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JP2016165842A - 筆記具 - Google Patents

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JP2016165842A JP2015046824A JP2015046824A JP2016165842A JP 2016165842 A JP2016165842 A JP 2016165842A JP 2015046824 A JP2015046824 A JP 2015046824A JP 2015046824 A JP2015046824 A JP 2015046824A JP 2016165842 A JP2016165842 A JP 2016165842A
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中島 徹
Toru Nakajima
徹 中島
剛生 福本
Takeo Fukumoto
剛生 福本
祐介 中村
Yusuke Nakamura
祐介 中村
中島 淳
Atsushi Nakajima
淳 中島
幸根 井上
Yukine Inoue
幸根 井上
古川 和彦
Kazuhiko Furukawa
和彦 古川
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

【課題】段階的に描線が変化する筆記具を提供する。
【解決手段】平均粒子径が2〜20μmの範囲にある非熱変色性着色粒子と、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある熱変色性着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物が搭載され、かつ、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60以下である第一の描線消去部材22と、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60より大きい第二の描線消去部材30とを備えることを特徴とする筆記具A。
【選択図】図1

Description

本発明は、段階的に描線が変化する筆記具に関する。
従来より、筆記した描線を消しゴム状の消去具を用いて消去する技術としては、描線を構成する色材を物理的に除去するタイプと、熱変色性色材を用いるタイプとが知られている。
描線を構成する色材を物理的に除去するタイプとしては、例えば、平均粒子径2〜20μmであり、かつ、非熱可塑性である着色樹脂粒子をインキ組成物全量に対して5〜30重量%と、ガラス転移点が0℃未満である非着色粒子とを少なくとも含有することを特徴とする消しゴム消去性に優れる水性ボールペン用インキ組成物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
また、熱変色性色材を用いるタイプとしては、例えば、25℃〜65℃の範囲に高温側変色点を有し、平均粒子径が0.5〜5μmの範囲にある可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を水性媒体中に分散させた可逆熱変色性インキを用い、前記高温側変色点以下の任意の温度における第1の状態から、摩擦体による摩擦熱により第2の状態に変位し、前記第2の状態からの温度降 下により、第1の状態に互変的に変位する熱変色性筆跡を形成する特性を備えた摩擦熱変色性筆記具(例えば、特許文献2参照)が知られている。
これらの特許文献1及び2の各描線は、筆記/消去の二つの態様で行われるものある。
しかしながら、今までの筆記具による描線では、消去具による消去等で段階的に描線が変化するものは知られておらず、また、筆記具に備わる簡単な消去手段等により段階的に描線を変化させる構造の筆記具も知られていないものであった。
特開2003−155433号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2003−206432号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆記具に備えた特定物性の消去部材により段階的に描線を変化させることができる筆記具を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、特定物性の2種類の着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物を搭載し、かつ、特定の硬度となる第一の描線消去部材と、特定の硬度となる第二の描線消去部材とを備える筆記具とすることにより、上記目的の筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 平均粒子径が2〜20μmの範囲にある非熱変色性着色粒子と、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある熱変色性着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物が搭載され、かつ、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60以下である第一の描線消去部材と、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60より大きい第二の描線消去部材とを備えることを特徴とする筆記具。
(2) 前記第一の描線消去部材が、JIS K7204に規定されたテーバー摩耗試験によるテーバー摩耗量がCS−17で5mg以上であることを特徴とする上記(1)に記載の筆記具。
(3) 前記第一の描線消去部材が、ポリエステル系エラストマーから構成されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の筆記具。
本発明によれば、平均粒子径が2〜20μmの範囲にある非熱変色性着色粒子と、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある熱変色性着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物を搭載し、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が相違する第一の描線消去部材と第二の描線消去部材とを備えることで、筆記した描線を上記各々の描線消去部材を用いることにより段階的に描線を変化させることができる筆記具が提供される。
本発明の筆記具の実施形態の一例を示し、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。 図1の筆記具のキャップを示し、(a)は上面図、(b)は部分断面側面図、(c)は正面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の筆記具は、平均粒子径が2〜20μmの範囲にある非熱変色性着色粒子と、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある熱変色性着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物が搭載され、かつ、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60以下である第一の描線消去部材と、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60より大きい第二の描線消去部材とを備えることを特徴とするものである。
なお、本発明における「JIS K−6253」は、JIS K−6253−2012の規定をいう。
本発明の筆記具は、上記特性の水性インク組成物を搭載し、かつ、上記特性の第一の描線消去部材と第二の描線消去部材とを備えていれば、その他の筆記具の構造、例えば、軸筒やペン先構造、水性インク組成物の搭載方式、ペン先までのインク流通機構などは特に限定されるものでない。
図1は、本発明の筆記具の実施形態の一例を示し、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、図2は、図1の筆記具のキャップを示し、(a)は上面図、(b)は部分断面側面図、(c)は正面図である。
本実施形態の筆記具Aは、筆記具本体となる軸筒10の一方端側にキャップ20、他方端側に第二の描線消去部材となる尾栓30とが取り付けられている。
軸筒10の中には、ボールペンリフィル(図示せず)が搭載されていて、そのボールペンリフィルには後述する本発明の水性インク組成物が搭載されている。そして、軸筒10の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂であり、搭載したリフィルが可視でき、内部のインク搭載量が把握できるように、視認性を有するものであってもよい。
筆記具用キャップ20には、クリップ21が取り付けられている。さらにそのクリップ21には第一の描線消去部材となる天冠22が取り付けられている。
この筆記具用キャップ20は、熱可塑性樹脂により成形されており、クリップ21が弾性変形により圧入嵌合されている。
上記軸筒10の中には、ボールペンリフィルが内蔵され、そのリフィルには下記組成となる水性インク組成物が搭載されている。
本発明の水性インク組成物は、平均粒子径が2〜20μmの範囲にある非熱変色性着色粒子と、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある熱変色性着色粒子を少なくとも含むものである。
本発明に用いる非熱変色性着色粒子としては、平均粒子径2〜20μmであり、かつ、非熱可塑性である着色樹脂粒子を用いるものである。なお、本発明で規定する「平均粒子径」は、粒度分布測定装置〔マイクロトラックHRA9320−X100(日機装社製)〕にて、測定したD50の値である。
本発明に用いる非熱変色性着色粒子は、着色された樹脂粒子からなるものであり、非熱可塑性であり、かつ、平均粒子径が2〜20μmとなる着色樹脂微粒子から構成されている。本発明に用いる非熱変色性着色粒子としては、例えば、樹脂粒子中に顔料からなる着色剤が分散された着色樹脂粒子、樹脂粒子の表面が顔料からなる着色剤で被覆された着色樹脂粒子、樹脂粒子に染料からなる着色剤が染着された着色樹脂粒子などが挙げられる。
本発明では、着色樹脂粒子が非熱可塑性で上記平均粒子径を充足するものであれば、その構造〔中空構造あり、中空構造なし(密実)〕、形状(球状、多角形状、扁平状、繊維状)等は特に限定されるものでないが、好ましくは、優れた消去性、筆記性、インクとしての経時安定性を発揮せしめる点から、ガラス転移点が150℃以上で熱分解温度に近く、更にはメルトフローインデックス値が0.1未満であるような分子内架橋を持つ粒子で粘着性を有せず、かつ、平均粒子径が3〜15μmとなる球状の着色樹脂微粒子の使用が望ましい。着色樹脂粒子が熱可塑性で粘着性を有する場合は、粒子同士の凝集が起こりやすくなり、インクの安定性が損なわれたり、キャップを外した状態で放置した場合にカスレが生じやすくなるなど、好ましくない。また、着色樹脂粒子の平均粒子径が2μm未満であると、紙繊維の空隙に入り込みやすくなり消去性が低下してしまうこととなり、好ましくない。また、着色樹脂粒子の平均粒子径が20μmを越えるものであると、消去性は向上することとなるが、インクとしての濃度が薄くなること、着色樹脂粒子が沈殿しやすくなり、経時的安定性が損なわれること、筆記時の感触が悪くなることなどの不具合が生じることとなり、好ましくない。この非熱変色性着色粒子である着色樹脂粒子の平均粒子径を2〜20μmとし、かつ、非熱可塑性のものを用いることにより、初めて、紙の繊維の深部まで入り込むことなく、紙表面付近に留まり、消去具によって容易に除去することができることとなる。
着色樹脂粒子に用いる着色剤としては、染料として、例えば、アイゼンプリムラレッド4BH、アイゼンプリムラエローGCLH(以上、(株)アイゼン製)などの直接染料、アイゼンボンソーRH、アイゼンオパールピンクBH、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(以上、(株)アイゼン製)、オリエントソルプルブルーOBX、オリエントソルプルブルーOBB(以上、オリエント化学(株)製)などの酸性染料、タートラジン、アシッドレッド、フロキロン(以上、(株)アイゼン製)などの食料染料、蛍光染料などが挙げられる。また、顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ径顔料等の有機顔料、および硫化カルシウム等の無機蛍光顔料、その他の蛍光顔料等が挙げられる。
樹脂成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン等の重合体もしくはこれらの共重合体、ベンゾグアナミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等から選択される少なくとも1種が挙げられ、必要に応じて架橋などの処理を行ったものであってもよい。これらの樹脂への着色方法としては、従来公知の懸濁重合、分散重合などの手法が用いられる。好ましい着色樹脂粒子の樹脂分としては、価格や色剤との混和・染着性などの点からアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミンが望ましい。また、好ましい着色樹脂粒子としては、粘着性を有しないもの、熱可塑性でないものが望ましい。粘着性を有するものでは、キャップを外した状態で一定時間放置した後に筆記すると、カスレが生じやすくなり、良好な描線を得ることができないことがあり、更に、熱可塑性のものでは、経時的に不安定性になりやすく、且つ筆記した描線を一定期間室温以上の温度下で放置した場合に、消去性が低下することなどがあるためである。
本発明に用いることができる上記特性、すなわち、非熱可塑性で、粘着性を有しない非熱変色性着色粒子としては、例えば、市販のラブコロール220(M)ブラック(顔料含有架橋PMMA粒子、平均粒子径:8.5μm、構造:密実、形状:球状、大日精化社製)、エポカラーFP112ピンク(蛍光染料染色ベンゾグアナミン・ホルムアルヒド縮合物、平均粒子径:3〜5μm、構造:密実、形状:球状)、エポカラーFP113レッド(蛍光染料染色ベンゾグアナミン・ホルムアルヒド縮合物、平均粒子径:3〜5μm、構造:密実、形状:球状)、エポカラーFP114オレンジ(蛍光染料染色ベンゾグアナミン・ホルムアルヒド縮合物、平均粒子径:3〜5μm、構造:密実、形状:球状)、エポカラーFP117イエロー(蛍光染料染色ベンゾグアナミン・ホルムアルヒド縮合物、平均粒子径:3〜5μm、構造:密実、形状:球状、以上日本触媒社製)、バーノックCFB−620C−40(黒色、顔料含有架橋ウレタン粒子、平均粒径:10〜20μm、構造:密実、形状:球状、大日本インク化学社製)、アートパールC−800(黒色、顔料含有架橋ウレタン粒子、平均粒径:6μm、構造:密実、形状:球状、根上工業社製)などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本発明に用いる熱変色性着色粒子としては、摩擦熱等の熱により変色する熱変色性を有する着色粒子であれば、特に限定されず、例えば、熱変色性マイクロカプセル顔料などが挙げられる。
用いることができる熱変色性マイクロカプセル顔料としては、摩擦熱等の熱により変色するもの、例えば、有色から無色、有色から有色、無色から有色などとなる機能を有するものであれば、特に限定されず、種々のものを用いることができ、少なくともロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、マイクロカプセル化したものが挙げられる。
用いることができるロイコ色素としては、電子供与性染料で、発色剤としての機能するものであれば、特に限定されものではない。具体的には、発色特性に優れるインクを得る点から、トリフェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等従来公知のものが、単独(1種)で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という)用いることができる。
具体的には、6−(ジメチルアミノ)−3,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1(3H)−イソベンゾフラノン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N-−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メトキシ−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン、クロロ−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン、3−メトキシ−4−ドデコキシスチリノキノリン、などが挙げられ、これらは、少なくとも1種用いることができる。
これらのロイコ染料は、ラクトン骨格、ピリジン骨格、キナゾリン骨格、ビスキナゾリン骨格等を有するものであり、これらの骨格(環)が開環することで発色を発現するものである。
好ましくは、熱により有色から無色となるロイコ色素の使用が望ましい。
用いることができる顕色剤は、上記ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となるものであり、例えば、フェノール樹脂系化合物、サリチル酸系金属塩化物、サリチル酸樹脂系金属塩化合物、固体酸系化合物等が挙げられる。
用いることができる顕色剤としては、具体的には、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、ヘキサフルオロビスフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス( 4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナンなどの少なくとも1種が挙げられる。
用いる顕色剤の使用量は、所望される色彩濃度に応じて任意に選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、前記したロイコ色素1質量部に対して、0.1〜100質量部程度の範囲内で選択するのが好適である。
用いることができる変色温度調整剤は、前記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールする物質である。
用いることができる変色温度調整剤は、従来公知のものが使用可能である。具体的には、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類などが挙げられる。
例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート(C15)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジラウレート(C1123)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジミリステート(C1327)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタンジミリステート(C1327)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジパルミテート(C1530)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジベヘネート(C2143)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエチルヘキシリデンジミリステート(C1327)等の少なくとも1種が挙げられる。
この変色温度調整剤の使用量は、所望されるヒステリシス幅及び発色時の色彩濃度等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ色素1質量部に対して、1〜100質量部程度の範囲内で使用するのが好ましい。
用いることができる熱変色性着色粒子となる熱変色性マイクロカプセル顔料は、少なくとも上記ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、平均粒子径が0.2〜20μmとなるように、マイクロカプセル化することにより製造することができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、樹脂原料などを使用、例えば、アミノ樹脂溶液、具体的には、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより目的の熱変色性のマイクロカプセル顔料を製造することができる。
これらのロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の含有量は、用いるロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の種類、マイクロカプセル化法などにより変動するが、当該色素1に対して、質量比で顕色剤0.1〜100、変色温度調整剤1〜100である。また、カプセル膜剤は、カプセル内容物に対して、質量比で0.1〜1である。
本発明に用いる熱変色性マイクロカプセル顔料は、上記ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度(例えば、0℃以上で発色)、消色温度(例えば、50℃以上で消色)を好適な温度に設定することができ、好ましくは、摩擦熱等の熱により有色から無色となる熱変色性マイクロカプセル顔料の使用が望ましい。
本発明に用いる熱変色性着色粒子となる熱変色性マイクロカプセル顔料では、描線濃度、保存安定性、筆記性の更なる向上の点から、壁膜がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、あるいはアミノ樹脂で形成されることが好ましい。ウレタン樹脂としては、例えば、イソシアネートとポリオールとの化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂とアミンの化合物が挙げられる。アミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などで形成されること、更に好ましくは、製造性、保存安定性、筆記性の点から、メラミン樹脂で形成されることが望ましい。
マイクロカプセル色材の壁膜の厚さは、必要とする壁膜の強度や描線濃度に応じて適宜決められる。
なお、壁膜がアミノ樹脂で形成するためには、各マイクロカプセル化法を用いる際に、好適なアミノ樹脂原料(メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、並びに、分散剤、保護コロイドなどを選択する。
用いる熱変色性着色粒子となるマイクロカプセル顔料の平均粒子径は、着色性、発色性、易消色性、安定性、インク中での流動性の点、並びに、筆記性への悪影響を抑制などの点から、0.3〜20μm、好ましくは、0.3〜10μm、更に好ましくは、0.3〜5μmであるものが望ましい。
この平均粒子径が0.3μm未満であると、十分な描線濃度が得られず、一方、20μmを越えると、筆記性の劣化や熱変色性マイクロカプセル顔料の分散安定性の低下が発生し、好ましくない。
なお、上記平均粒子径の範囲(0.3〜20μm)となるマ熱変色性着色粒子となるイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル化法により変動するが、水溶液からの相分離法などでは、マイクロカプセル顔料を製造する際の攪拌条件を好適に組み合わせることにより調製することができる。
これらの特性を有する着色樹脂粒子などの非熱変色性着色粒子及び熱変色性マイクロカプセル顔料などの熱変色性着色粒子の合計含有量は、インク組成物全量に対して、5〜30質量%、好ましくは、8〜20質量%とすることが望ましい。この非熱変色性着色粒子(A)及び熱変色性着色粒子(B)との配合比率(質量比)は、用いる各着色粒子種、用いる各着色粒子の組み合わせ、ペン先を含む筆記具構造などに応じて変動するものであるが、(A):(B)=1:2〜2:1の範囲が望ましい。
この着色樹脂粒子の含有量が5質量%未満であると、好ましい段階的に消去できる描線が得られなくなり、一方、30質量%を越えると、筆記感が重くなったり、各描線にカスレが生じやすくなり、好ましくない。
本発明に用いる水性インク組成物は、上記特性の非熱変色性着色粒子及び熱変色性着色粒子の他、非着色粒子を含有することが好ましく、また、水(蒸留水、精製水、イオン交換水、純水等)を主溶剤として用いるが、更に、溶剤として、保水性の付与、筆記感の向上の点から、水に相溶性のある極性基を有する水溶性極性溶剤を使用することができる。
本発明に用いる非着色粒子は、消去性と耐擦過性との両方の特性を更に付与させるために含有するものであり、ガラス転移点が0℃未満となる非着色粒子を用いることが好ましい。本発明では、ガラス転移点が0℃未満、好ましくは−10℃未満である非着色粒子を用いることで、描線上で、上述の非熱変色性着色粒子との連続被膜が形成されることとなり、消去性が更に良好になるものである。また、ガラス転移点が0℃未満の非着色粒子は、弱い粘着性を有しているために、耐擦過性が付与されることとなる。なお、0℃以上の非着色粒子を用いたものでは、低温条件下では粒子の連続造膜性が十分に発揮されないため、消去性が劣ることとなる。
本発明に用いる非着色粒子としては、例えば、非着色のスチレンブタジエン粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、アクリル酸エステル粒子、メタクリル酸エステル粒子、シリコンアクリル粒子、ビニルピリジン粒子などが挙げられ、これらの非着色粒子は変性されたものであってもよい。好ましくは、連続被膜の強度、適度な粘着性、インクとしての安定性の点から、スチレンブタジエン粒子(変性有り又は無し)、スチレンアクリル樹脂粒子(変性有り又は無し)、アクリル酸エステル粒子(変性有り又は無し)、メタクリル酸エステル粒子(変性有り又は無し)の使用が望ましい。これらの非着色粒子の平均粒子径は、好ましくは、0.01〜10μm、更に好ましくは、0.1〜2μmとなるものが望ましい。非着色粒子の粒子径が0.01μm未満のものであると、紙繊維の空隙の奥に入り込みやすくなるため、消去効果が発揮しにくくなる。また、非着色粒子の粒子径が10μmを越えると、耐擦過性が劣ることとなる。これは粒子と紙面の接触面積が減少すること及びその大きさ故に、擦過に対して引っかかりやすくなるためと考えられる。
本発明に用いることができる上記特性を有する非着色粒子としては、例えば、市販のNipol LX435(変性スチレンブタジエンラテックス粒子、平均粒子径:0.12μm、ガラス転移点:−14℃、構造:密実、形状:球状)、Nipol 2518GL(ビニルピリジン粒子、平均粒子径:0.2μm、ガラス転移点:−44℃、構造:密実、形状:球状)、Nipol LX603(ビニルピリジン粒子、平均粒子径:0.2μm、ガラス転移点:−44℃、構造:密実、形状:球状、日本ゼオン社製)、Nipol LX110(スチレンブタジエンラバー、平均粒子径:0.08μm、ガラス転移点:−47℃、構造:密実、形状:球状、以上日本ゼオン社製)、Joncryl 7100(スチレンアクリル粒子、平均粒子径0.1μm、ガラス転移点−10℃、構造:密実、形状:球状、ジョンソンポリマー社製)、AE−200(カルボキシ変性アクリル粒子、平均粒子径0.25μm、ガラス転移点−45℃、構造:密実、形状:球状、JSR社製)、AE−517(カルボキシ変性アクリル粒子、平均粒子径0.15μm、ガラス転移点−48℃、構造:密実、形状:球状)、AE−337(カルボキシ変性アクリル粒子、平均粒子径0.25μm、ガラス転移点−37℃、構造:密実、形状:球状)、AE−8116(シリコン/アクリルコロイダルディスパージョン、平均粒子径0.06μm、ガラス転移点−10℃、構造:密実、形状:球状、以上JSR社製)、ウルトラゾールD−32(スチレンアクリル粒子、平均粒子径0.24μm、ガラス転移点−34℃、構造:密実、形状:球状)、ウルトラゾールSW−600(アクリル粒子、平均粒子径0.25μm、ガラス転移点−40℃、構造:密実、形状:球状、以上ガンツ化成社製)などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの特性を有する非着色粒子の含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜10質量%、更に好ましくは、0.5〜5質量%とすることが望ましい。この非着色粒子の含有量が0.1質量%未満であると、消去性と耐擦過性を更に高度に発揮せしめることができず、一方、10質量%を越えると、粘着性が強くなり、耐擦過性は良好となるが、非熱変色性着色粒子の消去性は著しく低下することとなり、好ましくない。
用いることができる水溶性極性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ピロリドン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して用いることができる。
このように構成される本発明の水性インク組成物が本実施形態の筆記具Aの軸筒10内のボールペンリフィルに搭載されることとなる。
本実施形態の筆記具Aにおいて、天冠22がJIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60以下である第一の描線消去部材となるものであり、また、尾栓30がJIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60より大きい第二の描線消去部材となるものである。
第一の描線消去部材となる天冠22のデュロメータA硬度が60超過であると、熱変色性の描線が摩擦熱によって変色してしまうため、60以下に設定されている。また、第二の描線消去部材となる尾栓30のデュロメータA硬度が60以下では、十分な摩擦熱を発生させることができず、熱変色性させにくいため、60超過に設定されている。
第一の描線消去部材となる天冠22を形成するための材料としては、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60以下となるものであれば、特に限定されず、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等の熱硬化性ゴムやスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーといったゴム弾性材料、2種以上のゴム弾性材料の混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物から選ばれる。特に、ポリエステル系エラストマーとすることが第一の描線消去具として好適である。なお、天冠22の形状などは特に限定されず、円柱状、四角柱状など描線を消去できる形状であればよい。
第一の描線消去部材となる天冠22は、更に、紙面を傷めないように、適度に摩耗するように形成されることが好ましい。具体的には、JIS K 7204−1999に規定された摩耗試験(ASTM D1044)の荷重9.8N、1000rpm環境下において、テーバー摩耗試験機の摩耗輪CS−17でのテーバー摩耗量が5mg以上であることが好ましく、20mg以下であることがより好ましい。テーバー摩耗量が5mg未満の消去部材であると、擦過時に非熱変色性着色粒子による筆跡が消去できないことに加え、紙面等を傷めてしまう場合があり、20mgより大きいと、消去部材の消費量が多くなるからである。
第二の描線消去部材となる尾栓30を形成するための材料としては、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60より大きい(超過となる)ものであれば、特に限定されず、例えば、ゴム弾性を有する材料や、軟質プラスチック、半硬質プラスチックなどから選ばれ、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性材料、熱可塑性材料、無機物・有機物の焼結体などの少なくとも1種(各単独、又は2種以上の混合物)を使用することにより構成することが望ましい。熱可塑性材料としては、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、ポリエステル系、フッ素系などの熱可塑性エラストマーを用いることができ、また、熱硬化性材料としては、例えば、シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、尿素系、フェノール系などの各種合成ゴムや天然ゴムを用いることができる。さらにポリプロピレン樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーの混合物、またはポリプロピレン樹脂及びポリプロピレン系熱可塑性 エラストマーの混合物からなり、その配合比率がそれぞれ質量比で1:1〜1:4、更に好ましくは、オレフィン系樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物からなり、その配合比率が質量比で1:2.5〜1:3.5となるものが、筆跡の消去に際し、摩擦熱の発生が容易であり、自己摩耗が少ないものとなるので、特に望ましい。なお、尾栓30の形状などは特に限定されず、円柱状、四角柱状など描線を消去できる形状であればよい。
このように構成される本実施形態の筆記具Aにおいて、第一の描線消去部材となる天冠22、第二の描線消去部材となる尾栓30により、段階的に筆記描線が変化する機構などについて説明する。
例えば、赤色→摩擦熱などより無色に変化する熱変色性着色粒子と、物理的に除去することで描線が消去される黒色の非熱変色性着色粒子を含む水性インク組成物を軸筒10内に搭載したリフィルに収容して、リフィルの先端部の筆記部により紙面に筆記する場合、筆記描線は黒色となる。そして、上記描線を第一の描線消去部材の硬度が低めとなるデュロメータA硬度が60以下の天冠22で消去すると、非熱変色性着色粒子が紙面から除去されて赤色の描線が出現する。なお、この際は第一の描線消去部材となる天冠22の硬度は低めであるので、十分な摩擦熱が発生しないので熱変色性着色粒子の色材は消色しない。
次に、硬度高めとなるデュロメータA硬度が60超過となる第二消去部材となる尾栓30を用いることで摩擦熱を発生させて熱消去(消色)することとなる。
したがって、本実施形態の筆記具Aにおいて、上記特性の非熱変色性着色粒子と熱変色性着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物を搭載し、上記デュロメータA硬度が相違する第一の描線消去部材となる天冠22、第二の描線消去部材となる尾栓30を備えることで、筆記した描線を上記各々の描線消去部材22、30を用いることにより段階的に描線を変化させることができる筆記具が得られることとなる。
なお、第一の描線消去部材となる天冠22に、デュロメータA硬度が高い消去部材を使用すると、熱消去も同時に起こるので、デュロメータA硬度が60以下、好ましくは、
50以下、更に好ましくは、摩耗度の高い素材、特に、ポリエステル系エラストマーから構成されるものが望ましい。
また、用いる熱変色性着色粒子の色種と、非熱変色性着色粒子の色種とを組み合わせることにより、例えば、黒色と黄色、黒色と青色、黒色と緑色、紫色と赤色、紫色と青色、
緑色と黄色などにより、バラエティーに富んだ段階的に描線を変化させることができる筆記具が得られる。
このように構成される本発明の筆記具は、上記特性の水性インク組成物を搭載し、かつ、上記特性の第一の描線消去部材と第二の描線消去部材とを備えていれば、特に限定されるものでない。
例えば、上記実施形態において、天冠22を第一の描線消去部材又は尾栓30を第二の描線消去部材とすることなく、天冠22又は尾栓30の縦断面の半分(天冠22では22a)をデュロメータA硬度が60以下となる第一の描線消去部材とし、残りの半分(天冠22では22b)をデュロメータA硬度が60超過となる第二の描線消去部材としてもよく、また、当該構造の天冠22又は尾栓30の2種の描線消去部材を二色成形で成形してもよい。この形態の筆記具では、上記デュロメータA硬度が相違する第一の描線消去部材と第二の描線消去部材とが天冠22又は尾栓30に備えているので、筆記した描線を上記天冠22又は尾栓30の一方又は他方の描線消去部材をそれぞれ用いることにより上記実施形態と同様に段階的に描線を変化させることができる筆記具が得られることとなる。
また、上記実施形態では、天冠22を第一の描線消去部材とし、尾栓30を第二の描線消去部材としたが、天冠22を第二の描線消去部材とし、尾栓30を第一の描線消去部材としてもよい。
更に、上記特性の第二の描線消去部材は、筆跡の消去に際し、摩擦熱の発生が容易となるものであるが、該第二の描線消去部材として更に描線を物理的に除去できる第一の描線消去部材を兼ねる材料で構成すれば、例えば、誤記の訂正などを行う場合は、第二の描線消去部材を用いることで、一動作により描線を消去することが可能となる。
更にまた、上記実施形態では、軸筒10にボールペンリフィルを内蔵する形式としたが、直接貯留する形式であってもよく、筆記具はボールペンの他、ペン先構造を繊維芯又はプラスチック芯としてマーキングペン、サインペン、フェルトペンとしてもよく、また、インク供給形式をバルブ機構を介在して上記繊維芯等からなるペン芯へ中継芯を介して本発明の水性インク組成物を供給する形式や、上記組成の水性インク組成物を中綿等の吸蔵体に吸蔵させてボールペン、繊維芯やプラスチック芯へ水性インク組成物を供給する形式であってもよいものである。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:図1及び図2に準拠する筆記具〕
下記組成の水性インク組成物、並びに、下記構成の筆記具を用いた。
(水性インク組成物の組成:全量100質量%)
非熱変色性着色粒子:ラブコロール220(M)ブラック(顔料含有架橋PMMA粒子、平均粒子径:8.5μm、構造:密実、形状:球状、大日精化社製) 8質量%
熱変色性着色粒子:下記製造法で得た熱変色性着色粒子 7質量%
非着色粒子:Joncryl 7100(スチレンアクリル粒子、平均粒子0.1μm、ガラス転移点−10℃、構造:密実、形状:球状、BASF社製) 3質量%
水溶性液体媒体:ポリオキシエチレン13mol付加ジグリセリルエーテル 6質量%
粘度調整剤:キサンタンガム 0.36質量%
pH調整剤:トリエタノールアミン 2質量%
防錆剤:ベンゾトリアゾール 0.5質量%
潤滑剤:RS−610(リン酸エステル、東邦化学工業社製) 0.3質量%
水(精製水): 残 部
(熱変色性着色粒子の製造)
ロイコ色素として、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン1部、顕色剤として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン2部、及び変色性温度調整剤として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート24部を100℃に加熱溶融して、均質な組成物27部を得た。
上記で得た組成物27部の均一な熱溶液にカプセル膜剤として、イソシアネート10部及びポリオール10部を加えて攪拌混合した。次いで、保護コロイドとして12%ポリビニルアルコール水溶液60部を用いて、25℃で乳化して分散液を調製した。次いで、5%の多価アミン5部を用いて、80℃で60分間処理してマイクロカプセルを得た。
以上の手順により得たマイクロカプセル化した水分散体をスプレードライすることでパウダー状にして青色(0℃以上で発色)→無色(消色温度50℃以上で消色)となる平均粒子径2μmの熱変色性着色粒子を製造した。
(筆記具の構成:図1〜図2準拠)
天冠22:JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が50となるポリエステル系エラストマーから構成。また、JIS K 7204−1999に規定された摩耗試験(ASTM D1044)の荷重9.8N、1000rpm環境下において、テーバー摩耗試験機の摩耗輪CS−17でのテーバー摩耗量は9mgであった。
尾栓30:JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が90となるポリプロピレン樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーの混合物から構成
ボールペンリフィル:内径3.8mm、長さ90mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるインクリフィルに上記水性インク組成物を搭載した。
上記構成の図1及び図2に準拠する筆記具Aを用いて紙面に筆記したところ、筆記描線は黒色となった。上記描線を上記特性の天冠22で消去すると、非熱変色性着色粒子が紙面から除去されて青色の描線が出現した。なお、この際は天冠22の硬度は低めであるので、十分な摩擦熱が発生しないので熱変色性着色粒子の色材は消色しなかった。次いで、第二消去部材となる尾栓30を用いて描線に摩擦熱を生じるように擦過したところ、熱消去(消色)したことを確認した。したがって、第一の描線消去部材となる天冠22、第二の描線消去部材となる尾栓30を備えることで、筆記した描線を上記各々の描線消去部材22、30を用いることにより段階的に描線を変化させることができる筆記具が得られることを確認した。
また、上記特性の第二の描線消去部材となる尾栓30は、描線を物理的に除去できる第一の描線消去部材を兼ねる構成となっているので、誤記の訂正などを行う場合は、第二の描線消去部材となる尾栓30を用いることで、一動作により描線を消去できることを確認した。
水性のボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具が得られる。
A 筆記具
10 軸筒
20 キャップ
22 天冠(第一の描線消去部材)
30 尾栓(第二の描線消去部材)

Claims (3)

  1. 平均粒子径が2〜20μmの範囲にある非熱変色性着色粒子と、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある熱変色性着色粒子を少なくとも含む水性インク組成物が搭載され、かつ、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60以下である第一の描線消去部材と、JIS K−6253に規定されたデュロメータA硬度が60より大きい第二の描線消去部材とを備えることを特徴とする筆記具。
  2. 前記第一の描線消去部材が、JIS K7204に規定されたテーバー摩耗試験によるテーバー摩耗量がCS−17で5mg以上であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
  3. 前記第一の描線消去部材が、ポリエステル系エラストマーから構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の筆記具。
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