JP2013204005A - 半導体ナノ粒子集積体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コア/シェル構造を持つ半導体ナノ粒子間がほぼ等間隔、かつ、半導体ナノ粒子間の距離が長くなるように設計された、コア/シェル構造を持つ半導体ナノ粒子を含有する半導体ナノ粒子集積体であって、半導体ナノ粒子同士が架橋剤を用いて共有結合のみにより結合されており、半導体ナノ粒子の充填率が10%以上であり、かつ、半導体ナノ粒子の発光寄与率が75%以上である半導体ナノ粒子集積体。
【選択図】なし
Description
[3] 前記架橋剤が、メルカプトウンデカン酸と、エチレンジアミンおよびヘキサエチレンジアミンからなる群より選ばれる1種の化合物とである、項[1]または[2]に記載の半導体ナノ粒子集積体。
[5]前記コア/シェル構造を持つ半導体ナノ粒子のコア部を構成する素材が、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、およびテルル化カドミウム(CdTe)からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする項[1]〜[4]のいずれかに記載の半導体ナノ粒子集積体。
本発明の半導体ナノ粒子集積体は、コア/シェル構造を持つ半導体ナノ粒子を含有する。コア/シェル半導体ナノ粒子は、コア部とシェル部とからなる。
本発明に用いるコア/シェル半導体ナノ粒子のコア部(以下「コア粒子」ともいう。)を形成するための素材(以下「コア部形成素材」ともいう。)としては、Si、Ge、InN、InP、GaAs、AlSe、CdSe、AlAs、GaP、ZnTe、CdTe、InAs、CuInSe2、CuInS2、AgInSe2、AgInS2およびこれらの混合物などの半導体又はこれらを形成する原料を用いることができる。
本発明に用いるコア/シェル半導体ナノ粒子のシェル部を形成するための素材(以下「シェル部形成素材」ともいう。)としては、II−VI族、III−V族、IV族の無機半導体を用いることができる。例えば、各コア部形成無機材料であるSi、Ge、InN、InP、GaAs、AlSe、CdSe、AlAs、GaP、ZnTe、CdTe、InAs、CuInSe2、CuInS2、AgInSe2、AgInS2およびこれらの混合物などよりバンドギャップが大きく、毒性を有さない半導体又はこれらを形成する原料が好ましい。
本発明に係る半導体ナノ粒子の製造方法としては、液相法による方法を採用できる。液相法の製造方法としては、沈殿法、共沈法、ゾル−ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル法、超臨界水熱合成法などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である(例えば、特開2002−322468号、特開2005−239775号、特開平10−310770号、特開2000−104058号公報等を参照。)。
また、当該半導体前駆体の反応を界面活性剤の存在下で行う工程を有する態様が好ましい。なお、本発明に係る半導体前駆体は、上記の半導体材料として用いられる元素を含む化合物であり、たとえば半導体がSiの場合、半導体前駆体としてはSiCl4などが挙げられる。その他半導体前駆体としては、InCl3、P(SiMe3)3、ZnMe2、CdMe2、GeCl4、トリブチルホスフィンセレンなどが挙げられる。
半導体前駆体を還元する還元剤としては、従来周知の種々の還元剤を反応条件に応じて選択し用いることができる。本発明においては、還元力の強さの観点から、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−C4H9)3)及び水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウムなどの還元剤が好ましい。特に、還元力の強さから水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)が好ましい。
半導体前駆体の分散用溶媒としては、従来周知の種々の溶媒を使用できるが、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、トルエン、デカン、ヘキサンなどの炭化水素類溶媒を使用することが好ましい。本発明においては、特に、トルエン等の疎水性の溶媒が分散用溶媒として好ましい。
界面活性剤としては、従来周知の種々の界面活性剤を使用でき、陰イオン、非イオン、陽イオン、両性界面活性剤が含まれる。なかでも第四級アンモニウム塩系である、テトラブチルアンモニウムクロリド、ブロミド又はヘキサフルオロホスフェート、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)、またはトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが好ましい。特に、テトラオクチルアンモニウムブロミドが好ましい。
本発明に係る半導体ナノ粒子集積体は、上記のようにして調製される半導体ナノ粒子同士を、架橋剤(スペーサーまたはリンカーともいう)を用いて共有結合のみにより結合することで作製することができる。
まず、コア/シェル半導体ナノ粒子を長鎖のメルカプト酸を用いて修飾(水溶化)し、1−Ethyl−3−[3−Dimethylaminopropyl]Carbodiimide, Hydrochloride(以下「EDC」という。)を用いて当該メルカプト酸のカルボキシル基を活性化させた後、ジアミンを反応させてアミド結合を生成させることにより、半導体ナノ粒子同士を直接架橋した構造を有する態様が好適な例として挙げられる(図1)。このような態様は、メルカプト酸が有するメルカプト基(チオール基)との親和性の高いシェル、たとえば硫黄原子を含むZnS等のシェルを有するコア/シェル半導体ナノ粒子に対して適用することができる。このとき、メルカプト酸としてメルカプトウンデカン酸を、ジアミンとしてエチレンジアミンまたはヘキサエチレンジアミンを用いることが特に好ましい。
以下において、本発明の代表的な応用例について説明する。
(生体物質標識剤とバイオイメージング)
本発明の半導体ナノ粒子集積体は、生体物質蛍光標識剤に適応することができる。また、標的(追跡)物質を有する生細胞もしくは生体に本発明に係る生体物質標識剤を添加することで、標的物質と結合もしくは吸着し、当該結合体もしくは吸着体に所定の波長の励起光を照射し、当該励起光に応じて蛍光半導体微粒子から発生する所定の波長の蛍光を検出することにより、上記標的(追跡)物質の蛍光動態イメージングを行うことができる。すなわち、本発明に係る生体物質標識剤は、バイオイメージング法(生体物質を構成する生体分子やその動的現象を可視化する技術手段)に利用することができる。
上述した半導体ナノ粒子集積体表面は、一般的には、親水性であるが、疎水性である時、例えば生体物質標識剤として使用する場合は、このままでは水分散性が悪く、半導体ナノ粒子集積体が凝集してしまう等の問題があるため、半導体ナノ粒子集積体の表面を親水化処理することが好ましい。
本発明に係る生体物質標識剤は、上述した親水化処理された半導体ナノ粒子集積体と、分子標識物質と有機分子を介して結合させて得られる。
本発明に係る生体物質標識剤は分子標識物質が目的とする生体物質と特異的に結合および/または反応することにより、生体物質の標識が可能となる。
本発明に係る生体物質標識剤は、親水化処理された半導体ナノ粒子集積体と、分子標識物質とが有機分子により結合されている。当該有機分子としては半導体ナノ粒子集積体と分子標識物質とを結合できる有機分子であれば特に制限はないが、例えば、タンパク質中でも、アルブミン、ミオグロビンおよびカゼイン等、またタンパク質の一種であるアビジンをビオチンと共に用いることも好適に用いられる。上記結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着、化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合などの結合力の強い結合が好ましい。
(〈InP/ZnS〉コア/シェル半導体ナノ粒子の合成)
InPコア粒子の合成は、下記の加熱溶液法によって行った。三つ口フラスコに6mLのオクタデセンを入れ、その溶媒中に1mLのオクタデセンに溶解させたIn(acac)3とトリス(トリメチルシリル)ホスフィンをInとPの比がIn/P=1/1となるように加え、アルゴン雰囲気中で300℃、1時間反応させInPコア粒子(分散液)を得た。
〈CdSe/ZnS〉コア/シェル半導体ナノ粒子の合成は以下のように行った。アルゴン気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、及び、酸化カドミニウム250mgを加え、370℃に加熱混合した。これを270℃まで放冷させた後、トリブチルフォスフィン2.5mLにセレン200mgを溶解させた溶液を加え、減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSeコア半導体ナノ粒子を得た。
〈CdTe/ZnS〉コア/シェル半導体ナノ粒子に関しては特開2005−281019号公報の実施例1に従い合成した。CdTeコア粒子については、ヒェミー、100巻、1772頁(1996)による方法に従って合成した。
[比較例1]
J. AM. CHEM. SOC. 2008, 130, 5286−5292記載の方法に従い、ポリマー中にCdSe/ZnSが存在する半導体ナノ粒子集積体を作成した。
特開2005−281019号公報記載の実施例1に従い、シリカマトリックス中に〈CdTe/ZnS〉コア/シェル半導体ナノ粒子が存在する半導体ナノ粒子集積体を作成した。
上記比較例と実施例に関しては下記の方法で同様に得ることができる。
上記<コア/シェル構造半導体ナノ粒子の合成>において得られた各コア/シェル半導体ナノ粒子を含む溶液に、超純水(MilliQ(登録商標)、メルク社)とメルカプト酸(メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸またはメルカプトウンデカン酸)を、コア/シェル半導体ナノ粒子のモル当量で10倍加えることにより水溶化されたコア/シェル半導体ナノ粒子が得られる。超遠心により、水溶化コア/シェル半導体ナノ粒子を沈殿させ、溶媒をDimethyl Sulfoxide(DMSO)に置換した。その後、DMSO中に溶解させたコア/シェル半導体ナノ粒子と同じモル当量のジアミン(エチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミン)と、コア/シェル半導体ナノ粒子の1/10モル当量のEDCを加え1時間攪拌することにより、各実施例および比較例の半導体ナノ粒子集積体を得た(表1)。
上記比較例と実施例に関しては下記の方法で同様に得ることができる。 上記<コア/シェル構造半導体ナノ粒子の合成>において得られた各コア/シェル半導体ナノ粒子を含む溶液に、両末端がSH基のPEG(SUNBRIGHT(登録商標) DE−034SH(分子量3,400)、DE−100SH(分子量10,000)、DE−200SH(分子量20,000)(以上、日油社製)をコア/シェル半導体ナノ粒子のモル当量で10倍加え1時間攪拌することにより、各実施例および比較例の半導体ナノ粒子集積体を得た(表1)。
<相対輝度>
蛍光顕微鏡Axio Imager.Z1(カール・ツァイス社製)で一定数の各半導体ナノ粒子集積体を含む集団を観察し、その半導体ナノ粒子集積体の集団が発する蛍光の強度(Fsum)を計測した。この測定値より、下記式(I)で得られる、比較例1を100とした場合の相対輝度を求めた。
[相対輝度=各実施例または各比較例の半導体ナノ粒子集積体の蛍光強度/比較例1の蛍光強度×100]・・・・・・(I)
各半導体ナノ粒子集積体のTEM画像を観察し、ある半導体ナノ粒子集積体の体積(V:半導体ナノ粒子集積体を球とみなし、TEM画像で観察される当該集積体の径から算出する。)および当該集積体を構成している半導体ナノ粒子の数(n)を計測した。一方で、半導体ナノ粒子集積の作製に用いた半導体ナノ粒子についても、調製後にTEM画像を観察して、個々の半導体ナノ粒子の体積(v:半導体ナノ粒子を球とみなし、TEM画像で観察される当該粒子の径から算出する。)を計測し、その個数平均値(vmean)を算出した。n×vmean/Vを個別の半導体ナノ粒子集積体の充填率とし、このような方法で一定数の半導体ナノ粒子集積体についての充填率を求め、それらの個数平均値を算出した。
半導体ナノ粒子の発光寄与率は、次のようにして算出した。蛍光顕微鏡で一定数の半導体ナノ粒子集積体を含む集団を観察し、その半導体ナノ粒子集積体の集団が発する蛍光の強度(Fsum)を上記のとおり計測した。一方で、半導体ナノ粒子集積の作製に用いた半導体ナノ粒子についても、調製後に蛍光顕微鏡で観察して、その半導体ナノ粒子の集団が発する蛍光の強度(fsum)および当該集団を構成している半導体ナノ粒子の数(m)を計測し、半導体ナノ粒子が発する蛍光の強度の個数平均値(fmean=fsum/m)を算出した。さらに、前記充填率に関する計測と同様にして、半導体ナノ粒子集積体を構成している半導体ナノ粒子の数(n)を計測し、その個数平均値(nmean)を算出し、Fsum/fmean×nmean(測定値/理論値に相当)を半導体ナノ粒子の発光寄与率とした。
表1および図4に、実施例および比較例の体積充填率、発光寄与率および相対輝度を示した。これらの結果より、実施例1〜12の半導体ナノ粒子集積体は、従来技術である比較例1〜3、ならびに比較例4〜18と比較して、一定の充填率を維持しつつ、高い発光寄与率を有することが示された。すなわち、より少ない半導体ナノ粒子によって、同等の輝度が得られていることが示され、製造効率の向上の効果が得られていることがわかる。
Claims (5)
- コア/シェル構造を持つ半導体ナノ粒子を含有する半導体ナノ粒子集積体であって、半導体ナノ粒子同士が架橋剤を用いて共有結合のみにより結合されており、半導体ナノ粒子の充填率が10%以上であり、かつ、半導体ナノ粒子の発光寄与率が75%以上であること特徴とする半導体ナノ粒子集積体。
- 前記半導体ナノ粒子の充填率が15%以上であり、かつ、前記半導体ナノ粒子の発光寄与率が80%以上である、請求項1に記載の半導体ナノ粒子集積体。
- 前記架橋剤が、メルカプトウンデカン酸と、エチレンジアミンおよびヘキサエチレンジアミンからなる群より選ばれる1種の化合物とである、請求項1または2に記載の半導体ナノ粒子集積体。
- 前記架橋剤が、チオールを両端に有する分子量10,000〜20,000のポリエチレングリコールである、請求項1または2に記載の半導体ナノ粒子集積体。
- 前記コア/シェル構造を持つ半導体ナノ粒子のコア部を構成する素材が、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)およびテルル化カドミウム(CdTe)からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体ナノ粒子集積体。
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