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JP2014091637A - 結晶化ガラス - Google Patents

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亮 澤井
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Abstract

【課題】LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスに特徴のある諸物性を維持しつつ、砒素成分やアンチモン成分を含まない結晶化ガラスを提供する。
【解決手段】
結晶化ガラスは、SiO、Al、及びLiOの各成分(酸化物換算)を含有し、SnO成分(酸化物換算)を0.01〜3%含有することを特徴とする、LiO−Al−SiO系結晶化ガラスである。この結晶化ガラスは、主結晶層としてβ‐石英及び/又はβ‐石英固溶体を含有することが好ましく、主結晶層の平均結晶粒子径が5〜200nmの範囲であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスに関する。
β‐石英及び/又はβ‐石英固溶体を含むLiO−Al−SiO系の結晶化ガラスは、低い平均膨張係数を有し、高剛性、研磨後の表面の超平滑性など、この系の結晶化ガラス特有の有用な物性を備えている。こういった特性から極端紫外線を光源とする極端紫外線露光技術(EUVL)を利用した次世代半導体製造装置などのミラー基板材やフォトマスク基板材としての使用が検討されている。
一方、LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスにおいては、その製造過程における前駆体ガラスの溶解温度は、一般的に1450〜1600℃と高い。この結晶化ガラスは、製造過程の溶解時の均質化及び清澄化の目的で、清澄剤を添加することが行われており、前述の様な高い温度域で効果のある清澄剤として、砒素成分やアンチモン成分が最も頻繁に用いられている。しかし、砒素成分やアンチモン成分は人体及び環境に対して悪影響を及ぼす恐れがあり、かつ環境的に許容されないことから、これらの成分の使用を極力控える要求が高まりつつある。
特開2011−173748号公報 特開2011−201763号公報
LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスが開示されており、As成分、又はSb成分以外の清澄剤について示唆されている。
特許文献1では希土類酸化物とハロゲンを含有させることでLiO−Al−SiO系の溶融ガラス時の清澄効果を生み出している。しかし、使用されるCl、並びにClを含む化合物は有毒であり、人体や生産設備への負荷が大きく、また、希土類酸化物は安定的な供給とコストの面で不利である。
特許文献2ではSnOとさらなる清澄剤としてSb、Cl、Br、SO 2‐を含有させることでLiO−Al−SiO系の溶融ガラス時の清澄効果を生み出している。しかし、さらなる清澄剤にCl及びBr、並びにCl及びBrを含む化合物は有毒であり、人体や生産設備への負荷が大きく、また、Sbを使用しているため、不利である。
本発明の目的は、LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスに特徴のある諸物性を維持しつつ、砒素成分やアンチモン成分を含まない結晶化ガラスを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意試験研究を重ねた結果、SiO及びAl、LiOの各成分を含有する結晶化ガラスに清澄剤としてSnO成分を含有させること、好ましくはこれらの成分の含有量を特定の範囲とすることにより、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の好適な態様は以下の構成で表わすことができる。
(構成1)
SiO、Al、及びLiOの各成分(酸化物換算)を含有し、SnO成分(酸化物換算)を0.01〜3%含有することを特徴とする、LiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
(構成2)
主結晶層としてβ‐石英及び/又はβ‐石英固溶体を含有することを特徴とする、構成1に記載の結晶化ガラス。
(構成3)
主結晶層の平均結晶粒子径が5〜200nmの範囲であることを特徴とする、構成1または2に記載の結晶化ガラス。
(構成4)
0〜50℃の温度範囲における平均線膨張係数が0.0±1.0×10‐7/℃であることを特徴とする、構成1〜3のいずれかの結晶化ガラス。
(構成5)
酸化物換算の質量百分率でSiO:45〜65%、Al:20〜30%、LiO:0.01〜10%の範囲の各成分を含有することを特徴とする、構成1〜4のいずれかの結晶化ガラス。
(構成6)
酸化物換算の質量百分率でTiO:1〜10%、ZrO:1〜10%の範囲の各成分を含有することを特徴とする、構成1〜5のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成7)
酸化物換算の質量百分率でMgO:0〜5%、ZnO:0〜5%、CaO:0〜5%、BaO:0〜5%、P:5〜15%の範囲の各成分を含有することを特徴とする、構成1〜6のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成8)
酸化物換算の質量百分率で、P成分とSiO成分、Al成分比がP/SiO=0.02〜0.200、P/Al=0.059〜0.448であることを特徴とする、構成1〜7のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成9)
酸化物換算の質量百分率で、SiO成分、Al成分、P成分の含有量SiO+Al+P=65.0〜93.0%であることを特徴とする、構成1〜8のいずれかに記載の結晶化ガラス。
本発明にLiO−Al−SiO系の結晶化ガラスにおいて、砒素成分やアンチモン成分を含まない組成でも、砒素成分やアンチモン成分と同様の清澄効果を得る事ができ、この系の結晶化ガラスに特徴のある諸物性を維持する事ができる。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスにおいて、0〜50℃の温度範囲において平均線膨張係数が0.0±1.0×10‐7/℃以内である結晶化ガラスを得る事ができる。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、平均結晶粒子径が5〜200nmの微細な結晶粒子であり、PbO、NaO、KOの各成分のイオンの拡散が無いことを兼ね備えた結晶化ガラスを得る事ができる。
LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスの特徴のひとつとして、低膨張性が挙げられる。この低膨張性はLiO−Al−SiO系の結晶化ガラスの組成を特定のものとする事により得る事ができる。半導体製造におけるEUV光等を使用した次世代リソグラフィー技術に用いられる構成部材には熱的寸法安定性、強度、熱的耐久性、化学的安定性が求められ、特に熱的寸法安定性に必要とされる極低膨張特性が求められており、低膨張性を利用して、LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスの前記構成部材への使用が検討されている。
また、好ましい態様であれば、表面の研磨によって次世代リソグラフィーに適用可能な平滑な表面が得られることも、LiO−Al−SiO系の結晶化ガラスの特徴の一つである。
本発明の結晶化ガラスの好ましい態様について説明する。なお、各成分は特に明記しない限り酸化物換算で表わされた成分であり、各成分の含有量は酸化物換算の質量%で示す。
本発明書において「酸化物換算」とは、本発明の結晶化ガラス構成成分として使用される成分のうち、フッ化物成分、硫酸塩成分、および塩化物成分を除き、それら以外の複合塩等が原ガラス溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、結晶化ガラス中に含有される各成分を表記する方法である。含有量について表記する場合は、酸化物換算された酸化物の総重量を100質量%として、結晶化ガラス中に含有される各成分を表記する。
SiO成分、Al成分及びLiO成分を含有するLiO−Al−SiO系の結晶化ガラスにおいて、上述の特徴を維持しつつ、SnO成分を含有させることで、As成分やSb成分と同様の高い清澄効果を得る事ができる。
前記の特徴を維持しつつ、高い清澄効果を得るためには、SnO成分を含有させることが有用である。SnO成分の含有量の下限は、質量%で0.01%であることが好ましく、より好ましくは0.1%であり、最も好ましくは0.5%である。また同様に、前記の特徴を維持しつつ、高い清澄効果を得るためには、SnO成分の含有量の上限は、質量%で共に3.0%であることが好ましく、より好ましくは1.5%であり、最も好ましくは1.35%である。
本明細書において、「結晶化ガラス」とは、ガラスを熱処理することによりガラス相中に結晶を析出させて得られる材料であり、非晶質固体と結晶からなる材料をいう。
本明細書において「ΔL/Lの最大値−最小値」とは、0℃の時の結晶化ガラスの長さL、当該ガラスセラミックスの任意の温度における長さの変化量をΔLとし、その任意の温度範囲における、ΔL/Lの値の最大値と最小値の差を示すものである。
本明細書において、極低膨張特性とは、0〜50℃の温度範囲において、平均線膨張係数(α)が0.0±1.0(10‐7/℃)以内ならびにΔL/Lの最大値−最小値が10×10‐7以内の範囲、好ましくは平均線膨張係数が0.0±0.2(10‐7/℃)以内ならびにΔL/Lの最大値−最小値が10×10‐7以内の範囲、より好ましくは平均線膨張係数が0.0±0.1(10‐7/℃)以内ならびにΔL/Lの最大値−最小値が8×10‐7以内の範囲の値であることをいう。
本明細書において、主結晶相とは、析出比が比較的大きい結晶相全てを指す。すなわち、X線回折におけるX線チャート(縦軸はX線回折強度、横軸は回折角度)において、もっとも析出割合の多い結晶相のメインピーク(最も高いピーク)のX線回折強度を100とした場合、各析出相のメインピーク(各結晶相における最も高いピーク)のX線回折強度の比(以下、X線強度比という)が、30以上あるもの全てを主結晶相という。なお、主結晶相以外の結晶のX線強度比は20未満が好ましく、更に好ましくは10未満、最も好ましくは5未満である。
平均線膨張係数についてであるが、各種半導体製造装置や超精密部材分野では、高精度化に対応し得る材料の熱膨張特性が要求される。この様な要求を満足するためには0〜50℃の温度範囲における平均線膨張係数をα=0.0±0.5(10‐7/℃)以下とする事が好ましい。より好ましくは、α=0.0±0.4(10‐7/℃)以下である。本発明の結晶化ガラスの好適な態様においては、平均線膨張係数及びΔL/Lの最大値−最小値が上記範囲内の値となる。当該物性に関係する結晶化ガラスの成分の組成を後述する範囲に調整することにより、α=0.0±0.5(10‐7/℃)以下の物性が容易に得られやすくなり、更に調整することによりα=0.0±0.1(10‐7/℃)以下の物性でも得られやすくなる。
尚、本明細書において平均線膨張係数は、特に注記しない限り(/℃)の単位で表示する。
また同様に、要求される高精度化に対応し得る材料の熱膨張特性を満足するためには0〜50℃の温度範囲におけるΔL/Lの最大値−最小値が10×10‐7以内の範囲とする事が好ましい。本発明の結晶化ガラスの好適な態様においては、ΔL/Lの最大値−最小値が上記範囲内の値となる。より好ましくは、ΔL/Lの最大値−最小値が9×10‐7以内である。本発明の結晶化ガラスは結晶化熱処理条件を調整することによりΔL/Lの最大値−最小値が10×10‐7以内の物性が得られやすくなる。さらに結晶化熱処理条件を厳密に調整することにより、ΔL/Lの最大値−最小値が9×10‐7以内の物性が得られやすくなり、さらに8×10‐7以内の物性を得ることもできる。
次に研磨後の表面粗度ならびに析出結晶径について述べる。各種半導体製造装置や超精密部材分野では、高精度化に対応し得る基板表面の平滑性が重要である。この平滑性を保つために、平均結晶粒子径と表面粗度の関係に注目するべきである。本発明の結晶化ガラスの各種半導体製造装置や超精密部材分野への適用を考慮した場合には研磨後の表面粗度Raは3Å以下が好ましく、2Å以下がより好ましい。この平滑性を容易に得るためには材料の析出結晶の平均結晶粒子径は200nm以下が好ましく、より好ましくは90nm以下、最も好ましくは80nm以下である。一方で、結晶化ガラスの機械的強度を所望のものとするために平均結晶粒子径は5nm以上が好ましく、より好ましくは50nm以上、最も好ましくは60nm以上である。析出結晶径に関係する結晶化ガラスの成分の組成を後述する範囲に調整し、結晶化条件を調整することにより、前述の研磨後の表面粗度Raの値、及び平均結晶粒子径の値が得られやすくなる。
本発明の結晶化ガラスにおいて、低膨張特性は、負の平均線膨張係数を有する主結晶相を析出させ、ガラス相が有する正の膨張係数と結晶相が有する負の膨張係数を相殺させることによって得る事ができる。極低膨張特性を得るためには、結晶化ガラスの主結晶相には、β‐石英(β‐SiO)、及び/又はβ‐石英固溶体(β‐SiO固溶体)を含有する事が好ましい。析出する結晶相に関係する結晶化ガラスの成分の組成を後述する範囲に調整し、結晶化条件を調整することにより、極低膨張特性が得られやすくなる。なお、本明細書において、β‐石英固溶体とはβ‐石英にSiおよびO以外の元素が侵入したもの(interstitial)及び/又は置換したもの(substitutional)を指す。特に、Si4+がAl3+と置換されLi、Mg2+、Zn2+原子が添加され平衡を保つ結晶体である事が好ましい。(尚、その代表としてβ‐ユークリプタイトが挙げられる。)
SiO成分は、原ガラスの熱処理により、主結晶相としてβ‐石英及び/又はβ‐石英固溶体を析出させる場合に関係する成分であるが、その量が45%以上であると、得られた結晶化ガラスの析出結晶が安定し組織が粗大化しにくく、結果的に機械的強度が向上し、研磨して得られる表面粗度も小さくなる。また、65%以下であると原ガラスの溶融・成形性が容易であり、均質性が向上する。前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は51%がより好ましく、53%が最も好ましい。また、成分量の上限は60%がより好ましく、58%が最も好ましい。
Al成分は、その量が20%以上であると原ガラスの溶融が容易となり、そのため、得られる結晶化ガラスの均質性が向上し、更に結晶化ガラスの化学的耐久性も良好なものとなる。また、30%以下であると原ガラスの耐失透性が向上し、耐失透性の低下が原因となって結晶化段階で結晶化ガラスの組織が粗大化することがなくなり、機械的強度が向上する。
前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は20%がより好ましく、22%が最も好ましい。また、同様に前記効果をより容易に得るには、成分量の上限は27%がより好ましく、26%が最も好ましい。
成分は、原ガラスの溶融・清澄性を向上させる効果と、熱処理結晶化後の熱膨張を所望の値に安定化させる効果を有し、SiO成分と共存させることによりその効果はより大きくなる。本発明の結晶化ガラスにおいてはP成分の量が1%以上であると前記の効果が飛躍的に向上し、また13%以下であると、原ガラスの耐失透性が良く、耐失透性の低下が原因となって結晶化段階でガラスセラミックスの組織が粗大化することがなくなり、機械的強度が向上する。前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は4%がより好ましく、6%が最も好ましい。また、同様に前記効果をより容易に得るには、成分量の上限は10%がより好ましく、9%が最も好ましい。
更にSiO+Al+P=65〜93%、P成分とSiO成分質量%の比がP/SiO=0.02〜0.200、P成分とAl成分質量%の比がP/Al=0.059〜0.448、これらのいずれか、又は2つ以上の条件を満たすと、0〜50℃の温度範囲において、低膨張特性を著しく向上させ易く、極低膨張特性を容易に得ることができる。より容易に前記効果を得るには、SiO+Al+Pの含有量の下限は75%がより好ましく、80%が最も好ましい。また同様に、より容易に前記効果を得るには、SiO+Al+Pの含有量の上限は91%がより好ましく、89%が最も好ましい。
より容易に前記効果を得るには、P/SiOの下限は0.08がより好ましく、0.12が最も好ましい。また同様に、より容易に前記効果を得るには、P/SiOの上限は0.16がより好ましく、0.14が最も好ましい。
より容易に前記効果を得るには、P/Alの下限は0.150がより好ましく、0.250が最も好ましい。また同様に、より容易に前記効果を得るには、P/Alの上限は0.400がより好ましく、0.350が最も好ましい。
LiO、MgO、ZnOの3成分は、β‐石英固溶体の構成要素となり易い成分であるが、これらの3成分は、前記組成範囲のSiO成分およびP成分との共存により、結晶化ガラスの低膨張特性向上や高温時のたわみ量を低減させ易く、更に原ガラスの溶融性、清澄性を著しく向上させるのを容易にする成分である。これらの3成分は前記効果を容易に得たい場合に各々の成分について任意で含有できる。
LiO成分は、その量が1%以上であると前記効果が飛躍的に向上し、また、原ガラスの溶融性が向上することにより均質性が向上し、さらにβ‐石英又はβ‐石英固溶体の析出が飛躍的に向上するためより好ましい。また8%以下であると低膨張特性が飛躍的に向上し、極低膨張特性を容易に得ることができ、原ガラスの耐失透性がより向上し、耐失透性の低下に起因する結晶化段階後の結晶化ガラス中の析出結晶の粗大化を抑制し、機械的強度が向上する。前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は3%が最も好ましい。また、上記の効果をより得やすくするために成分量の上限は6%がより好ましく、5%が最も好ましい。
MgO成分は前記効果を得るために任意で含有させることができる成分である。添加する場合、その量が0.1%以上であると前記効果が飛躍的に向上し、また5%以下であると低膨張特性が飛躍的に向上し、極低膨張特性を得ることができる。前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は0.4%がより好ましく、0.5%が最も好ましい。また同様に、前記効果をより容易に得るには、成分量の上限は3%がより好ましく、2%が最も好ましい。
ZnO成分は前記効果を得るために任意で含有させることができる成分である。添加する場合、その量が0.1%以上であると前記効果が飛躍的に向上し、また5.5%以下であると低膨張特性が飛躍的に向上し、極低膨張特性を容易に得ることができる。その他、原ガラスの耐失透性がより向上し、耐失透性の低下に起因する結晶化段階後のガラスセラミックス中の析出結晶の粗大化を抑制し、機械的強度が向上する。前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は0.2%がより好ましく、0.3%が最も好ましい、また同様に、前記効果をより容易に得るには、成分量の上限は4%がより好ましく、3%が最も好ましい。
CaO、BaOの2成分は、基本的にガラス中に析出した結晶以外のガラスマトリックス中に残存し、極低膨張特性および溶融性改善の効果に影響を与えるものであり、結晶相とガラスマトリックス相の相対量の微調整成分として任意に含有させることができる。
CaO成分は前記効果を得るために任意で含有させることができる成分である。その量が0.3%以上で溶融清澄効果が顕著に得られ、7%以下であると低膨張特性が飛躍的に向上し、極低膨張特性を容易に得ることができる。その他、原ガラスの耐失透性がより向上し、耐失透性の低下に起因する結晶化段階後の結晶化ガラス中の析出結晶の粗大化を抑制し、機械的強度が向上する。前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は0.5%が最も好ましい。また同様に、前記効果をより容易に得るには、成分量の上限は5%がより好ましく、3%が最も好ましい。
BaO成分は前記効果を得るために任意で含有させることができる成分である。その量が0.3%以上、4%以下であると低膨張特性が飛躍的に向上し、極低膨張特性を容易に得ることができる。その他、原ガラスの耐失透性がより向上し、耐失透性の低下に起因する結晶化段階後の結晶化ガラス中の析出結晶の粗大化を抑制し、機械的強度が向上する。
前記効果をより容易に得るには、成分量の下限は0.5%が最も好ましい。また同様に、前記効果をより容易に得るには、成分量の上限は5%がより好ましく、3%が最も好ましい。
TiO成分およびZrO成分は、いずれも結晶核形成剤として有用な成分である。これらの成分の量がそれぞれ1%以上であると目的とする結晶相の析出が可能となる。またそれぞれ10%以下であると不熔物の発生が無くなって原ガラスの溶融性が良好となり均質性が向上する。前記効果をより容易に得るには、TiOの成分量の下限は1.3%がより好ましく、1.5%が最も好ましい。ZrOの成分量の下限は1.2%がより好ましく、1.5%が最も好ましい。また同様に、前記効果をより容易に得るには、TiOの成分量の上限は、7%がより好ましく、5%がさらに好ましく、3%が最も好ましい。ZrOの成分量の上限は7%がより好ましく、5%がさらに好ましく、3%が最も好ましい。
As成分やSb成分は、環境上有害となりうる成分であり、その使用は極力少なくするべきである。本発明の結晶化ガラスはAs成分やSb成分を含有しなくても清澄効果を得る事ができるため、環境への影響を軽減するためにAs成分やSb成分は含まないことが好ましい。
尚、上記成分の他に特性の微調整等を目的として、本発明の結晶化ガラスの特性を損なわない範囲で、SrO、B、F、La、Bi、WO、Y、Gd成分を1種または2種以上の合計量で2%以下、他にもCoO、NiO、MnO、Fe、Cr等の着色成分を1種または2種以上の合計量で2%以下まで、それぞれ添加し得る。しかし、本発明の結晶化ガラスを高い光線透過率が求められる用途に用いる場合には、前記着色成分は含まない事が好ましい。
フッ化物成分、硫酸塩成分は清澄効果が期待でき、任意で含有できる。また、フッ化物成分は、例えばMgFやCaFとして、硫酸塩成分は、例えばBaSO等として添加することができる。これらの成分による清澄効果を得る場合には、これらの成分以外の酸化物換算の組成100重量部に対し、Fに換算したフッ化物成分、SOに換算した硫酸塩成分に換算した塩化物成分の合計の添加量の下限が0.05重量部であることがより好ましく、0.15重量部であることが最も好ましい。同様にこれらの成分の合計の含有量の上限としては5重量部で十分であり、2重量部がより好ましく、1.5重量部が最も好ましい。
これらの成分による清澄効果を得る場合のこれらの成分の各々の添加量の下限は0.05重量部がより好ましく、最も好ましくは0.15重量部である。また同様に、その効果を得る場合には前記成分の各々の添加量の上限は3重量部であることが好ましく、より好ましくは2重量部、最も好ましくは1.5重量部である。
また、CeO成分、MnO成分、WO成分、Ta成分、Nb成分についても清澄効果が期待でき、フッ化物成分、硫酸塩成分と代替で、又はこれらの成分と共に任意で含有できる。
清澄効果を得る場合には、CeO成分、MnO成分、WO成分、Ta成分、Nb成分の合計の含有量の下限が0.05%であることがより好ましく、0.2%であることが最も好ましい。同様にこれらの成分の合計の含有量の上限としては5%で十分であり、3%がより好ましく、1.5%が最も好ましい。清澄効果を得る場合のこれらの成分の各々の含有量の下限は0.05%がより好ましく、最も好ましくは0.2%である。また同様に、その効果を得る場合には前記成分の各々の含有量の上限は5%であることが好ましく、より好ましくは2%、最も好ましくは1.5%である。
本発明の結晶化ガラスにおいて極低膨張特性を得ようとする場合は、負の平均線膨張係数を有する主結晶相を析出させ、正の平均線膨張係数を有するガラスマトリックス相と相まって、全体として極低膨張特性を実現している。このためには正の平均線膨張係数を有する結晶相、すなわち、二珪酸リチウム、珪酸リチウム、α‐石英、α‐クリストバライト、α‐トリジマイト、Zn‐ペタライトをはじめとするペタライト、ウォラストナイト、フォルステライト、ディオプサイト、ネフェリン、クリノエンスタタイト、アノーサイト、セルシアン、ゲーレナイト、フェルスパー、ウィレマイト、ムライト、コランダム、ランキナイト、ラルナイトおよびこれらの固溶体等を含まないことが好ましく、これらに加えて、良好な機械的強度を維持するためには、Hf‐タングステン酸塩やZr‐タングステン酸塩をはじめとするタングステン酸塩、チタン酸マグネシウムやチタン酸バリウムやチタン酸マンガンをはじめとするチタン酸塩、ムライト、3ケイ酸2バリウム、Al・5SiOおよびこれらの固溶体等も含まないことが好ましい。
次に、本発明の結晶化ガラスは以下の方法により製造する。まずガラス原料を秤量、調合し、坩堝などに入れ、約1450〜1600℃で溶融し、原ガラスを得る。前述のように原ガラスを熔解した後、金型に鋳込む、および/または熱間成形等の操作により、所望の形状に成形し徐冷する。
次に、結晶化ガラスとするための熱処理を行う。まず、650〜750℃の温度、好ましくは下限が680℃及び/又は上限が720℃の温度で保持し、核形成を促す。核形成後、750〜850℃の温度で結晶化する。この温度が750℃より低いと主結晶相が十分に成長し難く、850℃より高いと原ガラスが軟化変形もしくは再熔解し易くなるため望ましくない。
さらに前記マスク、光学系反射ミラー、ウエハーステージ、レチクルステージ、精密品用部材は、前記ガラスセラミックスを所望の形状に加工し、必要に応じてラッピング、研磨、膜付け等の加工をすることにより得られる。
次に本発明の好適な実施例について説明する。まず、酸化物、炭酸塩、硫化物、硝酸塩等の原料を混合し、これを通常の溶解装置を用いて約1450〜1600℃の温度で溶解し攪拌均質化した後、成形、冷却しガラス成形体を得た。その後これを650〜750℃で約1〜150時間熱処理して結晶核形成後、750〜850℃で約1〜300時間時間熱処理結晶化して、結晶化ガラスを得た。
表1〜表3に実施例1〜8、および比較例1、2のガラス組成、熔解後のアモルファスガラスの1cm当りの残存泡数を示す。この時、泡の数は1cmの範囲をアモルファスガラス内で任意の5ヶ所を顕微鏡にて測定し、平均を算出した。10mm厚のサンプルで分光透過率5%および80%を示す最も短い波長(80%透過率波長、5%透過率波長)、0〜50℃における平均線膨張係数(α)を示す。なお、各実施例および比較例の組成は質量%で表した。本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
平均線膨張係数はフィゾー干渉式精密膨張率測定装置を用いて測定した。測定試料の形状は直径6mm、長さ約80mmの円柱状である。測定方法として、この試料の両端に光学平面板を接触させ、He‐Neレーザーによる干渉縞が観察できるようにし、温度コントロール可能な炉に入れる。次に測定試料の温度を変化させ、干渉縞の変化を観察することによって、温度による測定試料長さの変化量を測定する。本発明においては、0℃から50℃の温度範囲において0.5℃/minで昇温あるいは降温させ、5秒毎に測定試料長さの変化量をプロットし、さらに5次の近似曲線を描いたうえで、0℃から50℃における平均線膨張係数および0℃から50℃の温度範囲内でのΔL/Lの最大値−最小値を算出した。なお、平均線膨張係数およびΔL/L−温度曲線の最大値−最小値はいずれも昇温時と降温時の平均値である。
表1〜3に示されるとおり、本発明の結晶化ガラスでは熱膨張特性も0℃〜50℃における平均線膨張係数が0±1.0(10‐7/℃)以下であった。また、実施例2〜7は、ガラス1cm中に含まれる残存泡数が3〜11個であり、比較例における砒素成分を使用した場合の結果に相当する清澄特性を示している。
Figure 2014091637
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本発明の結晶化ガラスは、極端紫外線露光技術(EUVL)を利用した次世代半導体製造装置などのミラー基板材やフォトマスク基板材として利用が期待されると共に、リソグラフィー用マスク、光学系反射ミラー、ウエハーステージ、レチクルステージ等の半導体製造装置部材、液晶露光装置用部材、大型反射鏡部材、あるいは標準尺・原器用部材、検査装置等の各種精密部材へ活用することができる。また、本発明のガラスセラミックスは透明性が高いため、光フィルター用の基板、リソグラフィー用の透過型マスク等高い光線透過率を求められる用途にも使用できる。その他、あらゆる部材への用途において本発明のガラスセラミックスの持つ機械的強度により、効果的に軽量化加工を施すこともできる。

Claims (9)

  1. SiO、Al、及びLiOの各成分(酸化物換算)を含有し、SnO成分(酸化物換算)を0.01〜3%含有することを特徴とする、LiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
  2. 主結晶層としてβ‐石英及び/又はβ‐石英固溶体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶化ガラス。
  3. 主結晶層の平均結晶粒子径が5〜200nmの範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の結晶化ガラス。
  4. 0〜50℃の温度範囲における平均線膨張係数が0.0±1.0×10‐7/℃であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの結晶化ガラス。
  5. 酸化物換算の質量百分率でSiO:45〜65%、Al:20〜30%、LiO:0.01〜10%の範囲の各成分を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの結晶化ガラス。
  6. 酸化物換算の質量百分率でTiO:1〜10%、ZrO:1〜10%の範囲の各成分を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  7. 酸化物換算の質量百分率でMgO:0〜5%、ZnO:0〜5%、CaO:0〜5%、BaO:0〜5%、P:5〜15%の範囲の各成分を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  8. 酸化物換算の質量百分率で、P成分とSiO成分、Al成分比がP/SiO=0.02〜0.200、P/Al=0.059〜0.448であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  9. 酸化物換算の質量百分率で、SiO成分、Al成分、P成分の含有量SiO+Al+P=65.0〜93.0%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の結晶化ガラス。
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