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JP2014143342A - 半導体モジュール及びその製造方法 - Google Patents

半導体モジュール及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温動作に対する高い信頼性をもつ半導体モジュールを得る。
【解決手段】半導体チップ10の下面側は基板20に接合され、基板20の下面側は金属製の基体(放熱板)30の上面側に接合される。基板20は、セラミックス基板21の上面及び下面にそれぞれ金属層22が基板内第1接合層23によって接合された多層構造ととされる。半導体チップ10と上側の金属層22とを接合する第1接合層61を構成するはんだ(第1接合材料)は、その融点が、下側の金属層22と基体30とを接合する第2接合層62を構成するはんだ(第2接合材料)よりも60〜80℃高く、かつ硬度(例えばビッカース硬度)も高く設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、大電力で動作する半導体チップがモールド層に封止された半導体モジュールの構造に関する。また、その製造方法に関する。
半導体チップが使用される際には、これが基板上に搭載された構造がモールド層中に封止された形態をもつ半導体モジュールとされる。ここで、半導体チップの動作時の放熱性を確保するために、基板は熱伝導率の高い材料で構成され、この基板の上面側に半導体チップが搭載され、基板の下面側には大きな放熱板が接続され、放熱板の下面側から放熱がなされる形態とされる。半導体チップの電極に接続されたリード端子は、モールド層から突出して形成されて電極として使用され、下面で露出した放熱板も電極端子の一つとして使用されることがある。
こうした構成の半導体モジュールの具体的構造、製造方法は、例えば特許文献1に記載されている。この場合には、半導体チップがダイパッド(金属板)の上面に搭載された後に、半導体チップ上の電極とリード端子とがボンディングワイヤで接続された後に、ダイパッドの下面が絶縁層を介して放熱板に接合される。その後、放熱板の上面側において、半導体チップ等が封止されるように、熱硬化性樹脂で構成されたモールド層が形成される。
また、放熱板との間の絶縁性を確保するために、半導体チップが金属板ではなく絶縁性のセラミックス基板に搭載される場合もある。一般にセラミックス基板の熱伝導率は銅等と比べて低いが、こうした場合には、熱伝導率が150W/(m・K)程度と比較的高い窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックス基板が使用される。こうした場合には、配線となる金属パターンがセラミックス基板の表面に形成される場合もある。
特開2004−165281号公報
半導体チップに形成された半導体素子が大電力で動作する場合には、半導体チップの温度は特に高くなり、放熱板等を介して放熱が効率的に行われた場合でも、動作時の温度が200℃以上になる場合もある。こうした状況は、半導体チップがワイドバンドギャップ半導体(SiC等)で構成された場合のように、大電力動作を前提として設計された場合において特に顕著である。
こうした場合においては、使用される際には、この半導体モジュールは、室温からこの高温にわたる冷熱サイクルを経る。一般に、半導体チップを構成する材料と、放熱板等、その周囲の構成物を構成する材料とは異なり、その熱膨張係数も異なるために、半導体チップ自身、半導体チップとダイパッドとの接合部、あるいはダイパッドと放熱板との接合部等に応力が集中する。一般に、半導体チップとダイパッドとの接合やダイパッドと放熱板との接合にははんだ等が用いられ、最高温度がこのはんだの融点に近くなる場合には、熱サイクル時に発生した応力によって、融点よりも低い温度においてもはんだ接合の劣化が発生した。また、セラミックス基板が用いられる場合には、脆性のセラミックス基板が割れる場合もあった。このため、この半導体モジュールの信頼性は低くなった。
すなわち、高温動作に対する高い信頼性をもつ半導体モジュールを得ることは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の半導体モジュールは、半導体チップと、当該半導体チップが上面側に接合された基板と、当該基板の下面側が接合された金属製の基体と、を具備し、前記基板と前記半導体チップとがモールド層の中に封止された構成を具備する半導体モジュールであって、前記基板は、窒化珪素を主成分とするセラミックス基板の両面にそれぞれ金属層が接合された構成を具備し、前記半導体チップの下面と前記基板における上面側の前記金属層とは金(Au)−ゲルマニウム(Ge)合金からなる第1接合材料で接合され、前記基板における下面側の前記金属層と前記基体の上面とは金(Au)−錫(Sn)合金からなる第2接合材料で接合され、前記第1接合材料の融点は、前記第2接合材料の融点よりも高く設定されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールは、前記半導体チップの上面に、前記第2接合材料を用いてリード端子が接合されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールにおいて、前記半導体チップは窒化珪素(SiC)で構成されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールにおいて、前記基体は銅又はアルミニウムを主成分として構成されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールは、前記基板において、前記セラミックス基板と前記金属層とは、前記第1接合材料よりも高い融点をもつろう接材で接合されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールにおいて、前記基板は、前記セラミックス基板の両面にそれぞれ前記金属層が接合された構造が複数組積層されて構成されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールにおいて、前記基板は、前記第1接合材料の融点よりも高い融点をもつ第1のろう接材で前記セラミックス基板の両面にそれぞれ前記金属層が接合された構造が、前記第1接合材料の融点よりも高くかつ前記第1のろう接材の融点よりも低い融点をもつ第2のろう接材を用いて、複数組積層され接合されて構成されたことを特徴とする。
本発明の半導体モジュールの製造方法は、前記半導体モジュールの製造方法であって、前記第1接合材料を用いて前記半導体チップを前記基板に接合する第1接合工程と、前記第1接合工程の後で、前記第2接合材料を用いて前記基板を前記基体に接合する第2接合工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の半導体モジュールの製造方法は、前記半導体モジュールの製造方法であって、前記セラミックス基板の両面にそれぞれ前記金属層を前記第1のろう接材で接合した構造を複数組製造した後に、前記構造を複数組積層して前記第2のろう接材で接合して前記基板を製造する基板製造工程と、前記第1接合材料を用いて前記半導体チップを前記基板に接合する第1接合工程と、前記第1接合工程の後で、前記第2接合材料を用いて前記基板を前記基体に接合する第2接合工程と、を具備することを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、高温動作に対する高い信頼性をもつ半導体モジュールを得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体モジュールの断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を示す工程断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体モジュールの断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を示す工程断面図である。
以下、本発明の実施の形態となる半導体モジュール、及びその製造方法について説明する。この半導体モジュールにおいては、半導体チップが熱伝導率の高い基板上に搭載された構造がモールド層中に設けられている。この半導体チップは大電力で動作し、基板及びその下の放熱板を介して放熱がなされるものの、その動作時の最高温度は250℃程度にも達する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体モジュール100の構成を示す断面図である。ここで使用される半導体チップ10の下面側は基板20に接合され、基板20の下面側は金属製の基体(放熱板)30の上面側に接合される。半導体チップ10の上面側には図中左側に突出する上面側リード端子(リード端子)41が接合される。また、基体30の一部は、図中右側に突出する下面側リード端子(リード端子)31となっている。基体30の上面側では、基板20、半導体チップ10を封止してモールド層50が形成されている。
半導体チップ10は、炭化珪素(SiC)で構成され、この中に半導体素子としてショットキーダイオード等が形成されている。ショットキーダイオードの一方の電極は半導体チップ10の上面側で上面側リード端子41に接続され、他方の電極は、図示の範囲外で下面側リード端子31(基体30)に接続されている。この半導体チップ10を製造する際には、拡散層や電極等からなる半導体素子が大径のSiCウェハにおいて多数形成された後に、SiCウェハが分割されて個々の半導体チップ10とされる。半導体モジュール100を製造する際に、半導体チップ10に形成されている半導体素子の劣化等を発生させないためには、半導体チップ10の温度は例えば400℃以下とする必要がある。
基板20は、セラミックス基板21の上面及び下面にそれぞれ金属層22が基板内第1接合層23によって接合された多層構造とされる。セラミックス基板21は窒化珪素質セラミックス(窒化珪素(Si)を主成分とするセラミックス)で構成される。金属層22は熱伝導率の高い銅又は銅合金で構成され、その表面は金めっき加工されている。セラミックス基板21は絶縁性であるため、半導体チップ10の下面側と基体30側との間の絶縁性を確保することができる。
基板20においてセラミックス基板21と金属層22の間の接合に用いられる基板内第1接合層23を構成するろう接材(第1のろう接材)としては、例えば接合温度が600℃以上のAg−Cu系合金が用いられる。このろう接材の接合温度・融点は前記の動作時の最高温度(250℃)と比べて充分高いため、半導体モジュール100の動作時に基板内第1接合層23に悪影響が及ぶことは少ない。セラミックス基板21、金属層22の厚さは、それぞれ320μm、300μm程度とされ、基板内第1接合層23はこれらに対して無視できる程度の厚さとされる。図1に示されるように、半導体チップ10は、上面側の金属層22の上面側に接合される。
基体30は、金属層22と同様に、熱伝導率の高い銅又は銅合金で構成される。ただし、図示されるように、基体30は金属層22よりも大きくかつ厚く構成され、例えばその厚さは2.0mm程度とされる。基体30は、基板20における下側の金属層22の下面側に接合される。基体30の機械的強度は高く、基体30はこの半導体モジュール100全体を機械的に支持する。また、この半導体モジュール100が使用される際には、その機械的固定も基体30を装置に固定することによって行われ、半導体チップ10からの放熱も基体30を介して装置側に向かって行われる。なお、上面側リード端子41も、金属層22、基体30と同様に銅又は銅合金で構成される。
モールド層50は、上記の動作時の最高温度(250℃)に対する充分な耐熱性をもつ樹脂材料で構成される。具体的には、硬化温度は150℃程度であるが、硬化後は350℃以上の温度における重量変化が1%以下である変形ポリシロキサン(例えばADEKA製:商品名BYX−001)等を用いることができる。
半導体チップ10と基板20(上側の金属層22)との間の接合、基板20(下側の金属層22)と基体30との間の接合は、共に基板内第1接合層23よりも融点(接合温度)が低く、半導体チップ10に悪影響を与えない程度の温度で接合が可能なはんだによって行われる。ただし、前者の接合と後者の接合においては、異なる成分、融点のはんだ材料が用いられる。
半導体チップ10と上側の金属層22とを接合する第1接合層61を構成するはんだ(第1接合材料)は、その融点が、下側の金属層22と基体30とを接合する第2接合層62を構成するはんだ(第2接合材料)よりも60〜80℃高く、かつ硬度(例えばビッカース硬度)も高く設定される。具体的には、例えば第1接合層61を構成するはんだ材料としては、Au−Ge合金、例えばGeを重量比で12%程度含み、融点が356℃である合金が用いられ、第2接合層62を構成するはんだ材料としては、Au−Sn合金、例えばSnを重量比で22%程度含み、融点が286℃である合金が用いられる。これらのはんだ材料の融点は、その合金組成によって変化するが、第1接合層61を構成するはんだ材料の融点は356℃±5℃、第2接合層62を構成するはんだ材料の融点は286℃±5℃程度とされる。これらの温度は、上記の動作時の最高温度(250℃)よりも高く設定されるため、第1接合層61、第2接合層62が半導体モジュール100の動作に際して溶融することはない。
上面側リード端子41と半導体チップ10の上面側との間は、下側の金属層22と基体30との間と同様の接合層を介して接合される。すなわち、これらの間にも第2接合材料からなる第2接合層62が形成されている。
図1の構成の半導体モジュール100において、半導体チップ10を構成するSiC、金属層22及び基体30の主成分であるCu、セラミックス基板21の主成分であるSi、第1接合層61及び第2接合層62の主成分であるAuの熱膨張係数(線膨張係数)は、それぞれ4.5ppm/K、16.8ppm/K、2.8ppm/K、14.2ppm/K程度である。このため、発熱源となる半導体チップ10側の熱膨張係数は4.5ppm/K、機械的支持基板となる基体30側の熱膨張係数は16.8ppm/Kとなり、大きく異なる。このため、半導体チップ10と基体30との間に、これらの中間的な熱膨張係数をもつ材料からなる多層構造として、基板20及び第1接合層61、第2接合層62が設けられている。この多層構造によって、冷熱サイクルに際して半導体チップ10に加わる応力が分散され、緩和される。また、第1接合層61、第2接合層62に加わる応力も緩和される。この際、硬度の高い第1接合層61を半導体チップ10側に形成し、硬度の低い第2接合層62を基体30側に用いているため、特に半導体チップ10側の変形が抑制され、半導体チップ10に加わる応力による悪影響が抑制される。前記の通り、第1接合層61、第2接合層62は動作時に溶融することはなく、更に、上記の多層構造によって、第1接合層61、第2接合層62に加わる応力も低減される。このため、動作温度が250℃となる場合においても、冷熱サイクルに対する高い信頼性を得ることができる。
ここで、Cu、Au、Siの熱伝導率はそれぞれ350、300、100W/(m・K)程度であり、Siを主成分とするセラミックス基板21の熱伝導率は比較的低い。このため、放熱性を高めるためには、基板20においてセラミックス基板21を薄くすることが必要である。この点において、従来使用されていた窒化アルミニウムセラミックスと比べて、窒化珪素セラミックスの曲げ強度は高いため、セラミックス基板21を薄くした場合でも充分な機械的強度が得られるために、これを薄くすることが可能である。このため、基板20を介した高い放熱性を得ることができる。あるいは、セラミックス基板21を薄くできる分だけ金属層22を厚くすることもできる。
以上より、図1の構成の半導体モジュール100においては、高温動作時に対する高い信頼性が得られる。
また、上記の半導体モジュール100は、以下の製造方法によって容易に製造することができる。図2は、この製造方法を示す工程断面図である。
まず、図2(a)に示されるように、セラミックス基板21の上下両面に基板内第1接合層23を介して金属層22を接合して基板20を製造する(基板製造工程)。この工程においては、基板内第1接合層23となるろう接材をセラミックス基板21の両面に例えばスクリーン印刷によって塗布形成した構成を2枚の金属層22の間に挟んで積層して接合温度(600℃以上)以上に加熱を行い、このろう接材を溶融させた後、冷却してこのろう接材を固化させることによって、基板20が得られる。なお、この工程においては半導体チップ10は用いられないため、金属層22とセラミックス基板21とを強固に接合できるろう接材であれば、その接合温度が高いものを適宜用いることができる。なお、前記の通りセラミックス基板21と金属層22の熱膨張係数は大きく異なるが、セラミックス基板21の上下に同様に金属層22が接合されているため、接合後に室温まで冷却する際にも、基板20全体に反りは生じない。
次に、図2(b)に示されるように、基板20(上側の金属層22)の上面に第1接合材料71を塗布形成する。第1接合材料71は、溶融・固化後に前記の第1接合層61となるはんだ材料であり、例えば前記のAu−Ge合金粉末をペースト状にしたものをスクリーン印刷することによって塗布形成される。
その後、図2(b)の構造に半導体チップ10を積層し、第1接合材料71の融点(例えば356℃)以上の温度に加熱した後に、冷却することによって、図2(c)に示されるように、第1接合層61が形成される(第1接合工程)。これによって、半導体チップ10と基板20とが第1接合層61によって接合された構造が得られる。
次に、図2(d)に示されるように、半導体チップ10の上面に第2接合材料72を塗布形成する。第2接合材料72は、溶融・固化後に前記の第2接合層62となるはんだ材料であり、その組成は異なるが、形成方法は第1接合材料71と同様である。
一方、図2(e)に示されるように、基体30の上にも、同様に第2接合材料72を塗布形成する。
その後、上面側リード端子41、図2(d)の構造、図2(e)の構造を積層し、第2接合材料72の融点(例えば286℃)以上の温度に加熱した後に、冷却することによって第2接合層62が形成される(第2接合工程)。これにより、図2(f)に示されるように、半導体モジュール100におけるモールド層50を除いた構造が得られる。
最後に、図2(g)に示されるように、基板20、半導体チップ10を封止するようにモールド層50を形成する。モールド層50は、液状の熱硬化性の樹脂材料(例えば前記のADEKA製:商品名BYX−001等)を図2(f)の構造に滴下した後に、硬化温度以上に加熱することによって形成される。また、トランスファーモールド等の、金型を用いた手法を用いることもできる。これによって、図1の構成の半導体モジュール100が得られる。
上記の製造方法においては、はんだを用いた接合が、第1接合工程(図2(c))、第2接合工程(図2(f))の2回にわたり行われる。ここで、2回目の接合(図2(f))における接合温度は第2接合材料72に対応した接合温度であり、この温度は第1接合工程(図2(c))に用いられる第1接合材料71の接合温度よりも60〜80℃低く設定されている。このため、第1接合層61に悪影響を与えずに第2接合工程(図2(f))を行うことができる。なお、基板20においても基板内第1接合層23が形成されているが、基板内第1接合層23を構成するろう接材の融点は、第1接合材料71よりも更に高いために、基板内第1接合層23対しても悪影響は及ばない。第1接合工程(図2(c))においても、この点は同様である。
以上の製造方法により、半導体モジュール100を容易かつ高い信頼性で製造することができる。
(第2の実施の形態)
上記の構成においては、セラミックス基板21と金属層22を含む多層構造をもつ基板20を介して半導体チップ10を基体30に搭載しているために、半導体チップ10と基体30との間の熱膨張差によって発生した応力を分散させ、緩和している。このため、基板における積層数をより多くすることによって、単一の層に加わる応力はより緩和され、より高い信頼性が得られる。このため、第2の実施の形態においては、積層数をより多くしている。
図3は、第2の実施の形態に係る半導体モジュール200の構成を示す断面図である。この半導体モジュール200においては、前記の基板20の代わりに基板80が用いられている。基板80は、前記の基板20が2つ積層された構造をもつ。
具体的には、基板80は、セラミックス基板21の両面にそれぞれ金属層22が基板内第1接合層23を介して接合された構造(前記の基板20と同様の構造)が、基板内第2接合層81を介して上下方向に2組接合された構成を具備する。基板内第2接合層81を構成するろう接材(第2のろう接材)の接合温度は、基板内第1接合層23を構成するろう接材(第1のろう接材)の融点(接合温度)よりも低く、第1接合材料71の融点よりも高くなるように設定される。例えば、Ag−Cu系のろう接材におけるCu組成を適宜調整することによって第1のろう接材と第2のろう接材とすることができる。
図4は、この半導体モジュール200の製造方法を示す工程断面図である。ここでは、図4(a)に示されるように、まず図3(a)と同様にして、セラミックス基板21の両面にそれぞれ金属層22が基板内第1接合層23を介して接合された構造が2組製造される。次に、図4(b)に示されるように、この2組の構造の金属層22同士を、基板内第2接合層81を介して接合する(基板製造工程)。基板内第2接合層81を構成する第2のろう接材の融点を上記の通りの設定とすれば。図4(b)における接合の際に、基板内第1接合層23に悪影響が及ぶことはない。
その後は、図2における基板20(セラミックス基板21等)の代わりに上記の基板80を用いて、同様に半導体モジュール200を製造することができる。図4(c)〜(g)に示された工程は、それぞれ第1の実施の形態における図2(b)〜(f)と同様である。図4における記載は省略しているが、モールド層50を形成する工程(図2(g))も、第1の実施の形態と同様に行われる。
このように、図3の構成の半導体モジュール200も、上記の製造方法によって容易に製造することができる。
この構成においては、セラミックス基板21が2枚用いられるが、これらを同一材料で構成する必要はない。例えば、半導体チップ10側にある上側のセラミックス基板21としては、第1の実施の形態と同様に、機械的強度の高い窒化珪素質セラミックスを用いることが好ましいが、下側のセラミックス基板21としては、機械的強度はこれよりも低いが熱伝導率の高い窒化アルミニウムセラミックスを用いることができる。
図3、4の例では、セラミックス基板21の両面にそれぞれ金属層22が基板内第1接合層23を介して接合された構造を2組積層して基板80としたが、この構造を3組以上積層しても同様の効果を奏することは明らかである。こうした場合においても、最上部のセラミックス基板21としては窒化珪素質セラミックスを用いることが好ましい。
なお、上記の例では、金属層22、基体30を共に銅又は銅合金で構成されるものとしたが、これらを異なる材料とすることもできる。例えば、より厚く大きな基体30をアルミニウム又はアルミニウム合金で構成することもできる。すなわち、基体30は、熱伝導率の高い銅やアルミニウムを主成分として構成することが好ましい。ただし、その表面には、第2接合材料を用いた接合が可能なように、Au等のめっき処理が施されていることが好ましい。
また、上記の例では、SiCで構成された半導体チップ10が用いられるものとしたが、同様に大電力で動作する半導体素子が形成され、金属で構成された基体との間の熱膨張係数の差が大きなチップであれば、他の材料で構成されたチップを用いた場合であっても、上記の構成が有効であることは明らかである。例えば、半導体チップを、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)等で構成することもできる。これに応じて、半導体チップに形成される半導体素子も、適宜設定される。
また、上記の例では、単一の半導体モジュール内において、半導体チップと基板とが一つずつ用いられていたが、単一の基板の上に複数の半導体チップが搭載されていてもよい。また、独立した複数の基板が用いられていてもよく、この際、基板の構成が各々で異なっていてもよいことは明らかであり、例えば搭載する半導体チップの発熱量等に応じて基板の構成を異ならせることもできる。すなわち、半導体モジュール内における基板や半導体チップの構成は、上記の効果を奏する限りにおいて適宜設定することができる。
10 半導体チップ
20、80 基板
21 セラミックス基板
22 金属層
23 基板内第1接合層
30 基体(放熱板)
31 下面側リード端子(リード端子)
41 上面側リード端子(リード端子)
50 モールド層
61 第1接合層
62 第2接合層
71 第1接合材料
72 第2接合材料
81 基板内第2接合層
100、200 半導体モジュール

Claims (9)

  1. 半導体チップと、当該半導体チップが上面側に接合された基板と、当該基板の下面側が接合された金属製の基体と、を具備し、前記基板と前記半導体チップとがモールド層の中に封止された構成を具備する半導体モジュールであって、
    前記基板は、窒化珪素を主成分とするセラミックス基板の両面にそれぞれ金属層が接合された構成を具備し、
    前記半導体チップの下面と前記基板における上面側の前記金属層とは金(Au)−ゲルマニウム(Ge)合金からなる第1接合材料で接合され、
    前記基板における下面側の前記金属層と前記基体の上面とは金(Au)−錫(Sn)合金からなる第2接合材料で接合され、
    前記第1接合材料の融点は、前記第2接合材料の融点よりも高く設定されたことを特徴とする半導体モジュール。
  2. 前記半導体チップの上面に、前記第2接合材料を用いてリード端子が接合されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
  3. 前記半導体チップは窒化珪素(SiC)で構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体モジュール。
  4. 前記基体は銅又はアルミニウムを主成分として構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
  5. 前記基板において、
    前記セラミックス基板と前記金属層とは、前記第1接合材料よりも高い融点をもつろう接材で接合されたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
  6. 前記基板は、前記セラミックス基板の両面にそれぞれ前記金属層が接合された構造が複数組積層されて構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
  7. 前記基板は、前記第1接合材料の融点よりも高い融点をもつ第1のろう接材で前記セラミックス基板の両面にそれぞれ前記金属層が接合された構造が、前記第1接合材料の融点よりも高くかつ前記第1のろう接材の融点よりも低い融点をもつ第2のろう接材を用いて、複数組積層され接合されて構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の半導体モジュールの製造方法であって、
    前記第1接合材料を用いて前記半導体チップを前記基板に接合する第1接合工程と、
    前記第1接合工程の後で、前記第2接合材料を用いて前記基板を前記基体に接合する第2接合工程と、
    を具備することを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
  9. 請求項7に記載の半導体モジュールの製造方法であって、
    前記セラミックス基板の両面にそれぞれ前記金属層を前記第1のろう接材で接合した構造を複数組製造した後に、前記構造を複数組積層して前記第2のろう接材で接合して前記基板を製造する基板製造工程と、
    前記第1接合材料を用いて前記半導体チップを前記基板に接合する第1接合工程と、
    前記第1接合工程の後で、前記第2接合材料を用いて前記基板を前記基体に接合する第2接合工程と、
    を具備することを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
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