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JP2015137428A - 撚線及びその撚線を用いたガイドワイヤ - Google Patents

撚線及びその撚線を用いたガイドワイヤ Download PDF

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JP2015137428A JP2014007794A JP2014007794A JP2015137428A JP 2015137428 A JP2015137428 A JP 2015137428A JP 2014007794 A JP2014007794 A JP 2014007794A JP 2014007794 A JP2014007794 A JP 2014007794A JP 2015137428 A JP2015137428 A JP 2015137428A
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忠裕 小池
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Abstract

【課題】変形や破断を抑制し、充分な安全性を確保することが可能な撚線及びその撚線を用いたガイドワイヤを提供する。
【解決手段】撚線80は、芯線81と、その芯線81の外周を覆うように巻回された側線とが撚り合わされてなる。側線は、芯線81を中心として点対称に配置される少なくとも一対の第1側線83と、これら第1側線83以外の少なくとも1つの第2側線84とを含む。そして、芯線81及び第1側線83の抗張力は、第2側線84の抗張力よりも大きい。
【選択図】図9

Description

本発明は、医療用の撚線及びその撚線を用いたガイドワイヤに関する。
従来、治療や検査のために、血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入して使用されるステント等の医療器具に使用される撚線として、様々なものが提案されている。
例えば特許文献1には、複数本の素線が撚り合わされてなる撚線(コイル体)が開示されている。そして、この撚線を形成する素線は、長期間使用する場合の耐疲労性を確保するべく、Ni/Ti又はNi/Tiベースの合金から形成されている。
特開2002−105879号公報
ここで、例えば病変部が硬かったり、病変部の狭窄の度合いが大きかったり、あるいは病変部が閉塞していたりする場合において、これらの病変部に医療器具を挿入する際には、充分なトルク伝達性が求められる。そして、仮に、充分なトルク伝達性を有する医療器具を上述の病変部に挿入するに際して、その基端部分を回転させたときには、撚線に対して強いねじり応力が加わり、撚線が変形したり破断したりして安全性が低下する可能性が有る。
上述した特許文献1に記載の撚線においても、医療器具の使用時において強いねじり応力が加わった際の安全性を充分に確保することが困難であり、この点において依然として改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、変形や破断を抑制し、充分な安全性を確保することが可能な撚線及びその撚線を用いたガイドワイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る撚線及びその撚線を用いたガイドワイヤは、以下のような特徴を有する。
本発明の態様1は、芯線と、その芯線の外周を覆うように巻回された側線とが撚り合わされてなる撚線であって、側線は、芯線を中心として点対称に配置される少なくとも一対の第1側線と、これら第1側線以外の少なくとも1つの第2側線とを含み、芯線及び第1側線の抗張力は、第2側線の抗張力よりも大きいことを特徴とする。
本発明の態様2は、態様1に記載する撚線において、芯線と第1側線とは同じ材料から形成されていることを特徴とする。
本発明の態様3は、態様1又は態様2に記載する撚線において、第2側線は複数設けられ、これら第2側線は前記芯線を中心として各々点対称に配置されてなることを特徴とする。
本発明の態様4は、態様3に記載する撚線において、第2側線は、放射線不透過材により形成されていることを特徴とする。
本発明の態様5は、コアシャフトと、そのコアシャフトの先端部を覆うコイル体と、を備えるガイドワイヤにおいて、コイル体は、態様1〜態様4のいずれか一つに記載の撚線が螺旋状に複数本巻回されてなることを特徴とする。
態様1の撚線は、芯線と、その芯線の外周を覆うように巻回されてなる側線とが撚り合わされてなり、側線は、芯線を中心として点対称に配置される少なくとも一対の第1側線と、これら第1側線以外の第2側線とを含む。そして、芯線及び第1側線の抗張力は、第2側線の抗張力よりも大きい。
これによれば、撚線において、抗張力が相対的に大きい芯線と第1側線とが断面視にて直線状に配置されることとなる。これら芯線及び第1側線は、その抗張力に起因して互いに付勢し合っており、密着力が高められている。すなわち、撚線において、直線状に配置されてなる素線同士が強固に密着し合っている。
その結果、撚線のねじり強度を高めることが可能となり、仮に、撚線に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線が変形したり破断したりすることが無く、安全性が確保される。
さらに、本態様の撚線においては、一部の側線(第2側線)の抗張力が相対的に低いものとなっている。通常、こうした撚線においては、大きく捻れた際、周方向においてねじり応力が発生したり、外側の素線が内側の素線を押圧する力が生じたりし、撚線が変形したり破断したりする可能性がある。
しかしながら、本態様においては、抗張力が相対的に低い素線(第2側線)を側線の一部に用いているため、そうした第2側線に起因して上述したねじり応力が緩和されるうえ、内側への押圧力が低減される。その結果、撚線の変形や破断が抑制され、この点においても撚線の安全性が確保されることとなる。
態様2の撚線においては、芯線と第1側線とが同じ材料から形成されている。これによれば、芯線と第1側線との間において互いに作用し合う付勢力が均等なものとなり、撚線に対して強いトルクが加えられた際には、芯線及び第1側線の一方が他方に対して相対的にずれてしまうことがほとんどなく、充分なねじり強度が確保されやすくなる。
その結果、仮に、撚線に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線が変形したり破断したりすることを確実に抑制することができ、充分な安全性が確保される。
態様3の撚線においては、第2側線は複数設けられ、これら第2側線は芯線を中心として各々点対称に配置されてなる。これによれば、撚線が大きく捻れた際に発生するねじり応力が、相対的に抗張力の低い第2側線を介して周方向において均等に緩和されるようになる。その結果、撚線の変形や破断が効果的に抑制され、撚線の充分な安全性が確保される。
態様4では、芯線を中心として各々点対称に配置される第2側線は放射線不透過材により形成されている。これによれば、放射線不透過材により形成される第2側線が撚線の周方向において均等に配置されるため、放射線透視画像下での視認性を充分に確保することが可能になる。
態様5のガイドワイヤは、態様1〜態様4のいずれか一つに記載の撚線が螺旋状に複数本巻回されてなる。これによれば、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の経路に沿ってガイドワイヤを押し進める際に、コイル体に対して強いトルクが加えられ、これに伴ってコイル体が大きく捻れた場合であっても、同コイル体を形成する撚線が変形したり破断したりすることがほとんど無く、安全性が確保され、ガイドワイヤの継続的な使用が可能になる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る撚線の斜視図である。 図2は、図1に示す撚線のA−A断面図である。 図3は、本発明の実施形態の別例における撚線の概略断面図である。 図4は、本発明の実施形態の別例における撚線の概略断面図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係る撚線の断面図である。 図6は、本発明の第3実施形態に係る撚線の断面図である。 図7は、本発明の第4実施形態に係る撚線の断面図である。 図8は、本発明の第5実施形態に係る撚線の断面図である。 図9は、本発明の第6実施形態に係る撚線の断面図である。 図10は、本発明の第7実施形態に係るガイドワイヤの部分断面拡大図である。 図11は、図10に示すコイル体のB−B断面図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る撚線について、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、各図は、撚線を模式的に図示したものであり、実際の寸法比とは異なる。
図1及び図2に示すように、本実施形態における撚線10は、芯線11と芯線11の外周を覆うように巻回されてなる6本の側線12とから構成されている。
図2に示すように、側線12は、芯線11を中心として点対称に配置される一対の第1側線13と、これら第1側線13以外の4つの側線とを含んでいる。本実施形態においては、第1側線13以外の側線のうち、芯線11の中心を通り鉛直方向に延びる仮想直線K1を境界として右側に位置する側線を第2側線14とし、仮想直線K1を境界として左側に位置する側線を第3側線15とする。
本実施形態においては、芯線11を形成する材料と第1側線13を形成する材料とは異なっており、第1側線13を形成する材料と第3側線15を形成する材料とは同一である。さらに、第2側線14は、上述した芯線11及び第1側線13(第3側線15)とも異なる材料から形成されている。
そして、本実施形態においては、芯線11の抗張力は、第1側線13及び第3側線15の抗張力よりも大きい。さらに、第2側線14の抗張力は、芯線11及び第1側線13それぞれの抗張力よりも小さい。すなわち、撚線10を形成する素線の抗張力は、第2側線14、第1側線13(第3側線15)及び芯線11の順に大きくなる。
より詳しくは、芯線11の抗張力は2500〜2700N/mmであり、第1側線13(第3側線15)の抗張力は2100〜2400N/mmであり、第2側線14の抗張力は、1600〜2000N/mm2である。
なお、芯線11及び側線12を形成する材料としては、例えばステンレス鋼、白金、タングステン及びNi−Ti合金等が挙げられるが、第2側線14、第1側線13(第3側線15)及び芯線11の順に大きい抗張力を確保することができるのであれば特に限定されるものではない。
本実施形態においては、芯線11を形成する材料として例えばSUS304WPSが用いられ、第1側線13(第3側線15)を形成する材料として例えばSUS304WPBが用いられ、第2側線14を形成する材料としてSUS304−3/4Hが用いられる。
上述したように、本実施形態においては、抗張力が相対的に大きい芯線11と第1側線13とが断面視にて直線状に配置されることとなる。すなわち、相対的に抗張力が大きい芯線11及び第1側線13は、芯線11の中心を通り鉛直方向に延びる仮想直線K1に沿って配置されている。
これら芯線11及び第1側線13は、その抗張力に起因して互いに付勢し合っており、密着力が高められている。これにより、撚線10において、仮想直線K1に沿って直線状に配置されてなる3つの素線11,13,13同士が強固に密着し合っている。
その結果、撚線10のねじり強度を高めることが可能となり、仮に、撚線10に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線10が変形したり破断したりすることが無く、安全性が確保される。
さらに、本実施形態の撚線10においては、一部の側線(第2側線14)の抗張力が他の素線11,13,15と比較して相対的に小さい。通常、複数の素線が撚り合わされてなる撚線においては、大きく捻れた際、周方向においてねじり応力が発生したり、外側の素線が内側の素線(芯線)を押圧する力が生じたりし、撚線が変形したり破断したりする可能性がある。
しかしながら、本実施形態においては、側線の一部に抗張力が相対的に低い素線(第2側線14)を用いているため、そうした第2側線14に起因して、上述したねじり応力が緩和されるうえ、内側への押圧力が低減される。その結果、撚線10の変形や破断が抑制され、この点においても撚線10の安全性が確保されることとなる。
なお、上述した第1実施形態を含め、本発明に係る各実施形態の撚線においては、芯線の中心を通り鉛直方向に延びる仮想直線に沿って配置される、相対的に抗張力の大きい素線が3つであるが、その数はこれに限定されるものではなく、4つ以上であってもよい(例えば図3及び図4参照)。
このとき、図3に示すように、仮想直線K2に沿って配置される、抗張力が相対的に大きい素線の数が4以上の偶数である撚線20の場合には、中央に位置する一対の素線を芯線21とし、その他の素線を第1側線23とする。このような形態の場合、第1側線23以外の側線25のうち、少なくとも1つは芯線21及び第1側線23よりも抗張力が低い材料から形成される。
また、図4に示すように、仮想直線K3に沿って配置される、抗張力が相対的に大きい素線の数が5以上の奇数である撚線30(例えば1×19の構成を有する撚線)の場合には、中央に位置する芯線31以外の素線を第1側線33とする。すなわちこの場合には、仮想直線K3に沿って配置される第1側線33が二対以上となる。このような形態の場合、第1側線33以外の側線35のうち、少なくとも1つは芯線31及び第1側線33よりも抗張力が低い材料から形成される。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る撚線について、図5を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
上述した第1実施形態においては、芯線を中心として点対称に配置される第1側線が一対のみであった。これに対し、第2実施形態の撚線40においては、芯線41を中心として点対称に配置される第1側線43が二対設けられている。すなわち、仮想直線K1に沿って配置される側線に加えて、芯線41の中心を通る仮想直線K4に沿って配置される側線も第1側線43とされる。これら仮想直線K1及び仮想直線K4の各々に沿って配置される素線(芯線41及び第1側線43)は、相対的に抗張力が大きい。
本実施形態においては、第1側線43以外の2つの側線のうち、一方は第2側線44で、他方は第3側線45である。なお、芯線41、第1側線43、第2側線44及び第3側線45を形成する材料は、第1実施形態と同様である。すなわち、撚線40を形成する素線の抗張力は、第2側線44、第1側線43(第3側線45)及び芯線41の順に大きくなる。
第2実施形態の撚線40においては、上述したように、抗張力が相対的に大きい芯線41と第1側線43とが断面視にて仮想直線K1,K4の双方に沿って各々配置されることとなる。これら芯線41及び第1側線43は、その抗張力に起因して互いに付勢し合っており、密着力が高められている。これにより、撚線40において、仮想直線K1,K4の双方に沿って直線状に配置されてなる素線41,43同士が強固に密着し合っている。
その結果、撚線40のねじり強度をより一層高めることが可能となり、仮に、撚線40に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線40が変形したり破断したりすることが無く、安全性が確保される。
さらに、本実施形態の撚線40においても、一部の側線(第2側線44)の抗張力が他の素線41,43,45と比較して相対的に小さい。通常、複数の素線が撚り合わされてなる撚線においては、大きく捻れた際、周方向においてねじり応力が発生したり、外側の素線が内側の素線(芯線)を押圧する力が生じたりし、撚線が変形したり破断したりする可能性がある。
しかしながら、本実施形態の撚線40においては、側線の一部に抗張力が相対的に低い素線(第2側線44)を用いているため、そうした第2側線44に起因して、上述したねじり応力が緩和されるうえ、内側への押圧力が低減される。その結果、撚線40の変形や破断が抑制され、この点においても撚線40の安全性が確保されることとなる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る撚線について、図6を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
上述した第1実施形態及び第2実施形態における撚線は、芯線を形成する材料と第1側線を形成する材料とが異なるものであった。これに対し、第3実施形態の撚線50においては、芯線51と第1側線53とが同じ材料から形成されている。
なお、第1側線53以外の側線のうち、芯線51の中心を通り鉛直方向に延びる仮想直線K1を境界として右側に位置する側線を第2側線54とし、左側に位置する側線を第3側線55とする。
本実施形態においては、芯線51及び第1側線53を形成する材料として例えばSUS304WPSが用いられ、第3側線55を形成する材料として例えばSUS304WPBが用いられ、第2側線54を形成する材料としてSUS304−3/4Hが用いられる。これにより、撚線50を形成する素線の抗張力は、第2側線54、第3側線55及び芯線51(第1側線53)の順に大きくなる。
本実施形態においても、上述した実施形態と同様、撚線50の充分なねじり強度が確保されるため、仮に、撚線50に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線50が変形したり破断したりすることがほとんど無く、安全性が確保される。
さらに、芯線51と第1側線53とを同じ材料から形成している本実施形態においては、芯線51と第1側線53との間において互いに作用し合う付勢力が均等なものとなり、撚線50に対して強いトルクが加えられた際には、芯線51及び第1側線53の一方が他方に対して相対的にずれてしまうことがなく、充分なねじり強度が確保されやすくなる。
その結果、仮に、撚線50に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線50が変形したり破断したりすることを確実に抑制することができ、充分な安全性が確保される。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る撚線について、図7を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
上述した第3実施形態においては、芯線の中心を通り鉛直方向に延びる仮想直線を境界として片側のみに第2側線(抗張力が相対的に小さい素線)が配置されていた。すなわち、撚線の周方向において第2側線が偏在していた。これに対し、第4実施形態の撚線60においては、第2側線64が、芯線61を中心として各々点対称に配置されている。
本実施形態では、芯線61の中心を通る仮想直線K5に沿う一対の側線のみが第2側線64であり、これら第2側線64以外の側線は全て第1側線63である。なお、芯線61、第1側線63及び第2側線64を形成する材料は第3実施形態と同様である。すなわち、芯線61及び第1側線63と比較し、第2側線64の抗張力は相対的に小さい。
これによれば、上述した実施形態と同様、撚線60の充分なねじり強度が確保されるため、仮に、撚線60に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、撚線60が変形したり破断したりすることが無く、安全性が確保される。
さらに、抗張力が相対的に小さい第2側線64を各々点対称に配置している第4実施形態においては、撚線60が大きく捻れた際に発生するねじり応力が第2側線64を介して周方向において均等に緩和されるようになる。その結果、撚線60の変形や破断が効果的に抑制され、撚線60の充分な安全性が確保される。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る撚線について、図8を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
上述した第4実施形態においては、芯線の中心を通る仮想直線K5に沿う一対の側線のみを第2側線とした。これに対し、第5実施形態の撚線70においては、仮想直線K5に沿う側線に加えて、芯線71の中心を通る仮想直線K6に沿う一対の側線も第2側線74とする。すなわち、撚線70は、第1側線73を除く全ての側線を第2側線74としている。なお、芯線71、第1側線73及び第2側線74を形成する材料は第3実施形態と同様である。すなわち、芯線71及び第1側線73と比較し、第2側線74の抗張力は相対的に小さい。
これによれば、上述した実施形態と同様に撚線70のねじり強度の向上が図られるうえ、周方向において生じるねじり応力が複数の第2側線74に起因して充分に緩和されるようになる。その結果、撚線70の変形や破断をより一層効果的に抑制することができ、撚線70の充分な安全性が確保される。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係る撚線について、図9を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
上述した第5実施形態においては、第2側線はステンレス鋼、すなわち放射線透過材から形成されていた。これに対し、本実施形態の撚線80においては、第2側線84は、放射線不透過材から形成されている。すなわち、撚線80は、芯線81を中心として点対称に配置される二対の第2側線84が放射線不透過材から形成されている。
この第2側線84を形成する材料としては、例えば、金、白金、タングステン、又はこれらの元素を含む合金(例えば、白金−ニッケル合金)等が挙げられるが、本実施形態においては、芯線81及び第1側線83双方の抗張力よりも小さい抗張力を確保するといった観点から、白金−ニッケル合金であることが好ましい。
このように、本実施形態の撚線80においては、芯線81を中心として各々点対称に配置される第2側線84は放射線不透過材により形成されている。これによれば、放射線不透過材により形成される第2側線84が撚線80の周方向において均等に配置されることになるため、撚線80を回転させつつ使用する場合であっても、放射線透視画像下での視認性を充分に確保することが可能になる。
[第7実施形態]
図10は、本発明の撚線が用いられるガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。図10において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。この図10においては、第6実施形態の撚線からなるコイル体を用いたガイドワイヤを示す。なお、本図は、ガイドワイヤを模式的に図示したものであり、撚線から形成されてなるコイル体の断面形状を含め、実際の寸法比とは異なるものとする。
図10に示すガイドワイヤ100は、例えば、Cross Over法による下肢血管の治療に使用されるものである。ガイドワイヤ100は、コアシャフト120と、コアシャフト120の先端部外周を覆うコイル体130とを備えている。
まず、コアシャフト120について説明する。コアシャフト120は、先端から基端側に向かって順に、細径部122a、テーパ部122b及び太径部122cを有している。細径部122aは、コアシャフト120の最も先端側の部分であり、コアシャフト120の中で最も柔軟な部分である。この細径部122aは、プレス加工により平板状に形成されている。テーパ部122bは、断面が円形のテーパ形状をなしており、先端側に向けて縮径している。太径部122cは、細径部122aよりも大きな径を有している。
コアシャフト120を形成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼(SUS304)、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、コバルト系合金等を使用することができる。
次に、コイル体130について説明する。図11に示すように、コイル体130は、第6実施形態の撚線80が、螺旋状に複数本(本実施形態においては8本)巻回されてなる。
コイル体130の先端は、先端固着部111によりコアシャフト120の先端に固着されている。一方、コイル体130の基端は、基端固着部112によりコアシャフト120に固着されている。先端固着部111及び基端固着部112を形成する材料としては、例えば、Sn−Pb合金、Pb−Ag合金、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属ロウが挙げられる。
ここで、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の経路に沿ってガイドワイヤ100を押し進める際に、コイル体130に対して強いトルクが加えられ、これに伴ってコイル体130が大きく捻れることがある。
このとき、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、コイル体130を形成する撚線80においては、相対的に抗張力の高い素線81,83,83が断面視にて直線状に配置されていることから、撚線80のねじり強度が高められている。その結果、コイル体130に対して強いトルクが加えられて大きく捻れた場合であっても、コイル体130が変形したり破断したりすることが無く、安全性が確保される。ひいては、ガイドワイヤ100の継続的な使用が可能となる。
さらに、一部の側線(第2側線84)の抗張力が相対的に低いものとなっている。通常、こうした撚線においては、大きく捻れた際、周方向においてねじり応力が発生したり、外側の素線が内側の素線を押圧する力が生じたりし、撚線が変形したり破断したりする可能性がある。
しかしながら、本実施形態においては、側線の一部に抗張力が相対的に低い素線(第2側線84)を用いているため、上述したねじり応力が緩和されるうえ、内側への押圧力が低減される。その結果、コイル体130の変形や破断が抑制され、この点においてもコイル体130の安全性が確保されることとなる。
加えて、芯線81を中心として各々点対称に配置される第2側線84が放射線不透過材により形成されている。これによれば、放射線不透過材により形成される第2側線84が撚線80の周方向において均等に配置されているため、ガイドワイヤ100を回転させつつ血管の内奥へと挿入する場合であっても、放射線透視画像下での視認性を充分に確保することが可能になる。
なお、本実施形態においては、第6実施形態の撚線を用いたガイドワイヤについて説明したが、第1実施形態〜第5実施形態における撚線を用いたガイドワイヤにおいても、本実施形態と同様に、コイル体の変形や破断を抑制することができ、安全性が確保され、継続的な使用が可能になる。
10,20,30,40,50,60,70,80・・・撚線
11,21,31,41,51,61,71,81・・・芯線
12・・・側線
13,23,33,43,53,63,73,83・・・第1側線
14,44,54,64,74,84・・・第2側線
100・・・ガイドワイヤ
120・・・コアシャフト
130・・・コイル体

Claims (5)

  1. 芯線と、その芯線の外周を覆うように巻回された側線とが撚り合わされてなる撚線であって、
    前記側線は、前記芯線を中心として点対称に配置される少なくとも一対の第1側線と、これら第1側線以外の少なくとも1つの第2側線とを含み、
    前記芯線及び前記第1側線の抗張力は、前記第2側線の抗張力よりも大きいことを特徴とする撚線。
  2. 請求項1に記載の撚線であって、
    前記芯線と前記第1側線とは同じ材料から形成されていることを特徴とする撚線。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の撚線であって、
    前記第2側線は複数設けられ、これら第2側線は前記芯線を中心として各々点対称に配置されてなることを特徴とする撚線。
  4. 請求項3に記載の撚線であって、
    前記第2側線は、放射線不透過材により形成されていることを特徴とする撚線。
  5. コアシャフトと、そのコアシャフトの先端部を覆うコイル体と、を備えるガイドワイヤであって、
    前記コイル体は、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の撚線が螺旋状に複数本巻回されてなることを特徴とするガイドワイヤ。
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