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JP2016078026A - 熱延鋼板の圧延方法 - Google Patents

熱延鋼板の圧延方法 Download PDF

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【課題】粗圧延機の圧延で発生した反りを低減して、クロップ切断位置の精度の安定化や仕上圧延機群での安定通板を実現することができる熱延鋼板の圧延方法を提供する。【解決手段】粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において行い、次いで、同圧延機において、上流側から下流側に向かうパス、あるいは下流側から上流側および上流側から下流側の往復のパスにおいて、通板途上でロールギャップを変更する平坦化パスを行う熱延鋼板の圧延方法。【選択図】図5

Description

本発明は、粗圧延工程と仕上圧延工程を有する熱延鋼板の圧延方法に関するものであり、
特に粗圧延後のシートバー厚みが50mmを超える高強度厚肉熱延鋼板を安定的に製造するための圧延方法に関するものである。
一般的な熱延鋼板の製造工程では、図1に示すように、鋼スラブを連続加熱炉1により1200℃程度まで加熱した後に、サイジングプレス2により板幅方向に鍛造を行い、板幅を調整した後に、粗圧延機群3により熱間圧延を行い、おおよそ30〜50mm程度のシートバーと呼ばれる半製品の鋼板にした後に、このシートバーを連続圧延可能な6〜7スタンドの仕上圧延機群6により熱間圧延して板厚み1.2〜25mmの熱延鋼板に仕上げる。次いで、仕上圧延された鋼板は、ランアウトテーブルの冷却装置7により冷却された後にコイラー(巻取装置)8で巻き取られる。
また、通常、粗圧延機群3と仕上圧延機群6の間にはクロップシャー5が設けられ、粗圧延後の鋼板のクロップ部が切断される。
粗圧延での圧延では、鋼板の先端部もしくは後端部に圧延反りが発生することが多く、粗圧延工程で鋼板の先端部や後端部に反りが発生すると、次工程での仕上圧延機群7で圧延する際に、噛み込み不良を起こし安定した通板が確保できなくなる。
このように、熱延鋼板の製造工程は、粗圧延工程と仕上圧延工程を有しているが、粗圧延中に鋼板の先端部しくは後端部に圧延反りが発生することが多い。
粗圧延工程での圧延により鋼板の先端部や後端部に反りが発生すると、次工程での仕上圧延機群6で圧延する際に、噛み込み不良を起こし安定した通板が確保できなくなる。
また、粗圧延が完了した鋼板(シートバー)は、クロップ部をクロップシャーで切断した後に次工程の仕上圧延機群による仕上圧延が施されるが、クロップ部を切断するに当たり、シートバー10の先後端部に大きな反りが発生していると、切断不良を招くだけでなく、目標切断位置で切断できないリスクもある。
図1に示した熱延鋼板の製造ラインでは、サイジングプレス2やエッジャー4といった幅圧下装置により板幅調整がなされるが、幅圧下するとスラブの幅方向端部近傍の厚みが増肉されることで、その後の水平圧延により、鋼板の長手方向先端及び後端は、図4(a)の上面図に示すように、いわゆるフィッシュテールと呼ばれる平面形状となる。
鋼板(シートバー)10の先後端部に反りが発生している場合は、図4(b)の側面図に示すように、シートバーに対してクロップシャー刃15でクロップ部を斜めにせん断することになるため、トラッキング誤差などが発生しやすくなり、せん断位置が安定せず、フィッシュテールの一部分のみを切断することから、次工程の仕上圧延において鋼板の通板性を不安定にする原因になる。
このように粗圧延工程で発生した鋼板先行端部の反りを放置したまま、次工程に搬送すると、様々なトラブルを引き起こす可能性がある。
反りの発生原因については後述するが、スラブの片熱に起因したものや、圧延機噛み込み時のパスラインの誤差に起因したものがある。
したがって、鋼板の反りを回避するためには、粗圧延工程でのパスラインを厳格に制御して、鋼板(シートバー)の厚み中心とロールギャップの中心を一致させなければならないが、圧延パスの進行と共に、板厚みが薄くなってくるため、テーブルローラーのレベルを各圧延パスで変更する必要がある。このような機構を安定的に稼動させることは、鉄鋼設備のような大型機器では機械精度のばらつきが避けられないことから実質困難である。
また、被圧延材の上下面の温度偏差については、シートバーの上面若しくは下面を加熱若しくは冷却することで調整可能であるが、上下面の温度を正確に測定する必要がある。製鉄プロセスラインでは、シートバーが搬送されるテーブルローラーの下部に放射温度計を設置すると、シートバーに生成したスケールが剥離・落下や水蒸気等により放射温度計を汚染し、長期間に亘り測定精度を確保することが困難である。そのため、シートバーの搬送路に設置された冷却装置や加熱装置の出力を精度良く調整することは困難である。
粗圧延時のシートバーの先後端部に発生した圧延反りを改善する手段として、従来より以下のような技術が開示されている。
特許文献1に記載の技術は、粗圧延機の直後に第一の反り矯正装置を、仕上圧延機前に第二の反り矯正装置を設置して、シートバーの形状を修正する技術である。反りの矯正装置としてロールにより繰り返し曲げが可能なローラーレベラータイプが記載されている。
特許文献2には、同文献中の図5に示されているように、粗圧延機の出側に反り矯正ロールを設置して、圧延反りを修正する技術が記載されている。
ところで、近年、高強度厚肉熱延鋼板の需要が高まっているが、高靭性仕様の高強度厚肉熱延鋼板では、靭性を確保するために、温度950℃以下で仕上圧延時の圧下率を60%以上の高圧下率の圧延条件で制御圧延することがある。このような場合、粗圧延終了時のシートバー厚みは50mm以上、最大100mmにもなる。
しかし、このように肉厚のシートバーの先端部および後端部に反りが発生すると、特許文献1、2に記載された技術を適用して反りを矯正することは以下のとおり実質上困難である。
特許文献1に記載のローラーレベラーなどの矯正装置として、十分な矯正反力を付与可能なローラーレベラーを導入すれば、反り低減に十分な効果を発揮することができるが、粗圧延機出側でのシートバー厚みが50mm以上〜最大100mm程度となるケースでは、耐荷重が200トンを超えるような極めて高い矯正反力を持つローラーレベラーの導入が必要となる。このような設備は、設置するには設備の改造をともない、また設備自体も高コストである。
特許文献2に記載の矯正手段についても、通常、圧延機の近傍には、板厚計や幅計等の最終製品に大きく影響を及ぼすセンサー類が設置されており、矯正用ロールをセンサーともに設置することは、スペースの確保が困難であり、また、この装置も設置するには設備の改造をともない、大きな矯正反力を必要とするため、設備自体がかなり高コストである。
特開2004−351484号公報 特開平5-57317号公報
そこで、本発明は、以上の課題を解決するために、ローラーレベラーなど反り矯正機を使用せずに、粗圧延機群の可逆式圧延機31や非可逆式圧延機を活用して、粗圧延機群3での圧延時に発生する反りを低減することにより、クロップシャーでの切断が良好に行えるとともに、仕上圧延機群での圧延において安定した通板ができる熱延鋼板の圧延方法を提供することを目的とするものである。
本発明は以下の手段を有する。
[1]加熱した鋼スラブを少なくとも1機以上の可逆式圧延機を含む粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する方法であって、粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において下流側から上流側に向かって行い、次いで、同圧延機において、上流側から下流側に向かって、上下の圧延ロールが同時に鋼板に接しないように広く設定したロールギャップに鋼板の先端部を通過させ、次いで鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを狭くして、該後端部を通過させて、鋼板を通板する平坦化パスを行うことを特徴とする熱延鋼板の圧延方法。
[2]加熱した鋼スラブを少なくとも1機以上の可逆式圧延機を含む粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する方法であって、粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において上流側から下流側に向かう奇数目のパスで行い、該最終パスに続いて、同圧延機において、下流側から上流側に向かう偶数目パスと上流側から下流側に向かう奇数目パスをいずれも、上下の圧延ロールが同時に鋼板に接しないように広く設定したロールギャップに鋼板の先端部を通過させ、次いで鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを狭くして、該後端部を通過させて、鋼板を通板する平坦化パスとする往復のパスを少なくとも1回以上行うことを特徴とする熱延鋼板の圧延方法。
[3]前記平坦化パスが、鋼板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内にロールギャップを設定して鋼板の先端部を通過させ、鋼板の後端部の通板前に鋼板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内にロールギャップを設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させるパスであることを特徴とする[1]に記載の熱延鋼板の圧延方法。
[4]前記平坦化パスが、鋼板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内にロールギャップを設定して鋼板の先端部を通過させ、鋼板の後端部の通板前に鋼板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内にロールギャップを設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させるパスであることを特徴とする[2]に記載の熱延鋼板の圧延方法。
[5]前記粗圧延機群が前記可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機より下流側に少なくとも1機以上の非可逆式圧延機を備え、該少なくとも1機以上の非可逆式圧延機のいずれかの圧延機において、鋼板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内にロールギャップを設定して鋼板の先端部を通過させ、鋼板の後端部の通過前に鋼板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内にロールギャップを設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させる平坦化パスを行うことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の熱延鋼板の圧延方法。
[6]粗圧延完了時の鋼板の板厚みを50mm以上〜100mm以下とすることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の熱延鋼板の圧延方法。
以上説明したように、本発明による熱延鋼板の圧延方法によれば、粗圧延工程中に鋼板の先端部および後端部に発生する反りを低減することができ、以後の工程において、クロップ切断位置の精度の安定化や仕上圧延機群での安定通板を実現することができ、熱延鋼板を安定して製造することができる。また、本発明では、粗圧延機群の圧延機を活用するから、反りの低減のためにローラーレベラーなどの反り矯正装置を設置する必要がなく、既存の設備を利用できる。
一般的な熱延鋼板の製造ラインを示す。 鋼板の先端部での圧延を示す。 鋼板の後端部での圧延を示す。 鋼板のフィッシュテール形状を示す。 本発明の実施形態の熱延鋼板の製造ラインを示す。 ロール〜鋼板ギャップを示す。 本発明の実施形態によるシートバー端部の反り修正方法を示す。 本発明の他の実施形態の熱延鋼板の製造ラインを示す。 本発明の他の実施形態によるシートバー端部の反り修正を示す。 本発明の他の実施形態の熱延鋼板の製造ラインを示す。 本発明の他の実施形態の熱延鋼板の製造ラインを示す。
本発明では可逆圧延機の圧延を活用するので、可逆圧延での圧延パスについて、簡単に説明しておく。
一般的な熱延鋼板の製造ラインについてはすでに図1に示した。この図1に示す熱延鋼板の製造設備では、粗圧延機群がリバース圧延可能な可逆式圧延機31と下流側への搬送方向のみの圧延が可能な非可逆式圧延機32からなり、圧延機の下に示される矢印(実線)が圧下パス(板厚みを薄くする圧延パス)を表している。そして、可逆式圧延機31では、通常、5〜11パス程度の圧下パスが可逆の方向に(上流側から下流側、あるいは下流側から上流側に)行われるが、可逆式圧延機において、最終のパスでは、圧延と次の圧延機への搬送とを同時に実施するため、可逆式圧延機31の圧延パス回数は必ず奇数となり、圧延をしつつ下流側にある圧延機へシートバー10を搬送する。そのため、可逆式圧延機における最終パスの圧延方向は、次圧延機へのシートバー10の搬送方向と必ず一致する。
なお、上記の「上流側から下流側」とは、図1に示されるような熱延鋼板の製造ラインにおいて、加熱炉1からコイラー9への方向を指し、「下流側から上流側」とは、図1に示されるようなコイラー9から加熱炉1への方向を指しており、以下においても同様である。
本発明の実施形態を説明する前に、粗圧延工程での圧延においてシートバーの先端部および後端部に発生する反りについて詳細に説明する。
圧延時に発生する反りの原因は、その大きな原因として圧延機噛み込み時のパスラインの誤差による鋼板先端の反りがある。
図2に、粗圧延時に、圧延方向に対して鋼板(シートバー)の先端側に発生する反りを模式的に示す。
図2(a)は、鋼板(シートバー)10が左から右に搬送されて上下の圧延ロール(ワークロール)33、33に噛み込まれた状態を示している。また、図2(b)は、鋼板が上下圧延ロールに噛み込んだ後、さらに鋼板の先端部の圧延が進行した状態を示している。圧延方向は左から右に向かう方向である。
図2(a)から分かるように、上下圧延ロールのロールギャップ中心に対して、鋼板10のパスラインが低くなっており、鋼板の板厚み中心がロールギャップの中心よりも低い位置にある状態で鋼板が搬送されているため、鋼板先端部の下端が先に下側の圧延ロール33に先に接触する。そのため、鋼板10の先端は下側の圧延ロール33により、上方に押されることで、曲がった状態で圧延機に噛みこむことになる。その結果、図2(b)から分かるように、圧延後の鋼板先端部は上反りとなる。
図3は、図2に示す圧延が進行し、鋼板の後端部側が圧延される状態を模式的に示している。
図3(a)は、圧延が進行し、鋼板10の後端部が上下の圧延ロールにこれから圧延される状態を示している。また、図3(b)は、さらに圧延が進行し、鋼板10の後端が上下のワークロールのロールギャップから抜け出ようとしている状態を示している。
図3(a)から分かるように、後端部側では、ロールギャップ中心とシートバー10の板厚み中心がほぼ一致した状態で圧延が進行しており、そのため、図3(b)から分かるように、鋼板10に垂直方向の力は発生せずに、後端部では反りの発生がないか、発生しても反りの程度は小さく、圧延形状はほぼ平坦となる。
反り発生の2つ目の原因として、シートバーの上面及び下面の温度偏差が挙げられる。
通常、加熱炉内ではスラブを支えるためにスラブ下面にスキッドを配置しているが、炉内の放射熱がスキッドにさえぎられるためスラブ下面の温度が低くなる傾向ある。また、スラブ抽出後の圧延ラインには、被圧延材のスラブやシートバーを搬送するためのテーブルローラーがあり、被圧延材の下面は熱が逃げにくくなっているため、上面の温度は低くなる傾向になる。そのため、圧延初期は被圧延材の上面が下面よりも高温になり、圧延時間の進行と共に、被圧延材の下面の温度が高くなる傾向にある。このように、上下面に温度偏差がある状態で圧延を実施するとシートバーの上面側と下面側の変形抵抗が異なるため、温度が高く変形抵抗が低い面でよく延ばされるために反りが発生する。
一般的には、1つ目の原因である圧延機噛みこみ時のパスラインのズレによる反り量は、2つ目の原因である温度偏差を起因とする反り量よりも大きい。
以上のとおり、圧延方向に対して圧延ロール噛込み側となる鋼板の先端部側では、圧延後に大きな反りが発生しやすい。
ところで、粗圧延工程の一般的な操業では、可逆式圧延機31や非可逆式圧延機32より鋼板(シートバー)の圧延が施される。
可逆式圧延機では、必ず圧延機の上流側から下流側に向かったパス(奇数パス)で圧延が完了するため、常に反りは下流側の鋼板端部に発生する。
また、非可逆式圧延機では、圧延機の上流側から下流側に向かう1パスで圧延が完了するため、反りはやはり圧延機の下流側の鋼板端部に発生する。
このように、いずれの形式の圧延機の圧延においても、反りは下流側の端部に発生するから、粗圧延が終了した鋼板の先端部には反りが発生しやすい。
また、可逆圧延では、偶数目のパスで、下流から上流に向かって圧延がなされるので、上流側の鋼板端部に反りが発生するが、図3で説明したように、続く上流から下流に向かう奇数パス目の圧延により上流側の鋼板端部の反りは低減される傾向にある。
本発明の第1の実施形態を図5〜図7に基づいて説明する。
図5には、本実施形態が行われる熱延鋼板の製造設備を示した。
本実施態様の熱延設備では、粗圧延機群が少なくとも1機以上の可逆式圧延機と少なくとも1機以上の非可逆式圧延機から構成されているが、非可逆圧延機は、設置しなくとも粗圧延は可能であるから必須のものではない。図5では、1機の可逆圧延機31とその下流に1機の非可逆圧延機32のみが示されている。
また、粗圧延機群の下流には、クロップシャー5、仕上圧延機群、鋼板を冷却するランアウトテーブルに設けられた冷却装置7およびコイラー8が設けられている。
第一の実施形態におけるパスパターンが矢印により図5に示されているが、実線の矢印が板厚みを薄く圧延する圧下パス、破線の矢印が平坦化パスを示している。平坦化パスについては後述する。
本実施形態では、加熱されたスラブをまず1機以上の可逆式圧延機で可逆圧延を行い鋼板(シートバー)を減厚(すなわち板厚みを薄く)するが、可逆式圧延機のうちで最下流にある(すなわち最もコイラー8側寄りにある)可逆式圧延機31において、偶数パス目の圧下パス(すなわち板厚みを薄くする圧延パス)を完了させる。したがって、この最終圧下パスは、鋼板(シートバー)10が下流側から上流側に向かう方向に行われることになる(図5の粗圧延機31下に示す実線の矢印参照)。
なお、1機以上の可逆式圧延機が1機のみからなる場合はこの1機の圧延機が、可逆式圧延機のうちで最下流にある可逆式圧延機となる。
そして、最終の圧下パスに続いて、上記の最下流側にある可逆式圧延機31において、鋼板10を上流側から下流側に向かって、ロールギャップを板厚より広くして平坦化パスと呼ぶ通板パスを以下のようにして行い、鋼板を下流に搬送する(図5の粗圧延機31下に示す破線の矢印参照)。
図7に、最下流側にある可逆式圧延機31において行われる、上述した最終の圧下パスと最終の圧下パスに続いて行われる平坦化パスの通板状況を示した。
図7(a)には最終の圧下パスが、図7(b)〜(e)には最終の圧下パスに続いて行われる平坦化パスが、それぞれ示されている。
この平坦化パスと呼ぶ通板パスでは、ロールギャップを鋼板の板厚みに対して、+50mm以上に設定して、すなわち鋼板10が上下の圧延ロールに同時に接触しないように、板厚みよりも50mm以上より厚く設定したロールギャップに鋼板を通板させ、その先端部を通過させる〔図7(b)参照〕。そして、鋼板の後端部がロールギャップを通過する前に、ロールギャップを鋼板の板厚みに対して+1mm以上〜50mm未満に設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させる〔図7(c)、(d)参照〕。
なお、図6に上下圧延ロールのロールギャップと板厚みの関係を示した。ロールギャップを鋼板の板厚みに対して、+50mm以上に設定するとは、ロールギャップを板厚みより50mm以上より厚く設定することであり、図6での「ロール〜鋼板ギャップ」を50mm以上にすることである。
この平坦化パスにより、前回の可逆式圧延機での最終の圧下パスで発生した鋼板先端部の反り、すなわち今回の平坦化パスでの鋼板の後端部に反りが発生している部位は、上下の圧延ロールと接触することにより矯正されて、反りが低減して平坦化する〔図7(d)、(e)参照〕。
ここで、まず先端部の通板時には板厚みに対してロールギャップを板厚みに対して+50mm以上に設定する理由であるが、ロールギャップを狭くすると、シートバー10通板時に先端部がテーブルローラーに衝突して跳ねて上ロールに衝突して反りを助長するリスクがある。特に、圧延速度が速い場合のシートバー10の圧延機進入側では大きく跳ねるケースがあるため、シートバーと圧延ロールの衝突がないような十分なロールギャップを確保するために、シートバー10の厚みに対して+50mm以上として設定する。
しかし、ロールギャップを広くしすぎると、シートバー長さが短い、若しくは圧延速度が速い場合には、シートバー先端部通過後のロールギャップ設定時間が長くなってしまいシートバー後端部で適切なロールギャップにできなくなるので、300mm以下程度が好ましい。以上のことから、おおよそ100〜150mm程度で設定するのが好適である。
続いてロールギャップを板厚みに対して+1mm以上+50mm未満に設定して後端部を通過させる理由であるが、ロールギャップを板厚み+1mm未満に設定した場合は、圧延時の板厚みの誤差があった場合、可逆式圧延機で軽圧下されるリスクがある。その際、シートバーの上下面に温度偏差があった場合は、反りが助長される可能性もある。
また、ロールギャップ設定をシートバー10の厚みに対し+50mm以上と設定した場合は、反りの矯正効果が少なくなってしまう。
矯正効果を大きくするためには、ロールギャップ設定は可能な限り狭いほうが良いため、シートバー厚みに対して+5mm以下にするのが好適である。したがって、ロールギャップは+1mm以上〜+5mm以下に設定するのが好ましい。
また、図5に示した熱延製造設備では、可逆式圧延機31の下流側に、非可逆式圧延機32を設けているが、すでに記載したように、少なくとも1機以上の非可逆式圧延機を設けてもよく、この非可逆式圧延機のいずれかにおいても、上記と同様のロールギャップ設定を行い、平坦化パスを行なうことにより、更なる矯正効果を狙ってもよい。
非可逆式圧延機32での矯正が不要な場合は、ロールギャップを板厚み+50mm以上まで開放して通板(以後空パスと呼ぶ)してもかまわない。
平坦化パスを経て、粗圧延を終了したシートバーは次工程に搬送され、クロップシャーでのクロップ部の切断を経て、仕上圧延機群で連続圧延が行われる。
また、可逆式圧延機31の下流側に非可逆式圧延機がない場合は、可逆圧延機31での平坦化パスで粗圧延を終了し、次いで、クロップシャーでのクロップ部の切断を経て、仕上圧延機群で連続圧延が行われる。
次の本発明の第二の実施形態を図8および図9図に基づいて説明する。
図8に、本発明の第二の実施形態における熱延鋼板の製造設備を模式的に示した。同図には、図5と同様にパスパターンが矢印で示されている。
本実施態様の熱延設備でも、粗圧延機群が少なくとも1機以上の可逆式圧延機と少なくとも1機以上の非可逆式圧延機から構成されているが、非可逆圧延機は必須のものではなく、設置しなくとも粗圧延は可能である。図8には、1機の可逆圧延機31とその下流に1機の非可逆圧延機32のみが示されている。
また、粗圧延機群の下流には、クロップシャー5、仕上圧延機群、鋼板を冷却するランアウトテーブルに設けられた冷却装置7およびコイラー8が設けられている。
第1の実施形態と同じく、第二の実施形態では、加熱されたスラブをまず少なくとも1機以上の可逆式圧延機で可逆圧延を行い減厚する。可逆式圧延機のうちで最下流にある(すなわち最もコイラー8側寄りにある)可逆式圧延機31の圧下パスで板厚みを薄くする圧延を完了させるが、第1の実施形態と異なり、この板厚みを薄くする圧延の最終圧下パスを奇数パス目で完了させる。したがって、この最終圧下パスは、上流側から下流側に向かうパスであり、図8では、実線の3回目の圧下パスがこれに相当する。
そして、最終の圧下パスに続いて、最下流側にある可逆式圧延機31において、鋼板10を下流側から上流側に向かう平坦化パスと、これに続いて、同圧延機において上流側から下流側向かう平坦化パスとからなる往復パスを少なくとも1回以上行い、この後に鋼板を下流に搬送する。
図9には、第二の実施形態における最終圧下パス以降のシートバー10の形状の模式図を示す。
板厚みを薄くする圧延の最終圧下パスは、圧延方向が下流側に向かっており、シートバーの圧延噛込み側、すなわち下流側の端部に比較的大きな反りが発生することになる。
他方、上流側の端部では比較的小さい反りが発生している〔図9(a)〕。これは最終圧下パスより前の下流側から上流側への圧下パス時に発生した反りが残存したものである。
続いて、可逆式圧延機31のロールギャップを板厚より広くして平坦化パスを行う。
まず、可逆式圧延機31のロールギャップを板厚みより十分大きい+50mm以上に設定して、シートバー10が上下の圧延ロールに同時に接触しないようにしてから、シートバー10を上流側に搬送する〔図9(b)〕。
そして、シートバーの先端部が可逆式圧延機31を通過後に、可逆式圧延機31のロールギャップを板厚みに対して+1mm以上+50mm未満に設定してシートバーの後端部を通過させる。シートバー10の下流側で反りが発生している部位は、上下圧延ロールと接触するため曲げ矯正がなされて平坦化する〔図9(c)〕。
その後、可逆式圧延機31のロールギャップを板厚みより十分大きい+50mm以上に再び設定して、シートバー10が上下の圧延ロールに同時に接触しないようにしてから、シートバー10を下流側搬送する〔図9(d)〕。そして、シートバーの先端部が可逆式圧延機31を通過後に、可逆式圧延機31のロールギャップを板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内に設定してシートバーの後端部を通過させる〔図9(e)〕。シートバー10の上流側で反りが発生している部位は、上下の圧延ロールと接触するため曲げ矯正がなさされて平坦化する〔図9(f)〕。
この第二の実施形態では、可逆式圧延機のうちで最下流にあるにおいて、往復の平坦化パスを行っているから、シートバー10の圧延方向の両端部をほぼ同じ条件で反り矯正可能であり、第1の実施形態と比較して更に形状の良いシートバー10の製造が可能となる。
なお、本実施態様の説明では、平坦化パスを、偶数パス及び奇数パスの往復パスをそれぞれ1回ずつ実施した例について説明したが、複数回やってもかまわない。また、平坦化パスにおいて、偶数パス目及び奇数パス目の往復パスを複数回実施する場合、ロール〜鋼板ギャップを本発明の範囲において順次狭くするような方法を取ってもかまわない。
また、図8に示すように、可逆式圧延機31の下流側に、非可逆式圧延機32がある場合は、更なる矯正効果を狙って非可逆式圧延機32でのパスを平坦化パスとして、上記と同様のロールギャップ設定を行えばよい。また、非可逆式圧延機32で矯正が不要な場合は、ロールギャップを50mm以上まで開放したまま通板を完了するパス(以後空パスと呼ぶ)を行ってもよい。
図10には、第一および第二の実施形態と異なる本発明の第三の実施形態が行われる熱延設備とパスパターンを模式的に示している。粗圧延工程より下流の設備は第一および第二の実施形態が適用された熱延設備と同じである。
この実施形態における熱延設備では、粗圧延機群3が複数の可逆式圧延機31で構成されている。図10では3機の可逆式圧延機で構成された場合の形態が示されている。
この実施形態では、可逆式圧延機のうちで最下流にある可逆式圧延機を除くいずれの可逆式圧延機においても、鋼板の板厚みを薄くする圧下パスを奇数回行い、前記の可逆式圧延機もうちで最下流にある可逆式圧延機での奇数回目の最終パスを平坦化パスとしている。ここでの平坦化パスも第一および第二の実施形態で行われているものと同じである。
したがって、第三の実施形態は、第一の実施形態において、粗圧延機群が非可逆式圧延機32を備えていない場合に相当する。
粗圧延工程を終えた鋼板は第一や第二の実施形態と同様に、クロップ部が切断された後に仕上圧延が施される。
図11には、第一〜第三のいずれの実施形態とも異なる本発明の第四の実施形態が行われる熱延設備とパスパターンを模式的に示している。粗圧延工程より下流の設備は第一および第二の実施形態が適用された熱延設備と同じである。
本実施形態では、少なくとも1機以上の可逆式圧延機31の上流と下流に少なくとも1機以上の非可逆式圧延機32が設けられている。図11では粗圧延機群3が1機の可逆式圧延機31と4機の非可逆式圧延機32で構成されており、この1機の可逆式圧延機の上流側に1機の、下流側に3機の非可逆式圧延機がそれぞれ設置されている場合の例が示されている。
本実施形態では、加熱されたスラブをまず1機以上の非可逆式圧延機で1パスの板厚みを薄くする減厚の圧下パスを行い、次いで、可逆式圧延機で可逆圧延を行い鋼板を減厚するが、可逆式圧延機のうちで最下流にある可逆式圧延機31において、偶数パス目の圧下パスで板厚みを薄くする圧延を完了させる。したがって、この最終圧下パスは、鋼板(シートバー)10が下流側から上流側に向かう方向に行われることになる(図11の粗圧延機31下に示す実線の矢印参照)。
なお、1機以上の可逆式圧延機が1機のみからなる場合はこの1機の圧延機が、可逆式圧延機のうちで最下流にある可逆式圧延機となる。
そして、上記の最終の圧下パスに続いて、最下流側にある可逆式圧延機31(図11では左から2番目の圧延機)において、鋼板10を上流側から下流側に向かって、ロールギャップを板厚より広くして、第一の実施形態と同様の平坦化パスを行う(図11の粗圧延機31下に示す破線の矢印参照)。
続いて、この平坦化パスを終えた鋼板を、上記の最下流側にある可逆式圧延機31の下流に設けられた少なくとも1機以上の非可逆式圧延機で第一の実施形態と同様の平坦化パスを行って、粗圧延工程を終えた鋼板は第一や第二の実施形態と同様に、クロップ部が切断された後に仕上圧延が施される。
この実施形態でも、上記の最も下流にある可逆式圧延機より下流にある非可逆圧延機でも平坦化パスを行っているが、これを空パス、すなわち鋼板が上下のロールの同時には接触しないパス)で通板して粗圧延を終えることもできる。さらに、第一の実施形態のように、非可逆式圧延機32のいずれか1つのみで平坦化パスを実施してもかまわない。
本発明の実施態様を図5や、図7、8、10、11に示される熱延鋼板の製造設備に適用した例を説明したが、これらの設備に限らず、本発明は粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する設備であれば適用できるものである。
また、本発明は、発明の技術思想から、粗圧延完了後の鋼板の厚みが50mm以上、仕上圧延後の鋼板の板厚みが20mm以上となるような高強度厚肉熱延鋼板の製造のみならず、通常の熱延鋼板の製造にも適用できることは明らかである。
以下、本発明の実施例について説明する。対象とした材料は、粗圧延後のシートバー厚みが64mmと厚く、一般的な矯正機によるシートバー反りの形状改善が困難な高強度高靭性熱延鋼板である。
以下の実施例および比較例が適用される熱延鋼板の製造ラインは、図5に示されるように、上流側から下流側に1機の可逆式圧延機31と1機の非可逆式圧延機32を備え、その下流にクロップシャー5、仕上げ圧延機群6、ランアウトテーブルの冷却装置7およびコイラー8を備えるものである。
この場合、可逆式圧延機が1機であるので、この可逆式圧延機が少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機に相当することになる。
そして、このラインにおいて、厚み250mm、幅1850mm、長さ9090mmの寸法の鋼スラブを熱間圧延ラインの粗圧延群3により64mm厚みまで圧延してシートバー10を製造した。
粗圧延が終了した鋼板(シートバー)は、仕上圧延工程前にシートバー10をオシレーション待機し、シートバー10の表面温度が900℃以下になったところで、クロップシャー5によりシートバーのクロップ部を切断した後に、仕上圧延機群6で仕上圧延して、厚み25mmの鋼板に仕上げ、ランアウトテーブルの冷却装置7にて480℃まで冷却したのちにコイラー8で巻き取った。
(実施例1)
表1は本発明の実施例1における粗圧延時のパススケジュールを示す。なお、圧延パス数は粗圧延開始からとし、圧延機Noは最上流側から順に記載している(以下、同じ)。
また、この表における「ロール〜鋼板ギャップ」は、図6から分かるように、上下の圧延ロールが形成するロールギャップの値からシートバーの板厚みの値を差し引いた値を指している。また、また、「ロール〜鋼板間ギャップ」が0(ゼロ)mmの場合は、圧延において圧下パス(板厚みを薄くするパス)を行うことを示している(以下、同じ)。
実施例1では、表1に示すように、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において8パス目まで板厚みを薄くするパスを行った。
続く圧延方向が下流側に向かう9パス目は、可逆式圧延機31において、ロール〜鋼板ギャップを+100mmして(すなわちロールギャップを板厚みに100mm加えた値に設定して)シートバーの先端部を通過させ、その後シートバーの後端部がロールギャップを通過する前に、ロール〜鋼板ギャップを+40mmと狭くして(すなわちロールギャップを板厚みに40mm加えた値に設定して)、該後端部を通過させて、通板する平坦化パスとした。また、非可逆式圧延機32でも、可逆式圧延機31で実施した平坦化パスと同じロールギャップの設定を行い通板した。
(実施例2)
表2に、本発明の実施例2における粗圧延時のパススケジュールを示す。
実施例2では、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において9パス目まで圧下パスを行った。すなわち、9パス目で粗圧延工程での圧下パスが完了した。
続く10パス目(偶数パス目)及び11パス目(奇数パス目)では、可逆圧延機31において、ロール〜鋼板ギャップを板厚みに対して+100mmしてシートバーの先端部を通過させ、その後シートバーの後端部がロールギャップを通過する前に、ロール〜鋼板ギャップを板厚みに対して、+40mmと狭くして該後端部を通過させて、シートバーを通板する平坦化パスとした。したがって、10パス目と11パス目は平坦化パスが往復で行われることになる。
さらに、続く12パス目の最終パスは、非可逆式圧延機32では、鋼板にロールが同時に接触しないようにロール〜鋼板ギャップを+200mmに設定して通板する空パスとした。
(比較例1)
表3は、比較例1における粗圧延時のパススケジュールを示す。
比較例1では、粗圧延機群3において、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において9パスの圧下パスを行い、次いで非可逆式圧延機32において圧下パスを1パス行った。
(実施例3)
表4は本発明の実施例3における粗圧延時のパススケジュールを示す。
実施例3では、表4から分かるように、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において8パス目までシートバー10を圧下して、可逆式圧延機31の9パス目では、ロール〜鋼板ギャップを板厚みに対して+100mmしてシートバーの先端部を通板し、その後ロールギャップを板厚みに対して+4mmと実施例1よりも更にロールギャップを狭くして通板する平坦化パスとした。また、非可逆式圧延機32でも、可逆式圧延機31で実施した平坦化パスと同じロールギャップ設定方法で通板した。
(実施例4)
表5に、本発明の実施例4における粗圧延時のパススケジュールを示す。
本発明の実施例4では、表5に示すように、粗圧延機群3の可逆式圧延機31において9パス目まで圧下パスを行い、同可逆式圧延機での10〜11パス目では、ロール鋼板ギャップを板厚みに対して+100mmとしてシートバーの先端部を通過させ、その後シートバーの後端部がロールギャップを通過する前に、ロール〜鋼板ギャップを板厚みに対して+4mmと狭くしてシートバー後端部を通板する平坦化パスとした。また、非可逆式圧延機32では、ロール〜鋼板ギャップを+200mmに設定して空パスで通板した。
表6に本発明の実施例1〜4と比較例1におけるクロップシャーの切断状況と仕上圧延機群での通板状況の結果を示す。
表6に示すように、本発明の実施例1における粗圧延機群3のパススケジュールでは、シートバー10の下流側端部の反りは6mm、上流側端部の反りは35mmであった。上流側の反りは35mmと比較的小さく、仕上圧延機噛み込み側となる下流側端部(すなわち先端部)の反りは6mmと良好であった。その後のクロップシャー切断や仕上圧延時の噛み込みについては良好に行うことができた。
本発明の実施例2では、最終圧下パスは9パス目の奇数パスだったため、下流側端部(すなわち先端部)の反りが30mmと比較的小さく、上流側の反り(すなわち後端部)は6mmと良好であった。その後のクロップシャー切断や仕上圧延時の噛み込みについては良好に行うことができた。
一方、比較例1では、表3に示したように、粗圧延機群3において、最終のパスが非可逆式圧延機の上流側から下流側への圧下パスであり、平坦化パスを実施しなかったので、粗圧延終了後のシートバー10の上流側の端部の反りは2mm以下と良好であったが、下流側端部(すなわち先端部)では、200mmと大きな反りが発生した。このため、クロップシャー切断時にフィッシュテールを部分的に切断してしまい、仕上圧延機に進入時に噛み込まずに圧延することが出来なかった。このことから本発明による反り低減効果が確認できた。
本発明の実施例3では、下流側端部の反りが6mm、上流側端部の反りが4mmであり、いずれも小さい反りであった。同様に、実施例4でも、下流側端部の反りが4mm、上流側端部の反りが4mmであり、いずれも小さい反りであった。
特に実施例4のように可逆式圧延機の偶数パス目と奇数パス目の両方で平坦化パスを実施した場合は、下流側、上流側の端部の反り量がともに4mmと小さい値となった。
また、実施例1〜4のいずれにおいても、クロップシャー切断も目標部位を良好に切断でき、その後の仕上圧延機群6の通板も良好であった。
以上で説明したように粗圧延機群の圧延機が可逆式あるいは可逆式圧延機と非可逆式圧延機のいずれから構成されていても、粗圧延機群にある可逆式圧延機を本発明のように活用することで、シートバー矯正機を設置する必要がなく、粗圧延時に発生する反りを低減することができた。
1 連続式加熱炉
2 サイジングプレス
3 粗圧延機群
4 エッジャー
5 クロップシャー
6 仕上圧延機群
7 冷却装置
8 コイラー
10 シートバー(鋼板)
15 クロップシャー刃
31 可逆式圧延機
32 非可逆式圧延機
33 圧延ロール

Claims (6)

  1. 加熱した鋼スラブを少なくとも1機以上の可逆式圧延機を含む粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する方法であって、
    粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において下流側から上流側に向かって行い、次いで、同圧延機において、上流側から下流側に向かって、上下の圧延ロールが同時に鋼板に接しないように広く設定したロールギャップに鋼板の先端部を通過させ、次いで鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを狭くして、該後端部を通過させて、鋼板を通板する平坦化パスを行うことを特徴とする熱延鋼板の圧延方法。
  2. 加熱した鋼スラブを少なくとも1機以上の可逆式圧延機を含む粗圧延機群により粗圧延する粗圧延工程と粗圧延後の鋼板を仕上圧延機群により仕上圧延する仕上圧延工程とを有する熱延鋼板を製造する方法であって、
    粗圧延工程では、板厚みを薄くする圧延の最終パスを、前記少なくとも1機以上の可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機において上流側から下流側に向かう奇数目のパスで行い、該最終パスに続いて、同圧延機において、下流側から上流側に向かう偶数目パスと上流側から下流側に向かう奇数目パスをいずれも、上下の圧延ロールが同時に鋼板に接しないように広く設定したロールギャップに鋼板の先端部を通過させ、次いで鋼板の後端部が通過する前にロールギャップを狭くして、該後端部を通過させて、鋼板を通板する平坦化パスとする往復のパスを少なくとも1回以上行うことを特徴とする熱延鋼板の圧延方法。
  3. 前記平坦化パスが、鋼板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内にロールギャップを設定して鋼板の先端部を通過させ、鋼板の後端部の通板前に鋼板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内にロールギャップを設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させるパスであることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の圧延方法。
  4. 前記平坦化パスが、鋼板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内にロールギャップを設定して鋼板の先端部を通過させ、鋼板の後端部の通板前に鋼板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内にロールギャップを設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させるパスであることを特徴とする請求項2に記載の熱延鋼板の圧延方法。
  5. 前記粗圧延機群が前記可逆式圧延機のうち最下流にある可逆式圧延機より下流側に少なくとも1機以上の非可逆式圧延機を備え、該少なくとも1機以上の非可逆式圧延機のいずれかの圧延機において、鋼板厚みに対して+50mm以上〜+300mm以下の範囲内にロールギャップを設定して鋼板の先端部を通過させ、鋼板の後端部の通過前に鋼板厚みに対して+1mm以上〜+50mm未満の範囲内にロールギャップを設定して該後端部を通過させて、鋼板を通板させる平坦化パスを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱延鋼板の圧延方法。
  6. 粗圧延完了時の鋼板の板厚みを50mm以上〜100mm以下とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱延鋼板の圧延方法。
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