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JP2014181576A - 排気浄化システムおよびこれを備えた船舶 - Google Patents

排気浄化システムおよびこれを備えた船舶 Download PDF

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JP2014181576A JP2013055028A JP2013055028A JP2014181576A JP 2014181576 A JP2014181576 A JP 2014181576A JP 2013055028 A JP2013055028 A JP 2013055028A JP 2013055028 A JP2013055028 A JP 2013055028A JP 2014181576 A JP2014181576 A JP 2014181576A
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Abstract

【課題】排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる排気浄化システム10の提供を目的とする。
【解決手段】エンジン1の回転速度Vと噴射量Qとに基づいて燃料噴射弁4の噴射角θ(i)に対するNOx排出量Nθ(i)を算出し、回転速度Vと噴射量Q(i)とに基づいて尿素水の尿素水噴射量U(n)に対するNOx還元量NU(m)を算出し、NOx排出量Nθ(i)とNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下となる燃料噴射弁の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、尿素水の単価uuに基づいて算出される尿素水費Cu(n)と燃料の単価ufに基づいて算出される燃料費Cf(i)との和であるランニングコストC(m)が最小になる組合せを算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、排気浄化システムおよびこれを備えた船舶に関する。
従来、内燃機関から排出される排気に含まれるNOx(窒素酸化物)を低減するために、排気管の内部に選択還元型のNOx触媒を配置し、アンモニア等の還元剤によって、NOxを窒素と水とに還元する排気浄化装置が知られている。排気管の内部に配置される尿素水噴射ノズルから尿素水(ユリア水)を排気中に供給し、排気の熱によって尿素水からアンモニアを生成することでNOxを窒素と水に還元するものである。
このような排気浄化装置を備えるエンジンにおいて、還元剤によってNOxを還元するとともに、エンジンにおいて燃料噴射時期を遅角させてNOxの生成を抑制する排気浄化システム(エンジンの制御装置)がある。燃料噴射時期の遅角によってNOxの生成を抑制する割合と還元剤によってNOxを還元させる割合とを燃料の単価と還元剤の単価とに基づいて決定するものである。エンジンの制御装置は、燃料の単価または還元剤の単価が想定単価よりも高くなった場合、ランニングコストが設定値を下回るように噴射時期の遅角量または供給する還元剤の供給量を制御する。例えば特許文献1のごとくである。
しかし、特許文献1に記載されているエンジンの制御装置は、ランニングコストを基準として燃料噴射時期と還元剤の噴射量とを決定している。従って、このエンジンの制御装置は、燃料の単価と還元剤の単価とが高い場合、燃料噴射時期の遅角量と還元剤の噴射量とが共に抑制され、NOxの低減量が減少する可能性があった。
特開2007−255303号公報
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンと排気浄化システムとのランニングコストを最小化することができる排気浄化システムおよびこれを備えた船舶の提供を目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、エンジンの排気管内に還元触媒を設けたエンジンの排気浄化システムにおいて、エンジンの運転状態に基づいてエンジンのNOx低減手段の操作量に対するNOx排出量を算出し、エンジンの運転状態に基づいて還元剤の噴射量に対するNOx還元量を算出し、NOx排出量とNOx還元量との差がNOx制限値以下となるNOx低減手段の操作量と還元剤の噴射量との組み合わせのうち、燃料の単価に基づいて算出されるNOx低減手段の操作量に対する燃料費と還元剤の単価に基づいて算出される還元剤の噴射量に対する還元剤費との和が最小になる組合せを算出するものである。
即ち、請求項2においては、前記NOx低減手段として燃料の噴射角を制御し、前記エンジンの運転状態に基づいて燃料の噴射角を変更することにより増減する燃料費を算出するものである。
即ち、請求項3においては、前記NOx低減手段として排気の一部をEGRガスとして吸気管に還流させるEGR装置を更に設け、前記エンジンの運転状態に基づいてEGR弁の開度を変更することにより増減する燃料費を算出するものである。
即ち、請求項4においては、GPS受信機を更に備え、受信したGPS信号から算出された位置情報に基づいて前記NOx制限値を切り替えるものである。
即ち、請求項5においては、請求項1から請求項4に記載の排気浄化システムを備えた船舶である。
本発明の効果として、以下にF示すような効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、エンジンの運転状態と、還元剤の単価と、燃料の単価とに基づいてNOxを低減させる手段を構成する割合が算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつエンジンと排気浄化システムとのランニングコストを最小化することができる。
請求項2に係る発明によれば、エンジンの運転状態と、尿素水の単価と、燃料の単価とに基づいてNOxを低減させる手段である燃料噴射弁の遅角量と尿素水の尿素水噴射量との割合が算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量をNOx制限値以下に低減しつつエンジンと排気浄化システムとのランニングコストを最小化することができる。
請求項3に係る発明によれば、エンジンの運転状態と、尿素水の単価と、燃料の単価とに基づいてNOxを低減させる手段であるEGR装置のEGR弁開度と尿素水の尿素水噴射量との割合が算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量をNOx制限値以下に低減しつつエンジンと排気浄化システムとのランニングコストを最小化することができる。
請求項4に係る発明によれば、エンジンの所在に応じたNOx制限値が設定される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量をNOx制限値以下に低減しつつエンジンと排気浄化システムとのランニングコストを最小化することができる。
請求項5に係る発明によれば、船舶がどのようなNOx規制値が設定された海域を航行していても、エンジンの運転状態と、還元剤の単価と、燃料の単価とに基づいてNOxを低減させる手段を構成する割合が算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつエンジンと排気浄化システムとのランニングコストを最小化することができる。
本発明に係る排気浄化システムを備える船舶の構成を示す概略図。 本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す概略図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるNOx制限値を算出する態様を示す概念図(b)同じく噴射量を算出する態様を示す概念図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるNOx排出量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したNOx排出量の表を示す図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるNOx還元量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したNOx還元量の表を示す図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における最終NOx排出量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した最終NOx排出量の表を示す図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における燃料費および還元剤費を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した燃料費の表を示す図(c)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した還元剤費の表を示す図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるランニングコストを算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したランニングコストの表を示す図。 本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す概略図。 (a)本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における噴射量を算出する態様を示す概念図(b)同じくNOx排出量を算出する態様を示す概念図(c)同じくNOx還元量を算出する態様を示す概念図(d)同じく最終NOx排出量を算出する態様を示す概念図。 本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したランニングコストの表を示す図。 本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す概略図。 (a)本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における噴射量を算出する態様を示す概念図(b)同じくNOx排出量を算出する態様を示す概念図(c)同じくNOx還元量を算出する態様を示す概念図(d)同じく最終NOx排出量を算出する態様を示す概念図。 本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したランニングコストの表を示す図。
まず、図1を用いて本発明に係る排気浄化システム10を具備する船舶の一実施形態である船舶100の全体概要及び構成について説明する。なお、図1の船舶100は、いわゆる二軸推進方式の船舶を示している。但し、推進軸の数はこれに限定されるものではなく、単数または複数の軸を有するものであればよい。
図1に示すように、船舶100は、アクセルレバー102の操作に応じてエンジン1の運転状態が制御され、アウトドライブ装置106の推進用プロペラ107によって推進するものである。また、船舶100は、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104によってアウトドライブ装置106の方向が変更されて進路変更するものである。船舶100は、船体101に二機のエンジン1、二台のアウトドライブ装置106、及び操船制御装置108が具備される。なお、本実施形態において、船舶100は二機のエンジン1を具備しているがこれに限定されるものではない。なお、エンジン1に対するアウトドライブ装置106の台数は、本実施形態に限定されるものではない。また、ドライブ装置は、本実施例のアウトドライブ装置106に限定されるものではなく、エンジンによって直接的又は間接的にプロペラが駆動されるものやPOD式のものでもよい。
操船制御装置108は、アクセルレバー102、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等からの検出信号に基づいてエンジン1及びアウトドライブ装置106を制御するものである。なお、操船制御装置108は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの情報に基づいて自らの位置と設定された目的地とから航路を算出して自動で操船を行なう、いわゆる自動航法を可能に構成されてもよい。
操船制御装置108は、エンジン1及びアウトドライブ装置106の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。ECU6は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
操船制御装置108は、アクセルレバー102、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等と接続され、アクセルレバー102、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等からの制御信号を取得することが可能である。
操船制御装置108は、各エンジン1のECU6と接続され、各エンジン1の運転状況や各種信号を取得することが可能である。
操船制御装置108は、モニタ105に接続され、モニタ105に操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等の操作状況、各ECU6から取得した各種信号に基づく各エンジン1の状況、算出した船舶100の対水速度等を表示することが可能である。
次に、図2から図8を用いて本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10について説明する。なお、本実施形態における「上流側」とは流体の流れ方向における上流側を示し、「下流側」とは流体の流れ方向における下流側を示す。
始めに、本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10が具備するエンジン1について説明する。
図2に示すように、エンジン1は、軽油若しくは重油を燃料とするディーゼルエンジン1であり、本実施形態においては、四つの気筒を有する直列四気筒エンジン1である。エンジン1は、吸気管2を介して供給される外気と、各燃料噴射弁4・4・・から供給される燃料とを混合して燃焼させることで発生する動力をアウトドライブ装置106に伝達する(図1参照)。エンジン1は、燃料の燃焼により発生する排気を、排気管3を介して外部へ排出する。エンジン1は、出力軸の回転速度Vを検出する回転速度センサ5を具備する。なお、エンジン1は、ディーゼルエンジン1に限定されるものではない。
ECU6は、エンジン1を制御するものである。ECU6には、エンジン1の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。ECU6は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
ECU6は、燃料噴射弁4・4・・と接続され、燃料噴射弁4・4・・を制御することが可能である。
ECU6は、回転速度センサ5に接続され、回転速度センサ5が検出する回転速度Vを取得することが可能である。
次に、本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10について説明する。本発明に係る排気浄化システム10は、主にプレジャーボート等の小型船舶に搭載されるものであるが、小型船舶のみならずタンカー船などの大型船舶にも適用可能である。
排気浄化システム10は、エンジン1から排出されるNOxを低減するものである。排気浄化システム10は、尿素水噴射ノズル11、尿素水供給ポンプ16、切替弁17、NOx触媒18、GPS受信機19、入力装置20、制御装置21等を具備する。なお、本実施形態において、排気浄化システム10をエアレス方式としたがこれに限定されるものではない。
尿素水噴射ノズル11は、還元剤である尿素水を排気管3の内部に供給するものである。尿素水噴射ノズル11は、管状部材から構成され、その一側(下流側)を排気管3の外部から内部へ挿通するようにして設けられる。
尿素水供給ポンプ16は、尿素水を供給する。尿素水供給ポンプ16は、尿素水タンク15内の尿素水を所定の流量で尿素水噴射ノズル11に供給する。なお、尿素水供給ポンプ16は、本実施形態において、特に限定するものではなく、尿素水を所定の流量で供給できるものであればよい。
切替弁17は、尿素水の流路を切り替える。切替弁17は、電磁弁で構成され制御装置21に接続される。切替弁17は、スプールを摺動させることにより位置Xおよび位置Yに切り換えることが可能である。
切替弁17が位置Xの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に尿素水が供給されない。切替弁17が位置Yの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に尿素水が供給される。
入力装置20は、燃料の単価ufと尿素水の単価uuとを入力するものである。入力装置20は、制御装置21に接続される。入力装置20は、作業者によって、任意の単価を入力可能に構成される。
GPS受信機19は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの情報であるGPS信号を受信するものである。GPS受信機19は、制御装置21に接続される。
制御装置21は、尿素水供給ポンプ16、切替弁17およびECU6を介して燃料噴射弁4を制御する。制御装置21には、尿素水供給ポンプ16、切替弁17および燃料噴射弁4等を制御するための種々のプログラム、GPS信号に基づいて自らの位置Pを算出するプログラムやデータが格納される。制御装置21は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。また、制御装置21は、エンジン1を制御するECU6と一体的に構成することも可能である。
制御装置21は、海域毎におけるNOx制限値Nlimに関する規制情報が記憶されている。制御装置21は、この規制情報とGPS受信機19から取得したGPS信号に基づいて算出した自らの位置Pとから、当該地域におけるNOx制限値Nlimに切り替えるためのNOx制限値マップM1、取得した回転速度Vと燃料の噴射量Qとから、燃料噴射弁4の各噴射角θ(i)において標準噴射角θsでのエンジン出力を維持するために必要な燃料の各噴射量Q(i)を算出するための噴射角別噴射量マップM2、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各噴射角θ(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量Nθ(i)を算出するための噴射角別NOx排出量マップM3、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各噴射角θ(i)での各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出するためのNOx還元量マップM4等を記憶する(図3、図4(a)、図5(a)参照)。
制御装置21は、尿素水供給ポンプ16に接続され、尿素水供給ポンプ16を制御することが可能である。
制御装置21は、切替弁17に接続され、切替弁17を制御することが可能である。
制御装置21は、GPS受信機19に接続され、GPS受信機19が受信するGPS信号を取得することが可能である。
制御装置21は、入力装置20に接続され、入力装置20から入力された燃料の単価ufと尿素水の単価uuとを取得することが可能である。
制御装置21は、ECU6に接続され、ECU6からエンジン1に関する各種情報を取得し、ECU6にエンジン1の制御信号を送信することが可能である。具体的には、制御装置21は、ECU6を介してエンジン1の回転速度Vと燃料噴射弁4が燃料を噴射する標準噴射角θs、噴射量Q、噴射角θ(i)および噴射量Q(i)を取得するとともに、ECU6に燃料噴射弁4を制御する信号を送信することが可能である。
制御装置21は、取得したGPS信号から自らの位置Pを算出し、算出した位置Pに基づいてNOx制限値マップM1から当該地域におけるNOx制限値Nlimに切り替えることが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、噴射角別噴射量マップM2から予め設定されている各噴射角θ(i)においてエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、噴射角別NOx排出量マップM3から各噴射角θ(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量Nθ(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと各噴射量Q(i)とに基づいて、NOx還元量マップM4から予め設定されている各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、算出したNOx排出量Nθ(i)と算出したNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した燃料の単価ufと尿素水の単価uuとから噴射量Q(i)における燃料費Cf(i)と尿素水噴射量U(n)における尿素水費Cu(n)とを算出することが可能である。
制御装置21は、算出した燃料費Cf(i)と尿素水費Cu(n)との和であるランニングコストC(m)を算出することが可能である。
NOx触媒18は、NOxの還元反応を促進させるものである。NOx触媒18は排気管3の内部であって、尿素水噴射ノズル11よりも下流側に配置される。NOx触媒18はハニカム状に構成され、尿素水が熱・加水分解されて生成されるアンモニアが排気に含まれるNOxを窒素と水とに還元する反応を促進させる。
以下では、図2を用いて、尿素水噴射ノズル11の動作態様について説明する。
図2に示すように、排気管3の内部に尿素水の供給(噴射)が開始される場合、制御装置21が切替弁17を位置Yとすることによって、尿素水が尿素水噴射ノズル11の尿素水供給ポート11aに供給され、尿素水噴射ノズル11の噴射口から噴射される。
図2に示すように、排気管3の内部への尿素水の供給(噴射)が停止される場合、制御装置21が切替弁17のポジションを位置Xとすることによって、尿素水噴射ノズル11の尿素水供給ポート11aへの尿素水の供給が停止される。
以下では、図3から図8を用いて、本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10の制御装置21によるエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストを最小化する制御態様について説明する。
始めに、図3(a)に示すように、制御装置21は、GPS受信機19から取得したGPS信号に基づいて自らの位置Pを算出する。そして、制御装置21は、規制情報と算出した自らの位置Pとに基づいて、NOx制限値マップM1から当該地域におけるNOx制限値Nlimに切り替える。
次に、図3(b)に示すように、制御装置21は、ECU6から取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、噴射角別噴射量マップM2から各噴射角θ(i)において、標準噴射角θsでのエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出する。
次に、図4(a)に示すように、制御装置21は、ECU6から取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、噴射角別NOx排出量マップM3から各噴射角θ(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量Nθ(i)を算出する。
具体的には、図4(b)に示すように、制御装置21は、回転速度Vの場合に、噴射角θ(1)におけるNOx排出量Nθ(1)、噴射角θ(2)におけるNOx排出量Nθ(2)、噴射角θ(3)におけるNOx排出量Nθ(3)、噴射角θ(4)におけるNOx排出量Nθ(4)を算出する。
次に、図5(a)に示すように、制御装置21は、ECU6から取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、NOx還元量マップM4から各噴射角θ(i)において尿素噴射量が各尿素水噴射量U(n)である場合に還元されるNOx還元量NU(m)を算出する。
具体的には、図5(b)に示すように、制御装置21は、回転速度Vである場合に、NOx還元量マップM4から噴射角θ(1)において尿素水噴射量U(1)から尿素水噴射量U(4)であるときに還元されるNOx還元量NU(1)からNOx還元量NU(4)、噴射角θ(2)において還元されるNOx還元量NU(5)からNOx還元量NU(8)、噴射角θ(3)において還元されるNOx還元量NU(9)からNOx還元量NU(12)、噴射角θ(4)において還元されるNOx還元量NU(13)からNOx還元量NU(16)を算出する。
次に、図6(a)に示すように、制御装置21は、算出した各NOx排出量Nθ(i)と各NOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出する。そして、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)が算出したNOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。
具体的には、図6(b)に示すように、制御装置21は、噴射角θ(1)におけるNOx排出量Nθ(1)と(図4(b)参照)、尿素水噴射量U(1)から尿素水噴射量U(4)におけるNOx還元量NU(1)からNOx還元量NU(4)と(図5(b)参照)、の差である最終NOx排出量N(1)から最終NOx排出量N(4)を算出する。同様にして、制御装置21は、噴射角θ(2)における最終NOx排出量N(5)から最終NOx排出量N(8)、噴射角θ(3)における最終NOx排出量N(9)から最終NOx排出量N(12)、噴射角θ(4)における最終NOx排出量N(13)から最終NOx排出量N(16)を算出する。そして、制御装置21は、最終NOx排出量N(1)から最終NOx排出量N(16)のうち、NOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する(図6(b)網掛け部参照)。
次に、図7(a)に示すように、制御装置21は、算出した噴射量Q(i)と取得した燃料の単価ufとから燃料費Cf(i)を算出する。合わせて、制御装置21は、尿素水噴射量U(n)と取得した尿素水の単価uuとから尿素水費Cu(n)を算出する。
具体的には、図7(b)に示すように、制御装置21は、噴射角θ(1)における噴射量Q(1)と取得した燃料の単価ufとから燃料費Cf(1)を算出する。同様にして、制御装置21は、噴射角θ(2)における燃料費Cf(2)、噴射角θ(3)における燃料費Cf(3)、噴射角θ(4)における燃料費Cf(4)を算出する。さらに、図7(c)に示すように、制御装置21は、尿素水噴射量U(1)と取得した尿素水の単価uuとから尿素水費Cu(1)を算出する。同様にして、制御装置21は、尿素水噴射量U(2)における尿素水費Cu(2)、尿素水噴射量U(3)における尿素水費Cu(3)、尿素水噴射量U(4)における尿素水費Cu(4)を算出する。
次に、図8(a)に示すように、制御装置21は、噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、噴射角θ(i)のときの噴射量Q(i)における燃料費Cf(i)と尿素水噴射量U(n)における尿素水費Cu(n)との和であるランニングコストC(m)を算出する。さらに、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、算出したランニングコストC(m)が最小になる組み合わせを算出する。
具体的には、図8(b)に示すように、制御装置21は、噴射角θ(1)から噴射角θ(4)と尿素水噴射量U(1)から尿素水噴射量U(4)とのそれぞれの組み合わせにおいて、噴射量Q(1)から噴射量Q(4)における燃料費Cf(1)から燃料費Cf(4)と(図7(b)参照)、尿素水噴射量U(1)から尿素水噴射量U(4)における尿素水費Cu(1)から尿素水費Cu(4)と(図7(c)参照)、の和であるランニングコストC(1)からランニングコストC(16)を算出する。
さらに、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせ(図8(b)網掛け部参照)におけるランニングコストC(7)、ランニングコストC(8)、ランニングコストC(10)からランニングコストC(12)、ランニングコストC(14)からランニングコストC(16)のうち、ランニングコストC(m)が最小である組み合わせを算出する。本実施形態において、最小のランニングコストがランニングコストC(10)である場合、制御装置21は、噴射角θ(3)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせを算出する。
制御装置21は、ECU6に、燃料の噴射角が算出した組み合わせにおける噴射角θ(i)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(n)になるように切替弁17とを制御する(図2参照)。本実施形態において、制御装置21は、ECU6に、燃料の噴射角が算出した組み合わせにおける噴射角θ(3)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(2)になるように切替弁17とを制御する。
以上のごとく、本実施形態に係る排気浄化システム10は、エンジン1の排気管3内にNOx還元触媒を設けたエンジン1の排気浄化システム10において、エンジン1の運転状態である回転速度Vと噴射量Qとに基づいてエンジン1のNOx低減手段である燃料噴射弁4・4・・の操作量である噴射角θ(i)に対するNOx排出量Nθ(i)を算出し、エンジンの回転速度Vと噴射量Q(i)とに基づいて還元剤である尿素水の尿素水噴射量U(n)に対するNOx還元量NU(m)を算出し、NOx排出量Nθ(i)とNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下となる燃料噴射弁4・4・・の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、燃料の単価ufに基づいて算出される燃料噴射弁4・4・・の噴射角θ(i)に対する噴射量Q(i)の燃料費Cf(i)と尿素水の単価uuに基づいて算出される尿素水噴射量U(n)に対する還元剤費である尿素水費Cu(n)との和であるランニングコストC(m)が最小になる組合せを算出するものである。
このように構成することにより、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)と、尿素水の単価uuと、燃料の単価ufとに基づいてNOxを低減させる手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との割合が算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる。
また、GPS受信機19を更に備え、受信したGPS信号から算出された位置Pに基づいてNOx制限値Nlimを切り替えるものである。
このように構成することにより、エンジン1の所在に応じたNOx制限値Nlimが設定される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる。
次に、図9から図11を用いて、本発明に係る排気浄化システム10の第二実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
以下に、本発明の第二実施形態に係る排気浄化システム10を具備するエンジン1について説明する。
図9に示すように、エンジン1は、EGR装置7を更に具備する。EGR装置7は、排気の一部を吸気に還流するものである。EGR装置7は、EGR管8、EGR弁9、加圧空気供給ポンプ12、加圧空気弁14等を具備する。
EGR管8は、排気を吸気管2に案内するための管である。EGR管8は、吸気管2と排気管3とを連通するように設けられる。これにより、排気管3を通過する排気の一部がEGR管8を通じて吸気管2に案内される(図9における網掛け矢印参照)。すなわち、排気の一部がEGRガスとして吸気に還流可能に構成される(以下、単に「EGRガス」と記す)。
EGR弁9は、EGR管8を通過するEGRガスの流量を制限するものである。EGR弁9は、電磁式流量制御弁から構成される。EGR弁9は、EGR管8の途中部に設けられる。EGR弁9は、制御装置21からの信号を取得してEGR弁9の開度であるEGR弁開度Vd(i)を変更することができる。
加圧空気供給ポンプ12は、加圧空気をエアタンク13に供給するものである。加圧空気供給ポンプ12は、空気を加圧(圧縮)して供給する。加圧空気供給ポンプ12は、エアタンク13の圧力が所定の圧力を下回った場合、空気をエアタンク13に供給し、エアタンク13の圧力が所定の圧力に達すると停止する。なお、加圧空気供給ポンプ12は、本実施形態において、特に限定するものではなく、エアタンク13の圧力を維持できるものであればよい。
加圧空気弁14は、加圧空気の流路を連通または遮断する。加圧空気弁14は、電磁弁で構成され制御装置21に接続される。加圧空気弁14は、スプールを摺動させることにより位置Zおよび位置Wに切り換えることが可能である。
加圧空気弁14が位置Zの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に加圧空気が供給されない。加圧空気弁14が位置Wの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に加圧空気が供給される。なお、加圧空気弁14は、電磁弁で構成されるが、特に限定するものではなく、駆動モータ等によって位置Z、または位置Wに保持する構成でもよい。
制御装置21は、加圧空気弁14、尿素水供給ポンプ16、切替弁17およびECU6を介して燃料噴射弁4を制御する。制御装置21には、加圧空気弁14、尿素水供給ポンプ16、切替弁17および燃料噴射弁4等を制御するための種々のプログラム、GPS信号に基づいて自らの位置Pを算出するプログラムやデータが格納される。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとから、各EGR弁開度Vd(i)において、EGR弁が全閉状態でのエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出するためのEGR弁開度別噴射量マップM5、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVd(i)を算出するためのEGR弁開度別NOx排出量マップM6、取得した回転速度Vと各EGR弁開度Vd(i)とから、各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出するためのNOx還元量マップM7等を記憶する(図10参照)。
制御装置21は、EGR弁9に接続され、EGR弁9を制御することが可能である。
制御装置21は、加圧空気弁14に接続され、加圧空気弁14を制御することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、EGR弁開度別噴射量マップM5から各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、EGR弁開度別NOx排出量マップM6から各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVd(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと各EGR弁開度Vd(i)とに基づいて、NOx還元量マップM7から各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、算出したNOx排出量NVd(i)と算出したNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出することが可能である。
以下では、図9を用いて、尿素水噴射ノズル11の動作態様について説明する。
図9に示すように、排気管3の内部に尿素水の供給(噴射)が開始される場合、制御装置21が切替弁17を位置Yとすることによって、尿素水が尿素水噴射ノズル11の尿素水供給ポート11aに供給される。
この状態で、図9に示すように、制御装置21が加圧空気弁14を位置Wとすることによって、加圧空気が尿素水噴射ノズル11の気体供給ポート11bに供給される。この結果、尿素水は、尿素水噴射ノズル11の内部で加圧空気と衝突して霧化され、尿素水噴射ノズル11の噴射口から噴射される。
以下では、図10と図11とを用いて、本発明の第二実施形態に係る排気浄化システム10の制御装置21によるランニングコストを最小化する制御態様について説明する。
前述と同様に、図10(a)に示すように、制御装置21は、EGR弁開度別噴射量マップM5から各噴射量Q(i)を算出する。そして、図10(b)に示すように、制御装置21は、EGR弁開度別NOx排出量マップM6から各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVd(i)を算出する。合わせて、図10(c)に示すように、NOx還元量マップM7から各EGR弁開度Vd(i)において各尿素水噴射量U(n)が噴射された場合に還元されるNOx還元量NU(m)を算出する。
次に、図10(d)に示すように、制御装置21は、各NOx排出量NVd(i)と各NOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出する。そして、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)が算出したNOx制限値Nlim以下になるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する(図11網掛け部参照)。
次に、図11に示すように、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、算出したランニングコストC(m)が最小になる組み合わせを算出する。本実施形態において、最小のランニングコストがランニングコストC(10)である場合、制御装置21は、EGR弁開度Vd(3)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせを算出する。なお、EGR弁開度Vd(i)に加えて、燃料の噴射角θ(i)も合わせて制御してもよい。
制御装置21は、ECU6に、算出した組み合わせにおけるEGR弁開度Vd(i)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(n)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する(図9参照)。本実施形態において、制御装置21は、ECU6に、算出した組み合わせにおけるEGR弁開度Vd(3)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(2)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する。
以上のごとく、本実施形態に係る排気浄化システム10は、NOx低減手段として排気の一部をEGRガスとして吸気管に還流させるEGR装置7を更に設け、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)に基づいてEGR弁9の開度であるEGR弁開度Vd(i)を変更することにより増減する燃料費Cf(i)を算出するものである。
このように構成することにより、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)と、尿素水の単価uuと、燃料の単価ufとに基づいてNOxを低減させる手段であるEGR装置7のEGR弁開度Vd(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との割合が算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる。
次に、図12から図14を用いて、本発明に係る排気浄化システム10の第三実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
以下に、本発明の第三実施形態に係る排気浄化システム10を具備するエンジン1について説明する。
図12に示すように、エンジン1は、吸気絞り弁2aを更に具備する。吸気絞り弁2aは、エンジン1の吸気流量を制御するものである。吸気絞り弁2aは、電磁式流量制御弁から構成される。吸気絞り弁2aは、吸気管2の途中部に設けられる。吸気絞り弁2aは、制御装置21からの信号を取得して吸気絞り弁2aの開度である絞り弁開度Vi(i)を変更することができる。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとから、各絞り弁開度Vi(i)において、絞り弁開度が全開でのエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出するための絞り弁開度別噴射量マップM8、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVi(i)を算出するための絞り弁開度別NOx排出量マップM9、取得した回転速度Vと各絞り弁開度Vi(i)とから、各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出するためのNOx還元量マップM10等を記憶する(図13参照)。
制御装置21は、吸気絞り弁2aに接続され、吸気絞り弁2aを制御することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、絞り弁開度別噴射量マップM8から各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、絞り弁開度別NOx排出量マップM9から各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVi(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと各絞り弁開度Vi(i)とに基づいて、NOx還元量マップM10から各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、算出したNOx排出量NVi(i)と算出したNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出することが可能である。
以下では、図13と図14とを用いて、本発明の第三実施形態に係る排気浄化システム10の制御装置21によるランニングコストを最小化する制御態様について説明する。
前述と同様に、図13(a)に示すように、制御装置21は、絞り弁開度別噴射量マップM8から各噴射量Q(i)を算出する。そして、図13(b)に示すように、制御装置21は、絞り弁開度別NOx排出量マップM9から各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVi(i)を算出する。合わせて、図13(c)に示すように、NOx還元量マップM10から各絞り弁開度Vi(i)において各尿素水噴射量U(n)が噴射された場合に還元されるNOx還元量NU(m)を算出する。
次に、図13(d)に示すように、制御装置21は、各NOx排出量NVi(i)と各NOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出する。そして、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)が算出したNOx制限値Nlim以下になる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。
次に、図14に示すように、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、算出したランニングコストC(m)が最小になる組み合わせを算出する。本実施形態において、最小のランニングコストがランニングコストC(10)である場合、制御装置21は、絞り弁開度Vi(3)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせを算出する。なお、絞り弁開度Vi(i)に加えて、燃料の噴射角θ(i)やEGR装置を更に備えてEGR弁開度Vd(i)も合わせて制御してもよい。
以上のごとく、本実施形態に係る排気浄化システム10は、NOx低減手段として吸気管2に吸気絞り弁2aを更に設け、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)に基づいて吸気絞り弁2aの開度である絞り弁開度Vi(i)を変更することにより増減する燃料費Cf(i)を算出するものである。
このように構成することにより、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)と、尿素水の単価uuと、燃料の単価ufとに基づいてNOxを低減させる手段である吸気絞り弁2aの絞り弁開度Vi(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との割合が算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる。
また、本発明に係る船舶は、第一実施形態に係る排気浄化システム10、第二実施形態に係る排気浄化システム10、または第三実施形態に係る排気浄化システム10を備えるものである。
このように構成することにより、船舶100がどのようなNOx規制値Nlimが設定された海域を航行していても、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)と、尿素水の単価uuと、燃料の単価ufとに基づいてNOxを低減させる手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)等と尿素水の尿素水噴射量U(n)との割合が算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる。
1 エンジン
3 排気管
4 燃料噴射弁
V 回転速度
θ(i) 噴射角
Q(i) 噴射量
Nθ(i) NOx排出量
U(n) 尿素水噴射量
NU(m) NOx還元量
N(m) 最終NOx排出量
Nlim NOx制限値
uu 尿素水の単価
Cu(n) 尿素水費
Cf 燃料の単価
Cf(i) 燃料費
C(m) ランニングコスト

Claims (5)

  1. エンジンの排気管内に還元触媒を設けたエンジンの排気浄化システムにおいて、
    エンジンの運転状態に基づいてエンジンのNOx低減手段の操作量に対するNOx排出量を算出し、
    エンジンの運転状態に基づいて還元剤の噴射量に対するNOx還元量を算出し、
    NOx排出量とNOx還元量との差がNOx制限値以下となるNOx低減手段の操作量と還元剤の噴射量との組み合わせのうち、燃料の単価に基づいて算出されるNOx低減手段の操作量に対する燃料費と還元剤の単価に基づいて算出される還元剤の噴射量に対する還元剤費との和が最小になる組合せを算出する排気浄化システム。
  2. 前記NOx低減手段として燃料の噴射角を制御し、前記エンジンの運転状態に基づいて燃料の噴射角を変更することにより増減する燃料費を算出する請求項1に記載の排気浄化システム。
  3. 前記NOx低減手段として排気の一部をEGRガスとして吸気管に還流させるEGR装置を更に設け、前記エンジンの運転状態に基づいてEGR弁の開度を変更することにより増減する燃料費を算出する請求項1または請求項2に記載の排気浄化システム。
  4. GPS受信機を更に備え、受信したGPS信号から算出された位置情報に基づいて前記NOx制限値を切り替える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の排気浄化システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の排気浄化システムを備えた船舶。
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