JP2016150707A - 鞍乗り型車両の前部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロントカウル54の上部に間隔を空けて設けられたスクリーン61を備える自動二輪車において、スクリーン61が、走行時の風を車体左右に流す基本曲面に沿って形成され、このスクリーン61の左右に、基本曲面に対して凹んだスクリーン凹部61Xを設けるようにした。
【選択図】図3
Description
一方、自動二輪車には、フロントカウルの上部に前方に間隔を空けてスクリーンを設けることでフロントカウルよりもスクリーンを立ち上げた車両、例えば、ツアラー車両がある。このような車両でも、空力特性を更に向上させたい要望があり、近年では風切り音の更なる低減についても求められている。
また、上記構成において、前記スクリーン(61)は、前記幅狭部(61S)の車幅中央にて開口するスクリーン開口部(61Y)を有するようにしても良い。
また、上記構成において、前記メーターステー(101)は、前記スクリーン開口部(61Y)の後方に位置し、前記メーターステー(101)の上面は、前記スクリーン開口部(61Y)から流入した風を上方に向けて流す形状に形成されるようにしても良い。
また、前記スクリーンには、車幅方向内側に切り欠いた切り欠き部によって車幅方向に沿う幅の間隔が狭まる幅狭部が設けられ、前記凹部は、前記切り欠き部の上部に位置するようにすれば、切り欠き部の左右にて上下で流速差が生じている走行風の交わりを抑制することができ、相対的に高い位置での風切り音を抑え易くなる。
また、前記スクリーンは、メーターを支持するメーターステーに支持され、前記メーターステーは、前記メーターを上方から覆うメーターバイザーを一体に備えるようにすれば、メーターを支持する機能と、メーターバイザーの機能と、スクリーンを支持する機能とを一部品が備えることとなり、部品点数の削減することができる。
また、前記メーターステーの左右に、前記スクリーン開口部から流入した風を左右に流すステー側開口部を設けるようにすれば、乗員の腕周り等への風当たりを軽減し、且つ旋回性を向上できる。これらにより、より高さのあるスクリーンと同等の防風効果を得ながら旋回性能を確保することができる。
図1は本発明の実施の形態に係る自動二輪車の右側面図である。なお、図1では、左右一対で設けられるものは右側のものだけが図示されている。
自動二輪車1は、車体フレームFにパワーユニットとしてのエンジン10が支持され、前輪2を支持する左右一対のフロントフォーク11,11が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持するスイングアーム12が車体フレームFの後部側に設けられた車両である。自動二輪車1は、乗員が跨るようにして着座するシート13が車体フレームFの後部の上方に設けられた鞍乗り型の車両である。
スイングアーム12と車体フレームFとの間にはリアサスペンション(不図示)が設けられる。
燃料タンク45は、前側シート41及び後側シート42の下方、且つ、シートフレーム18,18間のスペースを利用して配置される。
ピボットフレーム17,17の車幅方向外側には、ステップホルダ46,46が左右一対で設けられ、左右のステップホルダ46,46の前部に運転者用のステップ47,47が固定され、左右のステップホルダ46,46の後部に同乗者用のタンデムステップ48,48が固定される。
ボックス本体51は、フルフェイス型のヘルメットを1個収納可能な容量を備える。エアクリーナーボックス38及びバッテリ39は、ボックス本体51とヘッドパイプ14との間に配置される。
フロントカウル54は、ヘッドパイプ14の前方に配置され、ヘッドライト60、スクリーン61(ウインドスクリーンとも称する)、及び左右一対のフロントウインカ66,66が取り付けられる。サイドカバー55,55は、フロントカウル54の左右に取り付けられ、ヘッドパイプ14及びメインフレーム15,15の前部を側方から覆う。
フロントカウル54は、車体フレームFの前部を構成するヘッドパイプ14に不図示のブラケットを介して支持され、図2及び図3(A)に示すように、ヘッドパイプ14の前方、且つ、ハンドル26の下方にて車体前部を前方から覆うカバーに形成されている。
図2に示すように、スクリーン61は、フロントカウル54の上部に前方に間隔を空けて支持されている。このため、スクリーン61はフロントカウル54の基本曲面から離間しており、基本曲面の一部を形成していない。
このスクリーン61は、左右に行くほど後方となる湾曲形状であって、後ろ下がりに傾斜する傾斜形状に形成され、走行時の風を車体左右に流す曲面(以下、「スクリーン61の基本曲面61W」と言う)に形成されている。このスクリーン61の基本曲面61Wは、上面視で、前方凸の湾曲面を形成する点でフロントカウル54と似ているが(後述する図4(A))、側断面視ではフロントカウル54のような前方凸の湾曲形状ではなく、後ろ上がりに延びる直線形状に形成されている。なお、スクリーン61及びフロントカウル54は車幅中心に対して左右対称形状に形成されている。
より具体的には、このスクリーン61は、図3(A)に示すように、車体正面視で、車幅方向に沿う左右長に比して上下長が長い比較的大型のスクリーン61に形成されている。図2に示すように、スクリーン61の下縁は、フロントカウル54の上縁及びハンドル26よりも下方に位置し、スクリーン61の上縁は、ハンドル26よりも上方に位置し、スクリーン61後方の乗員の上半身を広くカバーすることができる。なお、このスクリーン61の素材には透明樹脂材料が使用される。
このスクリーン61は、スクリーン幅狭部61Sに対して下方部分を構成するスクリーン下部61Lが、最も幅広の第1幅広部に形成されており、スクリーン幅狭部61Sに対して上方部分のスクリーン上部61Hが、スクリーン下部61Lの次に幅広の第2幅広部に形成されている。
上記スクリーン幅狭部61Sを備えるので、ハンドル26の操舵量を大きくしてもハンドル26とスクリーン61との離間距離を十分に確保できるとともに、スクリーン61の前面投影面積を抑えることができる。
図3(B)は参考例に係るスクリーン161を示している。この図3(B)には、スクリーン61左右に向かって流れる走行風を示している。このスクリーン161は、本構成のスクリーン61から以下に説明するスクリーン凹部61Xを除いたスクリーンである。
スクリーン61左右に向かって流れる走行風に着目すると、図3(B)に示すように、スクリーン61沿いの走行風には上下に流速差があり、スクリーン61の下方ほど相対的に早い走行風W1が生じ、スクリーン61の上方ほど相対的に遅い走行風W2が生じる。この流速差のある走行風W1、W2が交わると渦W3の発生を招く。この渦W3は風切り音や空気抵抗増大の原因となる。
詳述すると、スクリーン凹部61Xは、スクリーン上部61Hの左右の側縁に設けられ、つまり、スクリーン上部61Hとスクリーン幅狭部61Sとの間にできる左右の角部近傍の領域に設けられる。また、スクリーン凹部61Xは、スクリーン61の左右の側縁に沿って上方方向に延びる縦長形状であって、車幅方向外側に行くほど上下方向に拡がる後方凸の凹形状に形成されている。
図4(A)に示すように、スクリーン凹部61Xは、スクリーン61の左右両端においてスクリーン61の基本曲面61Wに対して後方に凹んだ凹部(61X)であり、図4(B)に示すように、スクリーン61の左右側縁の前側角部を斜めにカットした断面形状とされている。このため、車幅方向外側ほど後方に深くなり、かつ、車幅方向外側が開放する開放溝形状に形成されている。なお、図4(A)及び図4(B)中、二点鎖線はスクリーン凹部61Xを設けない場合の外形線を示している。
このように、スクリーン凹部61Xを、車幅方向外側に行くほど上下方向に拡がる凹形状にしたので、スクリーン凹部61Xに沿って流れる走行風を上下方向に拡げて流し易くなり、上下の走行風W1,W2間に走行風を効率良く導くことができる。これにより、走行風W1,W2の交わりを効率良く抑制することができる。
図5及び図6に示すように、フロントカウル54とスクリーン61との間には、フロントカウル54の上部から上方に立ち上がるコの字断面のステー部材101が取り付けられる。このステー部材101は、フロントカウル54の上部から車幅方向に間隔を空けて上方に立ち上がる左右一対の立ち上がり部103と、左右一対の立ち上がり部103の上部間を架橋する架橋板部105とを一体に備えており、左右一対の立ち上がり部103と架橋板部105とで囲まれる領域にメーター110が支持されている。これによって、メーター110は、フロントカウル54とステー部材101とによって囲まれる。
架橋板部105は、左右一対の立ち上がり部103間にて後ろ上がりに延在する傾斜板部106と、傾斜板部106の左右にて傾斜板部106よりも前上方に張り出すとともに後ろ上がりに延びる左右一対のスクリーン支持部107とを一体に備え、左右一対のスクリーン支持部107の前面に、スクリーン61が複数の締結部材102によって締結されている。
すなわち、ステー部材101は、メーター110を覆うと共にメーター110を支持するメーターカバーやメーターステーとして機能するとともに、スクリーン61を支持するスクリーンステーとして機能している。
スクリーン開口部61Yは、スクリーン61の中央に設けられた開口部であり、より具体的には、スクリーン61の車幅中央、且つ、上下の略中間位置に設けられ、傾斜板部106の幅全体に渡って前後方向に開口する横長の開口部に形成されている。
なお、図6中、符号WDは、スクリーン開口部61Yよりも上方にてスクリーン61に向かい、スクリーン61の前面に沿って斜め上方に流れる走行風を示し、符号WEは、スクリーン61よりも上方の走行風を示している。
しかも、上記スクリーン開口部61Yによって、スクリーン幅狭部61Sを左右に流れる走行風W1の風量が減るので、走行風W1,W2の交わりをより抑制でき、風切り音等をより抑えることもできる。また、上記スクリーン開口部61Yに進入した走行風WCを、メーターバイザーとなる傾斜板部106の車幅方向に間隔を空けて設けられた左右一対の開口部61Zにより、左右に分散させることもできる。これらにより、本構成では、より高さのあるスクリーンと同等の防風効果を得ながら旋回性能を確保することが可能になる。
図7はステー部材101を周辺構成と共に上方から見た図である。なお、図7もスクリーン61を二点鎖線で示している。
この左右一対のステー側開口部61Zは、傾斜板部106と左右一対のスクリーン支持部107との間の段差をつなぐ左右一対の壁部109に設けられている。この壁部109は、傾斜板部106から前上方に立ち上がるとともに、前上方に行くに従って車幅方向外側に拡がる傾斜壁に形成されている。この傾斜壁である壁部109にステー側開口部61Zを開口させるので、ステー側開口部61Zは、架橋板部105を車幅方向(左右)に開口する開口部となっている。
これにより、上方への流れだけでなく左右方向への流れを積極的に生じさせることができる。この左右方向への流れにより、スクリーン61の左右を流れる走行風との流速差を減らして乗員側方の渦の発生を抑制することができ、運転者の腕周り等への風当たりを軽減することが可能になる。
さらに、スクリーン開口部61Yにより上方へ走行風を流しただけでは、走行風が車幅中心に保持され旋回性能が低下するおそれが生じるが、左右方向へ走行風を分散させるので、旋回性の向上にも有利である、といった効果も得られる。
また、ステー部材101の左右に、スクリーン開口部61Yから流入した風を左右に流すステー側開口部61Zを設けているので、スクリーン開口部61Yから流入した風が左右に分散し、運転者の腕周り等への風当たりを軽減し、且つ旋回性を向上できる。これらにより、より高さのあるスクリーンと同等の防風効果を得ながら旋回性能を確保することができる。
例えば、上記実施形態では、図1に示す自動二輪車1に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、公知の鞍乗り型車両に本発明を適用しても良い。なお、鞍乗り型車両は、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)等の三輪車両や四輪車両を含む車両である。
11 車体フレーム
14 ヘッドパイプ
54 フロントカウル(車体前部を覆うカバー)
61 スクリーン
61A 切り欠き部
61H スクリーン上部
61L スクリーン下部
61S スクリーン幅狭部
61W スクリーンの基本曲面
61X スクリーン凹部
61Y スクリーン開口部
61Z ステー側開口部
101 ステー部材(メーターステー、スクリーンステー)
106 傾斜板部(メーターバイザー)
110 メーター
Claims (6)
- 車体前部を覆うカバー(54)と、前記カバー(54)の上部に間隔を空けて設けられたスクリーン(61)とを備えた鞍乗り型車両の前部構造において、
前記スクリーン(61)は、走行時の風を車体左右に流す基本曲面(61W)に沿って形成され、前記スクリーン(61)の左右に、前記基本曲面(61W)に対して凹んだ凹部(61X)を設けていることを特徴とする鞍乗り型車両の前部構造。 - 前記スクリーン(61)には、車幅方向内側に切り欠いた切り欠き部(61A)によって車幅方向に沿う幅の間隔が狭まる幅狭部(61S)が設けられ、
前記凹部(61X)は、前記切り欠き部(61A)の上部に位置することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の前部構造。 - 前記スクリーン(61)は、前記幅狭部(61S)の車幅中央にて開口するスクリーン開口部(61Y)を有することを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の前部構造。
- 前記スクリーン(61)は、メーター(110)を支持するメーターステー(101)に支持され、
前記メーターステー(101)は、前記メーター(110)を上方から覆うメーターバイザー(106)を一体に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の前部構造。 - 前記メーターステー(101)は、前記スクリーン開口部(61Y)の後方に位置し、
前記メーターステー(101)の上面は、前記スクリーン開口部(61Y)から流入した風を上方に向けて流す形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両の前部構造。 - 前記メーターステー(101)の左右に、前記スクリーン開口部(61Y)から流入した風を左右に流すステー側開口部(61Z)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の鞍乗り型車両の前部構造。
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