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JP2015203148A - 銅合金材、セラミック配線基板及びセラミック配線基板の製造方法 - Google Patents

銅合金材、セラミック配線基板及びセラミック配線基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】昇温と降温とを繰り返した場合であっても、銅合金材の反りの発生を抑制する。【解決手段】圧延されることで平板状に形成された銅合金材であって、500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上加熱した後、銅合金材の表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10?以内である結晶方位を有する結晶面を(100)面とみなしたとき、表面の面積に対する表面に存在する(100)面の合計面積の割合が85%以上である。【選択図】 図1

Description

本発明は、銅合金材、セラミック配線基板及びセラミック配線基板の製造方法に関する。
半導体素子を実装する基板として、セラミック配線基板が用いられることがある(例えば特許文献1〜2参照)。セラミック配線基板は、セラミック基板と、セラミック基板上に設けられ、例えばエッチングにより所定箇所が除去されて配線パターン(銅配線)になる銅合金材と、を備えている。
特開2001−217362号公報 特開平10−4156号公報
セラミック配線基板では、銅合金材に電流が通電されたり、通電が停止されることで、銅合金材が昇温と降温とを繰り返し、銅合金材に反りが生じてしまうことがある。これにより、セラミック基板に割れ等が発生し、セラミック配線基板の信頼性が低下してしまうことがある。
本発明は、上記課題を解決し、昇温と降温とを繰り返した場合であっても、銅合金材の反りの発生を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の一態様によれば、圧延されることで平板状に形成された銅合金材であって、500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上加熱した後、表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上である銅合金材が提供される。
本発明の他の態様によれば、セラミック基板と、前記セラミック基板のいずれかの主面上に設けられ、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上である銅合金材と、を備えるセラミック配線基板が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、セラミック基板と、前記セラミック基板のいずれかの主面上に配置される銅合金材と、を加熱処理によって貼り合わせる工程を有し、前記加熱処理によって、少なくとも前記銅合金材の表面で再結晶を生じさせ、前記銅合金材の表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上にするセラミック配線基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、昇温と降温とを繰り返した場合であっても、銅合金材の反りの発生を抑制できる。
本発明の一実施形態にかかる銅合金材に対して所定の加熱処理を行った後の結晶方位マップである。 本発明の一実施形態にかかる銅合金材及びセラミック配線基板の製造工程を示すフロー図である。
<本発明の一実施形態>
(1)銅合金材及びセラミック配線基板の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる銅合金材、及びその銅合金材を備えるセラミック配線基板の構成について説明する。
本実施形態にかかる銅合金材は、圧延されることで平板状に形成されている。銅合金材は、例えば500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上加熱した後、銅合金材の表面(例えば銅合金材のいずれかの主面)に存在する各結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を、(100)面とみなしたとき、銅合金材の表面の面積(銅合金材のいずれかの主面の面積)に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合が例えば85%以上(つまり85%以上100%以下)、好ましくは90%以上となるように、形成されている。
銅合金材の表面に存在する各結晶面(各結晶粒)の結晶方位は、SEM/EBSD法により測定される。SEM/EBSD法とは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で、試料としての銅合金材に電子線を照射したときに生じる電子後方散乱回折(EBSD:Electron Backscattering Diffraction)により形成される回折パターンを利用して、試料である銅合金材の表面に存在する結晶面の結晶方位を解析する方法である。例えば、SEMに、SEMから照射される電子線の軸と直交する軸に対して約60°〜70°傾斜させて試料としての銅合金材を配置し、試料に電子線を照射する。これにより、試料(銅合金材)の表面から約50nmの深さまでの領域に存在する各結晶面で電子後方散乱回折が生じ、回折パターンが得られる。得られた回折パターンを解析し、試料(銅合金材)の表面に存在する複数の各結晶面の結晶方位をそれぞれ解析する。
続いて、結晶方位によって結晶粒を色分けし、例えば図1に示すような結晶方位マップを得る。つまり、同一の結晶方位を有する結晶面には、同一の色を付して結晶方位マップを得る。このとき、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面は、(100)面とみなすこととする。つまり、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面は、(100)面に含めることとする。そして、得られた結晶方位マップから、銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合を算出することで、銅合金材の表面の(100)面の配向性を評価できる。
銅合金材は、銀(Ag)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)のいずれか一つのみを含み、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金で形成されている。
銅合金中にAgが含有されている場合は、銅合金中のAgの含有量(濃度)は、0.005重量%以上であるとよく、0.005重量%以上0.20重量%以下であるとよりよい。Agの含有量が0.005重量%未満であると、500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上の加熱処理(以下では「所定の加熱処理」とも言う。)を行った後の銅合金材の表面に存在する(100)面の割合が85%未満になってしまうことがある。つまり、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%未満になってしまうことがある。Agの含有量を0.005重量%以上とすることで、これを解決できる。つまり、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできる。また、銅合金材の耐熱性を向上させることができる。しかしながら、Agは高価な元素であるため、Agの含有量が0.20重量%を超えると、銅合金材の製造コストが高くなってしまい、費用対効果が低くなってしまうことがある。従って、Agの含有量は0.20重量%以下とするとよい。
銅合金中にSnが含有されている場合は、銅合金中のSnの含有量(濃度)は、0.005重量%以上であるとよく、0.005重量%以上0.15重量%以下であるとよりよい。Snの含有量が0.005重量%未満であると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%未満になってしまうことがある。Snの含有量を0.005重量%以上とすることで、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできる。また、銅合金材の耐熱性を向上させることができる。しかしながら、Snの含有量が0.15重量%を超えると、銅合金材の導電率が低下してしまうことがある。例えば、銅合金材の導電率が90%IACS未満となってしまうことがある。従って、Snの含有量を0.15重量%以下とするとよい。これにより、銅合金材の導電率の低下を抑制できる。例えば、90%IACS以上の導電率を維持できる。
銅合金中にZrが含有されている場合は、銅合金中のZrの含有量(濃度)は、0.005重量%以上であるとよく、0.005重量%以上0.05重量%以下であるとよりよい。Zrの含有量が0.005重量%未満であると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%未満になってしまうことがある。Zrの含有量を0.005重量%以上とすることで、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできる。また、銅合金材の耐熱性を向上させることができる。しかしながら、Zrの含有量が0.05重量%を超えると、銅合金材の導電率が低下してしまうことがある。例えば、銅合金材の導電率が90%IACS未満となってしまうことがある。従って、Zrの含有量を0.05重量%以下とするとよい。これにより、銅合金材の導電率の低下を抑制できる。例えば、90%IACS以上の導電率を維持できる。
Cuとしては、酸素含有量が少ない無酸素銅(OFC:Oxygen Free Copper)を用いるとよい。これにより、銅合金材中に酸化物が生成されることを抑制できる。従って、銅合金材の耐熱性をより向上させることができる。
上述したように、銅合金材は平板状に形成されている。銅合金材は、厚さが例えば100μm以上となるように形成されているとよい。銅合金材が例えば後述のセラミック配線基板に用いられる場合、銅合金材の厚さは、例えば100μm以上であってセラミック基板の厚さよりも薄い厚さであるとよい。具体的には、銅合金材の厚さは、例えば100μm以上1mm以下であるとよい。これにより、銅合金材を用いて後述のセラミック配線基板が形成された際、銅合金材に大電流を流すことができる。
本実施形態にかかるセラミック配線基板は、上述の銅合金材と、所定厚さ(例えば0.5mm)のセラミック基板と、を備えている。セラミック配線基板は、銅合金材とセラミック基板とが、例えばロウ材を介して貼り合わされることで形成されている。セラミック配線基板では、セラミック基板と貼り合わされる際の加熱により銅合金材に再結晶が生じ、銅合金材の(100)面の配向性が85%以上となっている。セラミック基板として、例えば、窒化アルミニウム(AlN)や窒化ケイ素(SiN)等を主成分とするセラミック焼結体が用いられる。ロウ材は、銀(Ag)、銅(Cu)、スズ(Sn)、インジウム(In)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、炭素(C)等の金属、またはこれらの金属のうち少なくとも1つを含む金属合金で形成されているとよい。銅合金材の所定箇所が例えばエッチングにより除去されることで、配線パターン(銅配線)が形成されている。
(2)銅合金材及びセラミック配線基板の製造方法
次に、本実施形態にかかる銅合金材及び銅合金材を用いたセラミック配線基板の製造方法について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態にかかる銅合金材及びセラミック配線基板の製造工程を示すフロー図である。
[銅合金材形成工程(S10)]
(鋳造工程(S11))
図2に示すように、まず、母材であるCu(例えば無酸素銅)を、例えば高周波溶解炉等を用いて溶解して銅の溶湯を生成する。続いて、銅の溶湯中に、Ag、Sn、Zrのいずれか一つのみを添加(固溶)して混合し、銅合金の溶湯を生成する。Agを添加する場合は、銅合金材中のAgの含有量(濃度)が0.005重量%以上、好ましくは0.20重量%以下となるようにAgを添加する。Snを添加する場合は、銅合金材中のSnの含有量(濃度)が0.005重量%以上、好ましくは0.15重量%以下となるようにSnを添加する。Zrを添加する場合は、銅合金材中のZrの含有量(濃度)が0.005重量%以上、好ましくは0.05重量%以下となるようにZrを添加する。そして、この銅合金の溶湯を鋳型に注いで冷却し、所定形状の鋳塊を鋳造(溶製)する。
(熱間圧延工程(S12))
鋳造工程(S11)が終了した後、まず、鋳塊(鋳造組織)中に生じている偏析を均質化する前処理を行う。前処理として、鋳塊中の結晶組織が平衡状態で均質な固溶状態となる温度以上の温度域に、鋳塊を所定時間保持する加熱処理を行うとよい。例えば、鋳塊を800℃以上950℃以下で30分以上加熱するとよい。
そして、前処理を行った鋳塊に対して熱間圧延処理を行う。具体的には、鋳塊を前処理で加熱した温度域(つまり800℃以上950℃以下)に維持した状態で、熱間圧延処理を行い、所定厚さ(例えば12mm)の熱間圧延材を形成する。
(第1の冷間圧延工程(S13))
熱間圧延工程(S12)が終了した後、熱間圧延材に対して、冷間圧延処理と、再結晶焼鈍処理と、を所定回数繰り返して行い、所定厚さ(例えば1.0mm以上)の再結晶焼鈍材を形成する。このとき、再結晶焼鈍処理は、焼鈍後(再結晶後)の結晶粒が所定の粒径(例えば数十μm)となるように行うとよい。例えば、再結晶焼鈍処理として、600℃以上900℃以下の条件下で、数秒間〜数時間の加熱処理を行うとよい。
(第2の冷間圧延工程(S14))
第1の冷間圧延工程(S13)が終了した後、再結晶焼鈍材に所定の冷間圧延処理を複数回連続して行い、所定厚さ(例えば100μm以上)の銅合金材を形成する。つまり、第2の冷間圧延工程(S14)では、焼鈍処理を挟まずに、冷間圧延処理を複数回連続して行う。第2の冷間圧延工程(S14)では、被圧延材(再結晶焼鈍材)に再結晶が生じないような冷間圧延処理を行う。具体的には、第2の冷間圧延工程(S14)では、1回の加工度rが40%未満である冷間圧延処理を、総加工度Rが90%以上となるように複数回連続して行う。
1回の冷間圧延処理(1回の圧延パス)の加工度rは、下記の(数1)から求められる。なお、(数1)中、tは、1回の冷間圧延処理前の被圧延材の厚さであり、tは1回の冷間圧延処理後の被圧延材の厚さである。
(数1)
加工度r(%)={(t−t)/t}×100
1回の冷間圧延処理の加工度rを40%未満とすることで、冷間圧延処理を行うことにより発生する加工熱の量を低減できる。従って、複数回の冷間圧延処理を行って銅合金材を形成している間に、被圧延材が、加工熱により、再結晶が生じるような温度に加熱されることを抑制できる。また、銅合金材中に、通常の圧延組織(圧延処理を行うことで生じる結晶組織)とは異なる結晶組織が生じることを抑制できる。例えば、銅合金材中にせん断帯が生じることを抑制できる。せん断帯とは、銅合金材の厚さ方向に斜めに横断する結晶組織である。
総加工度Rは、下記の(数2)から求められる。なお、(数2)中、Tは、第2の冷間圧延工程(S14)を行う前の被圧延材(つまり第1の冷間圧延工程(S13)後の再結晶焼鈍材)の厚さであり、Tは、第2の冷間圧延工程(S14)が終了した後の被圧延材(つまり銅合金材)の厚さである。
(数2)
総加工度R(%)={(T−T)/T}×100
総加工度Rを高くすることで、銅合金材に導入されるひずみ量を多くできる。これにより、後述のセラミック配線基板形成工程で所定の加熱処理を行うことで、銅合金材の表面の(100)面の配向性を高めることができる。具体的には、総加工度Rを90%以上にすることで、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできる。
[セラミック配線基板形成工程(S20)]
続いて、上述の銅合金材を用いてセラミック配線基板を形成する。例えば、上述の銅合金材と、例えばAlNを主成分とするセラミック焼結体で形成されるセラミック基板のいずれかの主面と、を例えばロウ材を介して貼り合わせ、セラミック配線基板を形成する。
まず、セラミック基板の表面の清浄処理を行う。例えば、セラミック基板を所定温度(例えば800℃〜900℃)に加熱して、セラミック基板の表面に付着している有機物や残留炭素を除去する。そして、例えばスクリーン印刷法により、セラミック基板のいずれかの主面上にペースト状のロウ材を塗布する。
続いて、ロウ材上に銅合金材を配置する。その後、所定温度(例えば500℃以上900℃以下)で所定時間(例えば1時間以上)、銅合金材とセラミック基板との積層体を加熱し、銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせてセラミック配線基板を形成する。銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせる際の加熱は、真空雰囲気中で行うとよい。例えば、真空引きした窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行うとよい。
銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせる際の加熱によって、銅合金材が加熱される。これにより、少なくとも銅合金材の表面(表面近傍)で再結晶が生じ、銅合金材の表面に存在する(100)面の割合が85%以上となる。つまり、銅合金材の(100)面の配向性が85%以上となる。
(3)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、圧延により平板状に形成された銅合金材が、500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上加熱した後、表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を(100)面とみなしたとき、銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合が85%以上となるように形成されている。これにより、例えば、銅合金材が昇温と降温とを交互に繰り返した場合であっても、銅合金材が反ってしまうことを抑制できる。
(b)本実施形態にかかる銅合金材とセラミック基板とを加熱して貼り合わせて、セラミック配線基板を形成することで、セラミック配線基板では、銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合を85%以上にできる。これにより、例えば、銅合金材から形成された銅配線(配線パターン)に電流が通電されたり、通電が停止されることで、銅合金材の昇温と降温とが繰り返された場合であっても、銅合金材が反ってしまうことを抑制できる。従って、セラミック基板が、銅合金材に生じた反りに追従して反ることを抑制できる。その結果、セラミック基板に割れ(クラック)が発生することを抑制でき、セラミック配線基板の信頼性を向上させることができる。
(c)本実施形態に係る銅合金材は、例えば大電流用半導体素子が搭載されるセラミック配線基板に用いられる場合に、特に有効である。つまり、本実施形態に係る銅合金材から形成された銅配線に大電流が流され、銅合金材が加熱される温度が高くなった場合であっても、銅合金材が反ってしまうことを抑制できる。
(d)銅合金材の反りの発生が抑制されることで、セラミック配線基板において、銅合金材がセラミック基板から剥離することを抑制できる。その結果、セラミック配線基板の信頼性をより向上させることができる。
(e)銅合金材は、(100)面の割合が増えることで、低耐力の特性を有するようになり、変形に対して柔軟となる。これにより、銅合金材の昇温及び降温に従ってセラミック基板も昇温と降温とを繰り返すことで、セラミック基板に膨張や収縮等の変形が生じた場合であっても、銅合金材は、セラミック基板の変形に容易に追従することができる。その結果、銅合金材がセラミック基板から剥離することをより抑制できる。
(f)所定の加熱処理後の銅合金材の表面に存在する(100)面の割合を85%以上にすることで、銅合金材のエッチングレートを均一にできる。銅合金材のエッチングレートは銅合金材を形成する結晶の異方性によって変化する。例えば、結晶配向の近い結晶粒では、エッチングレートが近くなる。銅合金材の表面に存在する各結晶粒を粗大化させることなく、銅合金材の表面の結晶面の配向性を揃えることで、銅合金材のエッチングレートを均一にでき、エッチング処理の安定性を向上させることができる。これにより、高精細な配線パターンを備えるセラミック配線基板を形成できる。
(g)第2の冷間圧延工程(S14)で行う1回の冷間圧延処理の加工度rを40%未満にすることで、冷間圧延処理を行うことで発生する加工熱を低減できる。つまり、被圧延材(再結晶焼鈍材)が、加工熱により再結晶が生じるような温度に加熱されることを抑制できる。これにより、銅合金材の表面の結晶面の配向性を揃えることができる。具体的には、所定の加熱処理後(例えばセラミック配線基板を形成する際の加熱処理後)に、銅合金材の表面に存在する(100)面の割合を85%以上にできる。従って、上記(a)〜(f)の効果をより得ることができる。
(h)第2の冷間圧延工程(S14)で行う1回の冷間圧延処理の加工度rを40%未満にすることで、銅合金材中に、結晶面の整列を阻害するせん断帯が生じることを抑制できる。これにより、銅合金材の結晶面の配向性をより高めることができる。従って、上記(a)〜(f)の効果をより得ることができる。
(i)銅合金材を、0.005重量%以上のAg、0.005重量%以上のSn、0.005重量%以上のZrのうちのいずれか一つのみを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金で形成することで、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性をより高めることができる。つまり、所定の加熱処理後の銅合金材の表面に存在する(100)面の割合を85%以上に、より容易にできる。従って、上記(a)〜(f)の効果をより容易に得ることができる。
(j)Ag、Sn、Zrのうちのいずれか一つのみが母材であるCu中に添加された銅合金で銅合金材を形成することで、銅合金材の耐熱性を向上させることができる。従って、銅合金材が反ることをより抑制できる。
(k)銅合金材の厚さを100μm以上とすることで、銅合金材に大電流を流すことができる。つまり、セラミック配線基板に、大電流用半導体素子を搭載できる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
銅合金材は、Ag、Sn、Zrのうちの少なくとも2種以上を、合計含有量が0.15重量%以下となるように含み、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金で形成されていてもよい。銅合金材をAg、Sn、Zrのうちの2種以上を含む銅合金で形成するときは、Ag、Sn、Zrの合計含有量が0.15重量%を超えると、所定の加熱処理後の銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合を85%未満になってしまう。Ag、Sn、Zrの合計含有量を0.15重量%以下とすることで、所定の加熱処理後の銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合を85%以上にできる。従って、上記(a)〜(f)の効果を得ることができる。
Ag、Sn、Zrのうちの少なくとも2種以上を銅合金材中に含有するとき、銅合金中のAgの含有量(濃度)は、0.005重量%以上であるとよく、0.005重量%以上0.15重量%未満であるとよりよい。また、銅合金中のSnの含有量(濃度)は、0.005重量%以上であるとよく、0.005重量%以上0.15重量%未満であるとよりよい。また、銅合金中のZrの含有量(濃度)は、0.005重量%以上であるとよく、0.005重量%以上0.15重量%以下であるとよりよい。Ag、Sn、Zrのうちの少なくとも2種以上を銅合金材中に含有する場合、Ag、Sn、Zrの合計含有量が0.15重量%以下であっても、Ag、Sn、Zrのそれぞれの含有量が0.005重量%未満であると、所定の加熱処理後の銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合が85%未満になってしまう。Ag、Sn、Zrのそれぞれの含有量を0.005重量%以上とすることで、これを解決し、所定の加熱処理後の銅合金材の表面の面積に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の合計面積の割合を85%以上にできる。
上述の実施形態では、銅合金材の表面の(100)面の配向性を、銅合金材の表面の面積(銅合金材のいずれかの主面の面積)に対する、銅合金材の表面に存在する(100)面の面積の割合を算出することで評価したが、これに限定されない。例えば、銅合金材の表面に存在する結晶粒の大きさがほぼ同一である場合、銅合金材の表面の(100)面の配向性を銅合金材の表面に存在する(100)面の結晶方位を有する結晶粒の個数と、銅合金材の表面に存在する結晶粒の個数と、を算出することで評価してもよい。つまり、銅合金材の表面の(100)面の配向性を、銅合金材の表面に存在する結晶粒の個数に対する銅合金材の表面に存在する(100)面の結晶方位を有する結晶粒の個数の割合で評価してもよい。
上述の実施形態では、セラミック配線基板形成工程(S20)において、銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせる際の加熱により、少なくとも銅合金材の表面(表面近傍)を再結晶させて、銅合金材の表面に存在する(100)面の割合を85%以上にしたが、これに限定されるものではない。例えば、第2の冷間圧延工程(S14)が終了した後、銅合金材を所定温度で所定時間加熱して、銅合金材を再結晶させてもよい。
上述の実施形態では、熱間圧延工程(S12)として、前処理と熱間圧延処理とを行ったが、これに限定されない。例えば、前処理は行わなくてもよい。
上述の実施形態では、第1の冷間圧延工程(S13)と、第2の冷間圧延工程(S14)と、を行ったが、これに限定されない。条件によっては、例えば第1の冷間圧延工程(S13)は省略してもよい。つまり、熱間圧延材に対して、焼鈍処理を挟むことなく、所定の冷間圧延処理を複数回連続して行い、所定厚さの銅合金材を形成してもよい。
上述の実施形態では、セラミック配線基板形成工程で、清浄処理を行ったが、これに限定されない。例えば、清浄処理は行わなくてもよい。つまり、清浄処理は必要に応じて行えばよい。
上述の実施形態では、ロウ材を介して銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせてセラミック配線基板を形成したが、これに限定されない。つまり、銅合金材とセラミック基板とを、ロウ材を介さずに貼り合わせてもよい。例えば、銅合金材とセラミック基板とを直接貼り合わせてもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
まず、実施例1〜27及び比較例1〜7の各試料となる銅合金材を作製した。
(実施例1)
実施例1では、母材として、無酸素銅を用いた。そして、例えば坩堝式溶解炉を用い、真空引きした不活性ガス(Nガス)雰囲気中にて、母材を所定温度に加熱して溶解し、銅の溶湯を作製した。銅の溶湯の加熱を維持しつつ、Agを銅の溶湯に添加して銅合金の溶湯を作製した。このとき、銅合金の溶湯中でのAgの含有量(濃度)が0.005重量%となるように、Agの添加量を調整した。銅合金の溶湯を鋳型に注いで冷却し、所定形状の銅合金の鋳塊(インゴット)を鋳造した。つまり、Agの含有量が0.005重量%であり、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金のインゴットを鋳造した。なお、Agの含有量(濃度)は、プラズマ発光分光法(ICP−AES)により、鋳造したインゴット中のAgの濃度を分析した結果である。
次に、インゴットに熱間圧延処理を行って熱間圧延材を形成した。そして、熱間圧延材に対して、冷間圧延処理と再結晶焼鈍処理とを所定回数繰り返して行い、所定厚さの再結晶焼鈍材を形成した。その後、再結晶焼鈍材に対して、1回の加工度が40%未満である冷間圧延処理を、総加工度が90%となるように所定回数連続して行い、厚さが0.3mmの銅合金材を作製した。
続いて、セラミック基板として、AlNを主成分とし、厚さが0.5mmであるセラミック焼結体を準備した。そして、セラミック基板を800℃以上900℃以下の条件で熱処理し、セラミック基板の表面に付着した有機物や残留炭素を除去する前処理を行った。
その後、スクリーン印刷法により、セラミック基板のいずれかの主面上にペースト状のロウ材を、厚さが0.03mmとなるように塗布した。ロウ材として、Agを50重量%、Cuを30重量%、Snを9.5重量%、Inを9.5重量%、Cを1重量%含むロウ材を用いた。
そして、ロウ材上に、作製した銅合金材を配置した後、真空雰囲気中(真空引きしたNガス雰囲気中)にて、銅合金材を配置したセラミック基板を500℃の条件下で1時間以上加熱し、銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせてセラミック配線基板をそれぞれ作製した。これを実施例1の試料とした。
(実施例2〜27及び比較例1〜7)
実施例2〜27及び比較例1〜7ではそれぞれ、Ag、Sn、Zrの含有量(濃度)と、銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせる際の加熱温度と、を下記の表1に示す通りとした。その他は、実施例1と同様にしてセラミック配線基板を作製した。これらをそれぞれ、実施例2〜27及び比較例1〜7の試料とした。
<評価結果>
実施例1〜27び比較例1〜7の各試料について、導電率と、所定の加熱処理後の(100)面の配向性と、割れ・剥離評価と、寸法安定性と、を評価した。
(導電率の評価)
実施例1〜27及び比較例1〜7の各試料が備える銅合金材の導電率をそれぞれ測定した。導電率の測定は、四端子測定法により20℃での電気抵抗を測定して行った。その結果を下記の表1に示す。
((100)面の配向性の評価)
実施例1〜27及び比較例1〜7の各試料が備える銅合金材について、銅合金材の表面(銅合金材のセラミック基板と対向する側とは反対側の面)の(100)面の配向性について評価を行った。具体的には、SEM/EBSD法により、銅合金材の表面に存在する各結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、結晶方位マップを作製した。このとき、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面は、(100)面とみなした。そして、作製した結晶方位マップから、銅合金材の表面の面積に対する表面に存在する(100)面の合計面積の割合を算出することで、銅合金材の(100)面の配向性を評価した。その結果を下記の表1に示す。
(割れ・剥離評価)
実施例1〜27及び比較例1〜7の各試料をそれぞれ、−65℃のエタノール及びドライアイスを混合した寒剤の液浴と、150℃のオイルバスの液浴と、に交互に投入した。具体的には、寒剤の液浴に5分間投入し、オイルバスの液浴に5分間投入し、これを1サイクルとして合計1000サイクル繰り返した。そして、各試料が備えるセラミック基板に割れ(クラック)が発生していないか否か、また銅合金材がセラミック基板から剥離している箇所がないか否かを確認し、割れ・剥離評価を行った。セラミック基板に割れが発生しておらず、銅合金材がセラミック基板から剥離している箇所がない試料の評価を「○」とし、セラミック基板に割れが発生していたり、銅合金材がセラミック基板から剥離している箇所がある試料の評価を「×」とした。その結果を下記の表1に示す。
(寸法安定性の評価)
実施例1〜27及び比較例1〜7の各試料が備える銅合金材の寸法安定性の評価は、以下に示すように行った。まず、各試料が備える銅合金材の一方の主面(銅合金材のセラミック基板と対向する側の面)上に、幅が1mmで、所定長さのマスキングテープを貼った。そして、各試料が備える銅合金材に対し、塩化第二鉄を用い、2分間のスプレーエッチング処理を行い、各試料であるセラミック配線基板が備える銅合金材から所定箇所(マスキングテープが貼られていない箇所)を除去した。その後、マスキングテープを銅合金材から剥がして除去した。続いて、レーザ顕微鏡を用いて、エッチング部の側面を観察した。具体的には、エッチングされずにセラミック基板上に残った銅合金材の複数個所の厚さ(マスキング部の深さ方向の寸法)を測定する。そして、銅合金材の厚さの平均値(平均厚さ)を算出する。さらに、最も厚い厚さと平均厚さとの差分(最大差分)を算出し、平均厚さに対する最大差分の割合を算出した。最大差分の割合を銅合金材の寸法安定性として評価した。評価結果を下記の表1に示す。なお、最大差分の割合の値が小さいほど、銅合金材の寸法安定性が良いことを示す。
(総合評価)
実施例1〜27及び比較例1〜7の各試料の総合評価を行った。導電率が90%IACS以上であり、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%以上であり、割れ・剥離評価が「○」であり、寸法安定性が15%以下である試料の総合評価を「◎」とした。所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%以上であり、割れ・剥離評価が「○」であり、寸法安定性が15%以下であるが、導電率が90%IACS未満である試料の総合評価を「○」とした。所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%未満である試料の総合評価を「×」とした。評価結果を下記の表1に示す。
実施例1〜27から、所定の加熱処理後(銅合金材とセラミック基板とを貼り合わせる加熱処理後)の銅合金材の表面に存在する(100)面の割合が85%以上であると、つまり銅合金材の(100)面の配向性が85%以上であると、銅合金材の昇温と降温とが繰り返された場合であっても、銅合金材の反りの発生が抑制されることを確認した。従って、セラミック配線基板が備えるセラミック基板に割れ(クラック)が生じたり、銅合金材がセラミック基板から剥離することがないことを確認した。また、銅合金材の(100)面の配向性が85%以上であると、銅合金材の寸法安定性が良好なことを確認した。つまり、銅合金材のエッチングレートが面内でより均一となることを確認した。その結果、高精細な銅配線を形成できる。
比較例1〜7から、所定の加熱処理後の銅合金材の表面に存在する(100)面の割合が85%未満であると、銅合金材の昇温と降温とが繰り返された場合、銅合金材に反りが生じることを確認した。従って、セラミック基板に割れが生じたり、銅合金材がセラミック基板から剥離してしまうことを確認した。また、銅合金材の寸法安定性が低下することを確認した。従って、銅合金材から形成される銅配線の寸法を安定させることができず、高精細な銅配線を形成することが難しくなる。
比較例1から、銅合金材がAg、Sn又はZrのいずれも含有しない場合、所定の加熱処理後の銅合金材の表面に存在する(100)面の割合が85%未満となることを確認した。
実施例1〜4、21と比較例2とを比較すると、銅合金材がAgのみ(Ag及び不可避不純物のみ)を含有する場合、Agの含有量が0.005重量%以上であると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできることを確認した。
また、実施例1〜4、21から、銅合金材中のAgの含有量が多くなるほど、銅合金材の導電率が低くなることを確認した。実施例21から、銅合金材中のAgの含有量が0.20重量%を超えると、つまりAgの含有量が0.25重量%となると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にでき、導電率も90%IACS以上にできるが、製造コストが高くなってしまうことを確認した。
実施例5〜8、22と比較例3とを比較すると、銅合金材がSnのみ(Sn及び不可避不純物のみ)を含有する場合、Snの含有量が0.005重量%以上であると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできることを確認した。
また、実施例5〜8、22から、銅合金材中のSnの含有量が多くなるほど、銅合金材の導電率が低くなることを確認した。実施例22から、銅合金材中のSnの含有量が0.15重量%を超えると、つまり0.200重量%になると、所定の加熱処理後の(100)面の配向性は85%以上にできるが、導電率が90%IACS未満となることを確認した。
実施例9〜12、23と比較例4とを比較すると、銅合金材がZrのみ(Zr及び不可避不純物のみ)を含有する場合、Zrの含有量が0.005重量%以上であると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできることを確認した。
また、実施例9〜12、23から、銅合金材中のZrの含有量が多くなるほど、銅合金材の導電率が低くなることを確認した。実施例23から、銅合金材中のZrの含有量が0.05重量%を超えると、つまり0.100重量%になると、所定の加熱処理後の(100)面の配向性は85%以上にできるが、導電率が90%IACS未満となることを確認した。
実施例13〜27と比較例5〜7とを比較すると、銅合金材(鋳塊)中にAg、Sn又はZrのうちの2種以上を含有する場合、0.005重量%以上のAg、0.005重量%以上のSn、又は0.005重量%以上のZrのうちの少なくとも2種以上を、合計含有量が0.15重量%以下となるように含有すると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性を85%以上にできることを確認した。つまり、Ag、Sn又はZrのうちの2種以上の合計含有量が0.15重量%未満であっても、Ag、Sn、Zrのそれぞれの含有量が0.005重量%未満であると、所定の加熱処理後の銅合金材の(100)面の配向性が85%未満となることを確認した。
また、実施例24〜27から、銅合金材(鋳塊)中にAg、Sn又はZrのうちの2種以上を含有する場合、Ag、Sn又はZrの合計含有量が0.15重量%を超えると、所定の加熱処理後の(100)面の配向性は85%以上にできるが、導電率が90%IACS未満となることを確認した。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
圧延されることで平板状に形成された銅合金材であって、
500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上加熱した後、表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上である銅合金材が提供される。
[付記2]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
0.005重量%以上の銀、0.005重量%以上のスズ、0.005重量%以上のジルコニウムのうちのいずれか一つを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている。
[付記3]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
0.005重量%以上0.20重量%以下の銀、0.005重量%以上0.15重量%以下のスズ、0.005重量%以上0.05重量%以下のジルコニウムのうちのいずれか一つを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている。
[付記4]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
0.005重量%以上の銀、0.005重量%以上のスズ、0.005重量%以上のジルコニウムのうちの少なくとも2種以上を、合計含有量が0.15重量%以下となるように含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている。
[付記5]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
0.005重量%以上0.15重量%未満の銀、0.005重量%以上0.15重量%未満のスズ、0.005重量%以上0.05重量%以下のジルコニウムのうちの少なくとも2種以上を、合計含有量が0.15重量%以下となるように含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている。
[付記6]
付記1ないし5のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
厚さが100μm以上である。
[付記7]
付記1ないし6のいずれかの銅合金材であって、好ましくは、
前記銅として無酸素銅が用いられている。
[付記8]
本発明の他の態様によれば、
0.005重量%以上の銀、0.005重量%以上のスズ、0.005重量%以上のジルコニウムのうちのいずれか一つを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる鋳塊を鋳造する工程と、
前記鋳塊に熱間圧延処理を行って熱間圧延材を形成する工程と、
前記熱間圧延材に冷間圧延処理及び再結晶焼鈍処理を繰り返して行うことで再結晶焼鈍材を形成する工程と、
前記再結晶焼鈍材に、1回の加工度が40%未満である冷間圧延処理を、総加工度が90%以上となるように複数回連続して行う工程と、を有する銅合金材の製造方法が提供される。
[付記9]
本発明のさらに他の態様によれば、
0.005重量%以上の銀、0.005重量%以上のスズ、0.005重量%以上のジルコニウムのうちの少なくとも2種以上を、合計含有量が0.15重量%以下となるように含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる鋳塊を鋳造する工程と、
前記鋳塊に熱間圧延処理を行って熱間圧延材を形成する工程と、
前記熱間圧延材に冷間圧延処理及び再結晶焼鈍処理を繰り返して行うことで再結晶焼鈍材を形成する工程と、
前記再結晶焼鈍材に、1回の加工度が40%未満である冷間圧延処理を、総加工度が90%以上となるように複数回連続して行う工程と、を有する銅合金材の製造方法が提供される。
[付記10]
本発明のさらに他の態様によれば、
セラミック基板と、
前記セラミック基板のいずれかの主面上に設けられ、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上である銅合金材と、を備えるセラミック配線基板が提供される。
[付記11]
本発明のさらに他の態様によれば、
セラミック基板と、前記セラミック基板のいずれかの主面上に配置される銅合金材と、を加熱処理によって貼り合わせる工程を有し、
前記加熱処理によって、少なくとも前記銅合金材の表面で再結晶を生じさせ、前記銅合金材の表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合を85%以上にするセラミック配線基板の製造方法が提供される。

Claims (7)

  1. 圧延されることで平板状に形成された銅合金材であって、
    500℃以上900℃以下の条件下で1時間以上加熱した後、表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上である
    銅合金材。
  2. 0.005重量%以上の銀、0.005重量%以上のスズ、0.005重量%以上のジルコニウムのうちのいずれか一つを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている
    請求項1に記載の銅合金材。
  3. 0.005重量%以上0.20重量%以下の銀、0.005重量%以上0.15重量%以下のスズ、0.005重量%以上0.05重量%以下のジルコニウムのうちのいずれか一つを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている
    請求項1に記載の銅合金材。
  4. 0.005重量%以上の銀、0.005重量%以上のスズ、0.005重量%以上のジルコニウムのうちの少なくとも2種以上を、合計含有量が0.15重量%以下となるように含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で形成されている
    請求項1に記載の銅合金材。
  5. 厚さが100μm以上である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の銅合金材。
  6. セラミック基板と、
    前記セラミック基板のいずれかの主面上に設けられ、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合が85%以上である銅合金材と、を備える
    セラミック配線基板。
  7. セラミック基板と、前記セラミック基板のいずれかの主面上に配置される銅合金材と、を加熱処理によって貼り合わせる工程を有し、
    前記加熱処理によって、少なくとも前記銅合金材の表面で再結晶を生じさせ、前記銅合金材の表面に存在する複数の結晶面の結晶方位をそれぞれ測定し、(100)面の結晶方位からの傾きが10°以内である結晶方位を有する結晶面を前記(100)面とみなしたとき、前記表面の面積に対する前記表面に存在する前記(100)面の合計面積の割合を85%以上にする
    セラミック配線基板の製造方法。
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