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JP2014035849A - 導電積層体の製造方法、導電積層体、およびそれを用いた表示体 - Google Patents

導電積層体の製造方法、導電積層体、およびそれを用いた表示体 Download PDF

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JP2014035849A
JP2014035849A JP2012175609A JP2012175609A JP2014035849A JP 2014035849 A JP2014035849 A JP 2014035849A JP 2012175609 A JP2012175609 A JP 2012175609A JP 2012175609 A JP2012175609 A JP 2012175609A JP 2014035849 A JP2014035849 A JP 2014035849A
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Shigeharu Yoshida
茂治 吉田
Osamu Watanabe
渡邊  修
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Abstract

【課題】高い導電性と高透明性(低ヘイズ、高透過率)を両立する導電積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】以下の工程(A)から(D)により基材1の少なくとも一方に導電層2を設ける導電積層体の製造方法。(A)線状金属構造体を分散させた第1の塗液を、基材に塗膜厚み10〜100μmの範囲になるように塗布し塗膜を形成する工程、(B)(A)工程で基材上に形成した前記第1の塗液の塗膜から水分散媒を除去し、基材上に線状金属構造体を載置した状態とする工程、(C)マトリックス3となる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液を前記(B)工程で基材上に載置した線状金属構造体上に塗布する工程、(D)(C)工程で線状金属構造体上に塗布した前記第2の塗液から分散媒を除去し、線状金属構造体をマトリックス中に含有する導電層を基材上に形成する工程
【選択図】図1

Description

本発明は、マトリックス中に線状金属構造体を導電成分として有する導電層を基材の少なくとも一方の面に配置した導電積層体を製造する製造方法、および導電積層体に関する。またさらに、前記導電積層体を用いた表示体等に関するものである。
近年、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどの表示体関連や太陽電池モジュールなどにはスズドープ酸化インジウム(ITO)や金属粒子を用いた導電部材が使用されている。これらの導電部材の代替材料として線状金属構造体を用いた導電部材があり、この線状金属構造体を水分散媒中に分散させた塗液がある。
水は一般的な有機溶剤と比較して蒸発熱が非常に高く、乾燥による溶媒除去の際に十分に溶媒が除去されない場合がある。この場合、必要に応じて線状金属構造体の上にマトリックスを形成する際に、ブラッシングが発生することがある。ここで、ブラッシングとは、塗液の塗布中やその直後に、塗膜中に水由来の気泡が膜内部、および表面部に形成され白くなり、光沢がなくなる現象であり、著しいヘイズ値の上昇、表面光沢度の低下を発生させることをいう。このブラッシングを抑制する手法として、乾燥雰囲気の湿度を制御する手法が提案されている(特許文献1、2、3)。また、マトリックス塗液の組成を変えることでブラッシングを抑制する手法についても提案されている(特許文献4、5)。
特開2007−256759号公報 特開2005−292291号公報 特開平10−236008号公報 特開2009−157020号公報 特開2011−225797号公報
特許文献1、2、3では、ブラッシングを抑制するために低い湿度下での塗布および乾燥を行っている。しかし、これらの文献では各層を形成する塗液が有機溶媒を分散媒としており、元々塗料に含まれる水分量は少ない。よって、塗布および乾燥環境の湿度を制御することでブラッシングが抑制されるが、マトリックスを形成する際の下層の分散媒が水である場合はそれでは不十分であり、下層の水分散媒の乾燥条件も考慮する必要がある。特許文献4、5では、マトリックス塗料の溶媒、および溶質の組成を最適化することでブラッシングを抑制している。しかし、この手法についても先述と同様にマトリックスを形成する際の下層の分散媒が水である場合はそれでは不十分であり、下層の水分散媒の乾燥条件も考慮する必要がある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1)以下の工程(A)から(D)により基材の少なくとも一方に導電層を設ける導電積層体の製造方法であって、(B)工程に、(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件を適用することを特徴とする導電積層体の製造方法。
(A)線状金属構造体を水分散させた第1の塗液を、基材に塗膜厚み10〜100μmの範囲になるように塗布し塗膜を形成する工程
(B)(A)工程で基材上に形成した前記第1の塗液の塗膜から水分散媒を除去し、基材上に線状金属構造体を載置した状態とする工程
(C)マトリックスとなる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液を前記(B)工程で基材上に載置した線状金属構造体上に塗布する工程
(D)(C)工程で線状金属構造体上に塗布した前記第2の塗液から溶媒を除去し、線状金属構造体をマトリックス中に含有する導電層を基材上に形成する工程
(B)工程には、以下の(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件が含まれる。
(B1)25℃以上40℃未満で、30〜130秒間加熱する加熱段階があること
(B2)加熱時間の合計が70秒以上であること
(B3)絶対湿度15g/m以下の雰囲気下で加熱すること
(2)前記線状金属構造体が金属繊維またはカーボンナノチューブである前記(1)に記載の導電積層体の製造方法。
(3)前記金属繊維が銀ナノワイヤーである前記(2)に記載の導電積層体の製造方法。
さらに、本発明は下記の表示体やそれを用いたタッチパネル、電子ペーパーを提供する。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法にて得られた導電積層体を用いた、表示体。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法にて得られた導電積層体を用いた、タッチパネル。
(6)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法にて得られた導電積層体を用いた、電子ペーパー。
本発明によれば、線状金属構造体を水分散媒に分散させた塗料を用いて導電積層体を形成した後、さらにその層の上に有機溶剤を分散媒として用いたマトリックス層を設ける際に、ブラッシングの発生しにくい導電積層体を提供することができる。
本発明の導電積層体の概略を示す断面図である。 本発明において用いる線状金属構造体の形態の概略を示す模式図である。
[導電積層体の製造方法]
本発明の導電積層体の製造方法は、以下の工程(A)から(D)により基材の少なくとも一方に導電層を設ける導電積層体の製造方法であって、(B)工程に、(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件を適用する導電積層体の製造方法である。
(A)線状金属構造体を水分散させた第1の塗液を、基材に塗膜厚み10〜100μmの範囲になるように塗布し塗膜を形成する工程
(B)(A)工程で基材上に形成した前記第1の塗液の塗膜から水分散媒を除去し、基材上に線状金属構造体を載置した状態とする工程
(C)マトリックスとなる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液を前記(B)工程で基材上に載置した線状金属構造体上に塗布する工程
(D)(C)工程で線状金属構造体上に塗布した前記第2の塗液の塗膜から溶媒を除去し、線状金属構造体をマトリックス中に含有する導電層を基材上に形成する工程
(B)工程には、以下の(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件が含まれる。
(B1)25℃以上40℃未満で、30〜130秒間加熱する加熱段階があること
(B2)加熱時間の合計が70秒以上であること
(B3)絶対湿度15g/m以下の雰囲気下で加熱すること。
本発明の導電積層体の製造方法では、導電層の形成に際して、上記を満たす条件を適用することにより、線状金属構造体を含む前記第1の塗液の塗膜の水分散媒を除去し、基材上に線状金属構造体を載置した状態とする(B)工程において、加熱条件(B1)、(B2)および(B3)として特定の条件を適用することにより、ブラッシングの発生しにくい導電積層体を提供することが可能となるものである。
具体的には、(A)線状金属構造体を水分散させた第1の塗液を、基材に塗膜厚み10〜100μmの範囲になるように塗布し塗膜を形成し、加熱条件(B1)25℃以上40℃未満で、30〜130秒間加熱する加熱段階があること(B2)加熱時間の合計が70秒以上で(B3)絶対湿度15g/m以下の雰囲気下とすることにより、塗膜に含まれる水分散媒が十分に除去される。なお、各加熱は、1つの加熱室で処理を行うものであっても、複数の加熱室を用いて処理を行うものであってもよい。
[導電成分]
本発明の製造方法における導電層の導電成分は、線状金属構造体である。線状金属構造体はいわゆる金属系ナノワイヤーとして知られているものであり、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、等の金属成分を少なくとも表面に含有する線状の形態を有するものである。
<材質>
かかる金属成分を構成する金属としては、元素の短周期型周期律表におけるIIA属、IIIA属、IVA属、VA属、VIA属、VIIA属、VIII属、IB属、IIB属、IIIB属、IVB属またはVB属に属する元素が挙げられる。具体的には、金、白金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、アンチモン、パラジウム、ビスマス、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、錫、マグネシウムなどが挙げられる。
合金としては、前記金属を含む合金(ステンレス鋼、黄銅、等)が挙げられる。金属酸化物としては、InO、SnO、ZnO、などが挙げられ、またこれらの金属酸化物複合体(InOSn、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなど)も挙げられる。
さらに、有機化合物や非金属材料からなる線状構造体の表面に前記金属や金属酸化物がコーティングまたは蒸着されたものも本発明において用いられる線状金属構造体に含まれるものとする。
これらの線状金属構造体は例えば、特表2009−505358号公報、特開2009−146747号公報および特開2009−70660号公報に開示されている製法により得ることができる。
また、線状金属構造体を単独、又は複数を組み合わせて混合して適用することもでき、さらに、必要に応じて他のマイクロ〜ナノサイズの導電性材料を添加してもよく、特にこれらに限定されるものではない。
かかる線状金属構造体としては、金属繊維またはカーボンナノチューブが線状構造体への加工性、コーティング液中への分散性や分散安定性の点で好ましい。金属繊維として用いられる素材としては、銅、金、銀、鉄、ニッケル、コバルト、鉛などが挙げられ、中でも、導電性、信頼性の点で金、銀を用いた線状金属構造体が好ましいが、線状金属構造体の合成に必要な設備およびコスト、また、線状金属構造体の長さや径を安定して合成する点において銀ナノワイヤーがより好ましい。
<形態>
線状金属構造体の平均径及び線状金属構造体の長さ(線状金属構造体の長軸の長さと記す場合もある)は、線状金属構造体の種類によって種々の範囲を採りうるが、平均径は1〜100nmが好ましく、また線状金属構造体の長さは平均径に対し、アスペクト比(線状金属構造体の長さ/平均径)が10より大きくなるような長さであればよく、1〜100μm(0.1mm)が好ましい。
本発明において、平均径を小さくすると線状金属構造体表面の光拡散を相対的に低下させることができ、ヘイズ値を小さくすることができるため好ましく、前記範囲の中で平均径を大きくすると、導電性が向上し、低い表面抵抗値を得ることができる。かかる観点から、平均径は、10〜70nmがより好ましく、40〜60nmがさらに好ましい。なお、線状構造体の平均径は、以下の方法にて求める。
まず、サンプルの観察したい部位近傍を氷で埋包し凍結固着後、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットして積層体平面に垂直な方向に切断する。次いで得られた積層体断面の導電領域を電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して観察する。1検体につき、異なる部分から得た線状構造体の断面を含む画像を10視野分準備する。次いで、10視野内の全て線状構造体の断面の径を求め、その全平均値を平均径とする。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求める。
本発明の製造方法により得られる導電積層体において、線状金属構造体は、導電層のマトリックス中でネットワーク構造を形成して存在している。ネットワーク構造とは、導電層中の個別の線状金属構造体について見たとき、別の線状金属構造体との接点の数の平均が少なくとも1を超えるような分散構造を有することをいう。
このとき接点は線状金属構造体のいかなる部分同士で形成されていてもよく、線状金属構造体の末端部同士が接していたり、末端と線状金属構造体の末端以外の部分が接していたり、線状金属構造体の末端以外の部分同士が接していてもよい。ここで、接するとはその接点が接合していても、単に接触しているだけでもよい。尚、本発明の導電積層体ではネットワーク構造の線状金属構造体が存在すれば導通するため、導電層中の線状金属構造体のうち、ネットワークの形成に寄与していない(すなわち接点が0で、ネットワークとは独立して存在している)線状金属構造体が一部存在していてもよい。
線状金属構造体を用いてネットワーク構造を形成することにより、ITOのように金属結晶体で導電膜を形成しているものよりも屈曲性に優れていることから、導電膜の後加工時の不良率を抑制することが可能であり、また、3次元ディスプレイやフレキシブルディスプレイへの搭載も簡便である。
さらに、先に述べた平均径およびアスペクト比を有した線状金属構造体、特に導電効率の良い銀ナノワイヤーを用いてネットワーク構造を形成することで、ネットワーク構造上の開口面積を大きくすることができ、透明性が高い導電積層体を得ることができる。
これらのネットワーク構造は、走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)、もしくはカラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9710)を用いて観察することができる。
なお、導電層中の線状金属構造体の量が一定以下の場合には、面内において線状金属構造体が存在しない領域が散在する場合があるが、かかる領域が存在しても面内において線状金属構造体がネットワーク構造を有していることで任意の2点間で導電性を示しうる。
このように、導電成分を導電性の高い線状金属構造体からなるネットワーク構造を有するものとすることで導電性に優れた導電層を得ることができる。
[(A)工程]
本発明における線状金属構造体を分散媒に分散させた第1の塗液を基材上に塗布し塗膜を形成する方法としては、線状金属構造体やマトリックスを構成する材料の種類により最適な方法を選択すればよく、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。なかでも、塗膜を均一に形成できかつ基材への傷が入りにくいスリットダイコート、または塗膜を均一にかつ生産性良く形成できるマイクログラビアを使用したウエットコート法が好ましい。
基材上に形成する線状金属構造体を含む塗膜の膜厚は、前述の各種コート方法に適した膜厚で塗布することができ、スリットダイコートを用いた場合は10〜100μmが好ましく、15〜60μmとすることがより好ましい。塗膜の膜厚が100μmを超えると基材搬送中に塗膜が流れ、導電性能の均一性が損なわれる場合があり、10μm未満であると安定的に塗膜を形成することが困難となる場合がある。
[(B)工程]
導電層を形成する前段階として、基材上に塗布された線状金属構造体を含む塗膜から、分散媒を除去して基材上に線状金属構造体を載置した状態とする工程が(B)工程である。
(B)工程には、以下の(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件が含まれる。
(B1)25℃以上40℃未満で、30〜130秒間加熱する加熱段階があること
(B2)加熱時間の合計が70秒以上であること
(B3)絶対湿度15g/m以下の雰囲気下で加熱すること。
これらの加熱段階を適用することの意味について説明するに先立って、塗膜からの分散媒除去の一般的な説明(メカニズム・加熱方法)をまず行い、次に各加熱段階の条件との対応関係について説明を行う。
一般的に、塗膜からの分散媒の除去のメカニズムとしては、以下の3段階に分類して考えることができる。
(I)加えた熱量の大部分は塗膜からの分散媒の除去には使われず、主として(II)の段階の平衡温度までの温度上昇のために消費される「予熱段階」
(II)分散媒の除去(気化熱)に加えた熱量の大部分が消費され材料温度が平衡温度をとる「定率分散媒除去段階」
(III)分散媒除去速度が低下する一方、塗膜の温度が雰囲気温度へ向かって上昇していく「減率分散媒除去段階」。
加えた熱量が塗膜中の分散媒除去に主として消費されるのは定率分散媒除去段階であり、減率分散媒除去段階では塗膜内部に残存する微量な分散媒が除去される。定率分散媒除去段階でほぼ分散媒の除去は完了するが、分散媒が水である場合は溶媒除去がより確実に行われないと分散媒を有機溶媒とした後の工程においてブラッシングが発生することがある。本発明においては、水分散媒を用いた塗液を用いて層を形成した後、さらにその上に有機溶剤を分散媒として用いたマトリックス層を設けるため、水分散媒を用いた塗膜の水分散剤除去を十分に行う必要がある。
次に、一般的に塗膜からの分散媒除去のための代表的な加熱方法としては、以下の方法が知られている。1つは、ノズルなどを用いて熱風を吹き付け、対流伝熱により加熱させる方法であり、もう1つは、赤外線ヒーターなどを用いて、輻射熱により加熱させる方法である。
対流伝熱により加熱させる方法は、ノズルなどを用いて供給する加熱された気流により塗膜の温度を上昇させるだけでなく、塗膜近傍の飽和分散媒蒸気層を積極的に循環排除し、さらに排気と併用することで効率よく飽和分散媒蒸気層を除去することができる。これに対して輻射熱により加熱させる方法は、塗膜近傍の飽和分散媒蒸気層が効率的に循環されない場合があることから、定率分散媒除去段階においては対流伝熱により加熱させる方法がより適しており、これを用いることで分散媒除去速度を低下させることなく分散媒除去を進めることができる。
なお、加熱条件の温度、および湿度は、当該加熱段階に含まれる全ての加熱室において水平位置が加熱室の中央、垂直位置が基材から上に10mm離れた位置の雰囲気温度を測定した値のことをいうものとする。加熱時間は、バッチ処理の場合は投入から取り出しまで、連続処理の場合には、ライン速度と加熱段階における加熱室の走行方向の長さにより調整できる。
本発明の導電積層体の製造方法における、各加熱段階での処理について上記を踏まえて、線状金属構造体を水分散媒に分散させた塗料を用いて導電積層体を形成した後、さらにその層の上に有機溶剤を分散媒として用いたマトリックス層を設ける際にブラッシングの発生しにくい導電積層体を提供することができる理由を含めて説明する。
前記(I)〜(III)の段階のうち、(I)「予熱段階」と(II)「定率分散媒除去段階」の初期または途中までの段階(以降、加熱第1段階と言う)は、塗膜中の水分散媒含有率が最も多い状態であることから塗膜の粘度が最も低いため、水分散媒除去の為の風速が強いと均一に塗工された塗膜が気流により押し流され塗膜厚みの均一性が損なわれるおそれがある。よって、加熱第1段階は風速を低めに設定することが好ましい。
具体的には、塗膜に含まれる水分散媒の30質量%を除去するまでの段階では気流の風速は6〜15m/秒の条件で分散媒の除去を行うことが好ましい。
なお、水分散媒の除去が進むと塗膜の粘度が高くなることから風速を上げることが可能となり、具体的には30〜60質量%を除去するまでの段階では気流の風速は6〜25m/分の条件で分散媒の除去を行うことが好ましい。
また、加熱温度は25℃以上40℃未満であることが好ましい。25℃に満たないと分散媒除去が不十分となる場合があり、(C)工程においてブラッシングが発生しやすくなる。さらに、水分散媒含有率が多い状態において40℃以上で加熱するとムラが発生しやすくなることから、加熱第1段階における加熱温度は40℃未満であることが好ましい。
絶対湿度は加熱時間や塗膜の厚み、風速によって異なるが、30〜130秒間であることが好ましい。30秒未満であると塗膜の水分散媒の除去が少なく風速による塗膜が押し流され塗膜厚みの均一性が損なわれたり、ムラが発生したりする場合がある。
続いて、残りの(II)「定率分散媒除去段階」(以降、加熱第2段階)では、先の加熱第1段階までの加熱水分散媒除去により、塗膜中の分散媒が減少しているため、加熱第1段階と同じ粘度となる温度が上昇していることから、先の加熱第1段階と比較して相対的に高温の条件を採ることができ、これに伴い処理時間を短時間とすることができる。
すなわち、40℃以上90℃以下で20〜80秒間の加熱により、加熱第1段階での処理の後残存している水分散媒を除去する段階を採ることができる。また、前述の粘度の増大により、気流による塗膜厚みの均一性が損なわれる可能性も低くなることから、風速は水分散媒除去の効率を上げるために6〜30m/分とすることができる。
これらの温度および風速環境下において、塗膜からの水分散媒の除去をより一層進めることができる。なお、加熱第1段階と加熱第2段階の境界では急な温度差があるとそれによる塗膜の水分散媒除去のムラが生じるおそれがあるため、そのような水分散媒除去ムラを抑制するために加熱第1段階の最終の加熱室の温度と加熱第2段階の最初の加熱室との温度差、および、加熱第2段階が複数の加熱室からなる場合、加熱第2段階内の加熱室間の温度差は30℃以下とすることが好ましい。また、加熱第2段階として、30℃以下の温度差を設けた複数の加熱室を用いることで、最高温度をより高く設定することができ、分散媒の除去効率の向上を図ることができるため好ましい。
加熱第2段階を経た後の「減率分散媒除去段階」(以降、加熱第3段階)は分散媒の除去をより一層進めるため、加熱温度を180℃まで上昇させることも可能である。かかる場合、分散媒の除去が不十分である場合は、マトリックス形成の際にブラッシングが発生しやすいため、塗膜の分散媒除去状態と基材の特性に応じて温度、加熱時間、温度勾配を設定することが好ましく、その場合、加熱時間は20秒以上が好ましく、気流の風速は20〜30m/秒であることが好ましい。
また、基材の種類によっては加熱温度が高いと、加熱に伴う変形、溶融や目視で確認できない基材表面の改質が発生することがある。たとえば基材にポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた場合は、変形や溶融が起こらない温度であっても基材成分が表面に溶出してくる現象が発生し、基材表面の平面性を損なうことがあるため、塗膜からの分散媒の除去のみを目的とした場合は90℃を超えて120℃以下で加熱することがより好ましい。
なお、後の加工工程などで加熱にともなう基材の熱収縮が発生することが予想される場合は、目標とする熱収縮率に合わせて120℃以上180℃以下で熱処理をすることであらかじめ熱収縮をさせておくことができる。
各加熱段階における絶対湿度は15g/m以下であることが好ましく、12g/m以下の雰囲気下で加熱することがさらに好ましい。特に加熱第1段階では加熱温度が25℃以上40℃未満と比較的低温であるため飽和水蒸気量が少なく、絶対湿度が15g/mより大きくなると乾燥効率が低下し、塗膜に含まれる水分散媒の60質量%を除去するのに必要な時間が長くなる場合がある。このため、特に加熱第1段階では絶対湿度は15g/m以下であることが好ましく、より安定的に湿度を管理するためには12g/m以下の雰囲気下で管理することがさらに好ましい。
各加熱室の加熱温度、湿度は、超小型ボタンサイズ温度湿度計ハイグロクロン((株)KNラボラトリーズ製(直径17mm、厚さ10mm)を用い、ダミーの基材に直接装着し基材搬送中の加熱室の雰囲気温度を1秒間毎に測定した値を元に、搬送時間と各加熱室の室内長から各経過時間における各加熱室の中央の位置での温度位置を特定し、各加熱室の温度とした。また、分散媒除去のための風速は、カノマックス社製風速計(アネモマスター Model6034)を用いて、時定数を1秒に設定し、30秒間の風速変動を1秒刻みで測定し、その平均値を風速とした。
本発明では、上述した各温度領域での分散媒除去を行うために溶媒除去工程(B)は水分散媒除去に必要な加熱時間に応じてそれぞれ複数の加熱室を用いてもよい。なお、各加熱室間は基材が通過するためにスリット開口部が設けられ、このスリット開口部の開口面積は加熱室の断面積に対して5%以上15%未満であることが好ましく、スリット開口部から隣り合う加熱室の熱風が混入してくることを抑制するために、5%以上10%未満であることがより好ましい。また、隣り合う加熱室間には基材を外気と遮断する筒状の接合部が設けられていることが好ましく、その場合の接合部の長さは500mm以下であることが好ましい。
[(C)工程]
(C)工程は、マトリックスとなる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液を前記(B)工程で基材上に載置した線状金属構造体上に塗布する工程である。ここでマトリックスとなる材料としては、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物が重合反応した構造を含む高分子から構成されることが好ましい。
かかる高分子は、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる組成物を、該炭素−炭素二重結合基内の炭素−炭素二重結合を反応点としてビニル重合(ジエン重合含む)することで得られた高分子化合物であることが好ましい。
これらのマトリックスとなる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液を前記(B)工程で基材上に載置した線状金属構造体上に塗布する方法としては、基材上に載置した線状金属構造体のネットワーク構造を乱さない塗布方法を選択する。たとえば、キスタッチ式グラビアコート、ダイコート、スピンコート、スピンコート、ディップコート、インクジェットなどが挙げられる。なかでも、生産性良く塗膜が形成できるスリットダイコート法が好ましい。
導電層上に塗布するマトリックスの塗布膜厚は、前述の各種コート方法に適した膜厚で塗布することができ、スリットダイコートを用いた場合は3〜20μmが好ましく、5〜10μmとすることがより好ましい。塗布厚みが20μmを超えると基材搬送中に第2の塗膜が流れ、マトリックスの膜厚の均一性が損なわれる場合がある。3μm未満であると安定的に塗布することが困難となる場合がある。
[(D)工程]
(D)工程は、(C)工程で線状金属構造体上に塗布した前記第2の塗液から溶媒を除去し、線状金属構造体をマトリックス中に含有する導電層を基材上に形成する工程である。(C)工程で線状金属構造体上に塗布したマトリックスとなる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液から溶媒を除去する。溶媒除去に当たっての条件設定は先述の(B)工程と同様の条件を適用することが好ましい。
このように溶媒を除去することにより線状金属構造体をマトリックス中に含有する導電層を基材上に形成することができるが、導電層のマトリックスを形成する材料としては、溶媒の乾燥後に架橋反応させ得るものが、表面の平滑性を保つ上で好ましい。
架橋する方法として、加熱によるもの(以降、加熱硬化と記す)や、紫外光、可視光、電子線等の活性電子線の照射によるもの(以降、光硬化と記す)が挙げられる。光硬化の場合は、後述するような光硬化の架橋開始剤を含有させ、そこに活性電子線を照射することで系全体に同時に活性種を発生させることができ、架橋開始に要する時間および架橋に要する時間も短縮できることから好ましい。
また、前記活性電子線を照射するにあたり、窒素やアルゴン等の不活性ガスにて置換した雰囲気下や酸素脱気した雰囲気下等の酸素濃度を低くした特定の雰囲気下とする方法も有効であり、酸素濃度を低くした特定の雰囲気下にて、前記活性電子線を照射することがより好ましい。
[導電積層体の表面抵抗値とヘイズ値]
本発明にかかる導電積層体の導電層側の表面抵抗値は、1×10Ω/□以上、1×10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Ω/□以上、1.5×10Ω/□以下である。この範囲にあることで、タッチパネル用の導電積層体として好ましく用いることができる。すなわち、1×10Ω/□以上であれば消費電力を少なくすることができ、1×10Ω/□以下であれば、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響を小さくすることができる。
また、導電積層体のヘイズ値は、導電層側から入射した時のJIS K7136(2000)に基づき、導電層を形成する前の基材、および導電層を形成した後の導電積層体のヘイズ値を測定し、そのヘイズ差から求めた値を導電層のヘイズ値とする。
導電積層体のヘイズ値を下げるための方法としては、線状金属構造体のネットワーク構造の導電効率を向上させて線状金属構造体量を低減する方法のほか、線状金属構造体として平均径が小さいものを選択する方法、導電積層体の層構成としてヘイズ値を小さくする方法等が挙げられる。線状金属構造体の径が小さいと線状金属構造体表面での光の散乱が少ないため、へイズ値が小さいものとなるため好ましい。
また、導電積層体の層構成のマトリックスの表面平均厚みを大きくすることで線状金属構造体による導電積層体表面の凹凸が小さくなり、平滑化することで導電積層体表面での散乱によるヘイズ値の上昇を抑制することができる。なお、ブラッシングが発生した場合は光沢が低減し、ヘイズ値の著しい上昇が確認される。これらの導電積層体のヘイズ値と表面抵抗値は相関関係がある。本発明では、前記に示したように溶媒除去の条件を最適化し、ブラッシングの発生を抑制することで、高い導電性と高透明性を両立することが可能であり、その相関関係は、表面抵抗値をY、ヘイズ値をXとしたときに、Y≦331.32X−7.10となる。
[導電積層体の透過率]
本発明にかかる導電積層体は、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上である透明導電積層体であることが好ましい。
本発明の導電積層体を透明導電積層体として組み込んだタッチパネルは、優れた透明性を示し、この透明導電積層体を用いたタッチパネルの下層に設けたディスプレイの表示を鮮やかに認識することができる。
全光線透過率を上げるための方法としては、例えば、使用する基材の全光線透過率を上げる方法、前記導電層の膜厚をより薄くする方法、基材の導電層を設けた反対面に基材よりも屈折率の小さい架橋層を設ける方法、また、導電層が光学干渉膜となるように積層する方法等が挙げられる。
基材の全光線透過率を上げる方法としては、基材の厚みを薄くする方法、あるいは全光線透過率の大きな材質の基材を選定する方法が挙げられる。
本発明の導電積層体における基材は、可視光線の全光線透過率が高い基材が好適に使用でき、具体的にはJIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上のもの、より好ましくは90%以上の透明性を有しているものである。
JIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上の基材(以下単に基材と記す)の素材として、具体的には例えば透明な樹脂、ガラスなどを挙げることができる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系・メタクリル系樹脂、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS、ポリ酢酸ビニル、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素元素(Cl元素)を含有する樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂及びこれら樹脂の混合および/または共重合したものが挙げられ、ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。また、これらの複数の基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた基材、2種以上の樹脂を積層した基材などの複合基材であってもよい。
[基材]
基材の形状については、厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であっても上記全光線透過率の範囲であればよい。コスト、生産性、取り扱い性等の観点からは厚み250μm以下の樹脂フィルムが好ましく、より好ましくは厚み190μm以下、さらに好ましくは厚み150μm以下、特に好ましくは厚み100μm以下の樹脂フィルムである。基材として樹脂フィルムを用いる場合、樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとしたものを適用することができる。
これら樹脂フィルムのうち、基材への成形性、透明性等の光学特性、生産性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、またPENとの混合及び/又は共重合したPETフィルム、ポリプロピレンフィルムを好ましく使用することができる。
次に、導電層が光学干渉膜となるように積層する方法を以下に示す。
導電材(線状金属構造体)は、その導電成分自身の物性により光を反射したり吸収したりする。そのため、基材上に設けた導電層を含む導電積層体の全光線透過率を上げるには、マトリックスが透明な材料で、かつ導電層が光学干渉膜となるように設け、この光学干渉膜側の波長380〜780nmでの平均反射率を4%以下とすることが効果的であり、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下とすることが効果的である。平均反射率が4%以下であると、タッチパネル用途などに用いる場合の全光線透過率80%以上の性能を生産性良く得ることができるので好ましい。
このように、本発明の製造方法によれば、線状金属構造体を水分散媒に分散させた塗料を用いて導電積層体を形成した後、さらにその層の上に有機溶剤を分散媒として用いたマトリックス層を設ける際にブラッシングの発生しにくい導電積層体を提供することができ、高い導電性を保持しつつも、低ヘイズでかつ高透過性を有するので、表示体に好ましく適用され、とりわけ、電極部材に鮮明さと導電性を提供できることからタッチパネル用途に好適に使用される。さらに、本発明の導電積層体は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、電子ペーパーなどのディスプレイ関連や、太陽電池モジュールなどにおいて用いられる電極部材にも好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)表面抵抗値R
導電層側の表面抵抗値は、非接触式抵抗率計(ナプソン(株)製 NC−10)を用い渦電流方式で100mm×50mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。検出限界を超えて表面抵抗値が得られなかった場合は、次いで以下の方法にて測定した。
高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta−UP MCP−HT450)を用い、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続して二重リング方式で100mm×100mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて測定し平均値を算出した。
(2)へイズ値(曇り度)
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7136(2000)に基づいて、5サンプルの導電積層体厚み方向のへイズ値を、導電層側から光を入射させて測定し、導電層を形成する前の基材、および導電層を形成した後の導電積層体のヘイズ値を測定し、そのヘイズ差から求めた値の平均値を導電層のヘイズ値とした。
(3)全光線透過率
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997)に基づいて、導電積層体厚み方向の全光線透過率を、導電層側から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定し平均値を算出した。
(4)塗膜厚み
多層膜厚測定器SI−T10((株)キーエンス製)を用いて、基材上に線状金属構造体を含む塗膜の膜厚を測定した。
[材料]
<基材>
各実施例及び比較例に使用した基材を以下に示す。
(1)基材A
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U48)
・厚み125μm
(2)基材B
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U48)
・厚み50μm。
<導電材>
各実施例及び比較例に用いた導電材を以下に示す。
導電材A「銀ナノワイヤー」
特表2009−505358号公報の例1(銀ナノワイヤーの合成)に記載の方法にて得た銀ナノワイヤー導電材(短軸:50〜100nm、長軸:20〜40μm)。
(実施例1)
導電材A「銀ナノワイヤー」を用い、分散媒として水を用いて、特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に開示されている方法にて銀ナノワイヤー分散液を得た。この銀ナノワイヤー分散液に、銀ナノワイヤーの濃度が0.05質量%となるように分散媒を追加し、銀ナノワイヤー分散塗液を調製した。この銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がステンレス(sus)のシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材の片面に62.5μmの厚みで導電膜を塗布し塗膜を形成した。
加熱第1段階にて、加熱温度35℃、絶対湿度12g/mで125秒間加熱した後、加熱第2、3段階で63秒間加熱し前記第1の塗液の塗膜から分散媒を除去し、基材上に線状金属構造体を載置した。
次いで、マトリックスとなる材料としてアクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHC−6)を酢酸エチルを溶媒として固形分濃度1.5質量%に調合して第2の塗液とし、スリットダイコートを用い、シムプレート厚み50μmの条件にて前記線状金属構造体上に、平板上に塗付したと仮定した場合の計算上の厚みが8μmになる塗出量で塗布した。
前記第2の塗液を加熱温度120℃で2分間加熱した後、紫外線を80mJ/cm照射し硬化させた。
(実施例2)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に50μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度30℃、絶対湿度11g/mで90秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で40秒間加熱し導電成分を積層形成した。
(実施例3)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に37.5μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度38℃、絶対湿度14g/mで60秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で27秒間加熱し導電成分を積層形成した。
(実施例4)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に25μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度28℃、絶対湿度12g/mで48秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で25秒間加熱し導電成分を積層形成した。
(比較例1)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に25μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度20℃、絶対湿度12g/mで45秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で33秒間加熱し導電成分を積層形成した。
(比較例2)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に25μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度35℃、絶対湿度14g/mで20秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で68秒間加熱し導電成分を積層形成した。
(比較例3)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に25μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度32℃、絶対湿度12g/mで45秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で10秒間加熱し導電成分を積層形成した。
(比較例4)
実施例1で用いた銀ナノワイヤー分散液、スリットダイコーターを使用して、基材の片面に25μmの厚みで導電膜を塗布した。その後、加熱温度32℃、絶対湿度18g/mで45秒間加熱し、引き続き加熱第2、3段階で33秒間加熱し導電成分を積層形成した。
Figure 2014035849
本発明の導電積層体は、導電積層体をタッチパネル等に使用する電極部材に鮮明さと導電性を提供できることからタッチパネル用途に好適に使用されるものである。さらに、本発明の導電積層体は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、電子ペーパーなどのディスプレイ関連や、太陽電池モジュールなどにおいて用いられる電極部材にも好適に使用することができる。
1 基材
2 導電層
3 マトリックス層
4 積層面に垂直な方向より観察した導電層
5 線状金属構造体
6 線状金属構造体の重なりよって形成された接点

Claims (6)

  1. 以下の工程(A)から(D)により基材の少なくとも一方に導電層を設ける導電積層体の製造方法であって、(B)工程に、(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件を適用することを特徴とする導電積層体の製造方法。
    (A)線状金属構造体を水分散媒に分散させた第1の塗液を、基材に塗膜厚み10〜100μmの範囲になるように塗布し塗膜を形成する工程
    (B)(A)工程で基材上に形成した前記第1の塗液の塗膜から水分散媒を除去し、基材上に線状金属構造体を載置した状態とする工程
    (C)マトリックスとなる材料を溶媒に溶解させた第2の塗液を前記(B)工程で基材上に載置した線状金属構造体上に塗布する工程
    (D)(C)工程で線状金属構造体上に塗布した前記第2の塗液から溶媒を除去し、線状金属構造体をマトリックス中に含有する導電層を基材上に形成する工程
    (B)工程には、以下の(B1)、(B2)および(B3)の加熱条件が含まれる。
    (B1)25℃以上40℃未満で、30〜130秒間加熱する加熱段階があること
    (B2)加熱時間の合計が70秒以上であること
    (B3)絶対湿度15g/m以下の雰囲気下で加熱すること
  2. 前記線状金属構造体が金属繊維またはカーボンナノチューブである請求項1に記載の導電積層体の製造方法。
  3. 前記金属繊維が銀ナノワイヤーである請求項2に記載の導電積層体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法にて得られた導電積層体を用いた、表示体。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法にて得られた導電積層体を用いた、タッチパネル。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法にて得られた導電積層体を用いた、電子ペーパー。
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