JP2014207328A - 半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピーク発光波長が500nm以上の光を発生し、InxGa1−xN(x=0.18〜0.23)層を有する発光層を含むIII族窒化物半導体層3を備える発光ダイオードにおいて、III族窒化物半導体層3の表面(成長面)3aを、c面{0001}に対してm軸[1−100]のオフ方向に0.3°以上のオフ角θで傾斜した面とする。
【選択図】図3
Description
たとえば、特許文献1には、m面に対して少なくともa軸方向にオフ角を有する基板上に、窒化物半導体層、n型AlInGaN層、活性層、p型AlInGaNからなるキャリアブロック層、p型AlInGaNおよびp型AlInGaNからなるp型コンタクト層をこの順に配置することが開示されている。
また、本発明の他の目的は、前記発光層の結晶品質の向上によって、発光効率を向上させることができる半導体発光素子を提供することである。
請求項4に記載の発明は、前記半導体発光素子は、c面に対して0.3°以上のオフ角で傾斜した主面を有する六方晶系の基板をさらに含み、前記III族窒化物半導体層は、前記基板の前記主面上に結晶成長された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体発光素子である。
請求項5に記載の発明は、前記基板がサファイア基板である、請求項4に記載の半導体発光素子である。
請求項6に記載の発明は、前記III族窒化物半導体層の前記成長面のオフ角が0.35°以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体発光素子である。
請求項7に記載の発明のように、前記発光層は、InGaNからなる量子井戸層と、GaNからなるバリア層とを交互に所定周期で積層した多重量子井戸構造を有していることが好ましい。
請求項8に記載の発明は、前記半導体発光素子は、前記発光層の下地層として、InGaN層とGaN層とを交互に所定周期で積層した超格子構造を有する中間バッファ層をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体発光素子である。
請求項9に記載の発明は、前記発光層は、ピーク発光波長が500nm〜550nmの範囲の光を発生するものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体発光素子である。
図1は、本発明の一実施形態に係る発光ダイオードの構造を説明するための模式的な断面図である。
本発明の半導体発光素子の一例としての発光ダイオード1は、サファイア基板2上に、III族窒化物半導体積層構造をなすIII族窒化物半導体層3を成長させて構成された素子本体を有している。
サファイア基板2は、支持基板(配線基板)8に接合されている。支持基板8の表面には、配線9,10が形成されている。そして、p型電極6と配線9とがボンディングワイヤ11で接続されており、n型電極7と配線10とがボンディングワイヤ12で接続されている。さらに、図示は省略するが、発光ダイオード1の構造と、ボンディングワイヤ11,12とが、エポキシ樹脂等の透明樹脂によって封止されることにより、発光ダイオード1のパッケージ(ダイオードパッケージ)が構成されている。
n型GaNコンタクト層32は、たとえば、シリコンをn型ドーパントとして添加したn型GaN層からなる。層厚は3μm以上、具体的には、3μm〜7μmとすることが好ましい。シリコンのドーピング濃度は、たとえば、1×1018cm−3程度とされる。
さらに発光層34は、InGaN層14およびGaN層13からなる多重量子井戸構造と、p型AlGaN電子阻止層35との間に、GaNファイナルバリア層15(たとえば10nm厚程度)を有している。GaNファイナルバリア層15は、たとえば、アンドープ(ドーパントがドープされていない)GaN層からなる。
p型GaNコンタクト層36は、たとえば、p型ドーパントとしてのマグネシウムを高濃度に添加したGaN層からなる。層厚は0.1μm以上、具体的には、0.2μm〜0.5μmとすることが好ましい。マグネシウムのドーピング濃度は、たとえば、1020cm−3程度とされる。p型GaNコンタクト層36の表面はIII族窒化物半導体層3の表面3aをなし、この表面3aは鏡面となっている。この表面3aは、発光層34で発生した光が取り出される光取り出し側表面である。
図2に示すように、サファイア単結晶の結晶構造は、六方晶系で近似することができ、1つのアルミニウム(Al)原子に対して4つの酸素(O)原子が結合している。4つの酸素原子は、アルミニウム原子を中央に配置した正四面体の4つの頂点に位置している。これらの4つの酸素原子は、1つのアルミニウム原子が酸素原子に対して+c軸[0001]方向に位置し、他の3つの酸素原子がアルミニウム原子に対して−c軸[000−1]側に位置している。このような構造のために、サファイア単結晶では、分極方向がc軸に沿っている。
一方、六角柱の側面がそれぞれm面{10-10}であり、隣り合わない一対の稜線を通る面がa面{11-20}である。これらは、c面に対して直角な結晶面であり、分極方向に対して直交しているため、極性のない平面、すなわち、非極性面(Nonpolar Plane)である。また、m面に垂直な方向が、m軸[1−100]である。
そして、サファイア基板2の主面2aは、前述したように、c面{0001}に対してm軸[1−100]方向に0.3°以上のオフ角θで傾斜した面となっている。また、c面{0001}に対するサファイア基板2の主面2aのa1軸[1000]、a2軸[0100]およびa3軸[0010]方向のオフ角は、0°となっている。
図4に示すように、処理装置の処理室20内に、ヒータ21を内蔵したサセプタ22が配置されている。サセプタ22は、回転軸23に結合されており、この回転軸23は、処理室20外に配置された回転駆動機構24によって回転されるようになっている。これにより、サセプタ22に処理対象のウエハ25を保持させることにより、処理室20内でウエハ25を所定温度に昇温することができ、かつ、回転させることができる。ウエハ25は、前述のサファイア基板2を構成するサファイア単結晶ウエハである。
一方、処理室20には、サセプタ22に保持されたウエハ25の表面に向けて原料ガスを供給するための原料ガス供給路40が導入されている。この原料ガス供給路40には、窒素原料ガスとしてのアンモニアを供給する窒素原料配管41と、ガリウム原料ガスとしてのトリメチルガリウム(TMG)を供給するガリウム原料配管42と、アルミニウム原料ガスとしてのトリメチルアルミニウム(TMAl)を供給するアルミニウム原料配管43と、インジウム原料ガスとしてのトリメチルインジウム(TMIn)を供給するインジウム原料配管44と、マグネシウム原料ガスとしてのエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)を供給するマグネシウム原料配管45と、シリコンの原料ガスとしてのシラン(SiH4)を供給するシリコン原料配管46とが接続されている。これらの原料配管41〜46には、それぞれバルブ51〜56が介装されている。各原料ガスは、いずれも水素もしくは窒素またはこれらの両方からなるキャリヤガスとともに供給されるようになっている。
次に、ウエハ温度が1000℃〜1100℃に達するまで待機した後、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびシリコン原料バルブ56が開かれる。これにより、原料ガス供給路40から、キャリヤガスとともに、アンモニア、トリメチルガリウムおよびシランが供給される。その結果、ウエハ25の表面に、シリコンがドープされたGaN層からなるn型GaNコンタクト層32が成長する。
このようなウエハプロセスの後に、ウエハ25の劈開によって個別素子が切り出され、この個別素子は、ダイボンディングおよびワイヤボンディングによってリード電極に接続された後、エポキシ樹脂等の透明樹脂中に封止される。こうして、発光ダイオード1のパッケージが作製される。
また、この実施形態では、発光層34の下地層として、InzGa1−zN(z=0.01〜0.05)で示されるInGaN層を有する中間バッファ層33が形成されている。そのため、サファイア基板2上に発光層34を結晶成長させる際、発光層34の成長に先立って中間バッファ層33を成長させることによって、発光層34の成長開始時の格子サイズの変化を緩やかにすることができる。そのため、発光層34への格子欠陥の導入を低減することができる。
たとえば、前述の実施形態では、III族窒化物半導体層3の表面3a(成長面)のオフ角θが、c面{0001}に対してm軸[1−100]方向に0.3°以上である場合を例としてとりあげたが、オフ角θは、たとえば、c面{0001}に対してa1軸[1000]、a2軸[0100]またはa3軸[0010]方向に0.3°以上であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
(1)緑色発光ダイオードにおける発光効率の向上効果
まず、主面2aのオフ角θがそれぞれ、c面{0001}に対してm軸[1−100]方向に0.25°、0.35となるようにサファイア単結晶ウエハ25を切り出した。そして、各サファイア単結晶ウエハ25の主面2a上に、前述の実施形態に倣ってIII族窒化物半導体層3を形成した。これにより得られたものをサンプル1とした。
そして、これらサンプル1〜4の裏面出力を、裏面プローバ(緑色光:主波長515nm)を用いて測定した。結果を図5に示す。図5では、オフ角0.35°のサンプル1の裏面出力を基準値1.00とし、他のサンプルの裏面出力については、当該基準値に対する相対値で示している。
(2)緑色発光ダイオードと青色発光ダイオードとの発光効率の比較
主面2aのオフ角θがそれぞれ、c面{0001}に対してm軸[1−100]方向に0.25°、0.35°となるようにサファイア単結晶ウエハ25を切り出した。そして、各サファイア単結晶ウエハ25の主面2a上に、前述の実施形態に倣ってIII族窒化物半導体層3を形成した。これにより得られたものをサンプル5とした。
そして、これらサンプル5,6の裏面出力を、裏面プローバ(緑色光:主波長525nm、青色光:主波長470nm)を用いて測定した。結果を図6および図7に示す。図6,7では、オフ角0.25°のサンプル5の裏面出力を基準値1.0とし、他のサンプルの裏面出力については、当該基準値に対する相対値で示している。
つまり、図6および図7により、サファイア単結晶ウエハ25の主面2aのオフ角θをc面{0001}に対して0.3°以上とすることによって得られる効果は、ピーク発光波長が500nm以上の緑色の光の波長域に限られ、青色の光の波長域(440nm〜470nm)では、際立った特性変化を期待できないことがわかった。
2 サファイア基版
3 III族窒化物半導体層
13 GaN層
14 InGaN層
31 n型低温GaNバッファ層
32 n型GaNコンタクト層
33 中間バッファ層
34 発光層
35 p型AlGaN電子阻止層
36 p型GaNコンタクト層
Claims (9)
- III族窒化物半導体からなり、少なくともn型層と、p型層と、前記n型層および前記p型層で挟まれた発光層とを有する積層構造のIII族窒化物半導体層を備え、
前記発光層は、ピーク発光波長が500nm以上の光を発生するものであり、InxGa1−xN(x=0.18〜0.30)層を有し、
前記III族窒化物半導体層の成長面が、c面に対して0.3°以上のオフ角で傾斜した面である、半導体発光素子。 - 前記III族窒化物半導体層の前記成長面は、c面に対して少なくともm軸方向に0.3°以上のオフ角で傾斜した面である、請求項1に記載の半導体発光素子。
- c面に対する前記III族窒化物半導体層の前記成長面のa軸方向のオフ角が0°である、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
- 前記半導体発光素子は、c面に対して0.3°以上のオフ角で傾斜した主面を有する六方晶系の基板をさらに含み、
前記III族窒化物半導体層は、前記基板の前記主面上に結晶成長された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体発光素子。 - 前記基板がサファイア基板である、請求項4に記載の半導体発光素子。
- 前記III族窒化物半導体層の前記成長面のオフ角が0.35°以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
- 前記発光層は、InGaNからなる量子井戸層と、GaNからなるバリア層とを交互に所定周期で積層した多重量子井戸構造を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
- 前記半導体発光素子は、前記発光層の下地層として、InGaN層とGaN層とを交互に所定周期で積層した超格子構造を有する中間バッファ層をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
- 前記発光層は、ピーク発光波長が500nm〜550nmの範囲の光を発生するものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
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