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JP2014154225A - 電極材料、電極及び電池 - Google Patents

電極材料、電極及び電池 Download PDF

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JP2014154225A JP2013020215A JP2013020215A JP2014154225A JP 2014154225 A JP2014154225 A JP 2014154225A JP 2013020215 A JP2013020215 A JP 2013020215A JP 2013020215 A JP2013020215 A JP 2013020215A JP 2014154225 A JP2014154225 A JP 2014154225A
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広範 飯田
Kenichi Murata
賢一 村田
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貴晶 中川
Shinichiro Yamada
心一郎 山田
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Abstract

【課題】中性の領域で機能し得る電極材料、係る電極材料から構成された電極、及び、係る電極を備えた電池を提供する。
【解決手段】電極は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成されており、電極材料は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から成り、電池は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された正極を備えている。
【選択図】図7

Description

本開示は、電極材料、電極及び電池に関する。
酸素還元触媒機能を有する電極(以下、『酸素還元電極』と呼ぶ場合がある)が、例えば、
(A)糖、アルコール、セルロース等の有機物を燃料とする酵素バイオ電池
(B)廃水や汚泥処理において用いられ、それらに含まれる有機物を燃料として反応し、分解する微生物燃料電池
(C)金属及び合金材料を含む負極活物質を含有する負極を有する金属空気電池
(D)固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池、直接形メタノール燃料電池等の各種燃料電池
(E)食塩電解用酸素還元ガス拡散電極
(F)酸素を検出する電気化学センサー
等の各種電池や電極、センサーに利用されている。
そして、酸素還元電極を構成する酸素還元触媒として白金(Pt)が高い酸素還元触媒能を示すことが知られているが、高価であるために、代替触媒の開発が強く要求されている。
亜鉛、アルミニウム又はマグネシウムを含む負極と、少なくとも1つの酸素還元触媒を含む正極とを有する金属空気電池が、例えば、特開2012−517075から周知である。この特許公開公報に開示された金属空気電池にあっては、酸素還元触媒として、貴金属等が挙げられており、酸素還元触媒は、カーボンブラック、グラファイト、炭又は活性炭によって担持されている。
特開2012−517075
221st ECS Meeting, 2012 The Electrochemical Society, Abstract #1437, Kano Kenji, "Significance of Carbon Electrode Materials to Improve the Performance of DET-type Fructose/O2 Biofuel cells"
上記の特許公開公報に開示されたカーボンブラックや、グラファイト、炭、活性炭は、酸素還元触媒を担持するための材料であり、これらの材料を酸素還元触媒として機能させることに関して、上記の特許公開公報には何ら言及されていない。
例えば、酵素バイオ電池や微生物燃料電池は中性の領域で作動させる必要がある。従って、酸素還元電極(あるいは酸素還元触媒)は中性の領域で酸素還元機能を発揮することが要求される。しかしながら、中性の領域で酸素還元機能を発揮する酸素還元触媒は限られており、上述した各種の酸素還元触媒は中性の領域での酸素還元機能に乏しい。酵素ビリルビンオキシダーゼが中性の領域での酸素還元機能を有する酸素還元触媒として知られているが(非特許文献1参照)、得られる電流密度が小さく、現在報告されている最大の値でも40ミリアンペア/cm2程度である。また、酵素は、安定性が低いことが特に大きな問題点として挙げられる。
従って、本開示の目的は、中性の領域で機能し得る電極材料、係る電極材料から構成された電極、及び、係る電極を備えた電池を提供することにある。
上記の目的を達成するための本開示の電極は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成されている。
上記の目的を達成するための本開示の電極材料は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から成る。
上記の目的を達成するための本開示の電池は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された正極を備えている。
本開示の電極材料、本開示の電極あるいは本開示の電池を構成する正極は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から成る(構成されている)ので、中性の領域で酸素還元機能を充分に発揮することができる。しかも、電池の構成にも依るが、酵素を使用していないので、電極あるいは電池の使用環境に対する制約が少ない。
図1は、実施例1、比較例1A、比較例1B、比較例1C、比較例1Dの試験用酸素還元電極の酸素還元能を評価した結果を示すグラフである。 図2は、参考例である白金電極の酸素還元能を評価した結果を示すグラフである。 図3A及び図3Bは、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料及び比較例1Aの材料の累計細孔容積の測定結果を示すグラフである。 図4は、実施例2の試験用酸素還元電極の酸素還元能を評価した結果を示すグラフである。 図5は、実施例2の試験用酸素還元電極の酸素還元能を評価した結果を示すグラフである。 図6は、アルミニウムの腐食量とpHとの関係を示すグラフである。 図7は、実施例3の電極の酸素還元能を評価した結果を示すグラフである。 図8A及び図8Bは、実施例3の電池の模式的な断面図である。 図9は、実施例3の電池に所定の負荷を与え、且つ、一定の電流が流れるように制御した状態で、セル電圧を記録した結果を示すグラフである。 図10は、実施例3の電池の変形例の模式的な断面図である。 図11A及び図11Bは、図10に示した実施例3の電池におけるカートリッジの使用前後の状態を示す断面図であり、図11Cは、実施例3の電池の使用後の状態を示す模式的な断面図である。 図12は、実施例3の電池のカートリッジ交換方法を説明するための模式的な断面図である。 図13は、実施例4の電池の模式的な断面図である。 図14は、実施例4の電池に所定の負荷を与え、且つ、一定の電流が流れるように制御した状態で、セル電圧を記録した結果を示すグラフである。 図15は、実施例4の電池の変形例の模式的な断面図である。 図16は、実施例4の電池の別の変形例の模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の電極材料、電極及び電池、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の電極材料、及び、本開示の電極)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(本開示の電池)
5.実施例4(実施例3の変形)、その他
[本開示の電極材料、電極及び電池、全般に関する説明]
本開示の電極材料、本開示の電極、あるいは、本開示の電池(以下、これらを総称して、『本開示』と呼ぶ場合がある)において、多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において、具体的には、pHが3以上、10以下の電解質中において、酸素を還元する形態とすることができる。
上記の好ましい形態を含む本開示にあっては、多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である形態とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示において、多孔質炭素材料(あるいは電極材料あるいは電極あるいは正極)の酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である形態とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の電池においては、pHが3以上、10以下の電解液を用いることができる。そして、pHを3以上、10以下に維持するために、例えば、電解液には緩衝物質が含まれる形態とすることができる。緩衝物質は、pKaが4以上、10以下のものであれば、基本的にはどのようなものを用いてもよい。尚、緩衝物質は、電解液1リットル当たり0.2モル以上、電解液に含まれていることが好ましい。電解液に含まれる緩衝物質の量の上限として、電解液中における緩衝物質の溶解度の上限値を挙げることができ、電解液に含まれる緩衝物質の量は、電解液中における緩衝物質の溶解度の上限値に近いことが一層好ましい。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の電極あるいは本開示の電池において、多孔質炭素材料には酸素還元触媒が担持されている構成とすることができ、この場合、酸素還元触媒は、白金(Pt)を含む貴金属、遷移金属酸化物、有機金属錯体及びその重合体(具体的には、例えば、遷移金属ポルフィリン、フタロシアニン、遷移金属ポルフィリンが重合して高分子化した重合ポルフィリン、フタロシアニンが重合して高分子化した重合フタロシアニン)、灰チタン石、及び、ポリアクリロニトリルと共に熱分解されたコバルト塩とその熱分解生成物から構成された群から選択された少なくとも1種類の材料から成る構成とすることができる。あるいは又、酸素還元触媒として、その他、LaBO3(B:Mn,Co)系ペロブスカイト型酸化物や窒化物、硫化物;La1-xA’xCo1-yFey3(但し、A’はSrあるいはCa、x及びyは0.2乃至0.5)といった多成分ペロブスカイト型酸化物を挙げることができる。尚、これらの酸素還元触媒によって、酸素を4電子還元することができる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の電極あるいは本開示の電池において、多孔質炭素材料は支持部材に支持されている構成とすることができる。更には、このような構成を含む、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の電極あるいは本開示の電池においては、電池の正極として使用される形態とすることができる。
多孔質炭素材料(あるいは電極材料)の酸素還元開始電位の測定は、具体的には、以下の方法で行うことができる。即ち、植物由来の多孔質炭素材料から成るペーストを調製し、市販のグラッシーカーボン電極(具体的には、ビー・エー・エス株式会社製)上に成膜して試験用酸素還元電極を作製する。そして、空気飽和のリン酸緩衝液(pH7、1モル/リットル)中で試験用酸素還元電極を回転数1000rmpにて回転させることで試験用酸素還元電極に酸素を供給しながら電気化学測定を行い、試験用酸素還元電極の酸素還元能を評価する。測定装置として、ALS社製、回転ディスク電極用装置RDE−2、及び、電気化学アナライザーALS701を使用する。尚、電極あるいは正極に作製された状態での酸素還元開始電位の測定は、回転ディスク電極用装置RDE−2、及び、電気化学アナライザーALS701を用いて、リニアスイープボルタンメトリ測定を行い、酸素還元電流の立ち上がり電位を計測することで行うことができる。
本開示において、多孔質炭素材料は植物由来の材料を原料としている。ここで、植物由来の材料として、米(稲)、大麦、小麦、ライ麦、稗(ヒエ)、粟(アワ)等の籾殻や藁、珈琲豆、茶葉(例えば、緑茶や紅茶等の葉)、サトウキビ類(より具体的には、サトウキビ類の絞り滓)、トウモロコシ類(より具体的には、トウモロコシ類の芯)、果実の皮(例えば、オレンジの皮、グレープフルーツの皮、ミカンの皮といった柑橘類の皮やバナナの皮等)、あるいは又、葦、茎ワカメを挙げることができるが、これらに限定するものではなく、その他、例えば、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類、海藻を挙げることができる。尚、これらの材料を、原料として、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、植物由来の材料の形状や形態も特に限定はなく、例えば、籾殻や藁そのものでもよいし、あるいは乾燥処理品でもよい。更には、ビールや洋酒等の飲食品加工において、発酵処理、焙煎処理、抽出処理等の種々の処理を施されたものを使用することもできる。特に、産業廃棄物の資源化を図るという観点から、脱穀等の加工後の藁や籾殻を使用することが好ましい。これらの加工後の藁や籾殻は、例えば、農業協同組合や酒類製造会社、食品会社、食品加工会社から、大量、且つ、容易に入手することができる。
炭素化した後、酸又はアルカリで処理することによって得られた多孔質炭素材料のケイ素(Si)の含有率は、5質量%未満、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることが望ましい。尚、原料(炭素化前の植物由来の材料)のケイ素(Si)の含有率は5質量%以上であることが好ましい。
本開示における多孔質炭素材料は、例えば、植物由来の材料を400゜C乃至1400゜Cにて炭素化した後、酸又はアルカリで処理することによって得ることができる。このような本開示における多孔質炭素材料の製造方法(以下、単に、『多孔質炭素材料の製造方法』と呼ぶ場合がある)において、植物由来の材料を400゜C乃至1400゜Cにて炭素化することにより得られた材料であって、酸又はアルカリでの処理を行う前の材料を、『多孔質炭素材料前駆体』あるいは『炭素質物質』と呼ぶ。
多孔質炭素材料の製造方法において、酸又はアルカリでの処理の後、賦活処理を施す工程を含めることができるし、賦活処理を施した後、酸又はアルカリでの処理を行ってもよい。また、このような好ましい形態を含む多孔質炭素材料の製造方法にあっては、使用する植物由来の材料にも依るが、植物由来の材料を炭素化する前に、炭素化のための温度よりも低い温度(例えば、400゜C〜700゜C)にて、酸素を遮断した状態で植物由来の材料に加熱処理(予備炭素化処理)を施してもよい。これによって、炭素化の過程において生成するであろうタール成分を抽出することが出来る結果、炭素化の過程において生成するであろうタール成分を減少あるいは除去することができる。尚、酸素を遮断した状態は、例えば、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気とすることで、あるいは又、真空雰囲気とすることで、あるいは又、植物由来の材料を一種の蒸し焼き状態とすることで達成することができる。また、多孔質炭素材料の製造方法にあっては、使用する植物由来の材料にも依るが、植物由来の材料中に含まれるミネラル成分や水分を減少させるために、また、炭素化の過程での異臭の発生を防止するために、植物由来の材料をアルコール(例えば、メチルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアルコール)に浸漬してもよい。尚、多孔質炭素材料の製造方法にあっては、その後、予備炭素化処理を実行してもよい。不活性ガス中で加熱処理を施すことが好ましい材料として、例えば、木酢液(タールや軽質油分)を多く発生する植物を挙げることができる。また、アルコールによる前処理を施すことが好ましい材料として、例えば、ヨウ素や各種ミネラルを多く含む海藻類を挙げることができる。
多孔質炭素材料の製造方法にあっては、植物由来の材料を400゜C乃至1400゜Cにて炭素化するが、ここで、炭素化とは、一般に、有機物質(本開示における多孔質炭素材料にあっては、植物由来の材料)を熱処理して炭素質物質に変換することを意味する(例えば、JIS M0104−1984参照)。尚、炭素化のための雰囲気として、酸素を遮断した雰囲気を挙げることができ、具体的には、真空雰囲気、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気、植物由来の材料を一種の蒸し焼き状態とする雰囲気を挙げることができる。炭素化温度に至るまでの昇温速度として、限定するものではないが、係る雰囲気下、1゜C/分以上、好ましくは3゜C/分以上、より好ましくは5゜C/分以上を挙げることができる。また、炭素化時間の上限として、10時間、好ましくは7時間、より好ましくは5時間を挙げることができるが、これに限定するものではない。炭素化時間の下限は、植物由来の材料が確実に炭素化される時間とすればよい。また、植物由来の材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、分級してもよい。植物由来の材料を予め洗浄してもよい。あるいは又、得られた多孔質炭素材料前駆体や多孔質炭素材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、分級してもよい。あるいは又、賦活処理後の多孔質炭素材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、分級してもよい。更には、最終的に得られた多孔質炭素材料に殺菌処理を施してもよい。炭素化のために使用する炉の形式、構成、構造に制限はなく、連続炉とすることもできるし、回分炉(バッチ炉)とすることもできる。
多孔質炭素材料の製造方法において、上述したとおり、賦活処理を施せば、孔径が2nmよりも小さいマイクロ細孔を増加させることができる。賦活処理の方法として、ガス賦活法、薬品賦活法を挙げることができる。ここで、ガス賦活法とは、賦活剤として酸素や水蒸気、炭酸ガス、空気等を用い、係るガス雰囲気下、700゜C乃至1400゜Cにて、好ましくは700゜C乃至1000゜Cにて、より好ましくは800゜C乃至1000゜Cにて、数十分から数時間、多孔質炭素材料を加熱することによって、多孔質炭素材料中の揮発成分や炭素分子に、一層、微細構造を発達させる方法である。尚、より具体的には、加熱温度は、植物由来の材料の種類、ガスの種類や濃度等に基づき、適宜、選択すればよい。薬品賦活法とは、ガス賦活法で用いられる酸素や水蒸気の替わりに、塩化亜鉛、塩化鉄、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸等を用いて賦活させ、塩酸で洗浄、アルカリ性水溶液でpHを調整し、乾燥させる方法である。
多孔質炭素材料の製造方法にあっては、酸又はアルカリでの処理によって、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去する。ここで、ケイ素成分として、二酸化ケイ素や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素酸化物を挙げることができる。このように、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去することで、高い比表面積を有する多孔質炭素材料を得ることができる。場合によっては、ドライエッチング法に基づき、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去してもよい。
本開示における多孔質炭素材料は、細孔(ポア)を多く有している。細孔として、孔径が2nm乃至50nmの『メソ細孔』、孔径が50nmを超える『マクロ細孔』、及び、孔径が2nmよりも小さい『マイクロ細孔』が含まれる。具体的には、メソ細孔として、例えば、20nm以下の孔径の細孔を多く含み、特に、10nm以下の孔径の細孔を多く含んでいる。また、マイクロ細孔として、例えば、孔径が1.9nm程度の細孔と、1.5nm程度の細孔と、0.8nm〜1nm程度の細孔とを多く含んでいる。本開示における多孔質炭素材料にあっては、BJH法による細孔の容積は、0.2cm3/グラム以上、好ましくは0.3cm3/グラム以上、より好ましくは0.5cm3/グラム以上であることが望ましい。MP法による細孔の容積も、0.1cm3/グラム以上、好ましくは0.2cm3/グラム以上、より好ましくは0.3cm3/グラム以上、一層好ましくは0.5cm3/グラム以上であることが望ましい。
本開示における多孔質炭素材料において、窒素BET法による比表面積の値(以下、単に、『比表面積の値』と呼ぶ場合がある)は、より一層優れた機能性を得るために、好ましくは400m2/グラム以上であることが望ましい。
窒素BET法とは、吸着剤(ここでは、多孔質炭素材料)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより吸着等温線を測定し、測定したデータを式(1)で表されるBET式に基づき解析する方法であり、この方法に基づき比表面積や細孔容積等を算出することができる。具体的には、窒素BET法により比表面積の値を算出する場合、先ず、多孔質炭素材料に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、吸着等温線を求める。そして、得られた吸着等温線から、式(1)あるいは式(1)を変形した式(1’)に基づき[p/{Va(p0−p)}]を算出し、平衡相対圧(p/p0)に対してプロットする。そして、このプロットを直線と見なし、最小二乗法に基づき、傾きs(=[(C−1)/(C・Vm)])及び切片i(=[1/(C・Vm)])を算出する。そして、求められた傾きs及び切片iから式(2−1)、式(2−2)に基づき、Vm及びCを算出する。更には、Vmから、式(3)に基づき比表面積asBETを算出する(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第62頁〜第66頁参照)。尚、この窒素BET法は、JIS R 1626−1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準じた測定方法である。
a=(Vm・C・p)/[(p0−p){1+(C−1)(p/p0)}] (1)
[p/{Va(p0−p)}]
=[(C−1)/(C・Vm)](p/p0)+[1/(C・Vm)] (1’)
m=1/(s+i) (2−1)
C =(s/i)+1 (2−2)
sBET=(Vm・L・σ)/22414 (3)
但し、
a:吸着量
m:単分子層の吸着量
p :窒素の平衡時の圧力
0:窒素の飽和蒸気圧
L :アボガドロ数
σ :窒素の吸着断面積
である。
窒素BET法により細孔容積Vpを算出する場合、例えば、求められた吸着等温線の吸着データを直線補間し、細孔容積算出相対圧で設定した相対圧での吸着量Vを求める。この吸着量Vから式(4)に基づき細孔容積Vpを算出することができる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第62頁〜第65頁参照)。尚、窒素BET法に基づく細孔容積を、以下、単に『細孔容積』と呼ぶ場合がある。
p=(V/22414)×(Mg/ρg) (4)
但し、
V :相対圧での吸着量
g:窒素の分子量
ρg:窒素の密度
である。
メソ細孔の孔径は、例えば、BJH法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。BJH法は、細孔分布解析法として広く用いられている方法である。BJH法に基づき細孔分布解析をする場合、先ず、多孔質炭素材料に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、脱着等温線を求める。そして、求められた脱着等温線に基づき、細孔が吸着分子(例えば窒素)によって満たされた状態から吸着分子が段階的に着脱する際の吸着層の厚さ、及び、その際に生じた孔の内径(コア半径の2倍)を求め、式(5)に基づき細孔半径rpを算出し、式(6)に基づき細孔容積を算出する。そして、細孔半径及び細孔容積から細孔径(2rp)に対する細孔容積変化率(dVp/drp)をプロットすることにより細孔分布曲線が得られる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第85頁〜第88頁参照)。
p=t+rk (5)
pn=Rn・dVn−Rn・dtn・c・ΣApj (6)
但し、
n=rpn 2/(rkn−1+dtn2 (7)
ここで、
p:細孔半径
k:細孔半径rpの細孔の内壁にその圧力において厚さtの吸着層が吸着した場合のコア半径(内径/2)
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔容積
dVn:そのときの変化量
dtn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの吸着層の厚さtnの変化量
kn:その時のコア半径
c:固定値
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔半径
である。また、ΣApjは、j=1からj=n−1までの細孔の壁面の面積の積算値を表す。
マイクロ細孔の孔径は、例えば、MP法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。MP法により細孔分布解析を行う場合、先ず、多孔質炭素材料に窒素を吸着させることにより、吸着等温線を求める。そして、この吸着等温線を吸着層の厚さtに対する細孔容積に変換する(tプロットする)。そして、このプロットの曲率(吸着層の厚さtの変化量に対する細孔容積の変化量)に基づき細孔分布曲線を得ることができる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第72頁〜第73頁、第82頁参照)。
多孔質炭素材料前駆体を酸又はアルカリで処理するが、具体的な処理方法として、例えば、酸あるいはアルカリの水溶液に多孔質炭素材料前駆体を浸漬する方法や、多孔質炭素材料前駆体と酸又はアルカリとを気相で反応させる方法を挙げることができる。より具体的には、酸によって処理する場合、酸として、例えば、フッ化水素、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム等の酸性を示すフッ素化合物を挙げることができる。フッ素化合物を用いる場合、多孔質炭素材料前駆体に含まれるケイ素成分におけるケイ素元素に対してフッ素元素が4倍量となればよく、フッ素化合物水溶液の濃度は10質量%以上であることが好ましい。フッ化水素酸によって、多孔質炭素材料前駆体に含まれるケイ素成分(例えば、二酸化ケイ素)を除去する場合、二酸化ケイ素は、化学式(A)又は化学式(B)に示すようにフッ化水素酸と反応し、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)あるいは四フッ化ケイ素(SiF4)として除去され、多孔質炭素材料を得ることができ、その後、洗浄、乾燥を行えばよい。
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O (A)
SiO2+4HF → SiF4+2H2O (B)
また、アルカリ(塩基)によって処理する場合、アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウムを挙げることができる。アルカリの水溶液を用いる場合、水溶液のpHは11以上であればよい。水酸化ナトリウム水溶液によって、多孔質炭素材料前駆体に含まれるケイ素成分(例えば、二酸化ケイ素)を除去する場合、水酸化ナトリウム水溶液を熱することにより、二酸化ケイ素は、化学式(C)に示すように反応し、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)として除去され、多孔質炭素材料を得ることができる。また、水酸化ナトリウムを気相で反応させて処理する場合、水酸化ナトリウムの固体を熱することにより、化学式(C)に示すように反応し、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)として除去され、多孔質炭素材料を得ることができ、その後、洗浄、乾燥を行えばよい。
SiO2+2NaOH → Na2SiO3+H2O (C)
あるいは又、本開示における多孔質炭素材料として、例えば、特開2010−106007に開示された空孔が3次元的規則性を有する多孔質炭素材料(所謂、逆オパール構造を有する多孔質炭素材料)、具体的には、1×10-9m乃至1×10-5mの平均直径を有する3次元的に配列された球状の空孔を備え、表面積が3×1022/グラム以上の多孔質炭素材料、好ましくは、巨視的に、結晶構造に相当する配置状態にて空孔が配列されており、あるいは又、巨視的に、面心立方構造における(111)面配向に相当する配置状態にて、その表面に空孔が配列されている多孔質炭素材料を用いることもできる。
多孔質炭素材料を支持する支持部材として、各種の天然繊維や合成繊維から成る織布あるいは不織布;炭素/グラファイト含有繊維布や炭素/グラファイト系繊維布;炭素繊維から作製されたシート状材料;金属あるいは合金から成る箔状材料、板状材料あるいはメッシュ状材料を挙げることができる。ここで、金属あるいは合金として、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、ステンレス鋼等を例示することができる。支持部材によって多孔質炭素材料を支持するためには、例えば、多孔質炭素材料を含有するペーストを調製し、支持部材の片面又は両面に、例えば、噴霧、刷毛塗り、印刷、塗装、スピンコーティング等によってこのペーストから成る多孔質炭素材料層を形成した後、乾燥すればよい。支持部材に支持された多孔質炭素材料の量として、支持部材1cm2当たり、0.05ミリグラム乃至5ミリグラムを例示することができる。多孔質炭素材料を支持した支持部材、全体の厚さとして、10μm乃至1mmを例示することができる。
本開示の電池として、また、本開示の電極材料あるいは電極の応用分野としての電池として、例えば、
(A)糖、アルコール、セルロース等の有機物を燃料とする酵素バイオ電池
(B)廃水や汚泥処理において用いられ、それらに含まれる有機物を燃料として反応し、分解する微生物燃料電池(負極を微生物として、正極に本開示の電極材料を用いることができる。そして、微生物が排水や汚泥を分解するときに放出するエネルギーを電気として取り出すことができる)
(C)金属及び合金材料を含む負極活物質を含有する負極を有する金属空気電池(負極活物質に用いることができる金属及び合金材料として、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素;アルミニウム等の第13族元素;亜鉛、鉄等の遷移金属;又は、これらの金属を含有する合金材料や化合物を例示することができる)
(D)燃料極(負極)、固体高分子膜(電解質)、空気極(本開示の電極から成る正極)を貼り合わせて一体化した膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly, MEA)を、反応ガスの供給流路が彫り込まれたバイポーラプレートと呼ばれる導電板で挟み込んだ構成、構造を有する固体高分子形燃料電池(PEFC);電解質としてリン酸(H3PO4)水溶液をセパレータに含浸させたリン酸形燃料電池(PAFC);水素イオン(H+)の代わりに炭酸イオン(CO3 2-)を用い、溶融した炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸カリウム等)を電解質としてセパレータに含浸させた溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC);電解質として酸化物イオンの透過性が高い安定化ジルコニアやランタン、ガリウムのペロブスカイト酸化物等のイオン伝導性セラミックスを用い、空気極(本開示の電極から成る正極)で生成した酸化物イオン(O2-)が電解質を透過し、燃料極で水素あるいは一酸化炭素と反応することにより電気エネルギーを発生させる固体酸化物形燃料電池(SOFC);水酸化物イオンをイオン伝導体とし、アルカリ電解液を電極間のセパレータに含侵させてセルを構成するアルカリ電解質形燃料電池(AFC);本開示の電極を正極として有し、メタノールを燃料極(負極)で直接酸化する直接形メタノール燃料電池等の直接形燃料電池(DMFC)等の各種燃料電池
を挙げることができるし、本開示の電極材料あるいは電極の応用分野として、
(E)食塩電解用酸素還元ガス拡散電極
(F)酸素を検出する電気化学センサー
を挙げることができる。尚、電池や、電極、センサーの構成、構造、それ自体は、周知の構成、構造とすることができる。
本開示の電池を、例えば、電子機器に組み込むことができる。電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型、据え置き型の双方が含まれる。電子機器として、具体的には、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダー)、車載機器、各種家庭電気製品、工業製品等を挙げることができる。
実施例1は、本開示の電極材料に関する。実施例1の電極材料は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から成る。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例4においては、以下に説明する植物由来の多孔質炭素材料を使用した。即ち、多孔質炭素材料の原料である植物由来の材料を米(稲)の籾殻とした。そして、原料としての籾殻を炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理を施すことで、多孔質炭素材料を得た。
多孔質炭素材料の製造においては、植物由来の材料を400゜C乃至1400゜Cにて炭素化した後、酸又はアルカリで処理することによって、多孔質炭素材料を得た。即ち、先ず、籾殻に対して、800゜Cにて窒素ガス雰囲気下で炭素化する(焼成する)ことで、多孔質炭素材料前駆体を得た。次いで、得られた多孔質炭素材料前駆体を20質量%の水酸化ナトリウム水溶液に80゜Cで一晩浸漬することでアルカリ処理を行い、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去した後、水及びエチルアルコールを用いてpH7になるまで洗浄し、乾燥させることにより、多孔質炭素材料中間体を得た。その後、多孔質炭素材料中間体を、窒素ガス雰囲気下にて900゜Cまで昇温し、水蒸気による賦活処理を行った。次いで、こうして得られた材料をジェットミルで4μmまで粉砕することによって、実施例1において用いた植物由来の多孔質炭素材料を得た。
実施例1においては、こうして得られた植物由来の多孔質炭素材料0.1グラム、10%ナフィオン(Nafion、登録商標)250マイクロリットル、及び、2−プロパノール5ミリリットルを混合して、ペーストを調製した。ここで、ナフィオンはバインダーとして機能する。尚、ナフィオンは、シグマアルドリッチジャパン合同会社の製品であり、炭素−フッ素から成る疎水性テフロン骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料であり、tetrafluoroethylene と perfluoro[2-(fluorosulfonylethoxy)propylvinyl ether] の共重合体である。そして、こうして得られたペーストを、前述した市販のグラッシーカーボン電極上に成膜して試験用酸素還元電極を作製した。そして、空気飽和のリン酸緩衝液(pH7、1モル/リットル)中で試験用酸素還元電極を回転させることで試験用酸素還元電極に酸素を供給しながら電気化学測定を行い、試験用酸素還元電極の酸素還元能を評価した。尚、測定装置として、ALS社製、回転ディスク電極用装置RDE−2、及び、電気化学アナライザーALS701を使用した。
多孔質炭素材料の代わりに、以下の材料を使用して、比較例の試験用酸素還元電極を作製し、酸素還元能を評価した。また、白金電極の酸素還元能を参考例として評価した。
比較例1A:昭和電工株式会社製の気相成長カーボンファイバー「VGCF−H」(登録商標)
比較例1B:ナノ・ミール株式会社製窒素ドープカーボンナノチューブ(窒素2.5質量%含有品)
比較例1C:シグマアルドリッチジャパン合同会社製高表面積グラファイト化メソポーラスカーボン(製品番号699624)
比較例1D:シグマアルドリッチジャパン合同会社製メソポーラスカーボン(製品番号402110)
測定結果を、図1及び図2に示すが、図1及び図2において、横軸は電位(単位:ボルト)であり、縦軸は電流(単位は、図1にあっては10-4アンペア、図2にあっては10-5アンペア)である。また、図1中、「1」は実施例1のデータを示し、「2」は比較例1Aのデータを示し、「3」は比較例1Bのデータを示し、「4」は比較例1Cのデータを示し、「5」は比較例1Dのデータを示し、図2は、参考例である白金電極の酸素還元能を評価した結果を示す。図1と図2の比較から、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から構成された電極材料は、中性の領域(実施例1にあってはpH7)において白金電極と同程度の触媒能(酸素還元触媒機能)を有することが、酸素還元開始電位が同程度であることから判る。云い換えれば、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から構成された電極材料は、中性の領域において、白金電極と同程度の過電圧の値を有する。即ち、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から構成された電極材料において、あるいは又、この電極材料から作製された電極、係る電極を備えた電池における電極において、多孔質炭素材料(あるいは電極材料あるいは電極あるいは正極)の酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である。また、図1から、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から構成された電極材料は、比較例1A、比較例1C、比較例1Dの電極材料よりも電流値が高く、しかも、比較例1A、比較例1B、比較例1C、比較例1Dの電極材料よりも酸素還元開始電位が高く、これらの比較例の電極材料よりも格段に優れた性能を有していることが判る。
また、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料及び比較例1Aの材料の窒素BET法による比表面積の値(表1では「比表面積」で示し、単位はm2/グラム)、窒素BET法による細孔容積の値(表1では「BET法容積」で示し、単位はcm3/グラム)MP法による細孔容積の値(表1では「MP法」で示し、単位はcm3/グラム)、BJH法による細孔容積の値(表1では「BJH法」で示し、単位はcm3/グラム)を、以下の表1に示し、また、累計細孔容積の測定結果を図3A及び図3Bに示す。尚、図3A、図3B中、「A」は実施例1のデータを示し、「B」は比較例1Aのデータを示す。尚、比較例1Aのような比表面積が非常に小さいサンプルを測定すると、図3Aの「B」のような挙動を示す。実際にはマイナスの値が観測され、プロットが見えなくなっている。
[表1]
比表面積 BET法容積 MP法 BJH法
実施例1 1220 0.998 0.456 0.642
比較例1A 13 0.081 0.0 0.087
表1の結果から、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料は、比較例1Aの材料とは全く異なる細孔構造を有していることが判る。即ち、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値は100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積は0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積は0.1cm3/グラム以上である。そして、このような植物由来の多孔質炭素材料の特有の細孔構造を有するが故に、中性の領域で酸素還元機能を充分に発揮することができ、しかも、高い電流値を示すと考えられる。
以上のとおり、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から電極材料を作製することによって、酸素還元触媒機能の高い電極材料を得ることができる。そして、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から作製された電極にあっては、酸素還元に要する過電圧が白金電極と同程度であり、しかも、高い電流値を得ることができる。そして、中性の領域で酸素還元機能を充分に発揮することができるが故に、汎用性が高い。即ち、中性の領域で酸素還元機能を充分に発揮し得る酸素還元電極を必要とするデバイス、装置が多く存在するが、これらのデバイス、装置への適用性に優れている。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の電極材料にあっては、多孔質炭素材料には酸素還元触媒が担持されている。具体的には、酸素還元触媒として、鉄フタロシアニン[FePc]、及び、テトラメトキシフェニルポルフィリンコバルト(II)[CoTMPP]を使用した。
実施例2においては、実施例1において得られた植物由来の多孔質炭素材料0.1グラム、10%ナフィオン250マイクロリットル、2−プロパノール5ミリリットル、及び、鉄フタロシアニン[FePc]又はテトラメトキシフェニルポルフィリンコバルト(II)[CoTMPP]0.05グラムを混合して、ペーストを調製した。そして、実施例1と同様にして試験用酸素還元電極を作製し、実施例1と同様にして、試験用酸素還元電極の酸素還元能を評価した。
その結果を図4(鉄フタロシアニン[FePc]を使用。曲線「A」で示す)、及び、図5(テトラメトキシフェニルポルフィリンコバルト(II)[CoTMPP]を使用。曲線「B」で示す)に示すが、いずれの酸素還元触媒を実施例1において得られた植物由来の多孔質炭素材料と併用した場合にあっても、実施例1において得られた植物由来の多孔質炭素材料を単独で使用した場合(図4及び図5において曲線「C」で示す)よりも、優れた性能を示した。
実施例3は、本開示の電極、及び、本開示の電池(具体的には、金属空気電池)に関する。実施例3の電極は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成されている。また、実施例3の電池は、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された正極(カソード)を備えており、具体的には、アルミニウムを含む材料を有する負極(アノード)を有し、正極活物質として空気中の酸素を用いて発電を行う空気・アルミニウム一次電池である。ここで、植物由来の多孔質炭素材料は、前述したとおり、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料から構成されている。そして、多孔質炭素材料は支持部材(具体的には、実施例3にあっては炭素繊維から成るシート状材料)に支持されており、電極は電池の正極として使用される。
ところで、従来の空気・アルミニウム電池においては、高出力化のために、電解液にアルカリ溶液を用いることで正極反応を促進する研究が進められている。しかしながら、電解液にアルカリ溶液を用いる従来の空気・アルミニウム電池においては、アルカリ条件でアルミニウムが強く腐食することや、アルカリ電解液が空気中の二酸化炭素を吸収し、徐々に中性になることで、正極に劣化が生じることが問題となっている。
然るに、このような問題は、中性付近の領域において酸素を還元する実施例3の電極(正極)を用いることで解決することができる。
具体的には、実施例3の空気・アルミニウム電池においては、pHが3以上、10以下の電解液を用いる。pHを3以上、10以下に維持するために、例えば、電解液には緩衝物質が含まれる。緩衝物質は、pKaが4以上、10以下のものであれば、基本的にはどのようなものを用いてもよい。
空気・アルミニウム電池は、負極と正極との間にセパレータを有する。例えば、負極、正極、及び、少なくとも負極と正極との間の部分に配置されたセパレータは、電解液に浸漬されている。即ち、セパレータは、電解液によって満たされており、負極と正極との間のアルミニウムイオンの伝導を担う電解質層を構成する。セパレータを構成する材料として、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質膜や、各種不織布、紙、セルロースを挙げることができる。不織布の材料として、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、ポリアクリルアミド等の各種の有機高分子化合物を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
負極を構成するアルミニウムを含む材料として、アルミニウムを主成分として含む材料、具体的には、アルミニウムや各種アルミニウム合金を挙げることができる。負極の形状は、必要に応じて適宜選択すればよく、例えば、箔状、シート状、又は、板状の形状であり、実施例3にあっては、より具体的には、アルミニウム箔から成る。負極は、必要に応じて、交換可能に構成される。好適には、空気・アルミニウム電池は、負極を交換する際に、副生成物である不溶物を同時に除去可能に構成される。
正極及び負極のそれぞれには、集電体が接続されている。集電体は、典型的には、金属メッシュから構成される。金属メッシュの材質は、空気・アルミニウム電池の使用環境に耐え得るものであれば特に限定されず、例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ステンレス鋼(例えば、SUS304)等から作製されている。金属メッシュの孔径等も特に限定されるものではなく、必要に応じて選ばれる。また、集電体は、電解液に対して透過性を有するように構成される。
電解液は、好適にはpHが3以上、10以下であり、典型的にはpKaが4以上、10以下の緩衝物質を含む。緩衝物質として、例えば、クエン酸、塩化アンモニウム、リン酸、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、イミダゾール環を含む化合物、リン酸二水素イオン(H2PO4 -)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(H2CO3)、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)等を挙げることができる。リン酸二水素イオン(H2PO4 -)を生成する物質として、例えば、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)やリン酸二水素カリウム(KH2PO4)等を挙げることができる。イミダゾール環を含む化合物として、例えば、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、イミダゾール誘導体(ヒスチジン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボン酸エチル、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、イミダゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、イミダゾール−1−イル−酢酸、2−アセチルベンズイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、N−アセチルイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、5−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンズイミダゾール、4−アザベンズイミダゾール、4−アザ−2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール)等を挙げることができる。電解液には、必要に応じて、緩衝物質に加えて、例えば、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)、リン酸(H3PO4)及び硫酸(H2SO4)から成る群より選ばれた少なくとも1種の酸を中和剤として加えてもよい。また、電解液を、例えば、ハロゲン化物イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等)を含む物質から構成することもできる。例えば、電解液を塩化物イオンを含む物質から構成する場合、電解液をNaCl、KCl等から構成すればよい。電解液として、イオン液体を含むものを用いてもよい。イオン液体として、従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選択すればよい。
電解液を格納する容器を構成する気液分離膜として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を用いることができるが、これに限定するものではない。容器の形状は必要に応じて、適宜、選択される。正極、負極、セパレータ、電解液等を収納する電池ケース(容器)の形状として、コイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。電池ケースは、少なくとも正極が十分に大気と接触可能な構造を有する大気開放型であってもよいし、気体(空気)の導入管及び排気管が設けられた密閉型であってもよい。
空気・アルミニウム電池においては、発電時、負極において下記の式(31)〜(33)に示す反応が起きる。
Al→Al3++3e- (31)
Al3++6H2O→[Al(H2O)63+ (32)
[Al(H2O)63+→[Al(OH)63-+6H+ (33)
そして、式(32)及び式(33)から、
Al3++6H2O→[Al(OH)63-+6H+ (34)
となる。
このとき、負極からセパレータを通って正極にAl3+が移動することにより、電気エネルギーが発生する。正極においては、電解液が満たされたセパレータからのH+と負極からの電子とによって空気中の酸素が還元され、水が生成される。
式(34)から判るように、負極の表面にプロトンが溜まるため、何らの対策を講じなければ、負極の表面のpHが低下し、その結果、アルミニウムが自己腐食して水素ガスの発生を促進してしまう。しかしながら、電解液中に4以上、10以下のpKaを有する緩衝物質が含まれていれば、緩衝物質の作用により、負極の表面のpHを中性付近(例えば、pHが3以上、10以下)に維持することができるため、アルミニウムが自己腐食して水素ガスの発生を促進してしまうことがない。図6にアルミニウムの腐食量とpHとの関係を示すが、pHが3以上、10以下の範囲では、腐食が殆ど起きないか、腐食量は極めて小さく、このため、水素ガスの発生を抑えることができる。
実施例3にあっては、以下の方法に基づき、電極を作製した。即ち、実施例1の植物由来の多孔質炭素材料1.0グラム、気相成長カーボンファイバー「VGCF−H」0.5グラム、鉄フタロシアニン0.25グラム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)0.1グラム、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒8ミリリットルを混合し、混練する。ここで、VGCF−Hは導電助剤として、鉄フタロシアニンは酸素還元触媒として、PVDFはバインダーとして、それぞれ機能する。こうして得られたペーストを支持部材に塗布し、乾燥させることで、実施例3の電極を得た。尚、気相成長カーボンファイバー「VGCF−H」は、導電性の一層の向上、成膜性の向上を目的として添加されている。
得られた実施例3の電極の酸素還元能を、実施例1と同様の装置を用い、リニアスイープボルタンメトリ測定(電極電位を連続的に変化させ、流れる電流値を測定する手法)に基づき評価した。但し、空気飽和の4モル/リットルのNaCl水溶液中で電気化学測定を行った。その結果を図7に示すが、電極として優れた性能を有していることが判る。尚、この電極の電流密度は、約0.2アンペア/cm2であり、現在報告されている最大の電流密度(40ミリアンペア/cm2)よりも優れた性能を有していることが判った。
また、金属及び合金材料を含む負極活物質を含有する負極を有する金属空気電池、具体的には、アルミニウムを負極(アノード)とした空気・アルミニウム一次電池(図8Aの模式的な断面図を参照)を作製して電気化学評価を行った。より具体的には、実施例3の電池は、本開示の電極から成る正極(カソード)11、アルミニウムから成る負極(アノード)12、正極11と負極12との間に配置された不織布から成るセパレータ13、電解液14、これらを格納する電池ケース10、正極11及び負極12のそれぞれに取り付けられ、チタンメッシュから成る集電体11’,12’から構成されている。尚、電解液14は、3モル/リットルの塩化ナトリウムの水溶液から成る。また、電池ケース10は、気液分離膜から成る容器を兼用しており、PTFE膜から作製されている。負極12として10mm×10mm×0.17mm(厚さ)の大きさの正方形のアルミニウム箔を用い、正極11として、10mm×10mm×0.2mm(厚さ)の大きさの実施例3の電極を用いた。そして、電池に所定の負荷を与え、且つ、一定の電流(2ミリアンペア)が流れるように制御した状態で、セル電圧を記録した。その結果を図9に示す。
比較のために、比較例1Aの材料である気相成長カーボンファイバー「VGCF−H」1.0グラム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)0.1グラム、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)8ミリリットルを混合し、混練する。こうして得られたペーストを支持部材に塗布し、乾燥させることで、比較例3の電極を得た。そして、実施例3と同様に空気・アルミニウム電池を作製して電気化学評価を行った。その結果を図9に併せて示す。尚、図9中、「A」は実施例3のデータを示し、「B」は比較例3のデータを示す。
図9から、比較例3の空気・アルミニウム電池は、電池としての性能を殆ど示していない。一方、実施例3の空気・アルミニウム電池は優れた性能を有していることが判る。実施例3の空気・アルミニウム電池の出力特性を電池電圧0.95ボルトで測定した結果、発電開始(放電開始)から3時間以上、発電が継続した。また、電池電圧0.7ボルトで電流値を測定したところ、最大電流密度約0.070アンペア/cm2を示し、出力は約50ミリワット/cm2であった。
尚、図8Bに模式的な断面図を示すように、セパレータ13の端部が電池ケース10から突出した構造を有していてもよい。このような構造とすることで、正極と負極のスペースを完全に分離することができ、負極での反応生成物(水酸化アルミニウム)が、正極側へ移動してしまうことを防止することができる。尚、この反応生成物の移動がない方が、電池の長寿命化を図ることができる。
また、空気・アルミニウム電池において、負極12を交換可能に構成してもよい。図10に示すように、負極12は袋状の膜15内に格納され、膜15内に格納された負極12はカートリッジ16に収容され、カートリッジ16はカートリッジ収納部18に収納されている。尚、袋状の膜15は、電解液14を透過させることができる。カートリッジ収納部18はセパレータ13上に配置されている。参照番号17A、17Bは押出し具を示す。カートリッジ収納部18は、外部からその内部にカートリッジ16を挿入するためのカートリッジ挿入口18A、及び、カートリッジ16を外部に取り出すためのカートリッジ取出し口18Bを有する。
図11Aに、カートリッジ16の未使用の状態を示す。また、図11Bに、一種の燃料である負極12を使い切った後のカートリッジ16の状態を示し、図11Cに、カートリッジ16内の負極12を使い切った後の空気・アルミニウム電池を示す。負極12を使い切った後には、袋状の膜15内に、副生成物である水酸化アルミニウム19が閉じ込められている。図11B、図11C及び図12において、参照番号17Cは、押出し具17A、17Bに両端が固定された押し出し用のスプリングを示す。尚、図11Aでは、スプリング17Cの図示を省略している。押出し具17Aはカートリッジ16に固定され、スプリング17Cによって付勢された押出し具17Bは、負極12をセパレータ13に押し付けている。
使用済みのカートリッジ16と未使用のカートリッジ16との交換は、以下のように行えばよい。即ち、図12に示すように、カートリッジ挿入口18Aを開け、未使用のカートリッジ16をカートリッジ収納部18に挿入し、使用済みのカートリッジ16をカートリッジ取出し口18Bから外部に押し出す。こうして使用済みのカートリッジ16をカートリッジ取出し口18Bから完全に押し出した時点で、未使用のカートリッジ16が所定の位置にセットされ、図10に示す状態になる。このとき、カートリッジ16においては、押出し具17Bによって負極12がセパレータ13に押し付けられている。
尚、負極として、アルミニウム以外にも、Al−Li、Al−Mg、Al−Sn、Al−Zn等のアルミニウム合金を用いることもできるし、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金を用いることもできる。また、緩衝物質として電解液1リットル当たり1.0モルのイミダゾールを添加した電解液を用いたところ、実施例3の空気・アルミニウム電池と同様の優れた性能を有する空気・アルミニウム電池を得ることができたし、緩衝物質として電解液1リットル当たり1.0モルのクエン酸を添加した電解液を用いたところ、実施例3の空気・アルミニウム電池と同様の優れた性能を有する空気・アルミニウム電池を得ることができた。
実施例4は、実施例3の変形である。実施例4の電池も、酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された正極(カソード)を備えており、この正極は、実施例3において説明した電極と同じ構成、構造を有する。実施例4の電池は、模式的な断面図を図13に示す酵素バイオ電池である。
ここで、実施例4の酵素バイオ電池は、本開示の電極から構成された正極(空気極、カソード)21及び負極(燃料極、アノード)22の両方に電解質が接触する浸水系燃料電池である。そして、負極22の表面に酸化還元酵素が存在している。ここで、電極の表面とは、電極の外面と電極内部の空隙の内面との全体を含む。そして、正極21及び負極22のそれぞれには、集電体21’,22’が接触した状態で配置されている。集電体21’,22’は、例えばメッシュ状をしており、電解液や空気を透過させることができる。また、図13に示すように、例えば、正極21の内面は液相(溶液)に接し、外面は集電体21’を介して気相(空気)の両方に接触に接する構成となっている。一方、負極22の内面は液相(溶液)に接し、外面は集電体22’を介して液相(溶液)に接する構成となっている。また、正極21及び負極22の周囲には、それぞれカソード溶液部24及びアノード溶液部25が設けられており、これらの間には、不織布から成るセパレータ23が配置されている。更には、電池には、燃料溶液26を導入するための燃料溶液導入口27が設けられており、この燃料溶液導入口27はアノード溶液部25に連通している。
負極22は、燃料極であり、例えば導電性多孔質材料から成る電極の表面に酸化還元酵素が固定化されている。負極22を構成する導電性多孔質材料として、公知の材料を使用することができるが、特に、多孔質カーボン、カーボンペレット、カーボンフェルト、カーボンペーパー、炭素繊維又は炭素微粒子の積層体等のカーボン系材料が好適である。多孔質カーボンとして、本開示に係る植物由来の多孔質炭素材料を採用することも可能である。負極22の表面に固定化される酵素として、例えば、燃料成分がグルコースである場合、グルコースを分解するグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を使用することができる。更には、燃料成分にグルコース等の単糖類を用いる場合、負極表面に、GDHのような単糖類の酸化を促進して分解する酸化酵素と共に、補酵素酸化酵素や電子メディエーターが固定化されていることが望ましい。補酵素酸化酵素は、酸化酵素によって還元される補酵素(例えば、NAD+,NADP+等)、及び、補酵素の還元体(例えば、NADH,NADPH等)を酸化するものであり、例えば、ジアホラーゼを挙げることができる。補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して負極22に電子が渡される。
電子メディエーターとして、キノン骨格を有する化合物を使用することが好ましく、特に、ナフトキノン骨格を有する化合物が好適である。具体的には、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ)、2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)等を用いることができる。また、キノン骨格を有する化合物として、ナフトキノン骨格を有する化合物以外にも、例えば、アントラキノンやその誘導体を用いることができる。更には、必要に応じて、キノン骨格を有する化合物と共に、電子メディエーターとして作用する1種又は2種以上の他の化合物を固定化してもよい。
一方、燃料成分に多糖類を用いる場合、前述した酸化酵素、補酵素酸化酵素、補酵素及び電子メディエーターに加えて、多糖類の加水分解等の分解を促進し、グルコース等の単糖類を生成する分解酵素が固定化されていることが望ましい。尚、ここでの「多糖類」は、広義の多糖類であり、加水分解によって2分子以上の単糖を生じる全ての炭水化物を指し、二糖、三糖及び四糖等のオリゴ糖を含む。具体的には、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、マルトース、スクロース及びラクトース等を挙げることができる。これらは2以上の単糖類が結合したものであり、いずれの多糖類においても結合単位の単糖類としてグルコースが含まれている。
アミロース及びアミロペクチンはデンプンに含まれる成分であり、デンプンはアミロースとアミロペクチンとの混合物である。例えば、多糖類の分解酵素としてグルコアミラーゼを使用し、単糖類を分解する酸化酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼを使用する場合、燃料成分として、グルコアミラーゼによってグルコースにまで分解することができる多糖類を挙げることができる。このような多糖類として、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン及びマルトースを挙げることができる。ここで、グルコアミラーゼは、デンプン等のα−グルカンを加水分解しグルコースを生成する分解酵素であり、グルコースデヒドロゲナーゼは、β−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化する酸化酵素である。
尚、負極22は、表面に酸化還元酵素が固定化されているものに限定されるものではなく、電極表面に酸化還元酵素が存在しているものであれば、例えば、酸化還元酵素を有し、反応触媒として作用する微生物が付着した電極を使用することも可能である。
燃料溶液26は、糖、アルコール、アルデヒド、脂質、タンパク質等の燃料成分、又は、これらの燃料成分の内、少なくとも1種を含有する溶液である。燃料成分として、具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ソルボース等の糖類、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセリン、ポリビニルアルコール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、酢酸、蟻酸、ピルビン酸等の有機酸を挙げることができる。また、脂肪類やタンパク質、これらの糖代謝の中間生成物である有機酸等を燃料成分として使用することも可能である。燃料溶液26には、燃料成分の他に、プロトン伝導体として作用する電解質が含まれていてもよい。
より具体的には、実施例4にあっては、燃料溶液26として、0.8モルのグルコースを含む1モル燐酸緩衝液を使用した。そして、導電性多孔質材料から構成された負極22の表面にグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を固定化した。そして、実施例4に電池にあっても、実施例3と同様にして、所定の負荷を与え、且つ、一定の電流が流れるように制御した状態で、セル電圧を記録した。その結果を図14に示すが、実施例4の酵素バイオ電池は優れた性能を有していることが判る。
尚、電池本体に電池が1つ設けられた「単セル」構造のものだけでなく、複数の電池が直列又は並列に接続されている構造のものにも適用することが可能である。その場合、複数の電池で1つの燃料溶液導入口を共有する構成とすることもできる。また、図15に示すように、正極21及び負極22がセパレータ23に接触して配置された構造とすることもできる。この場合、セパレータには溶液が含浸されており、正極21及び負極22の内面にも溶液が接触している。
また、不織布から成るセパレータの代わりに、選択透過膜を用いることもできる。ここで、選択透過膜は、透水性を有し、少なくとも燃料溶液26に含まれる燃料成分の透過を抑制するものである。アノード溶液部25に導入された燃料溶液26は、この選択透過膜を介して、カソード溶液部24に導入される。また、選択透過膜は、燃料成分だけでなく、燃料溶液26に含まれる燃料成分以外の成分の透過を抑制してもよく、特に、燃料溶液26に溶出した酵素やメディエーターの透過を抑制できるものであることが望ましい。これにより、各電極に存在している酵素及びメディエーターが、他の電極側に移動することを防止することができるので、電池特性の低下を防止することができる。また、選択透過膜により、正極21に対して阻害効果があるものや、例えば燃料溶液26に市販の飲料を使用する場合であれば、ノンカロリーの甘味料及び負極22の酵素では酸化できない糖類(例えばフルクトース、果糖)の透過を抑制してもよい。これにより、電池性能の低下を防止し、発電効率を向上させることができる。
選択透過膜として、例えば、セルロース系膜及び合成高分子系膜を使用することができる。具体的には、セルロース系膜として、例えば、キュプラアンモニウムレーヨン(CR)及び鹸化セルロース(SCA)等の再生セルロース膜(RC)、ヘモファン膜及びビタミンEコーティング膜等の表面改質再生セルロース膜、セルロースジアセテート(CDA)及びセルローストリアセテート(CTA)等のセルロースアセテート(CA)膜を挙げることができる。また、合成高分子系膜として、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVA)、ポリスルホン(PS)、ポリアミド(PA)及びポリエステル系ポリマーアロイを挙げることができる。
選択透過膜には、例えば平均細孔サイズが0.5μm以下のものを使用することができ、これにより、燃料成分の透過を効率的に抑制することができる。尚、選択透過膜の平均細孔サイズは、100nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下である。これにより、燃料成分の透過抑制効果をより高めることができると共に、酵素やメディエーター等の燃料成分以外の成分の透過を抑制することが可能となる。また、選択透過膜は、負極22と正極21との間のイオン伝導度が0.1S/cm以上、即ち、電池の内部抵抗が10Ω以下となるものであることが望ましい。これにより、発電ロスを少なくすることができる。尚、負極22と正極21との間のイオン伝導度は、電解液を注入した状態で、インピーダンス測定を行うことによって求めることができる。更に、選択透過膜は、pH3〜10の溶液中でも化学的に安定で、且つ、−20゜C〜120゜Cの環境下で変質等しない程度の耐熱性を有していることが望ましい。これにより、溶液中での変質や破断を防止することができるため、短絡等の問題を生じることなく、発電することが可能となる。
このような酵素バイオ電池では、先ず、燃料溶液導入口27から、燃料溶液26をアノード溶液部25に導入する。すると、選択透過膜を介してカソード溶液部24にも燃料溶液が供給されるが、選択透過膜によって燃料溶液26中の燃料成分の透過が抑制されるため、カソード溶液部24には、燃料成分濃度が低い溶液が導入される。即ち、負極22に接触する燃料溶液の方が、正極21に接触する燃料溶液よりも、燃料成分の濃度が高くなる。そして、負極22において、表面に固定化された酵素によって燃料を分解して、電子を取り出すと共に、プロトン(H+)が発生する。一方、正極21においては、負極22からプロトン伝導体を介して輸送されたプロトンと、負極22から外部回路を通って送られた電子と、例えばカソード溶液部24に貯留されている溶液(液相)中又は空気(気相)中の酸素とによって、水が生成する。このような酵素バイオ電池では、アノード溶液部25とカソード溶液部24との間に、燃料成分の透過を抑制する選択透過膜を配置しているので、燃料成分が正極21側に拡散することを抑制することができる。これにより、アノード溶液部25に導入する燃料溶液26における燃料成分濃度を高くしても、カソード溶液部24に導入される溶液における燃料成分濃度を低く保つことができ、正極21の特性低下を防止することができる。更には、負極22に接触する溶液の燃料成分濃度を高く保つことができるため、発電効率も向上する。その結果、従来の酵素バイオ電池と同等以上の電池出力が得られ、且つ、従来よりも電池容量が大きい酵素バイオ電池を実現することができる。
更には、図16に示すように、正極21に燃料溶液26が接触し、負極22に電解質等を含む溶液28が接触する構成の浸水系燃料電池とすることもできる。ここで、正極21の外側の面に気液分離膜30を接触させた状態で配置し、この気液分離膜30を介して、正極21と気相(空気)とが接触する構成や、正極21の表面を撥水性にして気相(空気)と直接接触する構成等を採用することができる。更に、負極22及び正極21には、それぞれ集電体21’,22’が取り付けられている。一方、負極22及び正極21の周囲には、それぞれアノード溶液部25及びカソード溶液部24が設けられており、これらの間には選択透過膜23’が配置されている。また、アノード溶液部25に連通する燃料溶液導入口27と、カソード溶液部24に連通する溶液導入口29とが、それぞれ、個別に設けられている。そして、これらの燃料溶液導入口27及び溶液導入口29を介して、アノード溶液部25には燃料溶液26が導入され、カソード溶液部24には電解質を含む溶液28といった燃料溶液26とは異なる溶液が導入される。
カソード溶液部24に導入される溶液28は、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸二水素塩やイミダゾール化合物等の電解質を含む水溶液(電解液)、塩化カリウム水溶液及びイオン液体を使用することができる。そして、この溶液28は、主にプロトン伝導体として機能する。
この酵素バイオ電池では、先ず、燃料溶液導入口27から燃料溶液26をアノード溶液部25に導入し、溶液導入口29から例えば電解液等の溶液28をカソード溶液部24に導入する。このとき、アノード溶液部25に貯留された燃料溶液26に含まれる燃料成分が、カソード溶液部24の溶液28にも移行してくるが、選択透過膜23’によって燃料成分の透過が抑制されるため、正極21の周辺は負極22の周辺よりも燃料成分濃度が低く保たれる。尚、例えば、カソード溶液部24に導入される溶液28中のイオン濃度を、燃料溶液26よりも高くするなどとすることで、溶液28の浸透圧を燃料溶液26よりも高くすることが望ましい。これにより、選択透過膜23’を透過し、燃料溶液26から移行してくる燃料成分の量をより低減することができる。そして、この酵素バイオ電池でも、負極22において、表面に固定化された酵素によって燃料を分解して、電子を取り出すと共に、プロトン(H+)が発生し、また、正極21では、負極22からプロトン伝導体を介して輸送されたプロトンと、負極22から外部回路を通って送られた電子と、例えばカソード溶液部24に貯留されている溶液28中又は気液分離膜30を介して接触している気相(空気)中の酸素とによって、水が生成する。
この酵素バイオ電池では、燃料溶液導入口27とは別に、カソード溶液部24に連通する溶液導入口29が設けられており、アノード溶液部25及びカソード溶液部24にそれぞれ異なる溶液を導入することができる。更には、アノード溶液部25とカソード溶液部24との間に選択透過膜23’が配置されているため、アノード溶液部25に導入する燃料溶液26における燃料成分濃度をより高くしても、カソード溶液部24に導入された溶液28に移行する燃料成分の量を低く抑えることができる。以上の結果として、正極21の周囲は、燃料成分濃度が低く保たれるため、正極21の特性低下を防止することができる。
以上、好ましい実施例に基づき本開示を説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。実施例にあっては、多孔質炭素材料の原料として、籾殻を用いる場合について説明したが、他の植物を原料として用いてもよい。ここで、他の植物として、例えば、藁、葦あるいは茎ワカメ、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類及び海藻等を挙げることができ、これらを、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。具体的には、例えば、多孔質炭素材料の原料である植物由来の材料を稲の藁(例えば、鹿児島産;イセヒカリ)とし、多孔質炭素材料を、原料としての藁を炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理を施すことで得ることができる。あるいは又、多孔質炭素材料の原料である植物由来の材料を稲科の葦とし、多孔質炭素材料を、原料としての稲科の葦を炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理を施すことで得ることができる。また、フッ化水素酸水溶液の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液といったアルカリ(塩基)にて処理して得られた多孔質炭素材料においても、同様の結果が得られた。
あるいは又、多孔質炭素材料の原料である植物由来の材料を茎ワカメ(岩手県三陸産)とし、多孔質炭素材料を、原料としての茎ワカメを炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理を施すことで得ることができる。具体的には、先ず、例えば、茎ワカメを500゜C程度の温度で加熱し、炭化する。尚、加熱前に、例えば、原料となる茎ワカメをアルコールで処理してもよい。具体的な処理方法として、エチルアルコール等に浸漬する方法が挙げられ、これによって、原料に含まれる水分を減少させると共に、最終的に得られる多孔質炭素材料に含まれる炭素以外の他の元素や、ミネラル成分を溶出させることができる。また、このアルコールでの処理により、炭素化時のガスの発生を抑制することができる。より具体的には、茎ワカメをエチルアルコールに48時間浸漬する。尚、エチルアルコール中では超音波処理を施すことが好ましい。次いで、この茎ワカメを、窒素気流中において500゜C、5時間、加熱することにより炭化させ、炭化物を得る。尚、このような予備炭素化処理を行うことで、次の炭素化の際に生成されるであろうタール成分を減少あるいは除去することができる。その後、この炭化物の10グラムをアルミナ製の坩堝に入れ、窒素気流中(10リットル/分)において5゜C/分の昇温速度で1000゜Cまで昇温する。そして、1000゜Cで5時間、炭素化して、炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換した後、室温まで冷却する。尚、炭素化及び冷却中、窒素ガスを流し続ける。次に、この多孔質炭素材料前駆体を46容積%のフッ化水素酸水溶液に一晩浸漬することで酸処理を行った後、水及びエチルアルコールを用いてpH7になるまで洗浄し、乾燥させることにより、多孔質炭素材料を得ることができる。
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]《電極》
酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された電極。
[2]多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において酸素を還元する[1]に記載の電極。
[3]多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である[1]又は[2]に記載の電極。
[4]酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の電極。
[5]多孔質炭素材料には酸素還元触媒が担持されている[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の電極。
[6]酸素還元触媒は、貴金属、遷移金属酸化物、遷移金属ポルフィリン、フタロシアニン、重合ポルフィリン、重合フタロシアニン、灰チタン石、及び、ポリアクリロニトリルと共に熱分解されたコバルト塩とその熱分解生成物から構成された群から選択された少なくとも1種類の材料から成る[5]に記載の電極。
[7]多孔質炭素材料は支持部材に支持されている[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の電極。
[8]電池の正極として使用される[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の電極。
[9]《電極材料》
酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から成る電極材料。
[10]多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において酸素を還元する[9]に記載の電極材料。
[11]多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である[9]又は[10]に記載の電極材料。
[12]酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である[9]乃至[11]のいずれか1項に記載の電極材料。
[13]《電池》
酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された正極を備えている電池。
[14]多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において酸素を還元する[13]に記載の電池。
[15]多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である[13]又は[14]に記載の電池。
[16]正極の酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である[13]乃至[15]のいずれか1項に記載の電池。
[17]電池を構成する電解液中に、緩衝物質を含む[13]乃至[16]のいずれか1項に記載の電池。
[18]緩衝物質のpKaが4以上10以下である[17]に記載の電池。
10・・・電池ケース、11・・・正極(カソード)、12・・・負極(アノード)、11’,12’・・・集電体、13・・・セパレータ、14・・・電解液、15・・・電解液が透過可能な袋状の膜、16・・・カートリッジ、17A,17B・・・押出し具、17C・・・スプリング、18・・・カートリッジ収納部、18A・・・カートリッジ挿入口、18B・・・カートリッジ取出し口、19・・・副生成物(水酸化アルミニウム)、21・・・正極(空気極、カソード)、22・・・負極(燃料極、アノード)、21’,22’・・・集電体、23・・・セパレータ、23’・・・選択透過膜、24・・・燃料溶液、25・・・カソード溶液部、26・・・アノード溶液部、27・・・燃料溶液導入口、28・・・溶液導入口、29・・・溶液、30・・・気液分離膜

Claims (18)

  1. 酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された電極。
  2. 多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において酸素を還元する請求項1に記載の電極。
  3. 多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である請求項1に記載の電極。
  4. 酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である請求項1に記載の電極。
  5. 多孔質炭素材料には酸素還元触媒が担持されている請求項1に記載の電極。
  6. 酸素還元触媒は、貴金属、遷移金属酸化物、遷移金属ポルフィリン、フタロシアニン、重合ポルフィリン、重合フタロシアニン、灰チタン石、及び、ポリアクリロニトリルと共に熱分解されたコバルト塩とその熱分解生成物から構成された群から選択された少なくとも1種類の材料から成る請求項5に記載の電極。
  7. 多孔質炭素材料は支持部材に支持されている請求項1に記載の電極。
  8. 電池の正極として使用される請求項1に記載の電極。
  9. 酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から成る電極材料。
  10. 多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において酸素を還元する請求項9に記載の電極材料。
  11. 多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である請求項9に記載の電極材料。
  12. 酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である請求項9に記載の電極材料。
  13. 酸素還元触媒機能を有する植物由来の多孔質炭素材料から構成された正極を備えている電池。
  14. 多孔質炭素材料は、pHが3以上、10以下の条件において酸素を還元する請求項13に記載の電池。
  15. 多孔質炭素材料の窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である請求項13に記載の電池。
  16. 正極の酸素還元開始電位は、Ag/AgCl電極を参照電極として、0.15ボルトよりも貴な電位である請求項13に記載の電池。
  17. 電池を構成する電解液中に、緩衝物質を含む請求項13に記載の電池。
  18. 緩衝物質のpKaが4以上10以下である請求項17に記載の電池。
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