熱した後、10〜30℃の雰囲気下に放置して温度を降下させたときに、この溶液の一部に曇りが発生し始める温度を意味する。ここで、曇り点が低いほど、その樹脂と可塑剤との相溶性が大きいことを表す。
上記溶液の一部に曇りが発生し始める温度(曇り点)の測定方法としては、例えば、溶液の外観を目視で観察する方法、溶液のヘーズをヘーズメーターで測定する方法、あらかじめ曇りに関する複数段階の限度見本を作製しておき、この限度見本と対照して曇りを判定する方法等が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂、及び、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤からなる膜を積層してなるものである。
本発明では、遮音性能を広温度範囲にて良好にするため、複数枚の樹脂膜を積層させることが好ましい。積層させることにより、各膜の遮音性能の温度依存性が重なり、積層膜が示す遮音性能は広温度範囲にて良好になる。
例えば、積層膜によって、より低温側の遮音性能を確保するためには、一つの単層の遮音性能を低音側にシフトさせる手段がとられる。具体的には可塑剤添加部数を増やし層のガラス転移温度をより低温に下げる。この場合、低温側の遮音性能は良好になるが、逆に膜が軟らかくなるので、中間膜としての力学的特性、取扱性及び成形性が損なわれ、合わせガラスの耐衝撃性等が著しく低下する恐れがある。また、合わせガラスを垂直状態にし、一方の板ガラスを垂直状態に自由に動けるよう保持しておくと、積層膜中の軟らかい層部でガラス板が垂直方向にずれる恐れが強い。この現象は特に高温下で顕著に生じる可能性がある。あるいは、合わせガラスを100℃以上で2時間程度放置するベーク試験において、膜内で発泡が生じやすくなる。
そこで、更に、本発明では、各単層で設計した遮音性能の温度依存性が、積層することによって変化することなく、かつ高温下でのガラス板のずれが生じないよう、鋭意検討を続けた。また、自動車に合わせガラスが使用される最近の動向では、例えばサイドガラス部の合わせガラス化、及び、フロントガラスのエッジ部暴露型が流行りとなってきている。これらの場合、合わせガラスのエッジ断面が直接人の目につくことになる。
合わせガラスは高湿度下に曝されると、膜が白くなる吸湿劣化(吸湿白化)が生じる。即ち、エッジ断面が暴露される場合で、この吸湿白化が生じると、美観上大きな問題を起こす。従い、吸湿による白化を抑える、耐湿性能の向上も遮音性を有する膜には必要不可欠な条件となる。これらのことを念頭に、鋭意検討を行った結果、樹脂膜を形成する樹脂の構造、可塑剤の相溶性、を制御することにより、上記問題点が解決できる知見を得た。
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されず、参考発明で用いられるものと同様であるが、なかでも、ブチルアルデヒドを加えてアセタール化反応させるポリビニルブチラール樹脂が、樹脂膜の透明性、耐候性、ガラスに対する接着性等がより優れるので好ましい。
本発明で用いられる可塑剤は、上述のとおり、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(4G7)に限定される。これら以外の可塑剤を用いると、遮音性能と両立させるためには、試験条件によっては、耐熱性、耐湿性に通常用途では観られなかった不具合が生じる場合もある。上記可塑剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記可塑剤の添加量は特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、可塑剤30〜70重量部であることが好ましい。30重量部未満であると、ポリビニルアセタール樹脂の可塑化が不充分となることがあり、また、遮音性能も不充分となることが多い。一方、70重量部を超えると、樹脂層及び中間膜の力学物性やガラスに対する接着力が不充分となることがある。本発明の合わせガラス用中間膜は、動的粘弾性より得られる損失正接の温度依存性において、最も低温側の極大値が示す温度が30℃以下である。
一般に、高分子材料の動的粘弾性測定を行うと、貯蔵弾性率及び損失弾性率の2種類の動的弾性率と、それらの比として損失正接(tanδ)が得られる。例えば、この測定を温度を変化させながら行った場合、損失正接はある温度で最大値を示す。一般に、この最大値を示す温度は、その材料のガラス転移温度(Tg)、すなわち軟化温度に相当する。
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜のTgが室温付近であると、その樹脂膜を用いた合わせガラスの室温付近における遮音性能は極めて優れる。しかし、室温付近にTgがあると、柔軟性が高くなりすぎ、合わせガラスを作製する上で取り扱い性が悪く、また、それを用いた合わせガラスの耐衝撃性が劣る恐れがある。このため、本発明では柔軟な樹脂膜と比較的強靱な樹脂膜とを積層させて、遮音性能と取り扱い性を含む強度との両立を図っている。ところが、積層体の状態で、個々の層のTgを測定することは非常に困難であった。積層する前の各層のTgを測定すればよいが、ある種の樹脂、可塑剤の組み合わせでは、各層を積層後、層間で可塑剤の移行が生じ、始めに測定した各層のTgは意味をなさないことがある。ところが、せん断方法による動的粘弾性の測定を行うと、積層体における各層のtanδ挙動が現れ、この挙動から各層のTgが見積もれることが判った。
本発明の合わせガラス用中間膜の最も低温側の極大値を示す温度は、積層体中最も柔らかい層の存在を意味し、この温度が30℃以下であれば、その積層体を用いた合わせガラスの遮音性能は極めて優れる。30℃を超えると、その積層体は室温付近で充分な柔軟性を示すことがなく、従ってその積層体を用いた合わせガラスは、室温付近で優れた遮音性能を示すことがない。
せん断方法による動的粘弾性の測定は、一般的に用いられる動的粘弾性測定装置を用いて行うことができ、その原理は微小振動を有する歪みを試料に印加し、その応答である応力を検出し、弾性率を算出するものである。得られた損失弾性率及び貯蔵弾性率の2種類の弾性率から、その比として損失正接(tanδ)を求める。tanδは温度に対して最大値を示す。このtanδの最大値が示す温度を、その材料のガラス転移温度とする。
微小振動の歪みを印加する方法としては特に限定されないが、例えば、引張方法では、積層体の各層のtanδ挙動を測定することができないので、せん断方法が好ましい。微小振動の歪みの周波数は特に限定されないが、測定のしやすさと測定値の精度から、10Hzが好適に用いられる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層が、可塑剤とポリビニルアセタール樹脂との混合溶液の曇り点が50℃以下であることが好ましい。なお、曇り点は、参考発明においてと同様の意味である。曇り点が50℃を超えると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が良好ではないので、層の遮音性能、特に低温域における遮音性能は向上しにくい。より好ましくは、30℃以下であり、更に好ましくは、20℃以下である。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤量が、他層よりも5重量部以上多いことが好ましい。5重量部以上多いことにより、積層体中に柔軟な層が形成され、損失正接の温度依存性を達成することができる。5重量部未満であると、積層体中の柔軟層形成に著しい効果が観られず、遮音性能が充分ではない。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層が、平均重合度1500以上、アセタール化度60〜85mol%、アセチル基量8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計75mol%以上のポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。なお、本発明におけるポリビニルアセタール樹脂の各成分の測定方法は参考発明におけるものと同様である。
上記平均重合度が1500未満であると、遮音性能が充分でなく、また、機械的強度も不充分なために、合わせガラスとしての耐衝撃性が劣る。上記アセタール化度が60mol%未満であると、可塑剤との相溶性が劣り、この層のガラス転移温度は下がらず、低温域の遮音性能は向上しない。一方、アセタール化度は反応機構上、85mol%を超えることはできない。より好ましくは、63〜70mol%である。
上記アセチル基量が8mol%未満であると、可塑剤との相溶性が劣り、層の遮音性能が充分に発揮されない。一方、30mol%を超えると、アルデヒドの反応率が著しく低下するので好ましくない。より好ましくは、10〜24mol%である。
上述のように、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度及びアセチル基量の両方が、可塑剤との相溶性に影響する。これらの合計が75mol%未満であると、可塑剤との相溶性が劣り、低温部の遮音性能を向上させることができない。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層が、ポリビニルアルコール樹脂(A)及びポリビニルアルコール樹脂(B)が混合されてなるポリビニルアルコール樹脂より得られるポリビニルアセタール樹脂(C)、並びに、可塑剤からなり、ポリビニルアルコール樹脂(A)とポリビニルアルコール樹脂(B)との平均重合度差は500以上であり、ポリビニルアセタール樹脂(C)は、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であるか、又は、ポリビニルアセタール樹脂(D)及びポリビニルアセタール樹脂(E)が混合されてなるポリビニルアセタール樹脂(F)、並びに、可塑剤からなり、ポリビニルアセタール樹脂(D)とポリビニルアセタール樹脂(E)との平均重合度差は500以上であり、ポリビニルアセタール樹脂(F)は、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であることをが好ましい。
本発明において、ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度及び鹸化度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(C)は異なる平均重合度を有するポリビニルアルコール樹脂(A)及び(B)を混合させてなるポリビニルアルコール樹脂から得られ、ポリビニルアセタール樹脂(F)は異なる平均重合度を有するポリビニルアセタール樹脂(D)及び(E)を混合させて得られる。いずれも異なる平均重合度差は500以上である。
平均重合度の異なる樹脂を混合させることにより、良好な遮音性能の温度範囲が広くなる。このことに加え、混合の際、平均重合度が高い方の樹脂を低い方の樹脂に数十%混合すると、重合度が低い樹脂のみから得られる膜よりも、機械的強度が向上する。重合度が低い樹脂膜の中に、重合度の高い樹脂膜が点在し、これが架橋点のような働きを示すために、高温下での流動性が高すぎることなく、効率的に機械的強度が向上する。逆に、平均重合度が低い方の樹脂を、高い方の樹脂に数十%混合すると、重合度が高い樹脂のみから得られる膜の高温下での流動性が低下し、成形しやすくなる。重合度が低い樹脂が、可塑剤のような働きを示すからである。このため、平均重合度差が500未満であると、混合の効果がみられない。
本発明において、ポリビニルアルコール樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(D)との平均重合度が500〜3000であり、ポリビニルアルコール樹脂(B)とポリビニルアセタール樹脂(E)との平均重合度が3000〜5000であることが好ましい。
平均重合度が500〜3000のポリビニルアルコール樹脂(A)又はポリビニルアセタール樹脂(D)を用いることにより、得られる樹脂層の機械的特性が良好になり、しかもそれを用いた合わせガラスの遮音性能が広い温度範囲にわたり良好となる。500未満であると、得られる膜の機械的強度が著しく低下し、合わせガラスとしての耐衝撃性が思わしくない。一方、3000を超えると、高温での流動性が高くなりすぎ、成形性が悪くなる。
平均重合度が3000〜5000のポリビニルアルコール樹脂(B)又はポリビニルアセタール樹脂(E)と上記樹脂を混合することにより、たとえ低温側の遮音性能を確保すべく膜のガラス転移温度を低温に下げたとしても、その機械的強度は低下することがない。3000未満であると、混合による効果は全くない。一方、5000を超えると、樹脂自体の製造が困難となり好ましくない。
混合の際、ポリビニルアルコール樹脂(A)又はポリビニルアセタール樹脂(D)に対しポリビニルアルコール樹脂(B)又はポリビニルアセタール樹脂(E)を5〜30重量%混合することが好ましい。5重量%未満であると、混合の効果はめざましくなく、30重量%を超えると、混合の効果がほぼ同じになるため、多量混合の効果は見られない。
更に、遮音性よりもむしろ、中間膜としての力学物性等の取扱性を重視する層も設けることが好ましい。この層を形成するポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されないが、アセタール化度は50mol%以上であることが好ましい。50mol%未満であると、可塑剤との相溶性が良くなく、合わせガラスにした場合の耐貫通性確保に必要な可塑剤の添加が難しい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層が、ポリビニルアセタール樹脂が熱線カット機能を有する金属酸化物微粒子を含有していることが好ましい。これにより、合わせガラス用中間膜に遮熱性を付与することができる。
上記金属酸化物微粒子としては特に限定されず、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等が挙げられる。これら金属酸化物微粒子の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、0.13〜3.0重量部であることが好ましい。0.13重量部未満であると、赤外線カット効果が出にくくなることがあり、3.0重量部を超えると、可視光線の透過率が低下することがある。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜は、更に、ポリエステルフィルムが積層されていることが好ましい。ポリエステルフィルムと積層することにより、中間膜に強度が付与されるため、高強度型でかつ遮音性が付与された合わせガラスが提供できる。また、熱線反射機能を有する金属膜が蒸着等されているポリエステルフィルムとの積層では、熱線反射機能型かつ遮音性の付与された合わせガラスが提供できる。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜が、更に、ポリエステルフィルムを積層している態様としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂膜/ポリエステルフィルム/ポリビニルアセタール樹脂膜、ポリビニルアセタール樹脂膜/ポリエステルフィルム/ポリビニルアセタール樹脂膜等が挙げられる。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜には、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、接着力調整剤、界面活性剤、着色剤等の、合わせガラス用中間膜に一般的に用いられている各種の添加剤の1種又は2種以上が配合されていてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、チバガイギー社製の商品名「チヌビンP」、「チヌビン320」、「チヌビン326」、「チヌビン328」等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば旭電化工業社製の商品名「アデカスタブLA−57」等のヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば住友化学工業社製の商品名「スミライザーBHT」、チバガイギー社製の商品名「イルガノックス1010」等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜の積層方法の一例を説明する。例えば、下記の種類の樹脂膜(X)及び(Y)を用意する。
樹脂膜(X)・・・ポリビニルアセタール樹脂(X1)100重量部と、可塑剤(X2)40重量部とを含むもの。
樹脂膜(Y)・・・ポリビニルアセタール樹脂(Y1)100重量部と、可塑剤(Y2)50重量部とを含むもの。
上記樹脂膜(X)/樹脂膜(Y)のように積層した態様、樹脂膜(X)/樹脂膜(Y)/樹脂膜(X)のように3層を積層した態様等が挙げられる。更に、樹脂膜(X)/樹脂膜(Y)/樹脂膜(X)/樹脂膜(X)の4層構造としてもよい。
これらの積層方法は任意であり、樹脂膜(X)と樹脂膜(Y)とを構成する、ポリビニルアセタール樹脂(X1)及びポリビニルアセタール樹脂(Y1)は同種であってもよく、異種であってもよい。同様に、可塑剤(X2)及び可塑剤(Y2)についても、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、樹脂膜(X)と樹脂膜(Y)との積層構成において、樹脂膜(X)/樹脂膜(Y)の片側にポリエステルフィルムを積層させることも可能である。例えば、樹脂膜(X)/樹脂膜(Y)/ポリエステルフィルム/樹脂膜(X)、樹脂膜(X)/樹脂膜(Y)/樹脂膜(X)/ポリエステルフィルム/樹脂膜(X)等の構成である。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜の製膜方法としては特に限定されず、例えば、各層をそれぞれ別々に成形したのちこれらをガラス板の間に積層させる方法、各層を多層成形機を用いて一体成形させる方法等が挙げられる。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜の膜全体の厚みとしては、通常の合わせガラス用中間膜としての厚みである0.3〜1.6mmが好ましい。合わせガラス用中間膜は、厚みが大きい方がより遮音性能に優れるが、合わせガラスとして必要な耐貫通性の点を考慮して厚みを決めるのが好ましく、実用上は上記した厚みの範囲が好適である。
参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜は、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを混練し、混練して得られた混練物を、プレス成形機、カレンダーロール、押し出し機等でシート状に成形することにより製造できる。
また、少なくとも一対のガラス間に、参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させることにより、合わせガラスを製造することができる。参考発明及び本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板としては特に限定されず、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、着色された板ガラス等の各種無機ガラス板又は有機ガラス板等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、ガラス以外の剛性の高い透明体で挟着されてもよい。上記透明体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂よりなるもの等が挙げられる。このような構成体もまた本発明の1つである。
本発明の合わせガラスの製造方法としては特に限定されず、既知の方法を用いることができ、例えば、本発明の合わせガラス用中間膜をその両側からガラス板で挟み込み、熱圧プレスにより合わせガラスを製造する方法等が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜及び合わせガラスは、上述のような構成を有することにより、合わせガラスに必要な基本性能を損なわず、合わせガラス用中間膜の成形性及び取扱性を損なうこともなく、広い温度領域において優れた遮音性能を有し、かつ、低温側の遮音性能が向上しても、機械的強度は低下しない。
本発明による合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの用途としては特に限定されないが、特に遮音性能を付与させる目的で、車両用(特に自動車のフロント部、サイド部、リア部)及び建築用に好適に用いることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述のような構成からなるので、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、また、中間膜の成形性、及び、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性能を示し、適度な膜物性により合わせガラスとしたときの板ずれ、発泡を防止することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
参考例1
あらかじめ、平均重合度が2000のPVAに、平均重合度が3500のPVAを50重量%混合した。この混合されたPVAを用いて、ブチラール化度が63.6mol%、アセチル基量が14.3mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。得られたポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を60重量部混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して厚み0.7mmの樹脂膜を得た。得られた樹脂膜を合わせガラス用中間膜として用い、下記の方法にて合わせガラスを作製した。
合わせガラス用中間膜を一辺が300mmである正方形の厚み3mmのフロート板ガラス二枚で両側から挟着し、この未圧着挟着体をゴムバッグへ入れ、2.7kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気状態のまま90℃のオーブンに移し、この温度を30分間保持した。こうして真空プレスにより仮接着した挟着体を、次いでオートクレーブ中で圧力1.2MPa、温度135℃で熱圧着し、透明な合わせガラスを作製した。
参考例2
あらかじめ、平均重合度が2000のPVAに平均重合度が3500のPVAを30重量%混合した。この混合されたPVAより、ブチラール化度が63.3mol%、アセチル基量が14.3mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
参考例3
あらかじめ、平均重合度が2400のPVAに平均重合度が4200のPVAを30重量%混合した。この混合されたPVAより、ブチラール化度が63.3mol%、アセチル基量が14.4mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<比較例1>
平均重合度が2000のPVAより、ブチラール化度が63.7mol%、アセチル基量が14.3mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<比較例2>
平均重合度が3500のPVAより、ブチラール化度が63.9mol%、アセチル基量が14.4mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<比較例3>
あらかじめ、平均重合度が2000のPVAに平均重合度が2800のPVAを30重量%混合した。この混合されたPVAより、ブチラール化度が64.1mol%、アセチル基量が14.4mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<比較例4>
あらかじめ、平均重合度が2800のPVAに平均重合度が3500のPVAを30重量%混合した。この混合されたPVAより、ブチラール化度が64.4mol%、アセチル基量が14.3mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<比較例5>
あらかじめ、平均重合度が2000のPVAに平均重合度が3500のPVAを50重量%混合した。この混合されたPVAより、ブチラール化度が68.5mol%、アセチル基量が0.9mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<比較例6>
あらかじめ、平均重合度が500のPVAに平均重合度が2000のPVAを50重量%混合した。この混合されたPVAより、ブチラール化度が63.5mol%、アセチル基量が14.4 mol%のポリビニルブチラール樹脂を合成した。この樹脂を用いて、参考例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。参考例1〜3及び比較例1〜6で作製した合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに対して、下記の方法で膜物性及び遮音性能を評価した。結果を表1に示した。
(1)合わせガラス用中間膜の膜物性
作製した合わせガラス用中間膜の110℃フロー粘度をフローテスター(島津社製、フローテスターCFT500)にて測定し、評価を行った。なお、表1中、フロー粘度が大きく膜物性が良好であるものを○、フロー粘度が小さく、膜物性が良好でないものを×と記載した。
(2)合わせガラスの遮音性能
所定温度において合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製、加振機 G21−005D)により加振し、そこから得られる振動特性を機械インピーダンスアンプ(リオン社製、XG−81)にて増幅し、振動スペクトルをFFTアナライザー(横河ヒューレットパッカー社製、FFTスペクトラムアナライザー HP−3582AA)にて解析した。こうして得られた損失係数とガラスとの共振周波数の比とから損失係数を算出した。この結果に基づき、周波数2000Hz近辺における極小の透過損失をもってTL値とした。測定は、0〜+30℃の間、10℃間隔にて行った。
(3)成形性・その他
合成した樹脂を合わせガラス用中間膜に成形する際の成形性、及び、その合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを作製する際の、板ずれ、発泡等の有無について評価した。なお、表1中の記載については、以下のとおりである。
○:成形性が良好で、合わせガラス作製時に板ずれ、発泡等がほとんどない
△:成形性がやや悪く、合わせガラス作製時に板ずれ、発泡等がみられる
×:成形性が悪く、合わせガラス作製時に板ずれ、発泡等がみられる
Figure 0004555855
表1より、参考例1〜3で作製した合わせガラス用中間膜は、膜物性が良好であり、かつ、TL値の低下が小さく、広い温度領域において優れた遮音性能を有するものであった。一方、比較例1〜6で得られた合わせガラス用中間膜は、遮音性能及び膜物性の両方に優れるものではなかった。
参考例4
(層(A)の作製)
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度=68.9mol%、アセチル化度=0.9mol%、以下PVB)に可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を39重量部数(樹脂100重量部に対し)添加した。これら混合物をミキシングロールで充分に混練し、混練物の所定量をプレス成形機により150℃で30分間保持した。こうして厚み0.2mmの層(A)を作製した。
(膜(B)の作製)
層(B)に、あらかじめ平均重合度が1700のポリビニルアルコール(以下、PVA)を用いて、ブチラール化度が64.5mol%、アセチル化度が14.3mol%のPVB樹脂を合成した。得られたPVB樹脂100重量部に対し、可塑剤として3GOを60重量部添加した。これら混合物をミキシングロールで充分に混練し、混練物の所定量をプレス成形機により150℃で30分間保持した。こうして厚み0.4mmの層(B)を作製した。また、これら樹脂と可塑剤の曇り点とを測定した。
(積層膜、及びそれを用いた合わせガラスの作製)
上記のように得られた層(A)及び層(B)を、積層構成が層(A)/層(B)/層(A)になるように重ねて、3層中間膜を得た。得られた積層膜から20mm各を切り取り、動的粘弾性用とした。
次いで、中間膜をそれぞれ1辺が300mmの正方形で、厚み3mmのフロートガラス2枚で両側からサンドイッチし、この未圧着サンドイッチ体をゴムバッグへ入れ、2.7kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気状態のまま90℃のオーブンに移し、この温度を30分間保持した。こうして真空プレスにより仮接着したサンドイッチ体を、次いでオートクレーブ中で圧力12kg/cm、温度135℃で熱圧着し、透明な合わせガラスを作製した。
参考例5
層(A)、(B)の作製に、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)を用いた。層(B)の作製に平均重合度が2000のPVAを用いたポリビニルブチラール樹脂を使用し、3G7の添加部数を58重量部とした。これら以外は参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例6
層(A)、(B)の作製に、可塑剤としてテトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)を用いた。層(A)の作製の際、ポリビニルブチラール樹脂への4GO添加部数を40重量部とした。これら以外は参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例7
層(A)、(B)の作製に、可塑剤としてテトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(4G7)を用いた。層(A)の作製の際、ポリビニルブチラール樹脂への4G7添加部数を40重量部とした。一方、層(B)の作製に平均重合度が2000のPVAを用いたポリビニルブチラール樹脂を使用し、4G7の添加部数を55重量部とした。これら以外は参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例8
層(A)、(B)の厚みを0.4mmとし、積層構成を層(A)/層(B)の2層とした。このこと以外は参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例9
層(A)の厚みを0.2mm、層(B)の厚みを0.1mmとし、積層構成を層(A)/層(B)/層(A)/層(B)/層(A)の5層とした。このこと以外は参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例7>
層(A)、(B)の作製に可塑剤として3GHを使用したこと以外は参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例8>
層(B)の作製に、可塑剤として3GHを用い、その添加部数を40重量部としたこと以外は、参考例4と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例4〜9及び比較例7〜8で作製した合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに対して、下記の方法で性能試験を行った。結果を表2に示した。
(遮音性試験)
得られた合わせガラスから、幅20mm、長さ150mmの短冊状に切り取り、これを遮音性能の測定用試験片とした。遮音性能は、参考例1と同様にして測定した。
(動的粘弾性の測定)
測定装置には、レオメトリックス社製、固体粘弾性測定装置RSA−IIを用いた。積層体を10×16cmの矩形にサンプリングし、これに測定周波数=10Hzの正弦歪みをせん断方向で、歪み量0.1%で印加した。測定温度範囲は−20℃〜+100℃、昇温速度=3℃/min.にて測定した。これら条件のもと、動的粘弾性特性として、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)と、これらの比である損失正接(tanδ)とを測定した。次に、得られたtanδの温度曲線からその最大値が示す温度を求め、これをガラス転移温度とした。
(耐熱性試験)
90℃に設定された恒温槽に、得られた合わせガラスを4週間放置後、ガラスエッジからの剥離(ガラスと膜)状態を観察した。評価は、エッジからの剥離量を読みとる方法で行った。剥離量が小さい程、耐熱性が優れることを表す。
(耐湿性試験)
合わせガラスを、50℃、95%RHに設定された恒温恒湿槽に4週間放置する。4週間後に合わせガラスを取り出し、エッジ部から白化した距離を読みとった。白化距離が短い程、その合わせガラスの耐湿性能は優れていることを表す。
Figure 0004555855
<実施例10>
(層(A)の作製)
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度=68.9mol%、アセチル化度=0.9mol%、以下PVB)に可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を39重量部数(樹脂100重量部に対し)添加した。これら混合物をミキシングロールで充分に混練し、混練物の所定量をプレス成形機により150℃で30分間保持した。こうして厚み0.2mmの層(A)を作製した。
(膜(B)の作製)
あらかじめ平均重合度が2000のポリビニルアルコール(以下、PVA)100重量部に、平均重合度が3500のPVAを25重量部混合した。この混合されたPVAを用いて、ブチラール化度が64.5mol%、アセチル化度が14.3mol%のPVB樹脂を合成した。得られたPVB樹脂100重量部に対し、可塑剤として3GOを60重量部添加した。これら混合物をミキシングロールで充分に混練し、混練物の所定量をプレス成形機により150℃で30分間保持した。こうして厚み0.4mmの層(B)を作製した。また、これら樹脂と可塑剤の曇り点とを測定した。
(積層膜、及びそれを用いた合わせガラスの作製)
上記のように得られた層(A)及び層(B)を、積層構成が層(A)/層(B)/層(A)になるように重ねて、3層中間膜を得た。
次いで、中間膜をそれぞれ1辺が300mmの正方形で、厚み3mmのフロートガラス2枚で両側からサンドイッチし、この未圧着サンドイッチ体をゴムバッグへ入れ、2.7kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気状態のまま90℃のオーブンに移し、この温度を30分間保持した。こうして真空プレスにより仮接着したサンドイッチ体を、次いでオートクレーブ中で圧力12kg/cm、温度135℃で熱圧着し、透明な合わせガラスを作製した。
<実施例11>
層(A)、(B)の作製に、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)を用い、層(B)作製時の添加部数を58重量部としたこと以外は実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例12
平均重合度が2000のPVA100重量部に、平均重合度が500のPVAを11重量部混合した。この混合されたPVAを用いて、ブチラール化度が64.5mol%、アセチル化度が14.3mol%のPVB樹脂を合成した。このPVB樹脂を用いて層(B)を形成したこと以外は実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<実施例13>
平均重合度が1700のPVA100重量部に、平均重合度が3500のPVAを42重量部混合した。この混合されたPVAを用いて、ブチラール化度が64.5mol%、アセチル化度が14.3mol%のPVB樹脂を合成した。このPVB樹脂を用いて層(B)を形成したこと以外は実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例14
層(A)には、PVB樹脂(ブチラール化度=65.9mol%、アセチル化度=0.9mol%)に可塑剤として、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)を40重量部(樹脂100重量部に対して)添加した樹脂膜を用いた。
層(B)には、平均重合度が2300のPVA100重量部に、平均重合度が4000のPVAを42重量部混合して得られたPVAを用いたPVB樹脂(ブチラール化度=57.3mol%、アセチル化度=20.0mol%)に可塑剤として4GOを60重量部添加した樹脂膜を用いた。これら以外は、実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<実施例15>
層(A)には、PVB樹脂(ブチラール化度=68.9mol%、アセチル化度=0.9mol%)に可塑剤として、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(4G7)を40重量部(樹脂100重量部に対して)添加した樹脂膜を用いた。
層(B)には次の樹脂膜を用いた。平均重合度が1700のPVAから合成したPVB樹脂(ブチラール化度=64.5mol%、アセチル化度=14.3mol%)100重量部に対し、平均重合度が4000のPVAから合成したPVB樹脂を(ブチラール化度=64.5mol%、アセチル化度=14.3mol%)42重量部混合した。この混合されたPVB樹脂に、可塑剤として4G7を60重量部(樹脂100重量部に対し)添加し、樹脂膜を作製した。これら以外は、実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<実施例16>
層(B)には次の樹脂膜を用いた。平均重合度が1200のPVAから合成したPVB樹脂(ブチラール化度=64.5mol%、アセチル化度=14.3mol%)100重量部に対し、平均重合度が3500のPVAから合成したPVB樹脂を(ブチラール化度=64.5mol%、アセチル化度=14.3mol%)100重量部混合した。この混合されたPVB樹脂に、可塑剤として3GOを60重量部(樹脂100重量部に対し)添加し、樹脂膜を作製した。これら以外は、実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例9>
層(A)及び層(B)に添加する可塑剤として3GHを用い、層(B)に、平均重合度が1700のPVAから合成した、ブチラール化度が64.5mol%、アセチル化度が14.3mol%のPVB樹脂を用いたこと以外は、実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例10>
層(A)及び層(B)に添加する可塑剤として3GHを用い、層(B)に、平均重合度が3500のPVAから合成した、ブチラール化度が64.5mol%、アセチル化度が14.3mol%のPVB樹脂を用いたこと以外は、実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例11>
層(A)及び層(B)に添加する可塑剤としてDHAを用い、層(A)への可塑剤の添加部数を40重量部とし、層(B)に用いるPVB樹脂として、ブチラール化度が57.3mol%、アセチル化度が13.0mol%のPVB樹脂を用いたこと以外は実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例12>
層(A)及び層(B)に添加する可塑剤として3GHを用い、層(B)に、平均重合度が1700のPVA100重量部に、平均重合度が1900のPVAを42重量部混合して得られたPVAを用いたこと以外は、実施例10と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例13>
層(B)に、参考例14で使用した層(A)のPVB樹脂100重量部に対し、可塑剤として3GHを60重量部添加した樹脂膜を用いたこと以外は、参考例14と同様にして合わせガラスを作製し、各評価を行った。
実施例10、11、13、15、16、参考例12、14及び比較例9〜13で作製した合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに対して、下記の方法で性能試験を行った。結果を表3に示した。
(遮音性試験)
得られた合わせガラスから、幅20mm、長さ150mmの短冊状に切り取り、これを遮音性能の測定用試験片とした。遮音性能は、参考例1と同様の方法で測定した。
(動的粘弾性の測定)
参考例4と同様にして、tanδを測定し、ガラス転移温度を求めた。
(高温下でのガラス板ずれ性)
得られた合わせガラスを垂直にし、一方のガラス板は固定し、他方のガラス板は垂直方向に自由に動けるよう支持した。この状態で80℃に設定された恒温槽に入れ、自由に動けるガラス板の垂直方向のずれ量を読みとった。評価は、恒温槽内で放置1週間後のずれ量を読みとった。この際、ずれ量が3mm以内であれば、良好と判断した。
(ベーク試験)
130℃に設定された恒温槽に、得られた合わせガラスを2時間放置後、合わせガラス周辺等の発泡状態を観察した。評価判断は、周辺エッジから15mm以内に発泡が生じたものは合格、それ以外は不合格とした。また、合格した中でも、発泡数が合計10個以内は特に優れていると判断した。
◎:特に優れている
○:合格
×:不合格
Figure 0004555855
参考例17
参考例4に記載の中間膜と、参考例4に記載の層(A)を形成する樹脂可塑剤組成物を厚さ0.4mmにプレス成形した膜とを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)として、東レ社製、「ルミラー S−10」(厚み0.05mm)を介して積層した。このようにして得られた中間膜を用いて、合わせガラスを作製した。
<比較例14>
比較例7に記載の中間膜と、比較例7に記載の層(A)を形成する樹脂可塑剤組成物を厚さ0.44mmにプレス形成した膜とをPETを介せず積層した。このようにして得られた中間膜を用いて、合わせガラスを作製した。
参考例17及び比較例14で作製した合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに対して、参考例1と同様にして遮音性能の評価を行い、更に下記の方法で落球試験を行った。結果を表4に示した。
JIS R 3212に準拠した手法にて評価を行ったが、鋼球を落下させる高さを0.25m単位で変化させ、合わせガラスの数の50%において鋼球の貫通が防げられる高さを求め、この時の鋼球とガラス板面との距離をもって「平均落球高さ」とした。従って、平均落球高さの数値が大きいほど、耐貫通性は優れていることを示している。
Figure 0004555855
参考例18
層(B)の作製において、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、可塑剤3GOを60重量部、更に金属酸化物微粒子としてITOを中間膜中の含有量が1.4重量部となるように添加混合した。このこと以外は参考例4と同様にして、三層構成の樹脂膜を作製し、これを用いて合わせガラスを作製した。
参考例19
層(B)の作製において、更に、金属酸化物微粒子としてATOを用いたこと以外は参考例5と同様にして合わせガラスを作製した。
<比較例15>
比較例7に記載の三層積層構成を中間膜として用いた。合わせガラスを作製する際、フロートガラスの代わりにITOを蒸着した熱線反射型ガラスを用いた。このこと以外は、参考例14と同様にして合わせガラスを作製した。
参考例18、19及び比較例15において作製した合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに対して、参考例1と同様にして遮音性能の評価を行い、参考例4と同様にして動的粘弾性の測定を行い、更に下記の方法で性能試験を行った。結果を表5に示した。
(光学特性)
分光光度計(島津製作所社製「UV3100」)を使用して、合わせガラスの340〜1800nmの透過率を測定し、JIS Z 8722、JIS R 3106、及びJIS Z 8701に準拠して380〜780nmの可視光透過率Tv、340〜1800nmの日射透過率Tsを評価した。
(電磁波透過性)
KEC法測定(電磁波シールド効果試験)に準拠して、10〜2000MHzの範囲の反射損失値(dB)を、通常の板厚3mmのフロートガラス単板と比較して測定し、上記周波数の範囲での差の最大値をΔdBmaxとして評価した。
Figure 0004555855
本発明によれば、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、また中間膜の成形性及び取扱性を損なうこともなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮し、適度な膜物性により合わせガラスとしたときの板ずれ、発泡を防止することができる合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することができる。
合わせガラスの遮音性能を、周波数に対する透過損失量として示す図である。

Claims (8)

  1. ポリビニルアセタール樹脂、及び、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤を含む膜を積層してなる合わせガラス用中間膜であって、
    少なくとも1層は、ポリビニルアルコール樹脂(A)及びポリビニルアルコール樹脂(B)が混合されてなるポリビニルアルコール樹脂より得られるポリビニルアセタール樹脂(C)、並びに、可塑剤を含み、
    前記ポリビニルアルコール樹脂(A)と前記ポリビニルアルコール樹脂(B)との平均重合度差は500以上であり、前記ポリビニルアルコール樹脂(A)の平均重合度が500〜3000、前記ポリビニルアルコール樹脂(B)の平均重合度が3000〜5000であり、
    前記ポリビニルアセタール樹脂(C)は、平均重合度が1500以上であり、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であり、
    動的粘弾性より得られる損失正接の温度依存性において、最も低温側の極大値が示す温度が30℃以下である
    ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  2. ポリビニルアセタール樹脂、及び、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤を含む膜を積層してなる合わせガラス用中間膜であって、
    少なくとも1層は、ポリビニルアセタール樹脂(D)及びポリビニルアセタール樹脂(E)が混合されてなるポリビニルアセタール樹脂(F)、並びに、可塑剤を含み、
    前記ポリビニルアセタール樹脂(D)とポリビニルアセタール樹脂(E)との平均重合度差は500以上であり、前記ポリビニルアセタール樹脂(D)の平均重合度が500〜3000、前記ポリビニルアセタール樹脂(E)の平均重合度が3000〜5000であり、
    前記ポリビニルアセタール樹脂(F)は、平均重合度が1500以上であり、アセタール化度が60〜85mol%、アセチル基量が8〜30mol%、かつ、アセタール化度とアセチル基量との合計が75mol%以上であり、
    動的粘弾性より得られる損失正接の温度依存性において、最も低温側の極大値が示す温度が30℃以下である
    ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  3. 少なくとも1層は、可塑剤100重量部にポリビニルアセタール樹脂8重量部を溶解させた溶液の曇り点が50℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 少なくとも1層は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤量が、他層よりも5重量部以上多いことを特徴とする請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 少なくとも1層は、ポリビニルアセタール樹脂が熱線カット機能を有する金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 更に、ポリエステルフィルムが積層されてなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の合わせガラス用中間膜。
  7. ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 少なくとも一対のガラス間に請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする合わせガラス。
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