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JP2014117268A - 修飾ポリペプチドを用いた培養面のコーティング - Google Patents

修飾ポリペプチドを用いた培養面のコーティング Download PDF

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JP2014117268A JP2012277259A JP2012277259A JP2014117268A JP 2014117268 A JP2014117268 A JP 2014117268A JP 2012277259 A JP2012277259 A JP 2012277259A JP 2012277259 A JP2012277259 A JP 2012277259A JP 2014117268 A JP2014117268 A JP 2014117268A
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Yoichi Kumada
陽一 熊田
Masao Fukushima
雅夫 福島
Yoshiaki Fukunishi
賢晃 福西
Ryohei Tsukada
亮平 塚田
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Kyoto Institute of Technology NUC
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】細胞接着促進に関わるペプチドが培養面に配置された新規な細胞培養容器を提供する。
【解決手段】ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器であって、細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている細胞培養容器に関する。
【選択図】 なし

Description

本開示は、培養面のペプチド修飾ポリペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器、細胞培養容器の製造方法、修飾ポリペプチド、細胞培養方法、及び、細胞の製造方法に関する。
細胞培養を行う容器として、例えば、ポリスチレン等のプラスチックやガラス等の透明材料を成形した容器が用いられている。これらの容器は、細胞との接着性を向上するために、例えば、細胞接着に関わるペプチドや塩基性高分子等をコーティングすること等による表面処理が施されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1には、強い親和性を付与した基材表面に、ラミニンをコーティングすることによってラミニンを基材表面に安定化し、長期にわたって保存してもラミニンの効果が持続された細胞培養容器が開示されている。特許文献2には、疎水結合性吸着ポリマーに細胞接着性ペプチドを導入し、得られたペプチド導入ポリマーを用いて細胞培養基質表面をコーティングすることが開示されている。
特開平6−98757号公報 特開2006−87396号公報
ヒト胚性幹細胞やヒト人工多能性幹細胞についての様々な研究が行われるにあたり、例えば、無血清培地やXenofree条件下での細胞培養が可能な、新たな細胞容器が求められている。
そこで、本開示は、一又は複数の実施形態において、細胞接着促進に関わるペプチドが培養面に配置された新規な細胞培養容器、その製造方法、細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチド、及びその細胞容器を用いた細胞の培養方法等を提供する。
本開示は、一態様において、ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器に関する。本開示にかかる細胞培養容器は、細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている。
本開示は、一態様において、修飾ポリペプチドと培養面とを接触させることを含む、本開示にかかる細胞培養容器の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示にかかる細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドに関する。本開示にかかる修飾ポリペプチドは、細胞接着促進配列とリンカーと固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜25のアミノ酸配列である。
本開示は、一態様において、本開示にかかる細胞培養容器を用いた細胞培養方法に関する。また、本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む、細胞の製造方法に関する。
本開示によれば、細胞接着促進に関わるペプチドが培養面に配置された新規な細胞培養容器、その製造方法、細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチド、及びその細胞容器を用いた細胞の培養方法を提供できる。
図1は、コート液の修飾ポリペプチド濃度とコート量との関係を示すグラフである。 図2は、製造例1−4の培養容器を含む7種類の培養容器用いて、3種類の培養培地でhMSCを培養した結果の一例を示すグラフである。
本開示は、以下の一又は複数の実施形態に関しうる;
〔1〕 ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器であって、
細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、
前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている、細胞培養容器;
〔2〕 前記修飾ポリペプチドが、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合又はアミノ酸残基数1〜25のペプチドである〔1〕記載の細胞培養容器;
〔3〕 前記基材の材質がポリスチレン樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号1から20の配列から選択される〔1〕又は〔2〕に記載の細胞培養容器;
〔4〕 前記基材の材質がポリカーボネート樹脂又はポリメチルメタクリレート樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号21から28から選択される〔1〕又は〔2〕に記載の細胞培養容器;
〔5〕 前記培養面に前記細胞接着促進配列が一種類又は二種類以上配置されている〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の細胞培養容器;
〔6〕 前記細胞接着促進配列が、配列表の配列番号29及び30の配列の少なくとも一方である〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の細胞培養容器;
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器の製造方法であって、
前記修飾ポリペプチドと前記培養面とを接触させることを含む、細胞培養容器の製造方法;
〔8〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドであって、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜25のアミノ酸配列である、ポリペプチド;
〔9〕 配列表の配列番号36又は37のアミノ酸配列からなる〔8〕記載のポリペプチド;
〔10〕 〔8〕又は〔9〕に記載のポリペプチドを発現可能なベクター;
〔11〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器を用いた細胞培養方法;
〔12〕 〔1〕から〔6〕のいずれかに記載された細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む、細胞の製造方法。
[細胞培養容器]
本開示は、一又は複数の実施形態において、ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器に関する。本開示において「培養面」とは、細胞培養容器において細胞の培養が行われる面のことをいう。本開示において「ペプチドで修飾された培養面」とは、培養面の表面に修飾ポリペプチドが配置されていること、すなわち一端が自由端となった状態で培養面の表面に細胞接着配列が配置されていることをいう。
培養面を構成する基材の材質は、一又は複数の実施形態において、プラスチック、合成ゴム、無機物、及び金属等が挙げられる。プラスチックとしては、例えば、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、一又は複数の実施形態において、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、及びフッ素樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、一又は複数の実施形態において、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及びシリコン樹脂等が挙げられる。合成ゴムとしては、一又は複数の実施形態において、ブダジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリウゴム、ブチルゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、及びシリコンゴム等が挙げられる。無機物としては、一又は複数の実施形態において、ガラス、ヒドロキシアパタイト、シリコン等が挙げられる。金属としては、一又は複数の実施形態において、不活性な金、白金、及びチタン、並びにこれらの酸化物等が挙げられる。
本開示にかかる細胞培養容器は、細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている。
本開示において「修飾ポリペプチド」は、固定化配列と細胞接着促進配列とを少なくとも含む。修飾ポリペプチドは、一又は複数の実施形態において、固定化配列と細胞接着促進配列とこれらを連結するリンカーとを含んでいてもよく、好ましくは固定化配列とリンカーと細胞接着促進配列とからなり、これらがこの順で結合している。リンカーは、一又は複数の実施形態において、ペプチド又はアミノ酸残基数1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のアミノ酸配列が挙げられる。リンカーとしては、一又は複数の実施形態において、フレキシブルリンカーが使用できる。フレキシブルリンカーの配列としては、一又は複数の実施形態において、(GGGGS)n(nは、1、2、3又は4である)(配列番号35)等が挙げられる。
本開示において「固定化配列」とは、細胞接着配列を培養面を構成する基材表面に配置するためのアミノ酸配列であって、例えば、培養面を構成する基材の材質、培養面の表面性状等に応じて適宜決定できる。
培養面は、一又は複数の実施において、培養面は親水性を示していてもよい。培養面が親水性を示す場合、固定化配列としては、特異的な吸着機能を発揮できる点から、一又は複数の実施形態において、アミノ酸配列(N末端側から):RXXXRRXRR(配列番号1)が挙げられる。上記アミノ酸配列において、Rは、アルギニンであり、Xは、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、アラニン(A)、グリシン(G)、メチオニン(M)、セリン(S)又はトレオニン(T)であって、複数のXにおいて同一であってもよいし異なる種類であってもよい。一又は複数の実施形態において、固定化配列としては、RXXXRRXRR(配列番号1)、RIIIRRIRR(配列番号2)、RAIARRIRR(配列番号3)、RLLLRRLRR(配列番号4)、RVVVRRVRR(配列番号5)、RAAARRARR(配列番号6)、RGGGRRGRR(配列番号7)、RMMMRRMRR(配列番号8)、RSSSRRSRR(配列番号9)、RTTTRRTRR(配列番号10)、KGLRGWREMISL(配列番号11)、ADYLSRWGSIRN(配列番号12)、SRVHRAVLNGVS(配列番号13)、RPPGVVRRYALG(配列番号14)、VRSWEEQARVTT(配列番号15)、RAFIASRRIKRP(配列番号16)、RESTLKGTSRAV(配列番号17)、AGLRLKKAAIHR(配列番号18)、SSLLRAVPEPTG(配列番号19)、及びRAFIASRRIRRP(配列番号20)のいずれかの配列等が挙げられる。また、固定化配列としては、一又は複数の実施形態において、GDSDEWTFGAQMEIWW(配列番号21)、WTPIMSTVMEIGYDNVESQR(配列番号22)、NSNFFGLVDGLNFAVQYLGK(配列番号23)、TQDVLLVAQYQFDFGLRPSIAYTK(配列番号24)、NILAVIVPALLVAGTANAAEIYNK(配列番号25)、QVGVPYIIVFLNK(配列番号26)、SNGDGVGGSISYEYEGFGIVGAYGAADR(配列番号27)、及びDVEGIGDVDLVNYFEVGATYYFNK(配列番号28)のいずれかの配列が挙げられる。親水性は、一又は複数の実施形態において、基材の表面を変質させて親水化処理すること等により付与することができる。基材の材質としては、上述の通りであり、一又は複数の実施形態として、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、及びポリメタクリル酸メチル樹脂等が挙げられる。親水化処理としては、例えば、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、化学的処理等が挙げられる。本開示における特に限定されない一実施形態において、培養面を構成する基材としてポリスチレンを使用し、その表面にUV+O3処理やプラズマ酸化処理を行うことによって親水化処理された親水性のポリスチレン表面を有する培養面が得られる。培養面を構成する基材の材質がポリスチレン樹脂であって、その表面が親水化処理されている場合、一又は複数の実施形態において、固定化配列としては配列表の配列番号1から20の配列が挙げられる。また、培養面を構成する基材の材質がポリカーボネート樹脂又はポリメチルメタクリレート樹脂であって、その表面が親水化処理されている場合、一又は複数の実施形態において、固定化配列としては配列表の配列番号21から28の配列が挙げられる。固定化配列は、一又は複数の実施形態において、一種類であってもよいし、配列が異なる二種類以上の配列を組み合わせて使用してもよい。
本開示において「細胞接着促進配列」とは、培養する細胞の培養面への接着を促すためのアミノ酸配列であって、培養する細胞の種類、培養条件等に応じて適宜決定できる。培養面に配置される細胞接着促進配列は、一種類の配列であってもよいし異なる二種類以上の配列であってもよい。細胞接着促進配列としては、一又は複数の実施形態において、フィブロネクチン(FN)の細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列、ビトロネクチン(VN)の細胞結合ドメインにあるRGD(Arg−Gly−Asp)配列を含む配列、骨シアロタンパク質(BSP)の細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列、及びラミニン(LN)に存在する配列等が挙げられる。FNの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列としては、一又は複数の実施形態において、YAVTGRGDSPAS(配列番号30、FIB1)、及びGRGDSP(配列番号31)等が挙げられる。LNに存在する配列としては、一又は複数の実施形態において、RKRLQVQLSIRT(配列番号29、AG73)、及びYIGSR(配列番号32)等が挙げられる。VNの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列としては、一又は複数の実施形態において、PQVTRGDVFTMP(配列番号33)等が挙げられる。BSPの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列としては、一又は複数の実施形態において、NGEPRGDTYRAY(配列番号34)等が挙げられる。本開示にかかる細胞培養容器の培養面に配置される細胞接着促進配列は、一又は複数の実施形態において、一種類であってもよいし、配列が異なる二種類以上の複数種類の組み合わせであってもよい。配列が異なる二種類以上の複数種類の組み合わせの場合、特に限定されない一又は複数の実施形態において、FNの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列とLNに存在する配列との組み合わせ、VNの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列とBSPの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列との組み合わせ、VNの細胞結合ドメインにあるRGD配列を含む配列とLNに存在する配列との組み合わせ等が挙げられる。
本開示にかかる細胞培養容器における修飾ポリペプチドとしては、一又は複数の実施形態において、QHHHQQHQQQJQKPUPKRHQS(配列番号36)からなるポリペプチド、及びQHHHQQHQQXUSFQFCROR(配列番号37)からなるポリペプチド等が挙げられる。
修飾ポリペプチドは、例えば、公知の遺伝子工学的手法、及び化学合成法等を用いて製造することができる。遺伝子工学的手法を用いて製造する場合、修飾ポリペプチドをコードするDNAをクローニングし、適宜発現させることによって製造することができる。また、化学合成法を用いて製造する場合、例えば、固相担体にアミノ酸又はペプチドのC末端をリンカーを介して固定し、脱水縮合させてN末端側に順次アミノ酸を伸長していくことによって製造できる。
修飾ポリペプチドを培養面に配置する方法としては、修飾ポリペプチドと培養面とを接触することにより行うことが得きる。接触させる方法としては、修飾ポリペプチドを適当な溶媒に溶解した後、培養面に滴下、塗布等することにより行うことができる。溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合物等が挙げられる。接触させる修飾ポリペプチドの濃度、接触時間、及び接触温度等は、特に制限されるものではないが、培養面の性状、修飾ポリペプチドの種類等に応じて適宜決定できる。
培養面に配置する修飾ポリペプチドは、一種類であってもよいし、配列が異なる二種類以上の複数種類の組み合わせであってもよい。本開示にかかる細胞培養容器は、一又は複数の実施形態において、配列表の配列番号36のアミノ酸配列からなるポリペプチドと、配列番号37のアミノ酸配列からなるポリペプチドとで修飾された培養面を有する。
本開示にかかる細胞培養容器は、滅菌処理されていてもよい。滅菌は、例えば、エチレンオキサイドガス滅菌、乾熱滅菌、蒸気滅菌、放射線滅菌等が挙げられ、γ線又は電子線を用いた放射線滅菌が好ましく、大量生産を行う点からは、放射線透過性の点でγ線滅菌がより好ましい。
本開示にかかる細胞培養容器の形態としては、例えば、マルチウェルプレート、シャーレ(ディッシュ)、及びフラスコ等の容器類が挙げられる。その他の形態としては、容器底面等の細胞が培養できる環境下に設置して使用できるものであればよく、例えば、シート状の成形品であってもよい。これらの中でも、細胞凝集塊を用いた評価、研究の精度を向上させることができる点から、バイオリアクターの生成または薬効や毒物の評価、人工臓器の開発研究等で用いられるマルチウェルプレートやシャーレが好ましい。マルチウェルプレートにおけるウェルの数は特に制限されるものではないが、例えば、6、12、24、48、96、又は384個である。
本開示にかかる細胞培養容器は、一又は複数の実施形態において、無血清培地や、Xenofree条件下での細胞培養が可能となることから、間葉系幹細胞等のヒト体性幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、及びiPS細胞等の細胞の培養に有用である。
[細胞培養容器の製造方法]
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器の製造方法に関する。本開示にかかる製造方法は、修飾ポリペプチドと培養面とを接触させることを含む。修飾ポリペプチドと培養面との接触は、上述の通りである。
本開示にかかる細胞培養容器の製造方法は、修飾ポリペプチドと培養面とを接触させた細胞培養容器を滅菌処理することを含んでいてもよい。
[修飾ポリペプチド]
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドに関する。本開示にかかる修飾ポリペプチドは、細胞接着促進配列とリンカーと固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、リンカーがペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜10のアミノ酸配列である。本開示にかかる修飾ポリペプチドは、細胞接着促進配列を有することから、培養面への細胞の接着性を向上させることができる。
本開示にかかる修飾ポリペプチドにおいて、細胞接着促進配列、リンカー、及び固定化配列は、上述の通りである。本開示にかかる修飾ポリペプチドは、上述の方法により製造でき、その製造方法、クローニング方法、発現方法、及び遺伝子導入方法に制限されない。
本開示にかかる修飾ポリペプチドは、一又は複数の実施形態において、配列表の配列番号36又は37のアミノ酸配列からなる。
[ベクター]
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる修飾ポリペプチドを発現可能なベクターに関する。本開示にかかるベクターとしては、本開示にかかる修飾ポリペプチドを発現可能なベクターであれば特に制限されない。ベクターの発現系は特に制限されず、原核生物、真核生物を問わない。
[細胞培養方法]
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器を用いた細胞培養方法に関する。細胞の培養は、細胞培養容器の培養面に細胞を播種し、一定時間インキュベーションすることにより行うことができる。インキュベーション条件は、特に制限されるものではないが、培養する細胞の発育及び維持に必要なガスを含む環境雰囲気下で、所定の環境温度条件下で行うことができる。細胞の培養に用いる培地は、特に制限されず、培養する細胞の種類に応じて適宜決定できる。
[細胞の製造方法]
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかる細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む細胞の製造方法に関する。
以下、本発明を以下の実施例及び比較例に基いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器の製造例
〔修飾ポリペプチドの製造〕
細胞容器の培養面を修飾するために使用する修飾ポリペプチドは、下記の二種類のポリペプチドを使用した。なお、修飾ポリペプチドは、第三者機関に委託して合成した。
飾ポリペプチドA:QHHHQQHQQQJQKPUPKRHQS、配列番号36(固定化配列:配列番号2、リンカー:ペプチド結合、細胞接着促進配列:配列番号29)
修飾ポリペプチドB:QHHHQQHQQXUSFQFCROR、配列番37(固定化配列:配列番号2、リンカー:ペプチド結合、細胞接着促進配列:配列番号30)
〔細胞培養容器の製造例1〕
製造した修飾ポリペプチド(修飾ポリペプチドA:修飾ポリペプチドB=1:3(重量比))を5μg/mLの濃度になるようにPBSに溶解してコート液を作製した。このコート液を12ウェルプレート(ポリスチレン製プレート、SUMILON、MS-80120、住友ベークライト社製)に培養面を覆うように分注した(0.5ml/ウェル)。室温で2時間インキューベトした後、コート液を吸引回収してプレートから除去した。MilliQ水をウェルに分注し(1.5ml/ウェル)、吸引除去した後、クリーンベンチ内で乾燥した(室温、オーバーナイト)。製造された細胞培養容器の培養面にコートされた修飾ポリペプチドのコート量は、以下のように測定した(以下同様)。3ウェルの平均コート量は0.75μg/cm2であった(図1)。
(コート量の測定方法)
ウェルに分注したコート液中のタンパク質量と、分注してインキュベーションした後に吸引回収したコート液中のタンパク質量を測定し、そのタンパク質量差をコート量とした。タンパク質量は、商品名:Micro BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社製)を使用して測定した。
〔細胞培養容器の製造例2−4〕
コート液の修飾ポリペプチド濃度を10、20、及び50μg/mLとした以外は製造例1と同様に細胞培養容器を製造した(それぞれ、製造例2−4)。3ウェルの平均コート量は、製造例2−4では、それぞれ、0.57、0.46、及び0.48μg/cm2であった(図1)。図1は、コート液の修飾ポリペプチド濃度とコート量との関係を示すグラフである。同図が示す通り、コート液の修飾ポリペプチド濃度とコート量とは相関を示しているとは認められなかった。
2.細胞培養例
以下条件でヒト間葉系幹細胞(hMSC)を培養し、細胞数を測定し、増殖の程度から細胞の接着性を評価した。
〔細胞の培養〕
(細胞の調製)
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)(Lonza社製)を37℃、5%CO2雰囲気下、血清1v/v%を加えたMF-Medium(東洋紡社製)を用いて培養した。このhMSCをPBSで2回洗浄した後に回収し、下記培地でさらに2回遠心することで洗浄した。
(培養培地)
以下の3種類の培地a−cを使用した。
培地a)MF-Medium(東洋紡社製)+血清1v/v%
培地b)MF-Medium(東洋紡社製)+血清0v/v%(血清なし)
培地c)DMEM (Low Glucose)(Life Technologies社製)+血清1v/v%
(培養容器)
培養容器として、下記7種類の培養容器を使用した。
上記製造例1−4の培養容器
培養容器A:無血清培養用培養容器、SUMILON、BS-51012、住友ベークライト社製
培養容器B:接着性細胞培養用プレート、SUMILON、MS-80120、住友ベークライト社製
培養容器C:無処理培養用プレート、ポリスチレン製プレート、SUMILON、MS-8012R、住友ベークライト社製(浮遊細胞培養用、細胞接着に関する表面処理無し)
(培養条件)
上述のように3種類の培養培地a−cで調製したhMSCを36,000 cells/wellで7種類の培養容器に播種し、前記培養培地で培養した(37℃、5%CO2雰囲気下)。
〔培養及び接着の評価〕
培養24時間後に顕微鏡観察するとともに、Hoechst33258(ナカライテスク社製)を用いて核染色し蛍光強度より細胞数を測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すとおり、製造例1−4の培養容器は、未処理の培養容器に比べて細胞数が多く、細胞の培養面への接着性が高いことを示す。また、製造例1−4の培養容器は、培養容器A及びBと同等以上の接着性を示した。また、顕微鏡観察から、製造例1−4の培養容器の細胞が、培養容器A及びBと同様に、培養面へ接着していることが示された(data not shown)。
本開示は、例えば、組織工学、再生医療、及び再生医工学等の分野において有用である。
配列番号1−28:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおける固定化配列の一実施形態
配列番号29−34:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおける細胞接着促進配列の一実施形態
配列番号35:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおけるリンカー配列の一実施形態
配列番号36−37:本開示にかかる修飾ポリペプチドにおけるリンカー配列の一実施形態

Claims (12)

  1. ペプチドで修飾された培養面を有する細胞培養容器であって、
    細胞接着促進配列と固定化配列とを含む修飾ポリペプチドの前記固定化配列が前記培養面を構成する基材表面に結合し、
    前記細胞接着促進配列が、一端が前記固定化配列を介して前記培養面に固定化された固定端となり他端が自由端となるように前記培養面に配置されている、細胞培養容器。
  2. 前記修飾ポリペプチドが、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合又はアミノ酸残基数1〜25のペプチドである、請求項1記載の細胞培養容器。
  3. 前記基材の材質がポリスチレン樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号1から20の配列から選択される、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記基材の材質がポリカーボネート樹脂又はポリメチルメタクリレート樹脂であり、前記固定化配列が配列表の配列番号21から28の配列から選択される、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  5. 前記細胞接着促進配列が、前記培養面に一種類又は二種類以上配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の細胞培養容器。
  6. 前記細胞接着促進配列が、配列表の配列番号29及び30の配列の少なくとも一方である、請求項1から5のいずれかに記載の細胞培養容器。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器の製造方法であって、
    前記修飾ポリペプチドと前記培養面とを接触させることを含む、細胞培養容器の製造方法。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器の製造に用いる修飾ポリペプチドであって、前記細胞接着促進配列とリンカーと前記固定化配列とがこの順で結合しているアミノ酸配列からなり、前記リンカーが、ペプチド結合、又は、アミノ酸数が1〜25のアミノ酸配列である、ポリペプチド。
  9. 配列表の配列番号36又は37のアミノ酸配列からなる、請求項8記載のポリペプチド。
  10. 請求項8又は9に記載のポリペプチドを発現可能なベクター。
  11. 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器を用いた細胞培養方法。
  12. 請求項1から6のいずれかに記載された細胞培養容器を用いて細胞を培養することを含む、細胞の製造方法。
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