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JP7110575B2 - 映像表示装置、車両 - Google Patents

映像表示装置、車両 Download PDF

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JP7110575B2
JP7110575B2 JP2017194535A JP2017194535A JP7110575B2 JP 7110575 B2 JP7110575 B2 JP 7110575B2 JP 2017194535 A JP2017194535 A JP 2017194535A JP 2017194535 A JP2017194535 A JP 2017194535A JP 7110575 B2 JP7110575 B2 JP 7110575B2
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Description

本発明は、像表示装置、車両関するものである。
従来、自動車や船舶等に配置されるHUD(ヘッドアップディスプレイ)は、映像を表示する反射表示板としてフロントウィンドウに用いられるウィンドウガラスを利用している。HUDに用いられるウィンドウガラスとしては、2枚のガラス間に、断面形状が楔形の中間膜を配置したもの、ハーフミラー状の面を有するプリズムシートを配置したもの、コレステリック液晶層を配置したもの等、様々な形式のものが知られている。
このうち、コレステリック液晶層を配置した形式の反射表示板(フロントウィンドウ)については、視野角特性の広さ等から近年注目されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2015/125908号
しかし、このような反射表示板において、コレステリック液晶層を透過した映像光の一部が背面側のガラス板で反射したり、映像光の一部が反射表示板(観察者側のガラス板)への入射時に反射したりする等して、2重像が生じる場合があり、2重像の低減が課題となっている。
特許文献1には、HUDに適用され、コレステリック液晶層を内部に有する投映像表示用部材を備える投映システムが記載されている。特許文献1の投映システム等では、明るい環境下においても良好な映像を表示するための対策はなされているが、このような2重像の改善等に対する対策についてなんら開示されていない。
本発明の課題は、2重像を低減した良好な映像を表示できる像表示装置、車両提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、透光性を有し、投射された映像光の少なくとも一部を反射して映像を表示する反射表示板であって、透光性を有し、該反射表示板の厚み方向において映像光の入射側に設けられる第1透明基板(122)と、透光性を有し、該反射表示板の厚み方向において前記第1透明基板よりも背面側に配置される第2透明基板(127)と、前記第1透明基板及び前記第2透明基板の間に設けられ、所定の波長領域であって一方の回転方向の円偏光を反射するコレステリック液晶層(124)と、前記第1透明基板の入射側の面に積層された反射抑制層(121)と、を備える反射表示板(12,22)である。
第2の発明は、第1の発明の反射表示板(12,22)と、前記反射表示板に対して、少なくとも円偏光を含む映像光を投射する映像源(11)と、を備える映像表示装置(10)である。
第3の発明は、第2の発明の映像表示装置において、前記反射表示板への映像光の入射角度をθ1とし、入射側から入射した光の反射抑制層及び第1透明基板における反射光の反射Y値が最小となる前記光の入射角度をγ1とするとき、θ1-30°≦γ1≦θ1+30°を満たすこと、を特徴とする映像表示装置(10)である。
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明の映像表示装置において、前記第1透明基板(122)及び前記第2透明基板(127)の間であって前記コレステリック液晶層(124)よりも背面側に設けられる1/4波長位相差層(125)を備えること、を特徴とする映像表示装置(10)である。
第5の発明は、第4の発明の映像表示装置において、前記反射表示板への映像光の入射角度をθ1とし、前記第2透明基板と空気との界面に空気側から光が入射する際のブリュースター角をβとするとき、β-20°≦θ1≦β+20°を満たすこと、を特徴とする映像表示装置(10)である。
第6の発明は、第2の発明又は第3の発明の映像表示装置において、前記第2透明基板(127)の背面側の面に積層される第2反射抑制層(228)を備えること、を特徴とする映像表示装置(10)である。
第7の発明は、第6の発明の映像表示装置において、前記反射表示板への映像光の入射角度をθ1とし、背面側から入射した光の第2反射抑制層(228)及び第2透明基板(127)における反射光の反射Y値が最小となる前記光の入射角度をγ2とするとき、θ1-30°≦γ2≦θ1+30°を満たすこと、を特徴とする映像表示装置(10)である。
第8の発明は、第2の発明から第7の発明までのいずれかの映像表示装置(10)を備える車両であって、前記映像源(11)は、該車両の内部に配置され、前記反射表示板(12)は、該車両の透光部であること、を特徴とする車両である。
本発明によれば、2重像を低減した良好な映像を表示できる像表示装置、車両提供することができる。
第1実施形態の映像表示装置10を説明する図である。 第1実施形態のウィンドウガラス12(反射表示板)の層構成等を説明する図である。 第1実施形態のウィンドウガラス12(反射表示板)の製造方法の一例を示す図である。 第2実施形態のウィンドウガラス22(反射表示板)の層構成等を説明する図である。 第2実施形態のウィンドウガラス22(反射表示板)の製造方法の一例を示す図である。 第1実施形態の映像表示装置10が配置される車両である自動車30を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、また、板等の言葉を使用しているが、一般的に、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されていることに鑑み、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。層や膜等の文言についても、同様であるとする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の映像表示装置10を説明する図である。図1(a)は、第1実施形態の映像表示装置10を説明する図であり、図1(b)は、第1実施形態のフロントウィンドウに映像が表示される領域Aを説明する図である。
図6は、第1実施形態の映像表示装置10が配置される車両である自動車30を示す図である。
本実施形態の映像表示装置10は、自動車30の透光部(窓)となるフロントウィンドウ等に映像を投影するHUD(ヘッドアップディスプレイ)であり、映像光Lを投射する映像源11と、映像光Lが投射される反射表示板であるウィンドウガラス12とを備えている。本実施形態では、このウィンドウガラス12は、自動車30のフロントウィンドウとして使用されている例を挙げて説明する。
映像源11は、運転席の前方のウィンドウガラス12(フロントウィンドウ)の所定の領域(例えば、図1(b)に示す領域A)に映像光Lを投射する。映像光Lの少なくとも一部は、ウィンドウガラス12内の後述するコレステリック液晶層124で反射し、観察者E側へ向かう。これにより、観察者Eは、ウィンドウガラス12の領域Aに投映された映像を視認することができる。
なお、表示される映像は、文字や図形等、適宜選択可能であり、例えば、自動車30の速度や、進行方向の表示、天候、歩行者や障害物、他の自動車等の対象物の接近等を知らせる警告表示等、その内容に関しても適宜選択してよい。
映像源11は、本実施形態では、一例として、自動車30の運転席側等の不図示のダッシュボード上又はダッシュボード内に配置され、鉛直方向においてはウィンドウガラス12の下方に位置し、ウィンドウガラス12へ向けて下方から上方へ斜めに映像光Lを投射する。この映像源11は、映像光として円偏光を投射する。なお、映像光Lは、円偏光以外の偏光成分を含んでいてもよいが、その場合は、円偏光が占める割合が大きいことが好ましい。
本実施形態では、図1に示すように、映像源11は、自動車30の運転席前方のウィンドウガラス12の中心より下方側の領域Aに向けて、映像光Lを投射する。観察者Eである運転者は、ウィンドウガラス12を通して進行方向の車外の景色等を視認しながら、映像表示装置10の表示する映像を視認可能である。
本実施形態では、映像源11は、一例として、直線偏光を出射するLCD方式等のプロジェクタの投射口に、不図示の1/4波長位相差板を備え、円偏光を投射可能としたもの等が用いられる。これに限らず、映像源11は、レーザー光源等の投射口に不図示の1/4波長位相差板を備え、円偏光を投射可能としたものを用いてもよいし、スマートフォンやタブレット等の画面に映像を表示可能な携帯端末等を用いてもよい。
図2は、第1実施形態のウィンドウガラス12(反射表示板)の層構成等を説明する図である。図2では、ウィンドウガラス12の厚み方向に平行な断面を模式的に示している。
ウィンドウガラス12は、自動車30の前方の透光部を覆うように配置される光透過性を有する部材であり、2枚のガラス板の間に中間層等を挟み込んだ合わせガラスとして構成されている。
このウィンドウガラス12は、投射された映像光Lの少なくとも一部を反射して映像を表示する反射表示板であり、車内側(観察者E側)から順に、反射抑制層121、第1ガラス板122、第1中間層123、コレステリック液晶層124、1/4波長位相差層125、第2中間層126、第2ガラス板127を備えている。
図2等において、ウィンドウガラス12の厚み方向に平行な方向をZ方向とし、車内側(観察者側、入射側)を+Z側、車外側(背面側)を-Z側とする。
第1ガラス板122は、ウィンドウガラス12の厚み方向において、車内側(入射側)に配置された透光性を有する第1透明基板であり、ガラス製の板状の部材である。
第1ガラス板122と第2ガラス板127とで、第1中間層123、コレステリック液晶層124、1/4波長位相差層125、第2中間層126を狭持している。
第1ガラス板122は、ソーダライムガラス(青板ガラス)や、硼珪酸ガラス(白板ガラス)、石英ガラス、ソーダガラス、カリガラス等により形成されている。この第1ガラス板122は、その厚みが例えば2~3mm程度である。
反射抑制層121は、第1ガラス板122の車内側(+Z側)に積層された層である。反射抑制層121は、このウィンドウガラス12と空気との車内側の界面へ光が入射又は出射する際の反射を抑制する機能を有している。
この反射抑制層121を第1ガラス板122の車内側に積層することにより、ウィンドウガラス12に映像光Lが入射する際の反射を抑制することができる。これにより、ウィンドウガラス12に入射する際に映像光Lの一部が反射することに起因する2重像を低減できる。また、これにより、ウィンドウガラス12へ入射する映像光の光量が増え、後述するコレステリック液晶層124で反射される映像光の光量が増えるので、より明るく視認性の高い映像を表示できる。
反射抑制層121は、第1ガラス板122の車内側(+Z側)の面122a上に、屈折率の異なる2種類以上の層が蒸着やスパッタ等により積層されて形成された多層構造としてもよいし、第1ガラス板122の車内側の面122a上に、第1ガラス板122よりも低い屈折率を有する層をコーティング(塗布)して形成された単層構造又は多層構造としてもよい。
反射抑制層121の厚みは、上記の層構成と各層を成す材料の屈折率から光学的に決定されるものであるが、本実施形態では、その厚みが100~500nm程度であることが好ましい。
なお、反射抑制層121のさらに車内側(+Z側)に、埃や汚れ等の付着を低減する不図示の防汚層を形成してもよい。この防汚層は、厚さを1~10nm程度とすることが好ましい。
第1中間層123は、第1ガラス板122の車外側(-Z側)に積層された層である。この第1中間層123は、第1ガラス板122とコレステリック液晶層124とを接合している。また、第1中間層123は、ウィンドウガラス12が破損した際に、第1ガラス板122の飛散を防止する機能を有している。
第1中間層123は、例えば、PVB(ポリビニルブリラール)によって形成され、その厚みは、0.3~0.8mm程度とすることが好ましい。なお、第1中間層123は、PVBに限らず、COP(シクロオレフィンポリマー)等の他の樹脂を用いてもよい。
コレステリック液晶層124は、第1中間層123の車外側(-Z側)に積層された層であり、ウィンドウガラス12に入射した円偏光である映像光Lの少なくとも一部を反射する機能を有する。
コレステリック液晶層124は、コレステリック液晶相となる重合性液晶材料により形成された層であり、所定のらせんピッチとなるように重合性液晶材料に添加するカイラル剤の量等を調整し、紫外線照射や加熱等によって液晶を硬化させ、かつ、液晶の旋回方向を固定化する等して設けられている。
このコレステリック液晶層124は、液晶のらせんピッチによって決定される所定の波長領域であって、かつ、液晶の旋回方向に一致する回転方向の円偏光成分を選択的に反射し、それ以外の波長領域の円偏光成分や液晶の旋回方向とは逆の回転方向の円偏光成分を透過させる機能を有している。本実施形態では、コレステリック液晶層124の液晶の旋回方向は、ウィンドウガラス12に投射された円偏光である映像光Lの回転方向と一致している。
なお、コレステリック液晶層124の反射率は、100%ではないために、反射されるべき映像光L(液晶のらせんピッチによって決定される所定の波長領域であって、かつ、液晶の旋回方向に一致する回転方向の円偏光)の一部も、このコレステリック液晶層124を透過する。
このコレステリック液晶層124は、単層としてもよいし、複数の液晶層が積層された多層構造としてもよい。また、コレステリック液晶層124は、視認性の観点から、波長550nm又はその近傍の波長の光(緑色光)の反射特性が高いことが好ましく、可視光領域全域(約380~750nm)の光に対して反射特性を有することが好ましい。
したがって、コレステリック液晶層124は、単層である場合には、少なくとも波長550nm又はその近傍の波長の光を中心波長とする選択波長域を備えていることが好ましい。また、コレステリック液晶層124は、多層構造である場合には、各液晶層の選択波長域の中心波長が異なることが好ましい。
前述のように、コレステリック液晶層124が反射する光の波長域は、液晶のらせんピッチによって決定されるため、このような選択波長域の設定は、コレステリック液晶層124を形成する重合性液晶材料に添加するカイラル剤の量等を調整することによって適宜設定できる。コレステリック液晶層124が多層構造である場合には、各液晶層の重合性液晶材料に添加するカイラル剤の量等を調整することにより可能である。
本実施形態では、図2等に示すように、コレステリック液晶層124の表面の法線方向に対して斜め方向から映像光が入射し、斜め方向へ反射しているので、見かけ上の反射光の色は短波長側へ移動している。したがって、観察者Eの位置で視認される反射光のピーク輝度を有する波長(例えば、45°正反射においてピーク輝度を有する波長)を、ここでの選択波長域の中心波長とする。
1/4波長位相差層125は、コレステリック液晶層124と第2中間層126との間に配置された層であり、これを透過する光に対して、電界の振動方向(偏光面)に1/4波長分の位相差を生じさせる機能を有する層である。1/4波長位相差層125は、所謂、1/4波長板である。
映像源11から投射され、ウィンドウガラス12に入射した映像光Lは、前述のように、その多くがコレステリック液晶層124で反射されるが、一部はコレステリック液晶層124を透過して、1/4波長位相差層125へ入射する。この1/4波長位相差層125へ入射した映像光(円偏光)は、1/4波長位相差層125を透過することにより、直線偏光となる。1/4波長位相差層125は、円偏光である映像光Lが1/4波長位相差層125を透過することにより、第2ガラス板127と空気との界面へP偏光として入射するように、その遅相軸の方向等が設定されている。詳細は後述するが、これは、ウィンドウガラス12の車外側の空気との界面での一部の映像光の反射を低減するためである。なお、P偏光とは、隣り合う異なる媒質の界面(境界面)に垂直であって入射光及び反射光を含む面を入射面と呼び、この入射面内で電界が振動する偏光である。本実施形態において、境界面は、第2ガラス板127と空気との界面(第2ガラス板127の車外側の面127b)である。
また、1/4波長位相差層125の透過光における楕円率は、1に近いことが好ましく、1であることがより好ましい。
この1/4波長位相差層125は、例えば、不図示の光学異方性の小さなフィルム基材(TAC(トリアセチルセルロース)等)に不図示の配向膜を形成し、この配向膜上に液晶材料をコーティングする等により、透過光に1/4波長の位相差を付与する位相差層を形成した部材を用いてもよいし、所定の光学異方性を発揮するように延伸されたCOP等の延伸フィルム材を用いてもよい。さらに、これに限らず、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の光学異方性の大きなフィルム上に配向膜を形成し、さらにその上に液晶材料をコーティングして1/4波長位相差層を形成し、光学異方性の小さなフィルム基材等へ転写した後、光学異方性の大きなフィルムを除くことにより、1/4波長位相差層125を形成してもよい。また、上述のように、液晶材料をコーティングして1/4波長位相差層125を形成した後、直接、第2中間層126を形成した第2ガラス板127へ接合し、光学異方性の大きなフィルムを除く等してもよい。
第2中間層126は、1/4波長位相差層125の車外側(-Z側)に積層された層であり、1/4波長位相差層125と第2ガラス板127とを接合している。また、第2中間層126は、ウィンドウガラス12が破損した際に、第2ガラス板127が飛散することを防止する機能を有している。
第2中間層126は、前述の第1中間層123と同様の材料により形成され、厚みも同様である。
第2ガラス板127は、このウィンドウガラス12の厚み方向において、第1ガラス板122よりも車外側(背面側)に配置された第2透明基板であり、第2中間層126の車外側に積層されたガラス製の板状の部材である。第2中間層126の車外側(-Z側)に積層された透明な部材である。第2ガラス板127は、前述の第1ガラス板122と同様の材料によって形成される。また、第2ガラス板127の厚みも、前述の第1ガラス板122と同様である。
次に、反射表示板であるウィンドウガラス12の製造方法の一例について説明する。
図3は、第1実施形態のウィンドウガラス12(反射表示板)の製造方法の一例を示す図である。
まず、図3(a)に示すように、PET基材101上に不図示の配向膜(光配向膜)を形成し、その上に重合性液晶材料を用いて1/4波長位相差層125を形成した。
次に、図3(b)に示すように、1/4波長位相差層125上に、カイラル剤を含有する重合性液晶材料を塗工し、紫外線を照射して硬化させ、45°正反射で波長550nmに反射光のピーク輝度(中心波長)を有するコレステリック液晶層124を形成した。
なお、本実施形態では、コレステリック液晶層124は、45°正反射で波長550nmに反射光のピーク輝度(中心波長)を有するとしたが、これに限らず、ピーク輝度を有する正反射の角度等は、映像表示装置10の使用環境等に応じて適宜設定してよい。
次に、図3(c)に示すように、1/4波長位相差層125及びコレステリック液晶層124の積層体を、接着剤となるPVBを塗付して形成された第1中間層123を介して第1ガラス板122に転写し、PET基材101を剥離する。
さらに、図3(d)に示すように、得られた積層体の1/4波長位相差層125側の表面に、接着剤となるPVBを塗付して第2中間層126を形成し、この積層体と第2ガラス板127とを接着する。
次に、図3(e)に示すように、得られた積層体の第1ガラス板122側の表面に、反射抑制層121を形成することにより、反射表示板であるウィンドウガラス12が形成される。
以下、前述の図2を参照しながら、映像表示装置10における映像光や外光の進み方等について説明する。なお、図2では、ウィンドウガラス12内を進む映像光L(L1~L3)及び外光G(G1~G3)の様子について示しており、理解を容易にするために、ウィンドウガラス12内の各層間における光の屈折を省略して示しているが、実際には各層間において光は適宜屈折しているものとする。
前述のように、映像源11は、ウィンドウガラス12に対して映像光L1として円偏光を投射する。このとき、ウィンドウガラス12への映像光L1の入射角度をθ1(°)とする。
ウィンドウガラス12へ映像光L1が入射する際に、一部の映像光L1の一部が反射されることに起因する2重像を低減するためには、第1ガラス板122に反射抑制層121が積層された状態で、車内側(+Z側)から入射した光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が最小となる入射角度γ1(°)と、ウィンドウガラス12への映像光L1の入射角度θ1とは、以下の関係を満たすことが好ましい。
θ1-30°≦γ1≦θ1+30°
この反射Y値は、CIE表色系の視認反射率(%)であり、日本分光株式会社製の紫外可視分光光度計V-7100及び絶対反射率測定ユニットVAR-7010を用いて測定した。絶対反射率測定においては、入射角が5°から70°までの正反射率を5°刻みで波長380nmから780nmまでの領域で測定した。反射Y値は、各角度での対象物の正反射率を、人間が目で感じる明度(視認反射率)へと換算することにより得られる。上記の入射角度γ1は、この反射Y値が最小となる入射角度である。
上記関係を満たすことが好ましい理由は、以下の通りである。
映像光L1がウィンドウガラス12へ入射する際に一部の映像光が反射することに起因する2重像を低減するためには、映像光L1が反射抑制層121及び第1ガラス板122を透過する透過率が高いこと(反射率が低いこと)が好ましい。
したがって、第1ガラス板122の車内側(+Z側)に反射抑制層121が積層された状態で、車内側から入射した光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が最小となる入射角度γ1と、ウィンドウガラス12への映像光L1の入射角度θ1とが等しいとき、反射抑制層121と第1ガラス板122との界面での映像光L1の反射が最も抑制される。また、本願発明者らは、この角度γ1が、θ1±30°の範囲内であれば、十分に映像光L1の反射抑制効果が得られることを発見した。
よって、第1ガラス板122の車内側に反射抑制層121が積層された状態で、車内側(+Z側)から入射した光の反射Y値が最小となる入射角度γ1と、ウィンドウガラス12への映像光L1の入射角度θ1とが、θ1-30≦γ1≦θ1+30°という関係を満たすことにより、ウィンドウガラス12へ入射する映像光の一部が反射することに起因する2重像を低減することができる。
またこれにより、ウィンドウガラス12への映像光L1の入射光量が増え、コレステリック液晶層124で反射される映像光L2の光量が増えるため、ウィンドウガラス12及び映像表示装置10は、より明るく視認性の高い映像を表示することができる。
ウィンドウガラス12に入射して、反射抑制層121、第1ガラス板122、第1中間層123を透過した映像光L1は、コレステリック液晶層124へ入射する。そして、前述のように映像光L1の多くは、コレステリック液晶層124により反射され、観察者E側へ向かって出射する。このコレステリック液晶層124で反射した映像光L2により、観察者Eは映像を視認する。
また、コレステリック液晶層124を透過した一部の映像光L3は、1/4波長位相差層125を透過して直線偏光となる。そして、直線偏光となった映像光L3は、第2中間層126、第2ガラス板127を透過し、車外へ出射する。
このとき、第2ガラス板127と空気と界面(第2ガラス板127の車外側の面127b)に対して、直線偏光となった映像光L3が、P偏光として入射する。
P偏光である映像光L3が第2ガラス板127側から第2ガラス板127と空気との界面(面127b)へ入射する際、空気側への透過率を高めるためには、映像光L3が面127bへ第2ガラス板127側から入射する際のブリュースター角で入射することが好ましい。このとき、映像光L3の第2ガラス板127からの出射角度をθ2(°)とすると、その出射角度θ2は、空気側から面127bへ光が入射する際のブリュースター角β(°)に等しい。
したがって、P偏光である映像光L3の第2ガラス板127からの出射角度θ2がブリュースター角βに等しいことが、第2ガラス板127と空気との界面(面127b)での映像光L3の透過率を最も挙げる観点から好ましい。また、本願発明者らは、出射角度θ2が、β±20°の範囲内であれば、すなわち、β-20°≦θ2≦β+20°を満たすならば、第2ガラス板127と空気との界面(面127b)での映像光L3の透過率を十分高く(反射率を十分低く)確保できることを見出した。
よって、出射角度θ2とブリュースター角βとは、β-20°≦θ2≦β+20°を満たすことが、第2ガラス板127と空気との界面での映像光L3の反射を抑制してその透過率を高め、2重像を低減する観点から好ましい。
なお、ウィンドウガラス12は、同じ材料で形成された第1ガラス板122及び第2ガラス板127を備えており、第1ガラス板122への映像光L1の入射角度は、第2ガラス板127からの映像光L3の出射角度に等しい。また、映像光L1のウィンドウガラス12への入射角度θ1は、第1ガラス板122への入射角度に略等しく、ウィンドウガラス12からの映像光L3の出射角度θ2は、第2ガラス板127からの映像光L3の出射角度である。
したがって、映像光L1の入射角度とブリュースター角βとは、以下の関係を満たすことが、好ましい。
β-20°≦θ1≦β+20°
これにより、コレステリック液晶層124を透過した映像光L3の一部がウィンドウガラス12と車外側の空気との界面で観察者E側へ反射することに起因する2重像を効果的に抑制できる。
次に、太陽光等の外光Gは、あらゆる方向に振動している光が混合している。そのため、ウィンドウガラス12に車外側から入射した外光G1は、一部の外光G2がコレステリック液晶層124によって反射されて車外へ向かい、一部の外光G3がコレステリック液晶層124を透過して車内の観察者Eに届く。すなわち、観察者Eに届く外光の量は、コレステリック液晶層124での反射等により低下するため、観察者Eがウィンドウガラス12を通して車外を観察する際に、車外が暗く観察され、視認性が低下する場合がある。
しかし、本実施形態のウィンドウガラス12は、反射抑制層121を備えているので、ウィンドウガラス12に入射した外光が車内側(+Z側)へ出射する際のウィンドウガラス12(第1ガラス板122)との界面での反射を抑制することができ、観察者Eがウィンドウガラス12を通して車外を明るく観察できる。
以上のことから、本実施形態によれば、ウィンドウガラス12と空気との車内側及び車外側の両界面での映像光の反射を抑制し、このような反射光に起因する2重像を効果的に低減でき、視認性の高い良好な映像を表示できる。
また、本実施形態によれば、ウィンドウガラス12への映像光の入射光量を増大させ、明るい映像を表示することができる。
また、本実施形態によれば、外光のウィンドウガラス12の透過率を維持でき、ウィンドウガラス12を通して、観察者Eが車外を観察する際の車外の景色の視認性を向上できる。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態のウィンドウガラス22(反射表示板)の層構成等を説明する図である。
第2実施形態のウィンドウガラス22は、1/4波長位相差層125を備えず、第2ガラス板127の車外側に第2反射抑制層228を備える点が前述の第1実施形態のウィンドウガラス12と異なる以外は、第1実施形態のウィンドウガラス12と同様の形態である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態のウィンドウガラス22は、反射抑制層(第1反射抑制層)121、第1ガラス板122、第1中間層123、コレステリック液晶層124、第2中間層126、第2ガラス板127、第2反射抑制層228を備えている。
このウィンドウガラス22は、前述の第1実施形態に示した映像表示装置10へ適用可能である。また、第2実施形態のウィンドウガラス22を備える映像表示装置10は、前述の第1実施形態に示した自動車30へ適用可能である。
反射抑制層(第1反射抑制層)121、第1ガラス板122、第1中間層123、コレステリック液晶層124、第2ガラス板127については、前述の第1実施形態に示した通りである。
第2中間層126は、本実施形態では、第2ガラス板127とコレステリック液晶層124との間に設けられ、第2ガラス板127とコレステリック液晶層124とを接合している。この第2中間層126の厚みや材料は、前述の第1実施形態と同様である。
第2反射抑制層228は、第2ガラス板127の車外側(-Z側)に設けられた層であり、反射抑制層121と同様に、光がウィンドウガラス22へ入射又は出射する際のウィンドウガラス22の車外側の空気との界面での反射を抑制する機能を有している。
本実施形態では、第2反射抑制層228は、前述の反射抑制層121と同様の形態であるが、異なる形態であってもよい。また、第2反射抑制層228は、ウィンドウガラス12の車外側の面を形成しており、耐候性や耐久性を有することが望ましい。
図5は、第2実施形態のウィンドウガラス22(反射表示板)の製造方法の一例を示す図である。
まず、図5(a)に示すように、PET基材101上に、カイラル剤を含有する重合性液晶材料を塗工し、紫外線を照射して硬化させ、45°正反射で波長550nmに反射ピーク(中心波長)を有するコレステリック液晶層124を形成した。なお、本実施形態では、コレステリック液晶層124は、45°正反射で波長550nmに反射光の輝度ピーク(中心波長)を有するとしたが、これに限らず、反射ピークを有する正反射の角度等は、映像表示装置10の使用環境等に応じて適宜設定してよい。
次に、図5(b)に示すように、コレステリック液晶層124の表面に接着剤となる第2中間層126を形成し、第2ガラス板127に転写し、PET基材101を剥離する。
次に、図5(c)に示すように、得られた積層体のコレステリック液晶層124側の表面に、接着剤を塗布して第1中間層123を形成し、この第1中間層123により、この積層体と第1ガラス板122とを接着する。
次に、図5(d)に示すように、得られた積層体の第1ガラス板122側の表面に、反射抑制層121を形成し、第2ガラス板127側の表面に、第2反射抑制層228を形成することにより、反射表示板であるウィンドウガラス22が形成される。
なお、上述の例に限らず、PET基材101上にコレステリック液晶層124を形成して第1中間層123を介して第1ガラス板122へ転写し、その後、第2中間層126により第2ガラス板127と接合する工程としてもよい。
前述の図4を参照しながら、第2実施形態のウィンドウガラス22における映像光や外光の進み方等について説明する。
なお、図4では、ウィンドウガラス22内を進む映像光L(L1~L3)及び外光G(G1~G3)の様子について示しており、理解を容易にするために、ウィンドウガラス22内の各層間における光の屈折を省略して示しているが、実際には各層間において光は適宜屈折しているものとする。
前述のように、映像源11は、ウィンドウガラス22に対して映像光L1として円偏光を投射する。ウィンドウガラス22への映像光L1の入射角度をθ1とし、第1ガラス板122の車内側(+Z側)に反射抑制層121が積層された状態で、車内側から入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が最小となる入射角度をγ1とするとき、本実施形態においても、θ1-30°≦γ1≦θ1+30°を満たしている。これにより、映像光L1の一部が、ウィンドウガラス22に入射する際に反射することに起因する2重像をより効果的に抑制することができる。
また、これにより、ウィンドウガラス12への映像光L1の入射光量が増え、コレステリック液晶層124で反射される光量が増えることにより、映像表示装置10及びウィンドウガラス22は、より明るい映像を表示することができる。
次に、ウィンドウガラス22に入射して、反射抑制層121、第1ガラス板122、第1中間層123を透過した映像光L1は、コレステリック液晶層124へ入射する。そして、前述のように映像光L1の多くは、コレステリック液晶層124により反射され、観察者E側へ向かって出射する。このコレステリック液晶層124で反射した映像光L2により、観察者Eは映像を視認する。
また、コレステリック液晶層124を透過した映像光L3は、第2中間層126、第2ガラス板127を透過し、車外へ出射する。
このとき、第2ガラス板127の車外側(-Z側)の面には第2反射抑制層228が形成されているので、ウィンドウガラス22と空気と界面での映像光L3の反射が抑制される。これにより、コレステリック液晶層124を透過した映像光L3の一部が第2ガラス板127と空気との界面で観察者E側へ反射することに起因する2重像を効果的に抑制できる。
本実施形態のウィンドウガラス22では、第2ガラス板127の車外側(-Z側)に第2反射抑制層228が積層された状態で、車外側から入射した光の第2反射抑制層228及び第2ガラス板127における反射光の反射Y値が最小となる入射角度をγ2(°)とし、ウィンドウガラス22への映像光L1の入射角度をθ1とするとき、以下の関係を満たすことが好ましい。
θ1-30≦γ2≦θ1+30°
これは、以下の理由によるものである。
コレステリック液晶層124を透過した映像光L3が、ウィンドウガラス22の車外側(-Z側)の空気との界面で反射することに起因する2重像を低減するためには、ウィンドウガラス22と車外側の空気との界面での映像光L3の反射率が小さい(透過率が高い)ことが好ましい。これは、ウィンドウガラス22から車外側への映像光L3の出射角度をθ2とするとき、ウィンドウガラス22の車外側の空気との界面に空気側(車外側)から入射角度θ2で入射する光の反射率が低いことが好ましいことに等しい。
本実施形態では、第1ガラス板122と第2ガラス板127とは同じ材料で形成されており、ウィンドウガラス22への映像光L1の入射角度θ1は、ウィンドウガラス22からの映像光L3の出射角度θ2に等しい。
したがって、第2ガラス板127の車外側に第2反射抑制層228が積層された状態で、車外側(-Z側)からウィンドウガラス22へ入射した光の第2反射抑制層228及び第2ガラス板127における反射光の反射Y値が最小となる入射角度γ2と、ウィンドウガラス22からの映像光L3の出射角度θ2(すなわち、映像光L1のウィンドウガラス22へ入射角度θ1)とが等しいとき、ウィンドウガラス22の車外側の空気との界面での映像光L3の反射が最も抑制される。また、本願発明者らは、角度γ2が、θ2±30°の範囲内、すなわち、θ1±30°の範囲内であれば、ウィンドウガラス22の車外側の空気との界面での映像光L3の反射を十分に抑制する効果が得られることを発見した。
以上のことから、角度γ2と角度θ1とは、θ1-30≦γ2≦θ1+30°を満たすことにより、ウィンドウガラス22における2重像低減効果をさらに高めることができる。
なお、本実施形態では、第2反射抑制層228は、反射抑制層121と同様であるので、γ2=γ1であるとしたが、角度γ2と角度γ1とは、異なる値であってもよい。
次に、ウィンドウガラス22に車外側(-Z側)から入射した外光G1は、一部の外光G2がコレステリック液晶層124によって反射されて車外へ向かい、一部の外光G3がコレステリック液晶層124を透過して車内の観察者Eに届く。
ウィンドウガラス22は、第2ガラス板127の車外側(-Z側)に第2反射抑制層228を備え、第1ガラス板122の車内側(+Z側)に反射抑制層121を備えているので、外光のウィンドウガラス22の透過率を向上させることができ、観察者Eがウィンドウガラス22を通して車外の景色を視認する際、車外が明るく観察され、視認性を向上できる。
また、ウィンドウガラス22は、第2ガラス板127の車外側に第2反射抑制層228を備えているので、コレステリック液晶層124で反射した外光G2の一部が、第2ガラス板127と空気との界面で反射して観察者E側へ向かい、映像や車外の景色の視認の妨げとなることも抑制できる。
以上のことから、本実施形態によれば、ウィンドウガラス22と空気との車内側及び車外側の両界面での映像光の反射を抑制し、このような反射光に起因する2重像を効果的に低減でき、視認性の高い良好な映像を表示できる。
また、本実施形態によれば、ウィンドウガラス22への映像光の入射光量を増大させ、明るい映像を表示することができる。
また、本実施形態によれば、外光の透過率を維持でき、ウィンドウガラス22を通して観察者Eが車外を観察する際の視認性を向上できる。
また、本実施形態によれば、第2ガラス板127の車外側に第2反射抑制層228が設けられているので、観察者Eが車外の景色を観察する際の視認性の向上効果を高めることができる。
また、本実施形態によれば、第1ガラス板122と第2ガラス板127との間の層数を低減できるので、製造時のハンドリングの向上等を図ることができ、より容易に製造できる。
以下、第1実施形態及び第2実施形態のウィンドウガラス12,22(反射表示板)の実施例等について説明する。以下に例示する実施例は、一例であり、これに限定されるものではない。
第1実施形態のウィンドウガラス12の実施例は、実施例1~4であり、第2実施形態のウィンドウガラス22の実施例は、実施例5,6である。実施例1~4のウィンドウガラス12は、第1ガラス板122から第2ガラス板127までの各層は同様であり、反射抑制層121の形態がそれぞれ異なる。また、実施例5,6のウィンドウガラス22は、第1ガラス板122から第2ガラス板127までの各層は実施例1~4と同様であり、反射抑制層121及び第2反射抑制層228の形態がそれぞれ異なる。また、各実施例において、コレステリック液晶層124は、45°正反射で波長550nmに反射光のピーク輝度(中心波長)を有する。
<実施例1>
実施例1のウィンドウガラス12(反射表示板)は、第1ガラス板122の表面に下記の低屈折率層用組成物1を塗工して熱硬化させて低屈折率層を形成することにより、反射抑制層121が形成されている。実施例1の反射抑制層121は、屈折率が1.34、層厚が150nmである。
実施例1では、車内側からの入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が45°正反射で最小(すなわち、反射Y値が最小となる入射角度γ1=45°)である。
(低屈折率層用組成物1)
中空シリカ(粒子径60nm) 1.2部
TEOS(テトラエトキシシラン)加水分解物 1部
IPA 97.8部
<実施例2>
実施例2のウィンドウガラス12は、第1ガラス板122の表面に下記の高屈折率層用組成物2を塗工して熱硬化させて高屈折率層を形成し、その上にさらに下記の低屈折率層用組成物3を塗工して熱硬化させて低屈折率層を形成することにより反射抑制層121が形成されている。実施例2において、高屈折率層は、屈折率が1.50、層厚が260nmであり、低屈折率層は、屈折率が1.32、層厚が150nmである。
実施例2では、車内側からの入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が45°正反射で最小(γ1=45°)である。
(高屈折率層用組成物2)
酸化ジルコニウム粒子 0.2部
TEOS(テトラエトキシシラン)加水分解物 1部
IPA 98.8部
(低屈折率層用組成物3)
中空シリカ(粒子径60nm) 1.5部
TEOS(テトラエトキシシラン)加水分解物 1部
IPA 97.5部
<実施例3>
実施例3のウィンドウガラス12は、第1ガラス板122の表面にシリカによる低屈折率層と酸化ニオブによる高屈折率層とを交互に計5層形成することにより、反射抑制層121が形成されている。実施例3において、高屈折率層の屈折率は2.3であり、低屈折率層の屈折率は、1.47である。また、各層の厚さは、第1ガラス板122側から順に、低屈折率層(シリカ)10nm、高屈折率層(酸化ニオブ)60nm、低屈折率層(シリカ)30nm、高屈折率層(酸化ニオブ)70nm、低屈折率層(シリカ)160nmであり、反射抑制層121全体の厚さは、330nmである。この低屈折率層及び高屈折率層は、スパッタリングにより形成されている。
実施例3では、車内側から入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が45°正反射で最小(γ1=45°)である。
<実施例4>
実施例4のウィンドウガラス12は、実施例3ウィンドウガラス12と同様の反射抑制層121を有し、この反射抑制層121の上に、さらに、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)を塗工して、層厚5nmの防汚層を形成したものである。
<実施例5>
実施例5のウィンドウガラス22は、第1ガラス板122の車内側に反射抑制層121が形成され、第2ガラス板127の車外側に第2反射抑制層228が形成されている。
実施例5において、反射抑制層121は、第1ガラス板122の表面にシリカによる低屈折率層と酸化ニオブによる高屈折率層とを交互に計5層形成することにより形成され、同様に、第2反射抑制層228も、第2ガラス板127の表面に、シリカによる低屈折率層と酸化ニオブによる高屈折率層とを交互に計5層形成することにより形成されている。すなわち、反射抑制層121と第2反射抑制層228とは同様の形態である。
実施例5において、高屈折率層の屈折率は2.3であり、低屈折率層の屈折率は、1.47である。また、各層の厚さは、第1ガラス板122及び第2ガラス板127側から順に、低屈折率層(シリカ)10nm、高屈折率層(酸化ニオブ)60nm、低屈折率層(シリカ)30nm、高屈折率層(酸化ニオブ)70nm、低屈折率層(シリカ)160nmであり、反射抑制層121及び第2反射抑制層228全体の厚さは、330nmであ。この低屈折率層及び高屈折率層は、スパッタリングにより形成されている。
実施例5では、車内側からの入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が45°正反射で最小(γ1=45°)である。また、実施例5では、車外側から入射する光の第2反射抑制層228及び第2ガラス板127における反射光の反射Y値が45°正反射で最小(γ2=45°)である。
<実施例6>
実施例6のウィンドウガラス22は、実施例5と同様の反射抑制層121及び第2反射抑制層228を備え、その上に、オプツールDSX(ダイキン社製)を塗工して層厚5nmの防汚層をそれぞれ形成したものである。
<比較例1>
比較例1のウィンドウガラスは、第1ガラス板122の表面に上記の低屈折率層用組成物1を塗工して低屈折率層を形成することにより、反射抑制層121が形成されている。比較例1の反射抑制層121(低屈折率層)は、屈折率が1.34、層厚が100nmである。
比較例1では、車内側から入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が5°正反射で最小(γ1=5°)である。
<比較例2>
比較例2のウィンドウガラスは、第1ガラス板122の表面に上記の高屈折率層用組成物2を塗工して熱硬化させて高屈折率層を形成し、その上に上記の低屈折率層用組成物3を塗工して熱硬化させて低屈折率層を形成することにより、反射抑制層121が形成されている。比較例2において、高屈折率層は、屈折率が1.57、層厚が160nmであり、低屈折率層は、屈折率が1.32、層厚が100nmである。
比較例2では、車内側から入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が5°正反射で最小(γ1=5°)である。
<比較例3>
比較例3のウィンドウガラスは、第1ガラス板122の表面にシリカによる低屈折率層と酸化ニオブによる高屈折率層とを交互に計5層形成することにより反射抑制層121が形成されている。比較例3において、高屈折率層の屈折率は、2.3であり、低屈折率層の屈折率は、1.47である。
また、各層の厚さは、第1ガラス板122側から順に、低屈折率層(シリカ)5nm、高屈折率層(酸化ニオブ)40nm、低屈折率層(シリカ)20nm、高屈折率層(酸化ニオブ)50nm、低屈折率層(シリカ)110nmであり、反射抑制層121全体の厚さは、225nmである。この低屈折率層と高屈折率層とは、スパッタリングにより形成されている。
比較例3では、車内側から入射する光の反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が5°正反射で最小(γ1=5°)である。
<比較例4>
比較例4のウィンドウガラス12は、第1ガラス板122から第2ガラス板127までの各層については実施例1~4と同様であるが、第1ガラス板122の車内側に反射抑制層121が積層されていない点が異なる。
<比較例5>
比較例5のウィンドウガラス22は、第1ガラス板122から第2ガラス板127までの各層については実施例5,6と同様であるが、第1ガラス板122の車内側に反射抑制層121が積層されておらず、かつ、第2ガラス板127の車外側に第2反射抑制層228が積層されていない点が異なる。
これらの実施例1~4ウィンドウガラス12を備える実施例1~4の映像表示装置10、実施例5,6のウィンドウガラス22を備える実施例5,6の映像表示装置10、比較例1~5のウィンドウガラスを備える比較例1~5の映像表示装置を、それぞれ、実際に自動車30に配置し、映像の見えや外光の反射等を視認して評価した。各実施例及び各比較例の映像表示装置10は、太陽光等の外光がウィンドウガラス12,22に入射する明るい環境下に配置され、同一の映像を表示した。また、映像光Lがウィンドウガラス12,22の映像を表示したい領域Aの中央に対して、入射角度θ1=45°で入射するように映像源11を配置している。
実施例1~4のウィンドウガラス12において、反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が最小となる角度γ1は、θ1-30°≦γ1≦θ1+30°を満たしている。実施例5,6のウィンドウガラス22についても、反射抑制層121及び第1ガラス板122における反射光の反射Y値が最小となる入射角度γ1、第2反射抑制層228及び第2ガラス板127における反射光の反射Y値が最小となる入射角度γ2は、θ1-30°≦γ1≦θ1+30°、θ1-30°≦γ2≦θ1+30°を満たしている。比較例1~3のウィンドウガラスは、θ1-30°≦γ1≦θ1+30°を満たしていない。また、比較例4のウィンドウガラスは、反射抑制層121を備えておらず、比較例5のウィンドウガラスは反射抑制層121及び第2反射抑制層228を備えていない。
また、実施例1~4のウィンドウガラス12において、第2ガラス板127と空気との界面において空気側から入射する際のブリュースター角β=56°であり、ウィンドウガラス12への入射角度θ1=45°であり、β-20°≦θ1≦β+20°を満たしている。
実施例1~6の映像表示装置10では、2重像が低減され、視認性の高い良好な映像が観察された。また、実施例1~6の映像表示装置10では、外光の反射も抑制され、ウィンドウガラス12,22を通して車外を観察した場合の車外の景色の視認性も向上した。
また、実施例3と実施例5の映像表示装置10を比較すると、第2実施形態の実施例に相当する実施例5の映像表示装置10は、第1実施形態の実施例に相当する実施例3の表示装置10に比べてが、車外が明るく観察され、車外の景色の視認性が高かった。
さらに、実施例4,6の映像表示装置10では、防汚層により、ウィンドウガラス12,22への汚れが付着しにくく、これにより映像の視認性が向上した。また、実施例6では、ウィンドウガラス22の車外側の汚れの付着が低減され、車外の景色の視認性が高かった。
これに対して、比較例1~5の映像表示装置では、2重像が生じて映像が視認し難く、また、外光の反射によって車内に入射する外光が減少し、車外が暗く観察され、車外の景色の視認性が低下していた。特に、比較例4,5の映像表示装置では、他の比較例よりも2重像が著しく生じていた。
(変形形態)
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、映像源11からウィンドウガラス12,22(反射表示板)に映像光Lを投射する際に、映像源11とウィンドウガラス12,22との位置関係等に応じて、映像源11から投射された映像光を不図示の反射鏡で反射し、ウィンドウガラス12,22へ投射する形態としてもよい。
(2)各実施形態において、反射表示板は、自動車30のフロントウィンドウのウィンドウガラス12,22に適用される例を示したが、これに限らず、例えば、反射表示板は、自動車30のダッシュボード上等に配置されるウィンドウガラス12,22(フロントウィンドウ)とは別体のパネル状部材としてもよい。このようなパネル状部材を反射表示板として用いる場合には、第1透明基板及び第2透明基板として、ガラス板を用いてもよいし、アクリル樹脂等の透明性の高い樹脂製の板状の部材を用いてもよい。
また、各実施形態において、反射表示板は、自動車30のサイドウィンドウやリアウィンドウ、サンルーフ等に適用してもよい。
(3)各実施形態において、映像源11は、ダッシュボード内に配置され、ウィンドウガラス12,22(反射表示板)よりも鉛直方向において下方から映像光を投射する例を示したが、これに限らず、自動車30の車内の天井等に配置され、ウィンドウガラス12,22に対して鉛直方向において上方から映像光を投射する形態としてもよい。また、映像表示装置10は、ウィンドウガラス12,22の運転席の前方の領域に限らず、助手席の前方の領域等に映像を表示してもよい。
(4)各実施形態において、映像表示装置10は、自動車30に配置され、反射表示板であるウィンドウガラス12,22がフロントウィンドウに使用される例を示したが、これに限らず、例えば、映像表示装置10は、船舶、鉄道車両、航空機に等に配置され、反射表示板は、そのウィンドウ(窓)に適用される形態としてもよい。
また、反射表示板は、例えば、店舗等の建築物の窓に適用してもよい。反射表示板を店舗のショーウィンドウに適用した場合には、客に店舗の外側からショーウィンドウに表示されている商品を見せるとともに、ショーウィンドウに商品情報等を表示すること等も可能である。
(5)各実施形態において、コレステリック液晶層124や1/4波長位相差層125は、ウィンドウガラス12,22の全面に形成される例を示したが、これに限らず、例えば、運転席前方の一部領域のみに配置され、他の部分は、コレステリック液晶層124や1/4波長位相差層125の厚さに相当する分だけ第1中間層123や第2中間層126の厚みが増している形態としてもよい。
(6)各実施形態において、コレステリック液晶層124は、配向膜を備えていない例を示したが、必要に応じて配向膜を備える形態としてもよい。
(7)各実施形態において、映像源11は、表示する映像の大きさ、映像を表示する位置等に応じて、映像光Lの投射角度が自動的に調整されるように構成してもよい。また、映像源11は、自動車30の車内に複数配置する形態としてもよい。この場合、映像表示装置10は主図示の制御部を備え、制御部の指示によって、表示する映像の大きさや位置に合わせて複数の映像源11を切り替え可能としてもよい。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施形態等によって限定されることはない。
10 映像表示装置
11 映像源
12,22 ウィンドウガラス(反射表示板)
121 反射抑制層
122 第1ガラス板
123 第1中間層
124 コレステリック液晶層
125 1/4波長位相差層
126 第2中間層
127 第2ガラス板
228 第2反射抑制層
30 自動車

Claims (4)

  1. 透光性を有し、投射された映像光の少なくとも一部を反射して映像を表示する反射表示板と、
    前記反射表示板に対して、少なくとも円偏光を含む映像光を投射する映像源と、
    を備える映像表示装置であって、
    前記反射表示板は、
    透光性を有し、前記反射表示板の厚み方向において映像光の入射側に設けられる第1透明基板と、
    透光性を有し、前記第1透明基板と同じ材料によって形成され、前記反射表示板の厚み方向において前記第1透明基板よりも背面側に配置される第2透明基板と、
    前記第1透明基板及び前記第2透明基板の間に設けられ、所定の波長領域であって一方の回転方向の円偏光を反射するコレステリック液晶層と、
    前記第1透明基板の入射側の面に積層された反射抑制層と、
    前記第2透明基板の背面側の面に積層された第2反射抑制層と、
    を備え、
    前記反射表示板への映像光の入射角度をθ1とし、背面側から前記反射表示板へ入射した光の第2反射抑制層及び第2透明基板における反射光の反射Y値が最小となる前記光の入射角度をγ2とするとき、
    θ1-30°≦γ2≦θ1+30°、かつ、
    0°≦γ2<90°、0°≦θ1<90°
    を満たすこと、
    を特徴とする映像表示装置。
  2. 請求項1に記載の映像表示装置において、
    前記入射角度γ2は、45°であること、
    を特徴とする映像表示装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の映像表示装置において、
    前記反射表示板への映像光の入射角度をθ1とし、
    入射側から前記反射表示板へ入射した光の反射抑制層及び第1透明基板における反射光の反射Y値が最小となる前記光の入射角度をγ1とするとき、
    θ1-30°≦γ1≦θ1+30°
    を満たすこと、
    を特徴とする映像表示装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の映像表示装置を備える車両であって、
    前記映像源は、該車両の内部に配置され、
    前記反射表示板は、該車両の透光部であること、
    を特徴とする車両。
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