JP2015086328A - 熱硬化性組成物、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化物の耐熱性及び難燃性に優れた熱硬化性組成物を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板を提供することを目的とする。【解決手段】熱硬化性化合物と、前記熱硬化性化合物と反応する硬化剤と、難燃剤とを含有し、前記難燃剤が、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物に相溶する相溶性リン化合物と、前記混合物に相溶しない非相溶性リン化合物とを含有する熱硬化性組成物を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性組成物、前記熱硬化性組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板に関する。
エポキシ樹脂組成物等の熱硬化性組成物は、耐熱性に優れ、電気絶縁性や寸法安定性等に優れることも多いため、プリント配線板の基材を構成する基板材料等としての利用が広く検討されている。
一方、熱硬化性組成物を基板材料として用いる場合、熱硬化性組成物は、その硬化物の耐熱性が高いだけではなく、難燃性に優れていることも求められる。そして、例えば、エポキシ樹脂は、難燃性に比較的乏しいため、プリント配線板を製造する際に用いられるエポキシ樹脂組成物には、一般的に、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤や、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のハロゲン含有エポキシ樹脂等の難燃性を付与する効果の高いハロゲン系難燃剤が配合されることが多かった。
しかしながら、このようなハロゲンを含有するエポキシ樹脂組成物は、その硬化物にハロゲンを含有することになり、燃焼時にハロゲン化水素等の有害物質を生成するおそれがあり、人体や自然環境に対し悪影響を及ぼす懸念が指摘されている。このような悪影響の発生を抑制するために、ハロゲン系難燃剤の代わりに、難燃剤として、リン化合物を配合して、ハロゲンを含まないようにすること、いわゆるハロゲンフリー化が求められている。
難燃剤として、リン化合物を配合した樹脂組成物としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載の樹脂組成物が挙げられる。
特許文献1には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、リン化合物、及びカップリング剤で表面処理した無機フィラーを含有する粉末状のエポキシ樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂及び硬化剤を必須成分とし、硬化剤として、所定の変性フェノール型樹脂を用い、かつ、さらにエポキシ樹脂及び硬化剤に加え、さらにリン系難燃剤を併用する電気積層板用エポキシ樹脂組成物が記載されている。
特許文献1及び特許文献2に記載の樹脂組成物は、難燃剤として、ハロゲン系難燃剤ではなく、リン化合物を用いることで、ハロゲンフリー化を実現している。そして、特許文献1には、ハロゲン系難燃剤を使用することなしに、難燃性等の良好な積層板を得ることができることが開示されている。また、特許文献2には、ハロゲン系難燃剤の使用量を低減、あるいはハロゲン系難燃剤の使用を伴わずに、優れた耐半田性と耐薬品性とを発現しうることが開示されている。
また、プリント配線板の基材を構成するための基板材料は、半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術の進展に対応するため、各種特性の要求がさらに高まっている。具体的には、硬化物の優れた耐熱性を維持したまま、硬化物の難燃性をさらに高めること等が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、硬化物の耐熱性及び難燃性に優れた熱硬化性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板を提供することを目的とする。
硬化物の難燃性を高めるためには、熱硬化性組成物における難燃剤の含有量を増やすことが考えられる。しかしながら、本発明者等の検討によれば、難燃剤の含有量を単に増やしただけでは、電気絶縁性等の電気特性や硬化物の耐熱性等が低下する場合があった。そこで、本発明者等は、種々検討した結果、難燃剤の組成が、硬化物の難燃性に影響されることを見出した。そして、この影響をさらに検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
本発明の一態様に係る熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物と、前記熱硬化性化合物と反応する硬化剤と、難燃剤とを含有する。そして、この熱硬化性組成物に含有される難燃剤が、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物に相溶する相溶性リン化合物と、前記混合物に相溶しない非相溶性リン化合物とを含有する。
また、前記熱硬化性組成物において、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物との含有比が、質量比で20:80〜80:20であることが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、リン原子の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、1.8〜5.2質量部であることが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、前記相溶性リン化合物が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、亜リン酸エステル化合物、及びホスフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記非相溶性リン化合物が、ホスフィン酸塩化合物、ポリリン酸塩化合物、及びホスホニウム塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物を含むことが好ましい。また、前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、ジアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、及びイソシアネート系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、前記エポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、及びナフタレン環含有エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、前記熱硬化性化合物に対する前記硬化剤の当量比が、0.3〜2であることが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、充填材として、シリカ、マイカ、及びタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、前記熱硬化性組成物において、前記充填材の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましい。
また、本発明の他の一態様に係るプリプレグは、前記熱硬化性組成物を繊維質基材に含浸させて得られることを特徴とする。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする。
また、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、前記金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られることを特徴とする。
本発明によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性に優れた熱硬化性組成物を提供することができる。また、本発明によれば、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板が提供される。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物と、この熱硬化性化合物と反応する硬化剤と、難燃剤とを含有する。
まず、本実施形態で用いられる熱硬化性化合物は、熱硬化性を有する化合物であれば、特に限定されない。具体的には、プリント配線板を製造する際に用いる熱硬化性組成物に含まれる熱硬化性化合物等が挙げられる。より具体的には、エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、フェノール樹脂、及びベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。熱硬化性化合物としては、この中でも、エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物は、積層板や回路基板の製造に用いられ得る各種基板の原料として用いられるエポキシ化合物であれば、特に限定されない。エポキシ化合物は、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、及びナフタレン環含有エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、前記各エポキシ化合物の重合体であるエポキシ樹脂も含まれる。また、エポキシ化合物としては、この中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ化合物のエポキシ当量としては、100〜500であることが好ましい。
フェノール樹脂は、積層板や回路基板の製造に用いられ得る各種基板の原料として用いられるフェノール樹脂であれば、特に限定されない。フェノール樹脂は、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
また、ベンゾオキサジン化合物は、分子内にベンゾオキサジン環を有する化合物であり、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性化合物は、エポキシ化合物が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ化合物やフェノールノボラック型エポキシ化合物がより好ましい。
また、熱硬化性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態で用いられる硬化剤は、前記熱硬化性化合物と反応する硬化剤であれば、特に限定されない。硬化剤は、用いる熱硬化性化合物によって、異なる。具体的には、熱硬化性化合物としてエポキシ化合物を用いた場合の硬化剤は、フェノール系硬化剤、ジアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、及びイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。フェノール系硬化剤は、具体的には、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。また、ジアミン系硬化剤は、具体的には、ジエチルジアミノジフェニルメタンやジシアンジアミド等が挙げられる。また、酸無水物系硬化剤は、具体的には、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。また、シアネート系硬化剤は、具体的には、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。また、イソシアネート系硬化剤は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)等が挙げられる。また、硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記熱硬化性化合物に対する前記硬化剤の当量比が、0.3〜2であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。すなわち、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の各含有量は、上記当量比を満たす含有量であることが好ましい。前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の各含有量が、上記当量比を満たすような含有量であれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物になる。このことは、前記熱硬化性化合物と前記硬化剤との硬化反応が好適に進行するためと考えられる。
また、本実施形態で用いられる難燃剤は、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物に相溶する相溶性リン化合物と、前記混合物に相溶しない非相溶性リン化合物とを含有する。
前記相溶性リン化合物は、難燃剤として作用し、かつ、前記混合物に相溶するリン化合物であれば、特に限定されない。また、相溶とは、この場合、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物中で、例えば分子レベルで微分散する状態になることをいう。前記相溶性リン化合物としては、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、亜リン酸エステル化合物、及びホスフィン化合物等が挙げられる。また、ホスファゼン化合物としては、例えば、環状又は鎖状のホスファゼン化合物が挙げられる。なお、環状ホスファゼン化合物は、シクロホスファゼンとも呼ばれ、リンと窒素とを構成元素とする二重結合を分子内に有する化合物であって、環状構造を有するものである。また、リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジ2,6−キシレニルホスフェート)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(DOPO)、芳香族縮合リン酸エステル化合物等の縮合リン酸エステル化合物、及び環状リン酸エステル化合物等が挙げられる。また、亜リン酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルホスファイト、及びトリエチルホスファイト等が挙げられる。また、ホスフィン化合物としては、例えば、トリス−(4−メトキシフェニル)ホスフィン、及びトリフェニルホスフィン等が挙げられる。また、前記相溶性リン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記非相溶性リン化合物は、難燃剤として作用し、かつ、前記混合物に相溶しない非相溶のリン化合物であれば、特に限定されない。また、非相溶とは、この場合、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物中で相溶せず、対象物(リン化合物)が混合物中に島状に分散する状態になることをいう。前記非相溶性リン化合物としては、ホスフィン酸塩化合物、ポリリン酸塩化合物、及びホスホニウム塩化合物等が挙げられる。また、ホスフィン酸塩化合物としては、例えば、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル等が挙げられる。また、ポリリン酸塩化合物としては、例えば、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム等が挙げられる。また、ホスホニウム塩化合物としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、及びテトラフェニルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。また、前記非相溶性リン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る熱硬化性組成物は、難燃剤として、上述したように、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物とを併用することによって、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物とのいずれか一方のみを用いた場合より、得られた硬化物の難燃性を高めることができる。そして、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物との併用は、熱硬化性化合物の、硬化剤による硬化反応の阻害を充分に抑制しつつ、得られた硬化物の難燃性を高めることができると考えられる。さらに、前記硬化反応の阻害を充分に抑制するので、硬化物の耐熱性の低下も充分に抑制できると考えられる。これらのことから、上記熱硬化性組成物は、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れたものになると考えられる。また、難燃剤として、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物とのいずれかを用いた場合、前記併用の場合と同程度の難燃性を確保しようとすると、前記相溶性リン化合物又は前記非相溶性リン化合物を多量に含有させる必要がある。すなわち、本実施形態における、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物との合計含有量より、前記相溶性リン化合物又は前記非相溶性リン化合物を多量に含有させる必要がある。このように、難燃剤として、前記併用をするのではなく、単に含有量を増やすだけでは、電気絶縁性等の電気特性や硬化物の耐熱性等が低下することが考えられる。このことから、難燃剤として、前記併用を採用すると、後述するような含有量で、電気絶縁性等の電気特性や硬化物の耐熱性等の低下を抑制しつつ、難燃性を高めることができる。
また、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物との含有比は、質量比で20:80〜80:20であることが好ましく、20:80〜50:50であることが好ましい。このような含有比であれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物になる。このことは、難燃剤として、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物とを併用する上記効果をより発揮することができるためと考えられる。
また、本実施形態に係る熱硬化性組成物は、リン原子の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、1.8〜5.2質量部であることが好ましく、1.8〜5質量部であることがより好ましく、1.8〜4.8質量部であることがさらに好ましい。また、前記難燃剤の含有量としては、前記熱硬化性組成物における、リン原子の含有量が上記範囲内になるような含有量であることが好ましい。このような含有量であれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物になる。このことは、難燃剤を含有することによる、電気絶縁性等の電気特性や硬化物の耐熱性等の低下を充分に抑制しつつ、難燃性を充分に高めることができることによると考えられる。なお、有機成分(前記難燃剤を除く)とは、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤等の有機成分を含むものであり、その他の有機成分を追加的に添加する場合には、この追加的に添加した有機成分も含むものとする。
また、本実施形態に係る熱硬化性組成物には、難燃剤として、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物とからなるものであってもよいし、この2種以外の難燃剤も含有してもよい。また、難燃剤として、前記相溶性リン化合物及び前記非相溶性リン化合物以外の難燃剤を含有してもよいが、ハロゲンフリーの観点から、ハロゲン系難燃剤は含有しないことが好ましい。
また、本実施形態に係る熱硬化性組成物は、前記熱硬化性化合物と前記硬化剤と前記難燃剤とからなるものであってもよいが、前記熱硬化性化合物と前記硬化剤と前記難燃剤とを含んでいれば、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分として、例えば、充填材や添加剤等が挙げられる。
また、本実施形態に係る熱硬化性組成物には、上述したように、充填材を含有してもよい。充填材としては、熱硬化性組成物の硬化物の、耐熱性や難燃性を高めるために添加するもの等が挙げられ、特に限定されない。また、充填材を含有させることによって、耐熱性や難燃性等をさらに高めることができる。充填材としては、具体的には、球状シリカ等のシリカ、アルミナ、酸化チタン、及びマイカ等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、タルク、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。また、充填材としては、この中でも、シリカ、マイカ、及びタルクが好ましく、球状シリカがより好ましい。また、充填材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、充填材としては、そのまま用いてもよいが、エポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理したものを用いてもよい。
また、充填材を含有する場合、その含有量は、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、30〜150質量部であることが好ましい。
また、本実施形態に係る熱硬化性組成物には、上述したように、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤及びアクリル酸エステル系消泡剤等の消泡剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、滑剤、湿潤分散剤等の分散剤等が挙げられる。
本実施形態に係る熱硬化性組成物は、プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸する目的でワニス状に調製して用いてもよい。すなわち、熱硬化性組成物は、通常、ワニス状に調製されたものとしてもよい。このようなワニス状の熱硬化性組成物は、例えば、以下のようにして調製される。
まず、熱硬化性化合物、硬化剤、及び相溶型の難燃剤等の、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられる、有機溶媒に溶解しない成分、例えば、無機充填材、及び非相溶型の難燃剤等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、熱硬化性化合物、硬化剤、及び難燃剤等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエンやメチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。
また、本実施形態に係る熱硬化性組成物を、繊維質基材に含浸させることによって、プリプレグとしてもよい。すなわち、本発明の実施形態に係るプリプレグは、前記熱硬化性組成物を繊維質基材に含浸させて得られたものである。このようなプリプレグを製造する方法としては、例えば、前記熱硬化性組成物、例えば、ワニス状に調製された熱硬化性組成物を繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
プリプレグを製造する際に用いられる繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.02〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
熱硬化性組成物の繊維質基材への含浸は、浸漬及び塗布等によって行われる。この含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の熱硬化性組成物を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び含浸量に調整することも可能である。
熱硬化性組成物が含浸された繊維質基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜180℃で1〜10分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
このようにして得られたプリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。すなわち、本発明の実施形態に係る金属張積層板は、上述のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたものである。また、加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができる。例えば、温度を170〜210℃、圧力を1.5〜4.0MPa、時間を60〜150分間とすることができる。
本実施形態に係る熱硬化性組成物は、硬化物の耐熱性及び難燃性に優れたものである。このため、この熱硬化性組成物を用いて得られたプリプレグは、耐熱性及び難燃性に優れた金属張積層板を製造することができるプリプレグである。また、このプリプレグを用いた金属張積層板は、耐熱性及び難燃性に優れたプリント配線板を製造することができる。
そして、作製された金属張積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をすることによって、金属張積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができるものである。すなわち、本発明の実施形態に係るプリント配線板は、前記金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られたものである。このように得られるプリント配線板は、耐熱性及び難燃性が優れたものである。
本明細書は、上述したように、様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係る熱硬化性組成物は、熱硬化性化合物と、前記熱硬化性化合物と反応する硬化剤と、難燃剤とを含有する。そして、この熱硬化性化合物に含有される難燃剤が、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物に相溶する相溶性リン化合物と、前記混合物に相溶しない非相溶性リン化合物とを含有する。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性に優れた熱硬化性組成物を提供することができる。このことは、難燃剤として、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物とを併用することによって、得られた硬化物の難燃性を、より高めることができることを、本発明者等が見出したことでなされたものである。すなわち、難燃剤として、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物とを併用することによって、相溶性リン化合物及び非相溶性リン化合物のいずれかを用いた場合より、得られた硬化物の難燃性を高めることができることによる。そして、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物との併用は、熱硬化性化合物の、硬化剤による硬化反応の阻害を充分に抑制しつつ、得られた硬化物の難燃性を高めることができると考えられる。そして、前記硬化反応の阻害を充分に抑制するので、硬化物の耐熱性の低下も充分に抑制できると考えられる。これらのことから、上記熱硬化性組成物は、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れたものになると考えられる。
以上のことから、上記のような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性に優れた熱硬化性組成物が得られる。
また、前記熱硬化性組成物において、前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物との含有比が、質量比で20:80〜80:20であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。このことは、難燃剤として、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物とを併用する上記効果をより発揮することができるためと考えられる。
また、前記熱硬化性組成物において、リン原子の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、1.8〜5.2質量部であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。このことは、難燃剤を含有することによる、硬化物の耐熱性の低下を充分に抑制しつつ、難燃性を充分に高めることができることによると考えられる。
また、前記熱硬化性組成物において、前記相溶性リン化合物が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、亜リン酸エステル化合物、及びホスフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記非相溶性リン化合物が、ホスフィン酸塩化合物、ポリリン酸塩化合物、及びホスホニウム塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。
また、前記熱硬化性組成物において、前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物を含むことが好ましい。また、前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、ジアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、及びイソシアネート系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。
また、前記熱硬化性組成物において、前記エポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、及びナフタレン環含有エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。
また、前記熱硬化性組成物において、前記熱硬化性化合物に対する前記硬化剤の当量比が、0.3〜2であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。このことは、前記熱硬化性化合物と前記硬化剤との硬化反応が好適に進行するためと考えられる。
また、前記熱硬化性組成物において、充填材として、シリカ、マイカ、及びタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。
また、前記熱硬化性組成物において、前記充填材の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の耐熱性及び難燃性により優れた熱硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明の他の一態様に係るプリプレグは、前記熱硬化性組成物を繊維質基材に含浸させて得られることを特徴とする。
このような構成によれば、耐熱性及び難燃性に優れた金属張積層板を製造することができるプリプレグが得られる。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする。
このような構成によれば、耐熱性及び難燃性に優れたプリント配線板を製造することができる金属張積層板が得られる。
また、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、前記金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られることを特徴とする。
このような構成によれば、耐熱性及び難燃性に優れたプリント配線板が得られる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜15、及び比較例1〜4]
本実施例において、熱硬化性組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
本実施例において、熱硬化性組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
(熱硬化性化合物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン850S:エポキシ当量188)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN775:エポキシ当量190)
(硬化剤)
フェノール系硬化剤:ノボラックフェノール樹脂(DIC株式会社製のTD−2090:官能基当量105)
ジアミン系硬化剤:3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン)(日本化薬株式会社製の芳香族ジアミン カヤハードA−A:官能基当量63)
酸無水物系硬化剤:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)(DIC株式会社製のB−650:官能基当量168)
シアネート系硬化剤:ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン株式会社製のBadcy:官能基当量139)
イソシアネート系硬化剤:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)(ナカライテスク株式会社製:官能基当量125)
(相溶性リン化合物)
リン酸エステル化合物:芳香族縮合リン酸エステル化合物(大八化学工業株式会社製のPX−200:リン濃度9質量%)
ホスファゼン化合物:環状ホスファゼン化合物(大塚化学株式会社製のSPB−100:リン濃度13質量%)
(非相溶性リン化合物)
ホスフィン酸塩化合物:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム(クラリアントジャパン株式会社製のエクソリットOP−935:リン濃度23質量%)
ポリリン酸塩化合物:ポリリン酸メラミン(BASF社製のMelapur200:リン濃度13質量%)
(充填材)
球状シリカ(株式会社アドマテックス製のSO25R)
[調製方法]
まず、各成分を表1及び表2に記載の配合割合で、固形分濃度が60質量%となるように、メチルエチルケトン(MEK)に添加し、混合させた。その混合物を、80℃になるまで加熱し、80℃のままで30分間攪拌することによって、ワニス状の熱硬化性組成物(ワニス)が得られた。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン850S:エポキシ当量188)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN775:エポキシ当量190)
(硬化剤)
フェノール系硬化剤:ノボラックフェノール樹脂(DIC株式会社製のTD−2090:官能基当量105)
ジアミン系硬化剤:3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン)(日本化薬株式会社製の芳香族ジアミン カヤハードA−A:官能基当量63)
酸無水物系硬化剤:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)(DIC株式会社製のB−650:官能基当量168)
シアネート系硬化剤:ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン株式会社製のBadcy:官能基当量139)
イソシアネート系硬化剤:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)(ナカライテスク株式会社製:官能基当量125)
(相溶性リン化合物)
リン酸エステル化合物:芳香族縮合リン酸エステル化合物(大八化学工業株式会社製のPX−200:リン濃度9質量%)
ホスファゼン化合物:環状ホスファゼン化合物(大塚化学株式会社製のSPB−100:リン濃度13質量%)
(非相溶性リン化合物)
ホスフィン酸塩化合物:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム(クラリアントジャパン株式会社製のエクソリットOP−935:リン濃度23質量%)
ポリリン酸塩化合物:ポリリン酸メラミン(BASF社製のMelapur200:リン濃度13質量%)
(充填材)
球状シリカ(株式会社アドマテックス製のSO25R)
[調製方法]
まず、各成分を表1及び表2に記載の配合割合で、固形分濃度が60質量%となるように、メチルエチルケトン(MEK)に添加し、混合させた。その混合物を、80℃になるまで加熱し、80℃のままで30分間攪拌することによって、ワニス状の熱硬化性組成物(ワニス)が得られた。
次に、得られたワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製の♯7628タイプ、Eガラス)に含浸させた後、150℃で約6分間加熱乾燥することによりプリプレグを得た。その際、熱硬化性化合物及び硬化剤等の、硬化反応により樹脂を構成する成分の含有量(レジンコンテント)が約50質量%となるように調整した。
そして、得られた各プリプレグを4枚重ねて積層し、温度200℃、2時間、圧力3MPaの条件で加熱加圧することにより、所定の厚みの評価基板を得た。具体的には、例えば、得られた各プリプレグを4枚重ねて積層することによって、厚み約0.8mmの評価基板を得た。
上記のように調製された各プリプレグ及び評価基板を、以下に示す方法により評価を行った。
[難燃性]
評価基板から、長さ125mm、幅12.5mmのテストピースを切り出した。そして、このテストピースについてUnderwriters Laboratoriesの”Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94” に準じて、燃焼試験を10回行った。具体的には、5個のテストピールをそれぞれ2回ずつ燃焼試験を行った。その燃焼試験の際の燃焼持続時間の合計時間により、燃焼性を評価した。
評価基板から、長さ125mm、幅12.5mmのテストピースを切り出した。そして、このテストピースについてUnderwriters Laboratoriesの”Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94” に準じて、燃焼試験を10回行った。具体的には、5個のテストピールをそれぞれ2回ずつ燃焼試験を行った。その燃焼試験の際の燃焼持続時間の合計時間により、燃焼性を評価した。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて、プリプレグのTgを測定した。このとき、曲げモジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanδが極大を示す温度をTgとした。
セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて、プリプレグのTgを測定した。このとき、曲げモジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanδが極大を示す温度をTgとした。
[吸湿半田耐熱性]
吸湿半田耐熱性は、JIS C 6481に準拠の方法で測定した。具体的には、評価基板を、121℃、2気圧(0.2MPa)、2時間のプレッシャークッカーテスト(PCT)を行い、各サンプルで行い、サンプル数5個で、260℃の半田槽中に20秒間浸漬し、ミーズリングや膨れ等の発生の有無を目視で観察した。ミーズリングや膨れ等の発生が確認できなければ、「○」と評価し、発生が確認できれば、「×」と評価した。また、別途、260℃の半田槽の代わりに、288℃の半田槽を用いて、同様の評価を行った。
吸湿半田耐熱性は、JIS C 6481に準拠の方法で測定した。具体的には、評価基板を、121℃、2気圧(0.2MPa)、2時間のプレッシャークッカーテスト(PCT)を行い、各サンプルで行い、サンプル数5個で、260℃の半田槽中に20秒間浸漬し、ミーズリングや膨れ等の発生の有無を目視で観察した。ミーズリングや膨れ等の発生が確認できなければ、「○」と評価し、発生が確認できれば、「×」と評価した。また、別途、260℃の半田槽の代わりに、288℃の半田槽を用いて、同様の評価を行った。
上記各評価における結果は、表1及び表2に示す。
表1及び表2からわかるように、熱硬化性化合物と硬化剤とを含み、難燃剤として、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物とを併用する熱硬化性組成物を用いた場合(実施例1〜15)は、難燃剤として、相溶性リン化合物及び非相溶性リン化合物のいずれか一方のみを含有する熱硬化性組成物を用いた場合(比較例1〜4)より、難燃性に優れた積層板を製造することができた。また、難燃剤として、相溶性リン化合物及び非相溶性リン化合物のいずれか一方のみを含有した場合において、難燃性を高めるために、難燃剤の含有量を増やすと(比較例3,4)、硬化物の耐熱性が低下した。これらのことから、熱硬化性化合物と硬化剤とを含む熱硬化性組成物において、難燃剤として、相溶性リン化合物と非相溶性リン化合物とを併用することによって、硬化物の耐熱性及び難燃性に優れた組成物が得られることがわかる。
Claims (12)
- 熱硬化性化合物と、
前記熱硬化性化合物と反応する硬化剤と、
難燃剤とを含有し、
前記難燃剤が、前記熱硬化性化合物及び前記硬化剤の混合物に相溶する相溶性リン化合物と、前記混合物に相溶しない非相溶性リン化合物とを含有することを特徴とする熱硬化性組成物。 - 前記相溶性リン化合物と前記非相溶性リン化合物との含有比が、質量比で20:80〜80:20である請求項1に記載の熱硬化性組成物。
- リン原子の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、1.8〜5.2質量部である請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性組成物。
- 前記相溶性リン化合物が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、亜リン酸エステル化合物、及びホスフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記非相溶性リン化合物が、ホスフィン酸塩化合物、ポリリン酸塩化合物、及びホスホニウム塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。 - 前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物を含み、
前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、ジアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、及びイソシアネート系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。 - 前記エポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、及びナフタレン環含有エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の熱硬化性組成物。
- 前記熱硬化性化合物に対する前記硬化剤の当量比が、0.3〜2である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
- 充填材として、シリカ、マイカ、及びタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
- 前記充填材の含有量が、有機成分(前記難燃剤を除く)と前記難燃剤との合計100質量部に対して、10〜200質量部である請求項8に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物を繊維質基材に含浸させて得られることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項10に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする金属張積層板。
- 請求項11に記載の金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られることを特徴とするプリント配線板。
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CN201480042471.7A CN105492542B (zh) | 2013-10-31 | 2014-10-23 | 热固性树脂组合物、预浸渍体、覆金属箔层叠板、以及印刷电路板 |
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CN115135736A (zh) * | 2020-03-13 | 2022-09-30 | 琳得科株式会社 | 器件用固化性粘接片 |
-
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- 2013-10-31 JP JP2013227673A patent/JP2015086328A/ja active Pending
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