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JP2015166428A - 水性エマルション、その製造方法及びこれを用いた水性コーティング剤フィルム - Google Patents

水性エマルション、その製造方法及びこれを用いた水性コーティング剤フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】十分な造膜性と塗膜特性を備えた塗膜を形成でき、特に、建物の外装壁面や窯業系サイディングボードへの密着性に優れた塗膜を形成することが可能な水性エマルションの提供。【解決手段】コア−シェル構造を有する水性重合体粒子を含む水性エマルションを、水性重合体粒子が、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を含み、単量体(a2)由来のカルボキシル基が中和された、所定のTg及び重量平均分子量の水性重合体Aからなるシェル層と、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含み、所定のTgの水性重合体Bからなるコア層とのコア−シェル構造を有するものから構成し、且つ、重合体Aと重合体Bとの質量比が0.5/99.5〜99.5/0.5、(1)重合体BのTg≧重合体AのTg、(2)粒子のTg≧粒子のMFTを満たすように構成する。【選択図】なし

Description

本発明は、水性エマルション、その製造方法及びこれを用いた水性コーティング剤フィルムに関する。さらに詳しくは、製造時安定性、造膜性及び塗膜特性(特に、密着性、耐水性、耐温水性、耐透水性)に優れた水性エマルション、その製造方法及びこれを用いた水性コーティング剤フィルムに関する。
近年、環境保全や安全性などの観点から、VOC(揮発性有機化合物)を低減する動きが高まっており、塗料においても、従来の溶剤系から水性のものへの移行がなされてきている。しかしながら、従来の水性エマルションを用いた水性塗料は、造膜性や塗膜特性(耐水性・耐温水性・耐透水性・耐透湿性・密着性・耐ブロッキング性・耐候性・耐凍害性)等が不十分であった。
上記の問題点を解決する塗料として、例えば、コア−シェル構造を有するアルコキシシラン基含有エマルションであって、コア部に比べてシェル部のガラス転移温度を高くしたエマルションを含有する水性塗料が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、疎水性微粒子とともに、アクリル酸エステルおよびカルボキシル基含有不飽和単量体を共重合した後、アルカリ中和することで水媒体への溶解を可能にした(可溶化を実現した)水溶性樹脂(高分子乳化剤)を含有するエマルションが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、上記した技術には、下記のような問題があった。すなわち、特許文献1及び2で提案されたものは、耐ブロッキング性や耐汚染性は改善されるものの、その最低造膜温度が高くなるため、造膜性が低下し、形成された塗膜も硬く脆弱となり、耐透水性や耐凍害性等も低下する。そのため、十分な塗膜特性を得るには大量の有機溶剤が必要となり、環境保全や安全性の点で問題がある。特許文献3で提案されたものは、特に無機質建材等の下地基材への含浸密着性は優れるものの、低分子である水溶性樹脂を使用しているため、耐水性に問題があり、また耐透水性も目標レベルまでには到達していない。
水性塗料の造膜は、水性塗料中に含まれる水性重合体粒子の凝集、融合により行われるため、使用環境や乾燥温度に対応し造膜性を制御する必要があり、具体的には、水性重合体粒子の最低造膜温度(以下、MFTと記載)を制御する必要がある。MFTとは、水性重合体粒子を含むエマルションが水の蒸発に伴って変形して塗膜を形成するために必要な温度を意味し、おおよそ水性重合体粒子のガラス転移温度(以下、Tgと記載)に相当するものである。一般に、MFTが低い方が低温でも造膜するため、塗工する際に扱いやすいが、Tgの低い水性重合体粒子を含む水性エマルションは、塗膜のTgが低くなり、耐ブロッキング性や耐汚染性といった十分な塗膜特性を得ることができない。そのため、造膜性と塗膜特性を両立させ得る水性塗料の開発が求められていた。
造膜性と塗膜特性を両立させ得る水性塗料として、Tgが50℃以上の高Tg成分とガラス転移温度が40℃以下の低Tg成分からなる水性樹脂分散体であって、MFTが重合性単量体の計算Tgより10℃以上低いことを特徴とする水性樹脂分散体が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4で提案されたものは、MFTを低くすることで僅かながら造膜性は向上するものの、耐透水性・耐透湿性は特には向上しないため、実用化するには必ずしも十分ではなかった。
特開2002−69365号公報 特開2008−101140号公報 特開2006−241427号公報 特開2008−63567号公報
従って、本発明の目的は、優れた造膜性と塗膜特性(特に、密着性、耐水性、耐温水性、耐透水性)を備えた塗膜として形成されることが可能な水性エマルションであって、特に、建物の外装壁面や窯業系サイディングボードへの密着性、耐透水性に優れた塗膜として形成されることが可能な水性エマルションを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明によって以下の水性エマルション、その製造方法及びこれを用いた水性コーティング剤フィルムが提供される。
[1]水系分散媒に、水性重合体粒子を乳化・分散させてなる水性エマルションであって、前記水性重合体粒子は、2段以上の乳化重合反応により得られるコア−シェル構造を有し、前記コア−シェル構造は、水性重合体Aからなるシェル層及び水性重合体Bからなるコア層から構成され、前記シェル層を構成する前記水性重合体Aは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含むとともに、前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基が重合段階において中和されてなり、且つガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、重量平均分子量が50,000以上であり、前記コア層を構成する前記水性重合体Bは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含み、且つガラス転移温度が0℃〜120℃であり、前記水性重合体Aと前記水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であり(但し、前記乳化重合反応が3段以上である場合、前記水性重合体Bの質量とは前記コア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する)、且つ、下記条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする水性エマルション。
(1)前記コア層を形成する前記水性重合体Bのガラス転移温度≧前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのガラス転移温度
(2)前記水性重合体粒子のガラス転移温度≧前記水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、前記水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
[2]カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)は、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)、ビニル基含有単量体、水酸基含有不飽和単量体、アミド基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、及びピペリジル基含有不飽和単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体である[1]に記載の水性エマルション。
[3]カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の単量体である[1]又は[2]に記載の水性エマルション。
[4]形成された塗膜の透水量が1,500(ml/m2・24h)未満である[1]〜[3]に記載の水性エマルション。
[5]2段以上の乳化重合反応によって、水系分散媒にコア−シェル構造を有する水性重合体粒子が乳化・分散された水性エマルションを得る水性エマルションの製造方法であって、1段目の乳化重合反応として、水系分散媒中で、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含む単量体の混合物を乳化重合反応させるとともに、前記1段目の乳化重合反応中、及び/又は前記1段目の乳化重合反応後に、塩基性化合物によって前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和させることによって、前記水性重合体粒子の前記コア−シェル構造のシェル層を構成する水性重合体Aを得る工程と、2段目の乳化重合反応として、前記シェル層を構成する前記水性重合体Aの存在下、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含む単量体の混合物を乳化重合反応させて、前記水性重合体粒子の前記コア−シェル構造のコア層を構成する水性重合体Bを得る工程と、必要に応じて、3段目以降の乳化重合反応として、前記2段目の乳化重合反応を繰り返して、前記水性重合体粒子の前記コア−シェル構造の3段目以降のコア層を構成する水性重合体を得る工程と、を含み、前記1段目の乳化重合反応により得られる前記シェル層を構成する前記水性重合体Aは、そのガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、その重量平均分子量が50,000以上であって、前記カルボキシル基の中和後に可溶化されずに乳白色エマルションを形成するものであり、前記2段目以降の乳化重合反応により得られる前記水性重合体Bは、いずれも、そのガラス転移温度が0℃〜120℃であり、前記水性重合体Aと前記水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であり(但し、前記乳化重合反応が3段以上である場合、前記水性重合体Bの質量とは前記コア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する)、且つ下記条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする水性エマルションの製造方法。
(1)前記コア層を形成する前記水性重合体Bのガラス転移温度≧前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのガラス転移温度
(2)前記水性重合体粒子のガラス転移温度≧前記水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、前記水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
[6]さらに、条件(3)前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのカルボキシル基を中和した後のpHが5.0〜10.0であり、且つ中和後の吸光度が中和前の吸光度に対して99.5〜40%の比率であること、を満たす[5]に記載の水性エマルションの製造方法。
[7]カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)は、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)、ビニル基含有単量体、水酸基含有不飽和単量体、アミド基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、及びピペリジル基含有不飽和単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体である[5]又は[6]に記載の水性エマルションの製造方法。
[8]カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の単量体である[5]〜[7]のいずれか1つに記載の水性エマルションの製造方法。
[9]塩基性化合物は、アミン系化合物(アミノアルコール及びアンモニアを含む)、水酸化ナトリウム、並びに水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種以上の化合物である[5]〜[8]のいずれか1つに記載の水性エマルションの製造方法。
[10][1]〜[4]のいずれか1つに記載の水性エマルション、又は[5]〜[9]のいずれかに1つ記載の水性エマルションの製造方法により得られた水性エマルションを用いて形成された、そのフィルムの透水量が、1,500(ml/m2・24h)未満であることを特徴とする水性コーティング剤フィルム。
本発明によれば、優れた造膜性と塗膜特性(特に、密着性、耐水性、耐温水性、耐透水性)を備えた塗膜として形成されることが可能な水性エマルションであって、特に、建物の外装壁面や窯業系サイディングボードへの密着性に優れた塗膜として形成されることが可能な水性エマルションを提供することができる。
実施例及び比較例で得られた水性エマルションの、Tgに対するMFT(℃)の関係を示すグラフである。
以下、本発明の水性エマルション及びその製造方法を、その実施の形態によってさらに詳しく説明する。なお、本発明の特許請求の範囲および明細書における「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味し、また、「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方を意味する。
I.水性エマルション
本実施の形態の水性エマルションは、水系分散媒に、水性重合体粒子を乳化・分散させてなる水性エマルションであって、上記水性重合体粒子は、2段以上の乳化重合反応により得られるコア−シェル構造を有し、上記コア−シェル構造は、水性重合体Aからなるシェル層及び水性重合体Bからなるコア層から構成されることを特徴とする。そして、上記シェル層を構成する水性重合体Aは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含むとともに、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基が中和されてなり、ガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、重量平均分子量が50,000以上であることを特徴とする。そして、上記コア層を構成する水性重合体Bは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含み、且つガラス転移温度が0℃〜120℃であることを特徴とする。上記したコア−シェル構造を有する水性重合体粒子は、シェル層を構成する水性重合体Aとコア層を構成する水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)が、0.5/99.5〜99.5/0.5であり(但し、乳化重合反応が3段以上である場合、水性重合体Bの質量とはコア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する)、且つ下記条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする。
(1)コア層を形成する水性重合体Bのガラス転移温度≧シェル層を構成する水性重合体Aのガラス転移温度
(2)水性重合体粒子のガラス転移温度≧水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
以下、本実施の形態の水性エマルションの、各構成成分、特性及び用途について具体的に説明する。
[1.水性重合体粒子]
本実施の形態の水性重合体粒子は、2段以上の乳化重合反応により得られるコア−シェル構造を有することを特徴とする。そして、上記コア−シェル構造は、後述する水性重合体Aからなるシェル層及び後述する水性重合体Bからなるコア層から構成されることを特徴とする。本実施の形態の水性重合体粒子が特定のコア−シェル構造を有すると、本実施の形態の水性エマルションによって形成された塗膜は、耐水性、耐温水性、耐透水性、耐透湿性、密着性、耐ブロッキング性、耐候性、耐凍害性といった塗膜特性や造膜性に優れ、なかでも特に、密着性、耐水性、耐温水性、耐透水性に優れたものとなる。その理由の詳細については、後述する。
(シェル層を構成する水性重合体A)
シェル層を構成する水性重合体Aは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含むことが必要である。水性重合体A中のカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)の含有割合が99.5質量%を超えると、後述するコア層を構成する水性重合体Bを重合する際の重合液の安定性が低下し、得られる水性エマルション中に水性重合体粒子の凝集物が生じる。一方、水性重合体A中のカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)の含有割合が80.0質量%未満であると、最終的に得られる水性エマルションによって形成される塗膜の耐水性が低下する。また、水性重合体A中の上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)の含有割合が0.5質量%未満であると、コア層を構成する水性重合体Bを重合する際の重合液の安定性が低下し、充分な製造安定性を得ることができないだけでなく、得られる水性エマルション中に重合体粒子の凝集物が生じる。一方、上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)の含有割合が20.0質量%より多い場合には、最終的に得られる水性エマルションによって形成される塗膜の耐水性や耐温水性が低下する。
上記カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)としては、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)、ビニル基含有単量体、水酸基含有不飽和単量体、アミド基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、及ピペリジル基含有不飽和単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体であることが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、ビニル基含有不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−メチルスチレン、クロルスチレン、ベンジルアクリレート、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げることができ、水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)モノアクリレートなどを挙げることができ、アミド基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−i−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができ、アルコキシシリル基含有不飽和単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、ピペリジル基含有不飽和単量体としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどを挙げることができ、これらの群から選ばれる1種以上を用いることができる。
上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸などを挙げることができ、これらの群から選ばれる1種以上を用いることができる。
シェル層を構成する水性重合体Aは、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基が、重合段階において、中和されていることが必要である。カルボキシル基が未中和であると粒子表面へのカルボン酸の配向が弱いため、本実施の形態の水性エマルションを用いて形成された塗膜は、十分な耐透水性や耐透湿性を得ることができない。
上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和する際に使用される化合物としては、従来から中和に用いられるものであれば問題なく使用することができるが、特に、塩基性化合物を用いることが好ましい。上記塩基性化合物としては、アミン系化合物[例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン類;2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルコールアミン(アミノアルコール)類;モルホリン等]、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどを挙げることができる。
上記のようにして得られる水性重合体Aは、そのガラス転移温度が−40℃〜80℃であることが必要である。上記水性重合体Aのガラス転移温度が−40℃未満であると、水性重合体粒子表面が軟質過ぎるため耐ブロッキング性や耐汚染性に問題が生じ、一方、80℃を超えると、水性重合体粒子表面が硬質過ぎるために多量の造膜助剤量が必要となる上、凍害性にも問題が生じてしまう。
また、上記のようにして得られる水性重合体Aは、通常、その重量平均分子量が50,000以上である。上記水性重合体Aの重量平均分子量が50,000未満であると、シェル層の耐水性が低下してしまい、得られる水性エマルションによって形成される塗膜の耐透水性や耐水性が低下することがある。
(コア層を構成する水性重合体B)
水性重合体Bは、本実施の形態の水性エマルションに含まれるコア−シェル構造を有する水性重合体粒子のコア層を構成するものである。上記コア層を構成する水性重合体Bは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含むことが必要である。上記カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)としては、水性重合体Aの構成成分であるカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)と同様の化合物を挙げることができる。また、コア層を構成する水性重合体Bは、構成成分として、水性重合体Aの構成成分であるカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)をさらに含むことができる。
上記コア層を構成する水性重合体Bは、そのガラス転移温度が0℃〜120℃であることが必要である。コア層を構成する水性重合体Bのガラス転移温度が0℃未満であると、水性重合体粒子のトータルガラス転移温度が低くなり、耐ブロッキング性や耐汚染性に問題が生じ、一方、120℃を超えると、水性重合体粒子のガラス転移温度が部分的に高くなり過ぎてしまい、塗膜の脆弱性に問題が生じる。
1段目の乳化重合反応により得られる水性重合体Aと2段目以降の乳化重合反応により得られる水性重合体Bの質量比は、(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であることが必要である。但し、上記乳化重合反応が3段以上である場合、上記水性重合体Bの質量とは2段目以降の乳化重合反応により得られるコア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する。1段目の乳化重合に使用する水性重合体Aの割合が99.5質量%を超えると、水性エマルションによって形成される塗膜の耐水性が低下する。一方、水性重合体Aの割合が0.5質量%未満であると、2段目以降の乳化重合反応の際に用いる水性重合体Aを含む乳化重合液の安定性が悪くなり、最終的に得られる水性エマルション中に水性重合体粒子の凝集物を生じやすくなり、また、水性エマルションによって形成される塗膜の強度が低下したり、造膜性不良による凍害性が低下する場合がある。
(水性重合体粒子の物性)
上述した水性重合体Aからなるシェル層と水性重合体Bからなるコア層から構成されたコア−シェル構造を有する水性重合体粒子は、下記条件(1)〜(2)を満たすことが必要である。
(1)コア層を形成する水性重合体Bのガラス転移温度(Tg)≧シェル層を構成する水性重合体Aのガラス転移温度(Tg)
(2)水性重合体粒子のガラス転移温度(Tg)≧水性重合体粒子の最低造膜温度(MFT)(但し、水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
水性エマルション中の水性重合体粒子が上記の要件を満たすことにより、本実施の形態の水性エマルションによって形成された塗膜は、優れた塗膜特性(特に、密着性・耐水性・耐温水性・耐透水性)を有するものとなる。その理由については、後述する。
[2.水系分散媒]
本実施の形態の水性エマルションは、水系分散媒に、上記した水性重合体粒子を乳化・分散させてなることを特徴とする。上記水系分散媒としては、例えば、水、水にアルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)を混合した混合溶媒、アルコールやグリコールエーテル類などの水溶性溶剤を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種以上を使用することができる。
[3.乳化・分散]
また、本実施の形態の水性エマルションは、上記した水系分散媒に、上記した水性重合体粒子を乳化・分散させてなることを特徴とする。水性重合体粒子を乳化・分散させる方法としては、例えば、公知の乳化重合反応を挙げることができる。
[4.その他の成分]
本実施の形態の範囲内であれば、1段目及び/又は2段目以降の乳化重合反応の際に界面活性剤や、重合開始剤を使用してもよい。界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などを挙げることができ、これらの群から選ばれる1種以上を使用することができる。上記界面活性剤としては、分子中にラジカル重合性の不飽和基を1個以上有する反応性界面活性剤を含んでいてもよい。1段目及び/又は2段目の乳化重合時に使用する界面活性剤の使用割合は、水性重合体粒子を構成する全単量体100質量部に対して0.3〜15.0質量部であることが好ましい。その使用量が0.3質量部より少ない場合は、1段目及び/又は2段目の乳化重合時の重合液の安定性が低下したり、重合体粒子の凝集物が生じることがある。一方、その使用量が15.0質量部より多い場合は、得られた水性エマルションによって形成される塗膜の耐水性が低下することがある。
また、重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、水溶性重合開始剤、油溶性重合開始剤等を挙げることができる。具体的な水溶性重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド等の従来既知の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらの水溶性重合開始剤は、熱分解系重合開始剤として単独で使用することもできるし、これらの水溶性重合開始剤や油溶性重合開始剤を酸化剤とし、これとともに種々の還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。
水溶性重合開始剤を熱分解系水溶性重合開始剤として単独で使用する場合、その使用量は、水性重合体粒子を構成する全単量体100質量部に対して0.01〜5.0質量部であることが好ましい。水溶性重合開始剤の使用量が0.01質量部より少ない場合は、1段目及び/又は2段目の乳化重合時に反応が完結せずに未反応の単量体(モノマー)が残留する可能性がある。一方、その使用量が5.0質量部より多い場合は、得られた本実施の形態の水性エマルションによって形成される塗膜の耐水性・耐温水性が低下することがある。
一方、水溶性重合開始剤や油溶性開始剤を酸化剤とし、これとともに種々の還元剤を組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することにより、乳化重合速度を促進したり、低温で乳化重合反応を行うことが容易になる。レドックス系重合開始剤として上記の重合開始剤と組み合わせて使用する還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸等の金属塩等の還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等を挙げることができる。上記したレドックス系重合開始剤を構成する酸化剤及び還元剤は、水性重合体粒子を構成する全単量体100質量部に対して、それぞれ0.01〜5.0質量部、及び0.01〜5.0質量部であることが好ましい。なお、レドックス系重合開始剤を用いるレドックス系重合の場合、水溶性重合開始剤を熱分解系水溶性重合開始剤として用いる熱分解系重合に比べてより、高分子量の重合体(ポリマー)を生成することができるため、これにより得られる本実施の形態の水性エマルションを用いて形成された塗膜は、より優れた耐ブロッキング性、耐水性、耐温水性、耐透水性及び耐候性を示すものとなるため好ましい。
なお、上記した重合開始剤を用いて重合する際の重合温度は、各重合開始剤の分解温度以上とすることが好ましい。例えば、水溶性重合開始剤である過酸化物系重合開始剤では、通常70〜90℃とすればよく、また、上記したレドックス系重合開始剤の場合では、40〜90℃とすればよい。また、重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間とすればよい。
[5.特性]
本実施の形態の水性エマルションは、優れた塗膜特性(特に、密着性・耐水性・耐温水性・耐透水性)を有するものとなる。特に、本実施の形態の水性エマルションは、これを水性のコーティング剤として用いて形成されたフィルムの後述する評価試験で測定された透水量を1,500(ml/m2・24h)未満とすることができ、耐透水性に優れたものとすることができる。その理由について、以下説明する。本実施の形態の水性エマルションは、上述したように、2段以上の乳化重合反応により得ることができるが、1段目の重合により得られる水性重合体Aは、1段目の乳化重合反応中、及び/又は1段目の乳化重合反応後に、塩基性化合物等によってカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基が中和されることにより、表面酸価が高く親水性なものとなる。水性重合体Aに比べて、2段目以降の乳化重合反応で使用する単量体は疎水性であるため、水性重合体Aの中に容易に入り込むことができ、上記単量体は水性重合体Aの内部で重合されて水性重合体Bとなり、本発明の水性重合体粒子が得られる。こうして得られた水性重合体粒子のMFTは、水性重合体Aの組成に依存し、水性重合体Aの組成が硬いものであればMFTは高くなり、柔らかいものであればMFTは低くなるといった傾向がある。一方、2段目以降の乳化重合反応により得られる水性重合体Bに、水性重合体粒子のMFTは影響されない。そのため、シェル層を構成する水性重合体Aの組成を柔らかい組成となるように設計すれば、2段目以降の乳化重合反応により得られる水性重合体Bの組成が硬かったり、水性重合体粒子の組成が全体で硬かったとしても、最終的に得られる水性重合体粒子のMFTを低くすることが可能となる。このようなMFTの低い水性重合体粒子が乳化・分散された水性エマルションは、全体では硬い組成であっても、十分な造膜性と塗膜特性(特に、密着性・耐水性・耐温水性・耐透水性)を備え、様々な用途へ適用することができる。
[6.用途]
本実施の形態の水性エマルションは、上記の特性を有することから、例えば、一般接着剤、粘着剤、コーティング剤、住宅用の建材、塗料、土木・繊維・紙などの加工、鋼板処理、フィルムコーティング処理等に用いることができ、特に、本実施の形態の水性エマルションは、密着性、耐水性、耐温水性・耐ブロッキング性・耐透水性・耐候性やコストメリットに優れているため、無機質材料外装建材として優れた効果が期待される。
上記したような水性のコーティング剤は、本実施の形態の水性エマルション単独でも十分に実用に足るものであるが、本実施の形態により得られる水性エマルション中に含まれる水性重合体粒子100質量部に対し、必要に応じて、0〜20質量部の造膜助剤と0〜300質量部の顔料と、を含有することで、より優れたものとなる。
また、上記のような水性のコーティング剤は、本実施の形態により得られる水性エマルションとともに塗布することで、優れた無機質材料外装建材を提供することができる。このような無機質材料外装建材としては、例えば、いわゆる湿式工法及び乾式工法で使用される建物の外装用のコーティング剤や建物の外装用の塗料のような外装用塗料などを挙げることができる。
また、上記の建物の外装用コーティング剤とは、いわゆる乾式工法で使用されるものであり、例えば、窯業系サイディングボードのような、主原料としてセメント質原料および繊維質原料を成型し、養生・硬化させた外壁の仕上げなどに使用するシーラー剤(インラインシーラーも含む)やエナメル・クリアートップ剤を挙げることができる。本実施の形態により得られる水性エマルションをシーラー剤として用いた場合には、造膜性の向上、耐ブロッキング性の向上、耐透水性の向上、塗膜強度の向上、造膜助剤量の低減といった効果が得られるため好ましい。一方、エナメル・クリアートップ剤として用いた場合には、耐候性が向上するとともに、原価は安いものの耐候性に不利に働くので従来あまり使用することができなかったスチレン(スチレン樹脂)を、水性エマルションの構成成分として水性重合体粒子の内部に入れることができ、耐候性とコストダウンの両立を図れるため好ましい。
また、上記の建物の外装用(特に外装壁面用)の塗料とは、本実施の形態の水性エマルションとモルタルなどの材料を混ぜ合わせて下地や旧塗膜下地などの上に用いる、いわゆる湿式工法で使用する塗料である。本実施の形態により得られる水性エマルションを外装用の塗料として用いた場合には、建物の下地材や上塗り塗料との密着性の向上、耐水性の向上といった効果が得られるため好ましい。
II.水性エマルションの製造方法
本実施の形態の水性エマルションの製造方法は、2段以上の乳化重合反応によって、水系分散媒にコア−シェル構造を有する水性重合体粒子が乳化・分散された水性エマルションを得る水性エマルションの製造方法であることを特徴とする。具体的には、1段目の乳化重合反応として、水系分散媒中で、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含む単量体の混合物を乳化重合反応させるとともに、1段目の乳化重合反応中、及び/又は1段目の乳化重合反応後に、塩基性化合物によってカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和させることによって、水性重合体粒子のコア−シェル構造のシェル層を構成する水性重合体Aを得る工程(以下、「水性重合体Aを得る工程」という)を有することを特徴とする。さらに、2段目の乳化重合反応として、シェル層を構成する水性重合体Aの存在下、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含む単量体の混合物を乳化重合反応させて、水性重合体粒子のコア−シェル構造のコア層を構成する水性重合体Bを得る工程と、必要に応じて、3段目以降の乳化重合反応として、2段目の乳化重合反応を繰り返して、水性重合体粒子のコア−シェル構造の3段目以降のコア層を構成する水性重合体を得る工程(以下、「水性重合体Bを得る工程」という)と、を含むことを特徴とする。1段目の乳化重合反応により得られるシェル層を構成する水性重合体Aは、そのガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、その重量平均分子量が50,000以上であって、カルボキシル基の中和後に可溶化されずに乳白色エマルションを形成するものであり、2段目以降の乳化重合反応により得られる水性重合体Bは、いずれも、そのガラス転移温度が0℃〜120℃であり、水性重合体Aと水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であり(但し、乳化重合反応が3段以上である場合、水性重合体Bの質量とはコア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する)、且つ下記条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする。好ましくは、さらに下記条件(3)を満たすことを特徴とする。
(1)コア層を形成する水性重合体Bのガラス転移温度≧シェル層を構成する水性重合体Aのガラス転移温度
(2)水性重合体粒子のガラス転移温度≧水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
(3)前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのカルボキシル基を中和した後のpHが5.0〜10.0であり、且つ中和後の吸光度が中和前の吸光度に対して99.5〜40%の比率であること
以下、本実施の形態の水性エマルションの製造方法の各工程について、具体的に説明する。
[1.水性重合体Aを得る工程]
本実施の形態の水性エマルションの製造方法においては、1段目の乳化重合反応として、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)とを含む単量体の混合物を乳化重合反応させるとともに、1段目の乳化重合反応中、及び/又は1段目の乳化重合反応後に、塩基性化合物によってカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和させることで、シェル層を構成する水性重合体Aを含む乳白色エマルションを得ることを必要とする。なお、1段目の乳化重合反応に際しては、全ての単量体を重合させることは必須ではなく、単量体の全てが重合する以前(プレ重合状態)に次の工程に移行してもよい。
本実施の形態の水性エマルションの製造方法の1段目の乳化重合反応において使用する、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)は、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)、ビニル基含有単量体、水酸基含有不飽和単量体、アミド基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、及びピペリジル基含有不飽和単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体であることが好ましい。これらの具体的な例及び使用量の詳細については先に説明したので、省略する。
本実施の形態の水性エマルションの製造方法の1段目の乳化重合反応において使用する、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の単量体であることが好ましい。これらの具体的な例及び使用量の詳細については先に説明したので、省略する。
このようにして得られた水性重合体Aは、そのガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、その重量平均分子量が50,000以上であることを必要とする。
本実施の形態の水性エマルションの製造方法の1段目の乳化重合反応中、及び/又は1段目の乳化重合反応後において塩基性化合物を使用することにより、上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和して、親水性を有する水性重合体Aを得ることができる。水性重合体Aの構成成分であるカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和することで、水性重合体Aは、親水性部と疎水性部を有する1種の高分子乳化剤的な働きをすることができる。このような水性重合体Aを含む乳化重合液を、後述するコア層を構成する水性重合体Bの乳化重合反応の際に用いることにより、反応をより安定に行うことができる。そして、シェル層を構成する水性重合体Aの有するカルボキシル基が中和されていると、粒子表面へのカルボン酸の配向が強くなるため、本実施の形態の水性エマルションの製造方法により得られた水性エマルションを用いて形成された塗膜は、耐透水性や耐透湿性に優れたものとなる。
上記塩基性化合物は、例えば、アミン系化合物(アミノアルコール及びアンモニアを含む)、水酸化ナトリウム、並びに水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。アミン系化合物の具体的なものとしては、先に説明したものを挙げることができる。上記塩基性化合物の使用量は、中和後の乳化重合液のpHが5.0〜10.0になるような量が好ましい。pHが5.0〜10.0の範囲内であれば、コア層を構成する水性重合体Bの乳化重合反応を安定に行うことができる。
上記塩基性化合物により中和され得られた水性重合体Aを含む乳化重合液は、可溶化しない乳白色のエマルション重合体(アルカリ膨潤中和体)であることを特徴とする。水性重合体Aが、中和後に溶解し水溶性樹脂溶液となってしてしまうと、シェル層の耐水性が低下してしまい、得られる水性エマルションによって形成される塗膜の耐透水性や耐水性が低下することがある。また、1段目の乳化重合反応に連鎖移動剤を使用した場合には、中和後に得られる水性重合体Aは可溶化し、水性樹脂溶液となり易いため、1段目の乳化重合反応には連鎖移動剤を使用しないことが好ましいが、水性重合体Aが可溶化しない範囲(吸光度比99.5〜40.0%)であれば連鎖移動剤を使用してもよい。
さらに、上記の塩基性化合物で中和され得られた水性重合体Aを含む乳化重合液の吸光度が、中和前の乳化重合液の吸光度に対して99.5〜40%(吸光度比)であることが好ましい。該吸光度比が40%より低い場合、最終的に得られる水性エマルションにより形成される塗膜の耐水性が低下する。吸光度比が上記の範囲であると、水性重合体Aを含む乳化重合液は可溶化しない乳白色エマルションとなる。なお、吸光度比は下記の式から求める。
吸光度比(%)=1段目の乳化重合液(アンモニア水による中和後)/1段目の乳化重合液(アンモニア水による中和前)×100
[2.水性重合体Bを得る工程]
本実施の形態の水性エマルションの製造方法は、上記したようにしてシェル層を構成する水性重合体Aを得た後、2段目の乳化重合反応として、水性重合体Aの存在下、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含む単量体の混合物を乳化重合反応させて、水性重合体粒子のコア−シェル構造のコア層を構成する水性重合体Bを重合し、必要に応じて、3段目以降の乳化重合反応として、上記した2段目の乳化重合反応を繰り返して、水性重合体粒子のコア−シェル構造の3段目以降のコア層を構成する水性重合体を重合することで、水性重合体粒子を得ることを必要とする。以下、2段目の乳化重合反応により得られた水性重合体Bと、3段目以降の乳化重合反応により得られた水性重合体をまとめて「水性重合体B」と呼び、これらを得る乳化重合反応をまとめて「2段目以降の乳化重合反応」と呼ぶ。なお、2段目以降の乳化重合に際しては、全ての単量体を重合させることは必須ではなく、単量体の全てが重合する以前(プレ重合状態)に次の工程に移行してもよい。
本実施の形態の水性エマルションの製造方法の2段目以降の乳化重合反応において使用する、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)としては、先に説明したカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)と同様の化合物を挙げることができる。また、他の単量体成分として、先に説明したカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を使用することができる。
このようにして得られた水性重合体Bは、いずれも、そのガラス転移温度が0℃〜120℃であることを特徴とする。
また、本実施の形態の水性エマルションの製造方法においては、水性重合体Aと水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であることを必要とする。但し、乳化重合反応が3段以上である場合、水性重合体Bの質量とはコア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する。
また、本実施の形態の水性エマルションの製造方法においては、下記条件(1)〜(2)を満たすことを必要とし、さらに下記条件(3)を満たすことが好ましい。
(1)コア層を形成する水性重合体Bのガラス転移温度≧シェル層を構成する水性重合体Aのガラス転移温度
(2)水性重合体粒子のガラス転移温度≧水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
(3)前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのカルボキシル基を中和した後のpHが5.0〜10.0であり、且つ中和後の吸光度が中和前の吸光度に対して99.5〜40%の比率であること
III.水性コーティング剤フィルム
本実施の形態の水性コーティング剤フィルムは、上記した本実施の形態の水性エマルション、又は上記した本実施の形態の水性エマルションの製造方法により得られた水性エマルションを用いて形成された、そのフィルムの透水量が、1,500(ml/m2・24h)未満であることを特徴とする。フィルムの透水量が上記を満たすことで、耐透水性に優れたものを提供することが可能となる。その理由については、先に説明したので、省略する。
次に実施例および比較例を挙げて本発明の水性エマルション及びその製造方法をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」および「%」とあるのは質量基準である。
[実施例1]
(水性重合体Aを含む乳白色エマルションの作製)
イオン交換水14.7部、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製、商品名:ラテムルE−118B)3.4部、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(花王社製、商品名:ラテムルPD−104)4.4部と共に、(a1)成分として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトエステルHOA)0.97部、2−エチルヘキシルアクリレート19.42部、メチルメタクリレート4.85部、スチレン9.71部、(a2)成分として、アクリル酸(100%)1.94部を秤量して攪拌し、水性重合体Aを構成する単量体を混合した乳化混合液(1)を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下装置および窒素ガス導入管を装備した反応装置に、イオン交換水67.3部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製、商品名:ラテムルE−118B)0.4部を仕込み、反応装置内の空気を窒素ガスに置換した後、攪拌しながら上記装置の内温を80℃に加温した。ついで、反応装置内に5%過硫酸アンモニウム(三菱ガス化学社製、商品名:過硫酸アンモニウム)4.0部を添加した後、直ちに先に調製した乳化混合液(1)と5%過硫酸アンモニウム2.0部を1.5時間かけて滴下した。そして、滴下終了30分後、アンモニア水(25%)を1.5部添加した後、80℃にて30分間放置し、水性重合体Aを含む乳白色のエマルションを得た。
(水性重合体粒子を含む水性エマルションの作製)
次に、イオン交換水24.6部、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製、商品名:ラテムルE−118B)6.2部、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(花王社製、商品名:ラテムルPD−104)8.1部と共に、(b1)成分として、2−エチルヘキシルアクリレート4.86部、スチレン58.25部を秤量して攪拌し、水性重合体Bを構成する単量体を混合した乳化混合液(2)を調製した。
そして、乳化混合液(1)の滴下終了から60分後に、上記で調製した乳化混合液(2)と5%過硫酸アンモニウム2.0部を3.0時間かけて装置内に滴下した。そして、上記装置の内温を80℃に保ちながら、更に3時間反応を行なった後、内温を室温まで冷却し、コア−シェル構造を有する水性重合体粒子を含む実施例1の水性エマルションを得た。得られた水性エマルションは、分析の結果、粘度700mPa・s/25℃、固形分44.0%、pH8.5であり、平均粒子径は150nmであった。
[実施例2〜6]
実施例1における単量体構成成分(a1、a2、b1)、添加剤の配合量を、表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6の水性エマルションを作製した。但し、多段乳化重合であるため単量体比率に応じて、重合開始剤や界面活性剤量を各々分割して用いた。得られた実施例2〜6の水性エマルションの単量体構成成分および特数値を、実施例1の水性エマルションの単量体構成成分および特数値と共に表1に示した。なお、得られた水性エマルションの粘度、固形分、pH及び平均粒子径は、実施例1とほぼ同等となるように調整した。
[比較例1〜4]
実施例1における単量体構成成分(a1、a2、b1)、添加剤、中和剤の使用量及び中和剤を使用するタイミング等を表1に記載のものに変更した以外、実施例1と同様にして、比較例1〜4の水性エマルションを作製した。但し、多段乳化重合であるため単量体比率に応じて、重合開始剤や界面活性剤量を各々分割して用いた。得られた比較例1〜4水性エマルションの単量体構成成分および特数値を、実施例1の水性エマルションの単量体構成成分および特数値と共に表1に示した。
Figure 2015166428
Figure 2015166428
Figure 2015166428
[評価]
実施例1〜6及び比較例1〜4にて作製した水性エマルションを用い、表2〜5に記載の配合でそれぞれのサンプルを調製し、これを用いて、後述する評価試験[耐温水性試験、密着性試験、耐透水性試験(以上、乾式工法用)、密着性試験、耐水性・密着性試験(以上、湿式工法用)]を行った。
1.評価用サンプルの調製
実施例1〜6及び比較例1〜4にて作製した水性エマルションを用い、表2の配合表にて乾式工法の耐温水性試験用の外装塗料水性コーティング剤のサンプルを調製し、表3にて乾式工法の密着性試験用の外装塗料水性コーティング剤のサンプルを調製し、表4の配合表にて乾式工法の耐透水試験用の外装塗料水性コーティング剤のサンプルを調製し、表5の配合表にて湿式工法の耐水性・密着性試験用の外装塗料水性コーティング剤のサンプルを調製した。
Figure 2015166428
Figure 2015166428
Figure 2015166428
表4中のミルベース1は、以下に示す割合で配合したものを使用した。なお、ミルベースとは、顔料、溶剤、添加物などを攪拌し混合したものをいう。
※ミルベース1処方(合計100.0部)
水 30.0部
分散剤:デモールEP(花王ケミカル社製) 2.0部
重質炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウムR(丸尾カルシウム社製) 48.7部
二酸化チタン:CR−57(石原産業社製) 18.3部
消泡剤:アデカネートB−187(ADEKA社製) 0.5部
アンモニア水(25%) 0.5部
Figure 2015166428
表5中のミルベース2は、以下に示す割合で配合したものを使用した。
※ミルベース2処方(合計100.0部)
水 29.0部
分散剤:SMA−1440H(サートマー・ジャパン社製) 10.0部
二酸化チタン:CR−57(石原産業社製) 40.0部
重質炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製) 20.0部
消泡剤:アデカネートB−187(ADEKA社製) 0.5部
アンモニア水(25%) 0.5部
2.耐温水性試験(乾式工法)
表2で調製した実施例及び比較例の外装塗料用水性コーティング剤のサンプルをガラス板に100μWET/m2となるように塗布した後、100℃の熱風循環機にて10分間乾燥し、ガラス板上にコーティング膜を作製した。そして、ガラス板及びコーティング膜の温度が室温に戻った後、これを温水(60℃)に浸漬して24時間放置した。そして、温水に浸漬してから24時間後のコーティング膜表面のΔE値を測定し、以下の基準で評価した。なお、○〜△を合格とし、×は不合格点とした。
<評価基準>
○:コーティング膜のΔE値は0〜3未満であった。
△:コーティング膜のΔE値は3以上10未満であった。
×:コーティング膜のΔE値は10以上であった。
3.密着性試験(乾式工法)
表3で調製した実施例及び比較例の外装塗料用水性コーティング剤のサンプルを10%となるように水で希釈した後、スポンジロールコーターを用いてスレート板に150μWET/m2塗布後、100℃の熱風循環機にて15分間乾燥し、試料塗膜が形成された試料を作製した。そして、試料の温度が室温に戻った後、これを用いてJIS A5422に準拠した方法で、塗膜はく離面積率(%)Pを求め、評価した。なお、以下の式より算出される塗膜はく離面積率(%)が5%未満のものを合格とし、それ以上のものは不合格とした。
P(塗膜はく離面積率(%))=S2(塗膜のはく離面積(mm2))/S1(付着させたテープ面積(mm2))×100
4.耐透水性試験(乾式工法)
表4で調製した実施例及び比較例の外装塗料用水性コーティング剤のサンプルを10%となるように水で希釈して、スポンジロールコーターを用いてサイディングボードに150gWET/m2塗布後、100℃の熱風循環機にて15分間乾燥し、塗膜が形成されたボード試料を作製した。そして、そのボード試料を、JIS A5422に準拠した方法で減水高さを求め、更に24時間後の透水量(ml/m2・24h)を求めた。なお、1,500(ml/m2・24h)未満を合格とし、1,500(ml/m2・24h)以上のものを不合格とした。
5.密着性試験(湿式工法)
予め、フレキシブル板(JIS A5430準拠)に「一液浸透シーラー」(日本ペイント社製)を100gWET/m2塗布し、23℃×50%の雰囲気下に24時間放置したものを用意した。そして、表5で調製した実施例及び比較例の外装塗料用コーティング剤のサンプルを、先でシーラー処理したフレキシブル板に150gWET/m2となるように塗布した後、23℃×50%の雰囲気下にて7日間養生し、密着性試験板を作製した。そして、JIS K5600−5−6(クロスカット法)に準拠した方法で、以下の6段階にて評価を行った。なお、分類0〜分類1を合格とし、分類2以下を不合格とした。
<評価基準>
・分類0:どの格子の目にも剥れがなかった。
・分類1:カットの交差点の塗膜の小さな剥れがあり、クロスカット部分の剥れは5%以下であった。
・分類2:塗膜がカットの縁に沿って及び/又は交差点で剥れがあり、クロスカット部分の剥れは5%を超えて15%未満であった。
・分類3:塗膜がカットの縁に沿って全面的に大剥れを生じ、クロスカット部分の剥れは15%以上35%未満であった。
・分類4:塗膜がカットの縁に沿って全面的に大剥れを生じ、クロスカット部分の剥れは35%以上であった。
・分類5:分類4以上の剥れがあった。
6.耐水性・密着性試験(湿式工法)
予めフレキシブル板(JIS A5430準拠)に「一液浸透シーラー」(日本ペイント社製)を100gWET/m2となるように塗布した後、23℃×50%の雰囲気下に24時間放置したものを用意した。そして、表5で調製した実施例及び比較例の外装塗料用コーティング剤のサンプルを上記したシーラー処理したフレキシブル板に150gWET/m2となるように塗布した後、23℃×50%の雰囲気下にて7日間養生し、耐水性・密着性試験板を作製した。その後、上記試験板を20℃の水に7日間没水した。そして、取り出して水洗後30分以内に、塗膜表面の状態を観察し、下記基準により、目視にて評価した。なお、◎、○を合格とし、△以下を不合格とした。
<評価基準>
◎:水に浸した塗膜に、膨れ、剥れ、割れ等はなかった。
○:水に浸した塗膜に、面積5%未満の膨れ、剥れ、割れ等があった。
△:水に浸した塗膜に、面積5%以上20%未満の膨れ、剥れ、割れ等があった。
×:水に浸した塗膜に、面積20%以上の膨れ、剥れ、割れ等があった。
Figure 2015166428
本発明によれば、優れた造膜性と塗膜特性を備えた塗膜を形成することが可能な水性エマルションであって、特に、建物の外装壁面や窯業系サイディングボードへの密着性に優れた塗膜として形成されることが可能な水性エマルションが提供される。特に、本発明の水性エマルションは、塗膜が形成された場合に優れた密着性、耐水性、耐温水性、耐透水性を示すため、建物の外装壁面用や窯業系サイディングボード用のシーラー剤、エナメル・クリアートップ剤、塗料として有用である。

Claims (10)

  1. 水系分散媒に、水性重合体粒子を乳化・分散させてなる水性エマルションであって、
    前記水性重合体粒子は、2段以上の乳化重合反応により得られるコア−シェル構造を有し、
    前記コア−シェル構造は、水性重合体Aからなるシェル層及び水性重合体Bからなるコア層から構成され、
    前記シェル層を構成する前記水性重合体Aは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含むとともに、前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基が中和されてなり、ガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、重量平均分子量が50,000以上であり、
    前記コア層を構成する前記水性重合体Bは、構成成分としてカルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含み、且つガラス転移温度が0℃〜120℃であり、
    前記水性重合体Aと前記水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であり(但し、前記乳化重合反応が3段以上である場合、前記水性重合体Bの質量とは前記コア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する)、且つ、
    下記条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする水性エマルション。
    (1)前記コア層を形成する前記水性重合体Bのガラス転移温度≧前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのガラス転移温度
    (2)前記水性重合体粒子のガラス転移温度≧前記水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、前記水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
  2. 前記カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)は、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)、ビニル基含有単量体、水酸基含有不飽和単量体、アミド基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、及びピペリジル基含有不飽和単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体である請求項1に記載の水性エマルション。
  3. 前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の単量体である請求項1又は2に記載の水性エマルション。
  4. 形成された塗膜の透水量が1,500(ml/m2・24h)未満である請求項1〜3に記載の水性エマルション。
  5. 2段以上の乳化重合反応によって、水系分散媒にコア−シェル構造を有する水性重合体粒子が乳化・分散された水性エマルションを得る水性エマルションの製造方法であって、
    1段目の乳化重合反応として、水系分散媒中で、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)を80.0〜99.5質量%及びカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)を0.5〜20.0質量%含む単量体の混合物を乳化重合反応させるとともに、前記1段目の乳化重合反応中、及び/又は前記1段目の乳化重合反応後に、塩基性化合物によって前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)由来のカルボキシル基を中和させることによって、前記水性重合体粒子の前記コア−シェル構造のシェル層を構成する水性重合体Aを得る工程と、
    2段目の乳化重合反応として、前記シェル層を構成する前記水性重合体Aの存在下、カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(b1)を含む単量体の混合物を乳化重合反応させて、前記水性重合体粒子の前記コア−シェル構造のコア層を構成する水性重合体Bを得る工程と、
    必要に応じて、3段目以降の乳化重合反応として、前記2段目の乳化重合反応を繰り返して、前記水性重合体粒子の前記コア−シェル構造の3段目以降のコア層を構成する水性重合体を得る工程と、を含み、
    前記1段目の乳化重合反応により得られる前記シェル層を構成する前記水性重合体Aは、そのガラス転移温度が−40℃〜80℃で、且つ、その重量平均分子量が50,000以上であって、前記カルボキシル基の中和後に可溶化されずに乳白色エマルションを形成するものであり、
    前記2段目以降の乳化重合反応により得られる前記水性重合体Bは、いずれも、そのガラス転移温度が0℃〜120℃であり、
    前記水性重合体Aと前記水性重合体Bとの質量比(水性重合体A/水性重合体B)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であり(但し、前記乳化重合反応が3段以上である場合、前記水性重合体Bの質量とは前記コア層を構成する水性重合体の合計質量を意味する)、且つ
    下記条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする水性エマルションの製造方法。
    (1)前記コア層を形成する前記水性重合体Bのガラス転移温度≧前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのガラス転移温度
    (2)前記水性重合体粒子のガラス転移温度≧前記水性重合体粒子の最低造膜温度(但し、前記水性重合体粒子中には造膜助剤を含まない場合)
  6. さらに、条件(3)前記シェル層を構成する前記水性重合体Aのカルボキシル基を中和した後のpHが5.0〜10.0であり、且つ中和後の吸光度が中和前の吸光度に対して99.5〜40%の比率であること、を満たす請求項5に記載の水性エマルションの製造方法。
  7. 前記カルボキシル基非含有エチレン性不飽和単量体(a1)は、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(環状アルキルエステルも含む)、ビニル基含有単量体、水酸基含有不飽和単量体、アミド基含有不飽和単量体、アルコキシシリル基含有不飽和単量体、及びピペリジル基含有不飽和単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体である請求項5又は6に記載の水性エマルションの製造方法。
  8. 前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a2)は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の単量体である請求項5〜7のいずれか1項に記載の水性エマルションの製造方法。
  9. 前記塩基性化合物は、アミン系化合物(アミノアルコール及びアンモニアを含む)、水酸化ナトリウム、並びに水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項5〜8のいずれかに1項に記載の水性エマルションの製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性エマルション、又は請求項5〜9のいずれか1項に記載の水性エマルションの製造方法により得られた水性エマルションを用いて形成された、そのフィルムの透水量が、1,500(ml/m2・24h)未満であることを特徴とする水性コーティング剤フィルム。
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