JP2016143088A - 位置検出システム及び車載情報処理装置 - Google Patents

Abstract

【課題】路車間通信により、ＧＰＳ受信機が搭載されておらず、測距センサ４ａの測距可能範囲外にある車両の位置も特定することができる位置検出システムを提供する。【解決手段】位置検出システムは、複数の車両Ｃにそれぞれ搭載され、自身の位置を検出するＧＰＳ１と、車両を検出する路側測距センサ６を有し、検出して得た測距情報及び自身の位置情報を送信する路側通信装置５と、各情報を共有すべく、位置情報及び測距情報を路車間通信及び車車間通信にて送受信する車載無線通信機２と、車載情報処理装置３とを備える。車載情報処理装置３は、受信した測距情報及び位置情報、並びに自車両の前記ＧＰＳ１にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する。【選択図】図１

Description

本発明は路車間通信により自車両に対する他車両の位置を特定する位置検出システム及び車載情報処理装置に関する。

特許文献１には、ＧＰＳ信号遮断環境にあっても、自機の位置を高い精度で測位することができるナビゲーション装置が開示されている。ナビゲーション装置はＧＰＳ受信機を備え、電源オン時にはＧＰＳ受信機によるＧＰＳ信号の受信状況が確認される。ＧＰＳ信号を受信できている場合、ＧＰＳ信号に基づいて自機の測位が行われる。また、ナビゲーション装置は、携帯電話機が接続可能な接続手段を備える。携帯電話機は、基地局と通信し、該携帯電話機の位置データを取得することができる。ナビゲーション装置は、ＧＰＳ信号を受信できない場合、携帯電話機の位置データを取得し、自機の位置を測位する。

特許文献２には、可搬型のナビゲーション装置が開示されている。可搬型のナビゲーション装置は、ＵＳＢケーブルを用いて車載情報処理装置に接続することができる。車載情報処理装置は、車内ネットワークを介して、位置特定に必要な情報を収集し、ナビゲーション装置へ送信する。ナビゲーション装置は、自身が有するＧＰＳ受信機及びジャイロセンサの情報と、車載情報処理装置から得られた情報とに基づいて、車両の位置特定を行う。

特許文献３には、ＧＰＳ受信機にて位置検出を行う可搬型の複数の端末装置を備え、互いの端末装置の位置を表示することが可能な位置案内システムが開示されている。各端末装置は自身の位置を検出し、通信エリア内に存在する他の端末装置との間で近距離無線通信を行い、位置情報を共有する。一の端末装置は、受信した位置情報に基づいて他の端末装置の現在位置を表示部に表示する。

特許第３７８８３２８号公報 特開２０１２−１３６２１０号公報 特開２００３−１６６８３５号公報

しかしながら、特許文献１〜３のいずれもＧＰＳ受信機の存在が前提となっており、ＧＰＳ受信機を搭載していない車両の位置を特定することができないという問題があった。
一方、車両に搭載された測距センサによって、自車両の周辺に存在する他車両を検出することが行われている。しかし、測距センサの検出範囲外に存在する車両の位置を特定することはできない。

本願の目的は、路車間通信により、ＧＰＳ受信機が搭載されておらず、測距センサの測距可能範囲外にある車両の位置も特定することができる位置検出システム及び車載情報処理装置を提供することにある。

本発明の一態様に係る位置検出システムは、複数の車両との間で無線通信を行う路側通信装置と、複数の車両にそれぞれ搭載され、各車両の位置を検出する位置検出部と、各車両の前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信にて送受信する複数の車載無線通信機と、該車載無線通信機にて受信した位置情報に基づいて、前記車載無線通信機が搭載された自車両を基準とした他車両の位置を特定する車載情報処理装置とを備える位置検出システムであって、前記路側通信装置に設けられており、該路側通信装置と車両との距離及び該路側通信装置を基準とした車両の方向を検出する路側測距センサを備え、前記路側通信装置は、前記路側測距センサにて検出した距離及び方向を含む測距情報並びに前記路側通信装置の位置情報を前記車載無線通信機へ送信する路側送信部を備え、前記車載無線通信機は、前記路側通信装置から送信された測距情報及び位置情報を受信する受信部を備え、前記車載情報処理装置は、前記受信部にて受信した測距情報及び位置情報、並びに該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する位置特定部を備える。

本発明の一態様に係る車載情報処理装置は、自車両の位置を検出する位置検出部が搭載された自車両に対する他車両の位置を特定する車載情報処理装置であって、路側通信装置と他車両との距離及び該路側通信装置を基準とした車両の方向を含む測距情報、並びに前記路側通信装置の位置情報を取得する取得部と、該取得部にて取得した測距情報及び位置情報、並びに自車両の前記位置検出部にて検出した自車両の位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する位置特定部とを備える。

なお、本願は、このような特徴的な処理部を備える車載情報処理装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする車載情報処理方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、車載情報処理装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、車載情報処理装置を含むその他のシステムとして実現したりすることができる。

上記によれば、路車間通信により、ＧＰＳ受信機が搭載されておらず、測距センサの測距可能範囲外にある車両の位置も特定することができる位置検出システム及び車載情報処理装置を提供することが可能となる。

本発明の実施形態に係る位置検出システムの一構成例を示すブロック図である。 車載無線通信機の一構成例を示すブロック図である。 車載無線通信機との間で送受信される情報のデータ構造を示した概念図である。 路側通信装置の一構成例を示すブロック図である。 車載情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。 制御部の処理手順を示すフローチャートである。 車車間通信の処理手順を示すフローチャートである。 路車間通信の処理手順を示すフローチャートである。 位置特定に係る処理手順を示すフローチャートである。 他車両の位置特定方法の一例を示す概念図である。 他車両の位置特定方法の一例を示す概念図である。 他車両の位置特定方法の一例を示す概念図である。 他車両の位置特定方法の一例を示す概念図である。 他車両表示画面の一例を示す模式図である。 危険車両表示画面の一例を示す模式図である。

［本発明の実施形態の説明］
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。

（１）本発明の一態様に係る位置検出システムは、複数の車両との間で無線通信を行う路側通信装置と、複数の車両にそれぞれ搭載され、各車両の位置を検出する位置検出部と、各車両の前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信にて送受信する複数の車載無線通信機と、該車載無線通信機にて受信した位置情報に基づいて、前記車載無線通信機が搭載された自車両を基準とした他車両の位置を特定する車載情報処理装置とを備える位置検出システムであって、前記路側通信装置に設けられており、該路側通信装置と車両との距離及び該路側通信装置を基準とした車両の方向を検出する路側測距センサを備え、前記路側通信装置は、前記路側測距センサにて検出した距離及び方向を含む測距情報並びに前記路側通信装置の位置情報を前記車載無線通信機へ送信する路側送信部を備え、前記車載無線通信機は、前記路側通信装置から送信された測距情報及び位置情報を受信する受信部を備え、前記車載情報処理装置は、前記受信部にて受信した測距情報及び位置情報、並びに該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する位置特定部を備える。

本願にあっては、車両に搭載された位置検出部によって、自車両の位置を検出することができる。一方、路側通信装置の路側測距センサによって、車両を検出することができる。具体的には、路側通信装置と他車両との距離、及び路側通信装置を基準とした他車両の方向を検出することができる。なお、路側通信装置の位置は、路側通信装置が設置された正確な位置である必要はなく、交差点の位置を路側通信装置の位置としても良い。つまり交差点の位置を他車両の測距基準としても良い。
そして、路側通信装置は、該路側通信装置の位置情報及び測距情報を車載無線通信機へ送信する。そして、各車両の車載情報処理装置は、自車両の位置情報位置情報と、路側通信装置の位置情報及び測距情報とに基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する。
各車両の車載情報処理装置は、路側測距センサによって検出して得た測距情報を利用することによって、位置検出部及び車載無線通信機が搭載されていない他車両の位置を特定することができる。

（２）前記車載無線通信機は、該車載無線通信機が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信又は車車間通信にて他の前記車載無線通信機へ送信する送信部を備え、前記受信部は、他の前記車載無線通信機から路車間通信又は車車間通信にて送信された位置情報を受信するようにしてあり、前記車載情報処理装置の前記位置特定部は、前記受信部にて受信した他車両の位置情報、及び該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する構成が好ましい。

本願にあっては、各車両の車載無線通信機は、位置情報を他の車載無線通信機との間で送受信する。従って、各車両は前記位置情報を共有することができる。そして、各車両の車載情報処理装置は、自車両の位置情報と、他車両の位置情報とに基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する。

（３）前記位置特定部は、自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報、及び他車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する第１位置特定部と、測距情報、前記路側通信装置の位置情報、及び自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する第２位置特定部と、前記第１位置特定部にて特定される位置及び前記第２位置特定部にて特定される位置のいずれか一つを選択する選択部とを備える構成が好ましい。

本願にあっては、他車両の位置特定方法としては、主に位置情報に基づいて他車両の位置を特定する方法と、主に測距情報に基づいて他車両の位置を特定する方法がある。両方法で他車両の位置を特定できる場合、選択部はいずれかの方法で特定された他車両の位置を特定する。
従って、同一の他車両が別の他車両として重複して特定されることを防止することができる。

（４）前記路側測距センサの検出精度は、前記位置検出部の検出精度より高く、前記選択部は、前記第２位置特定部にて特定した他車両の位置を選択する構成が好ましい。

本願にあっては、選択部は、主に測距情報に基づいて特定された他車両の位置を選択する。測距情報の方が位置情報より精度が高いため、より高い精度で他車両の位置を特定することができる。

（５）各車両に設けられており、自車両と他車両との距離及び自車両を基準とした他車両の方向を検出する測距センサを備え、前記車載無線通信機は、該車載無線通信機が搭載された自車両の前記測距センサにて検出した距離及び方向を含む測距情報並びに前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信又は車車間通信にて他の前記車載無線通信機へ送信する送信部を備え、前記受信部は、他の前記車載無線通信機から路車間通信又は車車間通信にて送信された測距情報及び位置情報を受信するようにしてあり、前記車載情報処理装置の前記位置特定部は、前記受信部にて受信した測距情報及び位置情報、並びに該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報又は自車両の前記測距センサにて検出した距離及び方向に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する構成が好ましい。

本願にあっては、車両に搭載された位置検出部によって、自車両の位置を検出することができる。また、車両に搭載された測距センサによって、他車両を検出することができる。具体的には、測距センサが搭載された自車両と他車両との距離、及び自車両を基準とした他車両の方向を検出することができる。そして、各車両の車載無線通信機は、位置情報及び測距情報を路側通信装置を介して送受信する。従って、各車両は前記位置情報及び測距情報を共有することができる。そして、各車両の車載情報処理装置は、自車両の位置情報又は測距情報と、他車両の位置情報及び測距情報とに基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する。
各車両の車載情報処理装置は、自車両又は他車両の測距センサによって検出して得た測距情報を利用することによって、位置検出部及び車載無線通信機が搭載されていない他車両の位置を特定することができる。また、位置検出部及び車載無線通信機が搭載されておらず、しかも自車両に搭載された測距センサの検出範囲外にある他車両の位置も特定することができる。

（６）前記路側通信装置は、交差点に設けられており、該交差点の道路を表した道路情報を記憶する記憶部を備え、前記路側送信部は、前記記憶部が記憶する道路情報を前記車載無線通信機へ送信し、前記車載無線通信機の前記受信部は前記路側通信装置から送信された道路情報を受信するようにしてあり、前記受信部にて受信した道路情報及び前記位置特定部にて特定した他車両の位置に基づいて、交差点の道路画像上に他車両の位置を表した画像を表示する表示部を備える構成が好ましい。

本願にあっては、路側通信装置の記憶部は交差点の道路情報を記憶しており、該道路情報を車載無線通信機へ送信する。車載無線通信機は道路情報を受信し、表示部は道路情報に基づいて、交差点の道路画像を表示部に表示する。道路画像上には他車両の位置が表示される。
本態様では、車載情報処理装置は地図情報等を記憶していなくても、交差点の道路画像上に他車両の位置を表した画像を表示部に表示させることができる。

（７）前記位置特定部にて特定した他車両の位置に応じて警告を発する警告部を備える構成が好ましい。

本願にあっては、警告部は、位置特定部によって特定された他車両の位置に応じて警告を発する。例えば、自車両と、他車両との距離が所定距離未満である場合等、自車両に他車両が衝突する危険があるような場合、警告部は警告を発する。

（８）前記路側通信装置は、交差点に設けられており、該交差点の歩行者を検出する歩行者検出部を備え、前記路側送信部は、前記歩行者検出部にて検出した歩行者の位置情報を前記車載無線通信機へ送信し、前記車載無線通信機の前記受信部は前記路側通信装置から送信された歩行者の位置情報を受信するようにしてあり、前記車載情報処理装置は、前記受信部にて受信した歩行者の位置情報、及び該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する歩行者の位置を特定する歩行者位置特定部を備える構成が好ましい。

本願にあっては、路側通信装置は、歩行者検出部にて交差点の歩行者を検出し、歩行者の位置情報を車載無線通信機へ送信する。車載無線通信機は路側通信装置から送信された歩行者の位置情報を受信する。車載情報処理装置は、歩行者の位置情報と、自車両の位置情報とに基づいて、自車両に対する歩行者の位置を特定する。

（９）前記路側通信装置は、交差点の道路を表した道路情報を記憶する記憶部を備え、前記路側送信部は、前記記憶部が記憶する道路情報を前記車載無線通信機へ送信し、前記車載無線通信機の前記受信部は前記路側通信装置から送信された道路情報を受信するようにしてあり、前記受信部にて受信した道路情報、前記位置特定部にて特定した他車両の位置、及び前記歩行者位置特定部にて特定した歩行者の位置に基づいて、交差点の道路画像上に他車両及び歩行者の位置を表した画像を表示する表示部を備える構成が好ましい。

本願にあっては、路側通信装置の記憶部は交差点の道路情報を記憶しており、該道路情報を車載無線通信機へ送信する。車載無線通信機は道路情報を受信し、表示部は道路情報に基づいて、交差点の道路画像を表示部に表示する。道路画像上には他車両及び歩行者の位置が表示される。
本態様では、車載情報処理装置は地図情報等を記憶していなくても、交差点の道路画像上に他車両及び歩行者の位置を表した画像を表示部に表示させることができる。

（１０）前記位置特定部にて特定した他車両の位置及び前記歩行者位置特定部にて特定した歩行者の位置に応じて警告を発する警告部を備える構成が好ましい。

本願にあっては、警告部は、位置特定部によって特定された他車両の位置、及び歩行者位置特定部にて特定した歩行者の位置に応じて警告を発する。例えば、自車両と、他車両との距離が所定距離未満である場合等、自車両に他車両が衝突する危険があるような場合、警告部は警告を発する。同様に、自車両と、歩行者との距離が所定距離未満である場合等、自車両に歩行者が衝突する危険があるような場合、警告部は警告を発する。

（１１）本発明の一態様に係る車載情報処理装置は、自車両の位置を検出する位置検出部が搭載された自車両に対する他車両の位置を特定する車載情報処理装置であって、路側通信装置と他車両との距離及び該路側通信装置を基準とした車両の方向を含む測距情報、並びに前記路側通信装置の位置情報を取得する取得部と、該取得部にて取得した測距情報及び位置情報、並びに自車両の前記位置検出部にて検出した自車両の位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する位置特定部とを備える。

本願にあっては、態様（１）と同様、車載情報処理装置は、路側通信装置の路側測距センサによって検出して得た測距情報を利用することによって、位置検出部及び車載無線通信機が搭載されていない他車両の位置を特定することができる。
また、路側測距センサ又は測距センサによって測距情報を得た場合、該路側測距センサ又は測距センサを識別するセンサ識別情報を該測距情報に含ませ又は関連付けると良い。測距センサは路側通信装置のみならず、自車両若しくは他車両、又は自車両及び他車両の双方に搭載されている場合があり、センサ識別情報は、測距情報がどの路側測距センサ又は測距センサによって検出された情報であるかを示すことができる。車載情報処理装置は、複数の測距情報を用いて他車両の位置を特定する場合、測距情報に含まれ又は関連付けられたセンサ識別情報によって、同じ車両を異なる路側測距センサ又は測距センサで認識したかを判別でき、他車両の位置に係る情報の信頼度を上げることができる。複数の異なる路側測距センサ又は測距センサによって検出して得た測距情報に基づいて、同一の車両の位置が特定された場合、単一の路側測距センサ又は測距センサによって検出して得た測距情報に基づいて車両の位置が特定された場合に比べて、該車両の位置の情報の信頼性は高い。かかる構成は態様（１）〜（１０）の位置検出システムにも適用でき、同様の作用効果を得ることができる。

［本発明の実施形態の詳細］
本発明の実施形態に係る位置検出システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

図１は本発明の実施形態に係る位置検出システムの一構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る位置検出システムは、複数の車両Ｃとの間で無線通信を行う路側通信装置５と、複数の車両Ｃにそれぞれ搭載されたＧＰＳ１、車載無線通信機２、車載情報処理装置３及び測距ＥＣＵ４とを備える。ＧＰＳ１は車載無線通信機２に接続されている。車載無線通信機２には、ＣＡＮ等の通信線を介して車載情報処理装置３、測距ＥＣＵ４、その他の図示しない各種ＥＣＵが接続されている。

以下、本実施形態に係る車載情報処理装置３が搭載された一の車両Ｃに対する他の車両Ｃの位置を特定することを想定し、該一の車両Ｃを適宜、自車両Ｃと呼ぶ。また、前記他の車両Ｃを他車両Ｃと呼ぶ。他車両Ｃの中には、車載情報処理装置３及び車載無線通信機２が搭載されていない車両Ｃが含まれているものとする。

図２は車載無線通信機２の一構成例を示すブロック図である。車載無線通信機２は、例えばゲートウェイであり、ＣＰＵ（Central Processing Unit）等を有するマイクロプロセッサで構成された通信制御部２１を備える。通信制御部２１には、入力部２２、第１車内通信部２３、第２車内通信部２４、送信部２５及び受信部２６が接続されている。

入力部２２は、ＧＰＳ１が接続されたインタフェースである。ＧＰＳ１は自車両Ｃの位置を検出する位置検出部の一例である。ＧＰＳ１は、ＧＰＳ受信機を備える。ＧＰＳ受信機は、ＧＰＳ衛星と共にＧＰＳシステムを構成しており、人工衛星からの電波を受信し、ＧＰＳ１自身の位置、即ち該ＧＰＳ１が搭載された車両Ｃの位置を特定する。車両Ｃの位置は、例えば緯度及び経度で表される。ＧＰＳ１は、検出した車両Ｃの位置情報に時刻情報を付加し、該位置情報を通信制御部２１へ出力する。該時刻情報は、車両Ｃの位置検出を行った時刻を示す。通信制御部２１は、ＧＰＳ１から出力された位置情報を、入力部２２を介して取得し、取得した位置情報を車載情報処理装置３へ送信する。ＧＰＳ１にて検出される車両Ｃの位置は３〜１０ｍ程度の誤差を有するため、車両Ｃの速度、加速度、ジャイロセンサの情報等を用いて補正される。

第１車内通信部２３及び第２車内通信部２４は、例えばＣＡＮプロトコルに従って情報の送受信を行う回路である。第１及び第２車内通信部２３，２４はそれぞれ別系統の通信線に接続されている。例えば、第１車内通信部２３に接続された通信線には、車載情報処理装置３、測距ＥＣＵ４等が接続されている。

測距ＥＣＵ４には測距センサ４ａが接続されており、該測距センサ４ａを用いて、該測距ＥＣＵ４が搭載された自車両Ｃと他車両Ｃとの距離と、自車両Ｃを基準とした他車両Ｃの方向を検出する。また測距ＥＣＵ４は、測距センサ４ａを用いて、該測距ＥＣＵ４が搭載された自車両Ｃに対する他車両Ｃの速度を検出する。測距センサ４ａは、例えばミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波レーダ、カメラ等である。カメラとしては、単眼カメラ、ステレオカメラのいずれも利用することができる。各種センサは、車両Ｃの前部若しくは後部の車幅方向中央部、又は車両Ｃの前部若しくは後部の左側又は右側に設けられている。測距センサ４ａの検出精度は、１ｍ未満であり、ＧＰＳ１の位置検出精度より高い。測距ＥＣＵ４は、測距センサ４ａにて検出して得た距離及び方向を含む測距情報に時刻情報及び測距センサ４ａのセンサ識別情報を付加し、該測距情報を車載情報処理装置３へ送信する。

第２車内通信部２４に接続された通信線には図示しない各種ＥＣＵが接続されている。該ＥＣＵは、車両Ｃに設けられた各種センサの動作を制御し、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置の特定に必要な各種情報を車内情報として送信する。車内情報には、例えば、車両Ｃの速度、加速度、ブレーキ操作の内容、アクセル操作の内容、方向指示器の操作状態を示す方向指示器情報、ステアリングホイールの操舵角の情報が含まれる。

通信制御部２１は、第１及び第２車内通信部２３，２４を介して、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置の特定に必要な各種情報を送受信する。例えば、通信制御部２１はＧＰＳ１にて検出した位置情報、測距ＥＣＵ４から得た測距情報、その他の車内情報を車載情報処理装置３へ送信する。

送信部２５及び受信部２６は、他の車載無線通信機２との間で車車間通信を行う通信回路である。また送信部２５及び受信部２６は、路側通信装置５との間で路車間通信を行う通信回路でもある。送信部２５及び受信部２６は、例えばＩＥＥＥ８０２．１１ｐをベースとした所定の通信プロトコルに従って、無線通信を行う。無線通信に利用する周波数も特に限定されるものでは無いが、５．９ＧＨｚ、７００ＭＨｚ帯の周波数が挙げられる。

図３は、車載無線通信機２との間で送受信される情報のデータ構造を示した概念図である。車載無線通信機２は、図３に示すように、自車両Ｃを識別するための車両ＩＤ、時刻情報、自車両Ｃの位置情報、測距情報、その他の車内情報等を含む情報を他の車載無線通信機２へ定期的に送信する。また、車載無線通信機２は、路側通信装置５が無線通信圏内にある場合、前記情報を、路側通信装置５を介して他の車載無線通信機２へ定期的に送信する。路側通信装置５は中継機として機能する。また、車載無線通信機２は、路側通信装置５から送信される交差点の位置情報、後述する路側測距センサ６によって検出して得た測距情報等を受信する。

図４は路側通信装置５の一構成例を示すブロック図である。路側通信装置５は、ＣＰＵ等を有するマイクロプロセッサで構成された路側制御部５１を備え、路側制御部５１には路側無線通信機５２及び路側記憶部５３が接続されている。また、路側制御部５１には、路側測距センサ６及び歩行者検出部７が接続されている。

路側測距センサ６は、該路側通信装置５と車両Ｃとの距離及び該路側通信装置５を基準とした車両Ｃの方向を検出するセンサである。路側測距センサ６の構成は、車両Ｃに搭載された測距センサ４ａと同様であるため、その詳細な説明は省略する。

歩行者検出部７は、例えば交差点の適宜箇所に固定されており、歩行者を撮像するカメラを備え、該カメラにて撮像して得た画像から移動体を検出し、画像認識により歩行者を検出する。またステレオカメラを用いて歩行者を撮像し、三角測量の原理により、交差点における歩行者の位置を検出することができる。
なお、路側測距センサ６で得られる情報と、歩行者を撮像して得た画像の情報とを組み合わせて、交差点における歩行者の位置を検出しても良い。
また、カメラは、歩行者検出部７の一例であり、交差点の適宜箇所に埋設された圧力センサを用いても良い。圧力センサによって所定範囲の圧力を検出した場合、歩行者が交差点の前記適宜箇所に存在しているものとして、該歩行者の存在及び歩行者の位置を検出することができる。

路側記憶部５３は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えばＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable Programmable ROM）等のＲＯＭである。路側記憶部５３は、車両Ｃの距離及び方向、並びに歩行者の位置を検出するために必要な情報及びプログラムを記憶する。また、路側記憶部５３は、交差点の位置情報、路側通信装置５が設けられている交差点の道路を表した道路情報を記憶する。

路側無線通信機５２は、車載無線通信機２と同様の構成であり、所定の通信プロトコルに従って、各種情報を車載無線通信機２へ送信し、また車載無線通信機２から送信された情報を受信することができる。例えば、路側無線通信機５２は、路側測距センサ６にて検出して得た測距情報に時刻情報及び路側測距センサ６のセンサ識別情報を付加し、該測距情報を車載無線通信機２へ送信する。
測距情報は、路側通信装置５と車両Ｃとの距離、及び路側通信装置５を基準とした車両Ｃの方向を含む。路側通信装置５の位置は、路側通信装置５が設置された正確な位置である必要はなく、交差点の位置を路側通信装置５の位置とすれば良い。方向についても同様である。また、路側通信装置５を基準とした車両Ｃの方向は、絶対的な方位である。
なお、路側無線通信機５２は、路側測距センサ６にて検出した距離及び方向を含む測距情報並びに路側通信装置５の位置情報を車載無線通信機２へ送信する路側送信部２５として機能する。

同様に、路側無線通信機５２は、歩行者検出部７にて検出した歩行者の位置情報に時刻情報を付加し、該歩行者の位置情報を車載無線通信機２へ送信する。歩行者の位置は、例えば緯度及び経度で表される。

更に、路側通信装置５は、交差点の道路情報を車載無線通信機２へ送信することができる。また、路側通信装置５は中継機能を有しており、車載無線通信機２は一の車載無線通信機２から送信された情報を一旦受信し、受信した該情報を他の車載無線通信機２へ送信することもできる。

図５は車載情報処理装置３の一構成例を示すブロック図である。車載情報処理装置３は、ＣＰＵ等を有するマイクロプロセッサで構成された制御部３１を備える。制御部３１には、記憶部３２、時計３３、車内通信部３４、操作部３５、表示部３６及び警告部３７が接続されている。

記憶部３２は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えばＥＥＰＲＯＭ等のＲＯＭである。不揮発性メモリは、コンピュータの初期動作に必要な制御プログラムと、他車両Ｃの位置検出、危険車両の判定等の処理を実行するためのコンピュータプログラムとを記憶している。揮発性メモリは、例えばＤＲＡＭ（Dynamic RAM）、ＳＲＡＭ（Static RAM）等のＲＡＭであり、制御部３１の演算処理を実行する際に不揮発性メモリから読み出された制御プログラム、コンピュータプログラム又は制御部３１の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。

車内通信部３４は、通信線を介して測距ＥＣＵ４、車載無線通信機２及びその他の図示しないＥＣＵに接続されており、ＣＡＮプロトコルに従った情報の送受信を行う回路である。制御部３１は、車内通信部３４を介して、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置特定に必要な情報を受信する。例えば、制御部３１は、ＧＰＳ１によって検出した自車両Ｃの位置情報、測距センサ４ａによって検出して得た測距情報、車載無線通信機２を介して受信した他車両Ｃの位置情報及び測距情報を受信する。また、制御部３１は、路側通信装置５から送信された、該路側通信装置５の位置情報、路側測距センサ６によって検出して得た測距情報、歩行者の位置情報、交差点の道路情報等を受信する。更に、制御部３１は、車両Ｃの速度、加速度、ブレーキ操作の内容、アクセル操作の内容、ステアリングホイールの操舵角等の車内情報を受信する。
一方、制御部３１は、自車両Ｃの位置情報、自車両Ｃの測距センサ４ａによって測定して得た測距情報を車載無線通信機２へ送信し、各情報を車車間通信又は路車間通信によって他の車載無線通信機２へ送信させる。

操作部３５は、例えば表示部３６に設けられたタッチセンサ等を有する操作パネル、操作ボタン等である。本実施形態では、使用者は、他車両Ｃの表示モードとして、自車両Ｃの周辺にある他車両Ｃの位置を全て表示する標準モード、危険車両の位置を表示する警告表示モードのいずれかを選択することができる。使用者は、操作部３５にて各モードのいずれを選択することができ、制御部３１は該操作部３５にて操作内容を受け付け、受け付けた表示モードを記憶部３２に記憶する。

表示部３６は、液晶パネル、有機ＥＬディスプレイである。表示部３６は、制御部３１の操作に従って、自車両Ｃの周辺にある他車両Ｃ及び歩行者、交差点の道路画像、危険車両等をリアルタイムで表示する。

警告部３７は、例えば、危険車両又は歩行者の存在を警告するスピーカ、警告灯等である。制御部３１は、スピーカへ音声信号を出力することによって、音声により危険車両又は歩行者の存在を車両Ｃの運転者に警告することができる。また、制御部３１は、警告灯を点灯させることによって、同様にして危険車両又は歩行者の存在を運転者に警告することができる。

図６は制御部３１の処理手順を示すフローチャートである。制御部３１は以下の処理を定期的に実行することにより、自車両Ｃの周辺にある他車両Ｃの位置特定、危険車両の特定を経時的に行っている。制御部３１は、車載無線通信機２にて車車間通信を行う（ステップＳ１１）。車車間通信によって、各車両Ｃは、車両Ｃの位置情報及び測距情報を共有することができる。

そして制御部３１は、車載無線通信機２にて路車間通信を行う（ステップＳ１２）。路車間通信によって、各車両Ｃは、路側通信装置５を介して車両Ｃの位置情報及び測距情報を共有することができる。また、路車間通信によって、路側通信装置５の位置情報及び測距情報、歩行者の位置情報、並びに交差点の道路情報を受信することができる。

次いで制御部３１は、自車両Ｃの位置情報及び測距情報、他車両Ｃの位置情報及び測距情報、並びに路側通信装置５の位置情報及び測距情報に基づいて、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置を特定する（ステップＳ１３）。そして制御部３１は、ステップＳ１３にて特定した他車両Ｃの位置の情報を用いて、自車両Ｃに対する危険車両を特定する（ステップＳ１４）。危険車両は自車両Ｃに衝突する危険がある車両である。例えば、制御部３１は、自車両Ｃとの距離が所定距離未満の車両、自車両Ｃに対する接近速度が所定速度以上の車両等を危険車両として特定する。制御部３１は、ステップＳ１３及びステップＳ１４の処理で特定された車両Ｃの位置を記憶部３２に記憶させる。

以下、ステップＳ１５以降の説明を行う前に、車車間通信、路車間通信及び位置特定の処理内容の詳細を順に説明する。

図７は車車間通信の処理手順を示すフローチャートである。自車両Ｃの制御部３１は、車内通信部３４にて、自車両Ｃの位置情報、測距情報、その他の車内情報を取得する（ステップＳ３１）。そして、制御部３１は、自車両Ｃの車両ＩＤ、位置情報、測距情報等を車載無線通信機２により車車間通信にて送信する（ステップＳ３２）。位置情報及び測距情報には、自車両Ｃにおいて各情報が検出された時刻情報が付加されている。また、測距情報にはセンサ識別情報が付加されている。

一方、制御部３１は、他の車載無線通信機２から送信された他車両Ｃの車両ＩＤ，位置情報、測距情報等を車車間通信にて受信する（ステップＳ３３）。なお、位置情報及び測距情報には、他車両Ｃにおいて各情報が検出された時刻情報が付加されている。また、測距情報にはセンサ識別情報が付加されている。そして、制御部３１は、受信した他車両Ｃの位置情報、測距情報等を記憶部３２に記憶させ（ステップＳ３４）、車車間通信に係る処理を終える。

図８は路車間通信の処理手順を示すフローチャートである。自車両Ｃの制御部３１は、車内通信部３４にて、自車両Ｃの位置情報、測距情報、その他の車内情報を取得する（ステップＳ４１）。そして、制御部３１は、自車両Ｃの車両ＩＤ、位置情報、測距情報等を車載無線通信機２により、他車両Ｃの車載無線通信機２へ路車間通信にて送信する（ステップＳ４２）。

一方、制御部３１は、他の車載無線通信機２から送信された他車両Ｃの車両ＩＤ，位置情報、測距情報等を路車間通信にて受信する（ステップＳ４３）。そして、制御部３１は、路側通信装置５から送信された、路側通信装置５の位置情報及び測距情報、歩行者の位置情報等を車載無線通信機２にて受信する（ステップＳ４４）。なお、位置情報及び測距情報には、路側通信装置５において各情報が検出された時刻情報が付加されている。次いで、制御部３１は、路側通信装置５から送信された道路情報を車載無線通信機２にて受信する（ステップＳ４５）。そして、制御部３１は、受信した他車両Ｃの位置情報及び測距情報、歩行者の位置情報並びに道路情報を記憶部３２に記憶させ（ステップＳ４６）、路車間通信に係る処理を終える。

図９は位置特定に係る処理手順を示すフローチャートである。制御部３１は自車両Ｃの位置情報及び測距情報を車内通信部３４にて取得する（ステップＳ５１）。

次いで、制御部３１は、自車両Ｃ及び他車両Ｃの位置情報に基づいて、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置を特定する（ステップＳ５２）。また、自車両Ｃの測距センサ４ａによって検出して得た測距情報に基づいて、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置を特定する（ステップＳ５３）。

次いで、制御部３１は、路側通信装置５の測距情報及び位置情報と、自車両Ｃの位置情報とに基づいて、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置を特定する（ステップＳ５４）。次いで、制御部３１は、同一の他車両ＣをステップＳ５２〜ステップＳ５４のいずれか２つ以上の方法で特定したか否かを判定する（ステップＳ５５）。例えば、各ステップＳ５２〜ステップＳ５４の処理で特定された２つの位置の距離が所定の閾値未満である場合、同一の他車両Ｃが異なる方法理で特定されているとする。

ステップＳ５２〜ステップＳ５４のいずれか２つ以上の方法で同一の他車両Ｃが特定されたと判定した場合（ステップＳ５５：ＹＥＳ）、制御部３１は、測距情報に基づいて特定された他車両Ｃの位置を選択する（ステップＳ５６）。なお、路側測距センサ６の測距情報に基づいて特定された他車両Ｃの位置と、自車両Ｃの測距センサ４ａによって得られた測距情報に基づいて特定された他車両Ｃの位置とがある場合、自車両Ｃの測距情報に基づいて特定された他車両Ｃの位置を選択すると良い。

ステップＳ５６の処理を終えた場合、又はステップＳ５５において、ステップＳ５２〜ステップＳ５４のいずれか一つの方法でのみ他車両Ｃの位置が特定されたと判定した場合（ステップＳ５５：ＮＯ）、制御部３１は、自車両Ｃ及び他車両Ｃの測距情報に基づいて、他車両Ｃの位置を特定する（ステップＳ５７）。

次いで制御部３１は、自車両Ｃ及び他車両Ｃの位置情報と、他車両Ｃの測距センサ４ａにて得られた測距情報とに基づいて、他車両Ｃの位置を特定し（ステップＳ５８）、処理を終える。
なお、測距情報にはセンサ識別情報が付加されているため、制御部３１は、複数の測距情報を取得した場合、いずれの測距センサ４ａ又は路側測距センサ６によって得られた測距情報であるかを特定することができる。従って、制御部３１は、異なる複数の測距センサ４ａ又は路側測距センサ６によって同一の他車両Ｃの位置を検出することができ、他車両Ｃの位置精度を向上させることができる。

ステップＳ５２及びステップＳ５３による他車両Ｃの位置特定方法の一例を説明する。
図１０は他車両Ｃの位置特定方法の一例を示す概念図である。図中破線で示した大径の円は、ＧＰＳ１によって検出された位置情報が有する誤差範囲を示している。図中点線で示した小径の円は、測距センサ４ａによって検出される位置の誤差範囲を示している。図１０は、自車両Ｃの周辺を走行している他車両Ｃとの間で車車間通信を行い、該他車両Ｃの位置情報を取得でき、しかも、自車両Ｃの測距センサ４ａを用いて他車両Ｃを検出できた状態を示している。このように、各方法で他車両Ｃの位置を検出できる場合、より測定誤差が小さい測距情報に基づいて特定された他車両Ｃの位置を選択する。

ステップＳ５４による他車両Ｃの位置特定方法の一例を説明する。
図１１は他車両Ｃの位置特定方法の一例を示す概念図である。図中破線で示した円、点線で示した円の意味は図１０と同様である。図１１に示す例においては、他車両Ｃは自車両Ｃの測距センサ４ａの検出範囲外にあり、自車両Ｃの車載無線通信機２は、他車両Ｃの無線通信機との間で車車間通信又は路車間通信を行うことができる状況にある。また、路側測距センサ６を用いて他車両Ｃが検出可能な状況にある。かかる状況で他車両Ｃの位置を特定する方法としては、路側測距センサ６にて得た測距情報を用いて他車両Ｃの位置を特定する方法と、ＧＰＳ１の位置情報を用いて他車両Ｃの位置を特定する方法とがある。この場合、測距情報の検出精度の方がＧＰＳ１より高く、路側通信装置５の位置情報も正確であるため、制御部３１は、より測定誤差が小さい路側の測距情報に基づく他車両Ｃの位置を選択する。

ステップＳ５７による他車両Ｃの位置特定方法の一例を具体的に説明する。
図１２は他車両Ｃの位置特定方法の一例を示す概念図である。図中破線で示した円、点線で示した円の意味は図１０と同様である。図１２に示す例においては、２つの他車両Ｃが走行している。自車両Ｃに近い他車両Ｃを第１の他車両Ｃ、自車両Ｃから遠い他車両Ｃを第２の他車両Ｃとする。第２の他車両ＣはＧＰＳ１及び車載無線通信機２を搭載していないため、該第２の他車両Ｃの位置情報を取得することができない。第２の他車両Ｃは測距センサ４ａの検出範囲外にある。このため、自車両Ｃは自身の測距センサ４ａによって、第２の他車両Ｃの位置を検出することができない。
しかし、第２の他車両Ｃは、第１の他車両Ｃの測距センサ４ａの検出範囲内にあり、第１の他車両Ｃは自車両Ｃの測距センサ４ａの検出範囲内にある。また、自車両Ｃの車載無線通信機２は、第１の他車両Ｃと車車間通信を行うことができる。
かかる状況においては、自車両Ｃは測距センサ４ａによって得られた測距情報によって、自車両Ｃに対する第１の他車両Ｃの位置を特定することができる。また、車車間通信によって得られた、第１の他車両Ｃの測距センサ４ａによって得られた測距情報を利用して、第１の他車両Ｃに対する第２の他車両Ｃの位置を特定することができる。従って、自車両Ｃに対する第２の他車両Ｃの位置も特定することができる。

ステップＳ５８による他車両Ｃの位置特定の一例を具体的に説明する。
図１３は他車両Ｃの位置特定方法の一例を示す概念図である。図中破線で示した円、点線で示した円の意味は図１０と同様である。図１３に示す例においては、２つの他車両Ｃが走行している。自車両Ｃに近い他車両Ｃを第１の他車両Ｃ、自車両Ｃから遠い他車両Ｃを第２の他車両Ｃとする。第２の他車両ＣはＧＰＳ１及び車載無線通信機２を搭載していないため、該第２の他車両Ｃの位置情報を取得することができない。第２の他車両Ｃは測距センサ４ａの検出範囲外にある。このため、自車両Ｃは自身の測距センサ４ａによって、第２の他車両Ｃの位置を検出することができない。
しかし、第２の他車両Ｃは、第１の他車両Ｃの測距センサ４ａの検出範囲内にあり、自車両Ｃの車載無線通信機２は、第１の他車両Ｃと車車間通信を行うことができる。
かかる状況においては、自車両Ｃは、ＧＰＳ１によって得られた自車両Ｃの位置情報と、車車間通信によって得られた他車両Ｃの位置情報とによって、自車両Ｃに対する第１の他車両Ｃの位置を特定することができる。また、車車間通信によって得られた、第１の他車両Ｃの測距センサ４ａによって得られた測距情報を利用して、第１の他車両Ｃに対する第２の他車両Ｃの位置を特定することができる。従って、自車両Ｃに対する第２の他車両Ｃの位置も特定することができる。

図６に戻り、ステップＳ１５以降の説明を行う。制御部３１は、記憶部３２が記憶する情報を参照し、他車両Ｃの表示モードが警告表示モードであるか否かを判定する（ステップＳ１５）。使用者は、表示モードを操作部３５によって選択することができ、使用者によって選択された表示モードの選択結果は記憶部３２に記憶されている。

警告表示モードが選択されていないと判定した場合（ステップＳ１５：ＮＯ）、つまり標準モードが選択されている場合、制御部３１は、ステップＳ１３で特定された他車両Ｃの位置、受信した道路情報、歩行者の位置情報に基づいて、交差点の道路画像上に他車両Ｃ及び歩行者の位置を表した画像を表示部３６に表示させる（ステップＳ１６）。

図１４は他車両表示画面の一例を示す模式図である。図１４Ａ及び図１４Ｂは異なる時点で表示部３６に表示された画像である。制御部３１は、路側通信装置５から得た道路情報に基づく交差点の道路を表示部３６に表示する。また、制御部３１は、自車両Ｃを中央に表示し、他車両Ｃを該他車両Ｃの位置に応じた箇所に表示する。更に、制御部３１は、路側通信装置５から得た歩行者の位置情報に基づいて、交差点の該当する箇所に歩行者の画像を表示する。
なお、制御部３１は自車両Ｃ及び他車両Ｃを異なる態様で表示するように構成すると良い。また、路車間通信及び車車間通信の機能を有する車両Ｃと、該機能を有しない車両Ｃとを異なる態様で表示するように構成すると良い。例えば、図１４中、細かいハッチングが付された矩形画像は自車両Ｃを示し、粗いハッチングが付された矩形画像は前記機能を有する他車両Ｃを示し、白抜きの矩形画像は前記機能を有しない他車両Ｃを示している。なお、他車両Ｃが前記機能を有しているか否かは、車車間通信の結果から確認することができる。各矩形画像の短辺に描かれた三角画像は、各車両Ｃの進行方向を示している。各車両Ｃの進行方向は、各車両Ｃの位置の経時変化に基づいて特定することができる。図１４Ａの表示から、運転者は自車両Ｃの左側に歩行者及び他車両Ｃが存在し、自車両Ｃの右側にも歩行者及び他車両Ｃが存在していることを認識することができる。他車両Ｃの位置は、路車間通信又は車車間通信によって得られた測距情報及び位置情報から特定されたものであるため、自車両Ｃから死角になる位置に存在する他車両Ｃも表示される。
図１４Ａに示す画像が表示部３６に表示された後、一定時間が経過して自車両Ｃが交差点を通過した場合、図１４Ｂに示すような画像が表示される。制御部３１は、道路、各車両Ｃ及び歩行者の画像を所定時間毎、例えば１秒毎に更新する。車両Ｃの運転者は、自車両Ｃを基準とした他車両Ｃの位置、距離及び進行方向、並びにその時間変化を認識することができる。なお、制御部３１は、自車両Ｃがさらに進行し、道路情報が示す道路の外側まで移動した場合、道路の画像を非表示にし、自車両Ｃ及び他車両Ｃの画像のみを表示部３６に表示する。

警告表示モードが選択されていると判定した場合（ステップＳ１５：ＹＥＳ）、制御部３１は、ステップＳ１４で特定された危険車両の位置、受信した道路情報に基づいて、交差点の道路画像上に危険車両の位置を表した画像を表示部３６に表示させる（ステップＳ１７）。

図１５は危険車両表示画面の一例を示す模式図である。図１５Ａ及び図１５Ｂは異なる時点で表示部３６に表示された画像である。制御部３１は、図１４と同様、交差点の道路を表示部３６に表示する。また、制御部３１は、自車両Ｃを中央に表示し、危険車両の位置に、危険車両が存在する旨を表した画像を表示する。例えば「危険！！」の文字を表示する。危険車両が存在する旨を表した画像は、該危険車両に対応する箇所に表示すると良い。
図１５Ａの表示から、運転者は自車両Ｃの前方に危険車両が存在していることを認識することができる。例えば、運転者は追突の危険がある危険車両の存在を認識することができる。同様にして、図１５Ｂの表示から、運転者は自車両Ｃの左右及び後方に危険車両が存在していることを認識することができる。

次いで、制御部３１は、ステップＳ１４の処理結果に基づいて、自車両Ｃに対する危険車両が存在するか否かを判定する（ステップＳ１８）。危険車両が存在すると判定した場合（ステップＳ１８：ＹＥＳ）、制御部３１は危険車両に応じた警告処理を実行し（ステップＳ１９）、危険車両に係る情報を車車間通信又は路車間通信により他の車載無線通信機２へ送信する（ステップＳ２０）。

ステップＳ２０の処理を終えた場合、又は危険車両が存在しないと判定した場合（ステップＳ１８：ＮＯ）、制御部３１は、歩行者情報に基づいて、交差点に歩行者があるか否かを判定する（ステップＳ２１）。歩行者が存在しないと判定した場合（ステップＳ２１：ＮＯ）、制御部３１は処理を終える。歩行者があると判定した場合（ステップＳ２１：ＹＥＳ）、制御部３１は、歩行者が存在する旨を警告部３７にて警告し（ステップＳ２２）、処理を終える。例えば、制御部３１は警告部３７にて警告音を発する。なお、歩行者が存在する場合、常に警告を発するように構成しても良いし、車両Ｃの進行方向に歩行者がいる場合、車両Ｃの進行方向を横切る方向へ移動している歩行者がいる場合に警告するように構成しても良い。歩行者の移動方向は、定期的に受信する歩行者の位置情報から求めることができる。

このように構成された位置検出システム及び車載情報処理装置３によれば、各車両Ｃの車載情報処理装置３は、路側通信装置５の路側測距センサ６によって検出して得た測距情報を利用することによって、ＧＰＳ１及び車載無線通信機２が搭載されていない他車両Ｃの位置を特定することができる。

また、各車両Ｃの無線通信機は、位置情報を他の車載無線通信機２との間で送受信することによって、各車両Ｃは前記位置情報を共有することができる。そして、各車両Ｃの車載情報処理装置３は、自車両Ｃの位置情報と、他車両Ｃの位置情報とに基づいて、自車両Ｃに対する他車両Ｃの位置を特定することができる。

更に、車載情報処理装置３は、異なる複数の方法で他車両Ｃの位置を特定するが、異なる２つ以上の方法で同一の他車両Ｃの位置が特定されたか否かを判定する。制御部３１は、重複して同一の他車両Ｃの位置が特定されている場合、いずれか一つの位置を選択するため、同一の他車両Ｃが別の他車両Ｃとして重複して特定されることを防止することができる。

特に本実施形態においては、車載情報処理装置３の制御部３１は、異なる２つ以上の方法で同一の他車両Ｃの位置が特定された場合、主に測距情報に基づいて特定された他車両Ｃの位置を選択する。測距情報の方が位置情報より精度が高いため、より高い精度で他車両Ｃの位置を特定することができる。

各車両Ｃの車載情報処理装置３は、自車両Ｃ又は他車両Ｃの測距センサ４ａによって検出して得た測距情報を利用することによって、ＧＰＳ１及び車載無線通信機２が搭載されていない他車両Ｃの位置を特定することができる。また、他車両Ｃの測距センサ４ａによって検出して得た測距情報を利用することによって、ＧＰＳ１及び車載無線通信機２が搭載されておらず、しかも自車両Ｃに搭載された測距センサ４ａの検出範囲外にある他車両Ｃの位置も特定することができる。

更にまた、車載情報処理装置３は地図情報等を記憶していなくても、交差点の道路画像上に他車両Ｃの位置を表した画像を表示部３６に表示させることができる。

更にまた、警告部３７は、位置特定部によって特定された他車両Ｃの位置に応じて警告を発することができる。例えば、自車両Ｃと、他車両Ｃとの距離が所定距離未満である場合等、自車両Ｃに他車両Ｃが衝突する危険があるような場合、警告部３７は警告を発することができる。

更にまた、車載情報処理装置３は、歩行者の位置情報と、自車両Ｃの位置情報とに基づいて、自車両Ｃに対する歩行者の位置を特定することができる。

更にまた、交差点の道路画像を表示部３６に表示し、道路画像上に他車両Ｃ及び歩行者の位置を表示することができる。

更にまた、警告部３７は、位置特定部によって特定された他車両Ｃの位置、及び歩行者位置特定部にて特定した歩行者の位置に応じて警告を発することができる。
なお、上述の実施形態では、他車両Ｃの位置を特定する種々の方法を説明したが、それぞれの方法を任意に組み合わせて位置検出システム及び車載情報処理装置３を構成することができる。また仕様によっては、一部の方法を省いても、本発明に係る位置検出システム及び車載情報処理装置３を構成することもできる。

１ ＧＰＳ
２ 車載無線通信機
３ 車載情報処理装置
４ 測距ＥＣＵ
４ａ 測距センサ
５ 路側通信装置
６ 路側測距センサ
７ 歩行者検出部
２１ 通信制御部
２２ 入力部
２３ 第１車内通信部
２４ 第２車内通信部
２５ 送信部
２６ 受信部
３１ 制御部
３２ 記憶部
３３ 時計
３４ 車内通信部
３５ 操作部
３６ 表示部
３７ 警告部
５１ 路側制御部
５２ 路側無線通信機
５３ 路側記憶部
Ｃ 車両

Claims (11)

1. 複数の車両との間で無線通信を行う路側通信装置と、複数の車両にそれぞれ搭載され、各車両の位置を検出する位置検出部と、各車両の前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信にて送受信する複数の車載無線通信機と、該車載無線通信機にて受信した位置情報に基づいて、前記車載無線通信機が搭載された自車両を基準とした他車両の位置を特定する車載情報処理装置とを備える位置検出システムであって、
   前記路側通信装置に設けられており、該路側通信装置と車両との距離及び該路側通信装置を基準とした車両の方向を検出する路側測距センサを備え、
   前記路側通信装置は、
   前記路側測距センサにて検出した距離及び方向を含む測距情報並びに前記路側通信装置の位置情報を前記車載無線通信機へ送信する路側送信部を備え、
   前記車載無線通信機は、
   前記路側通信装置から送信された測距情報及び位置情報を受信する受信部を備え、
   前記車載情報処理装置は、
   前記受信部にて受信した測距情報及び位置情報、並びに該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する位置特定部を備える位置検出システム。
2. 前記車載無線通信機は、
   該車載無線通信機が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信又は車車間通信にて他の前記車載無線通信機へ送信する送信部を備え、
   前記受信部は、
   他の前記車載無線通信機から路車間通信又は車車間通信にて送信された位置情報を受信するようにしてあり、
   前記車載情報処理装置の前記位置特定部は、
   前記受信部にて受信した他車両の位置情報、及び該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する
   請求項１に記載の位置検出システム。
3. 前記位置特定部は、
   自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報、及び他車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する第１位置特定部と、
   測距情報、前記路側通信装置の位置情報、及び自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する第２位置特定部と、
   前記第１位置特定部にて特定される位置及び前記第２位置特定部にて特定される位置のいずれか一つを選択する選択部と
   を備える請求項２に記載の位置検出システム。
4. 前記路側測距センサの検出精度は、前記位置検出部の検出精度より高く、
   前記選択部は、
   前記第２位置特定部にて特定した他車両の位置を選択する
   請求項３に記載の位置検出システム。
5. 各車両に設けられており、自車両と他車両との距離及び自車両を基準とした他車両の方向を検出する測距センサを備え、
   前記車載無線通信機は、
   該車載無線通信機が搭載された自車両の前記測距センサにて検出した距離及び方向を含む測距情報並びに前記位置検出部にて検出した位置情報を、前記路側通信装置を介した路車間通信又は車車間通信にて他の前記車載無線通信機へ送信する送信部を備え、
   前記受信部は、
   他の前記車載無線通信機から路車間通信又は車車間通信にて送信された測距情報及び位置情報を受信するようにしてあり、
   前記車載情報処理装置の前記位置特定部は、
   前記受信部にて受信した測距情報及び位置情報、並びに該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報又は自車両の前記測距センサにて検出した距離及び方向に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する
   請求項１に記載の位置検出システム。
6. 前記路側通信装置は、
   交差点に設けられており、該交差点の道路を表した道路情報を記憶する記憶部を備え、
   前記路側送信部は、前記記憶部が記憶する道路情報を前記車載無線通信機へ送信し、前記車載無線通信機の前記受信部は前記路側通信装置から送信された道路情報を受信するようにしてあり、
   前記受信部にて受信した道路情報及び前記位置特定部にて特定した他車両の位置に基づいて、交差点の道路画像上に他車両の位置を表した画像を表示する表示部を備える
   請求項１〜請求項５のいずれか一つに記載の位置検出システム。
7. 前記位置特定部にて特定した他車両の位置に応じて警告を発する警告部
   を備える請求項１〜請求項６のいずれか一つに記載の位置検出システム。
8. 前記路側通信装置は、
   交差点に設けられており、該交差点の歩行者を検出する歩行者検出部を備え、
   前記路側送信部は、前記歩行者検出部にて検出した歩行者の位置情報を前記車載無線通信機へ送信し、前記車載無線通信機の前記受信部は前記路側通信装置から送信された歩行者の位置情報を受信するようにしてあり、
   前記車載情報処理装置は、
   前記受信部にて受信した歩行者の位置情報、及び該車載情報処理装置が搭載された自車両の前記位置検出部にて検出した位置情報に基づいて、自車両に対する歩行者の位置を特定する歩行者位置特定部を備える
   請求項１〜請求項５のいずれか一つに記載の位置検出システム。
9. 前記路側通信装置は、
   交差点の道路を表した道路情報を記憶する記憶部を備え、
   前記路側送信部は、前記記憶部が記憶する道路情報を前記車載無線通信機へ送信し、前記車載無線通信機の前記受信部は前記路側通信装置から送信された道路情報を受信するようにしてあり、
   前記受信部にて受信した道路情報、前記位置特定部にて特定した他車両の位置、及び前記歩行者位置特定部にて特定した歩行者の位置に基づいて、交差点の道路画像上に他車両及び歩行者の位置を表した画像を表示する表示部を備える
   請求項８に記載の位置検出システム。
10. 前記位置特定部にて特定した他車両の位置及び前記歩行者位置特定部にて特定した歩行者の位置に応じて警告を発する警告部
    を備える請求項８又は請求項９に記載の位置検出システム。
11. 自車両の位置を検出する位置検出部が搭載された自車両に対する他車両の位置を特定する車載情報処理装置であって、
    路側通信装置と他車両との距離及び該路側通信装置を基準とした車両の方向を含む測距情報、並びに前記路側通信装置の位置情報を取得する取得部と、
    該取得部にて取得した測距情報及び位置情報、並びに自車両の前記位置検出部にて検出した自車両の位置情報に基づいて、自車両に対する他車両の位置を特定する位置特定部と
    を備える車載情報処理装置。

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