JP2014095332A - 流体機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】 背圧室とポンプ作動室における流体の圧力の大小関係が逆転しても、作動流体が軸シールを介して一方の領域から他方の領域に漏出することを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】 本明細書が開示する流体機械10は、ハウジング12と、ギヤポンプ20と、ギヤポンプ20を駆動する駆動軸22と、膨張機40を備える。ハウジング12には、駆動軸22に沿って、ポンプ作動室30と、背圧室48と、駆動軸挿通孔61が形成されている。駆動軸挿通孔61には、駆動軸22の外周面と駆動軸挿通孔61の内面とをシールするポンプ側軸シール60と膨張機側軸シール62が設けられている。駆動軸挿通孔61には、ポンプ側軸シール60、膨張機側軸シール62、及び駆動軸22によって区画される中間室64が形成されている。流体機械10は、中間室64とランキンサイクルの低圧流体領域とを連通する連通路35をさらに備えている。
【選択図】図1
【解決手段】 本明細書が開示する流体機械10は、ハウジング12と、ギヤポンプ20と、ギヤポンプ20を駆動する駆動軸22と、膨張機40を備える。ハウジング12には、駆動軸22に沿って、ポンプ作動室30と、背圧室48と、駆動軸挿通孔61が形成されている。駆動軸挿通孔61には、駆動軸22の外周面と駆動軸挿通孔61の内面とをシールするポンプ側軸シール60と膨張機側軸シール62が設けられている。駆動軸挿通孔61には、ポンプ側軸シール60、膨張機側軸シール62、及び駆動軸22によって区画される中間室64が形成されている。流体機械10は、中間室64とランキンサイクルの低圧流体領域とを連通する連通路35をさらに備えている。
【選択図】図1
Description
本明細書に開示の技術は、流体機械に関する。
特許文献1に、ランキンサイクルに用いられる流体機械が開示されている。この流体機械はギヤポンプと膨張機を備える。膨張機は、背圧室を備えるスクロール式の膨張機である。膨張機は機械的エネルギーを出力し、その機械的エネルギーはギヤポンプの駆動軸に伝達され、ギヤポンプが駆動される。ギヤポンプの駆動軸には軸シールが設けられており、軸シールによって、ギヤポンプを収容するポンプ作動室側の領域と、膨張機の背圧室側の領域とが区画されている。軸シールは、ランキンサイクルを流れる作動流体がポンプ作動室から背圧室へ(あるいは背圧室からポンプ作動室へ)漏出することを規制する。
一般に、背圧室の流体の圧力は制御可能であるため、ギヤポンプの作動中において、背圧室の流体の圧力とポンプ作動室の流体の圧力(詳細には、ギヤポンプの吸入側の圧力と吐出側の圧力との中間の圧力)との大小関係は一定となる。しかしながら、例えば運転状況が変わり作動流体の流量や圧力が変動することにより、背圧室の流体の圧力を高く制御する場合が生じる。かかる場合は、背圧室とポンプ作動室における流体の圧力の大小関係が逆転することがある。一般的に、軸シールのシール能力は、一方の方向におけるシール能力と他方の方向におけるシール能力とが著しく異なる。このため、軸シールを挟む2つの領域の高圧側から低圧側の方向に対して高いシール能力を発揮できるように軸シールが配置される。したがって、上記したように背圧室とポンプ作動室における流体の圧力の大小関係が逆転すると、軸シールのシール能力が低下し、多量の作動流体が軸シールを介して一方の領域から他方の領域に漏出し、流体機械に不具合が生じる虞がある。例えば、背圧室からポンプ作動室に作動流体が漏出すると、ギヤポンプにキャビテーションが発生しポンプ効率が低下する。反対に、ポンプ作動室から背圧室に作動流体が漏出すると、背圧が過大になり、膨張機が損傷する可能性がある。
本明細書では、背圧室とポンプ作動室における流体の圧力の大小関係が逆転しても、作動流体が軸シールを介して一方の領域から他方の領域に漏出することを抑制できる技術を提供する。
本明細書が開示する流体機械は、ランキンサイクルに用いられる。この流体機械は、ハウジングと、ハウジング内に設けられているポンプ部と、ポンプ部を駆動する駆動軸と、膨張機を備える。膨張機は、ハウジング内に設けられ、駆動軸に動力を伝達可能な旋回スクロールと、ハウジングに固定された固定スクロールを有する。ハウジングには、駆動軸に沿って、ポンプ作動室と、背圧室と、駆動軸挿通孔が形成されている。ポンプ作動室は、ポンプ部を収容する。背圧室は、旋回スクロールを固定スクロールに押圧する。駆動軸挿通孔は、ポンプ作動室と背圧室との間に位置し、駆動軸が挿通する。駆動軸挿通孔には、第1のシール部材と、第2のシール部材が設けられている。第1のシール部材は、駆動軸の外周面と駆動軸挿通孔の内面とをシールする。第2のシール部材は、第1のシール部材と駆動軸の軸方向に間隔を空けて配置され、駆動軸の外周面と駆動軸挿通孔の内面とをシールする。駆動軸挿通孔には、第1のシール部材、第2のシール部材、及び駆動軸によって区画される中間室が形成されている。流体機械は、中間室とランキンサイクルの低圧流体領域とを連通する連通路をさらに備えている。
この流体機械の駆動軸挿通孔には、第1のシール部材及び第2のシール部材が、駆動軸の軸方向に間隔を空けて配置されており、これらのシール部材によって中間室が形成されている。仮に第2のシール部材が第1のシール部材に対して背圧室側に配置されているとすると、上記の構成は、次のように言い換えることができる。即ち、第1のシール部材によってポンプ作動室側の領域と中間室とが区画され、第2のシール部材によって中間室と膨張機の背圧室側の領域とが区画されている。ここで、ポンプ作動室側の領域とは、厳密にはギヤポンプの吸入側の流体の圧力(低圧)と、吐出側の流体の圧力(高圧)との中間の圧力を有する流体が存在する領域を指す。また、一般に、背圧室の流体の圧力は、膨張機の吸入側の流体の圧力(高圧)と、吐出側の流体の圧力(低圧)との中間の圧力になるように制御されている。
この流体機械では、中間室とランキンサイクルの低圧流体領域とを連通する連通路が形成されている。ランキンサイクルの低圧流体領域とは、言い換えれば、ランキンサイクルにおいて流体の圧力が最も低くなる領域である。このため、ギヤポンプの作動中、中間室の流体の圧力はランキンサイクルにおける最低圧力に保たれる。従って、第1のシール部材を挟む2つの領域(即ち、ポンプ作動室側の領域及び中間室)の流体の圧力は、常にポンプ作動室側の領域の方が中間室よりも高くなる。同様に、第2のシール部材を挟む2つの領域(即ち、中間室及び膨張機の背圧室側の領域)の流体の圧力は、常に背圧室側の領域の方が中間室よりも高くなる。それゆえ、仮に背圧室とポンプ作動室における流体の圧力の大小関係が逆転しても、第1のシール部材を挟む2つの領域の流体の圧力の大小関係は不変であり、同様に、第2のシール部材を挟む2つの領域の流体の圧力の大小関係も不変となる。このため、ギヤポンプの作動中に背圧室とポンプ作動室における流体の圧力の大小関係が逆転しても、作動流体がシール部材を挟む2つの領域の一方の領域から他方の領域へシール部材を介して漏出することを抑制することができる。
本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明を実施するための形態、及び、実施例にて詳しく説明する。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 本明細書が開示する流体機械では、連通路が、中間室と、ランキンサイクルの低圧流体領域の内、作動流体が液相である領域とを連通してもよい。作動流体が液相である領域の温度の方が、作動流体が気相である領域の温度よりも低い。このため、この構成を採用することにより、中間室の温度を、中間室が、気相の作動流体が流れる低圧流体領域と連通している場合に比べて低くすることが可能になる。シール部材の耐熱性はその材質により異なるものの、中間室の温度を比較的に低く保つことにより、シール部材が高温に起因して劣化、破損することを抑制することができる。
(特徴2) 本明細書が開示する流体機械では、低圧流体領域が、ランキンサイクルのコンデンサとポンプ部の上流端との間の領域であってもよい。ランキンサイクルを流れる気相の作動流体はコンデンサにより凝縮されて液相となり、ポンプ部の上流端に流入する。即ち、ランキンサイクルのコンデンサとポンプ部の上流端との間の領域には液相の作動流体が存在する。この構成によると、低圧流体領域からの流体が中間室に流れても、低圧流体領域の流体は液相であるため、シール部材が高温に起因して劣化、破損することを抑制することができる。
(特徴3) 本明細書が開示する流体機械では、低圧流体領域が、膨張機の下流端とランキンサイクルのコンデンサとの間の領域であってもよい。ランキンサイクルを流れる気相の作動流体は膨張機の下流端から吐出されてコンデンサに送られる。即ち、膨張機の下流端とランキンサイクルのコンデンサとの間の領域には気相の作動流体が存在する。この構成によっても、作動流体がシール部材を介して漏出することを抑制することができる。
(特徴4) 本明細書が開示する流体機械では、ハウジングに、ポンプ部の吸入側の作動流体の圧力と吐出側の作動流体の圧力との中間の圧力である作動流体が存在するポンプ側中間圧領域と、膨張機の吸入側の作動流体の圧力と吐出側の作動流体の圧力との中間の圧力である作動流体が存在する膨張機側中間圧領域と、がさらに形成されていてもよい。そして、第1のシール部材がポンプ側中間圧領域と中間室とをシールし、第2のシール部材が膨張機側中間圧領域と中間室とをシールしてもよい。この構成によると、ポンプ部の作動中に膨張機側中間圧領域とポンプ側中間圧領域における作動流体の圧力の大小関係が逆転しても、作動流体が第1のシール部材を介して一方の領域から他方の領域へ漏出すること、及び作動流体が第2のシール部材を介して一方の領域から他方の領域へ漏出することを抑制することができる。
(特徴5) ポンプ部と膨張機との間には作動流体を一時的に貯留する貯留室が形成されており、膨張機側中間圧領域と貯留室とはシールされていてもよい。この構成によると、膨張機で膨張した作動流体の持つ熱により加熱された貯留室内の作動流体が膨張機側中間圧領域に漏出することが抑制され、結果として膨張機で膨張した作動流体の持つ熱が膨張機側中間圧領域に直接伝わることを抑制することができる。
実施例1の流体機械10を図を用いて説明する。本実施例の流体機械10は、ランキンサイクルに用いられる。流体機械10は、有底の略筒状であるハウジング本体12と、ハウジング本体12の開口側を閉じるリアハウジング13を備えている。ハウジング本体12の内部にはプレート14が配設されている。プレート14は、ハウジング本体12内の空間をリアハウジング13側とハウジング本体12の底部側とに区画する。プレート14内には、後で詳述する駆動軸挿通孔61が形成されている。ハウジング本体12の底部側の空間にはギヤポンプ20が収容されている。駆動軸22の一端は駆動源(図示省略)に接続されている。駆動源によって駆動軸22が駆動される。ハウジング本体12のリアハウジング13側には膨張機40が収容されている。ハウジング本体12の内部において、プレート14のハウジング本体12底部側には、作動流体の流路がプレート14と略平行に形成されている。上記流路の一端はハウジング本体12の上部(紙面の上側)に開口している。上記流路の他端はプレート14を介して貯留室56に連通している。貯留室56は、ハウジング本体12の内部であって、ポンプ作動室30と後述する旋回スクロール50との間の空間に設けられている。ハウジング本体12の下部には、貯留室56と連通する液吐出部19が形成されている。
上記流路(すなわち、ハウジング本体12の底部側に形成され、プレート14と平行に延びる流路)にはポンプ作動室30が形成されている。ポンプ作動室30はギヤポンプ20を収容する。ハウジング本体12の上部の開口からギヤポンプ20までの流路を吸入流路16と称し、ギヤポンプ20から貯留室56までの流路を吐出流路18と称する。説明を分かりやすくするために、本実施例ではポンプ作動室30の内部において吸入流路16が占める領域を特に吸入領域31と称し、同様に、ポンプ作動室30内部において吐出流路18が占める領域を特に吐出領域33と称する。ポンプ作動室30のハウジング本体12底部側には、貫通孔37が形成されている。貫通孔37は、ハウジング本体12の内部を、ポンプ作動室30からハウジング本体12の外側に向かって貫通する筒状の空洞であり、ハウジング本体12の底部に開口する。ギヤポンプ20を駆動する駆動軸22は、ハウジング本体12に軸受23を介して回転可能に支持されている。駆動軸22は、ポンプ作動室30、及び貫通孔37を貫通して、その一端がハウジング本体12の外部に突出している。
続いて、図2を参照してギヤポンプ20について説明する。ギヤポンプ20は、駆動軸22によって駆動される駆動ギヤ21と、駆動ギヤ21に従動する従動ギヤ26を備える。駆動ギヤ21と従動ギヤ26は、互いの歯が噛合するようにポンプ作動室30に配設されている。駆動軸22は、駆動ギヤ21の中心を貫通するように駆動ギヤ21に取り付けられている。駆動軸22が回転すると、それに伴い駆動ギヤ21が回転し、駆動ギヤ21と噛合する従動ギヤ26も回転する。駆動ギヤ21と従動ギヤ26が回転することで、ポンプ動作が行われる。なお、ポンプ作動室30において、駆動ギヤ21の歯と従動ギヤ26の歯とが離反する側の領域が吸入領域31に対応し、駆動ギヤ21の歯と従動ギヤ26の歯とが噛み合う側の領域が吐出領域33に対応する。駆動ギヤ21は、駆動軸22の回転に伴い一体となって回転するものの、駆動ギヤ21の内周面と駆動軸22の外周面との間には、微小な隙間(図2の符号66が示す領域)が形成されている。吸入領域31に流れ込んだ作動流体は、昇圧されて吐出領域33に吐出される過程で、この微小な隙間66にも流れ込む。微小な隙間66における作動流体の圧力は、ギヤポンプ20の駆動に伴い成り行きで決まる圧力である。即ち、微小な隙間66の作動流体の圧力は、吸入領域31の作動流体の圧力(低圧)と、吐出領域33の作動流体の圧力(高圧)との中間の圧力である。このため、以下では、この微小な隙間66のことを「ポンプ側中間圧領域66」と称する。なお、ギヤポンプ20は、「ポンプ部」の一例に相当する。なお、駆動軸22が駆動ギヤ21に圧入により取り付けられ、両者の間に隙間が形成されていない場合においても、ポンプ側中間圧領域66は存在する。ハウジング本体12内には、駆動ギヤ21及び従動ギヤ26が回転するためのクリアラスが形成されており、このクリアランス内においては、吐出領域33と吸入領域31との差圧により、作動流体が吐出領域33から吸入領域31に流れる。この場合、駆動軸22近傍に、吐出領域33の作動流体の圧力と吸入領域31の作動流体の圧力との中間の圧力を持つ作動流体が存在する領域、即ちポンプ側中間圧領域66が形成される。
次に、図1に戻って膨張機40について簡単に説明する。膨張機自体の構造は既知であるためその詳細な説明は省略する。図1に示すように、駆動軸22の他端には、駆動軸22と同軸上に、駆動軸22と一体となって回転する従動軸24が取り付けられている。従動軸24は、軸受25によってハウジング本体12に回転可能に支持されている。従動軸24のリアハウジング13側の端部には、偏心軸42が取付けられている。偏心軸42の軸線は、従動軸24の軸線から偏心した位置(すなわち、両者の軸線が重ならない位置)に設けられている。このため、駆動軸22の回転に伴い従動軸24が回転すると、偏心軸42は、従動軸24の軸線周りを公転する。偏心軸42のリアハウジング13側の端部には、ブッシュ44が取り付けられている。ブッシュ44には、軸受45を介して旋回スクロール50が回転可能に支持されている。なお、旋回スクロール50には自転防止ピン54が形成されており、旋回スクロール50の自転を防止できるようになっている。従って、旋回スクロール50がブッシュ44に対して軸受45を介して回転可能に支持されていても、旋回スクロール50が偏心軸42の軸線周りに自転することはない。上記の説明から明らかなように、駆動軸22が回転すると、従動軸24が回転し、旋回スクロール50も従動軸24の軸線周りを公転する。即ち、旋回スクロール50は、駆動軸22に対して動力伝達が可能とされており、動力伝達の観点では、駆動軸22に接続されているということもできる。ハウジング本体12のリアハウジング13側には、固定スクロール52が固設されている。旋回スクロール50と固定スクロール52は、互いの渦巻き板が対向するように配置されている。旋回スクロール50が固定スクロール52内を旋回することにより、互いの渦巻き板によって仕切られた空間(以下、旋回室とも称する)の体積が変動するようになっている。固定スクロール52の中心には吸入口53が設けられている。即ち、膨張機40は、旋回スクロール50、固定スクロール52、自転防止ピン54により構成されている。リアハウジング13の上部の開口にはガス吸入部55が設けられている。吸入口53とガス吸入部55とは、ガス吸入室57を介して連通している。旋回スクロール50のポンプ作動室30側には、背圧室48が形成されている。背圧室48は、ハウジング本体12の内部に形成された筒状の空洞であり、ガス吸入室57より絞りを介して連通している。偏心軸42は背圧室48の内部空間を挿通している。背圧室48と膨張機40との間は、ガスケットなどのシール部材によってシール(封止)されている。背圧室48の圧力は、制御装置(図示省略)によって制御される。制御装置は、例えば、膨張機の吸入側と吐出側とにおける圧力差が大きいときは背圧を大きくする。これにより、旋回スクロール50が固定スクロール52に押し付けられ、作動流体の漏れを防ぐとともに、旋回スクロール50の適切な動作が可能となる。制御装置は、背圧室48内の作動流体の圧力が、吸入口53の作動流体の圧力(高圧)とガス吐出部58の作動流体の圧力(低圧)との中間の圧力になるように制御する。一方、膨張機40の上方には、膨張機40の内部空間からハウジング本体12の上部に向かって、ハウジング本体12を貫通する吐出流路が形成されている。その流路の上端部の開口には、ガス吐出部58が形成されている。
ハウジング本体12の下部に設けられた液吐出部19は、流路70aを介してボイラの吸熱器(後述)に接続されている。ボイラは、車両のエンジン(図示省略)から排出される排ガスやラジエータ(図示省略)の冷却に用いられる冷却液(以下、排熱源とも称する)からの熱を放熱する放熱器と、放熱器から放熱される熱を吸熱する吸熱器とを有する熱交換器である。ボイラの吸熱器は、流路70bを介してリアハウジング13の上部に設けられたガス吸入部55に接続されている。ガス吸入部55は、ガス吸入室57、膨張機40の吸入口53及び旋回室を経由してハウジング本体12の上部に設けられたガス吐出部58に連通している。ガス吐出部58は、流路70cを介してコンデンサ80に接続されている。コンデンサ80はガス吐出部58から供給されるガスを凝縮して液体に状態変化させる凝縮器である。コンデンサ80は、流路70dを介してハウジング本体12の上部に設けられた吸入流路16に接続されている。吸入流路16はポンプ作動室30を介して吐出流路18と連通しており、吐出流路18は貯留室56を介して液吐出部19と連通している。
ここで、駆動軸挿通孔61について説明する。駆動軸挿通孔61はプレート14内に形成された筒状の空洞であり、ポンプ作動室30と背圧室48との間に位置している。ポンプ作動室30を貫通した駆動軸22は、駆動軸挿通孔61を貫通し、その先端に前述したように従動軸24が取り付けられている。即ち、ハウジング本体12の内部には、駆動軸部(即ち、駆動軸22、従動軸24、偏心軸42)に沿って、貫通孔37、ポンプ作動室30、駆動軸挿通孔61、及び背圧室48が並んで配置されている。駆動軸挿通孔61には、駆動軸22の軸方向に沿って、2つの軸シール60、62が間隔を空けて配設されている。以下では、ポンプ作動室30側に配置された軸シール60を「ポンプ側軸シール60」と称し、膨張機40側に配置された軸シール62を「膨張機側軸シール62」と称する。
ポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62は、共に駆動軸22の外周面と駆動軸挿通孔61の内面との隙間をシール(封止)する。駆動軸挿通孔61には、ポンプ側軸シール60、膨張機側軸シール62、駆動軸22の外周面、及び駆動軸挿通孔61の内面によって囲まれた空間が形成される。以下では、この空間を「中間室64」と称する。前述したように、駆動ギヤ21と駆動軸22との間にはポンプ側中間圧領域66が形成されている。ポンプ側中間圧領域66は、駆動軸22の外周面とハウジング本体12の内面との間に形成された僅かな隙間を通じて、駆動軸挿通孔61(詳細には、符号67で示される、駆動軸挿通孔61における、ポンプ側軸シール60よりポンプ作動室側の領域)と連通している。この領域67もポンプ側中間圧領域66の一部であり、以下では、この領域67もポンプ側中間圧領域66と称する。一方、背圧室48も、従動軸24の外周面と軸受25の内周面との間に形成された隙間などを介して、駆動軸挿通孔61(詳細には、符号68で示される、駆動軸挿通孔61における、膨張機側軸シール62より背圧室側の領域)と連通している。以下では、この領域68を膨張機側中間圧領域68と称する。別言すれば、背圧室48は、膨張機側中間圧領域68と連通している。このため、膨張機側中間圧領域68の作動流体の圧力は背圧室48の作動流体の圧力と略同一である。上記の構成は次のように言うこともできる。即ち、ポンプ側軸シール60によって、ポンプ側中間圧領域66と中間室64とが区画されており、膨張機側軸シール62によって、膨張機側中間圧領域68と中間室64とが区画されている。また、貯留室56と膨張機側中間圧領域68とはシール部材によりシールされている。従って、中間室64と貯留室56とは区画されている。なお、ポンプ側軸シール60は「第1のシール部材」の一例に相当し、膨張機側軸シール62は「第2のシール部材」の一例に相当する。本実施例では、ポンプ側中間圧領域66内の作動流体の圧力が中間室64内の作動流体の圧力より高いとして、ポンプ側軸シール60が設計されている。また、膨張機側中間圧領域68内の作動流体の圧力が中間室64内の作動流体の圧力より高いとして、膨張機側軸シール62が設計されている。なお、ポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62にはゴム製のVパッキンを用いることができるが、軸シールの材質やパッキンの材質及び種類はこれに限られない。また、ポンプ側軸シール60と膨張機側軸シール62に異なる材質の軸シールを用いてもよい。
本実施例では、プレート14内に、中間室64と吸入流路16とを連通させる連通路35が形成されている。連通路35により、流体機械10の作動中は、中間室64内の作動流体の圧力が吸入流路16内の作動流体の圧力と略同一に維持される。
次に、流体機械10の動作について説明する。駆動源から動力が伝達されると、駆動軸22が駆動され、駆動軸22が回転する。駆動軸22の回転に伴い駆動ギヤ21が回転すると、駆動ギヤ21と噛合する従動ギヤ26が、駆動ギヤ21と逆回りに回転することで、ギヤポンプ20として機能する。駆動ギヤ21及び従動ギヤ26が回転すると、ギヤ同士が離反する側、即ちポンプ作動室30の吸入領域31が低圧になり、ギヤ同士が噛合する側、即ち吐出領域33が高圧になる。これにより、吸入流路16を流れる低温低圧の作動流体(液相)が吸入領域31に流れ込み、ギヤポンプ20により昇圧され吐出領域33に吐出される。このとき、ポンプ作動室30内の作動流体の一部はポンプ側中間圧領域66にも流出する。吐出領域33に吐出された作動流体は吐出流路18を流れて貯留室56に一時的に貯えられる。貯留室56に貯えられた作動流体は、液吐出部19から吐出されて流路70aを通ってボイラに送られる。ボイラに送られた低温高圧の作動流体(液相)は、吸熱器にて放熱器と熱交換を行い、加熱されて気化する。ボイラから排出される高温高圧の作動流体(気相)は、流路70bを通ってガス吸入部55に送られる。ガス吸入部55に送られた作動流体はガス吸入室57を通り、吸入口53を経由して、旋回室に流れ込む。ガス吸入室57に流れ込んだ作動流体の一部は絞りを介して背圧室48に導入される。背圧室48内の作動流体の圧力により、旋回スクロール50が固定スクロール52側に押付けられる。この状態で旋回室に流れ込んだ気相の作動流体が膨張すると、旋回室の体積が増加し、旋回スクロール50が旋回する。旋回スクロール50が旋回すると偏心軸42及び従動軸24を経由して、駆動軸22が回転する。これにより、ギヤポンプ20が駆動される。旋回室で膨張して圧力が下がった作動流体は、ガス吐出部58から吐出されて流路70cを経由してコンデンサ80に送られる。コンデンサ80に送られた高温低圧の作動流体(気相)は冷却されて液化する。コンデンサ80で冷却された低温低圧の作動流体(液相)は、流路70dを経由して吸入流路16に流れ込み、以下同様のサイクルを繰り返す。即ち、膨張機40の下流端(即ち、低圧高温の気体が吐出される旋回室の出口)からコンデンサ80を介するギヤポンプ20の上流端(即ち、低圧低温の液体が吸入されるギヤポンプ20の吸入領域31)までの領域が、低圧の作動流体が流れる領域となる。本明細書では、この領域を「低圧流体領域」と称する。低圧流体領域の内、膨張機40の下流端から流路70cを経由するコンデンサ80までの領域は、低圧の気体が流れる領域である。このため、本明細書では、この領域のことを特に「低圧ガス領域」とも称する。一方、低圧流体領域の内、コンデンサ80から流路70dを経由するギヤポンプ20の上流端までの領域は、低圧の液体が流れる領域である。このため、本明細書では、この領域のことを特に「低圧液領域」とも称する。
次に、ポンプ作動室30、中間室64、及び背圧室48内の流体の圧力について説明する。流体機械10が動作して作動流体が上述したランキンサイクルを流れると、ギヤポンプ20の吸入領域31に流れ込んだ作動流体は、昇圧されて吐出領域33に吐出される過程で、その一部がポンプ側中間圧領域66に流れ込む。ポンプ側中間圧領域66内の流体の圧力は前述したように、ギヤポンプ20の駆動により決定される成り行きの圧力である。即ち、吸入領域31より高く、吐出領域33よりも低い、両者の中間の圧力である。一方、膨張機40のガス吸入室57に流れ込んだ作動流体の一部は絞りを介して背圧室48に導入される。背圧室48内の流体の圧力は、制御装置によって、膨張機の吸入側(即ち、ガス吸入部55からガス吸入室57を介して吸入口53に至る領域)の圧力より低く、吐出側(即ち、旋回室の出口からガス吐出部58に至る領域)の圧力より高い圧力になるように制御されている。従って、背圧室48と連通している膨張機側中間圧領域68内の流体の圧力も、膨張機40の吸入側の圧力と吐出側の圧力との中間の圧力に保たれる。
吸入流路16は、前述したように低圧流体領域(詳細には、低圧液領域)の一部を構成する領域であるため、ランキンサイクルの系の中で最も圧力が低い領域である。このため、連通路35を介して吸入流路16に連通している中間室64内の作動流体の圧力は、吸入流路16と略同一の圧力、即ち、ランキンサイクルの系の中で最も低い圧力に保たれる。即ち、流体機械10の作動中において、ポンプ側中間圧領域66は、中間室64よりも常に高い圧力に保たれる。同様に、膨張機側中間圧領域68は、中間室64よりも常に高い圧力に保たれる。
本実施例の流体機械10の利点を説明する。従来の流体機械では、ポンプ作動室の作動流体が駆動軸を伝って背圧室に漏出する(あるいはその逆方向に漏出する)ことを抑制するために、駆動軸には軸シールが設けられていた。一般に、背圧室の流体の圧力は制御装置などによって制御され、背圧室とポンプ作動室の圧力の大小関係は、設計により決定される。軸シールは、設計により決定される背圧室とポンプ作動室の圧力の大小関係に基づいて、適切な向きに配置される。即ち、軸シールは、一方の方向におけるシール能力と他方の方向におけるシール能力とが著しく異なるため、軸シールを挟む2つの領域の高圧側から低圧側の方向に対して高いシール能力を発揮できるように軸シールが配置される。これにより、ポンプ作動室と背圧室との間で、高圧側から低圧側に軸シールを介して作動流体が漏出することを抑制していた。
しかしながら、例えば流体機械の運転状況が変わり作動流体の流量や圧力が変動することにより、背圧室の圧力を高く制御する場合がある。或いはギヤポンプが摩耗してクリアランスが変わると、ポンプ作動室内の圧力が変わる場合がある。このような場合、背圧室とポンプ作動室の圧力の大小関係が逆転することがあり、その結果、軸シールのシール能力が低下し、作動流体が軸シールを介して漏出してしまう問題が生じる。例えばポンプ作動室から液相の作動流体が背圧室に漏出すると、背圧が過大となり膨張機が損傷する可能性がある。或いは、背圧室から気相の作動流体がポンプ作動室に漏出すると、ギヤポンプにキャビテーションが発生し、ギヤポンプの移送効率が低下する。
本実施例の流体機械10では、ポンプ作動室30(厳密にはポンプ側中間圧領域66)と背圧室48(厳密には膨張機側中間圧領域68)との間に、ポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62によって中間室64を区画し、中間室64にランキンサイクルの系における最低圧力となる作動流体を導入する。このような構成を採用することにより、仮にポンプ側中間圧領域66と膨張機側中間圧領域68の圧力の大小関係が逆転しても、ポンプ側中間圧領域66と中間室64の圧力の大小関係は不変となり、同様に、膨張機側中間圧領域68と中間室64の圧力の大小関係も不変となる。このため、ポンプ側中間圧領域66と膨張機側中間圧領域68の圧力の大小関係が逆転しても、ポンプ側中間圧領域66と中間室64とを区画しているポンプ側軸シール60のシール能力は低下することがない。同様に、膨張機側中間圧領域68と中間室64とを区画している膨張機側軸シール62のシール能力も低下することがない。ポンプ側軸シール60、膨張機側軸シール62共に、流体機械10の作動中に亘って高いシール能力を維持することが可能となる。従って、作動流体がポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62を介して一方の領域から他方の領域に漏出することを抑制することができる。結果として、作動流体の漏出に起因する膨張機の損傷やギヤポンプの効率低下といった問題の発生を抑制することができる。
また、本実施例の連通路35は、中間室64と、低圧液領域である吸入流路16とを連通させる。一般に、低圧液領域の方が低圧ガス領域よりも温度が低いため、このような構成にすることにより、ポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62の耐久性が熱に起因して低下することを抑制することができる。その結果、これらの軸シール60,62を、高いシール能力を維持したまま長期に亘って使用することができる。
また、本実施例の中間室64は、ランキンサイクルの系の最低圧力の領域と連通しているため、中間室64はランキンサイクルの系における最低圧力に保たれる。これによって、ポンプ側中間圧領域66と中間室64の圧力の大小関係、及び、膨張機側中間圧領域68と中間室64の圧力の大小関係を維持しながら、膨張機側軸シール62を挟む2つの領域(即ち、膨張機側中間圧領域68及び中間室64)の間の圧力差を小さくすることができる。ポンプ側中間圧領域66と中間室64の圧力の大小関係、及び、膨張機側中間圧領域68と中間室64の圧力の大小関係を維持する方法としては、中間室64の圧力をランキンサイクルの系の最高圧力とすることも考えられる。ここで、背圧室48の圧力は、膨張機40の吸入側と吐出側との中間の圧力に制御されるものの、吐出側の圧力に近く、比較的に低い。このため、中間室64の圧力をランキンサイクルの系の最高圧力とすると、膨張機側軸シール62を挟む2つの領域(即ち、膨張機側中間圧領域68及び中間室64)の間の圧力差は大きくなる。一方、中間室64の圧力を系の最低圧力にすると、膨張機側軸シール62を挟む2つの領域(即ち、膨張機側中間圧領域68及び中間室64)の間の圧力差は小さくなる。従って、膨張機側軸シール62に作用する負荷を低減することができ、結果として膨張機側軸シール62を長期に亘って使用することができる。
さらに、本実施例ではポンプ作動室30と旋回スクロール50との間の空間に貯留室56が設けられ、貯留室56と膨張機側中間圧領域68とがシール部材によって区画されている。貯留室56内の作動流体は、膨張機40で生じる熱によって加熱される。このため、仮に貯留室56と膨張機側中間圧領域68とがシール部材で区画されていない場合、貯留室56内の作動流体が膨張機側中間圧領域68に流れ、膨張機40で生じた熱が、貯留室56内の作動流体に伝えられ、さらに、中間室64内の作動流体や中間室64周りのプレート14を介して、ギヤポンプ20の吸入領域31やポンプ作動室30に伝わると、ポンプ作動室30内でキャビテーションが発生し易くなる。本実施例では、貯留室56と膨張機側中間圧領域68とがシール部材によって区画されているため、ポンプ作動室30内にキャビテーションが発生することを抑制することができる。
また、仮にコンデンサ80からの作動流体を貯留室56を介して吸入流路16に供給し、ギヤポンプ20で圧縮された作動流体を吐出流路18から直接外部に吐出する構成を採用する場合、中間室64と貯留室56とが連通する構成となる。かかる場合、膨張機40により加熱された貯留室56内の作動流体がギヤポンプ20に吸入され、ギヤポンプ20においてキャビテーションが生じ易くなる。一方、本実施例では、貯留室56が膨張機側中間圧領域68とシール部材で区画され、その結果、貯留室56と中間室64もシール部材で区画されている。したがって、実施例の流体機械では、ギヤポンプ20にキャビテーションが発生することを抑制することができる。
実施例2の流体機械10aを図3を用いて説明する。実施例2の流体機械10aは、実施例1の流体機械10の一部を変更したものである。従って、ここでは実施例1の流体機械10との相違点について説明する。なお、実施例1の流体機械と同一の部材については同一符号を用い、その詳細な説明を省略することとする。
図3は実施例2の流体機械10aの断面図を示す。実施例1の流体機械10では、吐出流路18がハウジング本体12内部において貯留室56と連通しているが、本実施例の流体機械10aでは、吐出流路18が貯留室56とは連通していない。吐出流路18はプレート14と平行に延び、その下端がハウジング本体12の下部に開口している。これに伴い、貯留室56と連通する液吐出部19は形成されない。吐出流路18の下端部は、流路70aを介してボイラの吸熱器に接続されている。また、本実施例では、ハウジング本体12の下方に、旋回室と貯留室56とを連通させる流路17が形成されている。ハウジング本体12には貯留室56と連通する流路が形成されており、その流路の下流端にはガス吐出部59が形成されている。ガス吐出部59は、流路70cを介してコンデンサ80に接続されている。即ち、実施例1では、コンデンサ80は流路70cを介して旋回室から延びる流路に接続されているが、本実施例では、コンデンサ80は貯留室56から延びる流路に接続されている。また、実施例1では、中間室64は連通路35を介して吸入流路16に連通しているが、本実施例では、中間室64は連通路35を介して貯留室56に連通している。
次に、流体機械10aの動作について説明する。駆動源から動力が伝達されてギヤポンプ20が駆動すると、吸入流路16を流れる低温低圧の作動流体(液相)はギヤポンプ20により昇圧される。昇圧された低温高圧の作動流体は吐出流路18の下流端の開口から吐出され、流路70aを通ってボイラに送られる。ボイラで気化した高温高圧の作動流体(気相)は、流路70bを通ってガス吸入部55に送られ、旋回室に流れ込む。旋回室に流れ込んだ作動流体が膨張することで旋回スクロール50が旋回し、ギヤポンプ20が駆動される。旋回室で膨張した高温低圧の作動流体(気相)は、流路17を通って貯留室56に一時的に貯えられる。貯留室56に貯えられた作動流体は、ガス吐出部59から吐出されて流路70cを通ってコンデンサ80に送られる。コンデンサ80で液化した低温低圧の作動流体(液相)は流路70dを経由して吸入流路16に流れ込み、以下同様のサイクルを繰り返す。
本実施例の流体機械10aでは、膨張機40の下流端は、貯留室56を介してコンデンサ80に接続されている。実施例1の貯留室56にはギヤポンプ20から吐出される液相の作動流体が貯えられるが、本実施例の貯留室56には膨張機40から吐出される気相の作動流体が貯えられる。即ち、本実施例の貯留室56は「低圧ガス領域」の一部を構成する。中間室64は連通路35を介して貯留室56と連通している。即ち、中間室64は低圧ガス領域と連通しているため、中間室64はランキンサイクルの系における最低圧力に保たれる。この構成によると、仮にポンプ側中間圧領域66と膨張機側中間圧領域68の圧力の大小関係が逆転しても、ポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62のシール能力が低下することがない。従って、作動流体がポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62を介して漏出することを抑制することができる。結果として、作動流体の漏出に起因する膨張機の損傷やギヤポンプの効率低下といった問題の発生を抑制することができる。
実施例3の流体機械10bを図4を用いて説明する。実施例3の流体機械10bは、実施例1の流体機械10の一部を変更したものである。従って、ここでは実施例1の流体機械10との相違点について説明する。なお、実施例1の流体機械と同一の部材については同一符号を用い、その詳細な説明を省略することとする。
図4は実施例3の流体機械10bの断面図を示す。実施例1では、中間室64は連通路35を介して吸入流路16と連通しているが、本実施例では、中間室64は連通路35を介して、膨張機40の下流端からコンデンサ80までの流路と連通している。即ち、連通路35の一部はハウジング本体12の外部に形成されている。流体機械10bの動作は、流体機械10の動作と同様であるため、説明を省略する。
本実施例の流体機械10bでは、中間室64は連通路35を介して低圧ガス領域と連通している。これにより、中間室64はランキンサイクルの系における最低圧力に保たれる。この構成によると、仮にポンプ側中間圧領域66と膨張機側中間圧領域68の圧力の大小関係が逆転しても、ポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62のシール能力が低下することがない。従って、作動流体がポンプ側軸シール60及び膨張機側軸シール62を介して漏出することを抑制することができる。結果として、作動流体の漏出に起因する膨張機の損傷やギヤポンプの効率低下といった問題の発生を抑制することができる。
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、本明細書が開示する流体機械は、上記の実施例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、中間室64は、吸入流路16以外の低圧液領域に連通していてもよい。即ち、中間室64は、ランキンサイクルにおける低圧流体領域に連通していてもよい。このとき、連通路35の一部をハウジング外に形成してもよい。連通路35はこのような構成によっても、上述した実施例1の流体機械10と同様の作用効果を得ることができる。また、実施例1では、作動流体を圧送するポンプ部と、作動流体を膨張させる膨張機を同一のハウジング内に設けたが、ポンプ部と膨張機は別の装置であり、それらをまとめて流体機械(ランキンサイクル)として機能させてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:流体機械
12:ハウジング本体
13:リアハウジング
14:プレート
16:吸入流路
18:吐出流路
19:液吐出部
20:ギヤポンプ
21:駆動ポンプ
22:駆動軸
23:軸受
24:従動軸
25:軸受
30:ポンプ作動室
31:吸入領域
33:吐出領域
35:連通路
37:貫通孔
40:膨張機
42:偏心軸
44:ブッシュ
45:軸受
48:背圧室
50:旋回スクロール
52:固定スクロール
53:吸入口
54:自転防止ピン
55:ガス吸入部
56:貯留室
57:ガス吐出室
60:ポンプ側軸シール
62:膨張機側軸シール
64:中間室
66:ポンプ側中間圧領域
68:膨張機側中間圧領域
12:ハウジング本体
13:リアハウジング
14:プレート
16:吸入流路
18:吐出流路
19:液吐出部
20:ギヤポンプ
21:駆動ポンプ
22:駆動軸
23:軸受
24:従動軸
25:軸受
30:ポンプ作動室
31:吸入領域
33:吐出領域
35:連通路
37:貫通孔
40:膨張機
42:偏心軸
44:ブッシュ
45:軸受
48:背圧室
50:旋回スクロール
52:固定スクロール
53:吸入口
54:自転防止ピン
55:ガス吸入部
56:貯留室
57:ガス吐出室
60:ポンプ側軸シール
62:膨張機側軸シール
64:中間室
66:ポンプ側中間圧領域
68:膨張機側中間圧領域
Claims (6)
- ランキンサイクルに用いられる流体機械であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられているポンプ部と、
前記ポンプ部を駆動する駆動軸と、
前記ハウジング内に設けられ、前記駆動軸に動力を伝達可能な旋回スクロールと、前記ハウジングに固定された固定スクロールを有する膨張機と、を備え、
前記ハウジングには、前記駆動軸に沿って、前記ポンプ部を収容するポンプ作動室と、前記旋回スクロールを前記固定スクロールに押圧する背圧室と、前記ポンプ作動室と前記背圧室との間に位置し、前記駆動軸が挿通する駆動軸挿通孔と、が形成されており、
前記駆動軸挿通孔には、
前記駆動軸の外周面と前記駆動軸挿通孔の内面とをシールする第1のシール部材と、
第1のシール部材と前記駆動軸の軸方向に間隔を空けて配置され、前記駆動軸の外周面と前記駆動軸挿通孔の内面とをシールする第2のシール部材が設けられており、
前記駆動軸挿通孔には、前記第1のシール部材、前記第2のシール部材、及び駆動軸によって区画される中間室が形成されており、
前記流体機械は、前記中間室とランキンサイクルの低圧流体領域とを連通する連通路をさらに備えている、流体機械。 - 前記連通路は、前記中間室と、ランキンサイクルの前記低圧流体領域の内、作動流体が液相である領域とを連通することを特徴とする請求項1に記載の流体機械。
- 前記低圧流体領域が、ランキンサイクルのコンデンサと前記ポンプ部の上流端との間の領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の流体機械。
- 前記低圧流体領域が、前記膨張機の下流端とランキンサイクルのコンデンサとの間の領域であることを特徴とする請求項1に記載の流体機械。
- 前記ハウジングには、
前記ポンプ部の吸入側の作動流体の圧力と吐出側の作動流体の圧力との中間の圧力である作動流体が存在するポンプ側中間圧領域と、
前記膨張機の吸入側の作動流体の圧力と吐出側の作動流体の圧力との中間の圧力である作動流体が存在する膨張機側中間圧領域と、がさらに形成されており、
前記第1のシール部材が前記ポンプ側中間圧領域と前記中間室とをシールし、前記第2のシール部材が前記膨張機側中間圧領域と前記中間室とをシールすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体機械。 - 前記ポンプ部と前記膨張機との間には作動流体を一時的に貯留する貯留室が形成されており、前記膨張機側中間圧領域と前記貯留室とはシールされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流体機械。
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CN114382632A (zh) * | 2020-10-05 | 2022-04-22 | 株式会社东芝 | 水力机械的主轴水封装置以及水力机械 |
-
2012
- 2012-11-09 JP JP2012247158A patent/JP2014095332A/ja active Pending
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CN114382632B (zh) * | 2020-10-05 | 2024-04-02 | 株式会社东芝 | 水力机械的主轴水封装置以及水力机械 |
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