以下、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器について、図1〜図4を参酌しつつ説明する。図1に示しているラベル付き容器は、上方に開口する有底筒状の容器本体2と、該容器本体2の開口部を密閉すべくその口部23の外周面に螺着された蓋3とを備えた蓋付き容器に、筒状ラベル1が装着されたものである。図1は開封前の状態を示している。そして、筒状ラベル1の所定位置にタックラベル4が貼着されている。
蓋付き容器は、合成樹脂製のもの(いわゆるPETボトル)やボトル缶とも称される金属製のもの、ガラス製のもの等、種々の形態があるが、本実施形態では容器本体2と蓋3が何れも合成樹脂製のものである。内容物も任意であって、例えば、調味料や飲料、食品、医薬品、化粧品等である。
容器は、容器本体2と蓋3とから構成される。容器本体2は、蓋3が螺着される雄ネジ部24(図3参照)を外周面に有すると共に上端部に開口部を有する小径の口部23と、口部23よりも大径であって容器本体2の大部分を占める胴部21と、口部23と胴部21との間に位置していて口部23から胴部21に向かって徐々に径が大きくなっていく肩部22と、胴部21の下側に位置する底部20とを備えている。尚、胴部21は、容器において最大の周長を有する部分であり、蓋3と口部23と肩部22は胴部21よりも周長が短く、肩部22は胴部21に向かって徐々に周長が長くなっていく部分である。
蓋3は円形の天面部31と該天面部31の周縁から垂直下方に垂下する筒状の周壁部32とから構成された上端閉塞下端開口の構造であって、周壁部32の内周面に容器本体2の口部23の外周面に形成された雄ネジ部24と螺合可能な雌ネジ部(図示省略)が形成されている。尚、本実施形態では蓋3は通常の右ネジタイプであり、平面視において反時計回りに回転させると緩み、逆の時計回りに回転させると締まる。つまり、蓋3の開栓方向は平面視において反時計回りであって、正面視においては向かって右方向であり、開封方向の上流側は正面視において左側となる。従って、正面から見た図面においては向かって左側が開栓方向上流側であり、向かって右側が開栓方向下流側である。尚、図4(a)に開栓方向を矢印Aで示し、図4(b)に閉栓方向を矢印Bで示している。尚、容器本体2の口部23の外周面に蓋3が螺着された構成には限定されず、容器本体2の口部23の外周面に蓋3が回転可能に取り付けられていればよい。例えば、蓋3が、容器本体2の口部23の外周面に回転可能に取り付けられた蓋本体部に、内容物を取り出すために例えばヒンジ連結されて上下に開閉自在とされた開閉部を別途備えた構成であってもよい。この構成の場合、蓋本体部は容器本体2の口部23に対して上下方向(軸線方向)には位置変更せずにその取付位置で空転する。そして、内容物を取り出す際には開閉部を上方に開いて取り出す。また更に、容器としては、例えばチューブ状容器等のように、容器本体2の下部に口部23を有して、その口部23に蓋3が螺合した形態であってもよい。
筒状ラベル1は、熱収縮性ラベル(シュリンクラベル)であって蓋付き容器の略全体を覆っており、いわゆるフルシュリンクの構造とされている。該筒状ラベル1が容器に装着されることによって容器の蓋3が開かないように封緘されている。筒状ラベル1は、蓋3の周壁部32の全体を覆うと共にその上端部1aは蓋3の天面部31に回り込んでいて天面部31の周縁部を覆っており、容器本体2の口部23と肩部22と胴部21の全体を覆うと共に、その下端部1bは底部20に周り込んでいて底部20の周縁部を覆っている。
筒状ラベル1の所定位置には開封用の横ミシン目10が形成されている。該横ミシン目10は、筒状ラベル1を上下に分断すべく周方向に沿って形成されており、該横ミシン目10によって筒状ラベル1は上側の封緘部11と下側の残留ラベル部12とに区画される。即ち、筒状ラベル1は横ミシン目10によって上部と下部とに区画され、開封によって上部と下部に分断される。従って、横ミシン目10が形成されている箇所が分断予定位置となる。そして、筒状ラベル1の上部が蓋3を封緘するための封緘部11であり、下部が開封後に容器本体2に残って本体ラベルとなる残留ラベル部12である。横ミシン目10の位置は任意であるが、少なくとも封緘性を確保するために蓋3の下端部3aよりも下側に位置する。具体的には、横ミシン目10は容器本体2の肩部22に位置しており、肩部22を覆う筒状ラベル1の部分は横ミシン目10によって上下に区画され且つ開封によって上下に分断される。横ミシン目10の具体的な形状は任意であって、切断部とそれが形成されずに残った残部である非切断部とが交互に形成される形態であればよく、切断部や非切断部の長さや間隔は種々であってよい。また、横ミシン目10は全周に亘って形成してもよいが、全周のうち一部に形成しない領域を設けてもよい。
そして、筒状ラベル1の封緘部11に開封用の縦ミシン目13が形成されている。縦ミシン目13の形態も種々であってよく一本の形態であってもよいが、本実施形態では互いに平行な二本の形態であって、筒状ラベル1の上端部1aから横ミシン目10まで形成されている。二本の縦ミシン目13を形成することにより、その間には帯状の切離片14が形成される。開封の際、摘み部15(図2参照)を摘んで縦ミシン目13を切断して切離片14を封緘部11の他の部分から切離し、その後、横ミシン目10を切断することで、封緘部11の残りの部分を切離除去して蓋3を完全に露出させることができる。尚、本実施形態では横ミシン目10に加えて縦ミシン目13を形成した構成であるが、縦ミシン目13を形成せずに横ミシン目10のみを形成して、開封時に蓋3を掴んで回転させて横ミシン目10をねじ切って切断する構成であってもよい。
尚、容器への装着前の状態において、筒状ラベル1は図2のように扁平状に折り畳まれており、その左右両側縁部には折り目が形成される。後述するが、この折り畳まれた状態で押圧刃によって横ミシン目10を形成すると、筒状ラベル1の手前側の半周部分に形成される横ミシン目10と奥側の半周部分に形成される横ミシン目10とが、押圧刃によって一度に形成されることになる。従って、拡開した状態においては、手前側の半周部分に形成された横ミシン目10と奥側の半周部分に形成された横ミシン目10とは前後対称関係となる。また、手前側の半周部分に縦ミシン目13を一本形成することで奥側の半周部分にも同時に縦ミシン目13が一本形成されることになり、切離片14の幅方向中央に折り目が位置することになる。筒状ラベル1にタックラベル4を貼着する前に筒状ラベル1に横ミシン目10を押圧刃等で形成する場合には、横ミシン目10を全周に亘って形成することができ、その横ミシン目10の上にタックラベル4を貼着することができる。その一方、筒状ラベル1にタックラベル4を貼着した後に筒状ラベル1の横ミシン目10を押圧刃によって形成する場合であってタックラベル4にはミシン目等の切り込み線を形成しないようにする場合には、筒状ラベル1の分断予定位置の全周のうち、タックラベル4が貼着された箇所と該タックラベル4の貼着箇所に対して折り目を境界線として前後に対向した箇所の合計二箇所を除いて横ミシン目10を形成する。従って、その場合には、筒状ラベル1の分断予定位置の全周のうち、タックラベル4が貼着された箇所と該タックラベル4の貼着箇所に対して折り目を境界線として前後に対向した箇所の合計二箇所には、横ミシン目10が形成されていない部分が存在することになる。このように横ミシン目10は全周に亘って形成されていてもよいし、全周のうち部分的に形成されていない箇所が存在していてもよい。
ここで、筒状ラベル1は、ラベル基材と該ラベル基材の外面(表面)あるいは内面(裏面)に形成された印刷層とを備えている。ラベル基材としては種々の熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)が使用でき、主として一方向(筒状に形成した際における周方向)に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、他方向(一方向と直交する方向)にも収縮する二軸延伸フィルムを使用してもよい。尚、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、一方向(例えばTD方向)と他方向(例えばMD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味し、何れかの方向に全く収縮しない(いわゆる収縮率がゼロである)フィルムのみを意味するものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が20〜80%、軸線方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。例えば、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムである場合、周方向が主延伸方向である。
ラベル基材となるプラスチックフィルムの具体例としては、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ポリ乳酸系(PLA)、ポリアミド系、及び、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。これらのうち適切な収縮応力を有することから、ポリエチレンテレフタレート系フィルムやポリプロピレン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ乳酸系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムが好ましい。ラベル基材の厚みは特には限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。
また、上述の樹脂を二種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできる。更に、単層フィルムの他、二種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。積層フィルムの場合には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の何れかを含むと共に、それらの樹脂がラベル基材の主層となるようにすることが好ましい。このようにラベル基材は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂のうち、何れかを主成分として含む熱収縮性フィルムとすることが好ましい。
横ミシン目10は上側の封緘部11と下側の残留ラベル部12との境界に位置する。開封時に筒状ラベル1は横ミシン目10によって上下に分断されることになる。従って、横ミシン目10は、筒状ラベル1を上下に分断するためのものである。その分断予定位置にタックラベル4が貼着されている。タックラベル4は、横ミシン目10が形成されている分断予定位置の全周のうち一箇所に貼着されており、その分断予定位置を上下に跨ぐようにして貼着されている。尚、本実施形態ではタックラベル4の上下方向の中央に分断予定位置が位置するように貼着されているが、例えば、分断予定位置に対してタックラベル4が上側もしくは下側に偏心して貼着されてもよい。また、全周のうち一箇所にタックラベル4を貼着する他、二箇所以上に貼着するようにしてもよい。タックラベル4の形状も任意であって種々の形状であってよいが、本実施形態では縦長の長方形状となっている。そして、タックラベル4の上下方向の中央位置が筒状ラベル1の分断予定位置と略一致している。
ここで、タックラベル4は、ラベル基材と該ラベル基材の裏面に積層された粘着剤層とを有する。タックラベル4のラベル基材は筒状ラベル1のラベル基材よりも引っ張ったときに伸びやすい材質から構成する。タックラベル4のラベル基材は、柔軟なシートであって開封時に容易に切断できるものであればその材質等は特には限定されず、種々の公知のものを用いることができるが、代表的にはプラスチックフィルムであり、単層構造であってもよいし、二層以上の多層構造であってもよい。タックラベル4のラベル基材は非熱収縮性のものであることが好ましい。タックラベル4のラベル基材は、筒状ラベル1のラベル基材よりも伸びやすい材質とすることから、プラスチックフィルムの場合には無延伸フィルムが好ましい。ここで、無延伸フィルムとは、分子の配向が無配向の(配向処理が施されていない)フィルムである。筒状ラベル1のラベル基材を延伸フィルムから構成すると共にタックラベル4のラベル基材を無延伸フィルムから構成して、引っ張り時の両者の伸びに差を設けることが好ましい。プラスチックフィルムとして代表的にはポリプロピレン系フィルムやポリエチレン系フィルム等のオレフィン系フィルムが挙げられるが、その中でも特にポリエチレン系フィルムが柔軟性に優れていて二次元曲面や三次元曲面への貼着特性も優れているため好ましい。単層フィルムの他、二種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもでき、積層フィルムの場合には、特にポリエチレン系樹脂がラベル基材の主層となるようにすることが好ましい。このようにタックラベル4のラベル基材は、ポリエチレン系樹脂を含む非熱収縮性フィルムであることが好ましく、特にポリエチレン系樹脂を主成分として含む非熱収縮性フィルムであることが好ましい。タックラベル4のラベル基材の厚さは特に限定されないが、例えば25μm〜120μmであり、好ましくは30μm〜100μmである。
タックラベル4のラベル基材の材質は、弱い力でも伸びることができる材料であることが好ましく、20%の伸びを与えるときの引張応力が、好ましくは1〜20MPaであり、より好ましくは3〜15MPaである。また、一旦伸ばすと元には戻りにくい材料で、200%の歪みを与えた後、永久歪みが100%以上となることが好ましい。ここで、引張応力は、JIS K7127に準拠して求めることができる。具体的には、ラベル基材に用いられる材料を幅15mm、長さ200mmに切断し、テストピースを作製する。そのテストピースを標線間距離100mmで装置に固定し、装置にて、引張速度300mm/minにて標線間距離が120mm(歪みが20%)になったときの値を引張応力として求めることができる。ここでは、(株)島津製作所製装置(AG-I 500N)を用いて測定を行うことができる。なお、上記と同様にして、標線間距離300mm(歪みが200%)まで引っ張って、その材料が200%伸びるかどうかを確認することができる。更に、引っ張ることができたものについては、引っ張った後、除荷されたテストピースの標線間距離を測定し、永久歪みを測定することができる。この場合も、200%以上伸びるものがよく、永久歪みが100%以上であるものがよい。
タックラベル4のラベル基材は、透明であってもよいし不透明であってもよい。プラスチックフィルムは、通常透明であるため、白色ベタ印刷や銀色ベタ印刷を透明なプラスチックフィルムに施すことによって、不透明なラベル基材とすることができる。また、プラスチックフィルムに金属蒸着膜のような不透明な層を積層することによって不透明のラベル基材としてもよい。
タックラベル4のラベル基材の表面又は裏面には必要に応じて所望の印刷層を形成してもよい。尚、不透明なラベル基材を用いる場合にはその表面に印刷層を設けることになる。このようにタックラベル4に印刷層を設ける場合には、その内側に位置する筒状ラベル1の印刷層の色と異なる色にしておくことが好ましく、悪戯により開封されて元の位置に戻されたとしても、タックラベル4の切断箇所4aから内側の筒状ラベル1の印刷層が垣間見えるため、開封されたことが容易に視認できる。同様に、タックラベル4の表面と裏面にそれぞれ互いに異なる色の印刷層(例えば補色関係となる印刷層)を形成しておけば、タックラベル4の切断箇所4aからタックラベル4の内面の印刷層が垣間見えるため、開封されたことが容易に視認できる。
粘着剤層を構成する粘着剤は種々の公知のものを使用することができ、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等から構成される感圧型粘着剤を用いることができる。また、感熱性粘着剤を用いてもよい。粘着剤層の厚さは、例えば10〜30μmである。粘着剤層はラベル基材の裏面の全体に形成されるが、一部のみに形成してもよい。
以上のような構成のラベル付き容器は、例えば、容器に筒状ラベル1を装着した後に、その筒状ラベル1の所定位置にタックラベル4を貼着することによって製造することもできるが、好ましくは、容器に装着する前の段階の筒状ラベル1にタックラベル4を貼着し、その後、タックラベル4付きの筒状ラベル1を容器に装着するようにして製造する。このように容器への装着前にタックラベル4を筒状ラベル1に貼着しておくと、タックラベル4を筒状ラベル1の分断予定位置に正確に且つ確実に貼着することができる。特に、タックラベル4が容器の肩部22に位置する構成では、肩部22が斜めに傾斜しているため、容器に筒状ラベル1を装着した後にラベラー(ラベル貼着装置)によってタックラベル4を機械的に貼着することは容易ではない。従って、タックラベル4の少なくとも一部が容器の肩部22に位置する構成では、特に、容器に装着する前の段階で筒状ラベル1にタックラベル4を貼着しておくことが好ましい。
また、原反フィルムを所定幅に裁断した長尺フィルムを筒状に形成して長尺筒状の長尺ラベルを形成し、その長尺ラベルを所定長さ毎に切断することにより個々の筒状ラベル1を形成する場合においては、筒状ラベル1が長手方向に連設された長尺ラベルに横ミシン目10を一定間隔毎に順次形成し、また、タックラベル4を順次連続して貼着していくことが好ましい。
以上のように構成されたラベル付き容器を開封する際には、まず摘み部15を摘んで縦ミシン目13を切断しつつ切離片14を封緘部11の他の部分から切離し、その後、横ミシン目10を切断して、封緘部11の残りの部分を切離除去して蓋3を完全に露出させる。このように開封によって封緘部11は容器から分離除去される一方、残留ラベル部12はそのまま容器本体2に留まって本体ラベルとなる。また、横ミシン目10を切断することでタックラベル4も上下に分断され、タックラベル4の上部は封緘部11と共に分離除去され、タックラベル4の下部は残留ラベル部12に貼着状態のまま残る。
一方、図3のように、悪戯によって縦ミシン目13を切断せずに蓋3を掴んで回転させて横ミシン目10のみをねじ切るように切断される場合を考えると、筒状ラベル1の分断予定位置を上下に跨ぐように貼着されているタックラベル4のラベル基材が筒状ラベル1のラベル基材よりも伸びやすい材質であるので、筒状ラベル1と共にタックラベル4がねじ切られる際、タックラベル4が周方向に引っ張られて伸びることになる。そのため、タックラベル4は周方向に沿って一直線状にスパッとは切断せず、切断箇所4aに伸びやシワが発生したり、切断箇所4aがギザギザ状になったりする。図4(a)のように少しの角度だけ蓋3を回転させた場合も同様であって、切断箇所4aにバリやシワ、伸び等が発生したり、切断箇所4aがギザギザ状になったりする。
従って、図4(b)のように蓋3を元の位置に戻したとしても、タックラベル4の切断箇所4aが一直線状ではないのでその切断箇所4aを容易に視認でき、悪戯によって開封されたことを容易に判別することができる。そのため、店頭等において悪戯によって開封されることを未然に防止することができ、悪戯に対する高い抑止効果が得られる。
また、本実施形態のように横ミシン目10が容器の肩部22に対応した位置に形成されている場合にはタックラベル4を貼着しておくことが特に有効である。即ち、肩部22の位置は筒状ラベル1の収縮量が胴部21に比して大きく、従って、肩部22における筒状ラベル1の部分は胴部21における筒状ラベル1の部分に比して相対的に硬くなっている。そのため、悪戯による開封時に横ミシン目10がスパッと一直線状に切断されやすく、横ミシン目10のみでは開封されたことを判別することが容易ではない。従って、横ミシン目10が肩部22に対応した位置に設けられている場合には、タックラベル4を貼着しておくことによる改ざん防止効果が特に大きい。
更に、タックラベル4はその粘着剤層によって筒状ラベル1に貼着されており、タックラベル4のラベル基材と筒状ラベル1との間には粘着剤層が介在している。従って、悪戯による開封時に、タックラベル4が筒状ラベル1から僅かに周方向に位置ずれすることもあり得る。このようにタックラベル4が筒状ラベル1から周方向に若干位置ずれしつつ切断されると、図4(b)のように元の位置まで戻しても、タックラベル4の上部はタックラベル4の下部に対して完全に元の位置には戻らず僅かに周方向に位置ずれした状態となり、それによっても開封されたことを容易に判別できる。同様に、開封時にタックラベル4にシワが発生することもあり、そのようにシワが発生した場合も、図4(b)のように元の位置まで戻しても、発生したシワによって開封されたことを判別できる。
尚、本実施形態においてはタックラベル4の全領域に切り込み線や切欠部といった欠損部分を設けなかった、即ち、全領域に亘って無欠損領域としたが、例えば、タックラベル4の両側縁部であって筒状ラベル1の分断予定位置に対応した位置に、タックラベル4の切断の起点となる切断開始部を形成してもよい。例えば、切断開始部として図5のように両側縁部にそれぞれ切り込み線40を形成してもよい。尚、切り込み線40は両側縁部のうち少なくとも開封方向の上流側の側縁部に形成すればよい。タックラベル4の切り込み線40と筒状ラベル1の横ミシン目10は、図5のように上下方向即ち筒状ラベル1の軸線方向において同じ位置に形成されていることが好ましいが、若干上下に位置ずれしていてもよい。また、タックラベル4を両側縁部にそれぞれ形成する場合、互いに対称に形成することが好ましいが、非対称であってもよい。
このようにタックラベル4に切断開始部としての切り込み線40を形成しておくと、開封時に筒状ラベル1の横ミシン目10をねじ切る際に切り込み線40を起点としてタックラベル4を容易に切断することができ、開封性が向上する。また、このようにタックラベル4の両側縁部に切り込み線40を形成してもタックラベル4の中間領域41が無欠損領域になっているので、悪戯による開封時にタックラベル4がねじ切られる際、タックラベル4の中間領域41が伸びて切断箇所4aにシワや伸び、バリ等が発生したり、切断箇所4aがギザギザ状になったりする。従って、タックラベル4の切断箇所4aを容易に視認でき、開封されたことを容易に判別することができる。
尚、タックラベル4の側縁部に切り込み線40を形成する場合、タックラベル4の切り込み線40と筒状ラベル1の横ミシン目10の上下方向(筒状ラベル1の軸線方向)の位置合わせが問題になる。上述したように、タックラベル4の切り込み線40と筒状ラベル1の横ミシン目10とが上下に多少位置ずれしていてもよいが、両者が一致していることが好ましい。容器に装着する前の段階で筒状ラベル1に横ミシン目10を形成し、その後、切り込み線40を形成したタックラベル4を筒状ラベル1に貼着するようにしてもよいが、タックラベル4の切り込み線40と筒状ラベル1の横ミシン目10との位置合わせを精度良く行うことは困難である。従って、筒状ラベル1に横ミシン目10を形成する前にその筒状ラベル1に、切り込み線40を形成していない状態のタックラベル4を貼着し、その上で筒状ラベル1の横ミシン目10とタックラベル4の切り込み線40を形成するようにすることが好ましい。その際、図2のように扁平状態に折り畳まれた筒状ラベル1にタックラベル4を貼着すると貼着工程が容易になる。また、扁平状態に折り畳まれた筒状ラベル1に横ミシン目10を形成すると、押圧刃によって容易に横ミシン目10を形成できる。
更には、筒状ラベル1の横ミシン目10の形成工程とタックラベル4の切り込み線40の形成工程を別々に行ってもよいが、一つの工程で同時に形成することが好ましい。例えば、押圧刃で押圧して筒状ラベル1の横ミシン目10とタックラベル4の切り込み線40を一工程で形成すると、筒状ラベル1の横ミシン目10とタックラベル4の切り込み線40を同じ位置に高精度に形成できる。尚、筒状ラベル1を扁平に折り畳んだ状態で押圧刃によって横ミシン目10とタックラベル4の切り込み線40とを同時に形成する場合には、タックラベル4の裏側に位置する筒状ラベル1の部分には横ミシン目10が局所的に形成されないことになり、また、タックラベル4の裏側に位置する筒状ラベル1の部分と前後対向してその反対側に位置する筒状ラベル1の部分にも同様に横ミシン目10が局所的に形成されないことになる。従って、筒状ラベル1の分断予定位置の全周のうち、タックラベル4が貼着された箇所と該タックラベル4の貼着箇所に対して折り目を境界線として前後対向した箇所の合計二箇所には、横ミシン目10が形成されていない部分が存在することになる。
筒状ラベル1の横ミシン目10とタックラベル4の切り込み線40を一つの工程で同時に形成した場合には、タックラベル4の切り込み線40と筒状ラベル1の横ミシン目10の切断部とを筒状ラベル1の軸線方向の同じ位置に正確に形成できるので、開封する際にタックラベル4を切り込み線40から筒状ラベル1と共により一層容易に切断することができる。
また、筒状ラベル1の横ミシン目10とタックラベル4の切り込み線40を一つの工程で同時に形成した場合には、タックラベル4の中間領域41が無欠損領域とされることに伴って、その内側に位置する筒状ラベル1の分断予定位置が横ミシン目10の切断部が形成されない箇所となる(横ミシン目10の非切断部となる)ので、タックラベル4の中間領域41及びその内側の筒状ラベル1の分断予定位置が周方向に沿ってスパッと一直線状に切断されにくくなり、悪戯による開封をより一層容易に判別できる。
尚、切り込み線40に代えて図6のように切欠部42を切断開始部として形成するようにしてもよい。切欠部42の形状は任意であって、例えば図6(a)のようにV字状(三角形状)であってもよいし、図6(b)のように半円状であってもよい。その他、U字状や矩形等、種々の形状であってよい。また、切欠部42を形成する場合、筒状ラベル1の横ミシン目10の切断部が切欠部42によって切り欠かれた領域内に位置するように、筒状ラベル1の横ミシン目10をタックラベル4の切欠部42に近接して形成することが好ましい。更に、図6(b)のように、切断開始部として、切欠部42と共に切り込み線40を形成してもよい。
また、図5や図6に示した形態では、筒状ラベル1の分断予定位置に対応したタックラベル4の位置であって両側縁部よりも内側の中間領域41を、切り込み線40等の欠損部分のない無欠損領域としたが、中間領域41を無欠損領域とはせずに、中間領域41に横ミシン目10とは異なる交差状切り込み線43を形成してもよい。交差状切り込み線43は横ミシン目10に対して交差する方向に沿って延びたものであり、例えば図7(a)のように交差状切り込み線43を横ミシン目10と直交する方向に沿って延びる形状としてもよい。図7(a)のように交差状切り込み線43を間隔をあけて複数本形成してもよいし、一本のみ形成してもよい。また、図7(b)のように横ミシン目10に対して斜めに交差する交差状切り込み線43としてもよい。更に、図7(c)のように、横ミシン目10に対して斜めに交差する交差状切り込み線43を二本形成すると共にその二本の交差状切り込み線43同士が互いに交差し合うようにしてもよい。即ち、交差状切り込み線43をX状に形成するようにしてもよい。
無論、図7(b)や図7(c)のような交差状切り込み線43をタックラベル4の幅方向に間隔をあけて複数箇所形成してもよい。何れにしても、中間領域41に切り込み線を形成する場合には横方向(幅方向)即ち筒状ラベル1の周方向に沿って延びる形状とするのではなく筒状ラベル1の周方向に対して交差する方向に延びる形状とすることが好ましい。仮に、タックラベル4の中間領域41に、横ミシン目10と同一線上となるミシン目等の切り込み線を形成すると、悪戯による開封時に筒状ラベル1と共にタックラベル4も一直線状に切断されやすくなる。従って、タックラベル4の中間領域41に切り込み線を形成する場合には横ミシン目10とは異なりそれと交差するように延びる形状とすることが好ましい。尚、このように中間領域41に交差状切り込み線43を形成する場合には、その交差状切り込み線43も切断開始部としての切り込み線40や筒状ラベル1の横ミシン目10と合わせて押圧刃によって一度に形成することが好ましい。押圧刃で交差状切り込み線43を中間領域41に形成すると、筒状ラベル1にも同時に交差状切り込み線が形成されることになる。
更に、交差状切り込み線43ではなく、孔部47を中間領域41に形成してもよい。孔部47の形状は任意であって、例えば図8(a)のような円形であってもよいし、図8(b)のような楕円形であってもよい。孔部47は中間領域41の中央に一箇所形成してもよいし、中間領域41の中央から左右何れかに偏心した位置に一箇所形成してもよいし、また、幅方向に間隔をおいて複数箇所に形成してもよい。図8(b)のような孔部47が楕円形の場合には、その長軸の方向はタックラベル4の幅方向(筒状ラベル1の周方向)であってもよいし、交差状切り込み線43のようにタックラベル4の幅方向に対して交差していてもよい。このように中間領域41に孔部47を形成した場合においても、悪戯による開封時に、タックラベル4が一直線状にスパッと切断しにくくなり、孔部47において切断箇所4aに段差やバリ等が発生したりする。従って、悪戯によって開封されたことを容易に視認できる。
また更に、タックラベル4の裏面の一部に弱接着領域44を形成してもよい。即ち、タックラベル4の裏面に強接着領域45と弱接着領域44を形成してもよい。尚、弱接着領域44には、事実上接着力のない非接着の状態を含むものとする。例えば、上述したように粘着剤層をラベル基材の裏面全体に形成すると共に、その粘着剤層の裏面の一部にいわゆる「糊殺し」や「糊抑え」とも称されるマスキング層を形成することによって、タックラベル4の裏面に強接着領域45と弱接着領域44を形成することができる。マスキング層が形成された領域は、マスキング層が形成されずに残った領域に比して接着力が小さくなる。従って、粘着剤層の裏面のうちマスキング層が形成された領域が弱接着領域44となり、粘着剤層の裏面のうちマスキング層が形成されずに残った領域が強接着領域45となる。マスキング層は、マスキング剤を用いて公知の印刷手法によって形成できる。マスキング剤としては、非粘着性であって紫外線により硬化する層を粘着剤層の上に形成できるものが好ましく、紫外線硬化型インキ等が使用できる。但し、ラベル基材の裏面全体に粘着剤層を形成するのではなく、強接着領域45のみに粘着剤層を形成し、弱接着領域44には粘着剤層を形成しないようにして、強接着領域45と弱接着領域44とを区画形成してもよい。
図9に強接着領域45と弱接着領域44とを区画形成した例を示している。図9は背面図であり、ハッチングを施している部分が強接着領域45であって、ハッチングを施してない部分が弱接着領域44である。例えば、図9(a)のように、タックラベル4の上部と下部のそれぞれに強接着領域45を形成し、両強接着領域45の間に弱接着領域44を形成する。強接着領域45を上下に間隔をあけて二箇所に形成することによって両強接着領域45の間に弱接着領域44を形成するが、上下対称の場合には、中央に弱接着領域44を形成し、その上下両側に強接着領域45を形成する。弱接着領域44は幅方向に沿って形成することが好ましく、例えば帯状とすることができ、何れにしてもタックラベル4の全幅に亘って形成することが好ましい。かかる弱接着領域44が筒状ラベル1の分断予定位置に位置するようにタックラベル4を筒状ラベル1に貼着する。悪戯による開封によってタックラベル4はその弱接着領域44で切断されることになるが、開封時にタックラベル4の弱接着領域44が筒状ラベル1に追従しないので自由に動くことができて伸びやすく、その結果、開封後においてタックラベル4の切断箇所4aが容易に視認できる。尚、図9(a)では交差状切り込み線43を弱接着領域44に設けているが、これは省略してもよい。
また、図9(b)のように上側の強接着領域45を、弱接着領域44の上側に隣接して幅方向に沿って帯状に形成された横部45aと、タックラベル4の上端中央部から横部45aまで帯状に形成された縦部45bとからなる逆T字状として、縦部45bの両側にもそれぞれ弱接着領域44を形成するようにしてもよい。このようにタックラベル4の上部の左右両側にそれぞれ弱接着領域44を形成すると、その弱接着領域44が筒状ラベル1から浮き上がるようになる。即ち、容器が周方向に湾曲しているので、タックラベル4もそれに合わせて幅方向に湾曲するが、タックラベル4の上部においては左右に弱接着領域44が設けられているので、その左右の弱接着領域44は湾曲せず、そのため左右の弱接着領域44が容器の湾曲形状に沿わずに浮き上がった状態となる。特に、容器本体2の肩部22にタックラベル4の少なくとも上部が位置しているので、その上部における左右の弱接着領域44が容器の肩部22から浮き上がった状態になりやすく、その部分が特に目立つことになって高い宣伝広告効果(POP効果)が得られる。
このようにタックラベル4をPOPラベルとして使用することも有効であって、図9(c)のようにタックラベル4の上部に側方に突出する突出部46を左右それぞれに突設してタックラベル4の上部を幅広に形成すれば、左右一対の突出部46が手を開いたように左右に広がると共に容器の肩部22から浮き上がるので、より一層POP効果が高まる。尚、上側の強接着領域45は図9(b)のように逆T字状とするのではなく図9(c)のように上側に向けて徐々に幅狭となるように形成してもよく、台形状としたり三角形状としたりすることができる。
また更に、交差状切り込み線43をタックラベル4の全領域に多数形成してもよい。例えば、図10のように縦方向に沿って(筒状ラベル1の横ミシン目10に対して直交する方向に沿って)延びる交差状切り込み線43をタックラベル4の全領域に千鳥状に配置してもよい。このように交差状切り込み線43を多数形成すると、タックラベル4が悪戯による開封時に更に伸びやすくなり、改ざん防止機能が高まる。尚、この場合も交差状切り込み線43は縦方向に沿って延びる形状の他、斜め方向に延びる形状であってよいし、複数種類の形状の組み合わせであってもよい。またその配列も任意であって千鳥状の配置の他、縦横整列配置であってもよいし、ランダムに配置してもよい。また、このように交差状切り込み線43をタックラベル4に多数形成することにより、筒状ラベル1を容器に熱収縮装着する際の、タックラベル4の筒状ラベル1への追従性がよくなる。
尚、筒状ラベル1は上述したような熱収縮性ラベルの他、非収縮性ラベル(巻き付けラベル)等であってもよい。
また、蓋3の構成も種々変更可能であって、例えば右ネジタイプの蓋3であっても、開栓動作の初期において一旦ネジを締め込む方向である平面視時計回りに所定角度回転させ、この回転によって蓋3による密閉状態が解除され、その後、ネジを緩める方向である平面視反時計回りに蓋3を回転させて容器本体2から離間させるという開栓構造を有するものであってもよい。そのような構成においては、図4(b)の符号Bが開栓方向となり、その開栓方向の上流側は正面視において向かって右側となる。従って、その場合には、タックラベル4の両側縁部のうち少なくとも向かって右側の側縁部に切り込み線40や切欠部42等の切断開始部を形成する。