JP2014191948A - 放電管及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポーラス状でなく緻密でかつポリマー等も含んでいない放電トリガ膜を有した放電管及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 セラミックス製筒体2と、セラミックス製筒体の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3とを備え、セラミックス製筒体の内面の一部に、放電トリガ膜4が形成されており、放電トリガ膜が、セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜である。上記カーボン材料は、カーボンナノチューブを含んでいることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】 セラミックス製筒体2と、セラミックス製筒体の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3とを備え、セラミックス製筒体の内面の一部に、放電トリガ膜4が形成されており、放電トリガ膜が、セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜である。上記カーボン材料は、カーボンナノチューブを含んでいることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐためのサージアブソーバや、着火プラグ点灯用のスイッチングスパークギャップとして使用する放電管及びその製造方法に関する。
放電管は、例えば雷サージや静電気などの過電圧の侵入により電子機器などが故障することを防ぐために用いるサージアブソーバであるガスアレスタ、高圧放電ランプや着火プラグ用のスイッチングスパークギャップとしても採用されている。
このような雷サージ対策部品やスイッチングスパークギャップとしての放電管において、特に繰り返し放電に対する動作電圧の安定性が要求される。従来、セラミックス製チューブを二つの金属電極で封じたガスアレスタやスイッチングスパークギャップにおいては、放電電圧の安定性向上のために、放電電極表面の電子放出材料の塗布したもの(特許文献1参照)や、放電トリガ膜としてカーボンナノチューブ(CNT)材料を応用したもの(特許文献2参照)が報告されている。
また、ガスアレスタ型放電管の電気特性は、放電トリガ膜の特性に影響を受けるが、この放電トリガ膜としては、通常カーボン系材料が用いられている。このような放電トリガ膜の形成プロセスに関して、従来、棒状のカーボン固体をセラミックス容器側壁に擦り付ける方法が開示されている(特許文献2参照)。また、特許文献2においては、放電トリガ膜をCNTとアモルファスカーボンとの焼結体にシリコンオイルを含浸させてなるカーボン材料とした放電管が開示されている。また、特許文献3においては、CNTを含む導電性ペーストを焼成させて形成されたトリガ電極膜が開示されている。
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来のカーボン固体を擦り付ける方法では、形成されたトリガ膜が構造的にポーラス状であって不連続な膜のため、放電などの衝撃によりカーボンが飛散又は剥離し易くなってしまう問題があった。
例えば、特許文献2に記載のCNT−アモルファスカーボン焼結体にシリコンを含浸させたカーボン系材料でも、このカーボン系材料の芯材をケース部材の内壁面に擦りつける方法を採用しているため、やはり上記と同じ問題を引き起こすおそれがある。
また、特許文献3に記載のペーストを焼き付ける方法では、通常乾燥体としての構造を維持するためにポリマーなどのバインダーが必要であり、焼成プロセスを用いて基材表面に固着するが、バインダーが抜ける過程で、カーボン部分がポーラスになり易く、不連続部分が介在する膜となってしまう。このため、できるだけ緻密な構造とするために、高温での熱処理が必要となる。しかしながら、このような熱処理を施しても、バインダーの抜けによるポーラスを完全に無くした連続膜とすることが困難であった。さらに、バインダーであるポリマーなどがCNT表面に残存すると、CNTの電子放出特性を悪化させたり、アーク放電による残存ポリマー揮発によりトリガ膜において構造欠陥が起こったりする問題がある。このような現象を防ぐために、トリガ形成の際、脱バインダーを完全に実施するために、真空、不活性気体中で熱処理することなどが考えられるが、コストがかかるという不都合があった。
すなわち、上記従来のカーボン固体を擦り付ける方法では、形成されたトリガ膜が構造的にポーラス状であって不連続な膜のため、放電などの衝撃によりカーボンが飛散又は剥離し易くなってしまう問題があった。
例えば、特許文献2に記載のCNT−アモルファスカーボン焼結体にシリコンを含浸させたカーボン系材料でも、このカーボン系材料の芯材をケース部材の内壁面に擦りつける方法を採用しているため、やはり上記と同じ問題を引き起こすおそれがある。
また、特許文献3に記載のペーストを焼き付ける方法では、通常乾燥体としての構造を維持するためにポリマーなどのバインダーが必要であり、焼成プロセスを用いて基材表面に固着するが、バインダーが抜ける過程で、カーボン部分がポーラスになり易く、不連続部分が介在する膜となってしまう。このため、できるだけ緻密な構造とするために、高温での熱処理が必要となる。しかしながら、このような熱処理を施しても、バインダーの抜けによるポーラスを完全に無くした連続膜とすることが困難であった。さらに、バインダーであるポリマーなどがCNT表面に残存すると、CNTの電子放出特性を悪化させたり、アーク放電による残存ポリマー揮発によりトリガ膜において構造欠陥が起こったりする問題がある。このような現象を防ぐために、トリガ形成の際、脱バインダーを完全に実施するために、真空、不活性気体中で熱処理することなどが考えられるが、コストがかかるという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、ポーラス状でなく緻密でかつポリマー等も含んでいない放電トリガ膜を有した放電管及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る放電管は、セラミックス製筒体と、前記セラミックス製筒体の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極とを備え、前記セラミックス製筒体の内面の一部に、放電トリガ膜が形成されており、前記放電トリガ膜が、前記セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜であることを特徴とする。
この放電管では、放電トリガ膜が、セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜であるので、ポーラス状でなく緻密な膜であると共にセラミックス製筒体内面の微細凹凸を埋めて連続した膜のために接触面積の増大によって高い密着性も有しており、放電時の衝撃に対する高い耐久性を有することができる。また、カーボン材料で構成された連続膜であって、ポリマー等のバインダーが残留していないため、アーク放電による構造欠陥が生じず、安定した放電特性を得ることができる。すなわち、本発明の上記放電トリガ膜は、前記微細凹凸を間隙やポーラスを介さず、連続的に埋めて形成されたカーボンの連続膜となっている。
したがって、カーボンの緻密な連続膜である放電トリガ膜によって、放電管内部における高い電流を伴う繰り返しアーク放電に対しても、安定した放電特性を得ることができる。
したがって、カーボンの緻密な連続膜である放電トリガ膜によって、放電管内部における高い電流を伴う繰り返しアーク放電に対しても、安定した放電特性を得ることができる。
第2の発明に係る放電管は、第1の発明において、前記カーボン材料が、カーボンナノチューブを含んでいることを特徴とする。
すなわち、この放電管では、カーボン材料が、カーボンナノチューブを含んでいるので、電子放出特性に優れたカーボンナノチューブによって、より高い放電特性を得ることができる。
すなわち、この放電管では、カーボン材料が、カーボンナノチューブを含んでいるので、電子放出特性に優れたカーボンナノチューブによって、より高い放電特性を得ることができる。
第3の発明に係る放電管の製造方法は、第1又は第2の発明である上記放電管を製造する方法であって、前記セラミックス製筒体の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させる工程と、付着させた前記カーボン分散水の水分を蒸発させて前記放電トリガ膜を形成する工程とを有していることを特徴とする。
すなわち、この放電管の製造方法では、セラミックス製筒体の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させた後に水分を蒸発させて放電トリガ膜を形成するので、水分が蒸発する過程でカーボン材料の粉末が凝集すると共にセラミックス製筒体の内面の微細凹凸に沿って連続して付着することで、緻密なカーボン連続膜を得ることができる。
すなわち、この放電管の製造方法では、セラミックス製筒体の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させた後に水分を蒸発させて放電トリガ膜を形成するので、水分が蒸発する過程でカーボン材料の粉末が凝集すると共にセラミックス製筒体の内面の微細凹凸に沿って連続して付着することで、緻密なカーボン連続膜を得ることができる。
第4の発明に係る放電管の製造方法は、第3の発明において、前記セラミックス製筒体と前記一対の封止電極とを封止材により接合させて前記放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、前記カーボン分散水の水分を蒸発させることを特徴とする。
すなわち、この放電管の製造方法では、セラミックス製筒体と一対の封止電極とを封止材により接合させて放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、カーボン分散水の水分を蒸発させるので、水分蒸発のための別工程が不要になり、工程数の削減を図ることができる。
すなわち、この放電管の製造方法では、セラミックス製筒体と一対の封止電極とを封止材により接合させて放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、カーボン分散水の水分を蒸発させるので、水分蒸発のための別工程が不要になり、工程数の削減を図ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る放電管によれば、放電トリガ膜が、セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜であるので、カーボンの緻密な連続膜である放電トリガ膜によって、放電管内部における高い電流を伴う繰り返しアーク放電に対しても、安定した放電特性を得ることができる。
また、本発明に係る放電管の製造方法によれば、セラミックス製筒体の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させた後に水分を蒸発させて放電トリガ膜を形成するので、水分が蒸発する過程でカーボン材料の粉末が凝集すると共にセラミックス製筒体の内面の微細凹凸に沿って連続して付着することで、緻密なカーボン連続膜を得ることができる。
すなわち、本発明に係る放電管によれば、放電トリガ膜が、セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜であるので、カーボンの緻密な連続膜である放電トリガ膜によって、放電管内部における高い電流を伴う繰り返しアーク放電に対しても、安定した放電特性を得ることができる。
また、本発明に係る放電管の製造方法によれば、セラミックス製筒体の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させた後に水分を蒸発させて放電トリガ膜を形成するので、水分が蒸発する過程でカーボン材料の粉末が凝集すると共にセラミックス製筒体の内面の微細凹凸に沿って連続して付着することで、緻密なカーボン連続膜を得ることができる。
以下、本発明に係る放電管及びその製造方法の一実施形態を、図1を参照しながら説明する。
本実施形態の放電管1は、図1に示すように、セラミックス製筒体2と、セラミックス製筒体2の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3とを備えている。
上記セラミックス製筒体2の内面の一部には、放電トリガ膜4が形成されており、この放電トリガ膜4が、セラミックス製筒体2の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜である。また、上記カーボン材料は、カーボンナノチューブを含んでいる。
上記セラミックス製筒体2の内面の一部には、放電トリガ膜4が形成されており、この放電トリガ膜4が、セラミックス製筒体2の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜である。また、上記カーボン材料は、カーボンナノチューブを含んでいる。
上記セラミックス製筒体2は、円筒状のアルミナ等で形成された絶縁性管である。なお、セラミックス製筒体2は、アルミナなどの結晶性セラミックス材が好ましい。また、上記セラミックス製筒体2内面の微細凹凸は、サブミクロンから数ミクロンレベルの凹凸である。
上記一対の封止電極3は、内側に突出した凸状部3aを有するCu等の凸型金属部材であり、互いに対向した凸状部3a間が放電ギャップを形成している。この放電ギャップの間隔は、約1mmである。
上記一対の封止電極3は、内側に突出した凸状部3aを有するCu等の凸型金属部材であり、互いに対向した凸状部3a間が放電ギャップを形成している。この放電ギャップの間隔は、約1mmである。
また、これらの封止電極3は、ロウ材等の封止材3bによりセラミックス製筒体2に接合され封着されている。
上記放電制御ガスは、He、Ar、Ne、Xe、SF6、N2、CO2、C3F8、C2F6、CF4、H2及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
上記放電制御ガスは、He、Ar、Ne、Xe、SF6、N2、CO2、C3F8、C2F6、CF4、H2及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
上記放電トリガ膜4は、セラミックス製筒体2の内面の中間部分に、カーボン材料としてカーボンナノチューブの粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させ、このカーボン分散水の水分を蒸発させて形成させたものである。この放電トリガ膜4は、セラミックス製筒体2の内面に1つ又は複数形成されている。
この本実施形態の放電管1の製造方法は、セラミックス製筒体2の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させる工程と、付着させたカーボン分散水の水分を蒸発させて放電トリガ膜4を形成する工程とを有している。
また、セラミックス製筒体2と一対の封止電極3とを封止材3bにより接合させて放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、カーボン分散水の水分を蒸発させている。
また、セラミックス製筒体2と一対の封止電極3とを封止材3bにより接合させて放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、カーボン分散水の水分を蒸発させている。
この放電管1の製造方法について、より具体的な製造例で説明すると、まず、カーボンナノチューブの粉末を水中に分散させたカーボン分散水を用意し、このカーボン分散水をセラミックス製筒体2の内面の所定領域に付着させて描画する。この際の描画方法としては、例えば描画するためのロッドを用い、ロッド先端にカーボン分散水を付けてセラミックス製筒体2の内面の所定領域にロッド先端を接触させることで描画する。
また、他の描画方法としては、スタンプ法、マスク印刷法、インクジェット法などの様々な方法が採用可能である。なお、上記マスク印刷法を用いた場合、マスクによって選択的にカーボン分散水を付着させてカーボン膜をパターン形成させることが可能であり、様々な形状を付与させることができる。
本実施形態では、酸化物セラミックスと濡れ性の良いカーボン分散水を用いているので、描画したカーボン分散水は、セラミックス表面の微細な凹凸を埋めるように水と共にカーボン粉末が侵入する。
本実施形態では、酸化物セラミックスと濡れ性の良いカーボン分散水を用いているので、描画したカーボン分散水は、セラミックス表面の微細な凹凸を埋めるように水と共にカーボン粉末が侵入する。
次に、カーボン分散水を描画したセラミックス製筒体2内の空気を所定の放電制御ガス(例えば、Ar)で置換した後に、セラミックス製筒体2の両端開口部に、封止材3bとしてロウ材を用いて一対の封止電極3を加熱処理により密着固定する。この加熱処理の際、ロウ材を溶融させるために800℃以上に加熱し、同時にカーボン分散水の水分を蒸発させる。加熱により水分が蒸発する過程で、含有するカーボン粉末が凝集し、セラミックス表面の微細凹凸に沿って連続した緻密なカーボンの放電トリガ膜4となる。このように、ガス封入時の加熱処理によって、カーボン以外の水分が容易に揮発することで、カーボンの電子放出特性を阻害する残留物を十分に低減することが可能である。また、カーボンの高い分散性を持つ液体の状態でセラミックス表面に塗布するので、バインダーを用いないで済む。
従来のカーボン固体を擦り付ける方法では、擦り付けたカーボン膜表面の凹凸が大きく、緻密性に欠けると共に不連続部分が多く、機械的又は電気的な衝撃によりカーボンの飛散が生じ、繰り返しの放電特性が不安定になる。これに対して、本実施形態では、カーボン分散水の描画によって微細凹凸を埋めた緻密でスムーズな連続膜を得ることができるので、繰り返し放電時の放電特性が安定すると共に、従来品よりも単位面積当たりのカーボン量が多く、特性の維持に有効である。
このように本実施形態の放電管1では、放電トリガ膜4が、セラミックス製筒体2の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜であるので、ポーラス状でなく緻密な膜であると共にセラミックス製筒体2内面の微細凹凸を埋めて連続した膜のために接触面積の増大によって高い密着性も有しており、放電時の衝撃に対する高い耐久性を有することができる。また、放電トリガ膜4がカーボン材料で構成された連続膜であって、ポリマー等のバインダーが残留していないため、アーク放電による構造欠陥が生じず、安定した放電特性を得ることができる。したがって、カーボンの緻密な連続膜である放電トリガ膜4によって、放電管内部における高い電流を伴う繰り返しアーク放電に対しても、安定した放電特性を得ることができる。
また、セラミックス製筒体2の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させた後に水分を蒸発させて放電トリガ膜4を形成するので、水分が蒸発する過程でカーボン材料の粉末が凝集すると共にセラミックス製筒体2の内面の微細凹凸に沿って連続して付着することで、緻密なカーボン連続膜を得ることができる。
さらに、セラミックス製筒体2と一対の封止電極3とを封止材3bにより接合させて放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、カーボン分散水の水分を蒸発させるので、水分蒸発のための別工程が不要になり、工程数の削減を図ることができる。
さらに、セラミックス製筒体2と一対の封止電極3とを封止材3bにより接合させて放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、カーボン分散水の水分を蒸発させるので、水分蒸発のための別工程が不要になり、工程数の削減を図ることができる。
次に、本発明に係る放電管及びその製造方法を、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を具体的に説明する。
カーボン固定を擦り付けて形成した放電トリガ膜を採用した従来例と、カーボン分散水を塗布して形成した放電トリガ膜を採用した本発明の実施例とについて、まずセラミックス表面に形成した状態を電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を、図2の(a)(b)に示す。
なお、図2において、SEM画像の破線の右側が、放電トリガ膜が形成されていないセラミックス表面の領域であり、左側が、放電トリガ膜が形成されているセラミックス表面の領域である。また、カーボン分散水としては、三菱マテリアル電子化成社製のカーボンナノチューブ濃度5wt%分散水を用いた。
図2の(a)に示すように、従来例の放電トリガ膜は、表面が毛羽立った状態であるのに対し、図2の(b)に示すように、本発明の実施例の放電トリガ膜は、表面が滑らかでセラミックス表面の凹凸に浸み込んでいることがわかる。
図2の(a)に示すように、従来例の放電トリガ膜は、表面が毛羽立った状態であるのに対し、図2の(b)に示すように、本発明の実施例の放電トリガ膜は、表面が滑らかでセラミックス表面の凹凸に浸み込んでいることがわかる。
また、上記従来例と実施例とにおける電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)によるC(炭素)マッピング画像を図3の(a)(b)に示す。図3の(a)に示すように、従来例の放電トリガ膜は、炭素が不均一に分布してポーラス状の部分(カーボンが無い又は非常に薄い部分)が分散して存在していると共に、飛散したカーボンも検出されているのに対し、図3の(b)に示すように、本発明の実施例の放電トリガ膜は、緻密でポーラス部分が無く、均一な膜構造が確認できる。なお、EPMAによるCマッピング画像は、元々カラー画像であるものをグレースケールで白黒画像にしている。
さらに、上記従来例と実施例とにおける断面のSEM画像を図4の(a)(b)に示す。図4の(a)に示すように、従来例の放電トリガ膜は、セラミックス表面の微細凹凸(セラミックス粒界の隙間)を埋めきれず、不連続に分布した断続的で凹凸の激しい膜であるのに対し、図4の(b)に示すように、本発明の実施例の放電トリガ膜は、膜下のセラミックス表面の微細凹凸を全て埋め尽くして表面が滑らかな平面又は曲面となった連続膜が得られている。
次に、上記従来例の放電トリガ膜を用いた放電管と、上記実施例の放電トリガ膜を用いた放電管とについて、サージ印加繰り返し回数に対する応答電圧を測定した結果を、図5に示す。なお、図中、従来例は「従来トリガ」と表示し、本発明の実施例は「カーボン分散水トリガ」と表示している。この図からわかるように、従来例ではサージ印加の繰り返しにより、応答電圧が高く変化してしまっているのに対し、本発明の実施例では、サージ印加を繰り返してもほとんど応答電圧は変わらず、安定した放電特性が得られている。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…放電管、2…セラミックス製筒体、3…封止電極、3b…封止材、4…放電トリガ膜
Claims (4)
- セラミックス製筒体と、
前記セラミックス製筒体の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極とを備え、
前記セラミックス製筒体の内面の一部に、放電トリガ膜が形成されており、
前記放電トリガ膜が、前記セラミックス製筒体の内面の微細凹凸を埋めて連続したカーボン材料で構成された連続膜であることを特徴とする放電管。 - 請求項1に記載の放電管において、
前記カーボン材料が、カーボンナノチューブを含んでいることを特徴とする放電管。 - 請求項1又は2に記載の放電管を製造する方法であって、
前記セラミックス製筒体の内面の一部に、カーボン材料の粉末を水中に分散させたカーボン分散水を付着させる工程と、
付着させた前記カーボン分散水の水分を蒸発させて前記放電トリガ膜を形成する工程とを有していることを特徴とする放電管の製造方法。 - 請求項3に記載の放電管の製造方法において、
前記セラミックス製筒体と前記一対の封止電極とを封止材により接合させて前記放電制御ガスを内部に封入する際の加熱により、前記カーボン分散水の水分を蒸発させることを特徴とする放電管の製造方法。
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