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JP2016026486A - 脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、糖尿病モデル非ヒト動物、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、糖尿病モデル細胞、スクリーニング方法、脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法、脊柱靱帯骨化症診断用キット、及び脊柱靱帯骨化症治療剤 - Google Patents

脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、糖尿病モデル非ヒト動物、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、糖尿病モデル細胞、スクリーニング方法、脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法、脊柱靱帯骨化症診断用キット、及び脊柱靱帯骨化症治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】脊柱靱帯骨化症のモデルとなる、脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物を提供する。
【解決手段】1)CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されている脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。2)前記CXCL7遺伝子の機能の欠損又は抑制が、CXCL7遺伝子又はその発現制御領域における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換によるものである前記脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。3)前記miRNA−340の発現の亢進がmiRNA−340の導入によるものである前記脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
【選択図】なし

Description

本発明は、脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、糖尿病モデル非ヒト動物、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、糖尿病モデル細胞、スクリーニング方法、脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法、脊柱靱帯骨化症診断用キット、及び脊柱靱帯骨化症治療剤に関する。
脊柱靱帯骨化症(OSL)は、骨化した靱帯の部分により、後縦靱帯骨化症(OPLL)、黄色靱帯骨化症、前縦靱帯骨化症などに分類されている。
後縦靱帯骨化症(OPLL)は、脊椎椎体の後縁を連結し脊柱のほぼ全長を縦走する後縦靱帯が骨化することにより、脊椎管狭窄をきたし、脊髄または神経根の圧迫障害を来す疾患である。後縦靱帯骨化症(OPLL)は、発症部分が頸椎であるため四肢麻痺を伴い、重篤な疾患である。頸椎に最も多いが、胸椎や腰椎にも生じる。
黄色靭帯骨化症は、脊髄の後方に存在し、脊椎椎弓間を連結する黄色靭帯が骨化し、脊髄麻痺を生じる疾患であり、胸椎部に好発する。後縦靱帯骨化症患者では、前縦靱帯骨化を中心として、広汎に脊柱靭帯骨化をきたす強直性脊椎骨増殖症を約40%に合併し、また黄色靭帯骨化や棘上靭帯骨化の合併も多く、脊椎靭帯骨化の一部分症として捉える考えもある。
従来、後縦靱帯骨化症の治療としては、前方よりの前方徐圧固定術、後方よりの椎弓切除術、脊柱管拡大術が行われている。また、黄色靱帯骨化症の治療としては、椎弓切除術が行われている。これらの疾患の予後として、脊椎麻痺の多くは進行性であり、転倒などの軽微な外傷で、急に麻痺の発生や憎悪をきたすことがある。長期にわたり麻痺を放置すると、全横断性脊髄麻痺となり、手術を行っても回復は得られ難い。
このように、脊柱靱帯骨化症には有効な治療法が確立されていないのが現状である。
発明者らはこれまでに、脊柱靭帯骨化症、とりわけ後縦靭帯骨化症の患者における、タンパク質等の発現状態の検討を行ってきた。その結果、脊柱靱帯骨化症の患者の血漿中には、健常人の血漿中には存在するケモカインの1種であるpro-platelet basic protein (chemokine (C-X-C motif) ligand 7)CXCL7由来のペプチド断片が認められず欠損することを見出した(特許文献1)。
しかし、これまでに、CXCL7の欠損と後縦靱帯骨化症の発症との関連、すなわちCXCL7の欠損が後縦靱帯骨化症発症の原因となるかどうかは、実証されていなかった。また、これまでに、後縦靱帯骨化症発症のモデルとなる非ヒト動物に関する報告もなされていない。
特開2011−97867号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、糖尿病モデル非ヒト動物、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、糖尿病モデル細胞、該非ヒト動物又は該脊柱靱帯骨化症モデル細胞を用いた脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の提供を課題とする。また、新規マーカーによる脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法、脊柱靱帯骨化症診断用キット、及び脊柱靱帯骨化症治療剤の提供を課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、染色体上のCXCL7遺伝子配列の一部を欠損させたマウスが、脊柱靱帯骨化症に特徴的な表現型を有していることを見出した。加えて、該マウスは、糖尿病に特徴的な表現型を有していることを見出した。またCXCL7の発現が抑制された細胞が、脊柱靱帯骨化症に特徴的な表現型を有していることを見出した。さらに、本発明者は、後縦靭帯骨化症患者では血中のmiRNA-340の発現量が顕著に増大していることを見出し、この分子を標的とすることで脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出が可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有する脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、糖尿病モデル非ヒト動物、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、糖尿病モデル細胞、スクリーニング方法、脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法、脊柱靱帯骨化症診断用キット、及び脊柱靱帯骨化症治療剤を提供するものである。
(1)CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されていることを特徴とする脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
(2)前記CXCL7遺伝子の機能の欠損又は抑制が、CXCL7遺伝子又はその発現制御領域における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換によるものである前記(1)に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
(3)前記CXCL7遺伝子が、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子である前記(1)又は(2)に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
(4)前記miRNA−340の発現の亢進がmiRNA−340の導入によるものである前記(1)に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
(5)前記miRNA−340が、配列番号6で表されるRNA配列からなるポリヌクレオチドである前記(1)又は(2)に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
(6)CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA340の発現が亢進されていることを特徴とする糖尿病モデル非ヒト動物。
(7)CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されていることを特徴とする脊柱靱帯骨化症モデル細胞。
(8)平行線維性結合組織の細胞である前記(7)に記載の脊柱靱帯骨化症モデル細胞。
(9)CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されていることを特徴とする糖尿病モデル細胞。
(10)前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に、該脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物より得られる細胞に、或いは前記(7)又は(8)に記載の脊柱靱帯骨化症モデル細胞に被験物質を投与することを特徴とする脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法。
(11)前記被験物質を投与した後に、病変部の骨形態を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断する、前記(10)に記載の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法。
(12)前記被験物質を投与した後に、miRNA−340の発現を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断する、前記(10)又は(11)に記載の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法。
(13)生体試料中のmiRNA−340を検出することを特徴とする脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法。
(14)miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブを用いる前記(13)に記載の脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法。
(15)miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブを含むことを特徴とする脊柱靱帯骨化症診断用キット。
(16)miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを有効成分とすることを特徴とする脊柱靱帯骨化症治療剤。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物及び本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞によれば、脊柱靱帯骨化症のモデルを提供することができる。また、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物及び本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞によれば、これらを用いることにより脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニングを行うことができる。また、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物及び本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞によれば、脊柱靱帯骨化症発症メカニズムの解明に寄与する。
本発明の糖尿病モデル非ヒト動物及び本発明の糖尿病モデル細胞によれば、糖尿病のモデルを提供することができる。
本発明の脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法、及び脊柱靱帯骨化症診断用キットによれば、脊柱靱帯骨化症の病状に関する情報を得ることができる。
本発明の脊柱靱帯骨化症治療剤によれば、脊柱靱帯骨化症の治療が可能となる。
ターゲッティングベクター及びターゲッティングベクターで置き換えられるマウスゲノムを表す模式図である。 ノックアウトマウス(KO)と野生型マウス(WT)の体重変化を比較したグラフである。 ノックアウトマウスと野生型マウスの血中及び尿中グルコースの値を比較したグラフである。 ノックアウトマウスと野生型マウスの飲水量を比較したグラフである。 ノックアウトマウスの脊椎の縦断面の3D−CT画像である。 後縦靭帯骨化症の分類を示す模式図である。 ノックアウトマウスの後縦靭帯にみられる靭帯骨化の様子を示す写真である。 骨形態計測のための標識物質投与のスケジュールを説明する図である。 ノックアウトマウスの膵臓ランゲルハンス島における、グルカゴンの分泌の様子を示す写真である。 ノックアウトマウスの膵臓組織のHE染色像である。 後縦靭帯骨化症患者と健常者の血漿中のmiR−340の発現量を比較したグラフである。 in situ hybridizationによるmiR−340の発現の様子の解析結果を示す画像である。 後縦靭帯骨化症の連続型(continuation type)の患者と混合型(mixed type)の患者でのCXCL7タンパク質発現量を比較したグラフである。 FACS (fluorescence activated cell sorting)を行い、骨化を示すBMP-2タンパク質を発現する細胞を測定した結果を示すグラフである。(B)ウマ間葉系幹細胞にPRELP遺伝子を導入して作製した靭帯組織の細胞に対する計測結果,(A)該靭帯組織をshRNA-CXCL7にてノックダウンした後の靭帯組織の細胞に対する計測結果。 shRNAによってCXCL7が抑制された細胞、及びmiR-340 inhibitorによってmiR-340が抑制された細胞における、骨化の程度を示す染色結果である。 shRNAによってCXCL7が抑制された細胞、miRNA-340が導入された細胞、及びmiR-340 inhibitorによってmiR-340が抑制された細胞における、CXCL7及び骨化マーカーの発現量を比較したグラフである。 脊椎組織の細胞から抽出した、TRAF3及びユビキチンの電気泳動像を示す画像である。 ノックアウトマウスの脊椎組織及びヒトOPLL患者の脊椎組織に対し、ユビキチン抗体染色を行った結果を示す画像である。
≪脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物≫
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されているものである。
<第一実施形態>
本実施形態に係る脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されているものである。
遺伝子の機能が欠損しているとは、遺伝子産物が動物体内に全く存在しないか、遺伝子産物が動物体内に存在していても、その機能が喪失している状態の両方を含む。CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されていることは、モデル動物種の正常群(野生型)と比較して、有意にCXCL7の機能が欠損又は抑制されている状態を指す。遺伝子の機能が抑制されているとは、脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態若しくは形質が表れる、又は脊柱靱帯骨化症を発症させることのできる程度に遺伝子の機能が抑制されていることを指す。遺伝子産物としては、転写産物であるmRNA、それが翻訳されたタンパク質が挙げられる。動物体内における遺伝子機能の欠損及び抑制は、遺伝子産物の構造変化、遺伝子産物の量の低下等によって引き起こされることが知られている。
したがって、前記CXCL7遺伝子の機能の欠損又は抑制は、CXCL7遺伝子又はその発現制御領域における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換によって生じたものを例示することができる。
CXCL7遺伝子とはCXCL7構造遺伝子であり、CXCL7遺伝子の発現制御領域としてはプローモーター、サイレンサー、エンハンサー等が挙げられる。
前記「非ヒト動物」とは、ヒト以外の動物であれば特に制限されないが、哺乳動物であることが好ましく、げっ歯類に分類される動物であることがさらに好ましい。非ヒト動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、サルが挙げられる。
配列番号1で表されるアミノ酸配列は、ヒトのCXCL7タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号2で表される塩基配列は、ヒトのCXCL7遺伝子の塩基配列(コーディング領域の配列)である。
配列番号3で表されるアミノ酸配列は、マウス(Mus musculus)のCXCL7タンパク質(Ppbp(pro-platelet basic protein)タンパク質)のアミノ酸配列である。配列番号4で表される塩基配列は、マウスのCXCL7遺伝子(ppbp遺伝子)の塩基配列(コーディング領域の配列)である。
モデル動物となる非ヒト動物のCXCL7遺伝子は、既にヒト又はマウスのCXCL7遺伝子のオーソログであることが報告されているものについては、その情報に基づいて判断可能である。また、ヒト又はマウスのCXCL7遺伝子のオーソログであることが報告されていないものについても、当業者であれば、例えば、上記ヒト又はマウスのCXCL7遺伝子の配列をもとに、公知の手法を用いて、各非ヒト動物におけるヒト又はマウスのCXCL7遺伝子のホモログ及びオーソログを判断することができる。
モデル動物となる非ヒト動物のCXCL7遺伝子の一例として、以下(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
(A)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B)配列番号3で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ脊柱靱帯骨化症改善活性を有するポリペプチド、
(C)配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ脊柱靱帯骨化症改善活性を有するポリペプチド
前記(B)のポリペプチドにおいて、配列番号3で表されるアミノ酸配列に対して欠失、置換又は付加されるアミノ酸の数は、1〜30個が好ましく、1〜20個が好ましく、1〜10個がより好ましく、1〜5個がさらに好ましい。
前記(C)のポリペプチドにおいて、配列番号3で表されるアミノ酸配列との同一性は、80%以上であれば特に限定されないが、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。
アミノ酸配列同士の同一性は、当該技術分野で公知の各種相同性検索ソフトウェアを用いて求めることができる。本発明におけるアミノ酸配列の同一性の値は、公知の相同性検索ソフトウェアBLASTにより得られたアライメントを元にした計算によって得ることができる。
モデル動物となる非ヒト動物のCXCL7遺伝子にスプライシングバリアントや、トランケート型タンパク質が存在する場合、それらもCXCL7遺伝子産物として含まれる。
本実施形態のモデル動物に複数のCXCL7対立遺伝子がある場合、CXCL7遺伝子の欠失、挿入、付加、若しくは置換は、モデル動物となる動物に脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態若しくは形質が表れる、又はモデル動物となる動物が脊柱靱帯骨化症を発症する範囲において、一部のCXCL7対立遺伝子における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換であってもよい。マウスを例とすると、例えば、2つのCXCL7対立遺伝子のうち、片方のCSCL7遺伝子における欠失、挿入、付加、若しくは置換によりCXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されていてもよい。
<第二実施形態>
本実施形態の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、miRNA−340の発現が亢進されているものである。なお、先に記載の[第一実施形態]と共通する点については、説明を省略する。
配列番号5及び6で表されるRNA配列は、それぞれヒト及びマウスのmiRNA−340の核酸配列である。
miRNAの発現が亢進されているとは、モデル動物種の正常群(野生型)と比較して、有意にmiRNAの発現量が増加している状態を指す。
miRNAの発現の亢進は、例えば、モデル動物となる動物の体内へmiRNA−340を導入することにより生じさせることができる。ここで、miRNA−340とは、miRNA−340そのものの他、Primary miRNA(pri-miRNA)に代表されるmiRNA前駆体、並びにゲノム上にコードされるmiRNA−340の対応領域及びmiRNA前駆体の対応領域を含む。miRNA−340を導入するとは、ゲノム上に導入されていてもよく、動物体内に導入されゲノム上に導入されていなくてもよい。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態又は形質を有することが好ましい。本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、脊柱靱帯骨化、四肢麻痺、低代謝回転骨状態、脊髄側皮質骨幅菲薄化、糖尿病発症、I型糖尿病発症、高血糖、高グルカゴン値、糖尿病性腎症、BMI(体格指数:Body Math Index)の肥満を示す高値、及びmiRNA−340高発現からなる群から選ばれる少なくとも1つの病態又は形質を有していることがより好ましい。これらの病態又は形質は、脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態又は形質である。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物由来の個体(次世代個体等)であっても、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されており、且つ脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態又は形質を有する場合には、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に含めるものとする。
ヒトの脊柱靱帯骨化症患者では、高血糖の病態を呈し、糖尿病を併発する場合がある。また後述実施例で作製したCXCL7ノックアウトマウスでも、ヒトの場合と同様に糖尿病の病状を示していた。このことから、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA340の発現が亢進されていることを特徴とする糖尿病モデル非ヒト動物を包含する。
本発明の糖尿病モデル非ヒト動物は、糖尿病発症、I型糖尿病発症、高血糖、高グルカゴン値、糖尿病性腎症、及びBMI(体格指数:Body Math Index)の肥満を示す高値、からなる群から選ばれる少なくとも1つの病態又は形質を有していることがより好ましい。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物及び本発明の糖尿病モデル非ヒト動物の製造方法は、モデル非ヒト動物となる動物の、CXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制させる、或いはmiRNA−340の発現を亢進させることができるものであれば特に制限されず、それぞれCXCL7遺伝子又はその発現制御領域における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換、或いはmiRNA−340の導入に代表される。これらは、公知のトランスジェニック動物等の製造方法に沿って実施することができる。例えば、人為的なゲノムへの変異導入、遺伝子ターゲッティングによるノックアウト若しくはノックダウン、RNA干渉、リボザイム等を利用したノックダウンを例示できる。
CXCL7を標的とするRNA干渉を誘導する方法としては、CXCL7の発現を抑制し得るRNAi誘導性核酸をモデル動物となる非ヒト動物の細胞に導入することが挙げられる。RNAi誘導性核酸としては、配列番号4で表される塩基配列に基づいて設計されたものが挙げられ、配列番号4で表される塩基配列の全部又は部分配列からなるセンス鎖、及びそれに相補的な配列からなるアンチセンス鎖を有する核酸が挙げられる。前記部分配列の配列長としては、19〜341塩基、20〜100塩基、21〜39塩基等が挙げられる。
配列番号4で表される塩基配列の部分配列からなるセンス鎖としては、配列番号9で表される塩基配列中の5番目から23番目の塩基からなる塩基配列が特に好ましい。
CXCL7遺伝子又はその発現制御領域における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換も、当業者に一般的な方法により実施することができる。モデル動物となる動物にmiRNA−340を導入することも、当業者に一般的な方法により実施することができる。例えば、後述の実施例で示すように、Cre/loxPシステムを用いた遺伝子組み換え技術により実施することができる。
本発明の一実施形態として、上記の、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されている非ヒト動物を、脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物として使用する方法を提供する。
本発明の一実施形態として、上記の、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されている非ヒト動物を、糖尿病モデル非ヒト動物として使用する方法を提供する。
≪脊柱靱帯骨化症モデル細胞・・糖尿病モデル細胞≫
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞は、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されているものである。
CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されている状態としては、上記≪脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物≫において説明したものと同様である。また、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法及び糖尿病モデル細胞について、上記≪脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物≫等において説明した内容を、動物を細胞と読み替えることにより説明可能な点について、説明を省略する。
脊柱靱帯骨化症モデル細胞の、細胞の種類は特に制限されないが、平行線維性結合組織の細胞であることが好ましく、腱・又は靭帯の細胞であることがより好ましい。「平行線維性結合組織」とは、膠原線維が一方向に並列配列した密性結合組織をいい、例えば、腱又は靭帯である。平行線維性結合組織の細胞とは、通常の平行線維性結合組織を構成している細胞である。腱又は靭帯の細胞とは、通常の腱又は靭帯を構成している細胞である。
平行線維性結合組織の細胞は、他の種類の細胞から分化誘導されて得られた平行線維性結合組織の細胞、又は、他の種類の細胞から分化誘導されて得られた平行線維性結合組織様の細胞であってもよい。腱又は靭帯の細胞は、他の種類の細胞から分化誘導されて得られた腱若しくは靭帯の細胞、又は、他の種類の細胞から分化誘導されて得られた腱様若しくは靭帯様の細胞であってもよい。
ここで、他の種類の細胞とは、多能性細胞、幹細胞(人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、間葉系幹細胞)、腱・靭帯前駆細胞、線維芽細胞を例示できるが、これらの細胞に制限されない。
平行線維性結合組織様の細胞とは、既知の平行線維性結合組織の前駆細胞又は平行線維性結合組織の細胞に顕著な様々な表現型のうち少なくとも1つを有するものである。腱様若しくは靭帯様の細胞とは、既知の腱・靭帯前駆細胞又は腱・靭帯細胞に顕著な様々な表現型のうち少なくとも1つを有するものである。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞は、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物と同様に脊柱靱帯骨化症モデルとして使用可能であり、製造や扱いが容易であって利便性に優れる。
脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法は、平行線維性結合組織の細胞の、CXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制させる、或いはmiRNA−340の発現を亢進させることで行うことができる。平行線維性結合組織の細胞の、CXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制させる、或いはmiRNA−340の発現を亢進させる方法については、上記≪脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法は、例えば、後述の実施例で示すように、CXCL7遺伝子に対するRNA干渉により、CXCL7の発現を抑制することにより実施することができる。RNA干渉によるものとしては、CXCL7に対するsiRNA、shRNA、アンチセンス核酸等を細胞に導入することを例示できる。
前記平行線維性結合組織の細胞は、他の種類の細胞から分化誘導されたものであってもよい。他の種類の細胞とは、上記脊柱靱帯骨化症モデル細胞において説明したものと同様のものを例示でき、間葉系幹細胞が好ましい。
間葉系幹細胞から分化誘導して平行線維性結合組織を得る方法としては、特開2013−94098号明細書「平行線維性結合組織の製造方法」に記載の、Proline/arginine-rich end leucine-rich repeat protein(PRELP)を用いる方法が挙げられる。
CXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制させる、或いはmiRNA−340の発現を亢進させる対象としては、平行線維性結合組織又は平行線維性結合組織の細胞が好ましい。また、平行線維性結合組織は、他の種類の細胞から分化誘導されて得られたものであってもよいので、任意の細胞でCXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制させる、或いはmiRNA−340の発現を亢進させた後に、これを平行線維性結合組織又は平行線維性結合組織の細胞へと分化誘導してもよい。
したがって、脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法の一実施形態として、
PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞を培養した後、培養された前記間葉系幹細胞に対して、RNA干渉によりCXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制可能な核酸又は該核酸を発現可能なベクターを導入することを含む脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法を例示できる。
また、別の、脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法の一実施形態として、
間葉系幹細胞に対してRNA干渉によりCXCL7遺伝子の機能を欠損又は抑制可能な核酸又は該核酸を発現可能なベクターを導入した後、PRELPと接触させた状態で、前記間葉系幹細胞を培養することを含む脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法を例示できる。
更には、脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法の一実施形態として、
PRELPと接触させた状態で間葉系幹細胞を培養した後、培養された前記間葉系幹細胞に対して、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを導入することを含む脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法を例示できる。
また、別の、脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法の一実施形態として、
間葉系幹細胞に対して、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを導入した後、PRELPと接触させた状態で、前記間葉系幹細胞を培養することを含む脊柱靱帯骨化症モデル細胞の製造方法を例示できる。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物の場合と同様に、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞は、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA340の発現が亢進されている糖尿病モデル細胞を包含する。
本発明の一実施形態として、上記の、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されている細胞を、脊柱靱帯骨化症モデル細胞として使用する方法を提供する。
本発明の一実施形態として、上記の、CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されている細胞を、糖尿病モデル細胞として使用する方法を提供する。
≪スクリーニング方法≫
本発明の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法は、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に、該脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物より得られる細胞に、又は本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞に被験物質を投与するものである。投与される被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤の有効成分の候補である。
被験物質としては特に制限はなく、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、低分子化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液等が挙げられる。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞、本発明に係る脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物から得られた細胞、及び該細胞の集合である組織、器官も脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に由来する表現型を有しているので、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法に使用可能である。また、脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物と掛け合わせて得られた個体も、脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態又は形質を有する場合には、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法に使用可能である。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、及び本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞は、脊柱靱帯骨化症に特徴的な病態又は形質を示すため、被験物質の投与/非投与によるこれらの病態又は形質の違いを指標として、被験物質が脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤をスクリーニングすることができる。前記形質とは、脊柱靱帯骨化、骨形態、血中成分、行動パターン、遺伝子発現量、BMP−2、RANKL等の骨組織のマーカーの発現量など測定可能なあらゆる項目を対象とし得る。なかでも、脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物を用いる場合には、脊柱靱帯骨化症の最たる特徴である脊柱靱帯骨化をみることが、被験物質による効果を的確に把握するうえで好ましい。脊柱靱帯骨化症モデル細胞を用いる場合には、骨組織のマーカータンパク質量を測定することが、被験物質による効果を的確に把握するうえで好ましい。
本発明の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、病変部の骨形態を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
例えば、骨組織のマーカーの発現を指標にする場合、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル細胞に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較して、骨組織のマーカーの発現が減少している場合、投与した被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤となり得ると判定することができる。
脊柱靱帯骨化症では、本来靭帯であるべき部分が骨化するという特徴的な病態を示す。したがって、被験物質を投与した後に、靭帯に異所的に形成された骨の骨形態の異常が改善されたことを指標として、被験物質が脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤となり得るかどうかを判定することができる。骨形態の計測項目としては、骨量、骨面積、骨芽細胞数、石灰化速度、破骨細胞面等を挙げることができる。例えば、骨量の変化を指標にする場合、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較して、靭帯に異所的に形成された骨の骨量が減少している場合、投与した被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤となり得ると判定することができる。
骨形態の計測にあたっては、標識物質を用いて骨を標識することを行ってもよい。骨を標識することにより、より明確に骨形態の情報を得ることができる。標識物質としては、例えば抗体、蛍光物質、アリザリン等をあげることができる。なかでも、テトラサイクリン、カルセイン等の蛍光カルシウムキレート剤を標識物質として用いることが好ましい。蛍光カルシウムキレート剤を被験物質と同時期に投与することで、被験物質投与期間中に形成された骨を標識することができる。
本発明の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、miRNA−340の発現を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
後述する実施例で示すように、本発明者は、ヒトの後縦靭帯骨化症患者の血中において、miRNA−340の発現量が増加していることを見出した。したがって、本発明に係る脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較して、miRNA−340の発現量が低い場合、投与した被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤の有効成分になり得ると判定することができる。
miRNA−340の発現量の測定は、PCR等従来公知の方法により容易に行うことができるので、miRNA−340の発現量を指標として用いることで、スクリーニングをより効果的に行うことができる。
本発明の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、E3ユビキチンリガーゼのリン酸化を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
後述する実施例で示すように、本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、E3ユビキチンリガーゼのリン酸化を検出した。したがって、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較してE3ユビキチンリガーゼのリン酸化のレベルが低い又は非存在の場合、投与した被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤の有効成分になり得ると判定することができる。E3ユビキチンリガーゼのリン酸化の検出は、質量分析等の公知の方法により行うことができる。
マウスのE3ユビキチンリガーゼのアミノ酸配列を配列番号12に示す。後述する実施例において示すように、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、少なくとも、配列番号12で表されるアミノ酸配列中の419番目のセリン及び427番目のセリンが、リン酸化されていることが判明した。したがってこれらのアミノ酸のリン酸化を検出することで、E3ユビキチンリガーゼのリン酸化を検出してもよい。
配列番号12以外のE3ユビキチンリガーゼであっても、配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンに対応するアミノ酸部位のリン酸化を検出することで、E3ユビキチンリガーゼのリン酸化を検出してもよい。
本発明の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、TRAF3(tumor necrosis factor-associated facor 3)のリン酸化を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
後述する実施例で示すように、本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、TRAF3のリン酸化を検出した。したがって、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較してTRAF3のリン酸化のレベルが低い又は非存在の場合、投与した被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤の有効成分になり得ると判定することができる。TRAF3のリン酸化の測定は、質量分析等の公知の方法により行うことができる。
マウスのTRAF3のアミノ酸配列を配列番号13に示す。後述する実施例において示すように、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、少なくとも、配列番号13で表されるアミノ酸配列の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及び413番目のチロシンが、リン酸化されていることが判明した。したがってこれらのアミノ酸のリン酸化を検出することで、TRAF3のリン酸化を検出してもよい。
配列番号13以外のTRAF3であっても、配列番号13で表されるアミノ酸配列の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及び413番目のチロシンに対応するアミノ酸部位のリン酸化のいずれか1以上を検出することで、TRAF3のリン酸化を検出してもよい。
本発明の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、TZF−L(zinc finger protein TZF-L)のリン酸化を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
後述する実施例で示すように、本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、TZF−Lのリン酸化を検出した。したがって、本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較してTZF−Lのリン酸化のレベルが低い又は非存在の場合、投与した被験物質は、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤の有効成分になり得ると判定することができる。TZF−Lのリン酸化の測定は、質量分析等の公知の方法により行うことができる。
マウスのTZF−Lのアミノ酸配列を配列番号15に示す。後述する実施例において示すように、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、少なくとも、配列番号15で表されるアミノ酸配列の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンが、リン酸化されていることが判明した。したがってこれらのアミノ酸のリン酸化を検出することで、TZF−Lのリン酸化を検出してもよい。
配列番号15以外のTZF−Lであっても、配列番号15で表されるアミノ酸配列の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンに対応するアミノ酸部位のリン酸化のいずれか1以上を検出することで、TZF−Lのリン酸化を検出してもよい。
上記に説明した被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断する各指標は、それぞれ単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
本発明の一実施形態として、糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法を提供する。糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法は、本発明の糖尿病モデル非ヒト動物に、該糖尿病モデル非ヒト動物より得られる細胞に、又は本発明の糖尿病モデル細胞に被験物質を投与するものである。
被験物質としては特に制限はなく、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、低分子化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液等が挙げられる。
本発明の糖尿病モデル細胞、本発明に係る糖尿病モデル非ヒト動物から得られた細胞、及び該細胞の集合である組織、器官も糖尿病モデル非ヒト動物に由来する表現型を有しているので、糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法に使用可能である。また、糖尿病モデル非ヒト動物と掛け合わせて得られた個体も、糖尿病に特徴的な病態又は形質を有する場合には、糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法に使用可能である。
本発明の糖尿病モデル非ヒト動物、及び本発明の糖尿病モデル細胞は、糖尿病に特徴的な病態又は形質を示すため、被験物質の投与/非投与によるこれらの病態又は形質の違いを指標として、被験物質が糖尿病の予防剤又は治療剤をスクリーニングすることができる。前記形質とは、糖尿病発症、I型糖尿病発症、高血糖、高グルカゴン値、血中成分、行動パターン、遺伝子発現量、糖尿病マーカーの発現量など測定可能なあらゆる項目を対象とし得る。なかでも、糖尿病モデル非ヒト動物を用いる場合には、糖尿病の最たる特徴である高血糖をみることが、被験物質による効果を的確に把握するうえで好ましい。糖尿病モデル細胞を用いる場合には、糖尿病のマーカータンパク質量を測定することが、被験物質による効果を的確に把握するうえで好ましい。
本発明に係る糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、糖尿病に関連する血中成分存在を示す値を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
例えば、血糖値を指標にする場合、本発明の糖尿病モデル細胞に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較して、血糖値が減少している場合、投与した被験物質は、糖尿病の予防剤又は治療剤となり得ると判定することができる。
本発明の糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法の一実施形態として、前記被験物質を投与した後に、アディポネクチンのリン酸化を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断することが挙げられる。
後述する実施例で示すように、本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの血中において、アディポネクチンのリン酸化を検出した。したがって、本発明の糖尿病モデル非ヒト動物に被験物質を投与した群では、被験物質を投与していない群と比較してアディポネクチンのリン酸化のレベルが低い又は非存在の場合、投与した被験物質は、糖尿病の予防剤又は治療剤の有効成分になり得ると判定することができる。アディポネクチンのリン酸化の測定は、質量分析等の公知の方法により行うことができる。
マウスのアディポネクチンのアミノ酸配列を配列番号14に示す。後述する実施例において示すように、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、少なくとも、配列番号14で表されるアミノ酸配列の64番目のスレオニン、119番目のセリン及び127番目のスレオニンが、リン酸化されていることが判明した。したがってこれらのアミノ酸のリン酸化を検出することで、TZF−Lのリン酸化を検出してもよい。
配列番号14以外のアディポネクチンであっても、配列番号14で表されるアミノ酸配列の64番目のスレオニン、119番目のセリン及び127番目のスレオニンに対応するアミノ酸部位のリン酸化のいずれか1以上を検出することで、アディポネクチンのリン酸化を検出してもよい。
上記に説明した被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断する各指標は、それぞれ単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
≪脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法≫
本発明の脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法は、生体試料中のmiRNA−340を検出するものである。生体試料としては、脊柱靱帯骨化症が疑われる患者から採取された試料が挙げられ、バイオプシーに用いられる試料が挙げられる。
本発明者は、脊柱靱帯骨化症患者由来の生体試料中のmiRNA−340の発現量が増加していることを見出した。したがって、生体試料中のmiRNA−340を検出することにより、脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。また、正常対照群である健常者由来の生体試料中のmiRNA−340の発現量と比較して、被験者由来の生体試料中のmiRNA−340の発現量が有意に増加している場合、被験者が脊柱靱帯骨化症病変細胞を有しており、脊柱靱帯骨化症の罹患を検出できる。
本発明の脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法には、miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブを用いてもよい。ここで、miRNA−340とは、miRNA−340の他、Primary miRNA(pri-miRNA)に代表されるmiRNA前駆体であってもよく、miRNA−340であることが好ましい。
miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブとしては、配列番号5で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドを例示できる。他にも、miRNA−340と特異的にハイブリダイズし得るものであれば、配列番号5で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換、又は付加されている塩基配列を有するポリヌクレオチドであっても、プローブとして同様に用いることができる。ここで、1〜数個とは、1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましい。プローブは、miRNA−340とハイブリダイズし得るものであれば、標識物質、酵素等の任意の物質が付加されていたり、種々の化学修飾を含んでいたり、また、少なくとも一部がPNA、LNA等の核酸類縁体により構成されていたりしてもよい。
本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、E3ユビキチンリガーゼのリン酸化を検出した。したがって、生体試料中のE3ユビキチンリガーゼのリン酸化を検出することにより、脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。また、正常対照群である健常者由来の生体試料中のE3ユビキチンリガーゼのリン酸化レベルと比較して、被験者由来の生体試料中のE3ユビキチンリガーゼのリン酸化が検出された場合又はリン酸化レベルが有意に増加していた場合、被験者が脊柱靱帯骨化症病変細胞を有しており、脊柱靱帯骨化症の罹患を検出できる。
生体試料中のE3ユビキチンリガーゼのリン酸化であって、配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンのリン酸化、を検出することにより脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。
配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンがリン酸化されたE3ユビキチンリガーゼは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
E3ユビキチンリガーゼ断片ポリペプチドであって、配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンのリン酸化を含むポリペプチドは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
配列番号12以外のE3ユビキチンリガーゼであっても、生体試料中のE3ユビキチンリガーゼのリン酸化であって、配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンに対応するアミノ酸部位のリン酸化、を検出することにより脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。
配列番号12以外のE3ユビキチンリガーゼであっても、配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンに対応するアミノ酸部位がリン酸化されたE3ユビキチンリガーゼは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
配列番号12以外のE3ユビキチンリガーゼであっても、E3ユビキチンリガーゼ断片ポリペプチドであって、配列番号12に示すアミノ酸配列中の419番目のセリン及び/又は427番目のセリンに対応するアミノ酸部位のリン酸化を含むポリペプチドは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、TRAF3のリン酸化を検出した。したがって、生体試料中のTRAF3のリン酸化を検出することにより、脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。また、正常対照群である健常者由来の生体試料中のTRAF3のリン酸化レベルと比較して、被験者由来の生体試料中のTRAF3のリン酸化が検出された場合又はリン酸化レベルが有意に増加していた場合、被験者が脊柱靱帯骨化症病変細胞を有しており、脊柱靱帯骨化症の罹患を検出できる。
生体試料中のTRAF3のリン酸化であって、配列番号13に示すアミノ酸配列中の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及び413番目のチロシンのリン酸化のいずれか1以上を検出することにより脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。
配列番号13に示すアミノ酸配列中の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及び413番目のチロシンのいずれか1以上がリン酸化されたTRAF3は、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
TRAF3断片のポリペプチドであって、配列番号13に示すアミノ酸配列中の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及びは413番目のチロシンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位のリン酸化を含むポリペプチドは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
配列番号13以外のTRAF3であっても、生体試料中のTRAF3のリン酸化であって、配列番号13に示すアミノ酸配列中の211番目のスレオニン、412番目のセリン、413番目のチロシンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位のリン酸化、を検出することにより脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。
配列番号13以外のTRAF3であっても、配列番号13に示すアミノ酸配列中の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及び413番目のチロシンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位がリン酸化されたTRAF3は、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
配列番号13以外のTRAF3であっても、TRAF3断片ポリペプチドであって、配列番号13に示すアミノ酸配列中の211番目のスレオニン、412番目のセリン、及び413番目のチロシンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位のリン酸化を含むポリペプチドは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
本発明者は、CXCL7ノックアウトマウスの脊椎組織の細胞において、TZF−Lのリン酸化を検出した。したがって、生体試料中のTZF−Lのリン酸化を検出することにより、脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。また、正常対照群である健常者由来の生体試料中のTZF−Lのリン酸化レベルと比較して、被験者由来の生体試料中のTZF−Lのリン酸化が検出された場合又はリン酸化レベルが有意に増加していた場合、被験者が脊柱靱帯骨化症病変細胞を有しており、脊柱靱帯骨化症の罹患を検出できる。
生体試料中のTZF−Lのリン酸化であって、配列番号15に示すアミノ酸配列中の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンのリン酸化のいずれか1以上を検出することにより脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。
配列番号15に示すアミノ酸配列中の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンのいずれか1以上がリン酸化されたTZF−Lは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
TZF−L断片のポリペプチドであって、配列番号15に示すアミノ酸配列中の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位のリン酸化を含むポリペプチドは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
配列番号15以外のTZF−Lであっても、生体試料中のTZF−Lのリン酸化であって、配列番号15に示すアミノ酸配列中の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位のリン酸化、を検出することにより脊柱靱帯骨化症病変細胞を検出することができる。
配列番号15以外のTZF−Lであっても、配列番号15に示すアミノ酸配列中の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位がリン酸化されたTZF−Lは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
配列番号15以外のTZF−Lであっても、TZF−L断片ポリペプチドであって、配列番号15に示すアミノ酸配列中の677番目のセリン、1652番目のメチオニン、及び1668番目のセリンのいずれか1以上に対応するアミノ酸部位のリン酸化を含むポリペプチドは、脊柱靱帯骨化症病変細胞のマーカーとして利用可能である。
上記に説明した、miRNA−340の発現量、E3ユビキチンリガーゼのリン酸化、TRAF3のリン酸化、TZF−Lのリン酸化は、脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出において、それぞれ単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。複数を組合せて用いる場合、その他の公知の脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出に用いられる因子と組み合わせて用いてもよい。
脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物、脊柱靱帯骨化症モデル細胞、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法、脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法について説明したが、脊柱靱帯骨化症は糖尿病を併発するため、糖尿病を表すために使用される形質や、病態、指標、特徴等により、脊柱靱帯骨化症を間接的に検出してもよい。
同じく、糖尿病モデル非ヒト動物、糖尿病モデル細胞、糖尿病の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法、脊柱靱帯骨化症は糖尿病を併発するため、脊柱靱帯骨化症を表すために使用される形質や、病態、指標、特徴等により、糖尿病を間接的に検出してもよい。
≪脊柱靱帯骨化症診断用キット≫
本発明の脊柱靱帯骨化症診断用キットは、miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブを含むものである。当該プローブとしては、≪脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法≫において説明したものと同様のものを例示できる。
また、脊柱靱帯骨化症診断をより簡便にするという観点から、本発明の脊柱靱帯骨化症診断用キットは、miRNA−340の検出に必要な試薬類、器具類等を備えていることが好ましい。このように、miRNA−340の検出に必要な試薬類、器具類等をキット化することにより、脊柱靱帯骨化症診断をより簡便に行うことができる。
≪脊柱靱帯骨化症治療剤≫
本発明の脊柱靱帯骨化症治療剤の一実施形態は、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを有効成分とするものである。
核酸がmiRNAとハイブリダイズすることにより、miRNAの機能が阻害されることが知られている。したがって、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸は、miRNA−340の機能を阻害するので、脊柱靱帯骨化症治療剤として使用することができる。miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸が、任意の発現ベクターに組み込まれたものも、脊柱靱帯骨化症治療剤として使用することができる。ベクターを用いることにより、長期にわたる脊柱靱帯骨化症治療効果を得ることができる。
同様に、miRNA−340の発現を抑制し得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを有効成分とするもの、並びに、miRNA−340と競合してmiRNA−340の機能を阻害し得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを有効成分とするものも、脊柱靱帯骨化症治療剤として例示できる。
<医薬製剤>
本発明の医薬の有効成分はmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターであるから、剤型は、吸収され易い非経口投与剤が好ましく、注射剤がより好ましい。非経口投与剤としては、注射剤、吸入剤、貼付剤、坐剤などが挙げられる。
(注射剤)
注射剤としては、病態靭帯内注射剤、静脈内注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉内注射剤、点滴注射剤などが挙げられる。注射剤は、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液(注射剤用担体)に溶解、懸濁または乳化することによって調製できる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが挙げられる。適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げられる。溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。
注射剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100 w/v%、好ましくは約0.1〜30w/v%とすればよい。
注射剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターの含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100 w/v%、好ましくは約0.1〜30w/v%とすればよい。
(貼付剤)
貼付剤としては、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを含む基剤を支持体に支持させた硬膏剤、パップ剤、テープ剤、プラスター剤等が挙げられる。基剤としては、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、マンナン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等のポリマー類;白色ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ゲル化炭化水素(例えば、商品名プラスチベース、ブリストルマイヤーズスクイブ社製);ステアリン酸等の高級脂肪酸;セタノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール4000等);プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン等の多価アルコール;モノオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド等の脂肪酸エステル類;リン酸緩衝液などが挙げられる。さらに、溶解補助剤、無機充填剤、pH調節剤、保湿剤、防腐剤、粘稠剤、酸化防止剤、清涼化剤などの添加剤が添加されていてもよい。
基剤中miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
基剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターの含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
これらは添付剤として使用するが、更に有効に実施するためには、添付した後、超音波浸透させることが推奨される。超音波浸透により、より効率的に患部に浸透させることが出来る。
(吸入剤)
吸入剤としては、エアゾール剤、吸入用粉末剤、吸入用液剤(例えば、吸入用溶液、吸入用懸濁剤等)、カプセル状吸入剤等が挙げられる。吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
吸入剤は常法に従い製造できる。例えば、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを乾燥粉末または液状にして、吸入噴射剤、担体、又はその両者に配合し、適当な吸入容器に充填することにより製造される。miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を粉末化する場合、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム等とともに微粉末にし、均一な混合物にするか、造粒して粉末剤を調製することができる。また、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を液状にする場合、水、生理食塩液、バッファー等の液状担体に溶解すればよい。
噴射剤としては、従来公知の噴射剤、例えば、代替フロン、液化ガス噴射剤(例えば、フッ化炭化水素、液化石油、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等)、圧縮ガス(例えば、可溶性ガス(例えば、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等)、不溶性ガス(例えば、窒素ガス等)などが用いられる。
吸入剤には、さらに、必要に応じて添加剤を配合してもよい。添加剤としては、吸入用液剤の場合は、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等が挙げられる。また、吸入用粉末剤の場合は、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等)、矯味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリチルリチンアンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉末等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、白糖等)、賦形剤(例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット、マルトース、セルロース等)、着色剤、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、安定化剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、吸収促進剤(胆汁酸塩、キトサン等)等が挙げられる。
噴霧剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の含有量は、吸入用液剤の場合は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100 w/v%、好ましくは約0.1〜30w/v%とすればよい。また、吸入用粉末剤の場合は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
噴霧剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターの含有量は、吸入用液剤の場合は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100 w/v%、好ましくは約0.1〜30w/v%とすればよい。また、吸入用粉末剤の場合は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
(座剤)
坐剤は、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを通常用いられる坐薬用基剤と混合することにより調製されるものを例示できる。
座剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
座剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターの含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
(経口投与剤)
経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤、乳剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。固形製剤は、上記有効成分に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合して調製されるものを例示できる。例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニットのような賦形剤;アラビアゴム、ゼラチン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースのような結合剤;カルメロース、デンプンのような崩壊剤;無水クエン酸、ラウリン酸ナトリウム、グリセロールのような安定剤などが配合される。さらに、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなどでコーティングしたり、カプセル化したりしてもよい。また、液体製剤は、例えば、上記の有効成分を、水、エタノール、グリセリン、単シロップ、又はこれらの混液などに、溶解又は分散させることにより調製されるものを例示できる。
経口投与剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%とすればよい。
経口投与剤中のmiRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターの含有量は、乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜30重量%とすればよい。
<使用方法>
投与経路は、注射投与(病態靭帯内注入、静脈内注入、皮下注入、皮内注入、筋肉内注入、点滴)、経皮投与、気道内投与、直腸内投与、経口投与などが挙げられる。特に、注射投与が好ましく、病態靭帯内注入がより好ましい。
本発明の治療剤の使用対象は、脊柱靭帯骨化症患者である。脊柱靭帯骨化症には、後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症、及び前縦靱帯骨化症が含まれる。本発明の治療剤の対象としては、特に後縦靭帯骨化症患者等が好適である。
本発明の脊柱靭帯骨化症治療剤の使用量は、対象の症状や年齢などにより異なるが、非経口投与の場合、ヒト成人に対する1日投与量は以下の通りである。
即ち、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の1日投与量が、乾燥重量に換算して、約0.01 mg〜500 mgであることが好ましく、約0.1 mg〜200 mgであることがより好ましい。また、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターのヒトへの1日投与量が、乾燥重量に換算して、約0.1μg〜1 gであることが好ましく、約0.1μg〜500 mgであることがより好ましい。
また、経口投与の場合、ヒト成人に対する1日投与量は以下の通りである。
即ち、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸の1日投与量が、乾燥重量に換算して、約0.1 mg〜1000 mgであることが好ましく、約1 mg〜500 mgであることがより好ましい。また、miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターのヒトへの1日投与量が、乾燥重量に換算して、約1μg〜1000mgであることが好ましく、約1μg〜500 mgであることがより好ましい。
脊柱靱帯骨化症治療剤の有効量を、ヒト脊柱靭帯骨化症患者に投与することは、脊柱靭帯骨化症の治療方法として実施することができる。脊柱靱帯骨化症治療剤の有効量としては、上記に例示したものが挙げられる。
本発明において、「治療」には、治癒させること、症状を緩和又は改善すること等が含まれる。
以下、本発明を、実施例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[CXCL7ノックアウトマウスの作製]
発明者らはPpbp遺伝子(マウスのCXCL7遺伝子)のゲノム配列の核酸配列に基づき、Ppbpゲノム配列のエクソン1とエクソン2の間と、Ppbpゲノム配列のエクソン3の3’arm側にloxP配列が組み込まれたターゲッティングベクターを構築した。図1に、構築したターゲッティングベクターの模式図、およびターゲッティングベクターで置き換えられるゲノムの模式図を示す。このターゲッティングベクターを、エレクトロポレーションにより、マウスES細胞株であるC57BL/6由来RENKAに導入した。その中から相同組み換えを起こしたES colonyを選択した。選択したES細胞をマウス胚の胚盤胞に移植し、生殖系列細胞に導入した。次いで、Ppbp遺伝子コンディショナル・ノックアウトマウスの第2世代(F2)ヘテロ接合体マウス(PpbpdE2E3/+:CAG−Cree)と野生型マウスとの自然交配で、第3世代(F3)マウスを作製し、産子の組織よりゲノムDNAを採取し、PCR解析により遺伝型を解析した。ターゲッティングベクターのloxP配列に囲まれた部分をCreにより欠失させ、Ppbp遺伝子のエクソン2及びエクソン3を欠失させて、Ppbp遺伝子ノックアウトマウスのヘテロ接合体(PpbpdE2E3/+)を得た。Creトランスジーンが除去されたF3マウス(PpbpdE2E3/+)が目標の2ペア得られなかったため、Creトランスジーンが除去されたF3ヘテロ接合体マウス(PpbpdE2E3/+)♂と野生型マウス♀との自然交配によりF4産子を作製した。
F4産子の体組織よりDNA抽出後、遺伝型解析から、9 匹(♂3 匹、♀6 匹)のF4マウスが、Creトランスジーンが除去されたヘテロ接合体マウス(PpbpdE2E3/+)であると判定した。そして、ヘテロ接合体同士の自然交配により、Ppbp遺伝子のコンディショナル・ノックアウトマウスのホモ接合体(PpbpdE2E3/dE2E3)を得た。以下、Ppbp遺伝子のコンディショナル・ノックアウトマウスのホモ接合体を「ノックアウトマウス」と略す。
ノックアウトマウスのホモの雄:雌の誕生比は、2:1であった。ヒトの脊柱靱帯骨化症患者の男:女比も約2:1であることから、この数値は、ヒトの脊柱靱帯骨化症患者の男女比と同様の値といえる。
[CXCL7ノックアウトマウスの表現型]
生後2ヶ月後までは、野生型のマウスとノックアウトマウスでは、両者の体重に違いは見られなかった。しかし、生後2ヶ月を過ぎると、ノックアウトマウスでは、野生型のマウスと比べて、体重が徐々に増加していった(図2)。ノックアウトマウスでは、野生型のマウスと比べて、血中及び尿中グルコースの値並びにHbA1cレベルも、上昇していた(図3)。ノックアウトマウスでは、野生型のマウスと比べて、多飲多尿であった(図4)。ノックアウトマウス(ホモ)の尿中カリウムを測定した結果、103.2 mEq/L (正常値 3.6〜5.0 mEq/L)と高値を示した。この値は、インスリン欠乏、腎不全などを意味している。これらの結果から、マウスが糖尿病性腎症を発症していることが示唆された。
ノックアウトマウスの内臓脂肪を計測したところ、肥満度指数(BMI)は50かそれ以上であった。3DマイクロX線CT(リガク社製)により皮下脂肪、内臓脂肪組織の量を確認したところ、皮下脂肪及び精巣の状態から、脂肪肝と示唆された。
生後4ヶ月では、ノックアウトマウスの後肢の運動機能が徐々に低下し、歩行困難となった。マウスに微温湯中での水泳をさせた場合、通常野生型のマウスでは、後肢を動かすことによって泳ぐことができるのだが、ノックアウトマウスでは、後肢に持続性の硬直が見られ、後肢に著しい機能障害が認められた。
ノックアウトマウスのなかには、網膜症を発症したものがいた。
図5は、生後8か月のノックアウトマウス(ホモ)の3D−CT画像である。画像は脊椎の縦断面で取得したものである。図中の矢印先端部に靭帯の骨化が確認された。ノックアウトマウスでは、誕生から8ヶ月(中年期)以降に、脊柱靱帯骨化症を発症した。
後縦靭帯骨化症は、靭帯の骨化状態により、連続型(A)、分節型(B)、混合型(C)、その他:椎間板限局型(D)に分類される(図6参照、Journal of Bone and Mineral Metabolism, November 1999, Volume 17, Issue 4, pp 296-300)。これらの型のうち、連続型(A)が最も重篤な病態である。3D−CT画像解析の結果、ノックアウトマウス(ホモ)の骨化状態は、連続型(A)であった。
図7に、ノックアウトマウス(ホモ・雄)の後縦靭帯の写真を示す。脊椎の1番(L1)の部分の後縦靭帯に、靭帯骨化が明確に確認できた。図7から明らかなように、球状の骨組織が観察され、その下方にも連続した骨組織が観察された。
(骨形態計測)
骨形態計測を簡便に行うため、計測対象のマウスに標識物質を投与した後に、骨形態計測を行った。
図8は、マウスへの標識物質投与のスケジュールを説明する図である。Sacrifice5日前に、第一回骨標識処理として、標識物質テトラサイクリン(TC)をマウスに投与した。第一回骨標識処理の72時間後に、第二回骨標識処理として標識物質カルセイン(CL)をマウスに投与した。これらの処理により、非脱灰組織での骨代謝情報を明確にすることができる。
続いて、生後8か月のマウスの脊椎の形態計測を、連続脊椎矢状断の標本を用いて行った。表1に、海綿骨、L1を計測対象とした骨形態計測の結果の一部を示す。
海綿骨を計測対象とした骨形態計測の結果から、ノックアウトマウス(ホモ)では、野生型に比べて石灰化速度が低値であり、全体的に低代謝回転骨の状態であった。これは、ヒトの異所性骨化の症例と等しい。
表2に、皮質骨を計測対象とした骨形態計測の結果の一部を示す。
皮質骨を計測対象とした骨形態計測の結果から、ノックアウトマウス(ホモ)では、野生型に比べて脊髄側の皮質骨幅の菲薄化が見られた。
(糖尿病関連)
糖尿病に関して、さらに解析を行った。
図9は、ノックアウトマウスの膵臓のランゲルハンス島における、グルカゴンの分泌の様子を示す顕微鏡写真である。写真中の円形の像は、DAPI染色された核由来のシグナルである。この核由来のシグナルの他に、AlexaFluor488で標識されたグルカゴンが確認でき、ノックアウトマウスでのグルカゴン陽性が確認された。
また、ノックアウトマウスでは、野生型マウスと比較して、血清中のグルカゴン値が有意に高かった。後縦靭帯骨化症の患者でも、ノックアウトマウスと同じく、健常者と比較して、血清中のグルカゴン値が高かった。
図10は、ノックアウトマウスの膵臓組織の、HE染色像である。膵臓組織のインスリンの分泌は確認されず、毛細血管からの出血、萎縮性変化及びβ細胞の数の減少が確認された。
これらの結果から、ノックアウトマウスはI型糖尿病を合併していることが示唆された。
[miR−340]
ヒトの後縦靭帯骨化症は、家系的な要因があるとされている。しかし、発明者らによる患者らのCXCL7の解析の結果では、CXCL7のエクソンの異常及びSNPは発見されなかった。そこで、発明者らは、CXCL7タンパク質の発現量がmicroRNAにより影響されているのではとの考えのもと、ヒトの後縦靭帯骨化症患者の組織及び血液サンプルに対して、microRNAアレイ解析を行った。
その結果、ヒトの後縦靭帯骨化症患者らでは、健常者と比較してmiR−340の発現量が有意に上昇していることが明らかとなった。
・リアルタイムPCR
microRNAは、miRCURY RNA Isolation (Exiqon, Vedbaek)を用い、製品添付のプロトコルに沿って抽出した。RNA integrityは、Agilent 2100 Bioanalyserを用いて解析した。integrity valueが9.0又はそれ以上のRNAサンプルを逆転写した。逆転写には、Superscript VILO cDNA Synthesis Kit(Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いた。次いで、StepOnePlus Real-Time PCR Analysis System (Applied Biosystems, Carlsbad, CA)により、リアルタイムPCRを行った。解析に用いたプローブはExiqonから入手した。
リアルタイムPCRで使用したプローブの配列を以下に示す。
Has-miR-340:5’−uccgucucaguuacuuuauagc−3’(配列番号7)
図11に、リアルタイムPCRにより求めた血漿中のmiR−340の発現量を示す。ヒトの後縦靭帯骨化症患者の血漿中のmiR−340の発現量は、健常者と比べて有意に高値を示した。
・In situ hybridization
In situ hybridization はmiRCURY LNA microRNA ISH Optimization (Exiqon, Vedbaek, Denmark)を用いて行った。ハイブリダイゼーションは65℃で行った。
In situ hybridizationで使用したプローブの配列を以下に示す。
Has-miR-340:5’−aatcaG(L)t5(L)aT(L)tG(L)cT(L)ttataa_N(6)_Y−3’(配列番号8)
上記配列中、小文字はDNAを表し、大文字(L)は大文字がLNAであることを表す。N(6)は、amino C6 linkerを表し、YはAlexa Flour 488を表す。5は、5−メチルシチジン(5−mC)を表し、5(L)は、5−mCのLNAを表す。
図12は、ノックアウトマウスのL5−6部分と、ヒトの後縦靭帯骨化症患者のC5−6部分の組織におけるmiR−340の分布を、in situ hybridization により解析した結果を示す写真である。図12中、島状に点在しているシグナルは、核のDAPI染色像である。ノックアウトマウス及び後縦靭帯骨化症患者の両者ともに、核由来のシグナルの他に、Alexa Flour 488で標識されたプローブ由来のシグナルが組織全体で確認できた。
[CXCL7タンパク質発現量と後縦靭帯骨化症の分類]
CXCL7タンパク質発現量と後縦靭帯骨化症の病態との関連を調べるため、前述した後縦靭帯骨化症の病態の分類(図6参照)のうち、連続型(A)の病態にある患者と混合型(C)の病態にある患者の血清中のCXCL7タンパク質発現量を求めた。解析は、ELISA Kit (Ray Biotech, Norcross GA) を用いて行った。CXCL7抗体はキット付属のウェルに固定されているものを使用した。
図13に結果を示す。より病態の軽い混合型(C)の患者におけるCXCL7の発現量の方が、連続型(A)の患者のCXCL7の発現量よりも低い値であった。このことは、CXCL7の発現量と後縦靭帯骨化症の重篤度合いの間に、相関があることを示している。
[幹細胞から誘導した靭帯組織でのCXCL7の抑制]
ウマ間葉系幹細胞にPRELP遺伝子を導入し、靭帯組織を作製した。
得られた靭帯組織に対しshRNA-CXCL7にてCXCL7タンパク質を抑制した。陰性対照として、shRNA-CXCL7の代わりにshRNA-GAPDHを使用した。
shRNA-CXCL7の配列を以下に示す。
shRNA-CXCL7:5’−aaaagaacccattgcaaccaagtttggatccaaacttggttgcaatgggttc−3’(配列番号9)
shRNA-GAPDHの配列を以下に示す。
shRNA-GAPDH:5’−aaaacgggaagcttgtcatcaatttggatccaaattgatgacaagcttcccg−3’(配列番号10)
上記shRNA-CXCL7の配列をpLV−H1−CMV−greenベクター(BiOSETTIA)に組み込み、幹細胞及び幹細胞から靭帯を誘導した組織のそれぞれに対し、shRNA-CXCL7を導入した。shRNA-GAPDHに関しても同様に導入した。ベクター導入後の細胞をシングル細胞にした後、BMP-2抗体にて標識し、FACSにてBMP-2抗体が吸着している細胞をカウントした(n=3)。BMP-2は、骨誘導タンパク質で、骨形成因子である。得られたデータの一部を図14に示す。図14(B)はウマ間葉系幹細胞にPRELP遺伝子を導入して作製した靭帯組織の細胞に対する計測結果である。図14(A)は、該靭帯組織をshRNA-CXCL7にてノックダウンした後の靭帯組織の細胞に対する計測結果である。結果を表3に示す。
幹細胞及び同じ幹細胞から誘導した靭帯組織では、BMP-2の陽性細胞の値に変化は見られなかったが、該靭帯組織をshRNAにてCXCL7をノックダウンするとBMP-2陽性細胞の値が増加を示した。このことは、幹細胞から誘導した靭帯組織でのCXCL7の抑制が、靭帯骨化を誘発することを意味する。
[miR−340の抑制]
・石灰化染色
マウスの骨芽細胞MC3T3―E1に、shRNA-CXCL7を導入した。また、マウスの骨芽細胞MC3T3―E1に、miR-340 inhibitorを導入した。陰性対照として、shRNA-CXCL7の代わりにshRNA-LacZを使用した。
shRNA-CXCL7の配列は、上記の配列番号9で表される塩基配列と同一である。
shRNA-CXCL7:5’−aaaagaacccattgcaaccaagtttggatccaaacttggttgcaatgggttc−3’(配列番号9)
miR-340 inhibitorは、市販のEXIQON社製のmiRCURY LNA Power Inhibitor,has-miR-340を使用した。has-miR-340はmiRNA−340とハイブリダイズする核酸である。
shRNA-lacZの配列を以下に示す。
shRNA-lacZ:5’−aaaagcagttatctggaagatcaggttggatccaacctgatcttccagataactgc-3’(配列番号11)
上記shRNA-CXCL7の配列をpLV−H1−CMV−greenベクター(BiOSETTIA)に組み込み、MC3T3-E1に対し、shRNA-CXCL7を導入した。miR-340 inhibitor とshRNA-lacZに関しても同様に導入した。
次いで、細胞の骨化の表現型を確認するため、石灰化染色により、石灰かした骨結節を染色し、骨化の進行の程度を確認した。
結果を図15に示す。shRNAが導入されていないコントロールのMC3T3−E1細胞(control)では、染色は確認されなかった。同様に、shRNA-LacZが導入されたMC3T3−E1細胞(sh-LacZ)でも、染色は確認されなかった。対して、shRNA-CXCL7が導入されたMC3T3−E1細胞(sh-CXCL7)では、顕著に染色が確認され、骨化が進行していることが確認された。miR-340 inhibitorが導入されたMC3T3−E1細胞(miR-340 inhibitor)では、shRNA-CXCL7が導入されたMC3T3−E1細胞(sh-CXCL7)と比較して染色の範囲が小さいことが確認された。これらの結果から、miR−340を抑制することによって、細胞の骨化を抑制可能であることが示された。
・リアルタイムPCR
shRNAが導入されたMC3T3−E1細胞に対して、リアルタイムPCRを行い、CXCL7、BMP-2、及びRANKL(receptor activator of nuclear factor-кB ligand)の発現量を求めた。RANKLは骨組織のマーカーとして用いられる因子である。
上記の[miR−340の抑制]に記した方法と同様にして、shRNA-lacZが導入されたMC3T3−E1細胞を作製した(shRNA-lacZ)。同様に、shRNA-CXCL7が導入されたMC3T3−E1細胞(shRNA- CXCL7)、miR-340が導入されたMC3T3−E1細胞(miR-340)、miRNA-inhibitor-controlが導入されたMC3T3−E1細胞(miRNA-inhibitor-control)、miRNA-inhibitorが導入されたMC3T3−E1細胞(miRNA-inhibitor)を作製した。
miR-340の配列は配列番号6で表される塩基配列である。
miRNA-inhibitorは、Exiqon, (Vedbaek, Denmark)から入手した。
上記の各細胞から、RNAを抽出した。RNAは、AllPrep DNA/RNA Mini Kit (Qiagen, Valencia, CA)を用い、製品添付のプロトコルに沿って抽出した。RNA integrityは、Agilent 2100 Bioanalyserを用いて解析した。逆転写には、Superscript VILO cDNA Synthesis Kit(Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いた。次いで、StepOnePlus Real-Time PCR Analysis System (Applied Biosystems, Carlsbad, CA)により、リアルタイムPCRを行った。解析に用いたプローブはExiqonから入手した。
リアルタイムPCRで使用したプローブは、Taqman probes CXCL7, Mm01347901_g1, BMP-2, Mm01254942_m1, RANKL, Mm00441906_m1, 18S, Mm03928990_g1, RANK, Mm00437132_m1である。
図16に、リアルタイムPCRにより求めたCXCL7、BMP-2、及びRANKLの発現量を示す。miRNA-inhibitorが導入されたMC3T3−E1細胞(miRNA-inhibitor)では、コントロールと比較して、CXCL7の発現の低下が確認された。shRNA-CXCL7が導入されたMC3T3−E1細胞(shRNA- CXCL7)及びmiR-340が導入されたMC3T3−E1細胞(miR-340)では、どちらもBMP−2及びRANKLの発現量の増加が確認された。これらの結果から、miR−340の抑制により、CXCL7の発現の抑制されることが示された。また、CXCL7の抑制とmiRNA-340の発現の亢進とが、骨化の促進に対して同様の傾向を示すことが明らかとなった。
[ノックアウトマウスの脊椎組織の初期細胞におけるリン酸化修飾解析]
ノックアウトマウスの脊椎組織から細胞を採取し、タンパク質を抽出し、ペプチドを精製した。精製したペプチド(20〜30pmol)を、UltiMate 3000 RSLCnano system (HPLC) pump (Thermo Fisher Scientific, MA, USA)二重収束扇形磁場型質量分析計を用いて分析した。加速電位は5kVとした。サンプルのイオン化は6-KeVのXenonビームにより行い、常法により、解析試料の調製を行った。イオンのスペクトルはlinear ion trap mass spectrometer Orbitrap Elite (Thermo Fisher Scientific, MA, USA)、nano-ESI interfaceにより解析した。 micro RPLC-MS/MS 解析に用いたサンプルはトラップカラムに注入した (nano 75 μm i.d. × 280 μm o.d.; packed with 15 cm of Acclaim PepMap C18)。LTQ 質量範囲m/z 350−2000(サイクル時間45秒)について複数スキャンし、データを収集した。
リン酸化修飾解析の結果、E3ユビキチンリガーゼ、TRAF3、アディポネクチン、TZF−Lについて、リン酸化が検出された。
E3ユビキチンリガーゼについては、配列番号12で表されるアミノ酸配列のうち、409番目〜449番目の領域からなるポリペプチドの、419番目のセリン及び427番目のセリンが、リン酸化されていることが判明した。
TRAF3については、配列番号13で表されるアミノ酸配列のうち、207番目〜214番目の領域からなるポリペプチドの211番目のスレオニンがリン酸化されていることと、398番目〜422番目の領域からなるポリペプチドの412番目のセリン及び413番目のチロシンが、リン酸化されていることが判明した。
アディポネクチンについては、配列番号14で表されるアミノ酸配列のうち、62番目〜80番目の領域からなるポリペプチドの64番目のスレオニンがリン酸化されていることと、116番目〜134番目の領域からなるポリペプチドの119番目のセリン及び127番目のスレオニンがリン酸化されていることが判明した。
TZF−Lについては、配列番号15で表されるアミノ酸配列のうち、676番目〜683番目の領域からなるポリペプチドの677番目のセリンがリン酸化されていることと、1651番目〜1672番目の領域からなるポリペプチドの1652番目のメチオニン及び1668番目のセリンがリン酸化されていることが判明した。
図17に、脊椎組織の細胞から抽出した、TRAF3及びユビキチンの電気泳動像を示す。レーン1は野生型マウスの初期培養細胞primary cellsのものであり、レーン2は、ノックアウトマウスの初期培養細胞primary cellsのものである。
図17に示す結果としてバンドシフトが確認されたことから、TRAF3のE3ユビキチンリガーゼが翻訳後修飾されたことが分かる。また、E3ユビキチンリガーゼによるCXCL7の分解が確認されたことから、後縦靭帯骨化症の原因タンパク質であるCXCL7の体内消失は、このTRAF3とE3ユビキチンリガーゼによるものであると考えられる。
次に、ノックアウトマウスの脊椎組織及びヒトOPLL患者の脊椎組織に対し、ユビキチン抗体染色を行った。結果を図18に示す。ユビキチン抗体染色のシグナルが、図18中に示されるように細長の形状で確認された。島状に点在しているシグナルは、核のDAPI染色像である。
図18に示す結果から、ノックアウトマウスの脊椎組織及びヒトOPLL患者の脊椎組織において、ユビキチンが発現し、CXCL7を分解していると考えられる。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物は、脊柱靱帯骨化症の病態を示すため、脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニングを行うことができる。また、脊柱靱帯骨化症のメカニズムの解明にも寄与する。

Claims (16)

  1. CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されていることを特徴とする脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
  2. 前記CXCL7遺伝子の機能の欠損又は抑制が、CXCL7遺伝子又はその発現制御領域における一部若しくは全部の欠失、挿入、付加、若しくは置換によるものである請求項1に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
  3. 前記CXCL7遺伝子が、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子である請求項1又は2に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
  4. 前記miRNA−340の発現の亢進がmiRNA−340の導入によるものである請求項1に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
  5. 前記miRNA−340が、配列番号6で表されるRNA配列からなるポリヌクレオチドである請求項1又は2に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物。
  6. CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA340の発現が亢進されていることを特徴とする糖尿病モデル非ヒト動物。
  7. CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されていることを特徴とする脊柱靱帯骨化症モデル細胞。
  8. 平行線維性結合組織の細胞である請求項7に記載の脊柱靱帯骨化症モデル細胞。
  9. CXCL7遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、或いはmiRNA−340の発現が亢進されていることを特徴とする糖尿病モデル細胞。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物に、該脊柱靱帯骨化症モデル非ヒト動物より得られる細胞に、或いは請求項7又は8に記載の脊柱靱帯骨化症モデル細胞に被験物質を投与することを特徴とする脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法。
  11. 前記被験物質を投与した後に、病変部の骨形態を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断する、請求項10に記載の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法。
  12. 前記被験物質を投与した後に、miRNA−340の発現を指標として前記被験物質の予防剤又は治療剤としての効果を判断する、請求項10又は11に記載の脊柱靱帯骨化症の予防剤又は治療剤のスクリーニング方法。
  13. 生体試料中のmiRNA−340を検出することを特徴とする脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法。
  14. miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブを用いる請求項13に記載の脊柱靱帯骨化症病変細胞の検出方法。
  15. miRNA−340とハイブリダイズし得るプローブを含むことを特徴とする脊柱靱帯骨化症診断用キット。
  16. miRNA−340とハイブリダイズし得る核酸、又は該核酸を投与対象内で発現可能である発現ベクターを有効成分とすることを特徴とする脊柱靱帯骨化症治療剤。
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