JP2016074781A - 光湿気硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種表示素子付きモバイル機器が普及している現代において、表示素子の小型化は最も求められている課題であり、小型化の手法として、画像表示部を狭額縁化することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。しかしながら、狭額縁設計においては、充分に光の届かない部分に光硬化型樹脂組成物が塗布されることがあり、その結果、光の届かない部分に塗布された光硬化型樹脂組成物は硬化が不充分となるという問題があった。そこで、光の届かない部分に塗布された場合でも充分に硬化できる樹脂組成物として光熱硬化型樹脂組成物を用い、光硬化と熱硬化とを併用することも行われているが、高温での加熱により素子等に悪影響を与えるおそれがあった。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、驚くべきことに、湿気硬化型ウレタン樹脂として重量平均分子量が特定の値以上のものを用いることにより、初期接着性に優れる光湿気硬化型樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、上記重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂の重量平均分子量の好ましい上限は5万である。重量平均分子量が5万を超える湿気硬化型ウレタン樹脂を含有すると、得られる光湿気硬化型樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて塗布性が悪化することがある。上記重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂の重量平均分子量のより好ましい上限は15000、更に好ましい上限は1万である。
なお、本明細書において上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記重量平均分子量が2000未満の湿気硬化型ウレタン樹脂は、上記重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂と同じ原料を用いて、繰り返し単位数のみが異なるものとして製造されたものであってもよいし、異なる原料を用いて製造されたものであってもよいが、上記重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂と同じ原料を用いて製造されたものであることが好ましい。
上記湿気硬化型ウレタン樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を含む基及び/又はアルコキシシリル基を有することが好ましく、湿気硬化型ウレタン樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を含む基及び/又はアルコキシシリル基を分子の末端に有することがより好ましい。
なお、上記湿気硬化型ウレタン樹脂は、ラジカル重合性基を有していても、後述するラジカル重合性化合物には含まず、湿気硬化型ウレタン樹脂として扱う。
上記ポリオール化合物と上記ポリイソシアネート化合物との反応において、上記ポリオール化合物として分子量の高いものを用いたり、繰り返し単位数を多くしたりすることにより、上記重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂を得ることができる。
上述したように、上記ポリオール化合物として分子量の高いものを用いることにより、上記重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂を得ることができる。
上記ビスフェノール型のポリオキシアルキレン変性体は、ビスフェノール型分子骨格の両末端に、1種又は2種以上のアルキレンオキシドが付加されていることが好ましい。ビスフェノール型としては特に限定されず、A型、F型、S型等が挙げられ、好ましくはビスフェノールA型である。
なかでも、プロピレングリコールや、テトラヒドロフラン(THF)化合物の開環重合化合物や、メチル基等の置換基を有するテトラヒドロフラン化合物の開環重合化合物からなるポリエーテルポリオールを用いたものが好ましい。
なお、Lが0の場合とは、Rと結合した炭素が直接酸素と結合している場合を意味する。
上記ラジカル重合性化合物としては、光重合性を有するラジカル重合性化合物であればよく、分子中にラジカル重合性基を有する化合物であれば特に限定されないが、ラジカル重合性基としてエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好適であり、特に反応性の面から(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「(メタ)アクリル化合物」ともいう)が好適である。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネート化合物のイソシアネート基は、全てウレタン結合の形成に用いられ、上記ウレタン(メタ)アクリレートは、残存イソシアネート基を有さない。
上記その他のラジカル重合性化合物としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物や、スチレン、α−メチルスチレン、N−ピロピドン、N−ビニルカプロラクトン等のビニル化合物等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
上記充填剤は、粒子径の好ましい下限が1nm、好ましい上限が100nmである。上記充填剤の粒子径が1nm未満であると、得られる光湿気硬化型樹脂組成物が塗布性に劣るものとなる。上記充填剤の粒子径が100nmを超えると、得られる光湿気硬化型樹脂組成物が塗布後の形状保持性に劣るものとなる。上記充填剤の粒子径のより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は50nm、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は45nmである。
上記充填剤は、一次粒子径の好ましい下限が1nm、好ましい上限が50nmである。
なお、上記充填剤の粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、平均粒子径を求めることにより測定することができる。
上記疎水性表面処理としては、シリル化処理、アルキル化処理、エポキシ化処理等が挙げられる。なかでも、形状保持性を向上させる効果に優れることから、シリル化処理が好ましく、トリメチルシリル化処理がより好ましい。
具体的には例えば、上記トリメチルシリル化処理シリカは、例えば、シリカをゾルゲル法等の方法で合成し、シリカを流動させた状態でヘキサメチルジシラザンを噴霧する方法や、アルコール、トルエン等の有機溶媒中にシリカを加え、更に、ヘキサメチルジシラザンと水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法等により作製することができる。
なお、本明細書において、上記「遮光剤」は、可視光領域の光を透過させ難い能力を有する材料を意味する。
また、上記遮光剤は、黒色を呈するものでなくてもよく、可視光領域の光を透過させ難い能力を有する材料であれば、シリカ、タルク、酸化チタン等、充填剤として挙げた材料も上記遮光剤に含まれる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の光湿気硬化型樹脂組成物に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。従って、光ラジカル重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370〜450nm)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の光湿気硬化型樹脂組成物の光硬化性をより増大させることができる。また一方で、本発明の光湿気硬化型樹脂組成物に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほど良く、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特に無いが、通常は5以下となる。
また、本発明の光湿気硬化型樹脂組成物を用いて製造した表示素子は、光湿気硬化型樹脂組成物が充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有するものとなる。
なお、上記遮光剤の粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、平均粒子径を求めることにより測定することができる。
なお、本発明の光湿気硬化型樹脂組成物の粘度が高すぎる場合は、塗布時に加温することで塗布性を向上させることができる。
なお、本明細書において上記チクソトロピックインデックスとは、コーンプレート型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度を、コーンプレート型粘度計を用いて25℃、10rpmの条件で測定した粘度で除した値を意味する。
ポリオール化合物として100重量部のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、「PTMG−1500」、重量平均分子量1500)と、0.01重量部のジブチル錫ジラウレートとを500mL容のセパラブルフラスコに入れ、真空下(20mmHg以下)、100℃で30分間撹拌し、混合した。その後常圧とし、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(日曹商事社製、「Pure MDI」)35.5重量部を入れ、80℃で3時間撹拌し、反応させ、ウレタンプレポリマーA(重量平均分子量2000)を得た。
ポリオール化合物として100重量部のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、「PTMG−3000」、重量平均分子量3000)と、0.01重量部のジブチル錫ジラウレートとを500mL容のセパラブルフラスコに入れ、真空下(20mmHg以下)、100℃で30分間撹拌し、混合した。その後常圧とし、ジフェニルメタンジイソシアネート(日曹商事社製、「Pure MDI」)17.5重量部を入れ、80℃で3時間撹拌し、反応させ、ウレタンプレポリマーB(重量平均分子量3500)を得た。
ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を13重量部に変更したこと以外は合成例2と同様にして、ウレタンプレポリマーC(重量平均分子量6800)を得た。
ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を13重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、ウレタンプレポリマーD(重量平均分子量1万)を得た。
ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を9重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、ウレタンプレポリマーE(重量平均分子量4万)を得た。
ポリオール化合物として100重量部のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、「PTMG−2000」)と、0.01重量部のジブチル錫ジラウレートとを500mL容のセパラブルフラスコに入れ、真空下(20mmHg以下)、100℃で30分間撹拌し、混合した。その後常圧とし、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(日曹商事社製、「Pure MDI」)26.5重量部を入れ、80℃で3時間撹拌し、反応させ、ウレタンプレポリマー(重量平均分子量2700)を得た。更に得られたウレタンプレポリマーの入った反応容器に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM−803」)9.8重量部を添加し、80℃で1時間撹拌混合し、有機シリル基含有ウレタン樹脂として、分子末端にイソシアネート基とトリメトキシシリル基とを有するウレタンプレポリマーF(重量平均分子量3100)を得た
ポリオール化合物として100重量部のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、「PTMG−2000」)と、0.01重量部のジブチル錫ジラウレートとを500mL容のセパラブルフラスコに入れ、真空下(20mmHg以下)、100℃で30分間撹拌し、混合した。その後常圧とし、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(日曹商事社製、「Pure MDI」)26.5重量部を入れ、80℃で3時間撹拌し、反応させ、ウレタンプレポリマー(重量平均分子量2700)を得た。更に得られたウレタンプレポリマーの入った反応容器に、ヒドロキシエチルメタクリレート1.3重量部と、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬工業社製、「Q−1301」)0.14重量部とを添加し、窒素気流下、80℃で1時間撹拌混合し、分子末端にイソシアネート基とメタクリロイル基とを有するウレタンプレポリマーG(重量平均分子量2900)を得た。
ポリオール化合物として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、「PTMG−1500」、重量平均分子量1500)に代えて、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、「PTMG−1000」、重量平均分子量1000)を用いたこと以外は合成例1と同様にして、ウレタンプレポリマーH(重量平均分子量1500)を得た。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて撹拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合して実施例1〜11、比較例1の光湿気硬化型樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例で得られた各光湿気硬化型樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた各光湿気硬化型樹脂組成物を、ディスペンス装置を用いて、ポリカーボネート基板に約2mmの幅で30mmの長さとなるように塗布した。実施例7で得られた光湿気硬化型樹脂組成物については、80℃に加温しながら塗布した。次いで、UV−LED(波長365nm)を用いて、紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、光湿気硬化型樹脂組成物を光硬化させた。その後、ポリカーボネート基板にガラス板を貼り合わせ、20gの重りを60秒の間置き、初期接着性評価用サンプルを得た。
作製した初期接着性評価用サンプルのガラス基板をクリップでとめ、サンプルを地面に対して垂直にぶら下げ、ポリカーボネート基板の端に10gの重りを吊るし、ポリカーボネート基板が落下するまでの時間を測定した。10分以内にポリカーボネート基板が落下した場合を「×」、10分を超え、30分以下の時間でポリカーボネート基板が落下した場合を「△」、30分を超えてもポリカーボネート基板が落下しなかった場合を「○」として初期接着性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各光湿気硬化型樹脂組成物を、ディスペンス装置を用いて、ポリカーボネート基板に約2mmの幅で塗布した。実施例7で得られた光湿気硬化型樹脂組成物については、80℃に加温しながら塗布した。次いで、UV−LED(波長365nm)を用いて、紫外線を1000mJ/cm2、光湿気硬化型樹脂組成物を光硬化させた。その後、ポリカーボネート基板にガラス板を貼り合わせ、20gの重りを置き、一晩放置することにより湿気硬化させて、接着性評価用サンプルを得た。図1に接着性評価用サンプルを上から見た場合を示す模式図(図1(a))、及び、接着性評価用サンプルを横から見た場合を示す模式図(図1(b))を示した。
作製した接着性評価用サンプルを、引張り試験機(島津製作所社製、「Ez−Grapf」)を用いて、剪断方向に5mm/secの速度で引張り、ポリカーボネート基板とガラス板とが剥がれる際の強度を測定した。
上記測定値が、20kgf/cm2以上であった場合を「○」、10kgf/cm2以上20kgf/cm2未満であった場合を「△」、10kgf/cm2未満であった場合を「×」として光湿気硬化型樹脂組成物の湿気硬化後の接着性を評価した。
上記「(湿気硬化後の接着性)」の評価における接着性評価用サンプルと同様にして高温信頼性評価用サンプルを作製した。得られた高温信頼性評価用サンプルを地面に対して垂直にぶら下げ、ポリカーボネート基板の端に100gの重りを吊るした状態で100℃のオーブンに入れ、24時間静置した。24時間静置後、ポリカーボネート基板とガラス板とが剥がれていなかった場合を「○」、ポリカーボネート基板とガラス板とが部分的に剥がれていた場合を「△」、ポリカーボネート基板とガラス板とが完全に剥がれていた場合を「×」として、光湿気硬化型樹脂組成物の高温信頼性(耐クリープ性)を評価した。
2 光湿気硬化型樹脂組成物
3 ガラス板
Claims (7)
- ラジカル重合性化合物と、湿気硬化型ウレタン樹脂と、光ラジカル重合開始剤とを含有し、
前記湿気硬化型ウレタン樹脂は、重量平均分子量が2000以上の湿気硬化型ウレタン樹脂を含有する
ことを特徴とする光湿気硬化型樹脂組成物。 - 湿気硬化型ウレタン樹脂は、更に、重量平均分子量が2000未満の湿気硬化型ウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の光湿気硬化型樹脂組成物。
- 湿気硬化型ウレタン樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を含む基及び/又はアルコキシシリル基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光湿気硬化型樹脂組成物。
- 湿気硬化型ウレタン樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を含む基及び/又はアルコキシシリル基を分子の末端に有することを特徴とする請求項3記載の光湿気硬化型樹脂組成物。
- 一次粒子径が1〜50nmの充填剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光湿気硬化型樹脂組成物。
- 遮光剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の光湿気硬化型樹脂組成物。
- コーンプレート型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度が10〜1000Pa・sであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の光湿気硬化型樹脂組成物。
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