JP2016097781A - 車両用ウインドシールド - Google Patents
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Abstract
【課題】表示する画像の大きさに関わらず、二重像の発生を抑制することができ、かつ、耐久性に優れた車両用ウインドシールドを提供する。【解決手段】車室内VIの画像投影装置6からの光Lを反射して運転者Dに画像を視認させる表示パネル領域を備えた車両用ウインドシールド1であって、前記表示パネル領域Aにおいて、ウインドシールドガラス2と、該ウインドシールドガラス2の車室内VIの表面2aに形成された低反射層3と、ウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bに形成された屈折率が2.0以上の硬化層4と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、車室内の画像投影装置からの光を反射して運転者に画像を視認させる車両用ウインドシールドに関する。
従来から、車両の運転者から見えるように、ダッシュボードの表示装置から生成された像が反射されるようにしたヘッドアップ表示システムに使用される車両用ウインドシールドが知られている(下記特許文献1を参照)。また、透明な基材の表面に半透過性の反射膜を形成してなる半透過性の反射部材によって反射した反射像によって表示を行う反射表示装置や、取り付け場所が予め設計されていない車両に後付け可能な車両用ヘッドアップディスプレイが知られている(下記特許文献2、3を参照)。
特許文献1では、ウインドシールドの内面から反射される1次の像と、外面から反射される2次の像とが重なって、写し出された表示の判読が困難になることを防止するために、外側ガラス板と、所定の楔角度を有する透明中間層と、内側ガラス板とからなる車両用ウインドシールドを開示している。透明中間層の楔角度は、該中間層に接着された外側ガラス板及び内側ガラス板が、外側の面から反射される像と内側の面から反射される像とが車両運転者の目に実質的に単一の像として重なり合うような角度をもって配置されるように設定されている。
また、特許文献2に記載された反射表示装置では、半透過性の反射部材の透過性を保持しつつ表裏面反射による二重像の発生を回避するために、基材の裏面に無反射膜をコーティングしている。同様に、特許文献3に記載された車両用ヘッドアップディスプレイでは、表示図の二重化を防止するために、半透光性の反射膜の裏面を無反射コーティングしている。
特許文献1に記載された車両用ウインドシールドは、表示する画像の大きさが小さければ特に問題は生じないが、表示する画像の大きさが大きくなると、表示する画像の上下で反射角度の違いが大きくなり、画像の端部で二重像が発生する虞がある。このような二重像の発生を抑制するためには、例えば、透明中間層の膜厚やガラスの曲面形状を微細に制御する必要があり、製造工程が複雑になる虞がある。
また、特許文献2に記載された反射表示装置及び特許文献3に記載された車両用ヘッドアップディスプレイでは、光が入射する面と反対の裏面に、比較的耐久性の低い無反射膜をコーティングしている。これにより、裏面での光の反射を抑制し、二重像の発生を抑制することができる。しかし、車両用ウインドシールドは、光が入射する面と反対の裏面が車室外に露出するため、例えば、太陽光、風雨、埃、ワイパーによる擦過等に対する無反射膜の耐久性を確保するのが困難である。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、表示する画像の大きさに関わらず、二重像の発生を抑制することができ、かつ、耐久性に優れた車両用ウインドシールドを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の車両用ウインドシールドは、車室内の画像投影装置からの光を反射して運転者に画像を視認させる表示パネル領域を備えた車両用ウインドシールドであって、前記表示パネル領域において、ウインドシールドガラスと、該ウインドシールドガラスの車室内の表面に形成された低反射層と、該低反射層よりも硬度が高く前記ウインドシールドガラスの車室外の表面に形成された屈折率が2.0以上の硬化層と、を有することを特徴とする。
本発明の表示パネル領域は、車両用ウインドシールドガラスの全体でも一部でもよい。車両用ウインドシールドガラスの一部に表示パネル領域を設ける場合には、一箇所に設けてもよいし、複数の箇所に設けてもよい。また、本発明の車両用ウインドシールドに用いられるウインドシールドガラスは、単層でもよいし、複層でもよい。通常は、安全性の観点から、複層の合わせガラスが用いられる。ウインドシールドガラスの屈折率は、例えば、1.3以上かつ1.9以下であり、通常は約1.5である。
表示パネル領域において、ウインドシールドガラスの車室内の表面には、低反射層が形成されている。そのため、ウインドシールドガラスは、車室内の表面で、車室内の画像投影装置からの光の反射が抑制される。低反射層の屈折率は、空気の屈折率1.0より大きく、かつ、ウインドシールドガラスの屈折率より小さい。低反射層の屈折率は、例えば、1.1以上かつ1.2以下であることが好ましい。
表示パネル領域において、ウインドシールドガラスに入射した画像投影装置からの光は、ウインドシールドガラスを透過して裏面、すなわち車室外の表面に達する。表示パネル領域において、ウインドシールドガラスの車室外の表面には、屈折率が2.0以上の硬化層が形成されている。そのため、画像投影装置からの光は、ウインドシールドガラスの車室外の表面において高い反射率で反射され、画像投影装置が生成した画像が運転者によって視認される。硬化層の硬度は、低反射層の硬度よりも高く、例えば、太陽光、風雨、埃、ワイパーによる擦過等に対する優れた耐久性を有している。硬化層及び低反射層の硬度は、例えば、モース硬度に基づいて比較することができる。
硬化層としては、例えば、酸化ジルコニウムと酸化チタンの少なくとも一方を主成分とする透明硬化膜、テルル酸塩ガラス、タリウムアンチモン酸塩ガラス等を用いることができる。酸化ジルコニウムを主成分とする透明硬化膜の屈折率は、例えば、約2.1である。アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンを主成分とする透明硬化膜の屈折率は、それぞれ、例えば、約2.5又は約2.7である。テルル酸塩ガラスの屈折率は、例えば、約2.1から約2.2であり、タリウムアンチモン酸塩ガラスの屈折率は、例えば、約2.2から約2.3である。なお、硬化層は、ウインドシールドガラスの車室外の表面にあるため、本発明の趣旨に反しない限り、ウインドシールドガラスを硬化層と同一の材料で作成し、一体となっていても問題はない。
以上の説明から理解できるように、本発明の車両用ウインドシールドによれば、表示パネル領域において、車室内の画像投影装置からの光を、車室内の表面での反射を抑制しつつウインドシールドガラスに入射させ、ウインドシールドガラスの車室外の表面で高い反射率で効率よく反射させることができる。したがって、表示する画像の大きさに関わらず、二重像の発生を抑制し、画像の明るさを向上させ、画像の視認性を向上させることができる。また、ウインドシールドガラスの車室外の表面の硬化層によって、耐久性に優れた車両用ウインドシールドを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の車両用ウインドシールドの一実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態のウインドシールド1の概略構成を示す模式的な断面図である。
本実施形態のウインドシールド1は、例えば、自動車等の車両に搭載されるヘッドアップディスプレイ機能を備えた車両用ウインドシールドである。ウインドシールド1は、車室内VIの画像投影装置6からの光Lを反射して、画像投影装置6が生成した画像を車両前方の視界に重なるように運転者Dに視認させる表示パネル領域Aを有する。
本実施形態では、ウインドシールド1の全体が表示パネル領域Aとされている。ウインドシールド1は、表示パネル領域Aにおいて、ウインドシールドガラス2と、低反射層3と、硬化層4とを有している。なお、表示パネル領域Aは、ウインドシールド1の一部に形成してもよく、ウインドシールド1の複数の箇所に表示パネル領域Aを形成してもよい。
ウインドシールドガラス2は、単層でもよいし、複層でもよい。通常は、安全性の観点から、複層の合わせガラスが用いられる。ウインドシールドガラス2の屈折率は、例えば、1.3以上かつ1.9以下であり、通常は約1.5である。インストルメント・パネル(以下、インパネと略す)5の表面に対するウインドシールドガラス2の角度αは、例えば、20°以上40°以下であり、本実施形態では、約30°である。
低反射層3は、ウインドシールドガラス2の車室内VIの表面2aに形成されている。低反射層3としては、例えば、屈折率が1.1以上かつ1.2以下程度の低反射フィルムや低反射コートを用いることができる。低反射層3の屈折率は、空気の屈折率1.0より大きく、かつ、ウインドシールドガラス2の屈折率より小さければ、特に限定されない。
硬化層4は、ウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bに形成されている。硬化層4としては、屈折率が2.0以上の透明硬化膜や高屈折率ガラスを用いることができる。硬化層4は、例えば、モース硬度で、低反射層3の硬度よりも高い硬度を有している。硬化層4の厚さは、画像投影装置6からの光Lがウインドシールドガラス2側の表面と車室外VO側の表面で反射しても二重像が問題にならない程度に、ウインドシールドガラス2の厚さに比べて十分に薄くされている。
屈折率が2.0以上の透明硬化膜としては、例えば、酸化ジルコニウムと酸化チタンの少なくとも一方を主成分とする透明硬化膜を用いることができる。酸化ジルコニウムを主成分とする透明硬化膜の屈折率は、約2.1である。アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンを主成分とする透明硬化膜の屈折率は、それぞれ、約2.5又は約2.7である。
屈折率が2.0以上の高屈折率ガラスとしては、例えば、テルル酸塩ガラス、タリウムアンチモン酸塩ガラス等を用いることができる。テルル酸塩ガラスの屈折率は、例えば、約2.1から約2.2であり、タリウムアンチモン酸塩ガラスの屈折率は、例えば、約2.2から約2.3である。
画像投影装置6は、例えば、車室内VIのインパネ5に組み込まれ、運転者Dに視認させる画像を生成し、光Lを照射してウインドシールド1に画像を投影する。ここで、画像投影装置6が射出する光Lが、インパネ5の表面に垂直であり、インパネ5の表面とウインドシールド1との間の角度αが約30°程度である場合、硬化層4の屈折率は概ね2.0程度であることが好ましい。
以下、本実施形態のウインドシールド1の作用について説明する。
本実施形態のウインドシールド1に画像を投影して運転者Dに視認させる際には、まず、画像投影装置6によって画像を生成して光Lをウインドシールド1の表示パネル領域Aに向けて照射する。車室内VIの画像投影装置6から射出された光Lは、低反射層3を介してウインドシールドガラス2に入射することで、ウインドシールドガラス2の車室内VIの表面2aでの反射が抑制される。
これにより、ウインドシールドガラス2の車室内VIの表面2aで反射された光Lによる画像を運転者Dに視認させ難くすることができる。また、低反射層3が車室内VIに形成されることで、低反射層3が車室外VOに形成される場合と比較して、低反射層3に対する太陽光による影響を低減し、風雨、埃、ワイパーによる擦過等の影響を回避することができる。
画像投影装置6から射出された光Lは、ウインドシールドガラス2に入射した後、ウインドシールドガラス2を透過して、ウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bに形成された硬化層4に到達する。硬化層4に到達した光Lは、硬化層4と車室外VOの空気との界面で運転者Dに向けて反射される。これにより、運転者Dは、画像投影装置6が生成した画像を、ウインドシールド1越しの視界に重なるように視認することができる。
このように、画像投影装置6から射出された光Lが、ウインドシールドガラス2の車室内VIの表面2aで反射するのを抑制し、光Lをウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bの硬化層4と空気との界面で反射させることで、表示する画像の大きさに関わらず、二重像の発生を抑制することができる。
しかし、前記特許文献2又は3のように、ただ単に画像を生成する装置からの光をガラスの表裏面の一方のみで反射させただけでは、前記特許文献1のようにガラスの表裏面で反射させた場合と比較して、例えば、光量が約1/2程度に減少し、画像の明るさが低下する虞がある。画像を生成する装置からの光量を2倍にすれば、ガラスの裏面のみで光を反射させた場合でも画像の明るさを確保できるが、画像を表示するのに必要なエネルギーが増加してエネルギー効率が低下する。
そこで、本実施形態のウインドシールド1は、ウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bに屈折率が2.0以上の硬化層4を形成している。本実施形態において、ウインドシールドガラス2の屈折率は、例えば、約1.5程度である。そのため、画像投影装置6からの光Lは、ウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bで、従来のウインドシールドガラスの約2倍程度の高い反射率で効率よく反射される。したがって、ウインドシールドガラス2の車室外VOの表面2bのみで画像投影装置6からの光Lを反射させても、画像の明るさを確保して視認性を向上させ、エネルギー効率の低下を抑制できる。
なお、本実施形態のウインドシールド1は、例えば、車室外VOからの光に対する反射率等、画像を表示する機能以外の機能については、合わせガラスを使用した従来の車両用ウインドシールドと同等である。そのため、本実施形態のウインドシールド1の見栄えは、従来の車両用ウインドシールドと変わらない。
また、硬化層4として透明硬化膜を用いる場合には、低反射層3の硬度よりも高い高度を有する硬質コーティングが可能であるため、例えば、太陽光、風雨、埃、ワイパーによる擦過等に対する十分な耐久性を確保することができる。また、硬化層4として高屈折率ガラスを用いる場合には、通常の合わせガラスの製造工程でウインドシールドガラス2に硬化層4を形成することができ、製造工程の短縮を図ることができる。また、硬化層4として高屈折率ガラスを用いることで、例えば、太陽光、風雨、埃、ワイパーによる擦過等に対する十分な耐久性を確保することができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
以下、本発明の車両用ウインドシールドの実施例と比較例について説明する。
ウインドシールドガラスとして、旭硝子株式会社製の自動車ウインドシールド用UVカット合わせガラスを用意した。ウインドシールドガラスは、若干のグリーン色を有し、屈折率は約1.5であった。ウインドシールドガラスは、見栄え評価用として300mm×300mmの大きさに切断したものを用意し、反射率測定用として150mm×70mmの大きさに切断したものを用意した。
ウインドシールドガラスの車室内の表面に形成する低反射層として、以下の二種類のフィルムを用意した。第1の低反射層(A1)は、旭硝子株式会社製の光干渉式積層薄膜タイプの低反射フィルムである。第2の低反射層(A2)は、三菱レイヨン株式会社製のモスアイ型高機能フィルムであるモスマイト(登録商標)である。
ウインドシールドガラスの車室外の表面に、硬化層として以下の二種類の硬化膜を、それぞれスパッタコートによって形成した。第1の硬化層(B1)は、酸化チタン(TiO2、ルチル)膜であり、第2の硬化層(B2)は、酸化ジルコニウム膜である。
画像投影装置は、トヨタ自動車株式会社製のレクサス(登録商標)NX用のものを用い、車両のインパネに画像投影装置の投影口を150mm×50mmの大きさで形成した。車両のインパネは、明度L=30、グロス値GR=1.0のグレー色のシボ付樹脂板を用いた。
(実施例1)
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第1の低反射層(A1)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に第1の硬化層(B1)を形成して、実施例1のウインドシールド試験片を製作した。
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第1の低反射層(A1)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に第1の硬化層(B1)を形成して、実施例1のウインドシールド試験片を製作した。
(実施例2)
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第1の低反射層(A1)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に第2の硬化層(B2)を形成して、実施例2のウインドシールド試験片を製作した。
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第1の低反射層(A1)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に第2の硬化層(B2)を形成して、実施例2のウインドシールド試験片を製作した。
(実施例3)
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第2の低反射層(A2)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に第1の硬化層(B1)を形成して、実施例3のウインドシールド試験片を製作した。
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第2の低反射層(A2)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に第1の硬化層(B1)を形成して、実施例3のウインドシールド試験片を製作した。
(比較例1)
ウインドシールドガラスの車室内及び車室外の表面に低反射層及び硬化層を形成せず、ウインドシールドガラスをそのまま用いて、比較例1のウインドシールド試験片とした。
ウインドシールドガラスの車室内及び車室外の表面に低反射層及び硬化層を形成せず、ウインドシールドガラスをそのまま用いて、比較例1のウインドシールド試験片とした。
(比較例2)
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第1の低反射層(A1)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に硬化層を形成せず、比較例2のウインドシールド試験片を製作した。
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第1の低反射層(A1)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に硬化層を形成せず、比較例2のウインドシールド試験片を製作した。
(比較例3)
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第2の低反射層(A2)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に硬化層を形成せず、比較例3のウインドシールド試験片を製作した。
ウインドシールドガラスの車室内の表面に第2の低反射層(A2)を形成し、ウインドシールドガラスの車室外の表面に硬化層を形成せず、比較例3のウインドシールド試験片を製作した。
実施例1から3及び比較例1から3のウインドシールド試験片に対して、それぞれ、以下の見栄え評価と反射率の測定を行った。
見栄え評価では、乗用車に搭乗する運転者と同様の位置関係で、画像投影装置の投影口を形成したインパネ、ウインドシールド試験片、及び運転者を配置して、画像の見栄え評価を行った。具体的には、インパネ表面に対し、30°の傾斜でウインドシールドを固定し、ウインドシールド試験片で反射した画像投影装置からの投影光が確認できるように、運転者(評価者)を配置した。
反射率の測定は、株式会社日立ハイテクフィールディング社製の分光光度計U−4000を用い、見栄え評価時のウインドシールド試験片の傾斜角度30°に対応する入射光角度60°の際の反射率を測定した。
表1に、実施例1から比較例3までの低反射層と硬化層の関係とともに、見栄え評価と反射率の測定結果を示す。表1中、A1は、旭硝子株式会社製の光干渉式積層薄膜タイプの低反射フィルムであり、A2は、三菱レイヨン株式会社製のモスマイト(登録商標)である。B1は、酸化チタン(TiO2、ルチル)膜であり、B2は、酸化ジルコニウム膜である。
実施例1では、ウインドシールド試験片に投影された画像の見栄えは良好で、二重像の発生が抑制されて視認性が高かったが、反射率が高いため、車両前方の背景がやや見え難くなる傾向があった。実施例2では、ウインドシールド試験片に投影された画像の見栄えは良好で、二重像の発生が抑制されて視認性が高かった。また、実施例1よりも反射率が低いため、車両前方の背景がより見えやすくなった。実施例3では、二重像の発生が実施例1及び2よりもさらに抑制されて視認性がより高くなった。また、反射率は、実施例2よりもやや低くなったが、比較例1と同程度の明るさを得ることができた。
比較例1では、ウインドシールド試験片に投影された画像が二重になる二重像が発生し、視認性は低かったが、画像の明るさには問題がなかった。比較例2では、二重像の発生が抑制され、視認性はそれほど低下しなかったが、画像の明るさが低下する傾向が見られた。比較例3では、二重像の発生が比較例2よりも抑制されて視認性は高かったが、画像の明るさがより低下した。
以上の結果から、実施例1から3のウインドシールド試験片では、二重像の発生を抑制して視認性を向上させることができ、かつ、反射率を向上させて画像の明るさが低下するのを防止できることが確認された。
1 ウインドシールド
2 ウインドシールドガラス
2a 車室内の表面
2b 車室外の表面
3 低反射層
4 硬化層
6 画像投影装置
A 表示パネル領域
D 運転者
L 光
VI 車室内
VO 車室外
2 ウインドシールドガラス
2a 車室内の表面
2b 車室外の表面
3 低反射層
4 硬化層
6 画像投影装置
A 表示パネル領域
D 運転者
L 光
VI 車室内
VO 車室外
Claims (1)
- 車室内の画像投影装置からの光を反射して運転者に画像を視認させる表示パネル領域を備えた車両用ウインドシールドであって、
前記表示パネル領域において、ウインドシールドガラスと、該ウインドシールドガラスの車室内の表面に形成された低反射層と、該低反射層よりも硬度が高く前記ウインドシールドガラスの車室外の表面に形成された屈折率が2.0以上の硬化層と、を有することを特徴とする車両用ウインドシールド。
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