JP2013128413A - Pprモチーフを利用したrna結合性蛋白質の改変方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】PPRモチーフがRNA結合ユニットとして働くために主要な役割を担うアミノ酸を同定し、そしてそのRNA結合特性を制御する技術の提供。
【解決手段】30〜38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを、2個以上(好ましくは2〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改変方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおいて、1、4、8、9及び12番のアミノ酸の一又は複数を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
【選択図】なし
【解決手段】30〜38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを、2個以上(好ましくは2〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改変方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおいて、1、4、8、9及び12番のアミノ酸の一又は複数を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、pentatricopeptide repeat(PPR)モチーフを有するポリペプチドを利用した、様々なRNA結合特性を持つ蛋白質因子の設計に関する。本発明よって提供される因子群は、学術分野、医療分野、農業分野等などで有用である。
近年、生物体におけるRNAの機能が盛んに研究されるようになり、いくつかのRNA改変技術が開発されてきた。例えば、21〜28塩基の低分子RNAを媒介とする遺伝子発現制御(RNA干渉)は、学術分野のみならず、医療分野、農業分野及び産業界においても盛んに利用され始めている。
一方、蛋白質因子を用いたRNA制御技術は、その作用場所・作用期間などの観点から適応範囲が広いため、大きく期待されている。プミリオ蛋白質は38アミノ酸から成るpufモチーフの複数個の繰り返しで構成されており、pufモチーフ1個がRNA1塩基に結合することが示されており(非特許文献1)、プミリオ蛋白質を用いた新規RNA結合特性をもつ蛋白質(非特許文献2)、及び、RNA結合特性の改変技術が試みられている(非特許文献3)。
他方、ゲノム配列情報から、植物のみで500個もの大きなファミリーを形成する新規蛋白質、pentatricopeptide repeat (PPR蛋白質)が同定された(非特許文献4及び5)。PPR蛋白質は名前が示すとおり、35アミノ酸の繰り返しで構成されており、その1単位である35アミノ酸はPPRモチーフと命名されている。500個のPPR蛋白質は、それぞれが異なるオルガネラRNA分子に作用し、切断、スプライシング、編集、安定性、翻訳などほぼ全てのRNA代謝に関わる。ほとんどのPPR蛋白質はPPRモチーフ約10個の繰り返しのみで構成されており、多くの場合、触媒に必要なドメインが見いだせない。そのため、この分子実体はRNAアダプターだと考えられている(非特許文献6)。
Wang, X., McLachlan, J., Zamore, P.D., and Hall, T.M. (2002). Modular recognition of RNA by a human pumilio-homology domain. Cell 110, 501-512.
Ozawa, T., Natori, Y., Sato, M., and Umezawa, Y. (2007). Imaging dynamics of endogenous mitochondrial RNA in single living cells. Nature Methods 4, 413-419.
Cheong, C.G., and Hall, T.M. (2006). Engineering RNA sequence specificity of Pumilio repeats. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103, 13635-13639.
Small, I.D., and Peeters, N. (2000). The PPR motif - a TPR-related motif prevalent in plant organellar proteins. Trends Biochem. Sci. 25, 46-47.
Lurin, C., Andres, C., Aubourg, S., Bellaoui, M., Bitton, F., Bruyere, C., Caboche, M., Debast, C., Gualberto, J., Hoffmann, B., Lecharny, A., Le Ret, M., Martin-Magniette, M.L., Mireau, H., Peeters, N., Renou, J.P., Szurek, B., Taconnat, L., and Small, I. (2004). Genome-wide analysis of Arabidopsis pentatricopeptide repeat proteins reveals their essential role in organelle biogenesis. Plant Cell 16, 2089-2103.
Chory, J., and Woodson, J.D. (2008). Coordination of gene expression between organellar and nuclear genomes. Nature Rev. Genet. 9, 383-395.
RNA干渉は、真核生物が元来有する多くの蛋白質因子が必要であることから適応できる生物種がいくつかの真核生物に限られている。また、遺伝子発現阻害方向にしか働くことができない、RNA成分であるため作用期間が短い等、遺伝子発現制御技術としてはいくつかの制限がある。
そして、蛋白質因子を用いたRNA制御技術においては、蛋白質を構成するアミノ酸配列とRNA親和性の相関、及びアミノ酸配列と結合可能なRNA配列との法則性は、ほとんど明らかになっていない。例外的にプミリオ蛋白質が存在するが、pufファミリーに属するモチーフは、各々の間でのアミノ酸配列が高度に保存され、かつ存在数が少ない。そのため、限られたRNA配列に作用する蛋白質因子の創成にしか用いることができないという問題がある。
PPR蛋白質のRNAアダプターとしての性質は、PPR蛋白質を構成するそれぞれのPPRモチーフの性質と、それらの組み合わせにより奏される性質とで決定すると予想される。しかしながら、PPRモチーフは、ゲノム配列情報の計算科学的な手法で同定されたものであり、そのアミノ酸配列と機能の相関関係は全く明らかでなかった。PPRモチーフがRNA結合特性を発揮するために必須であるアミノ酸を同定し、結合特性の制御方法が確立すれば、PPRモチーフの改変や、それらの組み合わせの改変により、様々な配列・長さを有するRNA分子に結合可能な、新規な蛋白質を設計できる可能性がある。
そこで、本発明者らは、PPRモチーフがRNA結合ユニットとして働くために主要な役割を担うアミノ酸を同定すること、そしてそのRNA結合特性を制御する技術を提供することを課題とした。PPRモチーフを利用した様々なRNA結合特性を有する蛋白質因子を提供することができれば、様々な場面で利用可能な汎用な技術となりうる。
本発明者らは、上記課題を解決するために、2個のPPRモチーフで構成される組換えミニPPR蛋白質を複数個調製し、異なるRNA結合特性を有するPPRモチーフを同定した。さらに、そのRNA結合特性とアミノ酸配列とを比較し、またアミノ酸置換を行うことで、PPRモチーフがRNA結合能を発揮するために必要なアミノ酸を同定した。そしてそのようなアミノ酸を置換することにより、そのRNA結合特性を改変(RNA結合活性を向上させるように、または低下させるように)することに成功した。
本発明者らの検討によると、PPRモチーフのRNA結合特性は、モチーフを構成する2つのαへリックス構造のうち、最初のへリックス(Helix A)を構成する1、4、8、12番のアミノ酸が特に関与しており、それらのアミノ酸に着目することで、異なるRNA結合特性をもつPPRモチーフや、またはそのようなモチーフを有する新規蛋白質が構成できることが分かった。
本発明は、以下を提供する:
1) 式Iで表される30〜38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを、2個以上(好ましくは2〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改変方法であって
1) 式Iで表される30〜38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを、2個以上(好ましくは2〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改変方法であって
(式中:
Helix Aは、12アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり、Helix Aは式II
Helix Aは、12アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり、Helix Aは式II
で表され;
Helix Bは、11〜13アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり;
Xi〜iiiは、それぞれ独立に、1〜9アミノ酸長からなる部分であるか、又は存在しない。)
一又は複数のPPRモチーフにおいて、A1、A4、A8、A9及びA12からなる群から選択される一又は複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
2) 1)に記載の方法であって、下記のいずれかの工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を向上させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA1を、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンとする置換;
第二番目のPPRモチーフのA4を、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンとする置換;
第一番目のPPRモチーフのA8を、塩基性アミノ酸、好ましくはリジンとする置換、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸とする置換;及び
第一番目のPPRモチーフのA12及び/又は第二番目のPPRモチーフのA12の置換であって、いずれか一方を塩基性アミノ酸とし、かつ他方を中性アミノ酸又は疎水性アミノ酸とする置換。
3) 1)又は2)に記載の方法であって、下記の工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を向上させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA8及び/又は第二番目のPPRモチーフのA8の置換であって、双方を塩基性アミノ酸若しくは酸性アミノ酸とするか、又はいずれか一方を塩基性アミノ酸とし、かつ他方を酸性アミノ酸とする置換。
4) 1)に記載の方法であって、下記の工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を低下させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA8及び/又は第二番目のPPRモチーフのA8の置換であって、少なくとも一方を中性アミノ酸又は疎水性アミノ酸とする置換。
5) 1)〜4)のいずれか一に記載の方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおける下記を考慮した改変を含む、方法:
あるモチーフのA1と、同じモチーフのA4との協同、及び/又は
あるモチーフのA8と、同じモチーフのA12との協同。
6)1)に記載の方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおいて、A1及び/又はA4を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
7)1)に定義されたPPRモチーフを、4個以上(好ましくは4〜14個、より好ましくは7〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改良方法であって、下記の工程を含む方法:
1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A8を、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とする置換、及び/又は1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A12を、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とする置換。
8) 7)に記載の方法であって、さらに請求項1〜6のいずれか1項に記載の工程を含む、方法。
9) 式II
Helix Bは、11〜13アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり;
Xi〜iiiは、それぞれ独立に、1〜9アミノ酸長からなる部分であるか、又は存在しない。)
一又は複数のPPRモチーフにおいて、A1、A4、A8、A9及びA12からなる群から選択される一又は複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
2) 1)に記載の方法であって、下記のいずれかの工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を向上させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA1を、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンとする置換;
第二番目のPPRモチーフのA4を、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンとする置換;
第一番目のPPRモチーフのA8を、塩基性アミノ酸、好ましくはリジンとする置換、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸とする置換;及び
第一番目のPPRモチーフのA12及び/又は第二番目のPPRモチーフのA12の置換であって、いずれか一方を塩基性アミノ酸とし、かつ他方を中性アミノ酸又は疎水性アミノ酸とする置換。
3) 1)又は2)に記載の方法であって、下記の工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を向上させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA8及び/又は第二番目のPPRモチーフのA8の置換であって、双方を塩基性アミノ酸若しくは酸性アミノ酸とするか、又はいずれか一方を塩基性アミノ酸とし、かつ他方を酸性アミノ酸とする置換。
4) 1)に記載の方法であって、下記の工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を低下させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA8及び/又は第二番目のPPRモチーフのA8の置換であって、少なくとも一方を中性アミノ酸又は疎水性アミノ酸とする置換。
5) 1)〜4)のいずれか一に記載の方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおける下記を考慮した改変を含む、方法:
あるモチーフのA1と、同じモチーフのA4との協同、及び/又は
あるモチーフのA8と、同じモチーフのA12との協同。
6)1)に記載の方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおいて、A1及び/又はA4を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
7)1)に定義されたPPRモチーフを、4個以上(好ましくは4〜14個、より好ましくは7〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改良方法であって、下記の工程を含む方法:
1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A8を、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とする置換、及び/又は1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A12を、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とする置換。
8) 7)に記載の方法であって、さらに請求項1〜6のいずれか1項に記載の工程を含む、方法。
9) 式II
で表される、ポリペプチド:
(式中、 A1は、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
A4は、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンであり;
A8は、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸であり;かつ
A12は、塩基性アミノ酸又は中性アミノ酸又は疎水性である。)。
10)
式II
(式中、 A1は、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
A4は、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンであり;
A8は、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸であり;かつ
A12は、塩基性アミノ酸又は中性アミノ酸又は疎水性である。)。
10)
式II
で表される、配列:
(式中、 A1は、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
A4は、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンであり;
A8は、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸であり;かつ
A12は、塩基性アミノ酸又は中性アミノ酸又は疎水性である。)を利用する、RNA結合特性を有する蛋白質の設計方法。
11) 配列番号:90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152又は154のアミノ酸配列からなるポリペプチドの全部又はRNA結合活性を有する一部を含む、蛋白質。
12) 11)に定義されたRNA結合性蛋白質をコードする、ポリヌクレオチド。
13) 配列番号:89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151又は153の塩基配列を有する、請求項11に記載のポリヌクレオチド。
14) 1)〜8)に記載の方法で改変されたPPR蛋白質、9)に記載のポリペプチド、10)に記載の方法で設計された蛋白質、11)に記載の蛋白質のいずれかを用いる、RNAの機能の制御方法。
15) 1)〜8)に記載の方法で改変されたPPR蛋白質、9)に記載のポリペプチド、10)に記載の方法で設計された蛋白質、11)に記載の蛋白質のいずれかと機能性分子とを連結する工程を含む、分子へのRNA結合特性の付与方法
(式中、 A1は、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
A4は、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンであり;
A8は、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸であり;かつ
A12は、塩基性アミノ酸又は中性アミノ酸又は疎水性である。)を利用する、RNA結合特性を有する蛋白質の設計方法。
11) 配列番号:90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152又は154のアミノ酸配列からなるポリペプチドの全部又はRNA結合活性を有する一部を含む、蛋白質。
12) 11)に定義されたRNA結合性蛋白質をコードする、ポリヌクレオチド。
13) 配列番号:89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151又は153の塩基配列を有する、請求項11に記載のポリヌクレオチド。
14) 1)〜8)に記載の方法で改変されたPPR蛋白質、9)に記載のポリペプチド、10)に記載の方法で設計された蛋白質、11)に記載の蛋白質のいずれかを用いる、RNAの機能の制御方法。
15) 1)〜8)に記載の方法で改変されたPPR蛋白質、9)に記載のポリペプチド、10)に記載の方法で設計された蛋白質、11)に記載の蛋白質のいずれかと機能性分子とを連結する工程を含む、分子へのRNA結合特性の付与方法
本発明により、RNA結合特性を有する蛋白質のRNAとの結合活性を高めることができ、また逆に結合活性を低くすることができる。蛋白質が酵素である場合には、基質RNAとの解離速度の上昇(反応回数の増加)が期待できる。
また本発明により、天然型PPR蛋白質とは異なるRNA親和性及び結合RNA塩基選択性を有する、新規な蛋白質が提供できる。
さらに本発明により提供されるPPRモチーフ又はPPR蛋白質は、複合蛋白質の調製のために有用である。
さらに本発明により提供されるPPRモチーフ又はPPR蛋白質は、複合蛋白質の調製のために有用である。
さらに本発明により、そのような蛋白質をコードするポリヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA)が提供され、形質転換体の作成や、生物(細胞、組織、個体)における様々な場面での制御や機能の付与に利用できる。
本発明で「PPRモチーフ」というときは、特に記載した場合を除き、Web上の蛋白質ドメイン検索プログラムでアミノ酸配列を解析した際に、PfamにおいてはPF01535、InterProScanにおいてはIPR002885、PrositeにおいてはPS51375、で得られるE値が所定値以下(望ましくはE-03)のアミノ酸配列をもつ30〜38アミノ酸で構成されるポリペプチドである。本発明で定義するPPRモチーフを構成するアミノ酸の場所は、PF01535及びIPR002885と同義だが、PS51375のアミノ酸の場所から2引いた数(例;本発明の1番→PS51375の3番)である。
Web情報
Pfam: http://pfam.sanger.ac.uk/
InterProScan: http://www.ebi.ac.uk/Tools/InterProScan/
Prosite: http://www.expasy.org/prosite/
PPRモチーフの保存アミノ酸配列は、前掲非特許文献4及び5に示されている。アミノ酸レベルでの保存性は低いが、2次構造上で2つのαへリックスはよく保存されている。PPRモチーフは、30〜38個のアミノ酸からなり、長さが可変的であるが、典型的なPPRモチーフは、35個のアミノ酸で構成される。
Pfam: http://pfam.sanger.ac.uk/
InterProScan: http://www.ebi.ac.uk/Tools/InterProScan/
Prosite: http://www.expasy.org/prosite/
PPRモチーフの保存アミノ酸配列は、前掲非特許文献4及び5に示されている。アミノ酸レベルでの保存性は低いが、2次構造上で2つのαへリックスはよく保存されている。PPRモチーフは、30〜38個のアミノ酸からなり、長さが可変的であるが、典型的なPPRモチーフは、35個のアミノ酸で構成される。
本発明でいうPPRモチーフは、好ましくは、下記の構造からなる:
(式中:
Helix Aは、12アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり、Helix Aは式II
Helix Aは、12アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり、Helix Aは式II
で表され;
Helix Bは、11〜13アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり;
Xi〜iiiは、それぞれ独立に、1〜9アミノ酸長からなる部分であるか、又は存在しない。)。AXはアミノ酸を表わす。なお、1番のアミノ酸(A1)は、αへリックス構造に含まれる場合と含まれない場合とがある。αへリックス構造の骨格となるアミノ酸を、A3、A6、A7及びA10とする。
Helix Bは、11〜13アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり;
Xi〜iiiは、それぞれ独立に、1〜9アミノ酸長からなる部分であるか、又は存在しない。)。AXはアミノ酸を表わす。なお、1番のアミノ酸(A1)は、αへリックス構造に含まれる場合と含まれない場合とがある。αへリックス構造の骨格となるアミノ酸を、A3、A6、A7及びA10とする。
本発明で「PPR蛋白質」というときは、特に記載した場合を除き、上述のPPRモチーフを、2個以上、好ましくは2〜14個有するPPR蛋白質をいう。本発明では特に、PPRモチーフを2個有する蛋白質を、「ミニPPR蛋白質」ということがある。本明細書で「蛋白質」というときは、特に記載した場合を除き、ポリペプチド(複数のアミノ酸がペプチド結合した鎖)からなる物質全般をいい、比較的低分子のポリペプチドからなるものも含まれる。
本発明において、蛋白質のRNAへの結合能力に関し「結合特性」というときは、特に記載した場合を除き、結合特異性と結合活性とを含む概念として使用している。「結合活性」は、特に記載した場合を除き、本発明では「親和性」と同義で用いており、結合の強さをいう。結合活性の有無又は程度は、当業者であれば、同様の目的で使用される種々の技術を用いて適宜決定することができ、また本明細書の実施例では、そのためのゲルシフト法について、詳細に説明されている。本発明で、ある蛋白質に関し、結合活性が「ない」というときは、3750 nMの蛋白質を用いても、解離定数(Kd)が算出できない場合をいう。結合特性又は結合活性の「改変」は、向上させる場合と、低下させる場合とを含む概念である。結合活性を向上させるとは、Kdを1/10以下にすること、低下させるとはKdを10倍以上にすることをいう。Kdは、結合使用とするRNAに拠り、異なる可能性がある。比較のためには、標準となるRNAとして、本明細書の実施例に記載されているものを用いることができる。
本明細書で「酸性アミノ酸」というときは、特に記載した場合を除き、pH7.0で側鎖(R基と表現されることもある。)が負電荷を有するアミノ酸をいう。この例は、アスパラギン酸及びグルタミン酸である。
本明細書で「塩基性アミノ酸」というときは、特に記載した場合を除き、特に記載した場合を除き、pH7.0で側鎖が正電荷を有するアミノ酸をいう。この例は、リシン、アルギニン、及びヒスチジンである。
本明細書で「中性アミノ酸」というときは、特に記載した場合を除き、酸性アミノ酸でなく、かつ塩基性アミノ酸でもないアミノ酸をいう。この例は、アスパラギン、セリン、グルタミン、スレオニン(トレオニンと表記されることもある。)、グリシン、チロシン、トリプトファン、システイン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンである。
本明細書で「疎水性アミノ酸」というときは、特に記載した場合を除き、非極性の脂肪族側鎖を有するアミノ酸をいう。疎水性アミノ酸は、通常、非極性アミノ酸と同義で用いられる。疎水性アミノ酸の例は、グリシン、トリプトファン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンである。
本明細書で「アミノ酸」というときは、遊離のアミノ酸を指している場合と、ペプチド鎖を構成しているアミノ酸残基を指している場合とがある。いずれの意味で用いているかは、当業者には文脈から明らかである。
本明細書において、モチーフ又は蛋白質のアミノ酸配列に関して「置換」というとき、そのための手法は特に限定されない。置換を含むアミノ酸配列に係るポリヌクレオチドを調製するための手段には、例えば、site-directed mutagenesis法(Kramer W & Fritz H-J: Methods Enzymol 154: 350、 1987)がある。また、当業者であれば、本発明の実施例の記載を参考にすることができる。
本発明は、モチーフ又は蛋白質において特定の位置にあるアミノ酸の置換に関するものであるが、本発明として規定した位置の置換に限らず、他の位置においても、性質の似たアミノ酸への置換は、モチーフ又は蛋白質を行うことができ、このような置換を含む場合もまた、本発明の範囲に含まれる。性質の似たアミノ酸への置換とは、例えば、酸性アミノ酸同士の置換、塩基性アミノ酸同士の置換、中性アミノ酸同士の置換、疎水性アミノ酸同士の置換をいう。この観点で置換されるアミノ酸の個数は、そのアミノ酸配列からなるポリペプチドが所望の機能を有する限り特に限定されないが、例えば1〜9個、又は1〜4個程度である。
PPRモチーフとしての保存アミノ配列検索法は確立しているが、RNA結合特性を呈するために必要なアミノ酸に関しては、本発明以前に全く発見されていなかった。本発明により、以下の知見が提供される:
(1)PPRモチーフのアミノ酸配列、予備的な構造予測から、Helix AにRNA結合に寄与するアミノ酸が配置されていると予測される。
(2)A1、A4、A8、A9、A12の5つのアミノ酸への置換導入がRNA結合特性の改変をもたらしうる。
(3)第一の(上流の)PPRモチーフのA1、A4及びA8は、RNAとの結合に能動的に働く。すなわち、A1、A4及びA8を適切に操作することで、PPRモチーフひいてはPPR蛋白質のRNA親和性を向上しうる。
(4)A12もPPRモチーフのRNA親和性に能動的に働き、また複数個のPPRモチーフを含む場合には、12番アミノ酸が塩基性アミノ酸であるモチーフと中性(又は疎水性)アミノ酸であるモチーフとを適切に組み合わせることにより、RNA親和性の向上が期待できる。
(5) また多数(例えば4個以上、好ましくは4〜14個、より好ましくは7〜14個)のPPRモチーフを有するPPR蛋白質においては、1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A8が塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸であること、及び/又は1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A12が塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸であり、このような配置を模倣することにより、RNA結合特性の向上が期待できる。
(6)あるPPRモチーフのA1と、同じPPRモチーフ上のA4とがRNA結合において協同している可能性があり、またあるPPRモチーフのA8と、それと同じPPRモチーフのA12とが、RNA結合において協同している可能性がある。
(1)PPRモチーフのアミノ酸配列、予備的な構造予測から、Helix AにRNA結合に寄与するアミノ酸が配置されていると予測される。
(2)A1、A4、A8、A9、A12の5つのアミノ酸への置換導入がRNA結合特性の改変をもたらしうる。
(3)第一の(上流の)PPRモチーフのA1、A4及びA8は、RNAとの結合に能動的に働く。すなわち、A1、A4及びA8を適切に操作することで、PPRモチーフひいてはPPR蛋白質のRNA親和性を向上しうる。
(4)A12もPPRモチーフのRNA親和性に能動的に働き、また複数個のPPRモチーフを含む場合には、12番アミノ酸が塩基性アミノ酸であるモチーフと中性(又は疎水性)アミノ酸であるモチーフとを適切に組み合わせることにより、RNA親和性の向上が期待できる。
(5) また多数(例えば4個以上、好ましくは4〜14個、より好ましくは7〜14個)のPPRモチーフを有するPPR蛋白質においては、1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A8が塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸であること、及び/又は1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A12が塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸であり、このような配置を模倣することにより、RNA結合特性の向上が期待できる。
(6)あるPPRモチーフのA1と、同じPPRモチーフ上のA4とがRNA結合において協同している可能性があり、またあるPPRモチーフのA8と、それと同じPPRモチーフのA12とが、RNA結合において協同している可能性がある。
本発明により、既存のPPR蛋白質の親和性を改変できる。
PPR蛋白質は、植物に多く存在する。例えば、ある種のPPR蛋白質は花粉形成(雄性配偶子)の形成に働くが、これのRNA親和性を改変し、花粉形成効率を上昇させることができる。また、既存のPPR蛋白質は、ミトコンドリアや葉緑体で働くことが多いので、PPR蛋白質のRNA親和性の改変は、ミトコンドリアや葉緑体の機能の改変(PPR蛋白質の異常で、光合成、呼吸、有用代謝物の合成が変化することが知られている。)をもたらし得る。動物では、LRPPRCと同定されるPPR蛋白質の異常がLeigh syndrome French Canadian (LSFC; リー症候群、亜急性壊死性脳脊髄症) を引き起こすことが知られているので、本発明はLSFCの処置(予防、治療、進行の抑制)に寄与しうる。
PPR蛋白質は、植物に多く存在する。例えば、ある種のPPR蛋白質は花粉形成(雄性配偶子)の形成に働くが、これのRNA親和性を改変し、花粉形成効率を上昇させることができる。また、既存のPPR蛋白質は、ミトコンドリアや葉緑体で働くことが多いので、PPR蛋白質のRNA親和性の改変は、ミトコンドリアや葉緑体の機能の改変(PPR蛋白質の異常で、光合成、呼吸、有用代謝物の合成が変化することが知られている。)をもたらし得る。動物では、LRPPRCと同定されるPPR蛋白質の異常がLeigh syndrome French Canadian (LSFC; リー症候群、亜急性壊死性脳脊髄症) を引き起こすことが知られているので、本発明はLSFCの処置(予防、治療、進行の抑制)に寄与しうる。
本発明により得られる改変されたPPRモチーフ又はPPR蛋白質は、他の機能性蛋白質と連結して、有用な複合蛋白質として利用することができる。例えば、あるPPR蛋白質は、PPRモチーフの繰り返しの後にRNA切断ドメインが連結されている。このようにRNA結合ドメインを連結させれば、配列特異的なRNA切断酵素(制限酵素のRNA version)を構成しうる。また、GFP(緑色蛍光タンパク質)を連結し、目的RNAを可視化するために用いうる。さらに、リボソームS1蛋白質を連結し、翻訳速度の向上が期待できる。
一方、既存のPPR蛋白質のうち、DNAに作用するものがある。このようなPPR蛋白質のあるものにおいては、核に局在し、Pol2(核に存在するRNA転写酵素)と相互作用するドメインが付加されている。したがって、本発明により得られたPPRモチーフ又はPPR蛋白質にこのようなドメインを連結して、転写の活性化を目指すことができる。
また、PPR蛋白質には、RNA編集(RNA上での遺伝情報の変換;多くの場合、C→U)において、編集部位の指定に働くことが知られているものがある。このタイプのPPR蛋白質にはC末端にEドメインというRNA編集酵素と相互作用すると予想されるドメインが付いている。このようなEドメインを連結することにより、塩基多型を導入したり、また塩基多型に関連した疾患又は状態を処置に寄与しうる。
本発明は、新規なPPRタンパク質、すなわち配列番号:90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152又は154のアミノ酸配列からなるポリペプチドの全部又はRNA結合活性を有する一部を含む、蛋白質を提供する。また、このようなRNA結合性蛋白質をコードする、ポリヌクレオチド(DNA又はRNA)、すなわち配列番号:89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151又は153の塩基配列を有するポリヌクレオチドを提供する。このような蛋白質及びポリヌクレオチドは、合成物であっても、天然物であってもよく、当業者であれば、既存の方法で調製することができる。
[実施例1:2個のPPRモチーフからなるミニPPR蛋白質の調製]
(シロイヌナズナからのゲノムDNAの調製)
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana, ecotype Columbia)をムラシゲ・スクーク培地(2%ショ糖、0.5% Gellangamを含む)で3週間培養した。培養した植物の緑葉(0.5 g)をフェノール/クロロホルム抽出した後、エタノールを加えてDNAを不溶化した。回収したDNAを100 μlのTE液(10 mM トリス・塩酸 (pH 8.0)、1mM EDTA)に溶解し、10ユニットのRNase A(DNase-free、タカラバイオ社)を加えて、37℃で30分反応させた。その後、反応液を再度フェノール/クロロホルム抽出した後、エタノール沈殿によりDNAを回収した。10 μgのDNAが得られた。
(シロイヌナズナからのゲノムDNAの調製)
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana, ecotype Columbia)をムラシゲ・スクーク培地(2%ショ糖、0.5% Gellangamを含む)で3週間培養した。培養した植物の緑葉(0.5 g)をフェノール/クロロホルム抽出した後、エタノールを加えてDNAを不溶化した。回収したDNAを100 μlのTE液(10 mM トリス・塩酸 (pH 8.0)、1mM EDTA)に溶解し、10ユニットのRNase A(DNase-free、タカラバイオ社)を加えて、37℃で30分反応させた。その後、反応液を再度フェノール/クロロホルム抽出した後、エタノール沈殿によりDNAを回収した。10 μgのDNAが得られた。
(ミニPPR蛋白質HCF152/5&6をコードする遺伝子のクローニング)
シロイヌナズナからのゲノムDNAの調製は上記の実施例1に記載されている方法により行った。PPRタンパク質遺伝子HCF152(at3g09650;配列番号:75、76)は12個のPPRモチーフをもつ(図1A) (参照文献1)。シロイヌナズナゲノム情報データベース(MATDB: http://mips.gsf.de/proj/thal/db/index.html)で配列情報を参照し、5番目と6番目の2つのPPRモチーフで構成されるミニPPR蛋白質遺伝子を持つDNA配列を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー(HCF/P5-F、HCF/P6-R;配列番号:1、2に記載)を調製した。オリゴヌクレオチドプライマーのフォワードプライマー、リバースプライマー5'側にはそれぞれSpeI、Sal I配列を付加した。Spe IとSal I配列は得られたクローンを制限酵素処理で挿入配列を切り出すのに利用できるように組み入れた。
シロイヌナズナからのゲノムDNAの調製は上記の実施例1に記載されている方法により行った。PPRタンパク質遺伝子HCF152(at3g09650;配列番号:75、76)は12個のPPRモチーフをもつ(図1A) (参照文献1)。シロイヌナズナゲノム情報データベース(MATDB: http://mips.gsf.de/proj/thal/db/index.html)で配列情報を参照し、5番目と6番目の2つのPPRモチーフで構成されるミニPPR蛋白質遺伝子を持つDNA配列を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー(HCF/P5-F、HCF/P6-R;配列番号:1、2に記載)を調製した。オリゴヌクレオチドプライマーのフォワードプライマー、リバースプライマー5'側にはそれぞれSpeI、Sal I配列を付加した。Spe IとSal I配列は得られたクローンを制限酵素処理で挿入配列を切り出すのに利用できるように組み入れた。
5番目と6番目のPPRモチーフで構成されるミニPPR蛋白質遺伝子を含むDNA断片は、100 ngのゲノムDNAと上記プライマーを含む50 μlの反応液を95℃ 30秒、60℃ 30秒、72℃ 30秒の25サイクルでKOD-FX (TOYOBO社) をDNA 伸長酵素として用い、PCRすることによって、それぞれ増幅した。得られたDNA断片は、pBAD/Thio-TOPO ベクター(Invitrogen社)を用いて、製品に添付するプロトコールに従ってクローニングした。クローン化したミニPPR蛋白質をコードするDNA配列を決定し、上記データベース上において目的と相当するDNA配列と相同な配列(配列番号:79)であることを確認し、pHCF152/5&6と命名した。
(ミニPPRタンパク質HCF152/5&6の調製)
上で得られたプラスミドをEscherichia coli TOP10株(Invitrogen社)に形質転換した。この大腸菌をアンピシリンが100 μg/mlの濃度で存在するLB培地300 ml(300mL培地を含む1L三角フラスコ)中で、37℃で培養した。培養液の濁度が波長600 nmでの吸光度が0.5に達した時に、誘導物質であるL-アラビノースを最終濃度が0.2%になるように添加し、さらに4時間培養を行った。遠心による集菌後、菌体を1 mg/mlのリゾチームを含む200 mlのバッファーA(50 mM トリス・塩酸 pH 8.0、500 mM KCl、2 mM imidazole、10 mM MgCl2、0.5% Triton X100、10% グリセロール)に懸濁し、超音波破砕と凍結溶解により菌体を破壊した。15,000 x g、20分間の遠心分離後に、上清を粗抽出液として回収した。この粗抽出液をバッファーAで平衡化したニッケルカラム樹脂(ProBond A、Invitrogen社)を充填したカラムに供した。
上で得られたプラスミドをEscherichia coli TOP10株(Invitrogen社)に形質転換した。この大腸菌をアンピシリンが100 μg/mlの濃度で存在するLB培地300 ml(300mL培地を含む1L三角フラスコ)中で、37℃で培養した。培養液の濁度が波長600 nmでの吸光度が0.5に達した時に、誘導物質であるL-アラビノースを最終濃度が0.2%になるように添加し、さらに4時間培養を行った。遠心による集菌後、菌体を1 mg/mlのリゾチームを含む200 mlのバッファーA(50 mM トリス・塩酸 pH 8.0、500 mM KCl、2 mM imidazole、10 mM MgCl2、0.5% Triton X100、10% グリセロール)に懸濁し、超音波破砕と凍結溶解により菌体を破壊した。15,000 x g、20分間の遠心分離後に、上清を粗抽出液として回収した。この粗抽出液をバッファーAで平衡化したニッケルカラム樹脂(ProBond A、Invitrogen社)を充填したカラムに供した。
カラムクロマトグラフィーは、20 mM imidazoleを含むバッファーAで十分に洗浄した後、200 mM imidazoleを含むバッファーAで目的タンパク質を溶出する二段階濃度勾配により行った。得られた組み換えタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認したところ、約30 kDaのタンパク質として検出された。これをHCF152/5&6タンパク質と命名した(配列番号78)。なお、このタンパク質は、配列番号78に記載のアミノ酸配列を備えるとともに、N末端側に溶解性を高めるためのチオレドキンのアミノ酸配列、C末端側にヒスチジンタグ配列を備える融合タンパク質である。T-DYWタンパク質を含む精製画分100 μlを500 mLのバッファー E(20 mM トリス・塩酸 pH 7.9、60 mM KCl、12.5 mM MgCl2、0.1 mM EDTA、17% グリセロール、2 mM DTT)で透析した後、精製標品とした。
(様々なミニPPRタンパク質の調製)
上の方法と同様に、HCF152蛋白質に由来する異なるPPRモチーフ2個で構成されるミニPPR蛋白質遺伝子:
pHCF152/6&7(配列番号:81)はプライマーHCF/P6-F及びHCF/P7-R(配列番号3、4に記載)、
pHCF152/7&8(配列番号:83)はプライマーHCF/P7-F及びHCF/P8-R(配列番号5、6に記載)、
pHCF152/8&9(配列番号:85)はプライマーHCF/P8-F及びHCF/P9-R(配列番号7、8に記載)、
pHCF152/9&10(配列番号:87)はプライマーHCF/P9-F及びHCF/P10-R(配列番号9、10に記載)、
pHCF152/10&11(配列番号:89)はプライマーHCF/P10-F及びHCFP11-R(配列番号11、12に記載)
を用いて遺伝子のクローニングを行った。
上の方法と同様に、HCF152蛋白質に由来する異なるPPRモチーフ2個で構成されるミニPPR蛋白質遺伝子:
pHCF152/6&7(配列番号:81)はプライマーHCF/P6-F及びHCF/P7-R(配列番号3、4に記載)、
pHCF152/7&8(配列番号:83)はプライマーHCF/P7-F及びHCF/P8-R(配列番号5、6に記載)、
pHCF152/8&9(配列番号:85)はプライマーHCF/P8-F及びHCF/P9-R(配列番号7、8に記載)、
pHCF152/9&10(配列番号:87)はプライマーHCF/P9-F及びHCF/P10-R(配列番号9、10に記載)、
pHCF152/10&11(配列番号:89)はプライマーHCF/P10-F及びHCFP11-R(配列番号11、12に記載)
を用いて遺伝子のクローニングを行った。
同様に蛋白質の調製を行い、それぞれ、HCF152/6&7(配列番号:80)、HCF152/7&8(配列番号:82)、HCF152/8&9(配列番号:84)、HCF152/9&10(配列番号:86)、HCF152/10&11(配列番号:88)蛋白質と命名した(図1A)。
(アミノ酸置換ミニPPR蛋白質の調製)
アミノ酸を置換したミニPPR蛋白質:
p5&6/5-T4E(配列番号:95)はプライマーHCF5(4T-E)2-F及びHCF/P6-R(配列番号:02、17)、
p5&6/5-T4N(配列番号:97)はプライマーHCF5(4T-N)2-F及びHCF/P6-R(配列番号:02、17)、
p5&6/5-T5I(配列番号:99)はプライマーHCF5(T5I)-F及びHCF/P6-R(配列番号:02、17)、
p6&7/6-V1R(配列番号:139)はプライマーHCF6&7/6_V1R-F及びHCF/P7-R(配列番号:04、58)
を用いて遺伝子のクローニングを行った。
アミノ酸を置換したミニPPR蛋白質:
p5&6/5-T4E(配列番号:95)はプライマーHCF5(4T-E)2-F及びHCF/P6-R(配列番号:02、17)、
p5&6/5-T4N(配列番号:97)はプライマーHCF5(4T-N)2-F及びHCF/P6-R(配列番号:02、17)、
p5&6/5-T5I(配列番号:99)はプライマーHCF5(T5I)-F及びHCF/P6-R(配列番号:02、17)、
p6&7/6-V1R(配列番号:139)はプライマーHCF6&7/6_V1R-F及びHCF/P7-R(配列番号:04、58)
を用いて遺伝子のクローニングを行った。
同様に蛋白質の調製を行い、それぞれ、5&6/5-T4E(配列番号:94)、5&6/5-T4N(配列番号:96)、5&6/5-T5I(配列番号:98)、6&7/6-V1R(配列番号:138)と命名した。
p5&6/5-R1A(配列番号:91)はプライマーHCF/5&6_R1A-F及びHCF/5&6_R1A-R、鋳型DNAにpHCF152/5&6を用いて、site directed mutagenesis kit (Stratagene社)により添付のプロトコールに従って、遺伝子のクローニングを行った。同様に蛋白質の調製を行い、5&6/5-R1A(配列番号:90)と命名した。
p5&6/5-R1A(配列番号:91)はプライマーHCF/5&6_R1A-F及びHCF/5&6_R1A-R、鋳型DNAにpHCF152/5&6を用いて、site directed mutagenesis kit (Stratagene社)により添付のプロトコールに従って、遺伝子のクローニングを行った。同様に蛋白質の調製を行い、5&6/5-R1A(配列番号:90)と命名した。
5&6/5-R1Aと同様に:
p5&6/5-R1I(配列番号:93)はプライマーHCF/5&6_R1I-F及びHCF/5&6_R1I-R(配列番号:15、16)、
p5&6/5-K8N(配列番号:101)はプライマー5&6/5_K8N-F及び5&6/5_K8N-R(配列番号:20、21)、
p5&6/5-K8A(配列番号:103)はプライマー5&6/5_K8A-F及び5&6/5_K8A-R(配列番号:22、23)、
p5&6/5-G9L(配列番号:105)はプライマーHCF/5&6_G9L-F及びHCF/5&6_G9L-R(配列番号:24、25)、
p5&6/5-G9A(配列番号:107)はプライマーHCF/5&6_G9A-F及びHCF/5&6_G9A-R(配列番号:26、27)、
p5&6/5-M11A(配列番号:109)はプライマーHCF5(M11A)-F及びHCF5(M11A)-R(配列番号:28、29)、
p5&6/5-M11I(配列番号:111)はプライマーHCF5(M11I)-F及びHCF5(M11I)-R(配列番号:30、31)、
p5&6/5-K12A(配列番号:113)はプライマー5&6/5_K12A-F及び5&6/5_K12A-R(配列番号:32、33)、
p5&6/5-K12H(配列番号:115)はプライマーHCF5(12K-H)-F及びHCF5(12K-H)-R(配列番号:34、35)、
p5&6/5-K12N(配列番号:117)はプライマー5&6/5_K12N-F及び5&6/5_K12N-R(配列番号:36、37)、
p5&6/5-N13A(配列番号:119)はプライマーHCF/5&6_N13A-F及びHCF/5&6_N13A-R(配列番号:38、39)、
p5&6/5-N13L(配列番号:121)はプライマーHCF/5&6_N13L-F及びHCF/5&6_N13L-R(配列番号:40、41)、
p5&6/5-G14A(配列番号:123)はプライマーHCF/5&6_G14A-F及びHCF/5&6_G14A-R(配列番号:42、43)、
p5&6/5-G14D(配列番号:125)はプライマーHCF/5&6_G14D-F及びHCF/5&6_G14D-R(配列番号:44、45)、
p5&6/6-T4N(配列番号:127)はプライマー5&6/6_T4N-F及び5&6/6_T4N-R(配列番号:46、47)、
p5&6/6-T4A (配列番号:129)はプライマー5&6/6_T4A-F及び5&6/6_T4A-R(配列番号:48、49)、
p5&6/6-S8A(配列番号:131)はプライマー5&6/6_S8A-F及び5&6/6_S8A-R(配列番号:50、51)、
p5&6/6-S8K(配列番号:133)はプライマー5&6/6_S8K-F及び5&6/6_S8K-R(配列番号:52、53)、
p5&6/6-N12A(配列番号:135)はプライマー5&6/6_N12A-F及び5&6/6_N12A-R(配列番号:54、55)、
p5&6/6-N12R(配列番号:137)はプライマー5&6/6_N12R-F及び5&6/6_N12R-R(配列番号:56、57)
を用いて、site directed mutagenesis kit (Stratagene社)により、遺伝子のクローニングを行った。
p5&6/5-R1I(配列番号:93)はプライマーHCF/5&6_R1I-F及びHCF/5&6_R1I-R(配列番号:15、16)、
p5&6/5-K8N(配列番号:101)はプライマー5&6/5_K8N-F及び5&6/5_K8N-R(配列番号:20、21)、
p5&6/5-K8A(配列番号:103)はプライマー5&6/5_K8A-F及び5&6/5_K8A-R(配列番号:22、23)、
p5&6/5-G9L(配列番号:105)はプライマーHCF/5&6_G9L-F及びHCF/5&6_G9L-R(配列番号:24、25)、
p5&6/5-G9A(配列番号:107)はプライマーHCF/5&6_G9A-F及びHCF/5&6_G9A-R(配列番号:26、27)、
p5&6/5-M11A(配列番号:109)はプライマーHCF5(M11A)-F及びHCF5(M11A)-R(配列番号:28、29)、
p5&6/5-M11I(配列番号:111)はプライマーHCF5(M11I)-F及びHCF5(M11I)-R(配列番号:30、31)、
p5&6/5-K12A(配列番号:113)はプライマー5&6/5_K12A-F及び5&6/5_K12A-R(配列番号:32、33)、
p5&6/5-K12H(配列番号:115)はプライマーHCF5(12K-H)-F及びHCF5(12K-H)-R(配列番号:34、35)、
p5&6/5-K12N(配列番号:117)はプライマー5&6/5_K12N-F及び5&6/5_K12N-R(配列番号:36、37)、
p5&6/5-N13A(配列番号:119)はプライマーHCF/5&6_N13A-F及びHCF/5&6_N13A-R(配列番号:38、39)、
p5&6/5-N13L(配列番号:121)はプライマーHCF/5&6_N13L-F及びHCF/5&6_N13L-R(配列番号:40、41)、
p5&6/5-G14A(配列番号:123)はプライマーHCF/5&6_G14A-F及びHCF/5&6_G14A-R(配列番号:42、43)、
p5&6/5-G14D(配列番号:125)はプライマーHCF/5&6_G14D-F及びHCF/5&6_G14D-R(配列番号:44、45)、
p5&6/6-T4N(配列番号:127)はプライマー5&6/6_T4N-F及び5&6/6_T4N-R(配列番号:46、47)、
p5&6/6-T4A (配列番号:129)はプライマー5&6/6_T4A-F及び5&6/6_T4A-R(配列番号:48、49)、
p5&6/6-S8A(配列番号:131)はプライマー5&6/6_S8A-F及び5&6/6_S8A-R(配列番号:50、51)、
p5&6/6-S8K(配列番号:133)はプライマー5&6/6_S8K-F及び5&6/6_S8K-R(配列番号:52、53)、
p5&6/6-N12A(配列番号:135)はプライマー5&6/6_N12A-F及び5&6/6_N12A-R(配列番号:54、55)、
p5&6/6-N12R(配列番号:137)はプライマー5&6/6_N12R-F及び5&6/6_N12R-R(配列番号:56、57)
を用いて、site directed mutagenesis kit (Stratagene社)により、遺伝子のクローニングを行った。
同様に蛋白質の調製を行い、5&6/5-R1I(配列番号:92)、5&6/5-K8N(配列番号:100)、5&6/5-K8A(配列番号:102)、5&6/5-G9L(配列番号:104)、5&6/5-G9A(配列番号:106)、5&6/5-M11A(配列番号:108)、5&6/5-M11I(配列番号:110)、5&6/5-K12A(配列番号:112)、5&6/5-K12H(配列番号:114) 、5&6/5-K12N(配列番号:116)、5&6/5-N13A(配列番号:118)、5&6/5-N13L(配列番号:120)、5&6/5-G14A(配列番号:122)、5&6/5-G14D(配列番号:124)、5&6/6-T4N(配列番号:126)、5&6/6-T4A (配列番号:128)、5&6/6-S8A(配列番号:130)、5&6/6-S8K(配列番号:132)、5&6/6-N12A(配列番号:134)、5&6/6-N12R(配列番号:136)と命名した。
また:
p6&7/7-N4T(配列番号:141)はプライマー6&7_7/N4T-F及び6&7_7/N4T-R(配列番号:59、60)、
p6&7/6-S8K(配列番号:143)はプライマー6&7_6/S8K-F及び6&7_6/S8K-R(配列番号:61、62)、
p6&7/6-S8D(配列番号:145)はプライマー6&7_6/S8D-F及び6&7_6/S8D-R(配列番号:63、64)、
は、site directed mutagenesis kit (Stratagene社)及び、鋳型にpHCF152/6&7を用いて、遺伝子のクローニングをした。
p6&7/7-N4T(配列番号:141)はプライマー6&7_7/N4T-F及び6&7_7/N4T-R(配列番号:59、60)、
p6&7/6-S8K(配列番号:143)はプライマー6&7_6/S8K-F及び6&7_6/S8K-R(配列番号:61、62)、
p6&7/6-S8D(配列番号:145)はプライマー6&7_6/S8D-F及び6&7_6/S8D-R(配列番号:63、64)、
は、site directed mutagenesis kit (Stratagene社)及び、鋳型にpHCF152/6&7を用いて、遺伝子のクローニングをした。
同様に蛋白質の調製を行い、6&7/7-N4T(配列番号:140)、6&7/6-S8K(配列番号:142)、6&7/6-S8D(配列番号:144)と命名した。
さらに:
p8&9/8-D8K(配列番号:151)は、プライマー8&9_8/D8K-F及び8&9_8/D8K-R(配列番号:65、66)、鋳型にpHCF152/8&9;
p8&9/9-K8D(配列番号:153)は、プライマー8&9_9/K8D-F及び8&9_9/K8D-R(配列番号:67、68)、鋳型にpHCF152/8&9;
p8&9/8-D8K, 9-K8D(配列番号:155)は、プライマー8&9_8/D8K-F及び8&9_8/D8K-R(配列番号:65、66)、鋳型に8&9/9-K8D;
p5&6/5-K12N, 6/N12K(配列番号:147)は、プライマー5&6_6/N12K-F及び5&6_6/N12K-R(配列番号:69、70)、鋳型にp5&6_5/K12N;
p5&6/5-K12M, 6/N12R(配列番号:149)は、プライマー5&6_5/K12M-F及び5&6_5/K12M-R(配列番号:71、72)、鋳型にp5&6_6N12R
を用いて、遺伝子のクローニングをした。
さらに:
p8&9/8-D8K(配列番号:151)は、プライマー8&9_8/D8K-F及び8&9_8/D8K-R(配列番号:65、66)、鋳型にpHCF152/8&9;
p8&9/9-K8D(配列番号:153)は、プライマー8&9_9/K8D-F及び8&9_9/K8D-R(配列番号:67、68)、鋳型にpHCF152/8&9;
p8&9/8-D8K, 9-K8D(配列番号:155)は、プライマー8&9_8/D8K-F及び8&9_8/D8K-R(配列番号:65、66)、鋳型に8&9/9-K8D;
p5&6/5-K12N, 6/N12K(配列番号:147)は、プライマー5&6_6/N12K-F及び5&6_6/N12K-R(配列番号:69、70)、鋳型にp5&6_5/K12N;
p5&6/5-K12M, 6/N12R(配列番号:149)は、プライマー5&6_5/K12M-F及び5&6_5/K12M-R(配列番号:71、72)、鋳型にp5&6_6N12R
を用いて、遺伝子のクローニングをした。
同様に蛋白質の調製を行い、8&9/8-D8K(配列番号:150)、8&9/9-K8D(配列番号:152)、8&9/8-D8K, 9-K8D(配列番号:154)、5&6/5-K12N, 6/N12K(配列番号:146)、5&6/5-K12M, 6/N12R(配列番号:148)と命名した。
(基質RNAの調製)
基質RNAとして、at3g09650蛋白質の内在の標的配列を含むシロイヌナズナ葉緑体petB遺伝子の開始コドンを含む120塩基のRNAを用いた(参照文献2)。基質RNAをBD120と命名した(配列番号:77)。基質RNAであるBD120を合成するためのDNA断片は、オリゴヌクレオチドプライマーBD120-FとBD120-R(配列番号73、74)を用いて、上記のシロイヌナズナゲノムDNA 10 ngを鋳型DNAとして含む50 μlの反応液を95℃ 30秒、60℃ 30秒、72℃ 30秒の25サイクルでKOD FX (TOYOBO 社) をDNA 伸長酵素として用い、PCRすることによって増幅した。BD120-Fプライマーの5'末端側には基質RNAを試験管内で合成するためのT7 プロモータ配列を付加した。得られたDNA断片は、アガロースゲルで展開後、ゲルから切り出すことによって精製した。精製DNA断片を鋳型にNTP mix(10 nmol GTP、CTP、ATP、0.5 nmol UTP)、4 μl [32P] α-UTP (GE ヘルスケア社、3000 Ci/mmol)、T7 RNA polymerase(タカラバイオ社)を含む20μlの反応液を37℃ 60分間反応させることで、基質RNAを合成した。基質RNAはフェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿後、全量を6 M 尿素を含む変性6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開し、X線フィルムで60秒間感光させることによって、32P標識RNAを検出した。32P標識RNAをゲルから切り出し、200 μlのゲル溶出液(0.3 M 酢酸ナトリウム、2.5 mM EDTA、0.01% SDS)中に、4℃で12時間浸し、RNAをゲルから溶出した。溶出したRNAのうち、1 μlの放射活性を測定し、合成したRNAの総量を算出した。エタノール沈殿後、2500 cpm/μl (1 fmol/μl)になるように、RNAを超純水に溶解した。この調製方法で通常、2500 cpm/μlのRNAが約100 μl得られる。
基質RNAとして、at3g09650蛋白質の内在の標的配列を含むシロイヌナズナ葉緑体petB遺伝子の開始コドンを含む120塩基のRNAを用いた(参照文献2)。基質RNAをBD120と命名した(配列番号:77)。基質RNAであるBD120を合成するためのDNA断片は、オリゴヌクレオチドプライマーBD120-FとBD120-R(配列番号73、74)を用いて、上記のシロイヌナズナゲノムDNA 10 ngを鋳型DNAとして含む50 μlの反応液を95℃ 30秒、60℃ 30秒、72℃ 30秒の25サイクルでKOD FX (TOYOBO 社) をDNA 伸長酵素として用い、PCRすることによって増幅した。BD120-Fプライマーの5'末端側には基質RNAを試験管内で合成するためのT7 プロモータ配列を付加した。得られたDNA断片は、アガロースゲルで展開後、ゲルから切り出すことによって精製した。精製DNA断片を鋳型にNTP mix(10 nmol GTP、CTP、ATP、0.5 nmol UTP)、4 μl [32P] α-UTP (GE ヘルスケア社、3000 Ci/mmol)、T7 RNA polymerase(タカラバイオ社)を含む20μlの反応液を37℃ 60分間反応させることで、基質RNAを合成した。基質RNAはフェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿後、全量を6 M 尿素を含む変性6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開し、X線フィルムで60秒間感光させることによって、32P標識RNAを検出した。32P標識RNAをゲルから切り出し、200 μlのゲル溶出液(0.3 M 酢酸ナトリウム、2.5 mM EDTA、0.01% SDS)中に、4℃で12時間浸し、RNAをゲルから溶出した。溶出したRNAのうち、1 μlの放射活性を測定し、合成したRNAの総量を算出した。エタノール沈殿後、2500 cpm/μl (1 fmol/μl)になるように、RNAを超純水に溶解した。この調製方法で通常、2500 cpm/μlのRNAが約100 μl得られる。
(ミニPPR蛋白質のRNA結合能)
ミニPPR蛋白質のRNA結合活性は、ゲルシフト法によって解析した。反応液(10 mM トリス・塩酸 pH 7.9、30 mM KCl、6 mM MgCl2、2 mM DTT、8% グリセロール、0.0067% of Triton X-100)20 μl中に上記の375 pM(7.5 fmol/20μL)の基質RNA(BD120)と0〜3750 nMのミニPPRタンパク質を混合し、25℃で15分間反応した。その後、反応液に4 マイクロリットルの80% glycerol液を添加し、10μLを1xTBE (89 mM Tris-HCl、89 mM Boric acid、2 mM EDTA)を含む10%未変性ポリアクリルアミドゲルで展開し、電気泳動後にゲルを乾燥させた。ゲル中のRNAの放射活性をバイオイメージングアナライザーBAS2000(フジフィルム社)で測定した。その結果を図1C〜Hに示した。図1C〜Hに示すように、蛋白質とRNAの結合は、32P標識RNAの移動度の違いとして現れる。32P標識RNA・蛋白質複合体の分子量が、32P標識RNA単体の分子量より大きいため、電泳動での移動度が遅くなるためである。図1C〜Hの結果をもとに、蛋白質とRNAの結合を定量し(図1B)、解離定数(Kd)を求めることによって評価した(図2C)。3750 nMの蛋白質を用いても、Kdが算出できない場合は、ND(not determined)とした。
ミニPPR蛋白質のRNA結合活性は、ゲルシフト法によって解析した。反応液(10 mM トリス・塩酸 pH 7.9、30 mM KCl、6 mM MgCl2、2 mM DTT、8% グリセロール、0.0067% of Triton X-100)20 μl中に上記の375 pM(7.5 fmol/20μL)の基質RNA(BD120)と0〜3750 nMのミニPPRタンパク質を混合し、25℃で15分間反応した。その後、反応液に4 マイクロリットルの80% glycerol液を添加し、10μLを1xTBE (89 mM Tris-HCl、89 mM Boric acid、2 mM EDTA)を含む10%未変性ポリアクリルアミドゲルで展開し、電気泳動後にゲルを乾燥させた。ゲル中のRNAの放射活性をバイオイメージングアナライザーBAS2000(フジフィルム社)で測定した。その結果を図1C〜Hに示した。図1C〜Hに示すように、蛋白質とRNAの結合は、32P標識RNAの移動度の違いとして現れる。32P標識RNA・蛋白質複合体の分子量が、32P標識RNA単体の分子量より大きいため、電泳動での移動度が遅くなるためである。図1C〜Hの結果をもとに、蛋白質とRNAの結合を定量し(図1B)、解離定数(Kd)を求めることによって評価した(図2C)。3750 nMの蛋白質を用いても、Kdが算出できない場合は、ND(not determined)とした。
図2Cに示すとおり、それぞれのミニPPR蛋白質は異なるRNA親和性を呈することが明らかになった。例えば、HCF152/8&9蛋白質のRNA親和性はKd=5.3 nMであるが、HCF152/10&11はKd=5236.3 nMであり、そのRNA親和性の差は1000倍以上である。
次に、上で記したRNA親和性の違いを司るアミノ酸の予測を行った。上で示したように、PPRモチーフは2つのαへリックスで構成され、広義のhelical repeat protein familyに分類されることが配列情報から予測されている(図2A; 前掲非特許文献4)。このファミリーには、前述のプミリオ蛋白質を構成するpufモチーフ(36アミノ酸;3つのへリックス)を含めて、TPR (34アミノ酸;2つのへリックス), ARM (38アミノ酸;3つのへリックス), HEAT (34アミノ酸;2つのへリックス)などが含まれ、一様に半ドーナッツ型、三日月型の全体構造を示す(参照文献3)。
PPRモチーフのアミノ酸配列、予備的な構造予測から、Helix AにRNA結合に働くアミノ酸が配置されていると予測された。そこで、Helix Aに含まれるアミノ酸に着目した。PPRモチーフに於いてはHelix Aは2〜12番のアミノ酸で構成される。1番のアミノ酸は、へリックスに含まれる場合と含まれない場合がある(点線でしめした;図2C)。PPRモチーフとよく似たTPRモチーフ(蛋白質・蛋白質相互作用に働く)の保存配列を比較すると、図2A及びBにおいて灰色で示すアミノ酸は、αへリックスの骨格を形成すると予測され(PPRモチーフHelix Aの3,6,7、10番のアミノ酸)、図2Bで示すようにへリックスを横側から見たときに1カ所に集中することがわかった。αへリックスは3.6アミノ酸で一回転し、5.4A単位の右巻き構造であることは既知の事実である。
(8番アミノ酸の特徴付け)
図2Cで、RNAとの親和性が高い(Kdが低い)順番でミニPPR蛋白質を並べ、Helix Aに含まれるアミノ酸のうち、上述の灰色で示したアミノ酸以外を示した。すると、HCF152/5&6を例外として、2つのPPRモチーフで構成されるミニPPR蛋白質でRNAとの親和性が高い蛋白質には、1つめのPPRモチーフの8番アミノ酸、2つめのPPRモチーフの8番アミノ酸に塩基性アミノ酸(K, R; リジン、アルギニン)と酸性アミノ酸(D, E; アスパラギン酸、グルタミン酸)がペアになって現れることを見いだした(順不同)。
図2Cで、RNAとの親和性が高い(Kdが低い)順番でミニPPR蛋白質を並べ、Helix Aに含まれるアミノ酸のうち、上述の灰色で示したアミノ酸以外を示した。すると、HCF152/5&6を例外として、2つのPPRモチーフで構成されるミニPPR蛋白質でRNAとの親和性が高い蛋白質には、1つめのPPRモチーフの8番アミノ酸、2つめのPPRモチーフの8番アミノ酸に塩基性アミノ酸(K, R; リジン、アルギニン)と酸性アミノ酸(D, E; アスパラギン酸、グルタミン酸)がペアになって現れることを見いだした(順不同)。
そこで、RNAとの親和性が検出限界以下(ND; Kd >3750 nM)であったHCF152/6&7ミニPPR蛋白質の1つ目のPPRモチーフの8番のアミノ酸、セリン(S)、をアスパラギン酸(D)に置換した6&7/6-S8Dを調製し、RNA結合能を検証したところ、著しいRNA親和性の向上(Kd=200)が観察された(図3-3及び4B)。これは、8番のアミノ酸をアスパラギン酸に置換することで、ミニPPR蛋白質のRNA親和性を少なくとも約20倍向上できること、すなわち、8番のアスパラギン酸がRNA結合に能動的に働くことを示している(詳しくは後述)。
(RNA結合に働くアミノ酸の同定)
へリックス構造上で8番の周辺にもRNA結合に働くアミノ酸が配置されると予想した。そこで、図2Bで示したアミノ酸の配置を基に、円形のへリックスの左下半分に位置する2〜11番(1, 2, 4, 5, 8, 9,11,12番)のアミノ酸に着目した。HCF152/5&6をモデルに、当該箇所(1, 2, 4, 5, 8, 9,11,12番)を中心に1アミノ酸置換を導入したミニPPR蛋白質を調製した。アミノ酸の置換は、アラニンへの置換を基本にした。しかし、PPRモチーフにはアラニンが含まれる場所もあるため、同箇所をもう1つ異なるアミノ酸へ置換することで(図4A)、アミノ酸置換による効果を検証した。RNAとの親和性は上と同じゲルシフト方法により解析し(図3)、そのRNAとの親和性をKdで評価した(図4B)。
へリックス構造上で8番の周辺にもRNA結合に働くアミノ酸が配置されると予想した。そこで、図2Bで示したアミノ酸の配置を基に、円形のへリックスの左下半分に位置する2〜11番(1, 2, 4, 5, 8, 9,11,12番)のアミノ酸に着目した。HCF152/5&6をモデルに、当該箇所(1, 2, 4, 5, 8, 9,11,12番)を中心に1アミノ酸置換を導入したミニPPR蛋白質を調製した。アミノ酸の置換は、アラニンへの置換を基本にした。しかし、PPRモチーフにはアラニンが含まれる場所もあるため、同箇所をもう1つ異なるアミノ酸へ置換することで(図4A)、アミノ酸置換による効果を検証した。RNAとの親和性は上と同じゲルシフト方法により解析し(図3)、そのRNAとの親和性をKdで評価した(図4B)。
図4Bに示すとおり、アミノ酸置換を導入したミニPPR蛋白質は様々なKd(RNAとの親和性)を示し、アミノ酸置換によりRNA親和性が低下(Kdが上昇)した場合と、アミノ酸置換による効果がほとんど見られなかった場合とがあった。この解析では、RNA親和性が著しく上昇(Kdが低下)したような蛋白質は得られなかった。天然型ミニPPR蛋白質であるHCF152/5&6のKdが21.1 nMであるため、10倍以上のRNA親和性の低下をアミノ酸置換による有意なRNA親和性の低下と定義することで、PPRモチーフ構成アミノ酸の番号で、1、4、8、9、12番の5つのアミノ酸への置換導入により、有意にRNA親和性が低下したと評価された。すなわち、1、4、8、9、12番の5つのアミノ酸を異なるアミノ酸に置換することで、PPR蛋白質のRNA親和性を低下できることを意味している。
(RNA結合に能動的に働くアミノ酸の同定)
次に、上のアミノ酸置換による解析をより詳細に評価するために、RNAとの親和性が検出限界以下(ND; Kd >3750 nM)であったHCF152/6&7ミニPPR蛋白質の1、4、8番のアミノ酸を、高いRNA親和性をもつミニPPR蛋白質(例えば、HCF152/8&9)が持つアミノ酸に置換することで、RNA親和性の上昇が観察されるかを検討した。9、12番に関しては、HCF152/6&7のみに特有のアミノ酸が見いだせなかったため、本解析ではアミノ酸置換を導入しなかった(後述)。
次に、上のアミノ酸置換による解析をより詳細に評価するために、RNAとの親和性が検出限界以下(ND; Kd >3750 nM)であったHCF152/6&7ミニPPR蛋白質の1、4、8番のアミノ酸を、高いRNA親和性をもつミニPPR蛋白質(例えば、HCF152/8&9)が持つアミノ酸に置換することで、RNA親和性の上昇が観察されるかを検討した。9、12番に関しては、HCF152/6&7のみに特有のアミノ酸が見いだせなかったため、本解析ではアミノ酸置換を導入しなかった(後述)。
その結果、1つ目のPPRモチーフの1番のバリン(V)をアルギニン(R)、2つ目のPPRモチーフの4番のアスパラギン(N)をスレオニン(T)、1つ目のPPRモチーフの8番のセリン(S)をリジン(K)もしくはアスパラギン酸(D)に置換することで、RNA親和性の向上が観察された(図3-3)。すなわち、1, 4, 8番のアミノ酸がRNA親和性に能動的に働くこと、1, 4, 8番のアミノ酸を操作することで、PPRモチーフ、ひいてはPPR蛋白質のRNA親和性を向上できることを意味している。
(12番アミノ酸の特徴付け)
ミニPPR蛋白質の12番アミノ酸の組成を見ると、一方のモチーフでは塩基性、他方のモチーフでは中性又は疎水性であることが多い。そこで、この塩基性と中性(疎水性)の組み合わせの有意性を検証した。HCF152/5&6を用いて、1つ目のPPRモチーフの12番、リジン(K)を同じく塩基性のヒスチジン(H)に置換すると、天然型とほぼ同等のRNA親和性(Kd)を示した (5&6/5-K12H;図3-1及び図5)。しかし、同アミノ酸をアスパラギン(N)に置換すると著しいRNA親和性の低下(5&6/5-K12N; Kd= ND( >3750 nM))が観察された。しかし、このアミノ酸置換蛋白質の2つ目のPPRモチーフの12番アミノ酸であるアスパラギン(N)を塩基性アミノ酸であるリジン(K)に置換するとRNA親和性が向上した(5&6/5-K12N, 6-N12K; 図3-3及び図5)。すなわち、一つ目のモチーフ12番アミノ酸の置換(K→N)のRNA親和性の低下が、2つめのモチーフ12番アミノ酸の置換(N→K)で相補される。
ミニPPR蛋白質の12番アミノ酸の組成を見ると、一方のモチーフでは塩基性、他方のモチーフでは中性又は疎水性であることが多い。そこで、この塩基性と中性(疎水性)の組み合わせの有意性を検証した。HCF152/5&6を用いて、1つ目のPPRモチーフの12番、リジン(K)を同じく塩基性のヒスチジン(H)に置換すると、天然型とほぼ同等のRNA親和性(Kd)を示した (5&6/5-K12H;図3-1及び図5)。しかし、同アミノ酸をアスパラギン(N)に置換すると著しいRNA親和性の低下(5&6/5-K12N; Kd= ND( >3750 nM))が観察された。しかし、このアミノ酸置換蛋白質の2つ目のPPRモチーフの12番アミノ酸であるアスパラギン(N)を塩基性アミノ酸であるリジン(K)に置換するとRNA親和性が向上した(5&6/5-K12N, 6-N12K; 図3-3及び図5)。すなわち、一つ目のモチーフ12番アミノ酸の置換(K→N)のRNA親和性の低下が、2つめのモチーフ12番アミノ酸の置換(N→K)で相補される。
12番アミノ酸への塩基性アミノ酸の配置による単純なRNA親和性の向上(酸性であるRNAとの親和性の向上)が考えられたため、次に2つめのモチーフの12番アミノ酸アスパラギンをアルギニン(R)に置換したが、この場合もRNA親和性の著しい低下が観察された(5&6/6-N12R; Kd=ND)。そこで、上と同様に、アルギニン置換を残したままで、1つ目のモチーフの12番リジン(K)を疎水性アミノ酸であるメチオニン(M)に置換したところ、同じくRNA親和性の若干の向上が観察された(5&6/5-K12M, 6-N12R;Kd=473 nM; 図5)。
この解析により、12番アミノ酸もPPRモチーフのRNA親和性に能動的に働くこと、2つのモチーフでの12番アミノ酸は、塩基性、中性(もしくは疎水性)のアミノ酸のペアになることが重要であることを意味している。
また、PPRモチーフは単独で働くわけではなく、前後のモチーフに含まれるアミノ酸とのバランスで全体のRNA結合特性が制御されることを意味している。複数個のPPRモチーフを組み合わせて、RNA結合因子を設計するときに、12番のアミノ酸を塩基性、中性(疎水性)のペアにすることで、RNA親和性の向上が出来ることを意味している。
(8番アミノ酸の特徴付け)
12番アミノ酸では、隣り合うPPRモチーフ間での相互作用がRNA親和性に働くことがわかった。今回用いたミニPPR蛋白質では、2つのPPRモチーフで8番アミノ酸が塩基性、酸性のペアになっている場合に、RNA親和性が高くなる傾向が観察されており、実際、8番アミノ酸がRNA親和性に能動的に働くことをすでに示した(図2及び4)。
12番アミノ酸では、隣り合うPPRモチーフ間での相互作用がRNA親和性に働くことがわかった。今回用いたミニPPR蛋白質では、2つのPPRモチーフで8番アミノ酸が塩基性、酸性のペアになっている場合に、RNA親和性が高くなる傾向が観察されており、実際、8番アミノ酸がRNA親和性に能動的に働くことをすでに示した(図2及び4)。
そこで、HCF152/8&9をモデルに、8番アミノ酸の特徴付けを行った。1つめのPPRモチーフのアスパラギン酸(D)をリジン(K)にして、塩基性と塩基性のペアにしたところ、RNA親和性は変わらなかった(8&9/8-D8K; 図6)。同じく、2つめのPPRモチーフのリジン(K)をアスパラギン酸(D)にして、酸性、酸性のペアにしても(8&9/9-K8D)、塩基性と酸性のペアを逆方向の酸性と塩基性のペアにしても(8&9/8-D8K,9-K8D)にしても、RNA親和性に有意な差は見られなかった。
これは、12番アミノ酸とは異なり、8番アミノ酸は酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸のどちらかが配置されていれば、RNA親和性は保たれることを意味している。言い換えれば、8番アミノ酸を塩基性又は酸性アミノ酸にすることでRNA親和性を向上、それ以外(例、アスパラギン、アラニン)にすることで低下するように制御できることを示唆している。
[実施例2:PPRモチーフを構成するアミノ酸の統計解析]
Web上の蛋白質ドメイン検索プログラムPfam (Pfam: http://pfam.sanger.ac.uk/)において、PPRモチーフと規定されるPF01535より、PPRモチーフ558個の配列を入手した(配列番号156)。入手した配列より、1、4,8、12番のアミノ酸配列の組成を解析した。その結果、1番アミノ酸のほとんどは疎水性アミノ酸、4番は中性アミノ酸で構成されることが明らかとなった。8番アミノ酸は、中性が最も多いが(43%)、塩基性、酸性、疎水性アミノ酸(それぞれ約20%)で構成される。12番アミノ酸は塩基性アミノ酸(55%)が最も多いが、中性アミノ酸(22%)で構成されることも多い。このように1、4、8、12番アミノ酸はその性質が異なっていることから、それぞれのアミノ酸はPPRモチーフのRNA結合能においても異なった役割を担っていると示唆された。
Web上の蛋白質ドメイン検索プログラムPfam (Pfam: http://pfam.sanger.ac.uk/)において、PPRモチーフと規定されるPF01535より、PPRモチーフ558個の配列を入手した(配列番号156)。入手した配列より、1、4,8、12番のアミノ酸配列の組成を解析した。その結果、1番アミノ酸のほとんどは疎水性アミノ酸、4番は中性アミノ酸で構成されることが明らかとなった。8番アミノ酸は、中性が最も多いが(43%)、塩基性、酸性、疎水性アミノ酸(それぞれ約20%)で構成される。12番アミノ酸は塩基性アミノ酸(55%)が最も多いが、中性アミノ酸(22%)で構成されることも多い。このように1、4、8、12番アミノ酸はその性質が異なっていることから、それぞれのアミノ酸はPPRモチーフのRNA結合能においても異なった役割を担っていると示唆された。
次に、同一モチーフ上での1番と4番に出現するアミノ酸の組み合わせの偏りを解析し、理論値との偏りをカイ2乗検定によって評価した(図8)。同様に、4番と8番アミノ酸の組み合わせ、8番と12番アミノ酸の組み合わせも解析した。その結果、1番と4番、及び8番と12番アミノ酸の組み合わせにおいて有意な偏りが明らかとなった(P値 < 0.05;5% 有意水準)。すなわち、1番と4番、及び8番と12番アミノ酸は、協調してRNA結合に働くことを示唆している。なお、この検定における中性アミノ酸とは、中性でありかつ親水性のもの、すなわちアスパラギン、セリン、グルタミン、スレオニン、チロシン、システインである。この検定における疎水性アミノ酸は、トリプトファン、グリシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンであり、本願明細書ですでに定義したとおりである。
さらに、PPR蛋白質であるHCF152(12個のPPRモチーフ)全長における1、4、8、12アミノ酸を解析したところ、12番には塩基性アミノ酸がほぼ1個おきのモチーフに出現することを見いだした。この塩基性アミノ酸の位相は、1から7番目、及び10から12番目の2つで構成されている。同じく8番アミノ酸でも同様のモチーフ1個おきの塩基性アミノ酸の位相が3から9番目のPPRモチーフに出現し、逆に8から12番目のPPRモチーフでは、酸性アミノ酸の1個おきの位相があることを見いだした。
この位相の一般性を検証するために、異なるPPR蛋白質LOI1(14個のPPRモチーフ)での各モチーフの1、4、8、12番アミノ酸を解析した。すると、LOI1蛋白質の場合、2〜11番のPPRモチーフの12番アミノ酸に2個おきに塩基性アミノ酸が出現すること、5〜14番のPPRモチーフにおいて、8番アミノ酸に2個おきの酸性アミノ酸の位相が出現することを見いだした。すなわち、複数のPPRモチーフから構成される蛋白質においては、8、12番アミノ酸に、1個置き、もしくは2個おきに酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸を配置することで、蛋白質機能、すなわちRNA結合活性を上昇できる可能性を示唆している。
PPR蛋白質は異なる性質のPPRモチーフが連続することで、配列特異的なRNA結合能を発揮すると考えられている。これまでに示した8番及び12番アミノ酸置換実験では、結合RNA配列特異性は変化しなかった。上記の統計解析の結果は、1、4番アミノ酸を中心にPPRモチーフの結合RNA特異性が決定すること、また同アミノ酸を改変することで、結合RNA配列特異性を改変できる可能性を示唆している。しかし、8、12番アミノ酸を置換することで結合RNA配列特異性を改変する可能性を否定するものではない。
[文献]
参照文献1:Meierhoff, K., Felder, S., Nakamura, T., Bechtold, N., and Schuster, G. (2003). HCF152, an Arabidopsis RNA binding pentatricopeptide repeat protein involved in the processing of chloroplast psbB-psbT-psbH-petB-petD RNAs. Plant Cell 15, 1480-1495.
参照文献2:Nakamura, T., Meierhoff, K., Westhoff, P., and Schuster, G. (2003). RNA-binding properties of HCF152, an Arabidopsis PPR protein involved in the processing of chloroplast RNA. Eur. J. Biochem. 270, 4070-4081.
参照文献3:Edwards, T.A., Pyle, S.E., Wharton, R.P., and Aggarwal, A.K. (2001). Structure of Pumilio reveals similarity between RNA and peptide binding motifs. Cell 105, 281-289.
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参照文献3:Edwards, T.A., Pyle, S.E., Wharton, R.P., and Aggarwal, A.K. (2001). Structure of Pumilio reveals similarity between RNA and peptide binding motifs. Cell 105, 281-289.
Claims (15)
- 式Iで表される30〜38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを、2個以上(好ましくは2〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改変方法であって
Helix Aは、12アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり、Helix Aは式II
Helix Bは、11〜13アミノ酸長の、αへリックス構造を形成可能な部分であり;
Xi〜iiiは、それぞれ独立に、1〜9アミノ酸長からなる部分であるか、又は存在しない。)
一又は複数のPPRモチーフにおいて、A1、A4、A8、A9及びA12からなる群から選択される一又は複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、下記のいずれかの工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を向上させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA1を、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンとする置換;
第二番目のPPRモチーフのA4を、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンとする置換;
第一番目のPPRモチーフのA8を、塩基性アミノ酸、好ましくはリジンとする置換、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸とする置換;及び
第一番目のPPRモチーフのA12及び/又は第二番目のPPRモチーフのA12の置換であって、いずれか一方を塩基性アミノ酸とし、かつ他方を中性アミノ酸又は疎水性アミノ酸とする置換。 - 請求項1又は2に記載の方法であって、下記の工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を向上させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA8及び/又は第二番目のPPRモチーフのA8の置換であって、双方を塩基性アミノ酸若しくは酸性アミノ酸とするか、又はいずれか一方を塩基性アミノ酸とし、かつ他方を酸性アミノ酸とする置換。 - 請求項1に記載の方法であって、下記の工程を含む、PPR蛋白質のRNA結合活性を低下させるための方法:
第一番目のPPRモチーフのA8及び/又は第二番目のPPRモチーフのA8の置換であって、少なくとも一方を中性アミノ酸又は疎水性アミノ酸とする置換。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおける下記を考慮した改変を含む、方法:
あるモチーフのA1と、同じモチーフのA4との協同、及び/又は
あるモチーフのA8と、同じモチーフのA12との協同。 - 請求項1に記載の方法であって、一又は複数のPPRモチーフにおいて、A1及び/又はA4を、異なるアミノ酸に置換する工程を含む、方法。
- 請求項1に定義されたPPRモチーフを、4個以上(好ましくは4〜14個、より好ましくは7〜14個)有するPPR蛋白質の、RNA結合特性の改良方法であって、下記の工程を含む方法:
1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A8を、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とする置換、及び/又は1つおき又は2つおきの複数のPPRモチーフにおいて、A12を、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とする置換。 - 請求項7に記載の方法であって、さらに請求項1〜6のいずれか1項に記載の工程を含む、方法。
- 式II
(式中、 A1は、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
A4は、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンであり;
A8は、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸であり;かつ
A12は、塩基性アミノ酸又は中性アミノ酸又は疎水性である。)。 - 式II
(式中、 A1は、塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
A4は、中性アミノ酸、好ましくはスレオニンであり;
A8は、塩基性アミノ酸、好ましくはリジン、又は酸性アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸であり;かつ
A12は、塩基性アミノ酸又は中性アミノ酸又は疎水性である。)を利用する、RNA結合特性を有する蛋白質の設計方法。 - 配列番号:90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152又は154のアミノ酸配列からなるポリペプチドの全部又はRNA結合活性を有する一部を含む、蛋白質。
- 請求項11に定義されたRNA結合性蛋白質をコードする、ポリヌクレオチド。
- 配列番号:89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151又は153の塩基配列を有する、請求項11に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項1〜8に記載の方法で改変されたPPR蛋白質、請求項8に記載のポリペプチド、請求項9に記載の方法で設計された蛋白質、請求項11に記載の蛋白質のいずれかを用いる、RNAの機能の制御方法。
- 請求項1〜8に記載の方法で改変されたPPR蛋白質、請求項9に記載のポリペプチド、請求項10に記載の方法で設計された蛋白質、請求項11に記載の蛋白質のいずれかと機能性分子とを連結する工程を含む、分子へのRNA結合特性の付与方法。
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