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JP2013217773A - X線装置、x線照射方法、構造物の製造方法 - Google Patents

X線装置、x線照射方法、構造物の製造方法 Download PDF

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JP2013217773A JP2012088648A JP2012088648A JP2013217773A JP 2013217773 A JP2013217773 A JP 2013217773A JP 2012088648 A JP2012088648 A JP 2012088648A JP 2012088648 A JP2012088648 A JP 2012088648A JP 2013217773 A JP2013217773 A JP 2013217773A
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貴史 青木
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Abstract

【課題】検出精度の低下を抑制できるX線装置、X線照射方法、構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】X線源と、X線を検出する検出器と、検出器に入射するX線を部分的に遮蔽可能な遮蔽部材と、を有し、検出器で検出された遮蔽部材の透過後のX線の検出量に基づいてX線源の位置情報を取得する、X線装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線装置、X線照射方法、構造物の製造方法に関するものである。
X線源から物体にX線を照射し、物体を透過したX線を検出するX線装置が知られている。
米国特許第6324255号明細書
X線装置において、X線を放射するX線源の温度が上昇すると、X線源の位置が変化し、検出精度が低下する可能性がある。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、検出精度の低下を抑制できるX線装置、X線照射方法、構造物の製造方法を提供することを目的とする。
第1の態様は、X線源と、X線源から放射されたエネルギー線を検出する検出器と、検出器に入射するエネルギー線を、エネルギー線の伝播方向に応じて部分的に遮蔽する遮蔽部材と、を有し、検出器で検出された遮蔽部材の開口通過後のエネルギー線の検出結果に基づいてX線源の位置情報を取得する、X線装置である。
第2の態様は、X線源からエネルギー線を射出し、射出されたエネルギー線の伝搬方向に応じて部分的に遮蔽する遮蔽部材を通過したエネルギー線を検出することと、遮蔽部材を通過したエネルギー線の検出結果に基づいてX線源の位置情報を取得することと、を含む、X線照射方法である。
第3の態様は、構造物の形状に関する設計情報を作製する設計工程と、前記設計情報に基づいて前記構造物を作製する成形工程と、作製された前記構造物を上記のX線照射方法を用いて測定し、前記構造物の形状情報を取得する工程と、前記形状情報と前記設計情報とを比較する検査工程と、を有する、構造物の製造方法である。
本発明によれば、検出精度の低下を抑制することができる。
第1実施形態に係るX線装置の一例を示す図。 実施形態に係るX線源の一例を示す断面図。 反射型のX線源の一例を示す部分断面図。 実施形態に係る遮蔽部材の一例を示す斜視図。 遮蔽部材の配置態様を示す説明図。 遮蔽部材の配置態様を示す説明図。 実施形態の検出装置の機能ブロック図。 X線装置による検出方法を示すフローチャート。 実施形態に係るキャリブレーションの一例を示す模式図。 実施形態に係る検出の一例を示す模式図。 X線源がZ軸方向に移動した場合の説明図。 X線源がZ軸方向に移動した場合の説明図。 X線源がY軸方向に移動した場合の説明図。 X線源がY軸方向に移動した場合の説明図。 第2実施形態に係るX線装置の要部を示す図。 第3実施形態に係るX線装置の概略構成図。 第3実施形態に係るX線源位置検出器を示す図。 第3実施形態に係るX線源位置検出器の配置態様を示す説明図。 第4実施形態に係るX線装置の一例を示す図。 構造物製造システムのブロック構成図。 構造物製造システムによる処理の流れを示したフローチャート。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をZ軸方向、水平面内においてZ軸方向と直交する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るX線装置100の一例を示す図である。
X線装置100は、測定物SにX線(エネルギー線)XLを照射して、その測定物Sを透過した透過X線を検出する。X線は、例えば波長1pm〜30nm程度の電磁波である。X線は、約50eVの超軟X線、約0.1〜2keVの軟X線、約2〜20keVのX線、及び約20〜100eKVの硬X線の少なくとも一つを含む。
本実施形態において、X線装置100は、測定物SにX線を照射して、その測定物Sを透過した透過X線を検出して、その測定物Sの内部の情報(例えば、内部構造)を非破壊で取得するX線CT検査装置を含む。本実施形態において、測定物Sは、例えば機械部品、電子部品等の産業用部品を含む。X線CT検査装置は、産業用部品にX線を照射して、その産業用部品を検査する産業用X線CT検査装置を含む。
図1において、X線装置100は、測定物SにX線を照射して透過X線を検出する測定装置1と、測定装置1を含むX線装置100の全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。測定装置1は、X線XLを射出するX線源2と、測定物Sを保持して移動可能なステージ装置3と、X線源2から射出され、ステージ装置3に保持された測定物Sを透過した透過X線を検出する検出器4と、検出器4に入射するX線の一部を遮蔽する遮蔽部材70と、を備えている。
本実施形態において、X線源2から検出器4に向かって射出されるX線XLの光軸がZ軸に沿った方向となるようにX線源2及び検出器4が設置される。検出器4の検出面は、X線XLの光軸に直交する面(XZ平面)に平行に設置される。
また、本実施形態において、X線装置100は、X線源2から射出されるX線XLが進行する内部空間SPを形成するチャンバ部材6を備えている。本実施形態において、X線源2、ステージ装置3、及び検出器4は、内部空間SPに配置される。
本実施形態において、チャンバ部材6は、支持面FR上に配置される。支持面FRは、工場等の床面を含む。チャンバ部材6は、複数の支持部材6Sに支持される。チャンバ部材6は、支持部材6Sを介して、支持面FR上に配置される。本実施形態においては、支持部材6Sにより、チャンバ部材6の下面と、支持面FRとが離されている。すなわち、チャンバ部材6の下面と支持面FRとの間に空間が形成されている。なお、チャンバ部材6の下面の少なくとも一部と支持面FRとが接触してもよい。
本実施形態において、チャンバ部材6は、鉛を含む。チャンバ部材6は、内部空間SPのX線XLが、チャンバ部材6の外部空間RPに漏出することを抑制する。
本実施形態において、X線装置100は、チャンバ部材6に取り付けられ、チャンバ部材6よりも熱伝導率が小さい部材6Dを有する。本実施形態において、部材6Dは、チャンバ部材6の外面に配置される。部材6Dは、内部空間SPの温度が外部空間RPの温度(温度変化)の影響を受けることを抑制する。すなわち、部材6Dは、外部空間RPの熱が内部空間SPに伝わることを抑制する断熱部材として機能する。部材6Dは、例えばプラスチックを含む。本実施形態において、部材6Dは、例えば発泡スチロールを含む。
X線源2は、測定物SにX線XLを照射する。X線源2は、X線XLを射出する射出部8を有する。X線源2は、点X線源を形成する。本実施形態において、射出部8は、点X線源(X線の発生点)を含む。X線源2は、測定物Sに円錐状のX線(所謂、コーンビーム)を照射する。本実施形態において、射出部8から射出されたX線XLの少なくとも一部は、内部空間SPにおいて、水平方向(+Z方向)に進行する。
なお、X線源2は、射出するX線XLの強度を調整可能でもよい。X線源2から射出されるX線XLの強度を調整する場合、測定物SのX線吸収特性等に基づいてもよい。また、X線源2から射出されるX線の拡がる形状は円錐状に限られず、例えば、扇状のX線(所謂、ファンビーム)でもよい。
ステージ装置3は、測定物Sを保持して移動可能なステージ9と、ステージ9を移動する駆動システム10とを備えている。
本実施形態において、ステージ9は、基準物体R及び測定物Sを保持する保持部11を有するテーブル12と、テーブル12を移動可能に支持する第1可動部材13と、第1可動部材13を移動可能に支持する第2可動部材14と、第2可動部材14を移動可能に支持する第3可動部材15とを有する。
テーブル12は、保持部11に測定物Sを保持した状態で回転可能である。テーブル12は、θY方向に移動(回転)可能である。第1可動部材13は、X軸方向に移動可能である。第1可動部材13がX軸方向に移動すると、第1可動部材13とともに、テーブル12がX軸方向に移動する。第2可動部材14は、Y軸方向に移動可能である。第2可動部材14がY軸方向に移動すると、第2可動部材14とともに、第1可動部材13及びテーブル12がY軸方向に移動する。第3可動部材15は、Z軸方向に移動可能である。第3可動部材15がZ軸方向に移動すると、第3可動部材15とともに、第2可動部材14、第1可動部材13、及びテーブル12がZ軸方向に移動する。
本実施形態において、駆動システム10は、第1可動部材13上においてテーブル12をY軸回りに回転させる回転駆動装置16と、第2可動部材14上において第1可動部材13をX軸方向に移動する第1駆動装置17と、第2可動部材14をY軸方向に移動する第2駆動装置18と、第3可動部材15をZ軸方向に移動する第3駆動装置19とを含む。
第2駆動装置18は、第2可動部材14が有するナットに配置されるねじ軸20Bと、ねじ軸20Bを回転させるアクチュエータ20とを備える。ねじ軸20Bは、ベアリング21A、21BによってY軸回りに回転可能に支持される。本実施形態において、ねじ軸20Bは、そのねじ軸20Bの軸線とY軸とが実質的に平行となるように、ベアリング21A、21Bに支持される。本実施形態において、第2可動部材14が有するナットとねじ軸20Bとの間にボールが配置される。すなわち、第2駆動装置18は、所謂、ボールねじ駆動機構を含む。
第3駆動装置19は、第3可動部材15が有するナットに配置されるねじ軸23Bと、ねじ軸23Bを回転させるアクチュエータ23とを備える。ねじ軸23Bは、ベアリング24A、24Bによって回転可能に支持される。本実施形態において、ねじ軸23Bは、そのねじ軸23Bの軸線とZ軸とが実質的に平行となるように、ベアリング24A、24Bに支持される。本実施形態において、第3可動部材15が有するナットとねじ軸23Bとの間にボールが配置される。すなわち、第3駆動装置19は、所謂、ボールねじ駆動機構を含む。
第3可動部材15は、第2可動部材14をY軸方向にガイドするガイド機構25を有する。ガイド機構25は、Y軸方向に延びるレール状のガイド部材25A、25Bを含む。アクチュエータ20、及びねじ軸20Bを支持するベアリング21A、21Bを含む第2駆動装置18の少なくとも一部は、第3可動部材15に支持される。アクチュエータ20がねじ軸20Bを回転させることによって、第2可動部材14は、ガイド機構25にガイドされながら、Y軸方向に移動する。
本実施形態において、X線装置100は、ベース部材26を有する。ベース部材26は、チャンバ部材6に支持される。本実施形態において、ベース部材26は、支持機構を介して、チャンバ部材6の内壁(内面)に支持される。ベース部材26の位置は、所定の位置で固定される。
ベース部材26は、第3可動部材15をZ軸方向にガイドするガイド機構27を有する。ガイド機構27は、Z軸方向に延びるレール状のガイド部材27A、27Bを含む。アクチュエータ23、及びねじ軸23Bを支持するベアリング24A、24Bを含む第3駆動装置19の少なくとも一部は、ベース部材26に支持される。アクチュエータ23がねじ軸23Bを回転することによって、第3可動部材15は、ガイド機構27にガイドされながら、Z軸方向に移動する。
なお、図示は省略するが、本実施形態において、第2可動部材14は、第1可動部材13をX軸方向にガイドするガイド機構を有する。第1駆動装置17は、第1可動部材13をX軸方向に移動可能なボールねじ機構を含む。回転駆動装置16は、テーブル12をθY方向に移動(回転)可能なモータを含む。
本実施形態において、テーブル12上には基準物体Rが設置されており、測定物Sは基準物体R上に設置されている。テーブル12上に保持された基準物体R及び測定物Sは、駆動システム10によって、X軸、Y軸、Z軸、及びθY方向の4つの方向に移動可能である。
なお、駆動システム10は、テーブル12に保持された測定物Sを、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動させてもよい。また、本実施形態においては、駆動システム10は、ボールねじ駆動機構を含むこととしたが、例えば、ボイスコイルモータを含んでもよい。例えば、駆動システム10は、リニアモータを含んでもよいし、平面モータを含んでもよい。
本実施形態において、ステージ9は、内部空間SPにおいて移動可能である。ステージ9は、図1に示すように射出部8の+Z側に配置される。ステージ9は、内部空間SPのうち、射出部8よりも+Z側の空間で移動可能である。ステージ9の少なくとも一部は、射出部8と対向可能である。ステージ9は、保持した測定物Sを、射出部8と対向する位置に配置可能である。ステージ9は、射出部8から射出されたX線XLが通過する経路上に、測定物Sを配置可能である。ステージ9は、射出部8から射出されたX線XLの照射範囲内に、配置可能である。
本実施形態において、X線装置100は、ステージ9の位置を計測する計測システム28を備えている。本実施形態において、計測システム28は、エンコーダシステムを含む。
計測システム28は、テーブル12の回転量(θY方向に関する位置)を計測するロータリーエンコーダ29と、X軸方向に関する第1可動部材13の位置を計測するリニアエンコーダ30と、Y軸方向に関する第2可動部材14の位置を計測するリニアエンコーダ31と、Z軸方向に関する第3可動部材15の位置を計測するリニアエンコーダ32とを有する。
本実施形態において、ロータリーエンコーダ29は、第1可動部材13に対するテーブル12の回転量を計測する。リニアエンコーダ30は、第2可動部材14に対する第1可動部材13の位置(X軸方向に関する位置)を計測する。リニアエンコーダ31は、第3可動部材15に対する第2可動部材14の位置(Y軸方向に関する位置)を計測する。リニアエンコーダ32は、ベース部材26に対する第3可動部材15の位置(Z軸方向に関する位置)を計測する。
ロータリーエンコーダ29は、例えば第1可動部材13に配置されたスケール部材29Aと、テーブル12に配置され、スケール部材29Aの目盛を検出するエンコーダヘッド29Bとを含む。スケール部材29Aは、第1可動部材13に固定されている。エンコーダヘッド29Bは、テーブル12に固定されている。エンコーダヘッド29Bは、スケール部材29A(第1可動部材13)に対するテーブル12の回転量を計測可能である。
リニアエンコーダ30は、例えば第2可動部材14に配置されたスケール部材30Aと、第1可動部材13に配置され、スケール部材30Aの目盛を検出するエンコーダヘッド30Bとを含む。スケール部材30Aは、第2可動部材14に固定されている。エンコーダヘッド30Bは、第1可動部材13に固定されている。エンコーダヘッド30Bは、スケール部材30A(第2可動部材14)に対する第1可動部材13の位置を計測可能である。
リニアエンコーダ31は、第3可動部材15に配置されたスケール部材31Aと、第2可動部材14に配置され、スケール部材31Aの目盛を検出するエンコーダヘッド31Bとを含む。スケール部材31Aは、第3可動部材15に固定されている。エンコーダヘッド31Bは、第2可動部材14に固定されている。エンコーダヘッド31Bは、スケール部材31A(第3可動部材15)に対する第2可動部材14の位置を計測可能である。
リニアエンコーダ32は、ベース部材26に配置されたスケール部材32Aと、第3可動部材15に配置され、スケール部材32Aの目盛を検出するエンコーダヘッド32Bとを含む。スケール部材32Aは、ベース部材26に固定されている。エンコーダヘッド32Bは、第3可動部材15に固定されている。エンコーダヘッド32Bは、スケール部材32A(ベース部材26)に対する第3可動部材15の位置を計測可能である。
検出器4は、内部空間SPにおいて、X線源2及びステージ9よりも図1で示す+Z側に配置される。検出器4の位置は、所定の位置で固定される。なお、検出器4が移動可能でもよい。ステージ9は、内部空間SPのうち、X線源2と検出器4との間の空間を移動可能である。
検出器4は、複数の別々の検出領域を持つ。
検出器4の各々の検出領域には、測定物Sを透過した透過X線を含むX線源2からのX線XLが入射する入射面33を有するシンチレータ部34と、シンチレータ部34において発生した光を受光する受光部35とを有する。検出器4の入射面33は、ステージ9に保持された測定物Sと対向可能である。
シンチレータ部34は、X線が当たることによって、そのX線とは異なる波長の光を発生させるシンチレーション物質を含む。受光部35は、光電子倍増管を含む。光電子倍増管は、光電効果により光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を含む。受光部35は、シンチレータ部34において発生した光を増幅し、電気信号に変換して出力する。
検出器4は、シンチレータ部34を複数有する。シンチレータ部34は、XY平面内において複数配置される。シンチレータ部34は、アレイ状(方眼状)に配置される。検出器4は、複数のシンチレータ部34のそれぞれに接続するように、受光部(X線検出領域)35を複数有する。なお、検出器4は、入射するX線を、光に変換することなく直接電気信号に変換してもよい。
図2は、本実施形態に係るX線源2の一例を示す断面図である。図2において、X線源2は、電子を発生するフィラメント39と、電子の衝突又は電子の透過により少なくともX線を発生するターゲット40と、電子をターゲット40に導く導電子部材41とを備えている。また、X線源2はX線の他にも紫外域の光線など、他の波長域のエネルギー線を放射するものでも良い。また、本実施形態において、X線源2は、導電子部材41の少なくとも一部を収容するハウジング42を備えている。本実施形態において、フィラメント39、導電子部材41、及びターゲット40のそれぞれが、ハウジング42に収容されている。
フィラメント39は、例えばタングステンを含む。フィラメント39に電流が流れ、その電流によってフィラメント39が加熱されると、フィラメント39から電子(熱電子)が放出される。フィラメント39は、先端が尖った形状を有し、その尖った先端部分から電子が放出される。フィラメント39の形状は、コイル状に巻かれている。
ターゲット40は、例えばタングステンを含み、電子の衝突又は電子の透過によりX線を発生する。本実施形態において、X線源2は、所謂、透過型である。本実施形態において、ターゲット40は、電子の透過により、X線を発生する。
例えば、ターゲット40を陽極とし、フィラメント39を陰極として、ターゲット40とフィラメント39との間に電圧が加えられると、フィラメント39から飛び出した熱電子が、ターゲット(陽極)40に向かって加速し、ターゲット40に照射される。これにより、ターゲット40からX線が発生する。
導電子部材41は、フィラメント39とターゲット40との間において、フィラメント39からの電子の通路の周囲の少なくとも一部に配置される。導電子部材41は、例えば集束レンズ、及び対物レンズ等の電子レンズ、若しくは偏光器を含み、フィラメント39からの電子をターゲット40に導く。導電子部材41は、ターゲット40の一部の領域(X線焦点)に電子を衝突させる。ターゲット40において電子が衝突する領域の寸法(スポットサイズ)は、十分に小さい。これにより、実質的に点X線源が形成される。
また本実施形態において、反射型のX線源を用いてもよい。図3は反射型のX線源の一例を示す部分断面図である。
図3に示すX線源2Rは、その先端部分の構成において図2に示したX線源2と異なり、フィラメント39や導電子部材41、ハウジング42の構成は共通である。X線源2Rにおいて、ターゲット40はハウジング42の先端にY軸に対して傾いた姿勢で配置される。本実施形態において、ハウジング42は水平面(XZ平面)に対して45°傾いた姿勢で内部空間SPに配置される。
X線源2Rにおいて、フィラメント39から射出された電子がターゲット40に照射されると、ターゲット40は電子の衝突によりX線XLを発生する。発生したX線XLは、+Z側に射出される。本実施形態において、X線源2Rから射出されるX線XLの光軸はZ軸方向に平行である。
図4は、本実施形態に係る遮蔽部材70の一例を示す斜視図である。図5及び図6は、遮蔽部材の配置態様を示す説明図である。
遮蔽部材70は、図4に示すように、Y軸方向(鉛直方向)に延びる複数の板状部材(第1部材)71と、X軸方向(水平方向)に延びる複数の板状部材(第2部材)72とを井桁状に組み合わせたグリッド状の部材である。遮蔽部材70の各板状部材は、それぞれ異なる傾斜を有する。遮蔽部材70の板状部材71及び板状部材72で囲まれた開口が最も大きく見える方向からみて、遮蔽部材70の中心となる位置から周囲に向かって離れるにしたがって、板状部材71及び72が傾くように設置している。例えば、図4に図示した板状部材71のうち、板状部材71aと72aは、板状部材71aの方が板状部材71bよりも図4に示すXY平面に対して垂直方向に近く設置している。また、板状部材72aと72bを比較すると、板状部材72aの方が板状部材72bよりもXY平面に対して垂直方向に近い角度で設置している。また、板状部材71cは板状部材71aよりも板状部材71bと同じ量傾いて設置されている。しかし、板状部材71cの傾く方向は板状部材71bの傾く方向と比べて逆方向に傾いている。同様に、板状部材72cは板状部材72aと比べると、板状部材72bと同じ量傾いて設置されている。板状部材72cの傾く方向は板状部材72bの傾く方向と比べて逆方向に傾いている。なお、これらの各板状部材の設置角度は、検出器の各部に到達するX線の伝播方向と平行になるように、傾斜させて設置されている。このようにすることで、遮蔽部材70は、X線源2が基準位置に配置されている状態でX線XLの遮蔽率が最も低くなるように、板状部材71、72の設置角度(板面とZ軸との角度)が設定されている。
図5及び図6に示すように、遮蔽部材70は、テーブル12と検出器4との間に配置されている。遮蔽部材70は検出器の少なくとも一つの受光領域に対して、異なる開口を形成する。遮蔽部材70で形成される開口は、X線の伝播方向によってテーブル12上の測定物Sを透過したX線XL、あるいは測定物Sの近傍を通過したX線XLの少なくとも一部を遮蔽する。検出器4には、X線XLによる遮蔽部材70の像が投影される。
本実施形態において、Y軸方向に延びる複数の板状部材71(縦板)は、図5に示すように、X線源2から射出され絞り板62により照射範囲を規定されたX線XLのX軸方向の広がり角度に合わせて、X線XLの光軸を中心に扇状に広がるように配置されている。また、X軸方向に延びる複数の板状部材72(横板)も、図6に示すように、X線XLのY軸方向の広がり角度に合わせて、X線XLの光軸を中心に扇状に広がるように配置されている。
本実施形態において、検出器4の検出面(X線XLが照射される平面)の前方には、X軸方向に配列された9枚の板状部材71と、Y軸方向に配列された9枚の板状部材72とが配置されている。検出器4の受光部35は、X軸方向、Y軸方向にそれぞれ数百個から数千個が配列されているので、隣り合う2枚の板状部材71と、隣り合う2枚の板状部材72とにより形成される領域には、検出器4における複数の受光部35が配置される。
また図1に示すように、遮蔽部材70には、遮蔽部材70を所定の方向に移動させる移動機構75と接続されている。移動機構75は、例えばステージ9と同様に、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθY方向に移動させる機構とすることができる。移動機構75は、制御装置5と接続され、制御装置5による制御のもと、遮蔽部材70を所望の位置に移動させる。また移動機構75は、遮蔽部材70をX線XLの照射領域に対して挿脱させる機能を備えていてもよい。
上記構成を備えた本実施形態のX線装置100のX線源2(あるいはX線源2R)において、ターゲット40に電子が照射されると、その電子のエネルギーのうち、一部のエネルギーが、X線となり、一部のエネルギーが、熱となる。ターゲット40に対する電子の照射により、ターゲット40、ターゲット40の周囲の空間、及びターゲット40の近傍に配置されている部材の温度が上昇する。
ターゲット40の温度が上昇すると、例えばターゲット40が熱変形したり、ハウジング42が熱変形したり、フィラメント39とターゲット40との相対位置が変動したりする可能性がある。X線源2に熱変形が生じると、X線源2とステージ9との相対位置が変動したり、X線源2と検出器4との相対位置が変動したりする可能性がある。その結果、X線装置100の検出精度(検査精度、測定精度)が低下する可能性がある。
本実施形態のX線装置100では、ステージ9と検出器4との間に、遮蔽部材70を配置し、測定物Sとともに遮蔽部材70の透過X線の画像を取得する。そして、遮蔽部材70の透過X線像に基づいて、X線源2と、ステージ9及び検出器4との相対位置の変動を検出する。このX線源2の位置変動に関する情報に基づいて測定装置1の動作を制御することにより、X線源2の位置変動による検出精度の低下を抑制する。
次に、本実施形態に係る検出装置の動作の一例について説明する。
図7は、本実施形態の検出装置の機能ブロック図である。図8は、X線装置100による検出方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態のX線装置100に備えられた制御装置5は、測定制御装置51と、作業メモリ52と、画像解析装置53と、記憶装置54と、画像補正装置55と、再構成画像演算装置56と、を備えている。上記各装置はシステムバス59を介して相互に接続されている。
測定制御装置51は、測定装置1に接続されている。測定制御装置51は、測定装置1を構成するX線源2、ステージ装置3、及び検出器4を制御し、測定物Sを透過した透過X線の像(X線画像データ)を取得する。
作業メモリ52は、制御装置5が測定装置1を制御する際の作業領域として利用される。作業メモリ52には、測定制御装置51によって取得されたX線透過画像のほか、画像解析装置53により作成される解析データや、画像補正装置55により作成される補正画像、再構成画像演算装置56により作成される再構成画像が一時的に記憶される。作業メモリ52には、例えばRAM(Random Access Memory)等の読み書き可能な記憶媒体が備えられる。
画像解析装置53は、測定制御装置51によって取得されたX線透過画像を解析し、解析データを作成する。解析データは、例えば、測定物S及び遮蔽部材70の位置、寸法に関する情報である。
記憶装置54には、例えばROM(Read Only Memory)が備えられており、測定装置1を制御するための、予め定められた測定制御条件、画像解析条件、画像補正条件、及び再構成画像演算条件、などが記憶されている。なお、記憶装置54には、測定により得られるX線透過画像や、画像補正処理により得られる補正画像、画像解析装置53で作成される解析データ等が記録されてもよい。この場合、記憶装置54には、フラッシュメモリ等の読み書き可能な記憶媒体が備えられる。
画像補正装置55は、画像解析装置53で作成された解析データに基づいて、X線透過画像を補正し、補正画像を作成する。
再構成画像演算装置56は、画像補正装置55により作成された補正画像を必要に応じて使用しつつ、測定制御装置51により取得されたX線透過画像を重ねて再構成し、測定物Sの内部構造の三次元データを算出する。
以下、具体的な動作について説明する。
本実施形態においては、図8のフローチャートに示すように、X線装置100のキャリブレーション(ステップSA1)と、測定物Sに対するX線XLの照射、並びに測定物Sを通過した透過X線の検出(ステップSA2)と、測定物Sの内部構造の算出(ステップSA3)とが実行される。
キャリブレーション(ステップSA1)について説明する。
図9は、本実施形態に係るキャリブレーションの一例を示す模式図である。
図9に示すように、キャリブレーションにおいて、テーブル12には測定物Sとは異なる基準物体Rのみが保持される。本実施形態において、基準物体Rは、球体である。基準物体Rの外形(寸法)は、既知である。基準物体Rは熱変形が抑制された物体である。基準物体Rは少なくとも測定物Sよりも熱変形が抑制された物体である。内部空間SPにおいて温度が変化しても、基準物体Rの外形(寸法)は、実質的に変化しない。なお、基準物体Rの形状は球体に限られない。
測定制御装置51は、計測システム28でステージ9の位置を計測しつつ、駆動システム10を制御して、基準物体Rを保持したステージ9の位置を調整する。測定制御装置51は、所定の基準位置に基準物体Rが配置されるように、ステージ9の位置を調整する。測定制御装置51は、例えば、球体である基準物体Rの中心が、X線照射領域のXY平面(鉛直断面)内の中心位置と一致するようにステージ9の位置を調整する。
測定制御装置51は、X線源2からX線を射出するために、フィラメント39に電流を流す。これにより、フィラメント39が加熱され、フィラメント39から電子が放出される。フィラメント39から放出された電子は、ターゲット40に照射される。電子を照射されたターゲット40からX線が発生する。
X線源2から発生したX線XLは、基準物体Rに照射される。基準物体Rに照射されたX線XLは、基準物体Rを透過する。基準物体Rを透過した透過X線は遮蔽部材70に照射される。遮蔽部材70に照射されたX線の少なくとも一部は遮蔽部材70を透過する。基準物体R及び遮蔽部材70を透過した透過X線は検出器4の入射面33に入射する。
検出器4は、基準物体R及び遮蔽部材70を透過した透過X線を検出する。検出器4は、基準物体R及び遮蔽部材70を透過した透過X線に基づいて得られた基準物体R及び遮蔽部材70を含むX線透過画像を検出する。検出器4の検出結果であるX線透過画像は、測定制御装置51に出力される。測定制御装置51は、入力される基準物体RのX線透過画像を作業メモリ52に保存する。
画像解析装置53は、作業メモリ52に保存された基準物体R及び遮蔽部材70の投影像を含むX線透過画像を解析する。画像解析装置53は、X線透過画像に含まれる基準物体Rの投影像の位置及び寸法を取得し、これらの位置及び寸法を基準物体Rの解析データとして作業メモリ52に保存する。本実施形態の場合、基準物体Rの解析データは、キャリブレーション時における実測値と測定値との相関をとるために用いられる。
また、画像解析装置53は、X線透過画像に含まれる遮蔽部材70の投影像の位置及び寸法(幅)を取得し、これらの位置及び寸法を遮蔽部材70の解析データとして作業メモリ52に保存する。
本実施形態の場合、測定装置1に遮蔽部材70を移動させる移動機構75が備えられている。この移動機構75によりX線源2と遮蔽部材70との位置合わせを実行してもよい。この場合に、測定制御装置51は、遮蔽部材70の解析データに基づいて移動機構75を作動させ、遮蔽部材70の位置を調整する。例えば、測定制御装置51は、遮蔽部材70を、その投影像における板状部材71、72の幅が最も小さくなる位置に移動させる。
上記のX線源2と遮蔽部材70との位置合わせに際して、遮蔽部材70の投影像の解析データを用いた演算処理により遮蔽部材70を移動させるべき位置を算出してもよく、遮蔽部材70の移動動作と、遮蔽部材70の投影像の取得及び解析動作とを繰り返すことにより位置合わせを行ってもよい。
なお、本実施形態では、基準物体R(球体)は一つであるが、球体を複数用いてもよい。球体を複数用いる場合、例えば、Y軸方向及びZ軸方向の一方又は両方において互いの球体の位置を異ならせてもよい。また、球体を複数用いる場合、基準物体Rの像ではなく、基準物体R同士の距離に基づいて、X線源2と検出器4との相対位置を算出してもよい。また、基準物体R同士の距離の算出は、基準物体Rの中心位置同士の距離でも、基準物体Rの外形における所定位置同士の距離でもよい。
キャリブレーションが終了した後、測定物Sの検出が行われる(ステップSA2)。
図10は、本実施形態に係る検出の一例を示す模式図である。
図10に示すように、検出において、テーブル12上に測定物Sが設置される。測定制御装置51は、ステージ装置3を制御して、測定物SをX線源2と検出器4との間の測定位置に配置する。すなわち、測定制御装置51は、計測システム28でステージ9の位置を計測しつつ、駆動システム10を制御して、測定物Sを保持したステージ9の位置を調整する。
測定制御装置51は、X線源2からX線を射出するために、フィラメント39に電流を流す。これにより、フィラメント39が加熱され、フィラメント39から電子が放出される。フィラメント39から放出された電子は、ターゲット40に照射される。これにより、ターゲット40からX線が発生する。
X線源2から発生したX線XLの少なくとも一部は、測定物Sに照射される。測定物Sに照射されたX線XLの少なくとも一部は、測定物Sを透過する。測定物Sを透過した透過X線は遮蔽部材70に照射される。遮蔽部材70に照射されたX線の少なくとも一部は遮蔽部材70を透過する。遮蔽部材70を透過した透過X線は、検出器4の入射面33に入射する。
検出器4は、測定物S及び遮蔽部材70を透過した透過X線を検出する。検出器4は、測定物S及び遮蔽部材70を透過した透過X線に基づいて得られた測定物S及び遮蔽部材70の投影像を含むX線透過画像を検出する。検出器4の検出結果であるX線透過画像は、測定制御装置51に出力される。測定制御装置51は、取得した測定物S及び遮蔽部材70を含むX線透過画像を作業メモリ52に保存する。
本実施形態において、測定制御装置51は、測定物SにおけるX線源2からのX線XLの照射領域を変えるために、測定物Sの位置を変えながら、測定物SにX線源2からのX線XLを照射する。測定制御装置51は、測定物Sの位置を変更する毎に、測定物SにX線源2からのX線XLを照射し、その測定物Sを透過し、さらに遮蔽部材70を透過した透過X線を、検出器4で検出する。
本実施形態において、測定制御装置51は、測定物Sを保持したテーブル12を回転させて、X線源2に対する測定物Sの位置を変えることによって、測定物SにおけるX線源2からのX線XLの照射領域を変更する。
すなわち、本実施形態において、制御装置5は、測定物Sを保持したテーブル12を回転させながら、その測定物SにX線XLを照射する。テーブル12の各位置(各回転角度)において測定物Sを通過した透過X線(X線透過データ)は、遮蔽部材70を透過した後、検出器4に検出される。検出器4は、各位置における測定物Sの投影像を含むX線透過画像を取得する。
本実施形態において、画像解析装置53は、作業メモリ52に保存されている測定物Sと遮蔽部材70の投影像を含むX線透過画像を解析する。画像解析装置53は、遮蔽部材70の投影像の位置及び寸法とを取得する。本実施形態において、遮蔽部材70は複数の板状部材71、72を含むため、画像解析装置53は、各々の板状部材71、72の投影像について、それらの位置及び寸法(幅)を取得する。画像解析装置53は、取得した位置及び寸法を遮蔽部材70の解析データとして作業メモリ52に保存する。
画像補正装置55は、測定物Sの測定時に取得された遮蔽部材70の投影像の解析データ(位置、寸法)と、キャリブレーション時に取得された遮蔽部材70の投影像の解析データ(位置、寸法)とに基づいて、X線源2の位置情報を取得する。この位置情報は、X線源2と測定物Sと検出器4との相対位置に関する情報であってもよく、キャリブレーション時のX線源2に対する相対位置に関する情報であってもよく、内部空間SPにおけるX線源2の現在位置に関する情報であってもよい。
本実施形態において、画像補正装置55は、測定物Sを透過した透過X線の検出結果(X線透過画像)を、上記位置情報に基づいて補正する。以下、この画像補正動作について、図11から図14を参照して説明する。
図11及び図12は、X線源2がZ軸方向に移動した場合の説明図である。
図11には、キャリブレーション時と比較してターゲット40(射出部8)が+Z方向(測定物Sに近づく方向)に移動したときのX線XL及び投影像の変化態様が示されている。
図11に示すターゲット40の移動は、図2に示したX線源2において、電子照射によってターゲット40の温度が上昇した場合に、ハウジング42のターゲット40が設置されている部分にZ軸方向の熱膨張ECが生じ、それによってターゲット40の位置が+Z方向に移動することで生じる。
ターゲット40が測定物Sに近づくと、図11に示すように、測定物Sを透過した透過X線の検出器4上における面積が増大する。これにより、検出器4において、X軸方向及びY軸方向に拡大された測定物Sの投影像が検出される。
図11に示すターゲット40の移動は、遮蔽部材70の投影像にも影響する。
ここで、図12には、ターゲット40がZ軸方向に移動した場合における遮蔽部材70の投影像の変化態様が示されている。図12においてFoはキャリブレーションにおけるターゲット40(射出部8)の位置であり、Fはターゲット40がZ軸方向に移動した場合における位置である。
X線源2のターゲット40が位置Foに配置されている場合、位置Foからコーン状(断面扇状)に広がるX線XLは、遮蔽部材70の板状部材71、72の板面に平行に入射する。そのため、遮蔽部材70の後方に位置する検出器4には、板状部材71、72の影は細い線として投影される。
一方、ターゲット40が位置Fに移動すると、位置Fから放射されるX線XLの放射方向と、板状部材71、72の板面の方向とが一致しなくなる。X線XLの放射方向と、板状部材71、72の板面方向との乖離は、遮蔽部材70の外周側に配置されている板状部材71、72ほど大きくなる。そのため、図12に示すように、検出器4において検出される板状部材71、72の投影像の幅が、遮蔽部材70の外周側に位置する板状部材71、72において大きく、遮蔽部材70の中心部に位置する板状部材71、72において小さくなる。
また、同一の板状部材71、72の投影像の幅は、X線源2のターゲット40が遮蔽部材70に近づくほど大きくなる。したがって、投影像の幅の分布を解析することでターゲット40の移動方向を検知することができ、投影像の寸法を解析することで、図11に示すターゲット40の移動距離ΔZ(すなわちX線源2の位置情報)を算出することができる。
上記のように相対的に拡大された投影像が検出されている場合に、画像補正装置55は、X線源2の位置情報に基づいて、X線透過画像を補正する。例えば、画像補正装置55は、測定物Sの測定において得られた測定物Sの投影像のX軸方向の寸法(幅)がw1であり、Y軸方向の寸法(高さ)がh1である場合に、ターゲット40がキャリブレーション時の位置(距離ΔZだけ−Z方向に移動した位置)にあるとした場合に得られる投影像の寸法(幅w、高さh)に一致するように、X線透過画像を縮小補正する。これにより、測定物Sの補正画像が得られる。画像補正装置55は、作成した補正画像を作業メモリ52に保存する。
補正画像を作成する際の演算処理では、図12に示した遮蔽部材70の投影像における幅の変化率を用いて縮小補正を行うことができる。図12に示す距離s0は、ターゲット40が位置Foにある場合における1つの板状部材71の投影像の中心位置からの距離であり、距離s1はターゲット40が位置Fに移動した場合における上記板状部材71の投影像(外端)の中心位置からの距離である。そして、ターゲット40が位置Foから位置Fに移動したときの投影像の拡大率は、s1/s0で与えられる。したがって、画像補正装置55における縮小補正に際しては、拡大率の逆数(s0/s1)を縮小率としてX線透過画像を縮小補正すればよい。
次に、図13及び図14は、X線源2がY軸方向に移動した場合の説明図である。
図13には、キャリブレーション時と比較してターゲット40(射出部8)が−Y方向(鉛直下方)に移動したときのX線XL及び投影像の変化態様が示されている。
図13に示すターゲット40の移動は、例えば、図3に示したX線源2Rにおいて、電子照射によってターゲット40の温度が上昇した場合に、ハウジング42のターゲット40が設置されている部分にYZ面内の斜め方向における熱膨張ECが生じ、それによってターゲット40の位置がY軸方向に移動することで生じる。
なお、図3に示した斜め方向の熱膨張ECが生じた場合、ターゲット40は実際には+Z方向にも移動するため、図12に示すターゲット40の移動と、図14に示すターゲット40の移動が複合的に生じる。
図13に示すようにターゲット40が−Y方向に移動した場合、検出器4上における測定物Sの投影像は、+Y方向(鉛直上方)に移動する一方、X軸方向及びY軸方向の寸法は変化しない。
図14には、ターゲット40がY軸方向に移動した場合における遮蔽部材70の投影像の変化態様が示されている。図14においてFoはキャリブレーション時におけるターゲット40(射出部8)の位置であり、Fはターゲット40がX軸方向又はY軸方向に移動した場合における位置である。
X線源2のターゲット40(射出部8)が位置Foに配置されている場合、位置Foからコーン状(断面扇状)に広がるX線XLは、遮蔽部材70の板状部材71、72の板面に平行に入射する。そのため、遮蔽部材70の後方に位置する検出器4には、板状部材71、72の投影像は細い線として検出される。
一方、ターゲット40が位置Fに移動すると、位置Fから放射されるX線XLの放射方向と、板状部材71又は板状部材72の板面の方向とが一致しなくなる。例えば、図13に示すようにターゲット40がY軸方向に移動した場合、X線XLの放射方向と、板状部材72の板面の方向が一致しなくなる。その結果、図14に示すように、検出器4において検出される板状部材72の投影像の幅が大きくなる。ターゲット40の移動距離(F−Fo)が大きくなるほど、板状部材72の投影像の幅が大きくなるので、投影像の幅(寸法)を解析することで、図13に示すターゲット40の移動距離ΔY(すなわちX線源2の位置情報)を算出することができる。
なお、射出部8がX軸方向に移動した場合、X線XLの放射方向と板状部材71の板面の方向が一致しなくなり、検出器4において検出される板状部材72の投影像の幅が大きくなる。そして、板状部材72の投影像の幅(寸法)を解析すれば、ターゲット40のX軸方向の移動距離を算出することができる。
上記のように相対的に位置が移動された投影像が検出されている場合に、画像補正装置55は、X線源2の位置情報に基づいて、X線透過画像を補正する。例えば、画像補正装置55は、測定物Sの測定において得られた測定物Sの投影像のY軸方向の位置が、ターゲット40がキャリブレーション時の位置(距離ΔYだけ+Y方向に移動した位置)にあるとした場合に得られる投影像のY軸方向の位置に一致するように、X線透過画像を−Y方向に平行移動させる補正を実行する。これにより、測定物Sの補正画像が得られる。画像補正装置55は、作成した補正画像を作業メモリ52に保存する。
補正画像を作成する際の演算処理では、図14に示した遮蔽部材70の投影像の幅の変化度合に関する情報を用いて平行移動補正を行うことができる。
ここで、図14において、仮にターゲット40の位置Foから位置Fの移動が、例えば−Y方向への距離ΔYの移動であるとする。この場合、板状部材72の投影像は、ターゲット40の移動の前後で、細い線から+Y側に向かって幅が大きくなるように変化する。また、投影像の幅の変化量は、位置Fのターゲット40の正面に位置する板状部材72において小さく、位置Fの正面から離れた位置の板状部材72において大きくなる。以上から、位置Foから位置Fへの移動距離ΔYを算出することができるので、位置Foから位置Fへの方向とは逆方向にX線透過画像を移動させればよい。
なお、本実施形態において、画像補正装置55は、遮蔽部材70の解析データに基づく画像補正動作の後に、キャリブレーション時に取得した基準物体Rの解析データに基づく画像補正動作を実行する構成としてもよい。これにより、補正画像における測定物Sの寸法が実測値に一致する寸法に補正される。具体的な補正方法は、基準物体Rの解析データを用いる以外は、遮蔽部材70の解析データを用いた上記画像補正動作と同様である。
次に、再構成画像演算装置56は、測定物Sを回転させつつその測定物SにX線XLを照射することにより得られた複数のX線透過画像及び補正画像に基づいて演算を行い、測定物Sの断層画像を再構成して、測定物Sの内部構造の三次元データ(三次元画像)を取得する(ステップSA3)。これにより、測定物Sの内部構造が算出される。測定物の断層画像の再構成方法としては、例えば、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、及び逐次近似法が挙げられる。逆投影法及びフィルタ補正逆投影法に関しては、例えば、米国特許出願公開第2002/0154728号明細書に記載されている。また、逐次近似法に関しては、例えば、米国特許出願公開第2010/0220908号明細書に記載されている。
本実施形態では、画像補正装置55により補正画像が作成され、作業メモリ52に保存されている。そこで、再構成画像演算装置56は、検出器4により検出されたX線透過画像とともに、画像補正装置55により作成された補正画像を用いて、測定物の内部構造を算出する。本実施形態において、再構成画像演算装置56は、測定物Sの各位置(各回転角度)のそれぞれにおいて取得された測定物SのX線透過画像と、X線源2の位置変動に起因する投影像の位置及び寸法のずれを補正した補正画像とに基づく測定物Sの三次元画像を作成する。
以上説明したように、本実施形態によれば、測定物Sとともに取得される遮蔽部材70の投影像に基づいてX線源2(又はX線源2R、以下同様)の位置情報を取得し、かかる位置情報に基づいてX線透過画像を補正するようにした。これにより、熱変形等によりX線源2の位置が移動した場合にも、X線透過画像を適切に補正することができる。そして、補正された画像(補正画像)を用いて再構成画像を形成することで、X線源2の位置ずれに起因する偽像を抑制することができる。
よって本実施形態によれば、X線装置100の検出精度の低下を抑制できる。例えば、X線装置100は、測定物Sの内部構造に関する情報を正確に取得することができる。
なお、本実施形態において、画像解析装置53は、測定物Sの測定において取得された全てのX線透過画像を解析することとしたが、一部のX線透過画像のみを解析することとしてもよい。例えば、測定開始から100枚毎(1枚目,101枚目,201枚目、…)のX線透過画像(遮蔽部材70の投影像)を解析し、X線源2の位置変動が検出された場合に、それ以降のX線透過画像を全て解析するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、測定物Sに対するX線XLの照射領域を変更して、測定物Sの像を複数取得し、その複数の像(画像)に基づいて、測定物Sの内部構造の三次元データを取得することとしたが、1つの像(画像)に基づいて、測定物Sの内部構造に関する情報を取得することとしてもよい。すなわち、測定物Sに対して、異なる角度からX線XL照射することなく、測定物Sの内部構造の二次元データを取得してもよい。
また本実施形態では、制御装置5が、測定装置1を制御する測定制御装置51と、種々の演算処理を実行する装置(画像解析装置53、画像補正装置55、再構成画像演算装置56)の両方を備えた構成としたが、これらを別々の装置としてもよい。すなわち、処理能力の高い演算装置(コンピュータ)を用いて画像解析や画像補正、画像再構成の演算を実行するようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略化若しくは省略する。
図15は、第2実施形態に係るX線装置の要部を示す図である。
図15には、ステージ9から検出器4を+Z方向に見たときの平面構成が示されている。
検出器4は、検出面4aを有する。本実施形態において、検出面4aには、測定物Sの投影像Saと、測定物Sを支持するテーブル12の一部の投影像12aとが投影される。検出器4の検出面4aの1つの角部(図示左上の角部)に対応する位置に、グリッド状の遮蔽部材70Aが配置されている。
遮蔽部材70Aは、第1実施形態に係る遮蔽部材70と同様に、Y軸方向(鉛直方向)に沿って延びる複数の板状部材(第1部材)71A(縦板)と、X軸方向(水平方向)に沿って延びる複数の板状部材(第2部材)72A(横板)と、を備えている。本実施形態の場合、遮蔽部材70Aは、6本の板状部材71Aと、6本の板状部材72Aとを正方格子状に組み立てたグリッド状の部材である。
本実施形態においても、先の第1実施形態と同様に、遮蔽部材70Aの投影像を解析することによりX線源2の位置情報を取得することができる。そして、遮蔽部材70Aの解析データに基づいて測定物SのX線透過画像を補正することができる。したがって本実施形態においても、X線装置100の検出精度の低下を抑制できる。例えば、X線装置100は、測定物Sの内部構造に関する情報を正確に取得することができる。
本実施形態において、遮蔽部材70Aは、検出面4aに対して1/10以下の大きさである。このような小サイズの遮蔽部材70Aを検出面4aの角部に配置することで、遮蔽部材70Aの投影像が測定物Sの投影像に対して重ならなくなる。これにより、X線透過画像から遮蔽部材70Aの投影像を除去する処理が不要になる。
本実施形態において、遮蔽部材70Aの投影像と測定物Sの投影像Saとが一時的又は部分的に重なることは許容される。例えば、テーブル12を回転させながら測定物SのX線透過画像を複数の方向から測定する場合に、一部のX線透過画像において遮蔽部材70Aの投影像と測定物Sの投影像とが重なっていてもよい。また例えば、測定物Sの投影像が検出面4aのほぼ全体に広がっている場合などに、遮蔽部材70Aの投影像の一部が測定物Sの投影像と重なっていてもよい。
なお、本実施形態における遮蔽部材70Aの大きさは、測定物Sの投影像Saと重なりにくい大きさであれば特に限定されず、適宜変更することが可能である。また遮蔽部材70Aの位置も、検出面4aの角部や辺縁の任意の位置に配置することができる。また遮蔽部材70Aを複数設けてもよい。遮蔽部材70Aにおいて隣り合う板状部材71A、72Aに囲まれる矩形状のX線透過領域は、検出器4の受光部35に対して一対一に対応するように設けられていてもよく、上記X線透過領域に対して複数の受光部35が配置されるようにしてもよい。
また本実施形態において、複数の板状部材71A、72Aの配置角度(板面とZ軸とのなす角度)を、各々の板状部材71Aに入射するX線の進行方向(放射方向)に沿うように配置してもよい。これにより、X線源2の位置が変動しない場合における板状部材71A及び板状部材72Aの投影像をいずれも細い線状とすることができる。その結果、X線源2の位置がずれたときの投影像の幅の変化を検出しやすくなる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略化若しくは省略する。
図16は、第3実施形態に係るX線装置100の概略構成図である。図17は第3実施形態に係るX線源位置検出器を示す図である。図18は第3実施形態に係るX線源位置検出器の配置態様を示す説明図である。
図16には、第3実施形態に係るX線装置のX線源2、テーブル12、検出器4、X線源位置検出器(検出器)4Bが示されている。
X線源位置検出器4Bは、図16及び図18に示すように、測定物SのX線透過画像を検出する検出器4の周囲に複数配置される。X線源位置検出器4Bは、X線XLの照射領域内に配置される。本実施形態において、X線源位置検出器4Bは、図16に示すように、Z軸方向において検出器4の検出面4aと同等の位置に配置される。また、X線源位置検出器4Bは、図18に示すように、矩形状の検出器4の3つの角部の側方にそれぞれ配置される。
X線源位置検出器4Bは、図16に示すX線XLの照射領域内であれば、Z軸方向の任意の位置に配置することができる。例えば、テーブル12の近傍にX線源位置検出器4Bを配置してもよく、絞り板62の近傍にX線源位置検出器4Bを配置してもよい。一方、XY方向に関しては、複数のX線源位置検出器4Bは、図18に示すように、X線XLの光軸(例えば検出器4の中心位置)から等距離に、かつ離散的に配置される。
X線源位置検出器4Bは、図17に示すように、X線を検出する検出素子36を有する。検出素子36は、入射するX線について少なくともその強度を検出できればよい。検出素子36としては、単一又は複数の画素(X線検出領域)を有するCCDや、撮像管を用いることができる。
各々のX線源位置検出器4Bの検出素子36の前方(−Z側)には、矩形枠状の遮蔽部材70Bが設けられている。遮蔽部材70Bは、Y軸方向(鉛直方向)に沿って延びる2枚の板状部材(第1部材)71B(縦板)と、X軸方向(水平方向)に沿って延びるY軸方向に延びる2枚の板状部材(第2部材)72B(横板)とを、枠状に組み合わせたグリッド状の部材である。
本実施形態において、板状部材71B、72Bは、各々の板面がいずれもZ軸に平行になるように配置される。すなわち、板状部材71Bは、板面がYZ面と平行になるように配置され、板状部材72Bは、板面がXZ面と平行になるように配置される。X線XLはX線源2から放射状に広がるので、X線源位置検出器4Bには、定常的に遮蔽部材70Bを透過したX線が入射する。本実施形態において、図5,6に示した遮蔽部材と同様に、板状部材71B、72Bの板面をそれらの近傍を通過するX線XLに平行に配置されていてもよい。
本実施形態のX線装置では、複数のX線源位置検出器4BにおけるX線強度の変化を解析することによりX線源2の位置情報を取得することができる。例えば、図11に示したように、X線源2が+Z方向に移動し、検出器4に近づいた場合、遮蔽部材70Bに対するX線の入射角度(Z軸方向に対する角度)が大きくなる。そうすると、遮蔽部材70Bによって遮蔽されるX線量が多くなり、X線源位置検出器4Bに入射するX線量が減少する。その結果、図18に示す3つのX線源位置検出器4Bにおいて、検出されるX線の強度が一様に低下する。
したがって、検出されるX線量とX線源2との関係を予め取得しておくことで、検出されるX線量に基づいてX線源2の位置情報を取得することができる。
また例えば、図13に示したように、X線源2が−Y方向に移動した場合には、検出されるX線強度は以下のように変化する。
まず、図18に示す3つのX線源位置検出器4Bのうち、検出器4の下端部(−Y側の端部)に配置されているX線源位置検出器4Bでは、X線源2が正面寄りに近づくため、遮蔽部材70Bの板状部材72Bによって遮蔽されるX線量が減少する。その結果、検出されるX線強度が上昇する。一方、検出器4の上端部(+Y側の端部)に配置されている2つのX線源位置検出器4Bでは、X線源2がより遠ざかるため、遮蔽部材70Bの板状部材72Bで遮蔽されるX線量が増加する。その結果、検出されるX線強度は下降する。
したがって、X線源2がY軸方向やX軸方向に移動する場合においても、複数のX線源位置検出器4Bにおいて検出されるX線量とX線源2との関係を予め取得しておくことで、検出されるX線量に基づいてX線源2の位置情報を取得することができる。
以上のように、本実施形態のX線装置においても、複数のX線源位置検出器4Bにおいて、遮蔽部材70Bを透過した透過X線を検出し、透過X線の検出量に基づいてX線源2の位置情報を取得することができる。したがって、先の実施形態と同様に、取得されたX線源2の位置情報(あるいは複数のX線源位置検出器4Bにおける透過X線の検出量)に基づいて、測定物SのX線透過画像を補正することができる。よって本実施形態においても、X線装置100の検出精度の低下を抑制できる。例えば、X線装置100は、測定物Sの内部構造に関する情報を正確に取得することができる。
なお、本実施形態において、X線源位置検出器4Bの検出素子36が複数の画素(X線検出領域)を有するものである場合には、先の第1実施形態と同様の方法を採用することができる。すなわち、X線源位置検出器4Bに投影される遮蔽部材70Bの投影像を解析し、得られた解析データに基づいて、X線源2の位置情報の取得や、測定物SのX線透過画像の補正を行うことができる。
なお、X線源位置検出器4BはX線に受光感度を有するものだけに限られない。ターゲットから放射されるエネルギー線のいずれかを検出できるものであればよい。例えば、ターゲットからX線と一緒に可視光や赤外光も放射されるような場合、可視光や赤外光に感度を有する検出器を用いても良い。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略化若しくは省略する。
図19は、第4実施形態に係るX線装置100の一例を示す図である。
図19において、X線装置100は、X線源2に接続された移動機構45と、検出器4に接続された移動機構46とを備えている。
移動機構45は、X線源2を移動可能に支持する。移動機構45は、X線源2を少なくともZ軸方向(ステージ9及び検出器4に対して進退する方向)に移動させる駆動装置を備えている。X線源2が鉛直方向(Y軸方向)に移動する場合には、移動機構45はX線源2をY軸方向に移動させる駆動装置を備えて構成される。移動機構45は、ステージ9と同様に、X線源2をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθY方向に移動させる機構としてもよい。
移動機構46は、検出器4を移動可能に支持する。移動機構46は、検出器4を少なくともZ軸方向(X線源2及びステージ9に対して進退する方向)に移動させる駆動装置を備えている。X線源2が鉛直方向(Y軸方向)に移動する場合には、移動機構46は検出器4をY軸方向に移動させる駆動装置を備えて構成される。移動機構46は、ステージ9と同様に、検出器4をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθY方向に移動させる機構としてもよい。
本実施形態のX線装置100では、X線源2の位置変動が生じた場合に、移動機構45、ステージ装置3、あるいは移動機構46を作動させ、測定装置1の動作を補正する。
例えば、図11に示したように、X線源2の熱膨張によってターゲット40がZ軸方向に移動した場合、図12に示したように、X線透過画像に含まれる遮蔽部材70の投影像が変化する。ターゲット40の移動距離ΔZは、遮蔽部材70の投影像における寸法の変化率に基づいて算出することができる。そして、制御装置5は、移動機構45を制御してX線源2を−Z方向に距離ΔZだけ移動させる。これにより、X線源2の位置変動を補正することができ、正確なX線透過画像を取得することができる。
あるいは、制御装置5が移動機構46を制御することにより、検出器4を−Z方向(X線源2に近づける方向)に移動させるようにしてもよい。これにより、検出器4に投影される測定物Sの投影像が縮小されるので、X線源2の位置変動による投影像の変化を補正することができる。
あるいはまた、制御装置5がステージ装置3を制御することにより、測定物Sを+Z方向(X線源2から遠ざける方向)に移動させるようにしてもよい。これにより、検出器4に投影される測定物Sの投影像が縮小されるので、X線源2の位置変動による投影像の変化を補正することができる。
また図13に示したX線源2のY軸方向の移動が生じた場合にも、上記と同様に移動機構45、ステージ装置3、及び移動機構46を制御して、X線源2、測定物S、及び検出器4の少なくとも一つをY軸方向に移動させることにより、X線源2の位置変動による投影像の変化を補正することができる。
また、上記したX線源2、測定物S、及び検出器4の位置補正動作を組み合わせて用いてもよい。例えば、ステージ装置3を制御して測定物SをX線源2から遠ざける動作と、移動機構46を制御して検出器4をX線源2に近づける動作を併せて行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2の位置変動に起因する投影像の変化を補正でき、偽像の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態において、基準物体Rの投影像の解析は、測定物Sの測定において得られる複数のX線透過画像のうちの一部についてのみ行ってもよい。そして、X線源2の位置変動が検出された場合にのみ、X線源2、測定物S、又は検出器4の位置補正動作を実行することとしてもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
第5実施形態においては、上述したX線装置100を備えた構造物製造システムについて説明する。
図20は、構造物製造システム200のブロック構成図である。構造物製造システム200は、上述のX線装置100と、成形装置120と、制御装置(検査装置)130と、リペア装置140とを備える。本実施形態においては、構造物製造システム200は、自動車のドア部分、エンジン部品、ギア部品、及び回路基板を備える電子部品等の成形品を作成する。
設計装置110は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置120に送信する。また、設計装置110は、作成した設計情報を制御装置130の後述する座標記憶部131に記憶させる。ここで、設計情報とは、構造物の各位置の座標を示す情報である。成形装置120は、設計装置110から入力された設計情報に基づいて上記構造物を作製する。成形装置120の成形工程は、鋳造、鍛造、及び切削の少なくとも一つを含む。
X線装置100は、測定した座標を示す情報を制御装置130へ送信する。制御装置130は、座標記憶部131と、検査部132とを備える。座標記憶部131には、設計装置110により設計情報が記憶される。検査部132は、座標記憶部131から設計情報を読み出す。検査部132は、X線装置100から受信した座標を示す情報から、作成された構造物を示す情報(形状情報)を作成する。検査部132は、形状測定装置170から受信した座標を示す情報(形状情報)と座標記憶部131から読み出した設計情報とを比較する。検査部132は、比較結果に基づいて、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。検査部132は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合、修復可能であるか否か判定する。修復できる場合、検査部132は、比較結果に基づいて、不良部位と修復量を算出し、リペア装置140に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。
リペア装置140は、制御装置130から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づいて、構造物の不良部位を加工する。
図21は、構造物製造システム200による処理の流れを示したフローチャートである。まず、設計装置110が、構造物の形状に関する設計情報を作製する(ステップS101)。次に、成形装置120は、設計情報に基づいて上記構造物を作製する(ステップS102)。次に、X線装置100は構造物の形状に関する座標を測定する(ステップS103))。次に制御装置130の検査部132は、X線装置100から作成された構造物の形状情報と、上記設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作成された否かを検査する(ステップS104)。
次に、制御装置130の検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS105)。作成された構造物が良品である場合(ステップS106 YES)、構造物製造システム200はその処理を終了する。一方、作成された構造物が良品でない場合(ステップS106 NO)、制御装置130の検査部132は、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS107)。
作成された構造物が修復できる場合(ステップS107 YES)、リペア装置140は、構造物の再加工を実施し(ステップS108)、ステップS103の処理に戻る。一方、作成された構造物が修復できない場合(ステップS107 YES)、構造物製造システム200はその処理を終了する。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
以上により、上記の実施形態におけるX線装置100が構造物の座標を正確に測定することができるので、構造物製造システム200は、作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
なお、上述の各実施形態において、測定物Sは産業用部品に限られず、例えば人体でもよい。また、上述の各実施形態において、X線装置100が医療用に用いられてもよい。
上述の各実施形態においては、X線源と検出装置を所定の位置に固定し、ステージを回転させ、測定物Sの像を取得しているが、走査方法はこれに限られない。X線源及び検出装置の一方が所定の位置に固定され、他方が移動可能でもよい。また、X線源及び検出装置の両方が移動可能でもよい。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した検出装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2,2R…X線源、4…検出器、4a…検出面、4B…X線源位置検出器(検出器)、9…ステージ、F,Fo…位置、S…測定物、35…受光部(X線検出領域)、70,70A,70B…遮蔽部材、71,71A,71B…板状部材(第1部材)、72,72A,72B…板状部材(第2部材)、100…X線装置

Claims (26)

  1. X線源と、前記X線源から放射されたエネルギー線を検出する検出器と、前記検出器に入射するエネルギー線を、前記エネルギー線の伝播方向に応じて部分的に遮蔽する遮蔽部材と、を有し、
    前記検出器で検出された前記遮蔽部材の開口通過後の前記エネルギー線の検出結果に基づいて前記X線源の位置情報を取得する、X線装置。
  2. 前記遮蔽部材は、前記検出器の検出面に対して交差するように前記X線を遮蔽する面を有する、請求項1に記載のX線装置。
  3. 前記遮蔽部材は、前記検出器の検出面に対して交差するように前記X線を遮蔽する面を有する第1部材と、
    前記検出器の検出面及び前記第1部材の前記X線を遮蔽する面の両方に対して交差するように前記X線を遮蔽する面を有する第2部材とを有する、請求項2に記載のX線装置。
  4. 前記遮蔽部材は、複数の前記第1部材と複数の前記第2部材とを有し、各々の前記第1部材の前記検出器側の端部の長手方向が互いに平行になるように配列され、かつ、各々の前記第2部材の前記検出器側の端部の長手方向が互いに平行になるように配列されている、請求項3に記載のX線装置。
  5. 前記検出器は、複数のエネルギー線検出領域を有し、
    前記第1部材と前記第2部材とで囲まれた空間は、一又は複数の前記エネルギー線検出領域に対応して形成されている、請求項3又は4に記載のX線装置。
  6. 前記検出器は、単一のエネルギー線検出領域を有する、請求項3また4に記載のX線装置。
  7. 複数の前記検出器と、各々の前記検出器に対応して設けられた前記遮蔽部材とを有する、請求項6に記載のX線装置。
  8. 前記第1部材は板状部材であり、
    複数の前記第1部材の板面は、各々の前記第1部材の近傍を通過する前記エネルギー線の進行方向に沿うように配置されている、請求項4から7のいずれか1項に記載のX線装置。
  9. 前記第2部材は板状部材であり、
    複数の前記第2部材の板面は、各々の前記第2部材の近傍を通過する前記X線の進行方向に沿うように配置されている、請求項8に記載のX線装置。
  10. 前記遮蔽部材を前記X線の照射範囲内に挿脱させる挿脱機構を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のX線装置。
  11. 前記X線源からX線を照射される測定物を保持するステージを有し、
    前記検出器は、前記測定物を透過した透過X線を検出する、請求項1から5のいずれか一項に記載のX線装置。
  12. 前記位置情報に基づいて、前記X線源の位置を補正する、請求項1から11のいずれか一項に記載のX線装置。
  13. 前記位置情報に基づいて、前記ステージの位置を補正する、請求項11に記載のX線装置。
  14. 前記位置情報に基づいて、前記検出器の位置を補正する、請求項11に記載のX線装置。
  15. 前記測定物に対してX線が異なる方向から入射するように照射し、前記異なる方向から透過した透過X線に基づいて形成された複数の画像から、前記測定物の再構成画像を算出するために用いる、前記複数の画像のうち、少なくとも一部の前記画像を、前記位置情報に基づいて補正する、請求項1から13のいずれか一項に記載のX線装置。
  16. X線源からエネルギー線を射出し、射出された前記エネルギー線の伝播方向に応じて部分的に遮蔽する遮蔽部材を通過したエネルギー線を検出することと、
    前記遮蔽部材を通過したエネルギー線の検出結果に基づいて前記X線源の位置情報を取得することと、
    を含む、X線照射方法。
  17. 前記位置情報に基づいて前記X線源の位置を補正する、請求項16に記載のX線照射方法。
  18. 前記X線源から測定物にX線を照射し、前記測定物を透過した透過X線を検出することをさらに含む、請求項16又は17に記載のX線照射方法。
  19. 前記透過X線の検出には、前記透過X線に基づいて画像を形成することを含み、前記位置情報に基づいて前記形成される画像を補正する、請求項18に記載のX線照射方法。
  20. 前記検出には、前記測定物にX線を異なる方向から照射し、前記異なる方向から透過した透過X線に基づいて形成された複数の画像から、前記測定物の再構成画像を算出することを含み、前記複数の画像のうち、少なくとも一部の前記画像を補正する、請求項19に記載のX線照射方法。
  21. 前記X線を前記測定物に照射する照射期間のうちの少なくとも一部の期間、又は前記照射期間とは異なる期間で前記X線源の位置情報を取得することをさらに含む、請求項18から20のいずれか一項に記載のX線照射方法。
  22. 前記位置情報に基づいて前記X線源と前記測定物と前記透過X線を検出する検出器との相対位置を補正する、請求項18から21のいずれか一項に記載のX線照射方法。
  23. 前記測定物に対してX線が異なる方向から入射するように照射し、前記異なる方向から透過した透過X線に基づいて複数の画像を形成することを含み、
    前記複数の画像から、前記測定物の再構成画像を算出するために用いる、前記複数の画像のうち、少なくとも一部の前記画像を、前記位置情報に基づいて補正する、請求項18から22のいずれか一項に記載のX線照射方法。
  24. 構造物の形状に関する設計情報を作製する設計工程と、
    前記設計情報に基づいて前記構造物を作製する成形工程と、
    作製された前記構造物を請求項18から23のいずれか一項に記載のX線照射方法を用いて測定し、前記構造物の形状情報を取得する工程と、
    前記形状情報と前記設計情報とを比較する検査工程と、
    を有する、構造物の製造方法。
  25. 前記検査工程の比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を実施するリペア工程を有する、請求項24に記載の構造物の製造方法。
  26. 前記リペア工程において前記成形工程を再実行する、請求項25に記載の構造物の製造方法。
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