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JP2015000523A - 環状同芯撚りコードの製造装置およびそれに用いるカセット - Google Patents

環状同芯撚りコードの製造装置およびそれに用いるカセット Download PDF

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Abstract

【課題】側線ワイヤの環状コアへの巻き付け精度の高い環状同芯撚りコードの製造装置を提供する。【解決手段】環状同芯撚りコードの製造装置は、環状コア1を周方向に回転させるコア回転機構10と、カセット50を環状コア1の輪の外側と内側とに移動させる第一カセット移動機構20と、環状コア1の輪の内側において環状コア1の回転軸の一方側から他方側へカセット50を移動させ、環状コア1の輪の外側において環状コア1の回転軸の他方側から一方側へカセット50を移動させる、第二カセット移動機構30とを備える。カセット50は、リール51を収容しリール51に巻き付けられた側線ワイヤ2の外周側を覆うカバー62を備えたケース52と、ケース52の外周に設けられたガイドブロック53とを備える。カバー52はスリット54を有し、ガイドブロック53のガイド部53aの環状コア1側の開口面積s1は、スリット54の開口面積s2よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、環状同芯撚りコードの製造装置およびそれに用いるカセットに関する。
環状コアの周囲に側線ワイヤを螺旋状に巻き付けて、環状同芯撚りコードを得る製造方法および製造装置が特許文献1により知られている。特許文献1に記載の製造装置では、側線ワイヤが巻き付けられたリールを環状コアの輪の内側と外側とをくぐらせることにより、環状コアに側線ワイヤを巻き付けて環状同芯撚りコードを製造している。
特許第3745771号公報
ところでこのような製造装置においては、リールが環状コアに接近するときには、リールから引き出される側線ワイヤが巻き付け点との間で緩んでしまう。これにより巻き付け点の位置が安定せず、巻き付け精度が低下してしまう。
そこで特許文献1に記載の製造装置において、リールが環状コアに接近するときに、リールを巻き出し方向と逆方向に回転させて、側線ワイヤがゆるまないようにしている。特許文献1に記載の製造装置では、ラックとピニオンによりリールを逆方向に回転させている。しかしこのようにリールを逆方向に回転させるための機構を製造装置に搭載すると、機構が複雑になり、またコストが増大してしまう。
そこで本発明は、簡単な機構で巻き付け精度の高い環状同芯撚りコードを提供できる製造装置およびこれに用いるカセットを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできる本発明の環状同芯撚りコードの製造装置は
環状コアを周方向に回転させるコア回転機構と、
側線ワイヤを収容したカセットを環状コアの輪の外側と内側とに移動させる第一カセット移動機構と、
環状コアの輪の内側において環状コアの回転軸の一方側から他方側へ前記カセットを移動させ、環状コアの輪の外側において環状コアの回転軸の他方側から一方側へ前記カセットを移動させる、第二カセット移動機構と、を備え、
周方向に回転する環状コアの輪の内側と外側とに前記カセットを移動させて、前記カセットから引き出した側線ワイヤを環状コアに螺旋状に巻き付けて環状同芯撚りコードを製造する環状同芯撚りコードの製造装置であって、
前記カセットは、
外周に側線ワイヤが巻き付けられたリールと、
前記リールを収容し、前記リールに巻き付けられた側線ワイヤの外周側を覆うカバーを備えたケースと、
前記ケースの外周に設けられ、前記リールから繰り出された側線ワイヤを環状コアへガイドするガイド部を備えたガイドブロックと、を有し、
前記カバーは、前記リールから前記ガイド部に向かって延びる側線ワイヤが貫通するスリットを有し、
前記ガイド部の環状コア側の開口面積は、前記スリットの開口面積よりも小さい。
また本願発明は、上記製造装置に用いられるカセットである。
本発明によれば、簡単な機構で巻き付け精度の高い環状同芯撚りコードを提供できる製造装置およびこれに用いるカセットを提供することができる。
本発明の実施形態に係る環状同芯撚りコードの製造装置の正面図である。 図1に示した製造装置の上面図である。 図1に示した製造装置による環状同芯撚りコードの製造工程を示す模式図である。 図1に示した製造装置のカセットの断面図である。 図4のV−V線での断面図である。 第一カセット移動機構により移動するカセットの動作を説明する図である。 本発明の変形例に係る製造装置の図4に対応する図である。
<本願発明の実施形態の説明>
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の実施形態は、
(1)環状コアを周方向に回転させるコア回転機構と、
側線ワイヤを収容したカセットを環状コアの輪の外側と内側とに移動させる第一カセット移動機構と、
環状コアの輪の内側において環状コアの回転軸の一方側から他方側へ前記カセットを移動させ、環状コアの輪の外側において環状コアの回転軸の他方側から一方側へ前記カセットを移動させる、第二カセット移動機構と、を備え、
周方向に回転する環状コアの輪の内側と外側とに前記カセットを移動させて、前記カセットから引き出した側線ワイヤを環状コアに螺旋状に巻き付けて環状同芯撚りコードを製造する環状同芯撚りコードの製造装置であって、
前記カセットは、
外周に側線ワイヤが巻き付けられたリールと、
前記リールを収容し、前記リールに巻き付けられた側線ワイヤの外周側を覆うカバーを備えたケースと、
前記ケースの外周に設けられ、前記リールから繰り出された側線ワイヤを環状コアへガイドするガイド部を備えたガイドブロックと、を有し、
前記カバーは、前記リールから前記ガイド部に向かって延びる側線ワイヤが貫通するスリットを有し、
前記ガイド部の環状コア側の開口面積は、前記スリットの開口面積よりも小さい、環状同芯撚りコードの製造装置である。
上記実施形態に係る環状同芯撚りコードの製造装置は、ケースの外周に設けられたガイドブロックにガイド部が設けられており、ケースにスリットが設けられている。これにより、側線ワイヤはガイド孔にガイドされてケースの内側に戻されるように移動し、巻き付け点とガイド孔との間でたるむことがなく、巻き付け点が一点に維持される。また側線ワイヤはスリットを利用して、ガイド孔とリールとの間で大きくたわむことができる。これにより、側線ワイヤは、線くせがつけられることがなくリール側に戻ることができる。したがって、簡単な機構で、巻き付け点を一定に維持することができ、巻き付け精度の高い環状同芯撚りコードを製造することができる。
(2)前記ガイド部は、前記ガイドブロックを前記リールの周方向に沿う方向に貫通する貫通孔としてもよい。
ガイド部としての貫通孔がリールの周方向に貫通していると、リールから側線ワイヤが繰り出されるときに、側線ワイヤはガイド部をスムーズに通過することができ、側線ワイヤを精度良く環状コアに巻き付けることができる。
(3)前記リールは軸受を介して相対回転可能に前記ケースに支持されており、
前記ケースは、前記リールの回転軸方向に関して前記リールの少なくとも一方の側面を覆う側壁を有し、
前記カセットは、前記リールの側面と前記ケースの前記側壁とを互いに押し付けて、前記リールの前記ケースに対する回転を抑制する制動機構を備えていてもよい。
制動機構によりリールの回転を抑制できるので、側線ワイヤを環状コアに巻き進んでカセットの慣性モーメントが小さくなっても、カセットが空転しにくい。これにより、カセットから必要な長さの側線ワイヤを繰り出すことができるので、巻き付け精度の高い環状芯線撚りコードを製造することができる。
(4)前記制動機構は前記リールに設けた磁石であって、
前記磁石によって前記リールを金属製の前記ケースに押し付けてもよい。
(5)前記制動機構は前記リールと前記側壁との間に介装されて、前記リールを前記ケースの前記側壁に押し付けるバネであってもよい。
簡易な構造でリールに制動力を作用させることができる。
また本願発明の実施形態は、(6)上述した環状同芯撚りコードの製造装置に用いられるカセットである。上記のカセットを上述した製造装置に用いると、巻き付け精度の高い環状芯線撚りコードを製造することができる。
<全体構造>
以下に、本発明の実施形態に係る環状同芯撚りコードの製造装置(以下、単に製造装置と呼ぶ)を図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る製造装置の正面図である。
図1に示したように、本実施形態に係る製造装置は、環状コア1を周方向に回転させるコア回転機構10と、第一カセット移動機構(スライドユニット)20と、第二カセット移動機構(サプライユニット)30と、側線ワイヤ2を収容したカセット50と、を備えている。
(コア回転機構)
コア回転機構10は、円環状の環状コア1の中心軸が水平方向を向く姿勢で、環状コア1を回転させる。つまり環状コア1は、図1のように正面視で輪をなす姿勢で、回転軸Bを中心にして反時計回りに周方向に回転される。コア回転機構10は、筐体11と、クランプ部12と、二対のピンチローラ部13,14と、押えローラ15とを備えている。
クランプ部12は筐体11に取り付けられている。クランプ部12は、環状コア1の最も高い位置で環状コア1に接触する。クランプ部12は、回転軸が上下方向を向き、互いに対向するように配置された二つのローラ12a,12bを備えている。このローラ12a,12bの間に環状コア1および側線ワイヤ2が挿通され、カセット50から引き出された側線ワイヤ2が環状コア1に合流する。以降の説明ではこのクランプ部12が環状コア1および側線ワイヤ2と接触する点を、巻き付け点と呼ぶ。
ピンチローラ部13,14は互いに離間した位置で、筐体11に回転可能に取り付けられている。ピンチローラ部13,14はそれぞれ、内側ローラ13a,14aおよび外側ローラ13b,14bを備えている。内側ローラ13a,14aは、ローラ駆動モータ18によって駆動される。内側ローラ13a,14aは環状コア1および側線ワイヤ2に接触し、環状コア1および側線ワイヤ2を回転させる。外側ローラ13b,14bは環状コア1および側線ワイヤ2に接触し、環状コア1および側線ワイヤ2の回転に伴って回転される。
筐体11には、回転可能にアーム16が取り付けられている。アーム16の一端には、押えローラ15が回転可能に取り付けられている。アーム16の他端は、バネ17を介して筐体11に支持されている。この押えローラ15は、下側のピンチローラ部14の下方で環状コア1に接触する。押えローラ15は、回転中に生じる環状コア1のぶれを抑制する。
(第一カセット移動機構)
図1に示したように、第一カセット移動機構20は、リンク機構21と、リンク機構21の一方側に接続された移動機構駆動モータ22と、リンク機構21の他方側に固定されたカセット連結部23とを備えている。モータ23の回転によって、リンク機構21の他方側は左右方向に移動し、正面視でカセット50を環状コア1の輪の外側と内側とに移動させる。
(第二カセット移動機構)
図1に示したように第二カセット移動機構30は、カセット連結部23の上部に設けられている。
図2は図1に示した製造装置の上面図である。図2に示したように、カセット連結部23は、環状コア1の回転面に対して環状コア1の回転軸Aの一方側と他方側とに設けられている。これら一対のカセット連結部23のそれぞれに、第二カセット移動機構30が設けられている。第二カセット移動機構30は、環状コア1の回転面Cに対して環状コア1の回転軸B方向の一方側から他方側へ、他方側から一方側へとカセット50を移動させる。第二カセット移動機構30には、互いに突き出すピン24が設けられている。このピン24によって、第二カセット移動機構30に対して相対回転不可能にカセット50が支持される。
(カセット)
図1に示したようにカセット50は、その外周に側線ワイヤ2が巻き付けられたリール51と、リール51を収容して側線ワイヤ2の外周側を覆うケース52と、ケース52の外周に設けられたガイドブロック53とを備えている。ガイドブロック53にはガイド部53aが設けられ、リール51に巻き付けられた側線ワイヤ2はこのガイド部53aにガイドされて環状コア1側に引き出される。本実施形態ではこのガイド部53aは貫通孔として形成されている。
ケース52の外周面の一部には、スリット54が設けられている。このスリット54に、リール51からガイド部53aに向かって延びる側線ワイヤ2が貫通する。
(製造装置の動作)
上述のようにして構成される製造装置は、周方向に回転する環状コア1の輪の内側と外側とにカセット50を移動させて、カセット50から引き出した側線ワイヤ2を環状コア1に螺旋状に巻き付けて環状同芯撚り線コードを製造する。以下に詳しく説明する。
図3は、本実施形態に係る製造装置による環状同芯撚りコードの製造工程を示す模式図である。
まず図3の(a)の状態では、カセット50は環状コア1の輪の外側で環状コア1の回転面Cの一方側に位置している。このとき、側線ワイヤ2はクランプ部12で環状コア1の外周に沿わされている。回転するクランプ部12のローラにより、環状コア1の回転とともに側線ワイヤ2がカセット50から引き出され、環状コア1側に引き込まれる。
図3の(a)の状態から、ピンチローラ部13,14により環状コア1を周方向に回転させつつ、第一カセット移動機構20によりカセット50を環状コア1の輪の内側に移動させる。これにより図3の(b)の状態となる。
さらに、図3の(b)の状態から、環状コア1を周方向に回転させつつ、第二カセット移動機構20によりカセット50を環状コア1の回転面Cの他方側に移動させる。これにより図3の(c)の状態となる。すると、クランプ部12において、側線ワイヤ2は環状コア1の半周分だけ螺旋状に巻き付けられる。
そして図3の(c)の状態から、環状コア1を周方向に回転させつつ、第一カセット移動機構20によりカセット50を環状コア1の輪の外側に移動させる。これにより図3の(d)の状態となる。
さらに図3の(d)の状態から、環状コア1を周方向に回転させつつ、第二カセット移動機構20によりカセット50を環状コア1の回転面Cの一方側に移動させる。これにより図3の(a)の状態となる。すると、クランプ部12において、側線ワイヤ2はさらに環状コア1の半周分螺旋状に巻き付けられる。これにより、側線ワイヤ2は環状コア1に対して一周することになる。
図3の(a)〜(d)の工程を繰り返し、環状コア1を回転させながらカセット50を移動させると、環状コア1の外周に側線ワイヤが螺旋状に巻き付けられる。なお、場合によっては図3の(a)〜(d)の工程を逆に繰り返すことにより、(a)〜(d)の工程を順に繰り返して得られる撚り方向とは逆の撚り方向で、側線ワイヤ2を環状コア1に巻き付けることができる。例えば、図3の(a)〜(d)の工程を順方向に繰り返して一層目の側線ワイヤ2をS巻きで環状コア1に巻き付け、工程を逆方向に繰り返して二層目の側線ワイヤ2をZ巻きで環状コア1に巻き付けてもよい。
(カセットの詳細)
図4はカセット50の縦断面図である。以下の説明において、図4において右側を一方側、左側を他方側と定義する。また、リール51の回転軸Dに近い側(図4の上下方向中央部)を内周側、リール51の回転軸Dから遠い側(図4の上下方向端部)を外周側と呼ぶ。
図4に示すように、リール51は、外周部に巻き付け凹部51aが形成されている。この巻き付け凹部51aに側線ワイヤ2が規則正しく配列されて巻きつけられている。リール51の内周部がケース52に対して回転可能に取り付けられている。
ケース52は、内周部61、外周部(カバー)62、一方側側壁部63、他方側側壁部64とを備えている。内周部61、外周部62、一方側側壁部63、他方側側壁部64で囲まれた内部空間Sの中に、リール51が回転可能に収容されている。
外周部62はリール51に巻き付けられた側線ワイヤ2の外周側を覆う。内周部61の外周側には軸受65を介してリール51が回転可能に取り付けられている。これにより、リール51はケース52に対して回転可能とされている。
また内周部61には、二本の支持孔66がリール51の回転軸D方向に延びるように形成されている。これらの支持孔66には、カセット連結部23のピン24がそれぞれ挿通可能とされている。このように、カセット50はカセット連結部23に二点で支持されているので、カセット50はカセット連結部23に対して相対回転不可能とされている。
ケース52の内部空間Sには、回転するリール51と干渉しない位置に磁石67が設けられている。この磁石67は一方側側壁部63に固定されている。リール51の他方側には、磁性体68が固定されている。磁石67と磁性体68とが磁力により引き合うことにより、リール51の一方側の面51bがカバー52の一方側側壁部63の内壁面63aに押し付けられている。これにより、リール51のケース52に対する相対回転に対して制動力を付与することができる。
図5は図4のV−V線断面図である。図5に示したように、ケース52の外周部62には、ガイドブロック53と、スリット54とが設けられている。ガイドブロック53は、リール51の回転軸D方向からみて、リール51の回転軸Dよりも環状コア1から遠ざかる方向の側(図5において右側)に設けられている。より具体的には、リール51の回転軸D方向から見て、リール51の回転軸Dとガイド孔53aとを結ぶ線分が第一カセット移動機構によるカセットの移動方向と直交する方向となす角度θが、0度以上90度未満となる位置に、ガイド孔53aが設けられている。
スリット54はガイドブロック53よりも環状コア1から遠ざかる方向の側に設けられている。またガイド部53aの環状コア1側の開口面積s1は、スリット54の開口面積s2よりも小さくされている。
(ガイド部およびスリットの効果)
図6は第一カセット移動機構20により移動するカセット50の動作を説明する図である。
上述したようにカセット50は環状コア1の輪の内側と外側との間を往復運動する。この往復運動の速度は環状コア1の回転速度よりも遅く設定されている。このため、カセット50が環状コア1の輪の内側に向かって移動するときは、カセット50から繰り出される側線ワイヤ2には圧縮力が作用し、リール51と巻き付け点Aとの間で側線ワイヤ2がたるんでしまう虞がある。
そこで特許文献1の製造装置では、リールを逆回転させることにより側線ワイヤを巻き取り、巻き付け点とリールとの間で側線ワイヤがたるむことを防止していた。しかしこのような機構は複雑になりやすく、メインテナンスが複雑になったり、製造装置の製造コストが嵩んでしまう。
そこで本実施形態に係る製造装置においては、カセット50にガイド孔53aとスリット54とが設けられている。カセット50が環状コア1の輪の内側に向かって移動し側線ワイヤ2に圧縮力が作用したときに、側線ワイヤ2はガイド孔53aにガイドされてケース52の内側に戻されるように移動する。このため、巻き付け点Aとガイド孔53aとの間で側線ワイヤ2がたるむことがなく、巻き付け点Aを一点に維持することができる。
さらに側線ワイヤ2がガイド孔53aからケース52に向かって戻されると、側線ワイヤ2はガイド孔53aとリール51との間で屈曲して、戻されてきた余長分を吸収しようとする。このときケース52はスリット54を有しているため、側線ワイヤ2はスリット54を利用して、カセット50の外側にはみ出すように大きな曲率半径でたわむことができる。これにより、側線ワイヤ2が急角度で曲げられることがないので、側線ワイヤ2に線くせがつけられることがなく、側線ワイヤ2はリール51側に戻ることができる。
このように本実施形態に係る製造装置によれば、特許文献1に記載の製造装置のようにリールを逆回転させるような機構を搭載せずに、ガイド孔53aとスリット54という簡単な機構で、巻き付け点を一定に維持することができ、巻き付け精度の高い環状同芯撚りコードを製造することができる。
なお、ガイド孔53aの環状コア1側の開口面積s1が大きいと、ガイド孔53aを通過する側線ワイヤ2の位置がばらついてしまうため、開口面積s1は小さいことが好ましい。一方で、スリット54の開口面積s2は、側線ワイヤ2が大きくたわむことができるように大きいことが好ましい。そこで本実施形態に係る製造装置においては、ガイド孔53aの環状コア1側の開口面積s1はスリット54の開口面積s2よりも小さく設定されている。
また図6に示したように、本実施形態に係る製造装置においては、リール51から繰り出される側線ワイヤ2は下側から環状コア1と遠い側を通って上側に向かい、スリット54、ガイド孔53aを通過して、環状コア1と合流する巻き付け点Aに到達する。
カセット50が環状コア1の輪の外側に位置している場合には、巻き付け点Aとガイド孔53aとの距離が離れている。このため、リール51から繰り出される側線ワイヤ2の向きがガイド孔53aにおいて変化しにくく、側線ワイヤ2はガイド孔53aから円滑に環状コア1側に繰り出される。
しかしカセット50が環状コア1の輪の内側に位置した場合には、巻き付け点Aとガイド孔53aとの距離が近くなる。このため、リール51から巻き付け点Aに向かう側線ワイヤ2がガイド孔53aにおいて大きく屈曲される虞がある。
そこで本実施形態に係る製造装置においては、ガイド孔53aが巻き付け点Aから遠い位置に設けられている。このため、カセット50が環状コア1の輪の内側に位置した場合であってもガイド孔53aと巻き付け点Aとの離間距離を大きく確保でき、側線ワイヤ2がリール51からガイド孔53aに向かう経路と、側線ワイヤ2がガイド孔53aから巻き付け点Aに向かう経路とが大きく変化しにくい。そのため、リール51から繰り出された側線ワイヤ2は直線的に巻き付け点Aに向かうことができる。これにより、側線ワイヤ2は、ガイド孔53aで極端にその向きが変えられず、巻き付け点Aに向かって円滑に繰り出される。
また本実施形態に係る製造装置において、カセット50のケース52には、リール51から引き出された側線ワイヤ2をガイド孔53aに向かって繰り出すスリット54が設けられている。このスリット54は、ガイド孔53aよりもカセット50の環状コア1から遠ざかる方向の側に設けられている。このため、リール51から引き出された側線ワイヤ2がスリット54でたるむことができ、ガイド孔53aに対して小さな進入角度で進入することができる。
側線ワイヤ2が十分にたるむことができるように、このスリット54の開口面積s2は、リール51の回転軸Dに対して20度以上の大きさに形成されていることが好ましい。
またこのようにスリット54の開口面積s2が大きく設定されているので、リール51に側線ワイヤ2を巻き付ける際には、大きく開口しているスリット54を使って作業をすることができ、作業性が良い。
(制動機構の作用・効果)
本実施形態に係る製造装置によれば、図4に示したようにリール51が軸受65を介して相対回転可能にケース52に支持されている。また、ケース52はリール51の回転軸D方向に関してリール51の一方側の一方側側壁部63を有している。さらに、一方側側壁部63に取り付けられた磁石67が、リール51に取り付けられた磁性体68を引き付けることにより、リール51の一方側の側面51bとケース52の一方側側壁部63とを互いに押し付けている。このように本実施形態に係る製造装置において、磁石67と磁性体68とが制動機構として機能し、リール51のケース52に対する回転を抑制している。
環状コア1への側線ワイヤ2の巻き付けが進むと、カセット50内の側線ワイヤ2の量が少なくなる。すると、側線ワイヤ2が巻き付けられたリール51が軽くなり慣性モーメントが小さくなるので、リール51が空転しやすくなる。リール51が空転すると側線ワイヤ2が必要量以上に引き出されて環状芯線撚りコードの巻き付け精度が低下する虞がある。
そこで本実施形態に係る製造装置によれば、制動機構によりリール51の回転を抑制している。これにより、カセット50内の側線ワイヤ2の量によらない一定の制動力を付与することができ、常に側線ワイヤ2を必要量のみ繰り出させることができる。これにより、正確に側線ワイヤ2を環状コア1に巻き付けることができる。なお、磁石68が作用させる制動力はリール51の回転軸Dに沿った方向に作用するため、制動力は重力に影響を受けない。このため、制動機構は、側線ワイヤ2の量によらない制動力を発揮することができる。
なお、上述の実施形態ではケース52に磁石67を設け、リール51に磁性体68を設けて、制動機構を構成した例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、ケース52を金属で形成し、磁石をリールに設けても、リール51をケース52に押し付けて、リール51の回転を抑制することができる。
あるいは磁石に限らず、図7に示した変形例のように構成してもよい。図7は、本発明の変形例に係る製造装置の図4に対応する図である。本変形例においては、リール51とケース52との間に、リール51をケース52の一方向側に押し付けるバネ69が設けられている。このバネ69によってリール51の一方側の面51bをケース52の一方側側壁部63に押し付ける。これにより、リール51の回転を抑制している。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1:環状コア
2:側線ワイヤ
10:コア回転機構
20:第一カセット移動機構
30:第二カセット移動機構
50:カセット
51:リール
52:ケース
53:ガイドブロック
53a:ガイド孔
54:スリット
61:内周部
62:外周部
63:一方側側壁部
64:他方側側壁部
S:内部空間
65:軸受65
66:支持孔
67:磁石
68:磁性体
A:巻き付け点
B:環状コアの回転軸
C:環状コアの回転面
D:リールの回転軸

Claims (6)

  1. 環状コアを周方向に回転させるコア回転機構と、
    側線ワイヤを収容したカセットを環状コアの輪の外側と内側とに移動させる第一カセット移動機構と、
    環状コアの輪の内側において環状コアの回転軸の一方側から他方側へ前記カセットを移動させ、環状コアの輪の外側において環状コアの回転軸の他方側から一方側へ前記カセットを移動させる、第二カセット移動機構と、を備え、
    周方向に回転する環状コアの輪の内側と外側とに前記カセットを移動させて、前記カセットから引き出した側線ワイヤを環状コアに螺旋状に巻き付けて環状同芯撚りコードを製造する環状同芯撚りコードの製造装置であって、
    前記カセットは、
    外周に側線ワイヤが巻き付けられたリールと、
    前記リールを収容し、前記リールに巻き付けられた側線ワイヤの外周側を覆うカバーを備えたケースと、
    前記ケースの外周に設けられ、前記リールから繰り出された側線ワイヤを環状コアへガイドするガイド部を備えたガイドブロックと、を有し、
    前記カバーは、前記リールから前記ガイド部に向かって延びる側線ワイヤが貫通するスリットを有し、
    前記ガイド部の環状コア側の開口面積は、前記スリットの開口面積よりも小さい、環状同芯撚りコードの製造装置。
  2. 前記ガイド部は、前記ガイドブロックを前記リールの周方向に沿う方向に貫通する貫通孔である、請求項1に記載の環状同芯撚りコードの製造装置。
  3. 前記リールは軸受を介して相対回転可能に前記ケースに支持されており、
    前記ケースは、前記リールの回転軸方向に関して前記リールの少なくとも一方の側面を覆う側壁を有し、
    前記カセットは、前記リールの側面と前記ケースの前記側壁とを互いに押し付けて、前記リールの前記ケースに対する回転を抑制する制動機構を備えている、請求項1または2に記載の環状同芯撚りコードの製造装置。
  4. 前記制動機構は前記リールに設けた磁石であって、
    前記磁石によって前記リールを金属製の前記ケースに押し付ける、請求項3に記載の環状同芯撚りコードの製造装置。
  5. 前記制動機構は前記リールと前記側壁との間に介装されて、前記リールを前記ケースの前記側壁に押し付けるバネである、請求項3に記載の環状同芯撚りコードの製造装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の環状同芯撚りコードの製造装置に用いられる、カセット。
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