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JP2016004659A - 導電性樹脂ペーストおよびセラミック電子部品 - Google Patents

導電性樹脂ペーストおよびセラミック電子部品 Download PDF

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孝太 善哉
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Abstract

【課題】高温環境下で使用した場合にも、導電成分のマイグレーションを引き起こすことがなく、経時的な比抵抗の変化率の小さい樹脂電極層を形成が可能な導電性樹脂ペースト、及び、それを用いて樹脂電極層が形成された信頼性の高いセラミック電子部品の提供。
【解決手段】導電成分と、樹脂成分を含み、導電成分は少なくともAgと、Cuとを含み、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合が11.6〜28.8質量%の範囲にある構成とし、導電成分として、Cu粉末の表面の少なくとも一部がAgによりコートされたAgコートCu粉末からなるものを用い、AgコートCu粉末が、形状が異なるものを含むようにし、AgコートCu粉末が、球状とフレーク状のAgコートCu粉末を含むようにする。AgコートCu粉末が、AgとCu比率の異なる2種類以上のAgコートCu粉末を含むようにする導電性樹脂ペースト。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部電極を有するセラミック素体に、該内部電極と電気的に導通するように外部電極を設けたセラミック電子部品を製造する際に用いられる樹脂電極層形成用の導電性樹脂ペーストおよびそれを用いて外部電極を形成したセラミック電子部品に関する。
セラミック素体の内部に配設された内部電極と接続する外部電極を備えたセラミック電子部品の中には、導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成され、内部電極と直接導通する第1導体層(例えば下地電極)と、第1導体層の上に配設された第2導体層(例えば樹脂電極層)を有する外部電極を備えたセラミック電子部品がある。
そして、そのような外部電極の上記第2導体層を形成するのに用いられる導電性ペーストとして、(A)金属粒子と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)シリコーンゴム粒子およびフッ素ゴム粒子からなる群より選択されるゴム粒子とを含み、上記(B)の全熱硬化性樹脂の少なくとも70質量%がエポキシ当量200〜1500の2官能エポキシ樹脂である導電性ペースト(導電性樹脂ペースト)が提案されている(特許文献1)。
また、特許文献1には、上記(C)成分の平均粒子径を1〜6μmとすることや、上記(A)成分として銀粒子を用いること、さらには、上記(A)成分として、球状銀粒子とフレーク状銀粒子を用い、球状銀粒子とフレーク状銀粒子の比率を30:70〜70:30とすること、などが開示されている。
しかしながら、上記従来の導電性樹脂ペーストを用いて樹脂電極層(第2導体層)を形成するようにしたセラミック電子部品(例えば積層セラミックコンデンサなど)においては、高温負荷環境で使用した場合に、銀のマイグレーションが発生し、電極間の絶縁抵抗値が低下して、場合によっては短絡を引き起こすおそれがある。
そのため、さらに信頼性の高い樹脂電極層を形成することが可能な導電性樹脂ペーストが望まれているのが実情である。
特開2011−233452号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、高温環境下で使用された場合にも、導電成分のマイグレーションを引き起こすことがなく、かつ、経時的な比抵抗変化率の小さい樹脂電極層を形成することが可能な導電性樹脂ペースト、および、それを用いて形成した樹脂電極層を備えた、信頼性の高いセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の導電性樹脂ペーストは、
内部電極を備えたセラミック素体に導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成され、前記内部電極と直接導通する下地電極と、前記下地電極上に形成された樹脂電極層とを備える外部電極の、前記樹脂電極層を形成するために用いられる導電性樹脂ペーストであって、
導電成分と、樹脂成分とを含み、
前記導電成分は少なくともAgと、Cuとを含み、かつ、
前記導電成分に含まれる前記Agと前記Cuの合計量に対する前記Agの割合が11.6〜28.8質量%の範囲にあること
を特徴としている。
本発明の導電性樹脂ペーストにおいて、前記導電成分は、Cu粉末の表面の少なくとも一部がAgによりコートされたAgコートCu粉末からなるものであることが好ましい。
導電成分として、Cu粉末の表面の少なくとも一部がAgによりコートされたAgコートCu粉末からなるものを用いることにより、形成される樹脂電極層に含まれる導電成分の耐酸化性を向上させることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
また、前記AgコートCu粉末は、形状が異なるAgコートCu粉末を含むことが好ましい。
AgコートCu粉末として、例えば、球状や、フレーク状、柱状などの形状が異なるものを用いることにより、形成される樹脂電極層に含まれる導電成分の耐酸化性や導電性を向上させることが可能になる。
また、前記AgコートCu粉末は、球状のAgコートCu粉末とフレーク状のAgコートCu粉末とを含むことが好ましい。
AgコートCu粉末として、球状のAgコートCu粉末とフレーク状のAgコートCu粉末を含むものを用いることにより、形成される樹脂電極層に含まれる導電成分の耐酸化性や導電性を向上させることが可能になるとともに、形成される樹脂電極層のめっき付き性を向上させることができる。
また、前記AgコートCu粉末は、AgとCuの比率の異なる2種類以上のAgコートCu粉末を含むことが好ましい。
AgコートCu粉末として、AgとCuの比率の異なる2種類以上のAgコートCu粉末を含むものを用いることにより、形成される樹脂電極層に含まれる導電成分の耐酸化性や導電性を向上させることが可能になる。
また、本発明のセラミック電子部品は、
内部電極を備えたセラミック素体と、導電性ペーストを前記セラミック素体に塗布して焼き付けることにより形成され、前記内部電極と直接導通する下地電極と、前記下地電極上に形成された樹脂電極層とを有する外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、
前記樹脂電極層が、上記本発明の導電性樹脂ペーストを用いて形成されたものであること
を特徴としている。
本発明の導電性樹脂ペーストは、導電成分と、樹脂成分を含み、導電成分は少なくともAgと、Cuとを含み、かつ、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合が11.6〜28.8質量%の範囲とされているので、この導電性樹脂ペーストを用いて樹脂電極層を形成することにより、Agのマイグレーションを抑制しつつ、高温での経時的な比抵抗変化率の小さい樹脂電極層を形成することが可能になる。
すなわち、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合を28.8質量%以下にすることで、Agのマイグレーションの発生(目視で確認できるレベル)を抑えることが可能になり、また、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合を11.6質量%以上にすることで、高温での経時的な比抵抗変化率の上昇を抑えることが可能になる。
また、本発明のセラミック電子部品は、内部電極を備えたセラミック素体と、導電性ペーストをセラミック素体に塗布して焼き付けることにより形成され、内部電極と直接導通する下地電極と、下地電極上に形成された樹脂電極層とを有する外部電極とを備えたセラミック電子部品において、樹脂電極層を、上述の本発明の導電性樹脂ペーストを用いて形成するようにしていることから、Agのマイグレーションが少なく、高温での経時的な比抵抗変化率の小さい樹脂電極層を備えた信頼性の高いセラミック電子部品を提供することが可能になる。
本発明の一実施形態にかかるセラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)の構成を示す断面図である。
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の導電性樹脂ペーストを用いて形成した樹脂電極層を有するセラミック電子部品(この実施形態1では積層セラミックコンデンサ)の構成を模式的に示す断面図である。
この積層セラミックコンデンサは、セラミック素体10と、セラミック素体10の内部にセラミック層2を介して積層、配設され、セラミック素体10の対向する端面10a,10bに交互に引き出された内部電極3a,3bと、内部電極3a,3bと導通する一対の外部電極1a,1bを備えている。
そして、外部電極1a,1bは、
(a)セラミック素体10の端面10a,10bに形成された下地電極11a,11bと、
(b)下地電極11a,11b上に形成された樹脂電極層12a,12bと、
(c)樹脂電極層12a,12bを被覆するように形成されためっき金属層13a,13bと、を備えている。
なお、上記下地電極11a,11bは、導電成分とバインダーを含む導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成された電極であり、セラミック素体10の対向する端面10a,10bに交互に引き出された内部電極3a,3bと、他の電極などを介さず、直接に導通している。
また、上記樹脂電極層12a,12bは、上述の導電性樹脂ペーストを塗布して硬化させることにより形成された導電成分と樹脂成分とを含む電極層であり、下地電極11a,11bを被覆するように形成されている。
また、樹脂電極層12a,12b上に形成されためっき金属層13a,13bは、導通性を確保し、かつ、外部電極1a,1bにはんだ濡れ性(はんだ付き性)を付与する目的で形成されたものであり、この実施形態1では,下地層としてNiめっき金属層14a,14bが形成され、その上に,Snめっき金属層15a,15bが形成されている。
次に、この実施形態1にかかるセラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)を製造する方法について説明する。
[1]セラミック電子部品の作製
(1)まず、内部電極3a,3bを備えたセラミック素体10を用意した。セラミック素体10は,例えば、内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを積層、圧着することにより形成される積層体を、所定の条件で脱脂、焼成することにより作製することができる。ただし、セラミック素体10の形成方法に特別の制約はない。
この実施形態1では、セラミック素体10として、以下の条件を備えた、定格電圧が高くAgのマイグレーションが発生しやすいセラミック素体を用意した。
(a)寸法 :長さ1.6mm、幅0.8mm、厚さ0.8mm、
(b)定格電圧:50V、
(c)静電容量:0.1μF、
(2)それから、セラミック素体10の端面10a,10bに、Cu粉末を導電成分とし、これにバインダーなどを配合して混練することにより調製された導電性ペースト(Cu電極ペースト)を塗布して焼き付けることにより、下地電極11a,11bを形成した。
(3)次に、下地電極11a,11b上に、下記の導電性樹脂ペーストを塗布し、180〜230℃、10〜60minの条件で導電性樹脂ペーストを硬化させ、樹脂電極層12a,12bを形成した。
ここで、導電性樹脂ペーストとしては、
(a)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂 :10質量%
(b)フェノール系硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂 :1質量%
(c)導電成分(AgコートCu粉末+Ag粉末) :69質量%
(d)硬化促進剤(イミダゾール化合物) :適量
(e)カップリング剤(シラン系カップリング剤) :適量
(f)溶剤:ジエチレングリコールモノブチルエーテル :残
を配合して混練したものを用いた。
ただし、導電成分としては、下記のAgコートCu粉末と、Ag粉末を、表1に示すような割合で配合して用いた。
<AgコートCu粉末>
球状で、平均粒径D50が3〜4μmであり、AgとCuの合計量に対するAgの割合が20.9質量%であるAgコートCu粉末を用いた。
<Ag粉末>
フレーク状で、平均粒径D50が2.6μmのAg粉末を用いた。
(4)上述のようにして下地電極11a,11bと、樹脂電極層12a,12bとを形成したセラミック素体10に、NiめっきおよびSnめっきを行い、樹脂電極層12a,12bの表面に、Niめっき金属層14a,14bおよびSnめっき金属層15a,15bを備えためっき金属層13a,13bを形成した。これにより、図1に示すような構造を有する、表1の試料番号1〜5の積層セラミックコンデンサ(セラミック電子部品)を得た。
なお、表1において試料番号に*を付した試料(試料番号3,4,5)は本発明の要件を満たさない試料である。
[2]特性の評価
上述のようにして作製した、表1の試料番号1〜5の試料(下地電極、樹脂電極層、およびめっき金属層の形成を行った、図1に示すような構成を有する積層セラミックコンデンサ)について、以下の方法でAgのマイグレーションの発生状態を調べた。
マイグレーションの発生状態を評価するにあたっては、試料(積層セラミックコンデンサ)を基板に実装した後、175℃で外部電極間に70Vの電圧を印加し、500hまたは1000h保持する処理を施した後、試料の表面のマイグレーションの発生状態をデジタルマイクロスコープで観察し、Agのマイグレーションの発生が認められた試料の数と、評価に供した試料の数の関係から、下記の式(1)より、マイグレーションの発生率を求めた。その結果を、表1に併せて示す。
マイグレーションの発生率(%)=(Agのマイグレーションの発生が認められた試料数/評価に供した試料数)×100 ……(1)
また、外部電極を断面研磨し、樹脂電極中のAgおよびCuを定量分析し、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合を求めた。その結果を、表1に併せて示す。
さらに、表1の試料番号1〜5の試料を作製するのに用いた各導電性樹脂ペーストについて、以下の方法で、比抵抗変化率を求めた。
比抵抗変化率を求めるにあたっては、スライドガラス板上に、長さ約20cm、幅約0.1cm、高さ約50μmとなるように上述の導電性樹脂ペースト(表1の試料番号1〜5の試料を作製するのに用いた導電性樹脂ペースト)を塗布して塗膜を形成し、約200℃の温度で硬化させた。
そして、硬化した塗膜(硬化物)の抵抗を測定し比抵抗を求めた。この比抵抗を初期比抵抗とした。
それから、上記の硬化した塗膜(硬化物)を175℃、7日間の条件で放置(高温放置)した後、同様にして硬化物の比抵抗を求めた。これを高温放置後比抵抗とした。
初期比抵抗と高温放置後比抵抗から、下記の式(2)により、比抵抗変化率を求めた。
比抵抗変化率(%)={(高温放置後比抵抗−初期比抵抗)/初期比抵抗}×100 ……(2)
なお、この比抵抗変化率は、例えば、その値が900%以下である場合は、合格と判定されるような特性である。
各導電性樹脂ペーストについて、上述のようにして調べた比抵抗変化率の値を表1に併せて示す。
Figure 2016004659
表1に示すように、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合が36.7質量%以上である、試料番号3,4および5の試料(すなわち、Agの割合が28.8質量%を超えた、本発明の要件を備えていない試料)においてはAgのマイグレーションが発生することが確認された。
これに対し、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合が28.8質量%以下である、試料番号1および2の試料(本発明の要件を備えている試料)においては、500時間経過後はもちろん、1000時間経過後もAgのマイグレーションは発生しないことが確認された。
また、試料番号1〜5の試料で用いたいずれの導電性樹脂ペーストの場合も、比抵抗変化率は900%以下で、特に問題がないことが確認された。
[実施形態2]
この実施形態2では、以下に説明する導電性樹脂ペーストを用いたことを除いて、上述の実施形態1の場合と同じ方法および条件で、表2の試料番号11〜16の試料(実施形態1と同じ構成を有する積層セラミックコンデンサ)を作製した。
なお、表2において試料番号に*を付した試料(試料番号11,12)は本発明の要件を満たさない試料である。
<導電性樹脂ペーストの組成>
(a)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂 :10質量%
(b)フェノール系硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂 :1質量%
(c)導電成分(AgコートCu粉末) :69質量%
(d)硬化促進剤(イミダゾール化合物) :適量
(e)カップリング剤(シラン系カップリング剤) :適量
(f)溶剤:ジエチレングリコールモノブチルエーテル :残
を配合して混練したものを用いた。
ただし、上記導電成分としては、球状で、平均粒径D50が1.1μmであり、AgとCuの合計量に対するAgの割合を、10.0質量%(試料番号11)、10.9質量%(試料番号12)、11.6質量%(試料番号13)、13.3質量%(試料番号14)、15.0質量%(試料番号15)、19.7質量%(試料番号16)と異ならせた6種類のAgコートCu粉末を用いた。
そして、実施形態1の場合と同じ方法で、Agのマイグレーションの発生状態を調べた。その結果を表2に併せて示す。
また、この実施形態2で用いた各導電性樹脂ペーストを、実施形態1の場合と同じ方法で、スライドガラス板上に塗布して硬化させた硬化物について、実施形態1の場合と同じ方法で、比抵抗変化率を調べた。その結果を表2に併せて示す。
Figure 2016004659
表2に示すように、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合が10.0および10.9質量%である、本発明の要件を満たさない試料(試料番号11,12の試料)を含めて、試料番号11〜16のいずれの試料においても、500時間経過後はもちろん、1000時間経過後もAgのマイグレーションは発生しないことが確認された。
また、表2の試料番号13〜16の試料で用いた導電性樹脂ペースト(本発明の要件を満たす導電性樹脂ペースト)の場合、比抵抗変化率が310〜880%の範囲にあり、特に問題がないことが確認された。
しかし、導電成分に含まれるAgとCuの合計量に対するAgの割合が10.0質量%である試料番号11で用いた導電性樹脂ペースト、および、AgとCuの合計量に対するAgの割合が10.9質量%である試料番号12で用いた導電性樹脂ペースト(本発明の要件を満たさない導電性樹脂ペースト)の場合、比抵抗変化率が1138%、982%と大きくなるため、好ましくないことが確認された。
[実施形態3]
この実施形態3では、以下に説明する導電性樹脂ペーストを用いたことを除いて、上述の実施形態1の場合と同じ方法および条件で、表3の試料番号21〜24の試料(実施形態1と同じ構成を有する積層セラミックコンデンサ)を作製した。
<導電性樹脂ペーストの組成>
(a)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂 :10質量%
(b)フェノール系硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂 :1質量%
(c)導電成分(AgコートCu粉末2種類を配合して使用):69質量%
(d)硬化促進剤(イミダゾール化合物) :適量
(e)カップリング剤(シラン系カップリング剤) :適量
(f)溶剤:ジエチレングリコールモノブチルエーテル :残
を配合して混練したものを用いた。
上記導電成分としては、以下の第1のAgコートCu粉末と、第2のAgコートCu粉末とを、表3に示すような割合で配合して用いた。
<第1のAgコートCu粉末>
第1のAgコートCu粉末として、球状で、平均粒径D50が1.2μm、AgとCuの合計量に対するAgの割合(Agコート率)が20.6質量%のAgコートCu粉末を用いた。
<第2のAgコートCu粉末>
第2のAgコートCu粉末として、フレーク状で、平均粒径D50が6.7μm、AgとCuの合計量に対するAgの割合(Agコート率)が19.4質量%のAgコートCu粉末を用いた。
この実施形態3では、第1のAgコートCu粉末と第2のAgコートCu粉末を、質量比で100:0(試料番号21)、70:30(試料番号22)、60:40(試料番号23)、50:50(試料番号24)の割合で配合して用いた。
この実施形態3の各試料(試料番号21〜24)は、AgとCuの合計量に対するAgの割合が20.0〜20.6質量%の範囲にある、本発明の要件を備えた試料である。
試料番号21〜24の各試料について、実施形態1の場合と同じ方法で、Agのマイグレーションの発生状態を調べた。その結果を表3に併せて示す。
また、実施形態3で用いた導電性樹脂ペーストを、実施形態1の場合と同じ方法で、スライドガラス板上に塗布して硬化させた硬化物について、実施形態1の場合と同じ方法で、比抵抗変化率を調べた。その結果を表3に併せて示す。
Figure 2016004659
表3に示すように、第1のAgコートCu粉末と、第2のAgコートCu粉末とを所定の割合配合して用いた、表3の試料番号22〜24の試料の場合、500時間経過後はもちろん、1000時間経過後もAgのマイグレーションは発生しないことが確認された。
また、第1のAgコートCu粉末のみを用いた表3の試料番号21の試料の場合もAgのマイグレーションは発生しないことが確認された。
また、表3の試料番号21〜24の試料で用いた導電性樹脂ペーストの場合、比抵抗変化率が153〜215%の範囲にあり、特に問題がないことが確認された。
なお、上記実施形態では、積層セラミックコンデンサを例にとって説明したが,本発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、下地電極と、樹脂電極層とを備えた外部電極を有する種々のセラミック電子部品に適用することが可能である。
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、下地電極を構成する電極材料やセラミック素体を構成するセラミック材料の種類などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
1a,1b 外部電極
2 セラミック層
3a,3b 内部電極
10 セラミック素体
10a,10b セラミック素体の端面
11a,11b 下地電極
12a,12b 樹脂電極層
13a,13b めっき金属層
14a,14b Niめっき金属層
15a,15b Snめっき金属層

Claims (6)

  1. 内部電極を備えたセラミック素体に導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成され、前記内部電極と直接導通する下地電極と、前記下地電極上に形成された樹脂電極層とを備える外部電極の、前記樹脂電極層を形成するために用いられる導電性樹脂ペーストであって、
    導電成分と、樹脂成分とを含み、
    前記導電成分は少なくともAgと、Cuとを含み、かつ、
    前記導電成分に含まれる前記Agと前記Cuの合計量に対する前記Agの割合が11.6〜28.8質量%の範囲にあること
    を特徴とする導電性樹脂ペースト。
  2. 前記導電成分は、Cu粉末の表面の少なくとも一部がAgによりコートされたAgコートCu粉末からなるものであることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂ペースト。
  3. 前記AgコートCu粉末は、形状が異なるAgコートCu粉末を含むことを特徴とする請求項2記載の導電性樹脂ペースト。
  4. 前記AgコートCu粉末は、球状のAgコートCu粉末とフレーク状のAgコートCu粉末とを含むことを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の導電性樹脂ペースト。
  5. 前記AgコートCu粉末は、AgとCuの比率の異なる2種類以上のAgコートCu粉末を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の導電性樹脂ペースト。
  6. 内部電極を備えたセラミック素体と、導電性ペーストを前記セラミック素体に塗布して焼き付けることにより形成され、前記内部電極と直接導通する下地電極と、前記下地電極上に形成された樹脂電極層とを有する外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、
    前記樹脂電極層が、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性樹脂ペーストを用いて形成されたものであること
    を特徴とする特徴とするセラミック電子部品。
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