JP2013114764A - リチウムイオン電池およびセパレータ、並びに電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
正極と、負極と、正極および負極の間にある絶縁層とを備え、絶縁層は、第1の高分子材料と無機酸化物フィラーとリチウム塩フィラーとを含む樹脂層を有するリチウムイオン電池である。
【選択図】図4
Description
1.第1の実施の形態(セパレータの例)
2.第2の実施の形態(円筒型電池の例)
3.第3の実施の形態(扁平型電池の第1の例)
4.第4の実施の形態(扁平型電池の第2の例)
5.第5の実施の形態(扁平型電池の第3の例)
6.第6の実施の形態(電池パックの例)
7.第7の実施の形態(蓄電システムなどの例)
8.他の実施の形態(変形例)
本技術の第1の実施の形態によるセパレータについて説明する。本技術の第1の実施の形態によるセパレータは、十分な電解液の含浸性が得られ、かつイオン導電性を阻害することなく、セパレータ性能や充放電サイクル特性を向上できるものである。このようなセパレータをリチウムイオン二次電池などの電池に備えた場合には、より良好な電池特性を得ることができる。
図1は、本技術の第1の実施の形態によるセパレータの構成例を示す拡大断面図である。図1に示すセパレータ4は、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させる絶縁材である。セパレータ4は、基材層4aと、機能性樹脂層4bとから構成されている。なお、図1の例では、基材層4aの一主面に機能性樹脂層4bが設けられているが、基材層4aの両主面に機能性樹脂層4bを設けるようにしてもよい。また、基材層4aは必要に応じて設ければよく、機能性樹脂層4bのみでセパレータ4としてもよい。
基材層4aは、例えば、ポリオレフィン樹脂の微多孔膜などである。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など、またはこれらのポリオレフィン樹脂の混合物などを用いることができる。ポリオレフィン樹脂の微多孔膜は、単層膜であってもよく、複数のポリオレフィン樹脂の微多孔膜が積層された複数層の積層膜であってもよい。ポリオレフィン樹脂は、融点付近で開孔を目詰まりすることで電流を遮断するシャットダウン機能を有する。
機能性樹脂層4bは、無機酸化物フィラーと、リチウム塩フィラーと、基材層4aと異なる高分子材料とを含む。基材層4aと異なる高分子材料は、例えば、基材層4aの材料のポリオレフィン樹脂とは異なる高分子材料である。
機能性樹脂層4bに用いる無機酸化物フィラーとしては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ケイ素(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)または窒化ホウ素(BN)などが用いられる。これらは1種で用いても2種以上を混合して用いてもよい。無機酸化物フィラーの形状は、限定されるものではなく、例えば、球形状、針状、楕円体状、板状、鱗片状などの種々の形状のものを用いることができる。
機能性樹脂層4bに用いるリチウム塩フィラーとしては、電解液の溶媒に対する溶解性が乏しいものが用いられる。このようなリチウム塩フィラーのリチウム塩としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、炭酸リチウム(Li2CO3)、フッ化リチウム(LiF)、硫酸リチウム(Li2SO4)、硝酸リチウム(LiNO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、メタホウ酸リチウム(LiBO2)、ピロリン酸リチウム(Li4P2O7)、トリポリリン酸リチウム(Li5P3O10)、オルトケイ酸リチウム(Li4SiO4)、メタケイ酸リチウム(Li2SiO3)、シュウ酸二リチウム(Li2C2O4)、下記の一般式(A)で表されるリチウム塩、下記の一般式(B)で表されるリチウム塩などが用いられる。これらは1種で用いても2種以上を混合して用いてもよい。リチウムフィラーの形状は、限定されるものではなく、例えば、球形状、針状、楕円体状、板状、鱗片状などの種々の形状のものを用いることができる。
機能性樹脂層4bを構成する高分子材料としては、耐熱性樹脂やフッ素系樹脂などを用いることができる。ここで耐熱性樹脂とは、非結晶樹脂の場合、ガラス転移温度が200℃以上のものをいう。また、結晶性樹脂の場合は、ガラス転移温度が200℃以上であり、融点を持たないか、融点250℃以上の樹脂のことをいう。
本技術のセパレータ4の製造方法について説明する。
まず、基材層4aとして、ポリオレフィン微多孔膜などを用意する。ポリオレフィン微多孔膜は、例えば、延伸開孔法、相分離法などで成形することができる。例えば、延伸開口法では、まず、溶融ポリマーをTダイやサーキュラーダイから押し出し、さらに熱処理を施し規則性の高い結晶構造を形成する。その後、低温延伸更には高温延伸して結晶界面を剥離させてラメラ間に間隔部分を作り、多孔構造を形成する。相分離法では、ポリマーと溶剤を高温で混合して調製した均一溶液を、Tダイ法、インフレーション法などでフィルム化した後、溶剤を別の揮発性溶剤で抽出することにより、微多孔性の基材を得ることができる。なお、基材層4aの製造方法は、これらに限定されるものではなく、従来提案されている方法を広く用いることができる。また、市販されているなど入手可能な多孔質フィルムなどをそのまま用いてもよい。
次に、基材層4aの一主面または両主面に機能性樹脂層4bを形成する。まず高分子材料と、無機酸化物フィラーと、リチウム塩フィラーとをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの極性溶媒に溶解した樹脂溶液を、基材層4a上に卓上コータなどで塗布する。その後、樹脂溶液が塗布された基材層4aを、水などの上記極性溶媒に対して相溶性があり、上記高分子材料に対して貧溶媒である貧溶媒中に浸漬する。このとき溶媒交換が起こり、相分離(例えばスピノーダル分解型の相分離)が生じ、高分子材料は多孔構造を形成する。その後、熱風などで乾燥させる。以上により、基材層4a上に、多孔構造を有する機能性樹脂層4bを形成する。機能性樹脂層4bの多孔構造は、例えば、多孔が相互に連結した多孔相互連結構造である。例えば、無機酸化物フィラーおよびリチウム塩フィラーは、例えば、多孔構造を形成する相互につながった3次元的なネットワーク構造を有する微細な樹脂骨格に担持されている。無機酸化物フィラーおよびリチウム塩フィラーは、この微細な樹脂骨格に坦持されることにより、互いに連結することなく分散状態を保つことができる。以上により、基材層4aの一主面または両主面に機能性樹脂層4bが形成されたセパレータ4を得ることができる。
本技術の第2の実施の形態による非水電解質電池について説明する。本技術の第2の実施の形態による非水電解質電池は、上述のセパレータ4を用いた非水電解質電池である。例えば、この非水電解質電池は、充電および放電可能な二次電池であり、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
図2は、本技術の第1の実施の形態による非水電解質電池の断面構成を示す。図3は、図2に示す巻回電極体20の一部を拡大して示す。この非水電解質電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶1の内部に、帯状の正極2と帯状の負極3とがセパレータ4を介して巻回された巻回電極体20を有している。セパレータ4は、正極2と負極3とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させる絶縁層である。
図3は、図2に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。図3に示すように、正極2は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体2Aと、正極集電体2の両面に設けられた正極合剤層2Bとを有している。なお、正極集電体2Aの片面のみに正極合剤層2Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。正極集電体2Aは、例えば、アルミニウム(Al)箔などの金属箔などにより構成されている。正極合剤層2Bは、例えば、正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含んでいてもよい。
LipNi(1-q-r)MnqM1rO(2-s)Xt
(式中、M1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、r、s、tは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦s≦0.20、0≦t≦0.2の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、pの値は完全放電状態における値を表している。)
LiaCo(1-b)M2bO(2-c)
(式中、M2はバナジウム(V)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。a、bおよびcの値は、0.9≦a≦1.1、0≦b≦0.3、−0.1≦c≦0.1の範囲内である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、aの値は完全放電状態における値を表している。)
LivNiwCoxMnyM3(1-v-x-y)O(2-z)
(式中、M3はバナジウム(V)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、x、yおよびzの値は、0.9≦v≦1.1、0<w<1、0<x<1、0<y<0.5、0≦1−v−x−y,−0.1≦z≦0.1の範囲内である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LieMn(2-f)M4fOgFh
(式中、M4は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。e、f、gおよびhは、0.9≦e≦1.1、0≦f≦0.6、3.7≦g≦4.1、0≦h≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、eの値は完全放電状態における値を表している。
LijM5kPO4
(式中、M5は、2族〜15族から選ばれる元素のうちの少なくとも一種を示す。j、kは、0≦j≦2.0、0.5≦k≦2.0の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、jの値は完全放電状態における値を表している。)
LimM6PO4
(式中、M6は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。mは、0.9≦m≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
負極3は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体3Aの両面に負極合剤層3Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体3Aの片面のみに負極合剤層3Bを設けるようにしてもよい。負極集電体3Aは、例えば、銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔などの金属箔などにより構成されている。
イ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)のうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。非水溶媒としては、また、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)またはメチルプロピルカーボネート(MPC)などの鎖状炭酸エステルの中から、少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性をより向上させることができるからである。
上述した非水電解質電池の製造方法について説明する。
正極2は、以下に述べるようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。
負極3は、以下に述べるようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。
次に、正極集電体2Aに正極リード13を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体3Aに負極リード14を溶接などにより取り付ける。次に、正極2と、負極3とをセパレータ4を介して巻回し、正極リード13の先端部を安全弁機構8に溶接すると共に、負極リード14の先端部を電池缶1に溶接して、巻回した正極2および負極3を一対の絶縁板5、6で挟み電池缶1の内部に収納する。
本技術の第3の実施の形態による非水電解質電池について説明する。この非水電解質電池は、例えば、充電および放電可能な二次電池であり、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
図4Aは、本技術の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成例を示す斜視図である。図4Bは、本技術の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成例を示す分解斜視図である。図4Aおよび図4Bに示すように、非水電解質電池の形状は、例えば、いわゆる扁平型と称されるものである。この非水電解質電池は、電池素子30がラミネートフィルムなどの外装材37で外装された、ラミネート型の非水電解質電池である。
外装材37は、例えば防湿性のラミネートフィルムなどである。外装材37は、例えば、熱融着層、金属層、表面保護層を順次積層した積層構造を有する。例えば、外装材37は、「熱融着層/金属層/表面保護層」の3層構造を有する。
図5は、電池素子30の拡大断面図を示す。図5に示すように、電池素子30は、正極42および負極43がセパレータ44および電解質層45を介して積層および巻回された巻回構造を有する。正極42と負極43とは、セパレータ44および電解質層45を有する絶縁層46によって隔離され、両極の接触による短絡が防止されている。
正極42は、帯状の正極集電体42Aと、この正極集電体42Aの両面に形成された正極合剤層42Bとを備える。正極42の長手方向の一端部には、例えばスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード32が設けられている。この正極リード32の材料としては、例えばアルミニウムなどの金属を用いることができる。
負極43は、帯状の負極集電体43Aと、この負極集電体43Aの両面に形成された負極合剤層43Bとを備える。また、負極43の長手方向の一端部にも正極42と同様に、例えばスポット溶接または超音波溶接で接続された負極リード33が設けられている。この負極リード33の材料としては、例えば銅(Cu)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。
セパレータ44は、第1の実施の形態のセパレータ4と同様である。すなわち、セパレータ44は、基材層4aと、基材層4aの一主面または両主面に形成された機能性樹脂層4bとから構成されている。なお、セパレータ44が、機能性樹脂層4bのみで構成されていてもよい。
電解質層45は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子材料とを含む。電解質層45は、例えば、電解液により高分子材料が膨潤されることにより、いわゆるゲル状になっている、ゲル状のイオン伝導体である。電解質層45は高いイオン伝導率を得ることができるとともに、電池の漏液を防止できるので好ましい。電解液の構成(すなわち液状の溶媒、電解質塩など)は、第2の実施の形態と同様である。
高分子材料は、マトリックス高分子化合物として、溶媒に相溶可能な性質を有するものなどを用いることができる。このような高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体やフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体などのフッ化ビニリデン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートを挙げることができる。これらは1種で用いても2種以上で用いてもよい。特に電気化学的な安定性の点からは、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンまたはポリエチレンオキサイドが好ましい。
上述した非水電解質電池の製造方法について説明する。
まず、第2の実施の形態と同様にして正極42および負極43のそれぞれを作製する。
次に、正極42および負極43のそれぞれに、第2の実施の形態と同様の電解液と、高分子材料と、混合溶媒とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶媒を揮発させてゲル状の電解質層45を形成する。なお、予め正極集電体42Aの端部に正極リード32を溶接により取り付けるとともに、負極集電体43Aの端部に負極リード33を溶接により取り付けるようにする。
次に、ラミネートフィルムからなる外装材37を深絞り加工することで凹部36を形成し、電池素子30をこの凹部36に挿入し、外装材37の未加工部分を凹部36上部に折り返し、凹部36の外周部分を熱溶着し密封する。以上により、本技術の第3の実施の形態による非水電解質電池が作製される。
本技術の第4の実施の形態による非水電解質電池について説明する。本技術の第4の実施の形態による非水電解質電池は、セパレータ、電解質層の構成以外は、第3の実施の形態と同様である。以下では、第3の実施の形態と異なる点について詳細に説明し、第3の実施の形態と重複する点は説明を適宜省略する。すなわち、第4の実施の形態は、以下に述べる点以外は、第3の実施の形態と同様である。
図6は、電池素子の拡大断面図である。図6に示すように、電池素子50は、正極42および負極43がセパレータ54および電解質層55を介して積層および巻回された巻回構造を有する。正極42と負極43とは、セパレータ54および電解質層55を含む絶縁層56によって隔離され、両極の接触による短絡が防止されている。なお、セパレータ54を省略した構成としてもよい。
セパレータ54は、第1の実施の形態の基材層4aと同様である。すなわち、セパレータ54は、例えば、ポリオレフィン樹脂の微多孔膜などである。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など、またはこれらのポリオレフィン樹脂の混合物などを用いることができる。ポリオレフィン樹脂の微多孔膜は、単層膜であってよく、複数のポリオレフィン樹脂の微多孔膜が積層された複数層の積層膜であってもよい。
電解質層55は、第2の実施の形態と同様の電解液と、この電解液を保持する高分子材料と、無機酸化物フィラーと、リチウム塩フィラーとを含む。電解質層55では、電解液が高分子材料に保持されている。電解質層55は、例えば、電解液により高分子材料が膨潤されることにより、いわゆるゲル状になっている、ゲル状のイオン伝導体である。電解液、高分子材料は、第3の実施の形態と同様である。無機酸化物フィラー、リチウム塩フィラーは、第1の実施の形態と同様である。
上述した非水電解質電池の製造方法について説明する。
まず、第2の実施の形態と同様にして、正極42および負極43のそれぞれを作製する。
第2の実施の形態と同様の電解液と、高分子材料と、無機酸化物フィラーと、リチウム塩フィラーと、粘度調整溶媒(例えば、ジメチルカーボネートなど)とを混合し、攪拌することにより、樹脂溶液を調製する。
次に、ラミネートフィルムからなる外装材37を深絞り加工することで凹部36を形成し、電池素子30をこの凹部36に挿入し、外装材37の未加工部分を凹部36上部に折り返し、凹部36の外周部分を熱溶着し密封する。以上により、本技術の第4の実施の形態による非水電解質電池が作製される。
本技術の第5の実施の形態による非水電解質電池について説明する。本技術の第5の実施の形態による非水電解質電池は、電解質層55の形成方法が第4の実施の形態と異なるものである。以下では、第4の実施の形態と異なる点について詳細に説明し、第4の実施の形態と重複する点は説明を適宜省略する。すなわち、第5の実施の形態は、以下に述べる点以外は、第4の実施の形態と同様である。
セパレータ54の一主面または両主面に樹脂層を形成する。高分子材料と、無機酸化物フィラーと、リチウム塩フィラーとをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの極性溶媒に溶解した樹脂溶液を、基材層4a上に卓上コータなどで塗布する。その後、樹脂溶液が塗布された基材層4aを、水などの上記極性溶媒に対して相溶性があり、上記高分子材料に対して貧溶媒である貧溶媒中に浸漬する。このとき溶媒交換が起こり、相分離(例えばスピノーダル分解型の相分離)が生じ、高分子材料は多孔構造を形成する。その後、熱風などで乾燥させる。以上により、セパレータ54の一主面または両主面に、多孔構造を有する樹脂層を形成する。樹脂層の多孔構造は、例えば、多孔が相互に連結した多孔相互連結構造である。例えば、無機酸化物フィラーおよびリチウム塩フィラーは、例えば、多孔構造を形成する相互につながった3次元的なネットワーク構造を有する微細な樹脂骨格に担持されている。無機酸化物フィラーおよびリチウム塩フィラーは、この微細な樹脂骨格に坦持されることにより、互いに連結することなく分散状態を保つことができる。
電解質層55は、第4の実施の形態と同様、電解質塩および非水溶媒を含む電解液と、高分子材料と、無機酸化物フィラーと、リチウム塩フィラーとを含む。電解質層55では、樹脂層が電解液を保持している。例えば、電解質層55は、電解液により高分子材料が膨潤された、ゲル状のイオン伝導体を含む。また、例えば、電解質層55では、電解液が高分子材料の一部を膨潤しているが、樹脂層の多孔構造が維持されており、電解液がその空孔に充填された状態で保持されていてもよい。
(電池パックの例)
図7は、本技術の非水電解質電池(以下、二次電池と適宜称する)を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
上述した非水電解質電池およびこれを用いた電池パック、バッテリユニットおよびバッテリモジュールは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置などの機器に搭載又は電力を供給するために使用することができる。
本技術の非水電解質電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図8を参照して説明する。例えば住宅401用の蓄電システム400においては、火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402cなどの集中型電力系統402から電力網409、情報網412、スマートメータ407、パワーハブ408などを介し、電力が蓄電装置403に供給される。これと共に、家庭内発電装置404などの独立電源から電力が蓄電装置403に供給される。蓄電装置403に供給された電力が蓄電される。蓄電装置403を使用して、住宅401で使用する電力が給電される。住宅401に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図9を参照して説明する。図9に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
以下のようにして、実施例1−1のセパレータを作製した。
基材層として、ポリエチレン微多孔膜を用いた。ポリエチレン微多孔膜は、以下のように作製したものを用いた。まず、ポリエチレン樹脂と可塑剤としての流動パラフィンとを、二軸押出機に供給し、溶融混練し、ポリエチレン溶液を調製した。
基材層上に機能性樹脂層を形成した。まず、無機酸化物フィラーとして中心粒径(X)0.20μm、比表面積(Y)13.0m2/g(X×Y=2.60)の酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーと、リチウム塩フィラーとして中心粒径(X)1.0μmのリン酸リチウム(Li3PO4)フィラーとを用意した。なお、無機酸化物フィラーおよびリチウム塩フィラーのそれぞれの中心粒径は、レーザー回折法により測定した体積基準の粒度分布の積算値50%の粒径(D50)である。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、炭酸リチウム(Li2CO3)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)と炭酸リチウム(Li2CO3)フィラーとを、Al2O3:PVdF:Li2CO3(質量比)=82:8:10で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、フッ化リチウム(LiF)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)とフッ化リチウム(LiF)フィラーとを、Al2O3:PVdF:LiF(質量比)=62:8:30で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーと共にフッ化リチウム(LiF)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)とリン酸リチウム(Li3PO4)フィラーとフッ化リチウム(LiF)フィラーとを、Al2O3:PVdF:Li3PO4:LiF(質量比)=32:8:30:30で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、炭酸リチウム(Li2CO3)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)と炭酸リチウム(Li2CO3)フィラーとを、Al2O3:PVdF:Li2CO3(質量比)=91:8:1で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、硫酸リチウム(Li2SO4)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)と硫酸リチウム(Li2SO4)フィラーとを、Al2O3:PVdF:Li2SO4(質量比)=12:8:80で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、硝酸リチウム(LiNO3)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)と硝酸リチウム(LiNO3)フィラーとを、Al2O3:PVdF:LiNO3(質量比)=72:8:20で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、式(A−2)のリチウム塩フィラー(1,3−プロパンジスルホン酸二リチウムフィラー)を用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)と式(A−2)のリチウム塩フィラーとを、Al2O3:PVdF:式(A−2)のリチウム塩フィラー(質量比)=42:8:50で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、式(B−4)のリチウム塩フィラー(3−ヒドロキシプロパンスルホン酸リチウムフィラー)を用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)と式(B−4)のリチウム塩フィラーとを、Al2O3:PVdF:式(B−4)のリチウム塩フィラー(質量比)=32:8:60で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーを用いず、酸化アルミニウム(Al2O3)フィラーとポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、Al2O3:PVdF(質量比)=92:8で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして多層セパレータを作製した。
機能性樹脂層を設けず、基材層(実施例1−1と同様のポリエチレン微多孔膜)のみの単層セパレータを用いた。
樹脂溶液の調製の際に、酸化アルミニウム(Al2O3)を混合せず、リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、炭酸リチウム(Li2CO3)フィラーを用いた。ポリフッ化ビニリデン(PVdF)と炭酸リチウム(Li2CO3)フィラーとを、PVdF:Li2CO3(質量比)=8:92で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
樹脂溶液の調製の際に、リン酸リチウム(Li3PO4)フィラーの代わりに、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)フィラーを用いた。酸化アルミニウム(Al2O3)とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)フィラーとをAl2O3:PVdF:LiPF6(質量比)=30:8:62で混合した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、多層セパレータを作製した。
実施例1−1〜実施例1−9および比較例1〜比較例4の各セパレータを用いて、以下のように2016サイズのコイン型電池を作製し、45℃環境での100サイクル時の容量維持率を測定した。
正極としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電剤としてカーボンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、LiCoO2:カーボンブラック:ポリフッ化ビニリデン=85:5:10(質量比)で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて正極合剤スラリーとした。
負極活物質として黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、黒鉛:ポリフッ化ビニリデン=90:10(質量比)で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて負極合剤スラリーとした。
非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)を、EC:DMC(体積比)=4:6の割合で混合したものを使用した。また、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用い、非水溶媒に対して1.0mol/Lを溶解させて非水電解液とした。
上述のようにして作製した帯状の正極および負極を円板状に打ち抜き、正極と負極と作製したセパレータとを、正極、セパレータ、負極の順に積層して正極缶に収納した。次に、電池缶内に、上述の非水電解液を注液した後、表面にアスファルトが塗布されたガスケットを介して正極缶と負極缶とをかしめた。以上により2016サイズのコイン型電池を得た。
(容量維持率の測定)
作製したコイン型電池を、満充電状態における開回路電圧が4.35Vとなるように充電した後、0.2Cの定電流で、3.0Vとなるまで放電を行った際の放電容量(初回容量)を測定した。このあと、同様の条件で100サイクル目まで充放電を行い、100サイクル目の放電容量を測定した。そして、容量維持率を下記の式により算出した。
容量維持率[%]=(100サイクル目の放電容量/初回容量)×100
作製したコイン型電池を外部電圧5.00Vとして充電状態を3日間維持し、漏れ電流値を測定することで絶縁性を評価した。テスト流量まで漏れ電流値の上昇が見られなかったものについては「OK」、漏れ電流値が上昇したものは「NG」とした。
以下のようにして、実施例2−1の非水電解質二次電池を作製した。
非水電解質材料を以下のように作製した。まず、非水電解液90質量部と、マトリックス高分子としてポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF:HFP=93.1:6.9(質量比))10質量部とを混合した混合材料を調製した。そして、この混合材料に対して、無機酸化物フィラーとして中心粒径0.3μmの炭化ケイ素(SiC)粉を、リチウム塩フィラーとして中心粒径0.3μmのリン酸リチウム(Li3PO4)粉を、炭化ケイ素(SiC)粉:リチウム塩粉:マトリックス高分子=45:5:50(質量比)となるように添加し、更に粘度調整用溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を添加して、粘度を50mPa・sに調整した。このとき、マトリックス高分子であるポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の重量平均分子量は、60×104とした。なお、非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)を、エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC)=6:4(質量比)の割合で混合した非水溶媒に対して、電解質塩としての六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度が1.0mol/kg溶解させたものを用いた。なお、ジメチルカーボネート(DMC)は最終的には揮発させるため、電池内には残らない。
正極および負極の両面に上述の非水電解質材料を塗布し、溶剤を揮発させてゲル電解質
層を形成した。このとき、ゲル電解質中の無機酸化物フィラーとリチウム塩フィラーとをあわせた量は、正極または負極の単位面積あたり0.6mg/cm2であった。正極および負極を厚み12μmの微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して積層して巻き取り、アルミニウムラミネートフィルムからなる外装材内に封入して非水電解質二次電池を得た。
リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)粉の代わりに、炭酸リチウム(Li2CO3)粉を用いた。炭化ケイ素(SiC)粉とポリフッ化ビニリデン(PVdF)と炭酸リチウム(Li2CO3)粉との混合比を、SiC:PVdF:Li2CO3(質量比)=40:50:10とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)粉の代わりに、フッ化リチウム(LiF)粉を用いた。炭化ケイ素(SiC)粉とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とフッ化リチウム(LiF)粉との混合比を、SiC:PVdF:LiF(質量比)=20:50:30とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
リチウム塩フィラーとして、リン酸リチウム(Li3PO4)粉と共にフッ化リチウム(LiF)粉を用いた。炭化ケイ素(SiC)粉とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とリン酸リチウム(Li3PO4)粉とフッ化リチウム(LiF)粉との混合比を、SiC:PVdF:Li3PO4:LiF(質量比)=50:40:5:5とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
炭化ケイ素(SiC)粉の代わりに窒化アルミニウム(AlN)粉を用いた。窒化アルミニウム(AlN)粉とポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉とリン酸リチウム(Li3PO4)粉との混合比を、AlN:PVdF:Li3PO4(質量比)=45:30:25とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
炭化ケイ素(SiC)粉の代わりに窒化ホウ素(BN)粉を用いた。窒化ホウ素(BN)粉とポリフッ化ビニリデン(PVdF)とリン酸リチウム(Li3PO4)粉との混合比を、BN:PVdF:Li3PO4(質量比)=60:20:20とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
リン酸リチウム(Li3PO4)粉を用いず、炭化ケイ素(SiC)粉とポリフッ化ビニリデン(PVdF)との混合比を、SiC:PVdF(質量比)=50:50とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
ゲル電解質層を形成しなかった。すなわち、正極、負極、微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを積層および巻回した電極体を、外装材に収容した後、非水電解液を注入した。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
炭化ケイ素(SiC)粉を用いず、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)と炭酸リチウム(Li2CO3)との混合比を、PVdF:Li2CO3(質量比)=50:50とした。以上のこと以外は、実施例2−1と同様にして、非水電解質二次電池を得た。
作製した実施例2−1〜実施例2−6および比較例2−1〜比較例2−3の各非水電解質二次電池について、上記と同様にして、「45℃環境における100サイクル後の放電容量維持率」および「5V過充電時の絶縁性テスト」を行った。
本技術は、上述した本技術の実施の形態に限定されるものでは無く、本技術の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。上述の実施の形態では、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明したが、例えば、ニッケル水素電池、ニッケルカドミニウム電池、リチウム−二酸化マンガン電池、リチウム−硫化鉄電池などにも適用可能である。また、例えば、第3の実施の形態において、電解質として、ゲル状の電解質層45の代わりに、液状の電解液を用いた電池構成としてもよい。
[1]
正極と、
負極と、
上記正極および上記負極の間にある絶縁層と
を備え、
上記絶縁層は、第1の高分子材料と無機酸化物フィラーとリチウム塩フィラーとを含む樹脂層を有するリチウムイオン電池。
[2]
上記絶縁層は、少なくとも一主面に上記樹脂層が設けられた多孔構造を有する基材層をさらに有し、
上記基材層は、上記第1の高分子材料と異なる第2の高分子材料を含み、
上記第2の高分子材料は、ポリオレフィン樹脂を含む[1]に記載のリチウムイオン電池。
[3]
上記樹脂層は、多孔構造を有する[1]〜[2]の何れかに記載のリチウムイオン電池。
[4]
上記多孔構造は、多孔が相互に連結した多孔相互連結構造である[3]に記載のリチウムイオン電池。
[5]
上記無機酸化物フィラーは、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素からなる群から選ばれた少なくとも1種である[1]〜[4]の何れかに記載のリチウムイオン電池。
[6]
上記リチウム塩フィラーは、リン酸リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、四ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸リチウム、シュウ酸二リチウム、一般式(A)で表されるリチウム塩、一般式(B)で表されるリチウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種である[1]〜[5]の何れかに記載のリチウムイオン電池。
[7]
上記無機酸化物フィラーと、上記リチウム塩フィラーとの質量比(無機酸化物フィラー:リチウム塩フィラー)は、1:99〜98:2の範囲内である[1]〜[6]の何れかに記載のリチウムイオン電池。
[8]
上記第1の高分子材料は、耐熱性樹脂およびフッ素系樹脂の少なくとも1種を含む[1]〜[7]の何れかに記載のリチウムイオン電池。
[9]
上記フッ素系樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン共重合体およびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を含み、
上記耐熱性樹脂は、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびポリアミドからなる群から選ばれた少なくとも1種を含む[8]に記載のリチウムイオン電池。
[10]
溶媒および電解質塩を含む電解液をさらに備えた[1]〜[9]の何れかに記載のリチウムイオン電池。
[11]
上記樹脂層は、上記電解液により上記第1の高分子材料が膨潤されたゲル状のイオン伝導体を含む[10]に記載のリチウムイオン電池。
[12]
上記絶縁層は、上記電解液により膨潤された第3の高分子材料を含むゲル状の電解質層をさらに有する[10]に記載のリチウムイオン電池。
[13]
第1の高分子材料と無機酸化物フィラーとリチウム塩フィラーとを含み、多孔構造を有する樹脂層を備えたセパレータ。
[14]
少なくとも一主面に上記樹脂層が設けられた多孔構造を有する基材層をさらに有し、
上記基材層は、上記第1の高分子材料と異なる第2の高分子材料を含み、
上記第2の高分子材料は、ポリオレフィン樹脂を含む[13]に記載のセパレータ。
[15]
[1]〜[12]の何れかに記載のリチウムイオン電池と、
上記リチウムイオン電池について制御する制御部と、
上記リチウムイオン電池を内包する外装を有する電池パック。
[16]
[1]〜[12]の何れかに記載のリチウムイオン電池を有し、
上記リチウムイオン電池から電力の供給を受ける電子機器。
[17]
[1]〜[12]の何れかに記載のリチウムイオン電池を有し、
上記リチウムイオン電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
上記リチウムイオン電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
[18]
[1]〜[12]の何れかに記載のリチウムイオン電池を有し、
上記リチウムイオン電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
[19]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記リチウムイオン電池の充放電制御を行う[18]に記載の蓄電装置。
[20]
[1]〜[12]の何れかに記載のリチウムイオン電池から電力の供給を受け、または、発電装置若しくは電力網から上記リチウムイオン電池に電力が供給される電力システム。
Claims (20)
- 正極と、
負極と、
上記正極および上記負極の間にある絶縁層と
を備え、
上記絶縁層は、第1の高分子材料と無機酸化物フィラーとリチウム塩フィラーとを含む樹脂層を有するリチウムイオン電池。 - 上記絶縁層は、少なくとも一主面に上記樹脂層が設けられた多孔構造を有する基材層をさらに有し、
上記基材層は、上記第1の高分子材料と異なる第2の高分子材料を含み、
上記第2の高分子材料は、ポリオレフィン樹脂を含む請求項1に記載のリチウムイオン電池。 - 上記樹脂層は、多孔構造を有する請求項1に記載のリチウムイオン電池。
- 上記多孔構造は、多孔が相互に連結した多孔相互連結構造である請求項3に記載のリチウムイオン電池。
- 上記無機酸化物フィラーは、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のリチウムイオン電池。
- 上記リチウム塩フィラーは、リン酸リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、四ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸リチウム、シュウ酸二リチウム、一般式(A)で表されるリチウム塩、一般式(B)で表されるリチウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のリチウムイオン電池。
- 上記無機酸化物フィラーと、上記リチウム塩フィラーとの質量比(無機酸化物フィラー:リチウム塩フィラー)は、1:99〜98:2の範囲内である請求項1に記載のリチウムイオン電池。
- 上記第1の高分子材料は、耐熱性樹脂およびフッ素系樹脂の少なくとも1種を含む請求項1に記載のリチウムイオン電池。
- 上記フッ素系樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン共重合体およびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を含み、
上記耐熱性樹脂は、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびポリアミドからなる群から選ばれた少なくとも1種を含む請求項8に記載のリチウムイオン電池。 - 溶媒および電解質塩を含む電解液をさらに備えた請求項1に記載のリチウムイオン電池。
- 上記樹脂層は、上記電解液により上記第1の高分子材料が膨潤されたゲル状のイオン伝導体を含む請求項10に記載のリチウムイオン電池。
- 上記絶縁層は、上記電解液により膨潤された第3の高分子材料を含むゲル状の電解質層をさらに有する請求項10に記載のリチウムイオン電池。
- 第1の高分子材料と無機酸化物フィラーとリチウム塩フィラーとを含み、多孔構造を有する樹脂層を備えたセパレータ。
- 少なくとも一主面に上記樹脂層が設けられた多孔構造を有する基材層をさらに有し、
上記基材層は、上記第1の高分子材料と異なる第2の高分子材料を含み、
上記第2の高分子材料は、ポリオレフィン樹脂を含む請求項13に記載のセパレータ。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池と、
上記リチウムイオン電池について制御する制御部と、
上記リチウムイオン電池を内包する外装を有する電池パック。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池を有し、
上記リチウムイオン電池から電力の供給を受ける電子機器。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池を有し、
上記リチウムイオン電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
上記リチウムイオン電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池を有し、
上記リチウムイオン電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。 - 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記リチウムイオン電池の充放電制御を行う請求項18に記載の蓄電装置。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池から電力の供給を受け、または、発電装置若しくは電力網から上記リチウムイオン電池に電力が供給される電力システム。
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