JP2014117268A - 修飾ポリペプチドを用いた培養面のコーティング - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器であって、細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている細胞培養容器に関する。
【選択図】 なし
Description
〔1〕 ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器であって、
細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、
前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている、細胞培養容器;
〔2〕 前記修飾ポリペプチドが、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合又はアミノ酸残基数1〜25のペプチドである〔1〕記載の細胞培養容器;
〔3〕 前記基材の材質がポリスチレン樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号1から20の配列から選択される〔1〕又は〔2〕に記載の細胞培養容器;
〔4〕 前記基材の材質がポリカーボネート樹脂又はポリメチルメタクリレート樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号21から28から選択される〔1〕又は〔2〕に記載の細胞培養容器;
〔5〕 前記培養面に前記細胞接着促進配列が一種類又は二種類以上配置されている〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の細胞培養容器;
〔6〕 前記細胞接着促進配列が、配列表の配列番号29及び30の配列の少なくとも一方である〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の細胞培養容器;
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器の製造方法であって、
前記修飾ポリペプチドと前記培養面とを接触させることを含む、細胞培養容器の製造方法;
〔8〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドであって、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜25のアミノ酸配列である、ポリペプチド;
〔9〕 配列表の配列番号36又は37のアミノ酸配列からなる〔8〕記載のポリペプチド;
〔10〕 〔8〕又は〔9〕に記載のポリペプチドを発現可能なベクター;
〔11〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器を用いた細胞培養方法;
〔12〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む、細胞の製造方法。
本開示は、一又は複数の実施形態において、ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器に関する。本開示において「培養面」とは、細胞培養容器において細胞の培養が行われる面のことをいう。本開示において「ペプチドで修飾された培養面」とは、培養面の表面に修飾ポリペプチドが配置されていること、すなわち一端が自由端となった状態で培養面の表面に細胞接着配列が配置されていることをいう。
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器の製造方法に関する。本開示にかかる製造方法は、修飾ポリペプチドと培養面とを接触させることを含む。修飾ポリペプチドと培養面との接触は、上述の通りである。
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドに関する。本開示にかかる修飾ポリペプチドは、細胞接着促進配列とリンカーと固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、リンカーがペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜10のアミノ酸配列である。本開示にかかる修飾ポリペプチドは、細胞接着促進配列を有することから、培養面への細胞の接着性を向上させることができる。
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる修飾ポリペプチドを発現可能なベクターに関する。本開示にかかるベクターとしては、本開示にかかる修飾ポリペプチドを発現可能なベクターであれば特に制限されない。ベクターの発現系は特に制限されず、原核生物、真核生物を問わない。
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器を用いた細胞培養方法に関する。細胞の培養は、細胞培養容器の培養面に細胞を播種し、一定時間インキュベーションすることにより行うことができる。インキュベーション条件は、特に制限されるものではないが、培養する細胞の発育及び維持に必要なガスを含む環境雰囲気下で、所定の環境温度条件下で行うことができる。細胞の培養に用いる培地は、特に制限されず、培養する細胞の種類に応じて適宜決定できる。
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む細胞の製造方法に関する。
〔修飾ポリペプチドの製造〕
細胞容器の培養面を修飾するために使用する修飾ポリペプチドは、下記の二種類のポリペプチドを使用した。なお、修飾ポリペプチドは、第三者機関に委託して合成した。
飾ポリペプチドA:QHHHQQHQQQJQKPUPKRHQS、配列番号36(固定化配列:配列番号2、リンカー:ペプチド結合、細胞接着促進配列:配列番号29)
修飾ポリペプチドB:QHHHQQHQQXUSFQFCROR、配列番37(固定化配列:配列番号2、リンカー:ペプチド結合、細胞接着促進配列:配列番号30)
製造した修飾ポリペプチド(修飾ポリペプチドA:修飾ポリペプチドB=1:3(重量比))を5μg/mLの濃度になるようにPBSに溶解してコート液を作製した。このコート液を12ウェルプレート(ポリスチレン製プレート、SUMILON、MS-80120、住友ベークライト社製)に培養面を覆うように分注した(0.5ml/ウェル)。室温で2時間インキューベトした後、コート液を吸引回収してプレートから除去した。MilliQ水をウェルに分注し(1.5ml/ウェル)、吸引除去した後、クリーンベンチ内で乾燥した(室温、オーバーナイト)。製造された細胞培養容器の培養面にコートされた修飾ポリペプチドのコート量は、以下のように測定した(以下同様)。3ウェルの平均コート量は0.75μg/cm2であった(図1)。
(コート量の測定方法)
ウェルに分注したコート液中のタンパク質量と、分注してインキュベーションした後に吸引回収したコート液中のタンパク質量を測定し、そのタンパク質量差をコート量とした。タンパク質量は、商品名:Micro BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社製)を使用して測定した。
コート液の修飾ポリペプチド濃度を10、20、及び50μg/mLとした以外は製造例1と同様に細胞培養容器を製造した(それぞれ、製造例2−4)。3ウェルの平均コート量は、製造例2−4では、それぞれ、0.57、0.46、及び0.48μg/cm2であった(図1)。図1は、コート液の修飾ポリペプチド濃度とコート量との関係を示すグラフである。同図が示す通り、コート液の修飾ポリペプチド濃度とコート量とは相関を示しているとは認められなかった。
以下条件でヒト間葉系幹細胞(hMSC)を培養し、細胞数を測定し、増殖の程度から細胞の接着性を評価した。
〔細胞の培養〕
(細胞の調製)
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)(Lonza社製)を37℃、5%CO2雰囲気下、血清1v/v%を加えたMF-Medium(東洋紡社製)を用いて培養した。このhMSCをPBSで2回洗浄した後に回収し、下記培地でさらに2回遠心することで洗浄した。
(培養培地)
以下の3種類の培地a−cを使用した。
培地a)MF-Medium(東洋紡社製)+血清1v/v%
培地b)MF-Medium(東洋紡社製)+血清0v/v%(血清なし)
培地c)DMEM (Low Glucose)(Life Technologies社製)+血清1v/v%
(培養容器)
培養容器として、下記7種類の培養容器を使用した。
上記製造例1−4の培養容器
培養容器A:無血清培養用培養容器、SUMILON、BS-51012、住友ベークライト社製
培養容器B:接着性細胞培養用プレート、SUMILON、MS-80120、住友ベークライト社製
培養容器C:無処理培養用プレート、ポリスチレン製プレート、SUMILON、MS-8012R、住友ベークライト社製(浮遊細胞培養用、細胞接着に関する表面処理無し)
(培養条件)
上述のように3種類の培養培地a−cで調製したhMSCを36,000 cells/wellで7種類の培養容器に播種し、前記培養培地で培養した(37℃、5%CO2雰囲気下)。
培養24時間後に顕微鏡観察するとともに、Hoechst33258(ナカライテスク社製)を用いて核染色し蛍光強度より細胞数を測定した。その結果を図2に示す。
配列番号29−34:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおける細胞接着促進配列の一実施形態
配列番号35:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおけるリンカー配列の一実施形態
配列番号36−37:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおけるリンカー配列の一実施形態
Claims (12)
- ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器であって、
細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、
前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている、細胞培養容器。 - 前記修飾ポリペプチドが、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合又はアミノ酸残基数1〜25のペプチドである、請求項1記載の細胞培養容器。
- 前記基材の材質がポリスチレン樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号1から20の配列から選択される、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
- 前記基材の材質がポリカーボネート樹脂又はポリメチルメタクリレート樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号21から28の配列から選択される、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
- 前記細胞接着促進配列が、前記培養面に一種類又は二種類以上配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の細胞培養容器。
- 前記細胞接着促進配列が、配列表の配列番号29及び30の配列の少なくとも一方である、請求項1から5のいずれかに記載の細胞培養容器。
- 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器の製造方法であって、
前記修飾ポリペプチドと前記培養面とを接触させることを含む、細胞培養容器の製造方法。 - 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドであって、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜25のアミノ酸配列である、ポリペプチド。
- 配列表の配列番号36又は37のアミノ酸配列からなる、請求項8記載のポリペプチド。
- 請求項8又は9に記載のポリペプチドを発現可能なベクター。
- 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器を用いた細胞培養方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む、細胞の製造方法。
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2012
- 2012-12-19 JP JP2012277259A patent/JP2014117268A/ja active Pending
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