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JP2016157795A - 発光モジュール - Google Patents

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JP2016157795A JP2015034148A JP2015034148A JP2016157795A JP 2016157795 A JP2016157795 A JP 2016157795A JP 2015034148 A JP2015034148 A JP 2015034148A JP 2015034148 A JP2015034148 A JP 2015034148A JP 2016157795 A JP2016157795 A JP 2016157795A
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Abstract

【課題】発光面の明るさの濃淡が少ない発光モジュールを提供する。
【解決手段】発光モジュール10は、基板12と、基板上に配列された複数の発光素子14と、複数の発光素子を覆うように配置されている透明なカバー部材16と、を備える。カバー部材16は、発光素子から出射した素子光を散乱させる透明な単結晶粒子18と、素子光により励起され可視光を発する蛍光体20と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の発光素子を備えた発光モジュールに関する。
従来、支持基板上に載置された紫外線又は短波長可視光を発する発光素子と、発光素子が発する紫外線又は短波長可視光により励起され可視光を発光する少なくとも1種以上の蛍光体を含有した蛍光体含有樹脂と、を備えた発光モジュールが知られている。また、このような発光モジュールにおいて、支持基板上に発光素子を二次元的な所定形状に複数個載置して、該複数発光素子が蛍光体含有樹脂によりライン連結されて形成されたものが考案されている(特許文献1参照)。
特開2013−33938号公報
しかしながら、上述の発光モジュールにおいて、指向性の強い光を出射する半導体発光素子を用いると、素子間に暗部が生じる場合がある。そのため、発光モジュールにおける半導体発光素子や蛍光体含有樹脂の構成や配置をより最適化する必要がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光面の明るさの濃淡が少ない発光モジュールを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の発光モジュールは、基板と、基板上に配列された複数の発光素子と、複数の発光素子を覆うように配置されている透明なカバー部材と、を備える。カバー部材は、発光素子から出射した素子光を散乱させる透明な単結晶粒子と、素子光により励起され可視光を発する蛍光体と、を有する。
この態様によると、発光素子から出射した素子光を散乱できるため、発光素子の上部以外の領域、例えば、発光素子間の領域にある蛍光体にも素子光がより多く到達する。
単結晶粒子は、発光素子の発光面の上方に偏在していてもよい。これにより、より効率よく素子光を散乱できる。
カバー部材は、主として単結晶粒子を含む光拡散層と、主として蛍光体を含む蛍光体層と、を有してもよい。光拡散層は、発光素子の発光面の上方に配置されていてもよい。これにより、素子光の多くが散乱されてから蛍光体層に到達する。
蛍光体層は、光拡散層および発光素子を覆うように形成されていてもよい。これにより、光拡散層で拡散された素子光の多くが蛍光体層に到達する。また、蛍光体層の蛍光体で励起された可視光は比較的等方に放射される。そのため、モジュールの発光面における明るさの濃淡をより少なくできる。
単結晶粒子は、粒径が10〜200μmの範囲であってもよい。これにより、透過率を確保しつつ、発光面での明るさの濃淡が少ない発光モジュールを実現できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、発光面の明るさの濃淡が少ない発光モジュールを提供することができる。
第1の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。 第2の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。 第1の蛍光体の励起スペクトルの一例を示した図である。 第3の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。 図4のA領域の拡大図である。 第4の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。 図7(a)は、第5の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図、図7(b)は、第5の実施の形態に係る発光モジュールを上方から見た模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。図1に示す発光モジュール10は、基板12と、基板12上に配列された複数の発光素子14と、複数の発光素子14を覆うように配置されている透明なカバー部材16と、を備える。
カバー部材16は、発光素子14から出射した素子光を散乱させる透明な単結晶粒子18と、素子光により励起され可視光を発する蛍光体20と、単結晶粒子18および蛍光体20が分散されているマトリックス相22と、を有する。ここで、カバー部材16や単結晶粒子18が透明であるとは、各々が少なくとも発光モジュールとして機能する程度の光を透過させる透過率を有していることが好ましく、無色か有色かは問わない。
また、発光モジュール10は、各発光素子に対応して設けられている複数の電極対(陽極および陰極:不図示)が基板12上に形成されている。電極は、金や銅等の金属材料によって形成された導電層である。各電極と対応する発光素子14とは、ワイヤー24により導通されている。ワイヤー24は、金、銀、銅等の導電部材である。
[基板]
基板12は、導電性を有しないが熱伝導性は高い材料によって形成されることが好ましく、例えば、セラミックス基板(窒化アルミニウム基板、アルミナ基板、ムライト基板、ガラスセラミックス基板)やガラスエポキシ基板、アルムニウムや銅等の金属基板、等を用いることができる。
[発光素子]
発光素子14は、例えば、青色光、短波長可視光、又は紫外線を発光するLEDやLD、EL素子等の半導体発光素子を用いることができる。具体例として、InGaN系の化合物半導体発光素子を挙げることができる。InGaN系の化合物半導体発光素子は、Inの含有量によって発光波長域が変化する。Inの含有量が多いと発光波長が長波長となり、少ない場合は短波長となる傾向を示す。
例えば、発光波長のピークが360nm〜495nmの範囲にある発光素子が用いられる。より詳細には、発光波長のピークが360nm〜370nmの範囲にある発光素子、発光波長のピークが370nm〜400nmの範囲にある発光素子、発光波長のピークが400nm〜420nmの範囲にある発光素子、発光波長のピークが420nm〜450nmの範囲にある発光素子、発光波長のピークが450nm〜495nmの範囲にある発光素子等が挙げられる。
[単結晶粒子]
発光モジュール10のように基板上に複数の発光素子がライン状あるいはマトリックス状に配列されている場合、特段の工夫がなければ発光素子14の発光面14a直上の領域R1での輝度は、発光素子14間の上方の領域R2での輝度より高くなり、輝度ムラが発生しやすい。これは、LEDチップのような発光素子では、発光の指向性が高く、発光素子14の直上にある蛍光体20には強く光照射されるが、発光素子間にある蛍光体には発光素子の発光が十分届かず、蛍光体20による励起光も相対的に弱くなるためである。ここで、マトリックス状とは、各発光素子が格子状(縦横が直線的)に並んでいる場合だけでなく、ジグザグ(非直線的)に並んでいる場合も含まれる。また、マトリックス状とは、全部の発光素子が規則正しく配列されている場合だけでなく、少なくとも一部の発光素子が規則性を有して配列されている場合であってもよい。
そこで、本実施の形態に係るカバー部材16は、蛍光体20に加えて単結晶粒子18を含有している。単結晶粒子18および蛍光体20は、マトリックス相22に分散されている。単結晶粒子18は、発光素子14の発光面14aの直上に向かう素子光を少しでも横方向(基板12と平行な方向)に散乱するための散乱材として機能する。
したがって、発光モジュール10は、発光素子14から出射した素子光を散乱できるため、発光素子14の上部以外の領域、例えば、発光素子14間の領域R2にある蛍光体20にも素子光がより多く到達する。
単結晶粒子18は、透過率が高く、屈折率が高い物質が好ましい。このような要件を満足するものとして、例えば、バンドギャップの大きな金属酸化物単結晶が好適である。具体的には、サファイア(屈折率n=1.78)、クロロアパタイト(n=1.65)、水酸化アパタイト(n=1.64)、スピネル(n=1.72)、マイカ(n=1.58)、酸化亜鉛(n=1.95)、酸化イットリウム(n=1.82)、酸化マグネシウム(n=1.74)、酸化ストロンチウム(n=1.87)、酸化ランタン(n=1.88)、エメラルド(n=1.58)等が挙げられる。
また、金属酸化物以外では、ワイドバンドギャップを有するダイヤモンド(n=2.42)、炭化珪素(n=2.17)等が挙げられる。また、単結晶粒子18に希土類元素等の発光中心をドープし、蛍光体機能を持たせてもよい。
単結晶粒子18は、粒径が10〜200μmの範囲が好ましい。粒径が10μmより大きければ、粒子表面の界面反射が少なくなり、十分な透過率を維持できる。一方、粒径が200μmより小さければ、実装できる粒子数が増加し、通過する結晶表面(ファセット)数が多くなる。そのため、発光モジュール10においてはカバー部材16内で十分な散乱が実現でき、輝度ムラを解消できる。
一方、多結晶材料や屈折率の低いアモルファス材料を散乱材として用いた場合、十分な散乱効果を得るためには多くの材料をマトリックス相に含有させる必要があるため、カバー部材が白濁し、光透過率が低下しがちであった。
一方、マトリックス相22中の単結晶粒子18の含有濃度は、単結晶粒子18の粒径、カバー部材16や発光モジュール10の構成によって異なるが、2〜10[vol%]が望ましい。この範囲であれば、透過率を余り低下させずに所望の散乱効果が得られる。
[蛍光体]
蛍光体20は、例えば、発光素子14の素子光により励起される黄色蛍光体である。黄色蛍光体としては、例えばYAG蛍光体が挙げられる。そして、蛍光体20が発する黄色光と、発光素子14が発する青色光との組合せにより白色光を実現できる。
[マトリックス相]
本実施の形態に係る発光モジュール10においては、上述の単結晶粒子18や蛍光体20を透明な樹脂のマトリックス相22に分散させたカバー部材16として基板12上に実装されている。マトリックス相22に用いられる樹脂としては、発光素子の発光波長に対して大きな吸収を示さないものであればよい。好ましくは、ジメチルシリコーン樹脂(屈折率n=1.40〜1.45)、フェニルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ゾル−ゲルガラス、アクリル樹脂等が挙げられる。特に、ジメチルシリコーン樹脂は、耐光性の観点でフェニルシリコーン樹脂やエポキシ樹脂より好ましく、発光素子からの光取り出しを向上するという観点からは発光素子材料よりも屈折率が大幅に低いフッ素樹脂よりも好ましく、ある程度の厚み(成形性)を確保するという観点ではゾル−ゲルガラスよりも好ましく、耐熱性という観点ではアクリル樹脂よりも好ましい。
また、カバー部材16の厚さは、単結晶粒子18や蛍光体20の粒径、発光モジュール10の構造等によって異なるが、1〜10mmが好ましい。カバー部材16の厚みが1mm以上であれば、カバー部材16に十分な量の単結晶粒子18を含有させることができるため、輝度ムラを低減できる。一方、カバー部材16の厚みが10mm以下であれば、発光モジュール10自体が小型化、薄型化されるため、生産コストや材料コストが低減され、また、製品としての取扱いが容易となる。
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。第2の実施の形態に係る発光モジュール30は、第1の実施の形態に係る発光モジュール10と比較して、紫外光または短波長可視光を発する発光素子32および複数種の蛍光体を有する点が大きく異なる。
発光素子32は、例えば、発光波長のピークが405nmである1mm□のLEDチップである。また、第1の蛍光体33は、下記組成式で表された黄色蛍光体である。
組成式(Ca,Sr,M)(SiO:Eu2+
(MはBa,Mg,Mn,Sn,Pb,Hg,アルカリ金属、希土類金属から選択された1種以上の元素、Xはハロゲン元素から選択された1種以上の元素)
第1の蛍光体33は、発光スペクトルのピーク波長(ドミナント波長)が570〜580nmの範囲にある黄色光を発する。図3は、第1の蛍光体33の励起スペクトルの一例を示した図である。図3に示すように、第1の蛍光体33は、励起スペクトルのピーク波長が390〜410nmの範囲にあり、近紫外光及び短波長可視光でより励起されるものである。また、第1の蛍光体33は、第2の蛍光体34の発光のドミナント波長での吸収は非常に少なくなっており、第2の蛍光体34が発した青色光が第1の蛍光体33で再吸収する割合が低減されている。
第2の蛍光体34は、その構成が特に限定されるものではないが、発光のドミナント波長が455〜470nmの範囲にある青色蛍光体が好ましい。この青色と加色混合して白色を構成するためには、前述の第1の蛍光体33が適当である。第2の蛍光体としては、以下の組成式で示される化合物が挙げられる。
(i)BaMgAl1017:Eu2+
(ii)Ca(POX:Eu2+(Xはハロゲン元素)
(iii)Sr(POX:Eu2+(Xはハロゲン元素)
(iv)(Ca,M)(POX:Eu2+(Mは1種以上の2価のアルカリ土類金属、Xはハロゲン元素)
(v)BaMgSi:Eu2+
(vi)SrMgSi:Eu2+
(vii)SrAl1424:Eu2+
(viii)(Ba,Sr,Ca)(B)X:Eu2+(Xはハロゲン元素)
(ix)SiO−CaX:Eu2+(Xはハロゲン元素)
第2の実施の形態に係る発光モジュール30は、紫外線又は短波長可視光を発する発光素子32と、紫外線又は短波長可視光により励起され黄色光を発光する第1の蛍光体33と、紫外線又は短波長可視光により励起され、青色光を発光する第2の蛍光体34と、を備える。第1の蛍光体33および第2の蛍光体34で励起された光は、いずれも等方に放射される。また、発光素子32が発する光は波長の短い光を多く含み、発光モジュール30が発する白色光に対する寄与が少ないため、発光素子32の発光面32a直上の領域の輝度が高くなりにくい。したがって、単結晶粒子18に加えて第1の蛍光体33および第2の蛍光体34をマトリックス相22に分散させることで、発光面30aの明るさの濃淡がより少ない発光モジュール30を実現できる。
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。第3の実施の形態に係る発光モジュール40は、単結晶粒子が発光素子の発光面の上方に偏在している点が大きな特徴である。発光モジュール40においては、発光素子32の発光面32a上に、単結晶粒子18が分散された光拡散層42が設けられている。その他は、第2の実施の形態に係る発光モジュール30とほぼ同じ構成である。
以下、具体的な構成につい詳述する。基板12は、アルミナセラミックス基板(25×20×1mm)である。基板12上には、ピッチPが8mmとなるように複数の発光素子32が実装されている。発光素子32は、405nmにピーク波長をもつ1mm□のLEDチップである。そして、発光素子32の発光面32a上に光拡散層42を設け、その上から、蛍光体層44として機能する透明シリコーン系樹脂でモールドした。蛍光体層44は、前述の第1の蛍光体33および第2の蛍光体34が分散されたものである。蛍光体層44は、半径4mm、長さ16mmのシリンドリカル(半円筒)形状である。
[第1の蛍光体]
第3の実施の形態に係る第1の蛍光体33は、(Ca0.47,Sr0.48,Eu0.05(SiOClで表される黄色蛍光体である。第1の蛍光体33の製造は、まず、SiO、Ca(OH)、SrCl・6HO、及びEuの各原料をこれらのモル比がSiO:Ca(OH):SrCl・6HO:Eu=1.1:0.45:1.0:0.13となるように秤量し、秤量した各原料をアルミナ乳鉢に入れ約30分粉砕混合し、原料混合物を得た。この原料混合物をアルミナ坩堝に入れ、還元雰囲気の電気炉で所定の雰囲気(H:N=5:95)、1000℃で5〜40時間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を温純水で丹念に洗浄し、第1の蛍光体33を得た。
[第2の蛍光体]
第3の実施の形態に係る第2の蛍光体34は、Ca4.92(POCl:Eu0.08で表される青色蛍光体である。第2の蛍光体の製造は、まず、CaCO、CaCl、CaHPO、及びEuの各原料を、これらのモル比がCaCO:CaCl:CaHPO:Eu=0.47:3.0:1.25:0.04となるよう秤量し、秤量した各原料をアルミナ乳鉢に入れ約30分粉砕混合し、原料混合物を得た。この原料混合物をアルミナ坩堝に入れ、2〜5%のHを含むN雰囲気中で、温度800℃以上1200℃未満で3時間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を温純水で丹念に洗浄し、第2の蛍光体34を得た。
[蛍光体層の調整]
第1の蛍光体33と第2の蛍光体34を重量費2:1で混合し、白色色度に入るように調整した。また、蛍光体層44を構成するマトリックス相22として、ジメチルシリコーン樹脂を用いた。そして、前述の2種類の蛍光体濃度が1vol%になるようにジメチルシリコーン樹脂を計量した。そして、計量したジメチルシリコーン樹脂及び蛍光体を10ccの軟膏容器に略3〜5g充填し、自公転ミキサー(クラボウ製マゼルスター)を用いて公転1200、自転400回転で90秒間混合/脱泡し、蛍光体含有ペーストを作製した。
[発光素子の封止]
図5は、図4のA領域の拡大図である。図5に示すように、光拡散層42は、粒径Φ(10〜200[μm])の単結晶粒子18が透明シリコーン樹脂46に分散された膜厚t(20〜500[μm])のシート状の部材である。また、光拡散層42は、発光素子32の発光面32aとほぼ同じ大きさに形成されており、発光素子32の発光面32a上にシリコーン樹脂で固定される。
次に、半径4mm、長さ16mmのシリンドリカル状の型に、気泡が入らないように前述の蛍光体ペーストを充填する。そして、光拡散層42が設けられている発光素子32が予め2個(8ミリ間隔)実装された基板12を、型に充填された蛍光体ペースト表面に載置し、位置ずれが発生しないようにして硬化させた(150℃、1.5時間)。
表1は、実施例1〜6、比較例1〜3における単結晶粒子18の材質、粒径、蛍光体層の膜厚を列挙したものである。また、各実施例、各比較例における材料を光拡散層に適用した発光モジュールを試作し、光束比と輝度均斉度を測定することで評価した。測定は、駆動電流を100mAとしておこなった。また、散乱材を含有していない比較例1に係る発光モジュールの光束を1.0とし、他の実施例、比較例における光束比を調べた。輝度均斉度は、モジュールの平均輝度をモジュール内の最高輝度で割った値であり、値が高いほど(値が1に近いほど)輝度ムラが少ない。
Figure 2016157795
表1に示す結果より、散乱材を含む蛍光体層44を実装すると光束比は低下するが、散乱材として単結晶粒子を用いたもの(実施例1〜6)は、光束比の低下が少なく、散乱材としてアモルファスのSiOを用いた場合より高い光束が得られる。また、屈折率が高く、透明な単結晶の散乱材を発光モジュールに実装することで、輝度均斉度を大幅に向上できる。なお、単結晶粒子の屈折率は、マトリックス相の屈折率よりも大きいとよい。
また、単結晶粒子は、粒径が10〜200μmの範囲が好ましい。これにより、透過率を確保しつつ、発光面での明るさの濃淡が少ない発光モジュールを実現できる。また、光拡散層42における単結晶粒子の含有濃度は、5〜40vol%の範囲が好ましい。含有濃度が5vol%以下になると、所望の拡散効果を出すために、光拡散層42の膜厚を厚くし、面積も広くしなければならないことから、その上に実装する蛍光体層44も大型化、厚膜化する。その結果、発光モジュール自体が大型化するため、コスト及びハンドリングに劣り、実用的でない。一方、含有濃度が40vol%以上になると、光散乱としての単結晶粒子の表面をマトリックス樹脂で覆いきれず、粒子界面にボイドが生じ、光取り出しが悪化し、結果として発光モジュールの光束低下を引き起こす。
また、発光モジュール40においては、単結晶粒子18が発光素子32の発光面32aの上方に偏在しているため、より効率よく素子光を散乱できる。また、本実施の形態に係るカバー部材48は、主として単結晶粒子18を含む光拡散層42と、主として第1の蛍光体33および第2の蛍光体34を含む蛍光体層44と、を有している。光拡散層42は、発光素子32の発光面32aの上方に配置されている。これにより、素子光の多くが散乱されてから蛍光体層44に到達する。
蛍光体層44は、光拡散層42および発光素子32を覆うように形成されている。これにより、光拡散層42で散乱された素子光の多くが蛍光体層44に到達する。また、蛍光体層44の第1の蛍光体33や第2の蛍光体34で励起された可視光は比較的等方に放射される。そのため、発光モジュール40の発光面40aにおける明るさの濃淡をより少なくできる。
(第4の実施の形態)
図6は、第4の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図である。第4の実施の形態に係る発光モジュール50は、光拡散層52の形状がドーム(半球)状である点が大きな特徴である。発光モジュール50においては、発光素子32全体を覆うように、単結晶粒子18が分散された光拡散層52が設けられている。その他は、上述の第3の実施の形態に係る発光モジュール40とほぼ同じ構成である。
発光モジュール50においては、隣接する発光素子32間のピッチPは5〜15mmであり、好ましくは7〜12mmであり、より好ましくは8〜10mmである。また、図6に示すドーム状の光拡散層52の膜厚tは0.5〜3.0mmであり、好ましくは1.0〜2.5mmであり、より好ましくは、1.5〜2.0mmである。また、図6に示す半円筒状の蛍光体層54の高さhは1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmであり、より好ましくは3〜6mmである。
本実施の形態に係る単結晶粒子18は、Ca(POClで表される針状単結晶であり、平均サイズ長さが100μm、直径が10μmである。なお、針状単結晶の平均サイズ長さは50〜150μm程度であってもよく、好ましくは70〜130μm、より好ましくは90〜110μmである。また、針状単結晶の直径は5〜20μm程度であってもよく、好ましくは7〜15μm、より好ましくは9〜11μmである。また、針状単結晶は、アスペクト比が5〜15程度であってもよい。
本実施の形態に係る光拡散層52のマトリックス相として用いられるシリコーン樹脂は、ジメチルシリコーン樹脂である。ジメチルシリコーン樹脂の粘度は、単結晶粒子18を含有した状態で発光素子32上に所望の形状でディスペンスすることを考慮すると、3[Pa・s]以上であるとよい。一方、粘度が高すぎると、ディスペンス時に脱泡がうまくいかずに気泡が残る可能性があり、特に発光素子32がワイヤーボンディングにより基板12と接続されている場合はワイヤーの周囲に気泡が残る可能性が高くなる。そのため、粘度は25[Pa・s]以下であるとよい。また、光拡散層52で封止される金のワイヤー24が冷熱サイクルで断線しないように、ジメチルシリコーン樹脂の弾性率は2×10[Pa]以下であるとよい。
本実施の形態に係る蛍光体層54のマトリックス相とし用いられるシリコーン樹脂は、ジメチルシリコーン樹脂である。ジメチルシリコーン樹脂の粘度は、蛍光体を含有させる際に蛍光体が沈降しない程度が好ましく、9[Pa・s]以上であるとよい。また、発光素子32を封止して保護するという観点から、硬化後の硬度ショアAが20以上であるジメチルシリコーン樹脂を用いるとよい。
蛍光体層54は、前述の第1の蛍光体33および第2の蛍光体34を含有しているが、各蛍光体の粒径は2〜30μmのものが好ましい。粒径が2μm以上の蛍光体であれば、発光効率の低下が抑制され、粒径が30μm以下の蛍光体であれば、ジメチルシリコーン樹脂に蛍光体を分散させた状態で硬化させる際に沈降しにくくなる。
(第5の実施の形態)
図7(a)は、第5の実施の形態に係る発光モジュールを側方から見た模式図、図7(b)は、第5の実施の形態に係る発光モジュールを上方から見た模式図である。
第5の実施の形態に係る発光モジュール60は、単結晶粒子18(図7では不図示)が発光素子32の発光面32aの上方(領域R3)に偏在している。ここで、上方に偏在した状態とは、例えば、発光モジュール60を図7(b)に示すように上方から見た場合に、発光素子32の矩形の発光面32aの上方領域R3における単結晶粒子18の密度が、上方領域R3の周辺領域R4における単結晶粒子18の密度の平均値より高い状態である。本実施の形態に係る周辺領域R4は、矩形の発光面32aの各辺を一辺とする4つの四角形の領域をいう。また、矩形の発光面32aを囲むリング状の領域を周辺領域R4’としてもよい。
(変形例)
上述の針状単結晶は、シリコーン樹脂における分散性を確保するため、親油処理を施しておくことが好ましい。具体的には、トリメトキシシランおよびトルエンを体積比1:15で混合した60℃の溶液に、針状単結晶を浸漬し6h還流させるとよい。
また、針状単結晶を、粘度が3[Pa・s]以上のジメチルシリコーン樹脂中に3〜20vol%、好ましくは5〜13vol%の割合で分散させた光拡散層を作製してもよい。
また、発光素子32を覆うように、針状単結晶を含有したジメチルシリコーン樹脂を塗布する場合、ジメチルシリコーン樹脂が充填されたシリンジを、基板の長手方向(発光素子の配列方向)に移動させながら塗布するとよい。これにより、図6に示す単結晶粒子18のように、長手方向が図の左右方向にそって配列しやすくなる。
また、光拡散層52に蛍光体を0.5〜2.0vol%の濃度で含有させてもよい。
また、蛍光体としては、上述の黄色蛍光体や青色蛍光体以外に、適宜緑色蛍光体や赤色蛍光体を用いてもよい。
緑色蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、Eu2+付活βサイアロン、BaSi12:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrSi:Eu2+、(Ba,Sr)Si:Eu2+、SrAlO:Eu2+等が挙げられる。
赤色蛍光体としては、(Ca1−xSr)AlSiN:Eu2+(0≦x<0.4)、SrSi:Eu2+等が挙げられる。
上述の各実施の形態に係る発光モジュールは、発光素子の発光の指向性に起因して明るくなりがちな発光素子の直上に向かう光を単結晶粒子で横方向(発光面に平行な方向)に散乱することで、発光素子間の比較的暗かった領域の輝度を向上させることができ、発光モジュールの発光面における輝度ムラを低減できる。その結果、均一発光のライン状の発光モジュールを実現できる。
また、単結晶粒子は、発光素子の発光面の直上領域の濃度よりも発光素子間の濃度が低くなるように分散されているとよい。発光素子間の領域では光を更に散乱させる必要はあまりないため、発光素子間での透過率の向上を考慮すればよい。つまり、発光素子間には高価な単結晶粒子を多く配置する必要がなく、発光素子の発光の指向性により多くの光が照射される発光面の直上領域に単結晶粒子を効率よく配置できる。
光拡散層のマトリックス相は、発光素子からの光取り出しを向上するという観点からは発光素子材料(InGaNやGaN)との屈折率差が小さく、光拡散層内での散乱という観点からは単結晶粒子との屈折率差が大きいとよい。つまり、N1(発光素子の屈折率)≒N2(マトリックス相の屈折率)≪N3(単結晶粒子の屈折率)、あるいは、N1(発光素子の屈折率)≒N2(マトリックス相の屈折率)≫N3(単結晶粒子の屈折率)であってもよい。
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
本発明の発光モジュールは種々の灯具、例えば照明用灯具、ディスプレイ、車両用灯具、信号機等に利用することができる。
10 発光モジュール、 12 基板、 14 発光素子、 14a 発光面、 16 カバー部材、 18 単結晶粒子、 20 蛍光体、 22 マトリックス相、 24 ワイヤー、 30 発光モジュール、 30a 発光面、 32 発光素子、 32a 発光面、 33 第1の蛍光体、 34 第2の蛍光体、 40 発光モジュール、 40a 発光面、 42 光拡散層、 44 蛍光体層、 46 透明シリコーン樹脂、 48 カバー部材、 50 発光モジュール、 52 光拡散層、 54 蛍光体層。

Claims (5)

  1. 基板と、
    前記基板上に配列された複数の発光素子と、
    前記複数の発光素子を覆うように配置されている透明なカバー部材と、を備え、
    前記カバー部材は、
    前記発光素子から出射した素子光を散乱させる透明な単結晶粒子と、
    前記素子光により励起され可視光を発する蛍光体と、
    を有することを特徴とする発光モジュール。
  2. 前記単結晶粒子は、前記発光素子の発光面の上方に偏在していることを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
  3. 前記カバー部材は、主として前記単結晶粒子を含む光拡散層と、主として前記蛍光体を含む蛍光体層と、を有し、
    前記光拡散層は、前記発光素子の発光面の上方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の発光モジュール。
  4. 前記蛍光体層は、前記光拡散層および前記発光素子を覆うように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の発光モジュール。
  5. 前記単結晶粒子は、粒径が10〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光モジュール。
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