JP2014031782A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン10のスロットルバルブ23部における上流圧及び下流圧の少なくとも何れか一方の実測値を検出する実測値検出手段33,34を設ける。
また、エンジン10の最大トルク相当値に対する目標トルク相当値の比を圧力比相当値として演算する圧力比相当値演算手段2を設ける。
さらに、実測値検出手段33,34で検出された実測値と圧力比相当値演算手段2で演算された圧力比相当値とに基づき、上流圧及び下流圧の少なくとも何れか他方の仮想値を演算する仮想値演算手段3を設ける。
【選択図】図1
Description
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
例えば、前記実測値が前記上流圧であるときには、それと前記圧力比相当値とを用いて前記下流圧の仮想値を演算する。また、前記実測値が前記下流圧であるときには、それと前記圧力比相当値とを用いて前記上流圧の仮想値を演算する。なお、前記実測値が前記上流圧及び前記下流圧の双方であるときには、前記上流圧及び前記下流圧のそれぞれについての仮想値を演算することができる。
前記実測値検出手段の故障時に、前記仮想値演算手段で演算された前記仮想値に基づき前記エンジンを制御する制御手段を備えることが好ましい。
例えば、前記上流圧についての実測値を検出する実測値検出手段の故障時には、前記下流圧の実測値に基づいて前記上流圧の仮想値を演算し、これを前記上流圧の実測値の代わりに用いて前記エンジンを制御することが好ましい。
例えば、前記仮想値演算手段が、前記下流圧の実測値に基づいて前記上流圧の仮想値を演算し、前記判定手段が、前記上流圧の実測値と前記上流圧の仮想値とを比較することが好ましい。この場合、前記実測値検出手段のうち、前記上流圧の検出に係る故障が判定される。
すなわち、前記仮想値演算手段が、前記吸気流量,前記一方の実測値及び前記圧力比相当値に基づいて前記他方の仮想値を演算することが好ましい。
この場合、前記エンジンで発生するトルクの大きさを基準として、前記圧力比相当値が演算されることになる。
この場合、前記エンジンのシリンダーに吸入される空気量を基準として、前記圧力比相当値が演算されることになる。なお、上記(6)に記載の手法を併用して前記圧力比相当値を演算してもよい。
例えば、吸気系圧力の実測値を検出するセンサーの故障を判定することができるとともに、その故障時における実測値の代替として仮想値を利用することができる。あるいは、信頼性の低いセンサーを省略することができ、装置構成を簡素化しつつエンジンの制御性を高めることができる。
[1−1.エンジン]
本実施形態のエンジンの制御装置は、図1に示す車載のガソリンエンジン10に適用される。ここでは、多気筒のエンジン10に設けられた複数のシリンダーのうちの一つを示す。ピストン16は、中空円筒状に形成されたシリンダー19の内周面に沿って往復摺動自在に内装される。ピストン16の上面とシリンダー19の内周面及び頂面に囲まれた空間は、エンジンの燃焼室26として機能する。ピストン16の下部は、コネクティングロッドを介して、クランクシャフト17の軸心から偏心した中心軸を持つクランクアームに連結される。これにより、ピストン16の往復動作がクランクアームに伝達され、クランクシャフト17の回転運動に変換される。
ロッカシャフトに対する揺動部材の基準位置からの変位角のことを、制御角θVVLと呼ぶ。制御角θVVLは最大バルブリフト量に対応するパラメーターであり、制御角θVVLが大きいほど最大バルブリフト量が増大するように、揺動部材の基準位置が設定されているものとする。VVL装置27aは、この制御角θVVLを調節することによって、最大バルブリフト量を任意の値に制御する。なお、VVL装置27aで制御される制御角θVVLの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
基準となるカムシャフトの位相角から実際のカムシャフトの位相角がどの程度進角又は遅角しているかを示す角度の変化量のことを、位相角θVVTと呼ぶ。位相角θVVTは、バルブタイミングに対応するパラメーターである。VVT装置27bは、この位相角θVVTを調整することによって、バルブタイミングを任意に制御する。VVT装置27bで制御される位相角θVVTの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
吸気ポート11内には、燃料を噴射するインジェクター18が設けられる。インジェクター18から噴射される燃料量は、後述するエンジン制御装置1によって制御される。また、インジェクター18よりも吸気流の上流側には、インテークマニホールド20(以下、インマニと呼ぶ)が設けられる。このインマニ20には、吸気ポート11側へと流れる空気を一時的に溜めるためのサージタンク21が設けられる。サージタンク21よりも下流側のインマニ20は、複数のシリンダー19の吸気ポート11に向かって分岐するように形成され、サージタンク21はその分岐点に位置する。サージタンク21は、各々のシリンダーで発生しうる吸気脈動や吸気干渉を緩和するように機能する。
スロットルボディ22のさらに上流側には吸気通路24が接続され、吸気通路24のさらに上流側にはエアフィルター25が介装される。これにより、エアフィルター25で濾過された新気が吸気通路24及びインマニ20を介してエンジン10の各シリンダー19に供給される。
エンジン10のクランクシャフト17には、その回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサー31が設けられる。なお、回転速度Neの代わりにクランクシャフト17の回転角を検出するセンサーを設け、この回転角に基づいてエンジン制御装置1の内部でエンジン10の回転速度Neを演算する制御構成としてもよい。
スロットルバルブ23よりも上流側の吸気通路24上には、吸気流量Qを検出するエアフローセンサー32が設けられる。また、スロットルバルブ23の下流側には、サージタンク21内の圧力を検出するインマニ圧センサー33(インテークマニホールド圧センサー)が設けられる。以下、サージタンク21内の圧力のことを単にインマニ圧PIMと呼ぶ。
上記のエンジン10を搭載する車両には、エンジン制御装置1(Engine Electronic Control Unit,制御装置)が設けられる。このエンジン制御装置1は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインに接続される。
エンジン制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広範なシステムを総合的に制御する電子制御装置であり、各シリンダー19に供給される空気量や燃料噴射量,点火時期,最大バルブリフト量,バルブタイミング等を制御するものである。
図1に示すように、エンジン制御装置1には、圧力比相当値演算部2,仮想値演算部3,判定部4及び制御部5が設けられる。これらの各要素は電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
圧力比相当値演算部2(圧力比相当値演算手段)は、エンジン10の吸気系の圧力比Cに相当する値である圧力比相当値Aを演算するものである。圧力比Cとは、スロットルバルブ23の実際の上流圧に対する下流圧の割合を意味する。一方、圧力比相当値Aとは、実際の圧力比Cと強い相関を持つ値であって、エンジン10の最大トルクに相当する値とその時点でのエンジン10の目標トルクに相当する値とから算出される。図2に示すように、圧力比相当値演算部2には、最大トルク演算部2a,目標トルク演算部2b及び比率演算部2cが設けられる。
圧力比相当値A=(目標トルクPiTGT/最大トルクPiMAX) …(式1)
仮想値演算部3(仮想値演算手段)は、圧力比相当値演算部2で求められた圧力比相当値Aと吸気系圧力の実測値(すなわちインマニ圧PIM及び大気圧PBP)とに基づき、それぞれの圧力の仮想値を演算するものである。図2に示すように、仮想値演算部3には、圧力損失演算部3a,仮想インマニ圧演算部3b及び仮想大気圧演算部3cが設けられる。
判定部4(判定手段)は、上記の実測値と仮想値とに基づいて圧力系センサーの故障を判定するものである。判定部4には、図2に示すように、インマニ圧センサー判定部4aと大気圧センサー判定部4bとが設けられる。
インマニ圧センサー判定部4aは、インマニ圧PIMと仮想インマニ圧VPIMとを比較して、インマニ圧センサー33の故障を判定するものである。ここでは、インマニ圧PIMと仮想インマニ圧VPIMとの差が大きいほど、インマニ圧センサー33の故障の可能性が高いものと判定される。
制御部5(制御手段)は、インマニ圧PIM,大気圧PBP,仮想インマニ圧VPIM及び仮想大気圧VPBPに基づき、エンジン10の出力を制御するものである。ここでは、判定部4でインマニ圧センサー33が故障したと判定された場合には、インマニ圧PIMの代わりに仮想インマニ圧VPIMが使用されて、エンジン10が制御される。また、判定部4で大気圧センサー34が故障したと判定された場合には、大気圧PBPの代わりに仮想大気圧VPBPが使用されて、エンジン10が制御される。これらの圧力情報の具体的な使用方法は種々考えられるが、本実施形態ではこれらの圧力情報が無負荷損失の演算に用いられる場合と、目標スロットル開度の演算に用いられる場合との二通りについて説明する。
制御部5は、エンジン10の回転速度Neとサージタンク21部の相対圧ΔPとに基づき、無負荷損失を演算する。ここでは、例えば予め設定された回転速度Ne,相対圧ΔP及び無負荷損失の対応マップや数式等に基づいて、無負荷損失が演算される。ここで演算された無負荷損失の値は、アイドリング時や通常走行時の目標トルクPiTGTの演算に使用される。なお、ここで演算された無負荷損失を冷却水温WT及び油温OTで補正する演算構成としてもよい。
相対圧ΔP=(大気圧PBP−仮想インマニ圧VPIM) …(式5)
相対圧ΔP=(仮想大気圧VPBP−インマニ圧PIM) …(式6)
したがって、インマニ圧センサー33や大気圧センサー34の故障の有無に関わらず、適切なスロットル開度が演算されることになり、エンジン10の制御性が向上する。
図5(a)に示すように、圧力比相当値Aにはスロットルバルブ23部の圧力比Cとの相関が認められる。この相関を踏まえて、上述のエンジン制御装置1ではインマニ圧PIMから仮想大気圧VPBPが演算され、大気圧PBPから仮想インマニ圧VPIMが演算される。仮想インマニ圧VPIMは、実際の大気圧PBPと圧力比相当値Aとから得られた値であることから、実際のインマニ圧PIMと同じ特性を持つパラメーターとなり、大気圧センサー34の出力が適正である限り、インマニ圧PIMに近い理論値となる。同様に、仮想大気圧VPBPは、実際の大気圧PBPと同じ特性を持つパラメーターとなり、インマニ圧センサー33の出力が適正である限り、大気圧PBPに近い理論値となる。
また、インマニ圧PIM及び大気圧PBPのうちの何れか一方を実測すれば、他方の仮想値を取得できるため、インマニ圧センサー33,大気圧センサー34の何れか一方を省略することも可能であり、コストダウンを図ることができる。なお、信頼性の低いセンサーを省略することで、制御の信頼性を向上させることも可能である。
[4−1.充填効率を用いた圧力比相当値の演算]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述のエンジン制御装置1では、エンジン10の最大トルクPiMAX及び目標トルクPiTGTを用いて圧力比相当値Aを演算しているが、トルクの代わりにシリンダー19内に導入される空気量を用いることで同様の演算を行うことも可能である。
上述の実施形態では、図7に示すように、実測値と仮想値との差が例えば所定誤差X以上大きい場合に、その実測値を実測したセンサーが故障したものと判定される制御を例示したが、具体的な故障判定の手法はこれに限定されない。例えば、センサーが正常であると判定される範囲の幅をそのときの実測値に応じて変更してもよい。あるいは、所定誤差Xの値を固定値ではなく、他のパラメーターに応じて設定される変数としてもよい。
2 圧力比相当値演算部(圧力比相当値演算手段)
3 仮想値演算部(仮想値演算手段)
4 判定部(判定手段)
5 制御部(制御手段)
32 エアフローセンサー(流量検出手段)
33 インマニ圧センサー(実測値検出手段)
34 大気圧センサー(実測値検出手段)
Claims (10)
- エンジンのスロットルバルブ部における上流圧及び下流圧の少なくとも何れか一方の実測値を検出する実測値検出手段と、
前記エンジンの最大トルク相当値に対する前記エンジンの目標トルク相当値の比を圧力比相当値として演算する圧力比相当値演算手段と、
前記実測値検出手段で検出された前記実測値と前記圧力比相当値演算手段で演算された前記圧力比相当値とに基づき、前記上流圧及び下流圧の少なくとも何れか他方の仮想値を演算する仮想値演算手段と
を備えたことを特徴とする、エンジンの制御装置。 - 前記実測値検出手段が、前記上流圧及び前記下流圧の双方の実測値を検出するとともに、
前記実測値検出手段の故障時に、前記仮想値演算手段で演算された前記仮想値に基づき前記エンジンを制御する制御手段を備えた
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。 - 前記実測値と前記仮想値との比較により前記実測値検出手段の故障を判定する判定手段を備えた
ことを特徴とする、請求項2記載のエンジンの制御装置。 - 前記実測値検出手段が、前記上流圧として大気圧の実測値を検出し、
前記仮想値演算手段が、前記圧力比相当値と前記大気圧の実測値とに基づき、仮想インテークマニホールド圧を演算する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記エンジンの吸気流量を検出する流量検出手段を備え、
前記仮想値演算手段が、前記流量検出手段で検出された前記吸気流量に基づき、前記他方の仮想値を演算する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記圧力比相当値演算手段が、前記エンジンに導入される空気量にて前記エンジンで発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算するとともに、前記エンジンのアクセル操作量に基づいて設定される目標トルクを前記目標トルク相当値として演算する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記圧力比相当値演算手段が、前記最大トルク相当値として前記エンジンの最大充填効率を用いるとともに、前記目標トルク相当値として前記エンジンに導入される空気量に基づいて演算される目標充填効率を用いて、前記圧力比相当値を演算する
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記圧力比相当値演算手段が、吸排気弁のバルブリフト量又はバルブタイミングに応じて前記最大トルク相当値を算出する
ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記圧力比相当値演算手段が、点火時期を最適点火時期としたときに前記エンジンで発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算する
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記圧力比相当値演算手段が、予め設定された所定空燃比での燃焼時に前記エンジンで発生する最大のトルクを前記最大トルク相当値として演算する
ことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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