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JP2015193788A - インクジェットインク、インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク、インクジェット記録方法 Download PDF

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JP2015193788A JP2014258554A JP2014258554A JP2015193788A JP 2015193788 A JP2015193788 A JP 2015193788A JP 2014258554 A JP2014258554 A JP 2014258554A JP 2014258554 A JP2014258554 A JP 2014258554A JP 2015193788 A JP2015193788 A JP 2015193788A
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智裕 中川
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Abstract

【課題】光沢度が高く、乾燥性、基材密着性、耐擦過性に優れた画像を得ることができるインクジェットインクの提供。【解決手段】(1)少なくとも、顔料、有機溶剤、ポリカーボネート系ウレタン樹脂及び水を含有し、前記有機溶剤中に含まれる沸点が200℃以下の水溶性有機溶剤の割合が50重量%以上であり、かつ、カルボジイミド化合物を含有するインクジェットインク。(2)前記カルボジイミド化合物のカルボジイミド当量が300〜500である(1)に記載のインクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク及びこれを用いたインクジェット記録方法に関する。
樹脂エマルジョンを含有するインクジェットインクを吐出する画像記録装置が広く使われている。この画像記録装置による印刷物は屋内外で掲示されるポスターや看板、垂れ幕等として使われている。
樹脂エマルジョンを含有するインクは、浸透しない基材、樹脂フィルムや金属などにも定着が可能である。
樹脂エマルジョンを含有するインクジェットインクにおいて、カルボジイミド化合物を加える技術は公知である。例えば特許文献1では、カルボジイミド基を2つ以上有するモノマー・オリゴマー、ポリマー分子を含むインクジェットインクが提案されている。
また、特許文献2では、インク中の水溶性有機溶剤の含有率が40wt%以上50wt%未満のインクジェット用インクが提案されている。
本発明は、光沢度が高く、乾燥性、基材密着性、耐擦過性に優れた画像を得ることができるインクジェットインクの提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも、顔料、有機溶剤、ポリカーボネート系ウレタン樹脂及び水を含有し、前記有機溶剤中に含まれる沸点が200℃以下の水溶性有機溶剤の割合が50重量%以上であり、かつ、カルボジイミド化合物を含有することを特徴とするインクジェットインク。
本発明によれば、光沢度が高く、乾燥性、基材密着性、耐擦過性に優れた画像を得ることができるインクジェットインクを提供できる。
比較例1のインクの液滴の拡大写真(25倍)を示す図。 実施例1のインクの液滴の拡大写真(50倍)を示す図。 比較例2のインクの液滴の拡大写真(25倍)を示す図。 比較例1のインクを用いた印刷物の拡大写真(1500倍)を示す図。 実施例1のインクを用いた印刷物の拡大写真(1500倍)を示す図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明する。なお、本発明1)の実施の形態には、次の2)〜3)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記カルボジイミド化合物のカルボジイミド当量が300〜500であることを特徴とする1)に記載のインクジェットインク。
3) 1)又は2)に記載のインクジェットインクに刺激(エネルギー)を印加し、記録媒体上にインクを飛翔させて画像を形成する画像形成工程、及び加熱乾燥工程を少なくとも有し、前記加熱乾燥工程では、前記インクが記録媒体に着弾した後、直ちに加熱乾燥することを特徴とするインクジェット記録方法。
顔料とポリカーボネート系ウレタン樹脂と有機溶剤を含む水系インクにおいて、前記有機溶剤のうち沸点200℃以下の水溶性有機溶剤の割合が50重量%以上であると、ポリカーボネート系ウレタン樹脂が造膜するので特に高硬度の塗膜を作ることが出来る。この塗膜は耐水性、耐摩耗性に優れている。また、バーコーターや刷毛などで塗布すればスチレン−アクリレート樹脂を含むインクと比べて比較的高光沢の塗膜を作ることも出来る。しかし、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含むインクは、塗布されたインクの境界でひび割れを引き起こしやすい。
インクジェットによる塗布は小さなドットを多数形成することで行う。しかし、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含むインクを使ったインクジェット記録装置による出力画像は、ドット一つ一つの外周部のエッジ近傍で塗膜が荒れ、全体として印字されたベタ画像は光沢が低くなることが分かった。
これは、造膜した塗膜が乾燥過程で収縮するときに、塗膜の弾性不足から割れが生じることなどによると考えられる。溶媒が蒸発する過程で、造膜が始まった後も溶媒が塗膜から蒸発していき、塗膜は収縮していく。液滴の濡れ広がりに対してポリカーボネート系ウレタン樹脂を含むインクの塗膜は弾性が乏しくなりがちで、収縮しようとする力を内部応力として抱えきれずに割れを生じてしまうと考えられる。特にドットの外周部は、着弾時に濡れ広がった大きさと収縮した樹脂が覆える面積のギャップが大きくなるため、割れを生じやすいと考えられる。この様子は5μL程度のインクを加熱した記録媒体に滴下して乾燥させる実験により、顕著な差として観察できる。
一方、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と顔料が造膜した塗面は堅牢で耐水性、耐アルコール性に優れている。しかし、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、顔料、有機溶剤及び水だけからなるインクで造膜した塗面は剛直であるため、これをインクジェットインクとして用いた場合には、光沢性に欠けることになる。
本発明のインクジェットインク(以下、インクということもある)では、上記問題点を解決するため、カルボジイミド化合物を加える。これにより、インクの乾燥時、カルボジイミド化合物が樹脂や分散体等と架橋して樹脂と顔料から作られる塗膜の弾性が上がる。塗膜は乾燥時に収縮しようとするが、カルボジイミド化合物と樹脂を含むインクは、塗膜の弾性が高く、よく伸びるため、ドットのエッジで荒れを生じにくくなる。その結果、インクジェット記録装置で画像形成しても、塗面に光沢性を持たせることが出来る。
前記特許文献2の技術でも、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンを加えることにより光沢性は向上するが、本発明ではカルボジイミド化合物を加えることにより、更に光沢性が向上する。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂>
本発明のインクで用いるポリカーボネート系ウレタン樹脂とは、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるものを指す。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールを触媒の存在下でエステル交換反応させることによって得られるものや、ホスゲンとビスフェノールAとを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどを使用することができる。また、前記ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの低分子ジオール化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを使用することができる。
前記ポリイソシアネートとしては特に制限はなく、例えば1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナトビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアナトビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−ジクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネーネート等の脂環式ポリシアネート化合物等が挙げられる。
これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインクは、ポスターや看板など屋外向けの用途を前提にしているので、非常に高い長期耐候性をもつ塗膜を必要としており、この観点から脂肪族又は脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましい。
更に、本発明のインクでは、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを入れることが好ましく、これにより目的とする塗膜強度を得やすくなる。
特に、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好適であり、脂環式ジイソシアネートの割合は全イソシアネート化合物中の60重量%以上であることが好ましい。
本発明では、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(以下、ウレタン樹脂ということもある)を、その微粒子が水性媒体中に分散された樹脂エマルジョンの形態で添加することが好ましい。
樹脂エマルジョン中の樹脂固形分は20重量%以上であることが好ましい。20重量%未満では、インク化する際の処方設計が困難となってしまうため、好ましくない。
このときのウレタン樹脂微粒子はインク化した際の液保存安定性と吐出安定性の観点から、10〜350nmの範囲の平均粒子径を持つものであることが望ましい。
また、ウレタン樹脂微粒子を水性媒体中に分散させるにあたり、分散剤を用いた強制乳化型のものを用いてもよいが、塗膜に分散剤が残り強度を下げることがあるため、分子構造中にアニオン性基を有する、いわゆる自己乳化型のものが好適である。自己乳化型の場合、酸価が20〜100となる範囲でアニオン性基を有することが、優れた耐擦過性や耐薬品性を付与する上で好ましい。
前記アニオン性基としては、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基などが挙げられ、中でも一部又は全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基が良好な水分散安定性を維持する上で好ましい。
前記アニオン性基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリンなどの有機アミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、Na、K、Li、Caなどを含む金属塩基化合物などが挙げられる。
強制乳化法を用いる場合、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれも使用できるが、ノニオン界面活性剤の方が、耐水性が良好となるため望ましい。
前記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
前記アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。中でも好ましいのは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩等である。
界面活性剤の添加量は、ウレタン樹脂に対して0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。0.1重量%未満では界面活性剤の添加効果が得られない。また30重量%を超えると、ウレタン樹脂エマルジョンを形成するのに必要な量以上の過剰な乳化剤により、付着性や耐水性を著しく低下させるし、乾燥被膜とした際に可塑効果、ブリード現象を引き起こし、ブロッキングが発生し易いため、好ましくない。
なお、ウレタン樹脂エマルジョンには、必要に応じて水溶性有機溶剤、防腐剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を配合してもよい。
ポリカーボネート系ウレタン樹脂微粒子の製造には、従来一般的に用いられている方法を適宜採用すればよく、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリカーボネートポリオールと前記ポリイソシアネートを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。次いで、前記ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて前記中和剤により中和した後、鎖延長剤と反応させ、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去すれば得られる。
使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、アセトニトリルなどの二トリル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのアミド類などが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記鎖延長剤としては、ポリアミンやその他の活性水素原子含有化合物を使用することができる。前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類、ヒドラジン、N,N′−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類、コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などを使用することができる。
前記その他の活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類、ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水等を使用することができる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のインクは、印字後に加熱乾燥を行うことを前提としているため、ポリカーボネート系ウレタン樹脂微粒子の最低造膜温度は必ずしも室温以下でなくとも良いが、少なくとも印字後に加熱する温度以下であることが必要である。
ウレタン樹脂エマルジョンの最低造膜温度は、0℃以上で且つ加熱温度から5℃以上低いことが好ましく、25℃以上で且つ加熱温度から10℃以上低いことが更に好ましい。
一般に、最低造膜温度が低い方が造膜性に優れるが、最低造膜温度が低すぎると、樹脂のガラス転移点も低くなり、十分な塗膜強度が得られない。
なお、最低造膜温度とは、エマルジョンをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていったときに透明な連続フィルムが形成される最低の温度のことを指し、最低造膜温度未満の温度領域では、エマルジョンは白色粉末状となる。
ポリカーボネート系ウレタン樹脂は表面硬度が100N/mm以上であることが好ましい。この条件を満たすと本発明のインクは強靭な塗膜を形成でき、より強い耐擦過性を得ることができる。
上記表面硬度は、例えば以下の方法によって測定することができる。
ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンを、膜厚10μmになるようにスライドガラス上に塗布した後、100℃で30分間乾燥させて樹脂膜を形成し、微小表面硬度計(FISCHERSCOPE HM2000、フィッシャー社製)を用いて、9.8mNの荷重をかけてビッカース圧子を押し込んだ際のマルテンス硬度として得る。
インク中のポリカーボネート系ウレタン樹脂の量は、固形分換算で0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜8重量%であり、更に好ましくは3〜8重量%である。添加量を0.5重量%以上とすることにより、顔料に対して良好に塗膜が形成され優れた画像堅牢性が得られる。また、添加量を10重量%以下とすることにより、適度な粘度のインクとなり、良好に吐出される。
本発明のインクはポリカーボネート系ウレタン樹脂微粒子以外の他の樹脂微粒子を含んでも構わないが、発明としての十分な効果を得るためには、ポリカーボネート系ウレタン樹脂微粒子が樹脂全体の50重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは70重量%以上である。
前記他の樹脂微粒子としては、例えばアクリル樹脂微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、酢酸ビニル樹脂微粒子、塩化ビニル樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、ポリエーテル系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子などが挙げられる。
<カルボジイミド化合物>
本発明のインクに用いるカルボジイミド化合物は「−N=C=N−」で表されるカルボジイミド基を有する化学物質である。
一方、本発明のインクはポリカーボネート系ウレタン樹脂を含有し、未反応のイソシアネートも含有する。
このインクを乾燥させると、カルボジイミド基はイソシアネートのカルボキシル基と反応してアミド結合を形成し、ウレタン樹脂の架橋剤として働く。乾燥前の水が十分にあるうちは反応性が低く、インクの保存安定性を損ねないため、樹脂を含んだ水性インクにおいて有用な架橋剤である。
本発明のインクにより形成される塗膜は、ウレタン樹脂の架橋により弾性が大きくなるので、塗膜にワレが生じにくくなり、平滑で光沢性の高い塗膜を形成することができる。
市販されているカルボジイミド化合物としては、下記式(1)〜(3)のジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドなどがある。
式(1)の化合物の市販品としては、例えば川口化学工業社のDICが挙げられるが、東京化成工業社、和光純薬社、大阪剛性有機化学研究所からも入手できる。
式(2)の化合物の市販品としては、例えば川口化学工業社のEDCが挙げられるが、東京化成工業社、東洋紡社からも入手できる。
式(3)の化合物の市販品としては、例えば川口化学工業社のDIPCが挙げられる。
カルボジイミド化合物としてはカルボジイミド当量が300〜500程度のものが望ましい。カルボジイミド当量を前記範囲とすると、塗膜の粘弾性が適切で光沢性の高い塗膜が得られる。
<有機溶剤>
本発明のインクでは、有機溶剤として、沸点が200℃以下の水溶性有機溶剤の割合が50重量%以上となるように選択して用いる。前記沸点が200℃以下の水溶性有機溶剤の割合が50重量%未満では、有機溶剤の蒸発が遅く、樹脂の造膜もゆっくりと進んで塗膜が形成される。塗膜は有機溶剤が蒸発するにつれて収縮するが、蒸発がゆっくり進むと、局所的に塗膜にかかる内部応力が大きくなってしまう場所が出てくる。そして内部応力が大きくなりすぎると、塗膜にワレを引き起こす原因になる。
沸点が200℃以上の水溶性有機溶剤の割合が大きくなるほど、インクは乾燥しにくくなる。このため記録装置は高温での乾燥装置を必要とすることになるが、あまり高温で乾燥すると、記録媒体が膨張し、画像がひずんで印刷されてしまう。本発明のインクによく使用される記録媒体に塩ビ素材があるが、塩ビ素材にひずみ無く印刷するには乾燥温度は100℃未満であることが望ましい。100℃未満で十分に乾燥するインクを得るには、インクに含まれる沸点200℃以下の溶剤の割合を50重量%以上とする必要がある。ただし、沸点200℃以下の溶剤の割合が大きいとインクは乾燥しやすくなり、吐出後のインクの増粘が早くなるため、着弾したインクは濡れ広がりにくくなる。したがって、十分な濡れ広がりを得るには、乾燥温度にもよるが、75重量%以下であることが望ましい。
インク中の有機溶剤の総量は20〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。総量を20重量%以上とすることにより、インクの乾燥が好適に防止され、良好な吐出安定性が得られる。また、70重量%以下とすることにより、インクが適切な粘度に保たれ、良好な吐出性が得られる。
参考のため、本発明に好適な有機溶剤の沸点を表1に示す。
有機溶剤としては、ウレタン樹脂エマルジョンのSP値をaとした時、a−3〜a+3程度の範囲のSP値を持つ、ウレタン樹脂エマルジョンが溶けやすいものがよい。
その具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレン等である。
これらの中で、ポリカーボネート系ウレタン樹脂との相性がよく、より造膜性に優れたインクが得られる観点から、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールが特に好ましく、高い光沢を得やすい。
<顔料>
顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれも使用できる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましい。
好ましく用いられる顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
また、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
インク中の顔料の添加量は、0.1〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜10重量%程度である。顔料濃度を適切な範囲とすることにより、画像濃度が高くなり、画質が向上し、また、良好な吐出安定性が得られる。
顔料をインク中に分散させるには、界面活性剤や分散性樹脂などの分散剤を用いて分散させる方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、顔料表面に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法などが挙げられる。
前記分散剤としては、従来公知のものを適宜使用すればよく、例えば、高分子分散剤、水溶性界面活性剤などが挙げられる。
顔料は、約10〜約1500m/gの表面積を有するものが好ましく、より好ましくは約20〜約600m/g、更に好ましくは約50〜約300m/gである。
所望の表面積と合わない場合には、顔料を比較的小さい粒径にするために、サイズ減少又は粉砕処理(例えば、ボールミル粉砕、又はジェットミル粉砕、又は超音波処理)をすれば良い。
顔料の体積平均粒径(D50)は、インク中において10〜200nmが好ましく、より好ましくは20〜150nmである。10〜200nmにすると、インクとしての顔料分散安定性が良好となり、優れた吐出安定性が得られる。
本発明のインクには、前記した構成成分以外に、必要に応じて界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などの他の成分を添加してもよい。
<界面活性剤>
界面活性剤は、メディアへの濡れ性を確保する目的で添加する。界面活性剤の種類は特に限定されない。
インク中の界面活性剤の添加量は、0.1〜5重量%が好ましい。この範囲とすることにより、非多孔質基材への濡れ性が良好で画像品質が良好となり、また泡立ちが生じず、優れた吐出安定性が得られる。
両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、色材の分散安定性と画像品質との関係から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン系の界面活性剤が望ましく用いられる。また、処方によってはフッ素系の界面活性剤やシリコーン系の界面活性剤を併用(もしくは単独使用)することも可能である。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム等が挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコ−ル酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリト−ル、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、第4級アンモニウム水酸化物やジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン、水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
本発明のインクは前記構成成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して作製する。攪拌混合は、通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができるが、製造方法は特に限定されない。
本発明のインクジェット記録方法は、少なくともインクに刺激(エネルギー)を印加し飛翔させて、記録媒体上に画像を形成する画像形成工程と、印字後に記録媒体を加熱乾燥するための加熱乾燥工程を有する。
画像形成工程におけるインクジェット記録方法は公知の種々の方法を適用することができ、例えば、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法、ライン化されたヘッドを用い、ある枚葉の印刷用紙に画像記録を行うインクジェット記録方法などが挙げられる。
画像形成工程におけるインク飛翔手段である記録ヘッドの駆動方式には特に限定はなく、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利用したオンデマンド型のヘッドを用いてもよいし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドを用いてもよい。
また、加熱乾燥工程は、より一層高画質で耐擦性や接着性の高い画像を形成するため、及び高速の印字条件にも対応できるようにするために設ける。
加熱乾燥工程において使用する加熱装置は、公知の装置の中から適宜選択して使用することができ、例えば強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥用の装置が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、画像形成工程におけるインク着弾後、直ちに50℃以上の加熱乾燥を行うと光沢性が高くなるので好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、例中の「%」は「重量%」である。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンaの調製>
攪拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物)1500g、アクリルポリオール(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとメタクリル酸メチルの共重合体)100g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g及びN−メチルピロリドン(NMP)1347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)を2.6g加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
上記反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4340gを抜き出して、強攪拌下、水5400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1500gを投入し、35%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンaを得た。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンbの調製>
アクリルポリオールを添加しなかった点以外は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンaの調製と同様にしてポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンbを得た。
<アクリル樹脂エマルジョンCの調製>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下、窒素置換しながら70℃まで昇温した。次いで、内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し溶解させた。次いで、予めイオン交換水450gに、ラウリル硫酸ナトリウム3g、アクリルアミド20g、スチレン365g、ブチルアクリレート545g及びメタクリル酸10gを撹拌しつつ加えて作製した乳化物を、連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間熟成した。
得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分30%、pH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョンCを得た。
<ブラック顔料分散液の調製>
下記処方の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール使用)で、7時間循環分散してブラック顔料分散液を得た。
・カーボンブラック顔料(キャボット社製:Monarch800) 15部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B:竹本油脂社製) 2部
・イオン交換水 83部
<シアン顔料分散液の調製>
顔料をピグメントブルー15:4に変えた点以外は、ブラック顔料分散液の調製と同様にして、シアン顔料分散液を得た。
<マゼンタ顔料分散液の調製>
顔料をピグメントレッド122に変えた点以外は、ブラック顔料分散液の調製と同様にして、マゼンタ顔料分散液を得た。
<イエロー顔料分散液の調製>
顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は、ブラック顔料分散液の調製と同様にして、イエロー顔料分散液を得た。
実施例1〜13、比較例1〜5
<インクの作製>
上記顔料分散液を使用し、表2−1、表2−2の実施例1〜13及び比較例1〜5の各欄に示す処方の材料を攪拌混合した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過して各インクを作製した。なお、表2−1、表2−2中の材料欄の数値は「重量%」である。
また、表2−1、表2−2中の商品名、略号などで示した材料の詳細及び製造会社名は次のとおりである。
・ソフタノールEP−5035(日本触媒社製)
・プロキセルLV(アシビア社製)
・ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョン:アクリットWBR−016U
(大成ファインケミカル社製)
・V−10、V−2、SW−12G、SV−02、V−4(日清紡ケミカル社製)
作製した各インクの特性を以下のようにして評価した。結果を表2−1、表2−2に示す。
なお、屋外用途への利用を考慮して、基材密着性及び耐擦過性については、一般の紙に印字する場合と比べてかなり厳しい評価基準を採用した。
これらの評価結果から、本発明のインクが屋外用途に適したものであることが分かる。
<乾燥性>
各インクをインクジェットプリンター(リコー社製:IPSiO GXe5500)に充填し、PVCフィルム(A5サイズ)にベタ画像(90mm×90mm)を印刷した後、排紙直後に印刷物の表面温度が70℃となるように温度調整したホットプレート上で印刷物を乾燥させた。乾燥開始から3分後と6分後に、印刷に用いたのと同じPVCフィルムを500g重/cmで押し当て、インク転写の度合いを次の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:3分後でも転写しなかった。
△:3分後は転写したが、6分後には転写しなかった。
×:6分後でも転写した。
<基材密着性>
各インクをインクジェットプリンター(リコー社製:IPSiO GXe5500)に充填し、PVCフィルムにベタ画像を印刷した後、80℃で1時間乾燥させた。
画像のベタ部に対し、布粘着テープ(ニチバン社製:123LW−50)を用いた碁盤目剥離試験を行い、試験マス目100個中の残存マス数をカウントした。この残存マス数を表2−1、表2−2に示す。
<画像光沢度評価>
各インクをインクジェットプリンター(リコー社製:IPSiO GXe5500)に充填し、PVCフィルムにベタ画像を印刷した後、80℃で1時間乾燥させた。
画像ベタ部の60°光沢度を光沢度計(BYK Gardener社製、4501)により4回測定し、その平均値を光沢度(60°)とした。
<耐擦過性評価>
各インクをインクジェットプリンター(リコー社製:IPSiO GXe5500)に充填し、PVCフィルムにベタ画像を印刷した後、80℃で1時間乾燥させた。
乾いた木綿(カナキン3号)で400gの加重をかけてベタ部を擦過し、下記の基準で耐擦過性を評価した。
〔評価基準〕
A:50回以上擦っても画像が変化しない。
B:50回擦った段階で多少の傷が残るが画像濃度には影響せず、実用上問題ない。
C:21〜50回擦過する間に画像濃度が低下してしまう。
D:20回以下の擦過で画像濃度が低下してしまう。
比較例1のインクと実施例1のインクを5μLマイクロピペットで採取し、60℃に加熱したPVCフィルム上に滴下した。60℃で1時間乾燥させた後、滴下したインク滴の状態を観察した。
比較例1のインクの液滴の拡大写真(25倍)を図1に、実施例1のインクの液滴の拡大写真(50倍)を図2に示すが、カルボジイミド化合物を含まない比較例1のインクでは、乾燥後の液滴のエッジが荒く深くひび割れている様子が観察できる。即ち、外周部では円周方向に塗膜が収縮して中央部方向に向かって小さな亀裂が無数に生じ、外周部の少し内側では外周部と中央により集まろうとした塗膜との間に亀裂を生じた。
これに対し、カルボジイミド化合物を含む実施例1のインクを滴下した液滴は乾燥後もエッジのひび割れは見当たらない。
次に、カルボジイミド化合物を含むが、有機溶剤中の沸点が200℃以下の溶剤が50%未満となるように処方した比較例2のインクについて同様の評価を行った。比較例2のインクの液滴の拡大写真(25倍)を図3に示すが、図1よりも更に大きな亀裂が外周部に生じている様子が観察できる。
比較例2のインクでは溶剤の沸点が高いため比較例1のインクよりも造膜が遅い。亀裂の数は比較例1のインクよりも少ないが、より大きな亀裂が生じている。即ち、カルボジイミド化合物を含有させただけでは不十分であり、溶剤の配合比により蒸気圧を適切にコントロールし、塗膜に生じる内部応力が集中せず分散するように造膜することも必要であることが分かる。
比較例1のインクを用いた印刷物の拡大写真(1500倍)を図4に、実施例1のインクを用いた印刷物の拡大写真(1500倍)を図5に示すが、図4では、ドットの外周部のエッジが荒れ、輪郭がはっきり分かる。これに対し、図5では、ドットの外周部のエッジの荒れはわずかであり、ドットの輪郭はぼやけている。
特許第4791369号公報 特開2013−076072号公報

Claims (3)

  1. 少なくとも、顔料、有機溶剤、ポリカーボネート系ウレタン樹脂及び水を含有し、前記有機溶剤中に含まれる沸点が200℃以下の水溶性有機溶剤の割合が50重量%以上であり、かつ、カルボジイミド化合物を含有することを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記カルボジイミド化合物のカルボジイミド当量が300〜500であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 請求項1又は2に記載のインクジェットインクに刺激(エネルギー)を印加し、記録媒体上にインクを飛翔させて画像を形成する画像形成工程、及び加熱乾燥工程を少なくとも有し、前記加熱乾燥工程では、前記インクが記録媒体に着弾した後、直ちに加熱乾燥することを特徴とするインクジェット記録方法。
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