ところが、透過率可変式のNDフィルタは、透過率が場所により変化する構成、すなわち場所の変化に応じて減光率を変更させる構成である。ここで、光量調整フィルタを透過される光束は、所定のビーム径(進行方向に直交する方向(以下、径方向ともいう)で見た大きさ)を有している。このため、透過率可変式のNDフィルタでは、透過させる単一の光束内において径方向で見て透過率に差(差異)が生じてしまう。
また、透過率固定式のNDフィルタでは、透過させる単一の光束内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することはできる。しかしながら、透過率固定式のNDフィルタでは、透過率の異なる複数のものの交換により減光率を変更することから、段階的にしか光量を調整することができない。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束内において径方向で見た透過率に差が生じることを防止することのできる光量調整機構を提供することにある。
請求項1に記載の発明の光量調整機構は、平坦な入射面を形成し、該入射面に沿う方向で見て連続的に変化する透過率とされた入射側フィルタ部材と、平坦な出射面を形成し、該入射側フィルタ部材と等しい光学濃度勾配を有する出射側フィルタ部材と、を備え、前記入射側フィルタ部材において、前記入射面から入射させた光束に対する透過率を連続的に変化させる方向を位置調整方向として、前記出射側フィルタ部材は、透過率を減少させる方向を、前記入射側フィルタ部材における透過率を減少させる方向とは反対の向きとしつつ前記位置調整方向に沿わせて前記入射側フィルタ部材と並列され、該入射側フィルタ部材との前記位置調整方向への相対的な移動が可能であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも一方は、所定の透過率の部材からなり前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とは、前記入射面から入射させた光束に対する前記出射面から出射させた光束との透過偏角をなくすべく、互いの屈折率と互いの楔形状の頂角とを設定して構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材の基板は、前記入射面に直交する厚さ方向で見た該入射面の反対側に、該入射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な入射側接合面を有し、前記出射側フィルタ部材の基板は、前記出射面に直交する厚さ方向で見た該出射面の反対側に、該出射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な出射側接合面を有し、前記入射側フィルタ部材の基板と前記出射側フィルタ部材の基板とは、前記入射側接合面と前記出射側接合面とを所定の間隔で並行に対向させて配置され、前記出射側フィルタ部材は、前記出射面から出射させる光束に対して該出射面を直交させる姿勢とされ、前記位置調整方向は、前記入射側接合面と前記出射側接合面とに沿う方向であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材の基板は、前記入射面に直交する厚さ方向で見た該入射面の反対側に、該入射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な入射側接合面を有し、前記出射側フィルタ部材の基板は、前記出射面に直交する厚さ方向で見た該出射面の反対側に、該出射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な出射側接合面を有し、前記入射側フィルタ部材の基板と前記出射側フィルタ部材の基板とは、前記入射側接合面と前記出射側接合面とを所定の間隔で並行に対向させて配置され、前記入射側フィルタ部材は、前記入射面から入射させる光束に対して該入射面を直交させる姿勢とされ、前記位置調整方向は、前記入射側接合面と前記出射側接合面とに沿う方向であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材の基板は、前記入射面に直交する厚さ方向で見た該入射面の反対側に、該入射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な入射側接合面を有し、前記出射側フィルタ部材の基板は、前記出射面に直交する厚さ方向で見た該出射面の反対側に、該出射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な出射側接合面を有し、前記入射側フィルタ部材の基板と前記出射側フィルタ部材の基板とは、前記入射側接合面と前記出射側接合面とを所定の間隔で並行に対向させて配置され、前記入射側フィルタ部材は、前記入射面から入射させる光束に対して該入射面を直交させる姿勢とされ、前記出射側フィルタ部材は、前記出射面から出射させる光束に対して該出射面を直交させる姿勢とされ、前記位置調整方向は、前記入射側接合面と前記出射側接合面とに沿う方向であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材は、所定の透過率の部材からなり前記入射面としての第1光路面を形成する第1基板と、該第1基板よりも低い所定の透過率の部材からなり平坦な第2光路面を形成する第2基板と、を備え、前記第1基板は、前記第1光路面に直交する厚さ方向で見た前記第1光路面の反対側に、該第1光路面に対して第1の所定の角度で傾斜された平坦な第1接合面を有し、前記第2基板は、前記第2光路面に直交する厚さ方向で見た前記第2光路面の反対側に、該第2光路面に対して第2の所定の角度で傾斜された平坦な第2接合面を有し、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1光路面に入射する前の光束の進行方向と、該光束が前記第1基板および前記第2基板を経て前記第2光路面から出射された後の進行方向と、を互いに平行とすべく、互いの屈折率と前記第1の所定の角度と前記第2の所定の角度とに基づいて、前記第1接合面と前記第2接合面とが第3の所定の角度を為して対向する位置関係とされ、前記出射側フィルタ部材は、所定の透過率の部材からなり前記出射面としての第3光路面を形成する第3基板と、該第3基板よりも低い所定の透過率の部材からなり平坦な第4光路面を形成する第4基板と、を備え、前記第3基板は、前記第3光路面に直交する厚さ方向で見た前記第3光路面の反対側に、該第3光路面に対して第4の所定の角度で傾斜された平坦な第3接合面を有し、前記第4基板は、前記第4光路面に直交する厚さ方向で見た前記第4光路面の反対側に、該第4光路面に対して第5の所定の角度で傾斜された平坦な第4接合面を有し、前記第3基板と前記第4基板とは、前記第4光路面に入射する前の光束の進行方向と、該光束が前記第3基板および前記第4基板を経て前記第3光路面から出射された後の進行方向と、を互いに平行とすべく、互いの屈折率と前記第4の所定の角度と前記第5の所定の角度とに基づいて、前記第3接合面と前記第4接合面とが第6の所定の角度を為して対向する位置関係とされていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光量調整機構であって、前記第1基板と前記第2基板とは、略等しい屈折率とされ、前記第1の所定の角度と第2の所定の角度とは、互いに等しい大きさとされ、前記第3の所定の角度は、前記第1接合面と前記第2接合面とを平行とする大きさとされ、前記第3基板と前記第4基板とは、略等しい屈折率とされ、前記第4の所定の角度と第5の所定の角度とは、互いに等しい大きさとされ、前記第6の所定の角度は、前記第3接合面と前記第4接合面とを平行とする大きさとされていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とは、前記入射面から前記入射側フィルタ部材内へと入射させた光束に対して該入射側フィルタ部材から出射された光束におけるずれ量を、前記出射側フィルタ部材内へと入射させた光束に対して該出射側フィルタ部材の前記出射面から出射させた光束におけるずれ量で打ち消すべく、相対的な位置が設定されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の光量調整機構であって、さらに、前記入射面から入射させた光束に対する前記出射面から出射させた光束のずれ量を打ち消す補正光学部材を備えることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の光量調整機構であって、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1接合面と前記第2接合面とが面当接されて結合され、前記第3基板と前記第4基板とは、前記第3接合面と前記第4接合面とが面当接されて結合されていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも一方は、光の透過を許す部材に蒸着膜が設けられて形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の光量調整機構であって、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも一方は、濃度フィルムであることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、所定の透過率の部材からなり平坦な第1光路面を形成する第1基板と、該第1基板よりも低い所定の透過率の部材からなり平坦な第2光路面を形成する第2基板と、前記第1基板と同一の部材からなり平坦な第3光路面を形成する第3基板と、前記第2基板と同一の部材からなり平坦な第4光路面を形成する第4基板と、を備え、前記第1基板は、前記第1光路面に直交する厚さ方向で見た前記第1光路面の反対側に、該第1光路面に対して所定の角度で傾斜された平坦な第1接合面を有し、前記第2基板は、前記第2光路面の前記第1光路面との平行な状態を維持しつつ前記第1接合面に面当接可能な第2接合面を有し、前記第1基板と前記第2基板とが、略等しい屈折率とされ、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1接合面と前記第2接合面とが面当接されて結合され、前記第3基板は、前記第3光路面を前記厚さ方向に直交させて設けられるとともに、該厚さ方向で見た前記第3光路面の反対側に、該第3光路面に対して前記所定の角度で傾斜された平坦な第3接合面を有し、前記第4基板は、前記第4光路面を前記厚さ方向に直交させて設けられるとともに、前記第4光路面の前記第3光路面との平行な状態を維持しつつ前記第3接合面に面当接可能な第4接合面を有し、前記第3基板と前記第4基板とは、前記第3接合面と前記第4接合面とが面当接されて結合され、前記第1基板と前記第3基板とは、前記厚さ方向に直交する方向を位置調整方向として、該位置調整方向での相対的な位置が設定されると、互いに重なりあった箇所における前記厚さ方向で見た厚さ寸法の合計値が、前記位置調整方向での位置に拘らず一定とする位置関係とされていることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の光量調整機構であって、さらに、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とを保持する保持機構を備え、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とは、前記保持機構により前記位置調整方向へと相対的に移動可能に保持されていることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の光量調整機構であって、前記保持機構は、前記入射側フィルタ部材を前記位置調整方向に移動可能に保持する入射側移動機構部と、前記出射側フィルタ部材を前記位置調整方向に移動可能に保持する出射側移動機構部と、を有することを特徴とする。
本発明の光量調整機構によれば、所定のビーム径を有する光束を、入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との双方を通過させることにより、その光束における径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
また、位置調整方向での入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との位置を適宜調整することにより、全体としての透過率を変化させることができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも一方は、所定の透過率の部材からなり前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有することとすると、透過率と楔形状の頂角の角度とを選択することにより、簡易に任意の濃度勾配に設定することが可能となる。
また、このような構成のフィルタ部材は、フィルム等に比べて部材内の透過率を精密に均一にすることが可能であるとともに、光学部材の入射面および出射面を精度よく平坦に加工することが可能であるため、光束における径方向で見た透過率の差をより精密に少なくすることができ、減光率の精度、濃度方向の位置調整量に対する、減光率変化の直線性を向上することができる。
さらに、位置調整方向で見た入射位置に応じて光量を減少(減光)することができ、入射位置の変化に対する減光率の変化を連続的なものとすることができる。
ついで、楔形状を呈する基板が、所定の透過率の部材から形成されていることから、厚さ方向で見た当該基板での通過距離に対する減光率の関係性を一定なものとすることができるので、減光率の調整を容易なものとすることができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とは、前記入射面から入射させた光束に対する前記出射面から出射させた光束との透過偏角をなくすべく、互いの屈折率と互いの楔形状の頂角とを設定して構成されていることとすると、所定光路に光量調整機構を組み込む(差し入れて用いる)場合、組込み前後で、光線(光路)に偏角が生じないため、所定光路を構成する出射位置と受光位置との調整をやり直す必要がないので、簡易に所定光路における光量を適宜調節することができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材の基板は、前記入射面に直交する厚さ方向で見た該入射面の反対側に、該入射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な入射側接合面を有し、前記出射側フィルタ部材の基板は、前記出射面に直交する厚さ方向で見た該出射面の反対側に、該出射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な出射側接合面を有し、前記入射側フィルタ部材の基板と前記出射側フィルタ部材の基板とは、前記入射側接合面と前記出射側接合面とを所定の間隔で並行に対向させて配置され、前記出射側フィルタ部材は、前記出射面から出射させる光束に対して該出射面を直交させる姿勢とされ、前記位置調整方向は、前記入射側接合面と前記出射側接合面とに沿う方向であることとする、あるいは、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材の基板は、前記入射面に直交する厚さ方向で見た該入射面の反対側に、該入射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な入射側接合面を有し、前記出射側フィルタ部材の基板は、前記出射面に直交する厚さ方向で見た該出射面の反対側に、該出射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な出射側接合面を有し、前記入射側フィルタ部材の基板と前記出射側フィルタ部材の基板とは、前記入射側接合面と前記出射側接合面とを所定の間隔で並行に対向させて配置され、前記入射側フィルタ部材は、前記入射面から入射させる光束に対して該入射面を直交させる姿勢とされ、前記位置調整方向は、前記入射側接合面と前記出射側接合面とに沿う方向であることする、と、光量調節により光路が平行ずれすること(光束における平行変化が生じること)を防止することができる。このため、光量調節装置の前後に配される光学系で、光路の平行ずれ(平行変化)を生じさせないので、レンズの収差による誤差、光路内での透過率の不均一による誤差を除くことができる。
また、所定のビーム径を有する光束を、入射側フィルタ部材の基板と出射側フィルタ部材の基板との双方を通過させることにより、その光束における径方向で見た透過率に差が生じることを防止することができる。
さらに、対象とする光束に対する入射側フィルタ部材の基板の位置を調整することで当該基板での通過距離を調整し、かつ出射側フィルタ部材の基板の位置を調整することで当該基板内での通過距離を調整することにより、互いに同一の透過率とされた両基板を通過する距離を調整することができることから、入射側フィルタ部材の基板内での通過距離の調整を連続的なものとすることができるとともに、出射側フィルタ部材の基板内での通過距離の調整を連続的なものとすることができるので、全体としての透過率を連続的に調整することができる。
ついで、所定のビーム径を有する光束を、入射側フィルタ部材の基板において厚さ方向での両端に渡って通過させるとともに、出射側フィルタ部材の基板において厚さ方向での両端に渡って通過させることにより、その光束の径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも他方は、前記位置調整方向で見て厚さ寸法が漸減する楔形状を呈する基板を有し、前記入射側フィルタ部材の基板は、前記入射面に直交する厚さ方向で見た該入射面の反対側に、該入射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な入射側接合面を有し、前記出射側フィルタ部材の基板は、前記出射面に直交する厚さ方向で見た該出射面の反対側に、該出射面に対して所定の角度で傾斜された平坦な出射側接合面を有し、前記入射側フィルタ部材の基板と前記出射側フィルタ部材の基板とは、前記入射側接合面と前記出射側接合面とを所定の間隔で並行に対向させて配置され、前記入射側フィルタ部材は、前記入射面から入射させる光束に対して該入射面を直交させる姿勢とされ、前記出射側フィルタ部材は、前記出射面から出射させる光束に対して該出射面を直交させる姿勢とされ、前記位置調整方向は、前記入射側接合面と前記出射側接合面とに沿う方向であることとすると、光量調節により光路が平行ずれすること(光束における平行変化が生じること)を防止することができる。このため、光量調節装置の前後に配される光学系で、光路の平行ずれ(平行変化)を生じさせないので、レンズの収差による誤差、光路内での透過率の不均一による誤差を除くことができる。
また、所定光路に光量調整機構を組み込む(差し入れて用いる)場合、組込み前後で、光線(光路)に偏角が生じないため、所定光路を構成する出射位置と受光位置との調整をやり直す必要がないので、簡易に所定光路における光量を適宜調節することができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材は、所定の透過率の部材からなり前記入射面としての第1光路面を形成する第1基板と、該第1基板よりも低い所定の透過率の部材からなり平坦な第2光路面を形成する第2基板と、を備え、前記第1基板は、前記第1光路面に直交する厚さ方向で見た前記第1光路面の反対側に、該第1光路面に対して第1の所定の角度で傾斜された平坦な第1接合面を有し、前記第2基板は、前記第2光路面に直交する厚さ方向で見た前記第2光路面の反対側に、該第2光路面に対して第2の所定の角度で傾斜された平坦な第2接合面を有し、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1光路面に入射する前の光束の進行方向と、該光束が前記第1基板および前記第2基板を経て前記第2光路面から出射された後の進行方向と、を互いに平行とすべく、互いの屈折率と前記第1の所定の角度と前記第2の所定の角度とに基づいて、前記第1接合面と前記第2接合面とが第3の所定の角度を為して対向する位置関係とされ、前記出射側フィルタ部材は、所定の透過率の部材からなり前記出射面としての第3光路面を形成する第3基板と、該第3基板よりも低い所定の透過率の部材からなり平坦な第4光路面を形成する第4基板と、を備え、前記第3基板は、前記第3光路面に直交する厚さ方向で見た前記第3光路面の反対側に、該第3光路面に対して第4の所定の角度で傾斜された平坦な第3接合面を有し、前記第4基板は、前記第4光路面に直交する厚さ方向で見た前記第4光路面の反対側に、該第4光路面に対して第5の所定の角度で傾斜された平坦な第4接合面を有し、前記第3基板と前記第4基板とは、前記第4光路面に入射する前の光束の進行方向と、該光束が前記第3基板および前記第4基板を経て前記第3光路面から出射された後の進行方向と、を互いに平行とすべく、互いの屈折率と前記第4の所定の角度と前記第5の所定の角度とに基づいて、前記第3接合面と前記第4接合面とが第6の所定の角度を為して対向する位置関係とされていることとすると、光量調節により光路が平行ずれすること(光束における平行変化が生じること)を防止することができる。このため、光量調節装置の前後に配される光学系で、光路の平行ずれ(平行変化)を生じさせないので、レンズの収差による誤差、光路内での透過率の不均一による誤差を除くことができる。
また、所定光路に光量調整機構を組み込む(差し入れて用いる)場合、組込み前後で、光線(光路)に偏角が生じないため、所定光路を構成する出射位置と受光位置との調整をやり直す必要がないので、簡易に所定光路における光量を適宜調節することができる。
さらに、光束の径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
しかも、第1基板と第2基板との屈折率の設定自由度を高めつつ入射する前と出射された後との光束(光)の進行方向を互いに平行なものとすることができる。
ついで、第3基板と第4基板との屈折率の設定自由度を高めつつ入射する前と出射された後との光束(光)の進行方向を互いに平行なものとすることができる。
第1基板および第3基板が、所定の透過率の部材から形成されていることから、厚さ方向で見た第1基板および第3基板での通過距離に対する減光率の関係性を一定なものとすることができるので、減光率の調整を容易なものとすることができる。
上記した構成に加えて、前記第1基板と前記第2基板とは、略等しい屈折率とされ、前記第1の所定の角度と第2の所定の角度とは、互いに等しい大きさとされ、前記第3の所定の角度は、前記第1接合面と前記第2接合面とを平行とする大きさとされ、前記第3基板と前記第4基板とは、略等しい屈折率とされ、前記第4の所定の角度と第5の所定の角度とは、互いに等しい大きさとされ、前記第6の所定の角度は、前記第3接合面と前記第4接合面とを平行とする大きさとされていることとすると、簡単な構成で、光量調節装置の前後に配される光学系で、光路の平行ずれ(平行変化)を生じさせないので、レンズの収差による誤差、光路内での透過率の不均一による誤差を除くことができる。
また、所定光路に光量調整機構を組み込む(差し入れて用いる)場合、組込み前後で、光線(光路)に偏角が生じないため、所定光路を構成する出射位置と受光位置との調整をやり直す必要がないので、簡易に所定光路における光量を適宜調節することができる。
さらに、光束の径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とは、前記入射面から前記入射側フィルタ部材内へと入射させた光束に対して該入射側フィルタ部材から出射された光束におけるずれ量を、前記出射側フィルタ部材内へと入射させた光束に対して該出射側フィルタ部材の前記出射面から出射させた光束におけるずれ量で打ち消すべく、相対的な位置が設定されていることとすると、所定光路に光量調整機構を組み込む(差し入れて用いる)場合、組込み前後で、光線(光路)に位置ずれが生じない(透過偏角および光軸段差がない)ので、所定光路を構成する出射位置と受光位置との調整をやり直す必要がないので、簡易に所定光路における光量を適宜調節することができる。
また、入射側フィルタ部材および出射側フィルタ部材で互いに打ち消すだけで良いことから、簡易な構成とすることができる。
上記した構成に加えて、さらに、前記入射面から入射させた光束に対する前記出射面から出射させた光束のずれ量を打ち消す補正光学部材を備えることとすると、所定光路に光量調整機構を組み込む(差し入れて用いる)場合、組込み前後で、光線(光路)に位置ずれが生じない(透過偏角および光軸段差がない)ので、所定光路を構成する出射位置と受光位置との調整をやり直す必要がないので、簡易に所定光路における光量を適宜調節することができる。
また、入射側フィルタ部材および出射側フィルタ部材による光束のずれ量に応じた補正光学部材を設けるだけで良いことから、簡易な構成とすることができる。
上記した構成に加えて、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1接合面と前記第2接合面とが面当接されて結合され、前記第3基板と前記第4基板とは、前記第3接合面と前記第4接合面とが面当接されて結合されていることとすると、入射側フィルタ部材および出射側フィルタ部材における各基板の経時変化による位置ずれを少なくすることができ、高精度化に貢献することができる。
また、簡易な構成とすることができ、各基板(入射側フィルタ部材および出射側フィルタ部材)の保持およびその調整のための構造も簡易なものとすることができる。
さらに、対象とする光束を入射側フィルタ部材内で直進させることができる。このため、所定の光学系の光路に対して適用することをより容易なものとすることができる。
ついで、厚さ方向に沿って入射する光束を、厚さ方向に直交する面で見た位置を実質的に変化させることなく厚さ方向に沿って出射させることができる。このため、所定の光学系の光路に対して適宜挿入したり離脱させたりしてもその光路(その光軸位置)の変更を招くことがないので、当該光学系の光路を通過する光量を適宜調節することができる。
上記した構成に加えて、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも一方は、光の透過を許す部材に蒸着膜が設けられて形成されていること、あるいは、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材との少なくとも一方は、濃度フィルムであること、とすると、簡易な構成とすることができる。
上記した構成に加えて、さらに、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とを保持する保持機構を備え、前記入射側フィルタ部材と前記出射側フィルタ部材とは、前記保持機構により前記位置調整方向へと相対的に移動可能に保持されていることとすると、保持機構により位置調整方向での入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との相対的な位置を調整するだけで、全体としての透過率を調整することができる。
上記した構成に加えて、前記保持機構は、前記入射側フィルタ部材を前記位置調整方向に移動可能に保持する入射側移動機構部と、前記出射側フィルタ部材を前記位置調整方向に移動可能に保持する出射側移動機構部と、を有することとすると、位置調整方向での入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との相対的な位置の調整をより容易なものとすることができる。
以下に、本発明に係る光量調整機構の発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
先ず、本願発明に係る光量調整機構の概念について説明する。図1は、本願発明に係る光量調整機構1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、光量調整機構1の入射側フィルタ部材2の構成を示す斜視図である。図3は、光量調整機構1の入射側フィルタ部材2の構成を示す図2とは異なる説明図であり、(a)が正面図で示し、(b)が側面図で示している。図4は、入射側フィルタ部材2における透過率特性を示すグラフであり、横軸を入射側フィルタ部材2の一端を基準とする長さ方向での位置ppとし、縦軸を透過率Tとしている。図5は、入射側フィルタ部材2における光学濃度特性を示すグラフであり、横軸を入射側フィルタ部材2の一端を基準とする長さ方向での位置ppとし、縦軸を光学濃度ODとしている。図6は、光量調整機構1における入射側フィルタ部材2および出射側フィルタ部材3の位置関係と、その示された位置関係における光量調整機構1、入射側フィルタ部材2および出射側フィルタ部材3の光学濃度特性を示すグラフと、を併せて示す説明図であり、そのグラフにおいて、横軸を光量調整機構1の一端を基準とする位置調整方向Pでの位置phとし、縦軸を光学濃度ODとしている。図7は、光量調整機構1における入射側フィルタ部材2および出射側フィルタ部材3の図6とは異なる位置関係と、その示された位置関係における光量調整機構1、入射側フィルタ部材2および出射側フィルタ部材3の光学濃度特性を示すグラフと、を併せて示す説明図であり、そのグラフにおいて、横軸を光量調整機構1の一端を基準とする位置調整方向Pでの位置phとし、縦軸を光学濃度ODとしている。
本願発明に係る光量調整機構1は、光量調整のために用いられるND(Neutral Density)フィルタとして機能するものであり、入射された光を透過させる際にその光量を減少させて出射する作用を有する。この光量調整機構1は、基本的な概念としては、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束内において径方向で見た透過率に差が生じることを防止することを目的とし、図1に示すように、入射側に設けられる入射側フィルタ部材2と、出射側に設けられる出射側フィルタ部材3と、を備える。その入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とは、基本的に同様の構成であることから、以下では、入射側フィルタ部材2の構成について説明し、出射側フィルタ部材3については省略する。
その入射側フィルタ部材2は、この例では、図2および図3に示すように、ガラス基板4にクロム膜5が設けられて形成されている。そのガラス基板4は、直方体形状の薄板とされており、この例では、ソーダ石灰ガラスから形成されている。ガラス基板4は、図3(a)を正面視した面において縦方向を幅方向かつ横方向を長さ方向として、幅方向が寸法lとされかつ長さ方向が寸法sとされた矩形状を呈する。また、ガラス基板4は、図3(b)を正面視した横方向を厚さ方向として、全体に渡って均一な厚さ寸法tとされている。ガラス基板4では、図3(a)を正面視した面に、クロム膜5(図示の例では濃淡で示す)が周知の方法によりコーティング(形成)されている。そのクロム膜5は、長さ方向での位置の変化に応じて厚さ寸法が連続的に変化し(図示の例では濃淡で示す)、長さ方向で見て等しい位置での厚さ寸法が、幅方向で見た両端に渡って等しいものとされて形成されている。クロム膜5の厚さ寸法の変化は、以下のように設定している。
まず、入射側フィルタ部材2における長さ方向での一端を基準とした長さ方向での位置を位置pp(図3参照)として、位置ppでの入射側フィルタ部材2の透過率を透過率Tとする。すると、入射側フィルタ部材2は、図4に示す透過率特性としている。ここで、透過率Tを光学濃度ODに変換する。その光学濃度ODは、次式(1)で定義される。
OD=log10(1/T) ・・・・・(1)
この式(1)で定義された光学濃度ODを用いるのは、複数の光学部材(この例では入射側フィルタ部材2や出射側フィルタ部材3)が重ねられた際、それぞれの光学濃度ODを加算することにより全体(この例では光量調整機構1)としての光学濃度ODを算出することができることによる。この光学濃度ODは、数値が大きいほど減光率(光量を減少させる割合)が高くなる。
すると、入射側フィルタ部材2は、図5に示す光学濃度特性となる。本願発明では、入射側フィルタ部材2は、長さ方向での位置ppに対する光学濃度ODの変化が正比例の関係となるように、換言すると図5のようなグラフで表した場合に光学濃度特性を直線で示すことができるように、光学濃度ODすなわち透過率Tを設定する。この光学濃度OD(透過率T)は、この例の入射側フィルタ部材2では、クロム膜5の厚さ寸法により規定される。このため、入射側フィルタ部材2では、長さ方向での位置ppに対する光学濃度ODの変化が正比例の関係となるように、換言すると図5のようなグラフで表した場合に光学濃度特性を直線で示すことができるように、クロム膜5の厚さ寸法を設定している。この明細書では、図5に示す光学濃度特性としての直線の傾き、換言すると位置ppに対する光学濃度ODの変化の割り合いを光学濃度勾配という。
この例の光量調整機構1では、明確な図示は略すが、上述したように、出射側フィルタ部材3が入射側フィルタ部材2と同様の構成とされている。このため、出射側フィルタ部材3では、図5のようなグラフで表した場合に光学濃度特性が直線で示すものとされており、その光学濃度勾配が入射側フィルタ部材2と等しいものとされている。
この光量調整機構1は、図1に示すように、入射側フィルタ部材2を入射側に配置しかつ出射側フィルタ部材3を出射側に配置して、互いの厚さ方向が一致されて入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが並列されて構成される。このとき、光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との並列方向であって各厚さ方向を光路方向Opとして、その光路方向Opで入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とのそれぞれの少なくとも一部を対向させる。なお、図1および図6では、全体を対向させた状態を示し、図7では、一部を対向させた状態を示している。このため、光路方向Opは、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とを通過する。ここで、光路方向Op(各フィルタ部材の厚さ方向)に直交する方向であって、位置の変化に伴い入射側フィルタ部材2および出射側フィルタ部材3における光学濃度OD(透過率T)が変化する方向(互いの長さ方向)を位置調整方向Pとする。
光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2における光学濃度ODが減少する側(図1、図6および図7では正面視して右向き)位置調整方向Pの正側とすると、出射側フィルタ部材3が位置調整方向Pにおいて正側から負側へ向けて光学濃度ODが減少する姿勢となるように、相対的な向き(姿勢)が設定されている。すなわち、光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との光学濃度ODの変化を、位置調整方向Pでの位置に対して逆向きとするように、相対的な向き(姿勢)が設定されている。
この光量調整機構1では、入射側に位置された入射側フィルタ部材2に光路方向Opに沿って光(光束B(図1参照))が入射されると、入射側フィルタ部材2および出射側フィルタ部材3を通過する際、適宜減光されて(光量が適宜減少されて)、光路方向Opに沿って出射側に位置された出射側フィルタ部材3から出射される。以下では、光量調整機構1における光量調節の作用について、図6および図7を用いて説明する。その図6および図7では、グラフにおいて、入射側フィルタ部材2における光学濃度ODを特性線Cl(2)で表し、出射側フィルタ部材3における光学濃度ODを特性線Cl(3)で表している。また、グラフにおいて、光量調整機構1において、光路方向Opで入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが重ねられた位置調整方向Pでの位置ph(箇所)での光学濃度ODを特性線Cl(1)で表している。
上述したように、複数の光学部材が重ねられた際、それぞれの光学濃度ODを加算することにより全体としての光学濃度ODを算出することができる。このため、光量調整機構1における特性線Cl(1)は、図6および図7のグラフにおいて、特性線Cl(2)が示す値(光学濃度OD)と特性線Cl(3)が示す値(光学濃度OD)とを加算したものとなる。ここで、本願発明の光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが、光学濃度特性が直線で示すものとされるとともに互いに等しい光学濃度勾配とされている。光量調整機構1では、その入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが、位置調整方向Pでの位置に対して光学濃度ODの変化が逆向きとされて相対的な向き(姿勢)が設定されている。このため、光量調整機構1では、特性線Cl(1)が横軸と平行な直線となり、位置調整方向Pでの位置に拘らず光学濃度ODとして一定の値を示すこととなる(図6および図7参照)。この光学濃度ODとしての一定の値、すなわち特性線Cl(1)における縦軸方向での位置は、特性線Cl(2)が示す値(光学濃度OD)と特性線Cl(3)が示す値(光学濃度OD)とを加算したものであることから、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との位置調整方向Pでの相対的な位置関係(重ねられた箇所)に応じて変化することとなる(図6および図7参照)。
これにより、光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との位置調整方向Pでの相対的な位置関係を変化させることにより、その入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが重なる箇所での光路方向Opの光学濃度OD(特性線Cl(1))を連続的に変化させることができる。また、光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との位置調整方向Pでの相対的な位置関係を固定(決定)することにより、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが重なる箇所での光路方向Opの光学濃度OD(特性線Cl(1))を、位置調整方向Pでの位置phに拘らず一定の値に決定(設定)することができる。
次に、NDフィルタを用いて減光率を変更させることで光量を調節する際の技術の課題について、図8および図9を用いて説明する。図8は、透過率可変式のNDフィルタ6を用いて減光率を変更させる例を示し、図9は、透過率固定式の複数のNDフィルタ7を用いて減光率を変更させる例を示す。この図8および図9においても、以下の説明では、透過率が変化する方向を位置調整方向Pとする。その透過率可変式のNDフィルタ6(図8参照)は、ガラス基板上に蒸着膜を設けて形成されており、その蒸着膜の厚さが位置調整方向Pでの位置の変化により連続的に変化するものとされている(図8では濃淡で示す)。また、透過率固定式のNDフィルタ7(図9参照)は、ガラス基板上に蒸着膜を設けて形成されており、その蒸着膜の厚さが一様とされている。
図8に示すように、透過率可変式のNDフィルタ6では、所定のビーム径を有する光束Bの光路上に存在させる位置を位置調整方向Pで調整することにより、光束Bの光量を連続的に変化させることができる。なお、ここで、ビーム径とは、光束Bの径方向で見て、光束Bの強度のピーク値に対して所定の割合の強度を有する幅をいう。ところが、NDフィルタ6は、透過率すなわち蒸着膜の厚さが位置調整方向Pでの位置の変化により連続的に変化する構成であることから、光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)を生じさせてしまう(符号Bpで示す円を参照)。
透過率固定式のNDフィルタを用いる場合、図9に示すように、単一のものでは透過率が一様であることから、互いに異なる透過率とされた複数(図示の例では4つ)のNDフィルタ7(個別に示す場合には、NDフィルタ7a、NDフィルタ7b、NDフィルタ7c、NDフィルタ7dとする)を用いることが考えられる。このものでは、複数(図示の例では4つ)のNDフィルタ7のうち、所定のビーム径を有する光束Bの光路上に存在させるNDフィルタ7(図示の例ではNDフィルタ7b)を選択することにより、光束Bの光量を変化させることができる。また、このものでは、光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することはできる。ところが、NDフィルタ7は、互いに異なる透過率(蒸着膜の厚さ)の複数のNDフィルタ(NDフィルタ7a、NDフィルタ7b、NDフィルタ7c、NDフィルタ7d)の交換により減光率を変更することから、段階的にしか光量を調整することができない。
これに対して、本願発明の光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との位置調整方向Pでの相対的な位置関係を固定することにより、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが重なる箇所での光路方向Opの光学濃度OD(特性線Cl(1))を、位置調整方向Pでの位置phに拘らず一定の値に決定(設定)することができることから、光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
また、光量調整機構1では、入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3との位置調整方向Pでの相対的な位置関係を変化させることにより、その入射側フィルタ部材2と出射側フィルタ部材3とが重なる箇所での光路方向Opの光学濃度OD(特性線Cl(1))を連続的に変化させることができることから、光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止しつつ、その光束Bの光量を連続的に変化させることができる。
このように、本願発明に係る光量調整機構では、光学濃度特性を直線で示すものとする(入射面に沿う方向で見て連続的に変化する透過率とする)とともに互いに等しい光学濃度勾配とされた入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材とを、位置調整方向Pでの位置に対する光学濃度ODの変化(透過率を減少させる方向)を逆向きとして相対的な向き(姿勢)が設定することにより、光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止しつつ、その光束Bの光量を連続的に変化させることができる。このため、以下で示す各実施例における光量調整機構は、いずれも入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材とを光学濃度特性を直線で示すものとする(入射面に沿う方向で見て連続的に変化する透過率とする)とともに互いに等しい光学濃度勾配とし、位置調整方向での位置に対する光学濃度の変化(透過率を減少させる方向)を逆向きとして、入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との相対的な向き(姿勢)を設定して構成されている。これにより、以下で示す各実施例における光量調整機構は、いずれも光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止しつつ、その光束Bの光量を連続的に変化させることができる。
次に、本願発明に係る光量調整機構における具体的な構成の一例である実施例1の光量調整機構10について説明する。先ず、光量調整機構10の基本的な構成について説明する。図10は、光量調整機構10の基本構成を模式的に示す断面図であり、図11は、光量調整機構10の基本構成を模式的に示す斜視図である。
本発明に係る実施例1の光量調整機構10は、光量調整のために用いられるND(Neutral Density)フィルタとして機能するものであり、入射された光を透過させる際にその光量を減少させて出射する作用を有する。この光量調整機構10は、図10および図11に示すように、入射側に設けられる入射側フィルタ部材11と、出射側に設けられる出射側フィルタ部材12と、を備える。
その入射側フィルタ部材11は、第1基板13と第2基板14とを有する。その第1基板13は、全体に均一(一様)な所定の透過率の第1透過部材から形成されている。ここで、全体に均一な所定の透過率とは、内方を通過する光に対して、通過する単位距離で見た透過率(単位距離辺りの減光率)が一定であることをいう。このような第1透過部材は、例えば、光の透過を許す材質に光の吸収および/または散乱作用を有する材料を所定の濃度で均一に混入し、当該材質を凝固(固化)させることにより形成することができる。その第1透過部材として、実施例1では、透過率が50%(ND50)のものを用いており、その屈折率が1.504とされている。
第2基板14は、全体に均一(一様)であって第1透過部材(第1基板13)よりも高い透過率であり、その第1透過部材(第1基板13)と略等しい屈折率の第2透過部材から形成されている。その第2透過部材として、実施例1では、S−BSL7((株)オハラ商品名)を用いており、その屈折率が1.51633であるものを選定する。
第1基板13は、次のように形成される。先ず、立体形状の第1透過部材を用いて、少なくとも1つの平坦な面(15)を形成する。この立体形状とは、その平坦な面を第1光路面15とするとともに、その第1光路面15に直交する方向を厚さ方向T1(図10参照)として、後述する第1接合面16を形成しつつ厚さ方向T1で見て第1光路面15と当該第1接合面16との間の充満を可能とすることをいう。次に、立体形状の第1透過部材において、第1光路面15と厚さ方向T1で見た反対側となる(第1光路面15に対して厚さ方向T1側に位置する)箇所に、第1接合面16としての平坦な面を、切削加工や研磨加工等により形成する。その第1接合面16は、第1光路面15に対して所定の角度θ(図10参照)を為すものとする。この後、立体形状の第1透過部材において、厚さ方向T1に直交する方向に位置する箇所すなわち厚さ方向T1で見た形状を適宜成形することにより、第1基板13を形成する。実施例1では、厚さ方向T1に直交する方向に位置する箇所が、互いに隣接する面が直交するように成形されており、第1基板13は、厚さ方向T1で見て矩形状とされている。このため、第1基板13は、平坦な第1光路面15と、そこに対して傾斜された平坦な第1接合面16と、を有し、第1光路面15と第1接合面16との交線に平行な方向で見てV字形状となる楔形状を呈している。この第1基板13に第2基板14が結合される。
その第2基板14は、次のように形成される。先ず、立体形状の第2透過部材を用いて、少なくとも1つの平坦な面(17)を形成する。この立体形状とは、その平坦な面を第2光路面17とするとともに、その第2光路面17に直交する方向を厚さ方向T2(図10参照)として、後述する第2接合面18を形成しつつ厚さ方向T2で見て第2光路面17と当該第2接合面18との間の充満を可能とすることをいう。次に、立体形状の第2透過部材において、第2光路面17と厚さ方向T2で見た反対側となる(第2光路面17に対して厚さ方向T2側に位置する)箇所に、第2接合面18としての平坦な面を、切削加工や研磨加工等により形成する。その第2接合面18は、第2光路面17に対して、第1光路面15と第1接合面16とが為す角度に等しい所定の角度θ(図10参照)を為すものとする。このため、第2接合面18は、第2光路面17を第1光路面15と平行な状態とした際、第1接合面16と面当接することが可能である、換言すると第1接合面16と平行な状態となる。この後、立体形状の第2透過部材において、厚さ方向T2に直交する方向に位置する箇所すなわち厚さ方向T2で見た形状を適宜成形することにより、第2基板14を形成する。このため、第2基板14は、平坦な第2光路面17と、そこに対して傾斜された平坦な第2接合面18と、を有し、第2光路面17と第2接合面18との交線に平行な方向で見てV字形状となる楔形状を呈している。実施例1では、厚さ方向T2に直交する方向に位置する箇所が、互いに隣接する面が直交するように成形されており、第2基板14は、厚さ方向T2で見て矩形状とされている。また、実施例1では、厚さ方向T1で見た第1基板13と、厚さ方向T2で見た第2基板14と、が等しい大きさ寸法の長方形とされている。
その後、第1光路面15と第2光路面17とを平行としつつ第1接合面16と第2接合面18とを面当接させて互いに接合することにより、第1基板13と第2基板14とを結合して、入射側フィルタ部材11を形成する。実施例1では、第1接合面16と第2接合面18とが面全体で互いに当接されている。このため、入射側フィルタ部材11では、第1基板13における厚さ方向T1と、第2基板14における厚さ方向T2と、が一致されている。この入射側フィルタ部材11は、厚さ方向(入射側厚さ方向(T1、T2))に直交する両面が第1光路面15と第2光路面17とにより規定された全体に直方体形状を呈する。
次に、出射側フィルタ部材12について説明する。この出射側フィルタ部材12は、第3基板19と第4基板20とを有する。その第3基板19は、第1基板13と同一の部材から形成されている。なお、ここで第1基板13と同一の部材とは、少なくとも同一の透過率であることをいい、望ましくは全く等しい部材であることをいう。実施例1では、第3基板19は、上述した第1透過部材から形成されている。その第3基板19は、平坦な第3光路面21と、その第3光路面21に対して第1基板13での第1光路面15と第1接合面16とが為す角度に等しい所定の角度θを為す平坦な第3接合面22と、を有する。第3基板19は、実施例1では、第3光路面21が第1光路面15に相当し、かつ第3接合面22が第1接合面16に相当して、第1基板13と等しい形状および大きさ寸法とされている。この第3基板19において、第3光路面21に直交する方向を厚さ方向T3とする。このため、第3基板19は、平坦な第3光路面21と、そこに対して傾斜された平坦な第3接合面22と、を有し、第3光路面21と第3接合面22との交線に平行な方向で見てV字形状となる楔形状を呈している。
また、第4基板20は、第2基板14と同一の部材から形成されている。なお、ここで第2基板14と同一の部材とは、少なくとも同一の透過率であることをいい、望ましくは全く等しい部材であることをいう。実施例1では、第4基板20は、上述した第2透過部材から形成されている。この第4基板20は、平坦な第4光路面23と、その第4光路面23に対して第2基板14での第2光路面17と第2接合面18とが為す角度に等しい所定の角度θを為す平坦な第4接合面24と、を有する。この第4基板20は、実施例1では、第4光路面23が第2光路面17に相当し、かつ第4接合面24が第2接合面18に相当して、第2基板14と等しい形状および大きさ寸法とされている。この第4基板20において、第4光路面23に直交する方向を厚さ方向T4とする。このため、第4基板20は、平坦な第4光路面23と、そこに対して傾斜された平坦な第4接合面24と、を有し、第4光路面23と第4接合面24との交線に平行な方向で見てV字形状となる楔形状を呈している。このような構成であることから、実施例1では、厚さ方向T3で見た第3基板19と、厚さ方向T4で見た第4基板20と、が等しい大きさ寸法の長方形とされている。
出射側フィルタ部材12は、入射側フィルタ部材11と同様に、第3光路面21と第4光路面23とを平行としつつ第3接合面22と第4接合面24とを面当接させて接合することにより、第3基板19と第4基板20とが結合されて形成される。実施例1では、第3接合面22と第4接合面24とが面全体で互いに当接されている。このため、出射側フィルタ部材12では、第3基板19における厚さ方向T3と、第4基板20における厚さ方向T4とが一致されている。この出射側フィルタ部材12は、厚さ方向(出射側厚さ方向(T3、T4))に直交する両面が第3光路面21と第4光路面23とにより規定された全体に直方体形状を呈する。
光量調整機構10は、実施例1では、第1光路面15と第2光路面17と第3光路面21と第4光路面23とを互いに平行な位置関係とするとともに、入射側フィルタ部材11を入射側に配置しかつ出射側フィルタ部材12を出射側に配置して、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とが並列されて構成される。このとき、光量調整機構10では、各光路面に直交する方向(入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12との並列方向であって各厚さ方向)を光路方向Opとして、その光路方向Opで第2光路面17と第4光路面23とのそれぞれの少なくとも一部を対向させる(図10および図11では、全体を対向させた状態を示している)。このため、光路方向Opは、第1光路面15と第3光路面21とを通過する。
ここで、第1基板13において、厚さ方向T1(光路方向Op)に直交する方向であって、位置の変化に伴い第1基板13の厚さ寸法が変化する方向を位置調整方向Pとする。換言すると、位置調整方向Pは、位置の変化に伴い第1光路面15を基準とする第1接合面16までの距離(間隔)を連続して変化させる方向である。また、実施例1では、位置調整方向Pは、位置の変化に伴い第3光路面21を基準とする第3接合面22までの距離(間隔)を連続して変化させる方向でもある。光量調整機構10では、相対的に位置設定された第1基板13における厚さ寸法が減少する側(図10を正面視して右向き)を位置調整方向Pの正側とすると、第3基板19が位置調整方向Pにおいて正側から負側へ向けて厚さ寸法が減少する姿勢となるように、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12との相対的な向き(姿勢)が設定されている。すなわち、光量調整機構10では、第1基板13と第3基板19との厚さ寸法の変化を、位置調整方向Pでの位置に対して逆向きとするように、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12との相対的な向き(姿勢)が設定されている。
この光量調整機構10では、入射側に位置された入射側フィルタ部材11(その第1基板13の第1光路面15)に、光路方向Opに沿って光(光束B(図11参照))が入射されると、入射側フィルタ部材11および出射側フィルタ部材12を通過する際、適宜減光されて(光量が適宜減少されて)、光路方向Opに沿って出射側に位置された出射側フィルタ部材12(その第3基板19の第3光路面21)から出射される。以下では、この作用について、図12から図14を併せて用いて説明する。その図12は、入射側フィルタ部材11における作用を説明するための説明図であり、図13は、第1基板13における光学的な特性(位置調整方向Pでの位置に対する全透過率Dの変化)を示すグラフであり、図14は、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とを有する光量調整機構10における作用を説明するための説明図である。
図12に示すように、光路方向Opに沿う光束B(B1、B2、B3)は、その進行方向が第1光路面15に直交するものであることから、その第1光路面15における入射位置に拘らず当該第1光路面15から第1基板13内へと進入する。その光束Bは、第1基板13内においても光路方向Opに沿って進行し、第1接合面16に至る。ここで、その第1接合面16は、光路方向Opに対して傾斜されているが、第2基板14の第2接合面18と面当接されている。また、その第2基板14は、第1基板13と略等しい屈折率とされている。このため、光束Bは、第1接合面16すなわち第1基板13から出射される際に、屈折することはなく(厳密には屈折するが極めて微小である)、光路方向Opに沿って第2接合面18から第2基板14内へと進入する。その後、光束Bは、第2基板14内においても光路方向Opに沿って進行し、第2光路面17に至る。その光路方向Opに沿う光束Bは、その進行方向が第2光路面17に直交するものであることから、その第2光路面17における出射位置に拘らず、当該第2光路面17から光路方向Opに沿って第2基板14外に出射される。
このように、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)では、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とを面当接させた状態で結合されて構成されていることから、光路方向Opに沿って入射する光束B(B1、B2、B3)を、光路方向Opに直交する面で見た位置を実質的に変化させることなく光路方向Opに沿って出射させることができる。ここで、第1基板13と第2基板14との屈折率を完全に一致させることが望ましいが、互いの屈折率を略等しいものとしても第1接合面16と第2接合面18との接合位置での屈折を極めて小さくすることができ、光路方向Opに直交する面で見た位置の変化を実質的になくすという同様の効果を得られることから、第1基板13と第2基板14とを略等しい屈折率としている。この略等しい屈折率とは、光路方向Opに沿って入射する光束に対して、出射する光束における光路方向Opに直交する面で見た位置の変化を実質的になくすことができることをいう。その位置の変化を実質的になくすとは、所定の光学系の光路において、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)が挿入された状態と、挿入されていない状態と、における光軸のずれ量が許容範囲内であることをいう。この具体例として、後述する光量調整装置50(図15参照)で見ると、その遮蔽筐体53における入射側開口部61から出射側開口部62へと至る光路において、光量調整機構10の有無に拘らず、入射側開口部61に接続された入射側導光部材43の一端部43aから出射された光束を、出射側開口部62に接続された出射側導光部材44の一端部44aで取得(受光)を可能とすることをいう。
このとき、光束B(B1、B2、B3)は、入射側フィルタ部材11において、第1基板13内を光路方向Opすなわち厚さ方向T1に沿って透過している。その第1基板13は、上述したように、通過する単位距離で見た透過率(単位距離辺りの減光率)が一定とされていることから、光束Bは、第1基板13を通過した距離に応じて光量が減少(減光)される。ここで、第1基板13すなわち第1透過部材の単位距離1mm辺りの透過率をdとし、第1基板13内における通過距離をLmmとすると、その全透過率D(Lmmの厚さ寸法の第1基板13に対する透過率)は、通過距離をL変数とする指数関数、D=dLで表すことができる。
また、光路方向Opに沿う光束Bは、第1光路面15における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて、第1基板13内の通過距離が漸次的に連続して変化する。詳細には、図12に示すように、入射側フィルタ部材11の第1基板13(その第1光路面15)において、位置調整方向Pの負側の端部に入射する光束を光束B1とし、位置調整方向Pの中心位置に入射する光束を光束B2とし、位置調整方向Pの正側の端部に入射する光束を光束B3とすると、第1基板13内の通過距離は、光束B1の通過距離L1、光束B2の通過距離L2、光束B3の通過距離L3の順に漸次的に短くなる。ここで、光路方向Opでの第1基板13内の通過距離は、光路方向Opで見た第1光路面15と第1接合面16との距離(間隔)、すなわち第1基板13の厚さ寸法により規定される。その第1光路面15は、光路方向Opに対して直交する平坦面であり、かつ第1接合面16は、位置調整方向Pの正側に交線を有し第1光路面15に対して所定の角度θとなる平坦面である。このため、光路方向Opでの第1基板13内の通過距離は、第1光路面15(第1基板13)への入射位置の位置調整方向Pでの位置の変化に応じて連続して変化する。このため、第1基板13では、全透過率Dが位置調整方向Pでの位置の変化(差異)に応じて変化する図13に示すような光学的な特性を有する。これにより、明確な図示は略すが、第1基板13では、位置調整方向Pでの位置に対する光学濃度ODの変化を示す光学濃度特性(図5等参照)が、位置調整方向Pの負側から正側へ向けて光学濃度ODを減少させる直線で示すものとなる。
これらのことから、光路方向Opに沿って第1基板13を通過する光束B(B1、B2、B3)は、第1光路面15における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて、光量が減少(減光)されることとなる。すなわち、第1基板13(入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12(第3基板19)も同様である))では、上記した構成とすることにより、位置調整方向Pでの位置の変化に対する透過率の変化を、指数関数の関係性で連続的に変化するものとしている。なお、実際には、光束Bでは、第2基板14内においても、その透過率に応じて同様の減光作用が生じることとなり、入射側フィルタ部材11における透過率は、第1基板13での通過距離に応じた透過率と、第2基板14での通過距離とに応じた透過率と、を乗算したものとなる。しかしながら、実施例1では、第2基板14の透過率が、第1基板13よりも高いものとされかつ極めて大きな値とされていることから、この説明では第2基板14(以下の第4基板20も同様)による光量減少(減光)の作用を省略する。
その入射側フィルタ部材11により光量が減少(減光)されて光路方向Opに進行する光束Bは、図11および図14に示すように、出射側フィルタ部材12の第4基板20の第4光路面23へと進行する。その光路方向Opに沿う光束Bは、その進行方向が第4光路面23に直交するものであることから、その第4光路面23における入射位置に拘らず当該第4光路面23から第4基板20内へと進入する。その光束Bは、第4基板20内においても光路方向Opに沿って進行し、第4接合面24に至る。ここで、その第4接合面24は、光路方向Opに対して傾斜されているが、第3基板19の第3接合面22に面当接されている。また、その第3基板19は、第1基板13と第2基板14との関係と同様に、第4基板20と略等しい屈折率とされている。このため、光束Bは、第4接合面24すなわち第4基板20から出射される際に、屈折することはなく(厳密には屈折するが極めて微小である)、光路方向Opに沿って第3接合面22から第3基板19内へと進入する。その後、光束Bは、第3基板19内においても光路方向Opに沿って進行し、第3光路面21に至る。その光路方向Opに沿う光束Bは、その進行方向が第3光路面21に直交するものであることから、その第3光路面21における入射位置に拘らず、当該第3光路面21から光路方向Opに沿って第3基板19外に出射される。このとき、光束Bは、入射側フィルタ部材11と同様に、第3接合面22における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて、第3基板19内の通過距離が漸次的に連続して変化し、光量の減少(減光)量が漸次的に連続して変化する。このため、光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11の第1基板13の第1光路面15が入射面として機能し、出射側フィルタ部材12の第3基板19の第3光路面21が出射面として機能する。
ここで、従来のように、透過率の異なる複数の蒸着膜を形成する構成のNDフィルタでは、各蒸着膜の透過率で減光率が設定されることから、減光率の変化が段階的になってしまう。また、基板に所定の透過率の蒸着膜を設けるとともにその膜厚を変化させる構成のNDフィルタでは、膜厚の変化量を大きくすることが困難であることから、減光率を変更可能な幅(レンジ)を大きくすることが困難であるとともに、膜厚の調整が容易ではないことから、漸次的に連続する減光率の変化を得ることが困難である。さらに、基板に設けた反射膜に微小開口を形成するとともに反射膜における微小開口の占める面積割合を変化させる構成のNDフィルタでは、微小開口の占有面積割合の変化による透過率の微小な変化の調整が困難であることから、漸次的に連続する変化の減光率とすることが困難である。
これに対し、光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)の第1基板13が、通過する単位距離で見た透過率(単位距離辺りの減光率)を一定とするとともに、その第1光路面15が光路方向Opに対して交わる(実施例1では直交する)平坦面とされかつ第1接合面16が位置調整方向Pの正側に交線を有し第1光路面15に対して所定の角度θとなる平坦面とされている。このため、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)における透過率は、第1基板13での通過距離に応じて変化することとなり、その通過距離が位置調整方向Pで見た入射位置に応じて漸次的に変化することから、その位置調整方向Pでの入射位置の変化に対する減光率の変化を連続的なものとすることができる。
この光量調整機構10では、所定のビーム径を有する光束Bにおいて、その進行方向に直交する方向(以下、径方向ともいう)で見て透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。以下では、これについて説明する。なお、ここで、ビーム径とは、光束Bの径方向で見て、光束Bの強度のピーク値に対して所定の割合の強度を有する幅をいう。また、以下の説明では、光束Bにおける位置調整方向Pでの最も負側(図14を正面視して左側)の光路を通過するものを光束部分b1とし、最も正側の光路を通過するものを光束部分b2とする。
図14(a)に示すように、所定のビーム径を有する光束Bが、光路方向Opに沿って、光量調整機構10の入射側フィルタ部材11の第1基板13(その第1光路面15)に、位置調整方向Pの中心位置(図12における光束B2の位置)で入射するものとする。換言すると、光束Bを位置調整方向Pの中心位置に入射させるように、光路に対する入射側フィルタ部材11の位置を調整する。すると、光束Bでは、光束部分b1が第1基板13内を通過距離L11だけ進行し、光束部分b2が第1基板13内を通過距離L12だけ進行する。その後、光束Bは、第2基板14を通過し第2光路面17から光路方向Opに沿って、入射側フィルタ部材11の外部に出射される。
その後、光束Bは、光路方向Opに沿って、出射側フィルタ部材12の第4基板20(その第4光路面23)に、位置調整方向Pの中心位置(図12における光束B2の位置)で入射するものとする。換言すると、光束Bを位置調整方向Pの中心位置に入射させるように、光路に対する出射側フィルタ部材12の位置を調整する。その光束Bは、光路方向Opに沿って、第4基板20を通過して第3基板19内へと進行する。その後、光束Bは、光路方向Opに沿って、第3基板19の第3光路面21から出射側フィルタ部材12の外部に出射される。すると、光束Bでは、光束部分b1が第3基板19内を通過距離L13だけ進行し、光束部分b2が第3基板19内を通過距離L14だけ進行する。
この光量調整機構10では、上述したように、位置調整方向Pで見ると、負側から正側へ向けて第1基板13の厚さ寸法が減少するとともに、正側から負側へ向けて第3基板19の厚さ寸法が減少するように、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12との向きが設定されている。また、第1基板13での第1光路面15と第1接合面16とが為す角度と、第3基板19での第3光路面21と第3接合面22とが為す角度と、がともに所定の角度θ(図10参照)とされている。さらに、第1基板13と第3基板19とは、全体に均一(一様)で同一の透過率の部材(実施例1では同一の第1透過部材)から形成されている。これらのことから、光束Bでは、図14(b)に示すように、光束部分b1において、第1基板13内を通過した通過距離L11と、第3基板19内を通過した通過距離L13と、の合計値を通過距離L10とすると、光束部分b2における第1基板13内を通過した通過距離L12と、第3基板19内を通過した通過距離L14との合計値も通過距離L10となる。このため、光量調整機構10では、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bにおいて、第1基板13(その第1光路面15および第1接合面16)と第3基板19(その第3接合面22および第3光路面21)との双方を通過させることにより、第1透過部材を通過した距離を径方向で見た位置(光路方向Opに直交する方向での位置)に拘らず一定(図14(a)、(b)の例では通過距離L10)とすることができる。これにより、光量調整機構10では、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。このとき、光量調整機構10では、位置調整方向Pでの第1光路面15(第1基板13)に対する入射位置に拘らず、位置調整方向Pでの第3光路面21(第3基板19)に対する入射位置を適宜設定しても、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た透過率の差(差異)が生じることの防止の効果を得ることができる。これは、光量調整機構10では、第1基板13と第3基板19との厚さ寸法の変化が位置調整方向Pでの位置に対して逆向きとするとともに、第1基板13での第1光路面15と第1接合面16とが為す角度と、第3基板19での第3光路面21と第3接合面22とが為す角度と、をともに所定の角度θとしていることによる。換言すると、第1基板13と第3基板19とが、位置調整方向Pでの位置に対して互いに等しい指数関数に従う関係性で変化する透過率とされているとともに、その透過率の変化が位置調整方向Pでの位置に対して逆向きとされていることによる。すなわち、第1基板13(入射側フィルタ部材)と第3基板19(出射側フィルタ部材)とが、光学濃度特性を直線で示すものとされているとともに互いに等しい光学濃度勾配とされ、位置調整方向Pでの位置に対する光学濃度ODの変化(透過率を減少させる方向)を逆向きとして相対的な向き(姿勢)が設定されていることによる。
さらに、光量調整機構10では、所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとしつつ、その透過率を連続的に変化させることができる。以下では、これについて説明する。
図14(c)に示すように、所定のビーム径を有する光束Bが、光路方向Opに沿って、光量調整機構10の入射側フィルタ部材11の第1基板13(その第1光路面15)に、位置調整方向Pの正側の位置(図12における光束B3の位置)で入射するものとする。換言すると、光束Bを位置調整方向Pの正側の位置に入射させるように、光路に対する入射側フィルタ部材11の位置を調整する。すると、光束Bでは、光束部分b1が第1基板13内を通過距離L21だけ進行し、光束部分b2が第1基板13内を通過距離L22だけ進行する。その後、光束Bは、光路方向Opに沿って、第2基板14を通過し第2光路面17から入射側フィルタ部材11の外部に出射される。
その後、光束Bは、光路方向Opに沿って、出射側フィルタ部材12の第4基板20(その第4光路面23)に、位置調整方向Pの負側の位置(図12における光束B1の位置)で入射するものとする。換言すると、光束Bを位置調整方向Pの負側の位置に入射させるように、光路に対する出射側フィルタ部材12の位置を調整する。その光束Bは、光路方向Opに沿って、第4基板20を通過して第3基板19内へと進行する。すると、光束Bでは、光束部分b1が第3基板19内を通過距離L23だけ進行し、光束部分b2が第3基板19内を通過距離L24だけ進行する。その後、光束Bは、第3基板19の第3光路面21から光路方向Opに沿って、出射側フィルタ部材12の外部に出射される。
この光束Bでは、図14(d)に示すように、光束部分b1における第1基板13内を通過した通過距離L21と第3基板19内を通過した通過距離L23との合計値と、光束部分b2における第1基板13内を通過した通過距離L22と第3基板19内を通過した通過距離L24との合計値と、がともに通過距離L20となる。この通過距離L20は、上述した図14(a)の状態における通過距離L10(図14(b)参照)よりも短いものとなり、光束Bに対する透過率を上昇させる(透過した光束Bの光量が増加)ことができる。
加えて、図14(e)に示すように、所定のビーム径を有する光束Bが、光路方向Opに沿って、光量調整機構10の入射側フィルタ部材11の第1基板13(その第1光路面15)に、位置調整方向Pの負側の位置(図12における光束B1の位置)で入射するものとする。換言すると、光束Bを位置調整方向Pの負側の位置に入射させるように、光路に対する入射側フィルタ部材11の位置を調整する。すると、光束Bでは、光束部分b1が第1基板13内を通過距離L31だけ進行し、光束部分b2が第1基板13内を通過距離L32だけ進行する。その後、光束Bは、光路方向Opに沿って、第2基板14を通過し第2光路面17から入射側フィルタ部材11の外部に出射される。
その後、光束Bは、光路方向Opに沿って、出射側フィルタ部材12の第4基板20(その第4光路面23)に、位置調整方向Pの正側の位置(図12における光束B3の位置)で入射するものとする。換言すると、光束Bを位置調整方向Pの正側の位置に入射させるように、光路に対する出射側フィルタ部材12の位置を調整する。その光束Bは、光路方向Opに沿って、第4基板20を通過して第3基板19内へと進行する。すると、光束Bでは、光束部分b1が第3基板19内を通過距離L33だけ進行し、光束部分b2が第3基板19内を通過距離L34だけ進行する。その後、光束Bは、第3基板19の第3光路面21から光路方向Opに沿って、出射側フィルタ部材12の外部に出射される。
この光束Bでは、図14(f)に示すように、光束部分b1における第1基板13内を通過した通過距離L31と第3基板19内を通過した通過距離L33との合計値と、光束部分b2における第1基板13内を通過した通過距離L32と第3基板19内を通過した通過距離L34との合計値と、がともに通過距離L30となる。この通過距離L30は、上述した図14(a)の状態における通過距離L10(図14(b)参照)よりも長いものとなり、光束Bに対する透過率を低減させる(透過した光束Bの光量が低下)ことができる。
これらのことから、光量調整機構10では、光路に対する入射側フィルタ部材11の位置(位置調整方向Pで見た入射側フィルタ部材11への光束Bの入射位置)と、光路に対する出射側フィルタ部材12の位置(位置調整方向Pで見た出射側フィルタ部材12への光束Bの入射位置)と、を適宜調整することにより、光束Bの透過量すなわち全体としての減光率を適宜調整することができる。このとき、光量調整機構10では、対象とする光束Bに対する入射側フィルタ部材11の位置調整方向Pでの位置の変化により第1基板13内での通過距離を調整し、かつ出射側フィルタ部材12の位置調整方向Pでの位置の変化により第3基板19内での通過距離を調整するものであることから、第1基板13内での通過距離の変化を連続的なもの(指数関数の関係性を有するもの)とすることができるとともに、第3基板19内での通過距離の変化を連続的なもの(指数関数の関係性を有するもの)とすることができるので、全体としての透過率を連続的(指数関数の関係性を有するもの)に変化させることができる。この所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとしつつ、その全体としての透過率を連続的に変化させることができることは、上述したように、入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との位置調整方向Pでの位置に対する光学濃度ODの特性線を用いた光量調整機構における光学濃度ODの変化の態様(図6よび図7参照)からも明らかである。
また、光量調整機構10では、入射面としての第1光路面15から第1基板13へと入射させ、かつ第2基板14を通過した後第2光路面17から出射させて入射側フィルタ部材11を通過させるとともに、第4光路面23から第4基板20へと入射させ、かつ第3基板19を通過した後出射面としての第3光路面21から出射させて出射側フィルタ部材12を通過させることにより、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。この光路長(光学的距離)とは、実際に物質を透過した距離となる通過距離に、当該物質の屈折率を乗算したものをいう。これは以下のことによる。光量調整機構10では、上述したように、入射側フィルタ部材11において第1基板13と第2基板14とが互いに略等しい屈折率とされており、かつ出射側フィルタ部材12において第4基板20と第3基板19とが互いに略等しい屈折率とされている。また、光量調整機構10では、上述したように、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず入射側フィルタ部材11の第1基板13での通過距離と出射側フィルタ部材12の第3基板19での通過距離とが互いに等しくなる。このことは、入射側フィルタ部材11の第2基板14での通過距離と出射側フィルタ部材12の第4基板20での通過距離とにおいても同様である。このため、光量調整機構10では、厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13を通過させるとともに厚さ方向T2での両端に渡って第2基板14を通過させることで、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11を通過させ、かつ厚さ方向T4での両端に渡って第4基板20を通過させるとともに厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19を通過させることで、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12を通過させることにより、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。このことから、光量調整機構10では、実質的に減光作用を生じさせる第1基板13と第3基板19とだけで見た場合であっても、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
次に、この光量調整機構10の適用例について、図15を用いて説明する。この図15は、光量調整機構10を用いる光量調整装置50の構成を概略的に示す説明図である。この光量調整装置50は、発光部41から光路方向Opに出射された光を適宜調整して受光部42に受光させるものである。光量調整装置50は、入射側移動機構51と、出射側移動機構52と、遮蔽筐体53と、を有する。
その入射側移動機構51は、光量調整機構10を構成する入射側フィルタ部材11を、位置調整方向Pでの位置を調整可能に保持するものである。入射側移動機構51は、入射側保持枠54と、入射側保持軸55と、入射側操作部56と、を有する。この入射側移動機構51では、入射側保持枠54に入射側保持軸55が位置調整方向Pに移動可能に保持されている。この入射側保持枠54は、図示は略すが遮蔽筐体53に固定されている。入射側保持軸55は、一端で入射側フィルタ部材11を保持するとともに、他端に入射側操作部56が設けられている。この入射側保持軸55は、その軸線回りに入射側操作部56が回転操作されることにより、入射側保持枠54および遮蔽筐体53に対して当該軸線方向に移動可能とされて(矢印A1参照)おり、その移動方向が保持する入射側フィルタ部材11での位置調整方向Pに一致されている。また、入射側保持軸55は、位置調整方向Pへの移動に拘らず、入射側保持枠54および遮蔽筐体53に対して、入射面(第1光路面15)が光路方向Opに直交する姿勢を維持させて入射側フィルタ部材11を保持している。さらに、入射側保持軸55は、遮蔽筐体53内に形成される光路(後述する入射側開口部61と出射側開口部62との間)上への挿入およびそこからの離脱を可能とするとともに、当該光路上での位置調整方向Pでの位置を調整可能に、入射側フィルタ部材11を保持している。その入射側移動機構51の出射側(図15を正面視して下側)に出射側移動機構52が設けられている。
その出射側移動機構52は、光量調整機構10を構成する出射側フィルタ部材12を、入射側移動機構51に保持された入射側フィルタ部材11と光路方向Opに所定の間隔を置きつつ位置調整方向Pでの位置を調整可能に保持するものである。出射側移動機構52は、出射側保持枠57と、出射側保持軸58と、出射側操作部59と、を有する。この出射側移動機構52では、出射側保持枠57に出射側保持軸58が位置調整方向Pに移動可能に保持されている。この出射側保持枠57は、図示は略すが遮蔽筐体53に固定されている。出射側保持軸58は、一端で出射側フィルタ部材12を保持するとともに、他端に出射側操作部59が設けられている。この出射側保持軸58は、その軸線回りに出射側操作部59が回転操作されることにより、出射側保持枠57および遮蔽筐体53に対して当該軸線方向に移動可能とされて(矢印A2参照)おり、その移動方向が出射側フィルタ部材12での位置調整方向Pに一致されている。また、出射側保持軸58は、位置調整方向Pへの移動に拘らず、出射側保持枠57および遮蔽筐体53に対して、出射面(第3光路面21)が光路方向Opに直交する姿勢を維持させて出射側フィルタ部材12を保持している。さらに、出射側保持軸58は、遮蔽筐体53内に形成される光路(後述する入射側開口部61と出射側開口部62との間)上への挿入およびそこからの離脱を可能とするとともに、当該光路上での位置調整方向Pでの位置を調整可能に、出射側フィルタ部材12を保持している。
遮蔽筐体53は、光量調整機構10が適宜挿入および離脱される光路を規定するとともに、その光路に外部からの光が進入することを防止する。この遮蔽筐体53には、光路方向Opで対を為す入射側開口部61と出射側開口部62とが設けられている。遮蔽筐体53は、入射側開口部61から出射側開口部62に至る光路を規定している。その遮蔽筐体53の内方に、光路方向Opに沿って、入射側開口部61側に入射側移動機構51により位置調整方向Pへの移動可能とされた入射側フィルタ部材11が設けられているとともに、出射側開口部62側に出射側移動機構52により位置調整方向Pへの移動可能とされた出射側フィルタ部材12が設けられている。
この遮蔽筐体53の入射側開口部61には、入射側導光部材43の一端部43aが接続されている。その入射側導光部材43は、他端部43bが発光部41に対応されている。入射側導光部材43は、実施例1では、光ファイバ43cと他端側レンズ43dと一端側レンズ43eとを有する。その他端側レンズ43dは、入射側導光部材43の他端部43bに設けられており、発光部41から出射された光を光ファイバ43cの入射端面に集光する。一端側レンズ43eは、入射側導光部材43の一端部43aに設けられており、光ファイバ43cの出射端面から出射された光を光路方向Opに平行な光束とする。
また、遮蔽筐体53の出射側開口部62には、出射側導光部材44の一端部44aが接続されている。この出射側導光部材44は、他端部44bが受光部42に対応されている。出射側導光部材44は、実施例1では、光ファイバ44cと一端側レンズ44dと他端側レンズ44eとを有する。その一端側レンズ44dは、出射側導光部材44の一端部44aに設けられており、入射側導光部材43の一端部43aから光路方向Opに出射された光(入射側開口部61から出射側開口部62に至る光路上の光)を光ファイバ44cの入射端面に集光する。他端側レンズ44eは、出射側導光部材44の他端部44bに設けられており、光ファイバ44cの出射端面から出射された光を受光部42の受光面(図示せず)に集光する。
このため、光量調整装置50では、遮蔽筐体53内において、発光部41から出射された光を入射側開口部61から光路方向Opに出射させるとともに、その光路方向Opに沿って進行し出射側開口部62に到達した光を受光部42で受光させることができる。また、光量調整装置50では、入射側開口部61から出射側開口部62に至る光路方向Opに沿う光路上において、光量調整機構10としての入射面(入射側フィルタ部材11の第1基板13の第1光路面15)と出射面(出射側フィルタ部材12の第3基板19の第3光路面21)とが、光路方向Opに直交させて配置することが可能とされている。その光量調整機構10は、遮蔽筐体53内において、入射側移動機構51により入射側フィルタ部材11が光路方向Opに直交する位置調整方向Pに移動自在に保持されるとともに、出射側移動機構52により出射側フィルタ部材12が位置調整方向Pに移動可能に保持されている。
これにより、光量調整装置50では、入射側開口部61から出射側開口部62に至る光路上での光量調整機構10の透過率を適宜設定する、すなわち入射側移動機構51および出射側移動機構52による当該光路上での入射側フィルタ部材11および出射側フィルタ部材12の位置を適宜設定することにより、発光部41から出射された光を所定の減光率で減光させて受光部42に受光させることができる。このことから、光量調整装置50では、入射側移動機構51および出射側移動機構52が、位置調整方向Pへの相対的な移動を可能とすべく入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とを保持する光量調整機構における保持機構として機能する。また、光量調整装置50では、入射側移動機構51が、遮蔽筐体53内に規定される光路に対して位置調整方向Pへと移動可能に入射側フィルタ部材11を保持する光量調整機構における入射側移動機構として機能するとともに、出射側移動機構52が、遮蔽筐体53内に規定される光路に対して位置調整方向Pへと移動可能に出射側フィルタ部材12を保持する光量調整機構における出射側移動機構として機能する。なお、実施例1では、光量調整装置50は、遮蔽筐体53内に規定される光路上であって、出射側移動機構52の出射側(図15を正面視して下側)にNDフィルタ63を適宜設けることが可能とされている。
この光量調整装置50は、例えば、発光部41から対象物へ向けて出射された出射光に対する当該対象物からの反射光を受光部42で受光することにより、当該対象物における出射光に対する反射率を測定する機器において、測定可能な幅(レンジ)を拡大すべく受光部42での受光信号を増幅させる構成とする場合、その増幅部の適切な形成に有用である。これは、例えば、反射光量で見て測定対象とする範囲を複数に区画するとともに、各区画範囲での受光部42での受光光量に対する増幅部における増幅値(増幅率)を設定するものとすると、各区画範囲における受光部42での受光光量とそれに対する受光部42からの受光信号との関係性を示す測定値のサンプリング数を増加させるほど適切な増幅値(増幅率)の設定が可能となる。このため、透過率を連続的に変化させることのできる光量調整機構10により受光部42での受光光量を連続的に調節することで、様々な受光光量に対する受光信号の測定値を計測することができるので、より適切に増幅値(増幅率)を設定することができ、増幅部のより適切な形成を可能とすることができる。
このように、本発明に係る実施例1の光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11の第1基板13の第1光路面15と出射側フィルタ部材12の第3基板19の第3光路面21とを平行な位置関係とするとともに、位置調整方向Pでの位置に対して透過率(全透過率)が減少する方向を第1基板13と第3基板19とで逆向きとして、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とが並列されていることから、所定のビーム径を有し光路方向Opに光束Bを、入射側フィルタ部材11(その第1基板13)と出射側フィルタ部材12(その第3基板19)との双方を通過させることにより、その光束Bにおける径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
また、光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11の第1基板13の第1光路面15と出射側フィルタ部材12の第3基板19の第3光路面21とを平行な位置関係とするとともに、位置調整方向Pでの位置に対して透過率(全透過率)が減少する方向を第1基板13と第3基板19とで逆向きとして、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とを並列させた状態で、位置調整方向Pへと相対的に位置関係を変更可能とされていることから、入射側フィルタ部材11(その第1基板13)と出射側フィルタ部材12(その第3基板19)との位置調整方向Pでの位置関係を適宜設定することにより、全体としての透過率を変化させる(対象とする光束Bでの減光率を調整する)ことができる。
さらに、光量調整機構10では、対象とする光束Bに対する入射側フィルタ部材11の位置調整方向Pでの位置の変化により第1基板13内での通過距離を調整し、かつ出射側フィルタ部材12の位置調整方向Pでの位置の変化により第3基板19内での通過距離を調整することにより、互いに同一の透過率とされた(上記した実施例1では等しい第1透過部材からなる)第1基板13と第3基板19とを通過する距離を調整するものであることから、第1基板13内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるとともに、第3基板19内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるので、全体としての透過率を連続的に変化させることができる。
光量調整機構10では、第1基板13と第3基板19との厚さ寸法の変化が位置調整方向Pでの位置に対して逆向きとするとともに、第1基板13での第1光路面15と第1接合面16とが為す角度と、第3基板19での第3光路面21と第3接合面22とが為す角度と、をともに所定の角度θとしていることから、位置調整方向Pでの第1光路面15(第1基板13)に対する入射位置に拘らず、位置調整方向Pでの第3光路面21(第3基板19)に対する入射位置を適宜設定しても、所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率の差(差異)が生じることの防止の効果を得ることができる。
光量調整機構10では、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11を通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12を通過させることにより、その光束Bの径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。このため、透過させた所定のビーム径を有する光束Bにおいて、径方向で見た位置に拘らず、所定の量だけ光量を減少させることができるとともに、他の性質の変化が生じることを防止することができる。換言すると、所定のビーム径を有する光束Bに対して、光量を均一に減少させることを除くと、なんらの変化を招くことなく透過させることができる。
光量調整機構10では、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、入射側フィルタ部材11において厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13を通過させるとともに、出射側フィルタ部材12において厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19を通過させることにより、その光束Bの径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。このため、透過させた所定のビーム径を有する光束Bにおいて、径方向で見た位置に拘らず、所定の量だけ光量を減少させることができるとともに、他の性質の変化が生じることを防止することができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)の第1基板13が、通過する単位距離で見た透過率(単位距離辺りの減光率)を一定とするとともに、その第1光路面15が光路方向Opに対して交わる(実施例1では直交する)平坦面とされかつ第1接合面16が位置調整方向Pの正側に交線を有し第1光路面15に対して所定の角度θとなる平坦面とされていることから、第1光路面15における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて光量を減少(減光)することができ、その位置調整方向Pでの入射位置の変化に対する減光率の変化を連続的なものとすることができる。
光量調整機構10では、実質的な減光率を規定する第1基板13(第3基板19も同様である)が、全体に均一(一様)な透過率の部材(第1透過部材)を用いて、第1光路面15としての平坦面を設けかつその第1光路面15と厚さ方向T1で見た反対側となる箇所に第1接合面16としての平坦な面を設けることにより形成されていることから、容易に連続する減光率の変化を得ることができるとともに、容易に減光率の変更可能な幅(レンジ)を大きくすることができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)が、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とを面当接させた状態で結合されて構成されていることから、光路方向Opに沿って入射する光束Bを、光路方向Opに直交する面で見た位置を実質的に変化させることなく光路方向Opに沿って出射させることができる。換言すると、光量調整機構10では、入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおける進行する方向が為す角度(以下では、透過偏角ともいう)に変化を生じさせることを防止することができ、かつ入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおける光路方向Opに直交する面で見た位置に変化(差異(以下では、光軸段差ともいう))を生じさせることを防止することができる。このため、所定の光学系の光路に対して適宜挿入したり離脱させたりしてもその光路(その光軸位置)の変更を招くことがないので、当該光学系の光路を通過する光量を適宜調節することができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)が、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とを面当接させた状態で結合されて構成されていることから、入射した光束Bが第1基板13から第2基板14へと進行する際、位置調整方向Pで見た位置の差異による通過距離に変化(以下では、平行変化ともいう)が生じることを防止することができる。
光量調整機構10では、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11を通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12を通過させることにより、入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおいて、透過偏角をなくすことができかつ光軸段差をなくすことができるとともに、光束Bにおける平行変化をなくすことができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11および出射側フィルタ部材12が、光路方向Opに沿って入射する光束Bを、光路方向Opに直交する面で見た位置を実質的に変化させることなく光路方向Opに沿って出射させることができることから、位置調整方向Pでの相対的な入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12との位置関係に拘らず、所定の光学系の光路に対して適宜挿入したり離脱させたりしてもその光路(その光軸位置)の変更を招くことがない(透過偏角および光軸段差がない)ので、当該光学系の光路を通過する光量を適宜調節することができる。
光量調整機構10では、実質的な減光率を規定する第1基板13と第3基板19とが、全体に均一(一様)で同一の透過率の部材(実施例1では同一の第1透過部材)から形成されていることから、光路方向Opで見た第1基板13および第3基板19での通過距離に対する減光率の関係性を一定なものとすることができるので、減光率の調整を容易なものとすることができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)の第1基板13が、全体に均一(一様)で同一の透過率の部材からなり平坦な第1光路面15およびそこと所定の角度θを為す平坦な第1接合面16を有するものであればよいことから、第1透過部材からなる立体形状を第1光路面15としての平坦面を設けかつその第1光路面15と厚さ方向T1で見た反対側となる箇所に第1接合面16としての平坦な面を設けるだけで形成することができる、すなわち第1透過部材を適宜切削加工や研磨加工等により成形するだけで形成することができることから、容易にかつ高い精度で製造することができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11(出射側フィルタ部材12も同様である)において、第1透過部材を適宜切削加工や研磨加工等により成形して第1基板13を形成するとともに、第2透過部材を適宜切削加工や研磨加工等により成形して第2基板14を形成して、その第1光路面15と第2光路面17とを平行としつつ第1接合面16と第2接合面18とを面当接させて互いに接合して第1基板13と第2基板14とを結合させることにより得ることができるので、容易にかつ高い精度で製造することができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11の第1基板13の第1光路面15と出射側フィルタ部材12の第3基板19の第3光路面21とを平行な位置関係とするとともに、位置調整方向Pでの位置に対する厚さ寸法の変化を第1基板13と第3基板19とで逆向きとして、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とを並列させた状態で、位置調整方向Pへと相対的に位置関係を変更可能とすることにより、得ることができるので、容易にかつ高い精度で製造することができる。
光量調整機構10では、入射側フィルタ部材11および出射側フィルタ部材12を高い精度で形成することができることから、入射側フィルタ部材11および出射側フィルタ部材12における直線で示す光学濃度特性およびその光学濃度勾配を高い精度で設定することができるので、精密に光量を調整することができる。
したがって、本発明に係る光量調整機構10では、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
なお、上記した実施例1では、第1基板13(第3基板19)の第1透過部材として、透過率が50%(ND50(波長の変化に対して透過率が一定な(波長依存性のない)部材))のもの(部材)が用いられていたが、異なる透過率の部材であってもよく、波長依存性を有する部材であってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。この波長依存性を有する第1透過部材の例として、LB80(フィルタの特性としてのJIS−B7125に規定されるBR変換能力が80ミレッド)の色温度変換機能を有するもの(部材)があげられる。この色温度変換機能を有する部材は、屈折率が1.548であるとする。この部材(屈折率が1.548)からなる第1透過部材を用いて第1基板13(第3基板19)を形成する場合、第2基板14(第4基板20)の第2透過部材として、例えば、上記した実施例1と同様の第2透過部材であって、その屈折率が1.54814であるものを選定して形成することにより、略等しい屈折率とすることができる。
また、上記した実施例1では、光量を調整する対象とする光(光束)に対して、その進行方向が光路方向Opに沿う方向となるように光量調整機構10(入射側フィルタ部材11および出射側フィルタ部材12)を配していたが、対象とする光(光束)の進行方向が光路方向Opに対して傾斜させて光量調整機構10を配してもよく(図16参照)、上記した実施例1に限定されるものではない。この場合、図16に示すように、対象とする光束B(光)において、光量調整機構10(その入射側フィルタ部材11)に入射する前と光量調整機構10(その出射側フィルタ部材12)から出射された後とで、進行方向が互いに平行ではある(透過偏角はない)が、その進行方向に直交する面で見た位置が変化(平行移動)してしまう(光軸段差は生じてしまう)。しかしながら、このことを除くと上記した各効果を得ることができる。ここで、図示は略すが、透過性を有する平行平板(例えば、後述する補正光学部材31(図24参照))を適宜傾斜させて設けることにより、光軸段差もないものとすることができる。
さらに、上記した実施例1では、入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とにおける第1基板13と第2基板14と第3基板19と第4基板20との位置関係が、図10、図11、図14および図15に示すものとされていたが、位置調整方向Pでの位置に対する厚さ寸法の変化を第1基板13と第3基板19とで逆向きとし、かつ第1基板13での第1光路面15と第1接合面16とが為す角度と第3基板19での第3光路面21と第3接合面22とが為す角度とをともに所定の角度θとし、さらに第1基板13と第3基板19とを全体に均一(一様)で同一の透過率の部材(実施例1では同一の第1透過部材)から形成するものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。この各基板の位置関係の他の例を、図17に示す。なお、以下の説明では、光路方向Opを上下方向ともいい、位置調整方向Pを左右方向ともいう。図17(a)に示す光量調整機構10Aは、入射側フィルタ部材11Aを上記した実施例1の入射側フィルタ部材11と同様の構成とするとともに、出射側フィルタ部材12Aを上記した実施例1の出射側フィルタ部材12を上下反転させた構成としたものである。すなわち、この光量調整機構10Aの出射側フィルタ部材12Aでは、第3基板19の第3光路面21が、入射側フィルタ部材11Aの第2基板14の第2光路面17と光路方向Opで対向されるとともに、第4基板20の第4光路面23で光量調整機構10Aの出射面を構成している。図17(b)に示す光量調整機構10Bは、入射側フィルタ部材11Bを上記した実施例1の入射側フィルタ部材11を上下および左右に反転させた構成とするとともに、出射側フィルタ部材12Bを上記した実施例1の出射側フィルタ部材12を上下および左右に反転させた構成としたものである。すなわち、この光量調整機構10Bの入射側フィルタ部材11Bでは、第2基板14の第2光路面17で光量調整機構10Bの入射面を構成するとともに、第1基板13の第1光路面15が出射側フィルタ部材12Bと光路方向Opで対向される。また、光量調整機構10Bの出射側フィルタ部材12Bでは、第3基板19の第3光路面21が、入射側フィルタ部材11Bの第1基板13の第1光路面15と光路方向Opで対向されるとともに、第4基板20の第4光路面23で光量調整機構10Bの出射面を構成している。図17(c)に示す光量調整機構10Cは、入射側フィルタ部材11Cを上記した入射側フィルタ部材11Bと同様の構成とするとともに、出射側フィルタ部材12Cを上記した実施例1の出射側フィルタ部材12を左右反転させた構成としたものである。この図17に示す各光量調整機構10A、10B、10Cでは、いずれも所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとしつつ、その透過率を連続的に変化させることができる。また、この各光量調整機構10A、10B、10Cでは、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材(11A、11B、11C)を通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材(12A、12B、12C)を通過させることにより、その光束Bの径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。さらに、各光量調整機構10A、10B、10Cでは、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材(11A、11B、11C)を通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材(12A、12B、12C)を通過させることにより、入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおいて、透過偏角をなくすことができかつ光軸段差をなくすことができるとともに、光束Bにおける平行変化をなくすことができる。
上記した実施例1では、第1基板13と第2基板14と第3基板19と第4基板20とが同一の形状および大きさ寸法とされていたが、位置調整方向Pでの位置に対する厚さ寸法の変化を第1基板13と第3基板19とで逆向きとし、かつ第1基板13での第1光路面15と第1接合面16とが為す角度と第3基板19での第3光路面21と第3接合面22とが為す角度とをともに所定の角度θとし、さらに第1基板13と第3基板19とを全体に均一(一様)で同一の透過率の部材(実施例1では同一の第1透過部材)から形成するものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。この異なる形状および大きさ寸法の各基板により構成された例を図18に示す。図18(a)に示す光量調整機構10Dは、入射側フィルタ部材11Dを上記した実施例1の入射側フィルタ部材11と同様の構成とするとともに、出射側フィルタ部材12Dを上記した実施例1の出射側フィルタ部材12に比べて小さな大きさ寸法としたものである。図18(b)に示す光量調整機構10Eは、入射側フィルタ部材11Eにおいて、第1基板13Eを上記した実施例1の第1基板13と同様の構成とし、かつ第2基板14Eを上記した実施例1の第2基板14に比べて大きな大きさ寸法とするとともに、出射側フィルタ部材12Eにおいて、第4基板20Eを上記した実施例1の第4基板20と同様の構成とし、かつ第3基板19Eを上記した実施例1の第3基板19に比べて大きな大きさ寸法であって大きな厚さ寸法としたものである。この図18に示す各光量調整機構10D、10Eでは、いずれも所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとしつつ、その透過率を連続的に変化させることができる。また、この各光量調整機構10D、10Eでは、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材(11D、11E)を通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材(12D、12E)を通過させることにより、その光束Bの径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。さらに、各光量調整機構10D、10Eでは、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材(11D、11E)を通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材(12D、12E)を通過させることにより、入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおいて、透過偏角をなくすことができかつ光軸段差をなくすことができるとともに、光束Bにおける平行変化をなくすことができる。
上記した実施例1では、第1基板13と第2基板14と第3基板19と第4基板20とがそれぞれの厚さ方向(T1、T2、T3、T4)で見て矩形状とされていたが、平坦な光路面と、その厚さ方向で見た反対側に光路面に対して所定の角度で傾斜された平坦な接合面と、を有するものであれば、厚さ方向で見た形状は他の形状(例えば、円形や楕円形等)であってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
上記した実施例1では、光量調整機構における保持機構が、入射側開口部61から出射側開口部62へと至る光路を規定する遮蔽筐体53に固定された入射側移動機構51および出射側移動機構52により構成されていたが、位置調整方向Pへの相対的な移動を可能とすべく入射側フィルタ部材11と出射側フィルタ部材12とを保持するものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
上記した実施例1では、位置調整方向Pを厚さ方向T1(光路方向Op)に直交する方向としていたが、第1光路面15および第3光路面21を通過する単一の直線光路(実施例1では光路方向Op)に交わる方向であって、位置の変化に伴い第1光路面15(第3光路面21)を基準とする第1接合面16(第3接合面22)までの距離(間隔)を連続して変化させる方向であればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
上記した実施例1では、光路方向Opを厚さ方向T1に一致させるものとしていたが、第1光路面15を経て入射側フィルタ部材11を通過させるとともに第3光路面21を経て出射側フィルタ部材12を通過させることができるものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例2の光量調整機構10Fについて、図19から図21を用いて説明する。この実施例2は、光量調整機構10Fの入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12Fの構成が実施例1の光量調整機構10とは異なる例である。この実施例2の光量調整機構10Fは、基本的な構成は上記した実施例1の光量調整機構10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図19は、光量調整機構10Fの入射側フィルタ部材11Fを示す図12と同様の説明図である。図20は、光量調整機構10Fを示す図14と同様の説明図である。図21は、光量調整機構10Fにおいて、入射面(第1光路面15)に傾斜して光路方向Opを設定した様子を示す図20と同様の説明図である。図22は、光量調整機構10Fにおける他の効果を説明するための説明図であり、(a)が、入射側フィルタ部材11Fの位置が位置調整方向Pの負側とされるとともに、出射側フィルタ部材12Fの位置が位置調整方向Pの正側とされた状態を示し、(b)が、入射側フィルタ部材11Fの位置が位置調整方向Pの正側とされるとともに、出射側フィルタ部材12Fの位置が位置調整方向Pの負側とされた状態を示す。なお、図21の例では、位置の変化に伴い第1基板13および第3基板19の厚さ寸法が変化する方向であって、光路方向Opを通りかつ入射面(第1光路面15)および出射面(第3光路面21)に沿う方向を位置調整方向Pに設定している。
入射側フィルタ部材11Fでは、図19に示すように、第1基板13と第2基板14との間に所定の間隔S1を設けている。すなわち、第1接合面16と第2接合面18とが、互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S1を置いて対向されて、第1基板13と第2基板14との相対的な位置関係が設定されている。また、光量調整機構10Fでは、出射側フィルタ部材12Fも同様に、第3接合面22と第4接合面24とが、互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S2を置いて対向されて、第3基板19と第4基板20との相対的な位置関係が設定されている(図20参照)。
この実施例2の入射側フィルタ部材11Fに対して、光路方向Opに沿って光束B(B1、B2、B3)が進行してきたものとする。その光束Bは、第1光路面15における入射位置に拘らず当該第1光路面15から第1基板13内へと進入し、第1基板13内においても光路方向Opに沿って進行し、第1接合面16に至る。その第1接合面16は、光路方向Opに対して傾斜されているとともに、周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、第1基板13の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第1接合面16への入射角度と、に応じて屈折されて、第1基板13外に出射されて、第2基板14(その第2接合面18)へと向かう。
その後、光束Bは、第2接合面18から第2基板14内へと進入する。このとき、光束Bの進行方向と第2接合面18とは、直交関係とはされていないことから、第2基板14の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第2接合面18への光束Bの入射角度と、に応じて屈折されて、第2基板14内へと進入する。ここで、第1基板13と第2基板14とが略等しい屈折率とされているとともに、第1接合面16と第2接合面18とが平行とされている。このため、光束Bは、第2接合面18から第2基板14内へと進入する際の屈折により、第2基板14内において光路方向Opに沿って進行し、第2光路面17に至る。その光路方向Opに沿う光束Bは、その進行方向が第2光路面17に直交するものであることから、その第2光路面17における出射位置に拘らず、当該第2光路面17から光路方向Opに沿って第2基板14外に出射される。
このとき、光束B(B1、B2、B3)は、入射側フィルタ部材11Fにおいて、第1基板13内を光路方向Opすなわち厚さ方向T1に沿って透過していることから、実施例1の入射側フィルタ部材11と同様に、第1基板13を通過した距離に応じて光量が減少(減光)される。その第1基板13内の通過距離は、第1光路面15における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて、第1基板13内の通過距離が漸次的に連続して変化する。位置調整方向Pの負側の端部に入射する光束を光束B1とし、位置調整方向Pの中心位置に入射する光束を光束B2とし、位置調整方向Pの正側の端部に入射する光束を光束B3とすると、第1基板13内の通過距離は、光束B1の通過距離L1、光束B2の通過距離L2、光束B3の通過距離L3の順に漸次的に短くなるので、光束B1、光束B2、光束B3の順に漸次的に光量の減少量が少なくなる。
このように、入射側フィルタ部材11F(出射側フィルタ部材12Fも同様である)では、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とが互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S1を置いて対向されて、構成されていることから、光路方向Opに沿って入射する光束B(B1、B2、B3)を、第1光路面15における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて光量を減少(減光)させて、光路方向Opに沿って出射させることができる。なお、入射側フィルタ部材11F(出射側フィルタ部材12Fも同様である)では、光路方向Opに直交する面で見た入射位置に対する出射位置が、第1基板13および第2基板14の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第1接合面16および第2接合面18の光路方向Opに対する傾斜角度と、第1接合面16と第2接合面18との所定の間隔S1と、に応じて変化(平行移動)する。
また、入射側フィルタ部材11F(出射側フィルタ部材12Fも同様である)では、光路方向Opに対して傾斜する方向に進行する光束B4に対しても、その進行方向の光路方向Opに対する傾斜角度に応じて、第1基板13内の通過距離が変化することを除くと、同様の効果を得ることができる。このとき、入射側フィルタ部材11F(出射側フィルタ部材12Fも同様である)では、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とが互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S1を置いて対向されて、構成されていることから、入射する光束B4を、第1光路面15における位置調整方向Pで見た入射位置に応じて光量を減少(減光)させて、入射したときと平行な方向で出射させることができる。
この入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12Fを有する光量調整機構10Fでは、図20および図21に示すように、光路に対する入射側フィルタ部材11Fの位置(位置調整方向Pで見た入射側フィルタ部材11Fへの光束Bの入射位置)と、光路に対する出射側フィルタ部材12Fの位置(位置調整方向Pで見た出射側フィルタ部材12Fへの光束Bの入射位置)と、を適宜調整することにより、光束Bの透過量すなわち全体としての減光率を適宜調整することができる。このとき、光量調整機構10Fでは、対象とする光束Bに対する入射側フィルタ部材11Fの位置調整方向Pでの位置の変化により第1基板13内での通過距離を調整し、かつ出射側フィルタ部材12Fの位置調整方向Pでの位置の変化により第3基板19内での通過距離を調整するものであることから、第1基板13内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるとともに、第3基板19内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるので、全体としての透過率を連続的に変化させることができる。また、光量調整機構10Fでは、入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12Fが、それぞれ入射する光(光束)の進行方向と平行な方向に出射させつつ光量を減少(減光)させることができるので、入射する光(光束)の進行方向と平行な方向に出射させつつ、所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとして、その透過率を連続的に変化させることができる。加えて、光量調整機構10Fでは、厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13を通過させるとともに厚さ方向T2での両端に渡って第2基板14を通過させることで、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11Fを通過させ、かつ厚さ方向T4での両端に渡って第4基板20を通過させるとともに厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19を通過させることで、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12Fを通過させることにより、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。しかも、各光量調整機構10Fでは、厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13を通過させるとともに厚さ方向T2での両端に渡って第2基板14を通過させることで、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11Fを通過させ、かつ厚さ方向T4での両端に渡って第4基板20を通過させるとともに厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19を通過させることで、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12Fを通過させることにより、入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおいて、透過偏角をなくすことができる。ついで、各光量調整機構10Fでは、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とが互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S1を置いて対向されて、入射側フィルタ部材11Fが構成されているとともに、屈折率の略等しい第3基板19と第4基板20とが、第3接合面22と第4接合面24とが互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S2を置いて対向されて、出射側フィルタ部材12Fが構成されていることから、厚さ方向T1(T2)での両端に渡って入射側フィルタ部材11Fを通過させるとともに厚さ方向T3(T4)での両端に渡って出射側フィルタ部材12Fを通過させることで、光束Bにおける平行変化をなくすことができる。
実施例2の光量調整機構10Fでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、対象とする光束B(光)において、光量調整機構10F(その入射側フィルタ部材11F)に入射する前と光量調整機構10F(その出射側フィルタ部材12F)から出射された後とで、その進行方向に直交する面で見た位置が変化(平行移動)することを除くと、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
加えて、実施例2の光量調整機構10Fでは、広がり角を有する光束B´に対して用いた場合であっても、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとの位置調整方向Pでの相対的な位置に変化に拘らず、光路が変化することを防止することができる。これについて、図22を用いて説明する。図22に示す例では、実施例1と同様の発光部41(図6参照)から出射された光を、入射側レンズ45で進行するに連れて径寸法が増大する拡大光束として入射側フィルタ部材11F(その第1基板13)に入射させるとともに、その入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12Fを経て、出射側フィルタ部材12F(第3基板19)から出射された光束を出射側レンズ46で集光して受光部42で受光させる。この光量調整機構10Fでは、図22の(a)と(b)とを比較しても明らかなように、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとの位置調整方向Pでの相対的な位置を変化させても、光学的距離すなわち光路長が等しいことから、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとにおける通過距離に変化が生じることはない。なお、図22(b)では、理解容易のために、(a)における光(光線)の軌跡を破線で示している。このことから、広がり角を有する光束B´における周辺光(進行するに連れて径寸法が大きくされた箇所)においても、実質的に全く同様の光路長とすることができる。このため、光量調整機構10Fでは、入射側レンズ45と出射側レンズ46との相対的な位置関係を固定したままで、入射側レンズ45および出射側レンズ46も変更することなく、その間を通る光の光量を適宜調節することができる。このことは、実施例1の光量調整機構10、10A、10B、10C、10D、10Eにおいても、入射側フィルタ部材(11等)と出射側フィルタ部材(12等)との位置調整方向Pでの相対的な位置に拘らず光学的距離すなわち光路長が等しいことから、同様の効果を得ることができる。
したがって、実施例2の光量調整機構10Fでは、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
なお、上記した実施例2では、入射側フィルタ部材11Fにおける第1接合面16および第2接合面18と、出射側フィルタ部材12Fにおける第3接合面22および第4接合面24と、が、それぞれ同一の傾斜方向とされていたが、図23に示す光量調整機構10F´のような位置関係とすることもできる。この光量調整機構10F´の出射側フィルタ部材12F´では、光路方向Opを上下方向として、上記した出射側フィルタ部材12Fを上下反転させた構成とされている。光量調整機構10F´では、第3基板19の第3光路面21が、入射側フィルタ部材11Fの第2基板14の第2光路面17と光路方向Opで対向されるとともに、第4基板20の第4光路面23で出射面を構成している。このため、光量調整機構10F´では、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12F´とが平行な状態、すなわち入射側フィルタ部材11Fの第1光路面15および第2光路面17と、出射側フィルタ部材12F´の第3光路面21および第4光路面23と、の4つの光路面が互いに平行とされている。また、光量調整機構10F´では、位置調整方向Pでの位置に対する厚さ寸法の変化を第1基板13と第3基板19とで逆向きとされている。そして、光量調整機構10F´では、入射側フィルタ部材11Fにおいて互いに平行とされた第1接合面16および第2接合面18の間隔S1と、出射側フィルタ部材12F´において互いに平行とされた第3接合面22および第4接合面24の間隔S2と、が等しいものとされている。加えて、光量調整機構10F´では、入射側フィルタ部材11Fにおいて互いに平行とされた第1接合面16および第2接合面18の傾斜方向と、出射側フィルタ部材12F´において互いに平行とされた第3接合面22および第4接合面24の傾斜方向と、が逆向きとされている。換言すると、第1接合面16および第2接合面18が存在する面と、第3接合面22および第4接合面24が存在する面と、が互いに交わるものとされている。この光量調整機構10F´では、位置調整方向Pで見て、入射側フィルタ部材11Fにおける入射する前の光束B(光)に対する出射された後の光束B(光)の位置の変化(平行移動)する方向と、出射側フィルタ部材12F´における入射する前の光束B(光)に対する出射された後の光束B(光)の位置の変化(平行移動)する方向と、を逆向きとしつつその変化量(平行移動量)を等しくすることができるので、入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12F´を通過させることにより、光束B(光)の位置の変化(平行移動)を打ち消す(相殺する)ことができる。このため、光量調整機構10F´では、光量調整機構10Fと同様の効果を得ることができるとともに、対象とする光束B(光)において、光量調整機構10F´(その入射側フィルタ部材11F)に入射する前と光量調整機構10F´(その出射側フィルタ部材12F´)から出射された後とで、その進行方向に直交する面で見た位置を実質的に変化させることなくす、すなわち透過偏角および光軸段差をなくすことができる。
また、上記した実施例2では、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとにより光量調整機構10Fが構成されていたが、図24に示す光量調整機構10F´´のような構成とすることもできる。この光量調整機構10F´´は、光量調整機構10Fと同様の入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとに、補正光学部材31を加えたものである。その補正光学部材31は、光量調整の対象とする光の透過を許す部材で形成されており、直方体形状を呈する。すなわち、補正光学部材31は、光路方向Opを上下方向とし、上側を入射面31aとしかつ下側を出射面31bとして、入射面31aと出射面31bとが平行とされた平行平板状を呈する。補正光学部材31は、光路方向Opで見て、出射側フィルタ部材12Fの出射側に設けられており、その第3基板19の第3光路面21に入射面31aが光路方向Opで対向されている。また、補正光学部材31は、入射面31aおよび出射面31bを光路方向Opに対して傾斜させて設けられている。このため、光量調整機構10F´´では、入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12Fを透過した光束Bが、入射面31aから補正光学部材31内へと進行して出射面31bから出射される。ここで、入射面31aおよび出射面31bでは、光束Bの進行方向(光路方向Op)に対して傾斜されているとともに、周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、補正光学部材31の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、入射面31aへの入射角度と、出射面31bからの出射角度と、に応じて屈折されることとなる。また、入射面31aと出射面31bとは、互いに平行とされていることから、補正光学部材31へと入射する前の光束Bと、補正光学部材31から出射された後の光束Bと、では、互いに平行な方向で進行する。この光量調整機構10F´´では、入射側フィルタ部材11Fに入射する前の光束Bと、入射側フィルタ部材11Fおよび出射側フィルタ部材12Fを透過した光束Bと、における位置の変化量を打ち消すことが可能とすべく、補正光学部材31の屈折率、その補正光学部材31の厚さ寸法(入射面31aと出射面31bとの間隔)および光路方向Opに対する傾斜姿勢(傾斜角度および傾斜方向)を設定している。このため、光量調整機構10F´´では、光量調整機構10Fと同様の効果を得ることができるとともに、対象とする光束B(光)において、光量調整機構10F´´(その入射側フィルタ部材11F)に入射する前と光量調整機構10F´´(その出射側フィルタ部材12F)から出射された後とで、その進行方向に直交する面で見た位置を実質的に変化させることなくす、すなわち透過偏角および光軸段差をなくすことができる。
さらに、上記した実施例2では、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとにより光量調整機構10Fが構成されていたが、図25に示す光量調整機構10Vのような構成とすることもできる。この光量調整機構10Vは、第1基板13Vおよび第2基板14Vを有する入射側フィルタ部材11Vと、第3基板19Vおよび第4基板20Vを有する出射側フィルタ部材12Vと、からなる。その第1基板13Vは、第1光路面15Vと第1接合面16Vとが所定の角度θ1の角度を為して実施例1の第1透過部材から形成され、第2基板14Vは、第2接合面18Vと第2光路面17Vとが同じく所定の角度θ1の角度を為して実施例1の第2透過部材から形成されている。この入射側フィルタ部材11Vでは、第1接合面16Vと第2接合面18Vとが所定の間隔S1で平行とされて、第1基板13Vと第2基板14Vとの位置関係が規定されている。また、第3基板19Vは、第3光路面21Vと第3接合面22Vとが所定の角度θ2の角度を為して第4透過部材から形成され、第4基板20Vは、第4接合面24Vと第4光路面23Vとが同じく所定の角度θ1の角度を為して第5透過部材から形成されている。この出射側フィルタ部材12Vでは、第3接合面22Vと第4接合面24Vとが所定の間隔S2で平行とされて、第3基板19Vと第4基板20Vとの位置関係が規定されている。その第4透過部材は、第1透過部材と異なる屈折率および透過率とされており、第1透過部材と同様に形成されている。第5透過部材は、第2透過部材と異なる屈折率であって第4透過部材と等しい屈折率とされ、第2透過部材と同様に形成されている。この第3基板19Vでは、第4透過部材における透過率を鑑みて、第1基板13Vと同様に直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を第1基板13Vと等しくすべく、所定の角度θ2が設定されている。このため、光量調整機構10Vでは、光量調整機構10Fと同様の効果を得ることができる。
ついで、上記した実施例2では、入射側フィルタ部材11Fと出射側フィルタ部材12Fとにより光量調整機構10Fが構成されていたが、図26に示す光量調整機構10V´のような構成とすることもできる。この光量調整機構10V´は、第1基板13V´および第2基板14V´を有する入射側フィルタ部材11V´と、第3基板19V´および第4基板20V´を有する出射側フィルタ部材12V´と、からなる。その第1基板13V´は、第1光路面15V´と第1接合面16V´とが所定の角度θ3の角度を為して実施例1の第1透過部材から形成され、第2基板14V´は、第2接合面18V´と第2光路面17V´とが同じく所定の角度θ3の角度を為して実施例1の第2透過部材から形成されている。この入射側フィルタ部材11V´では、第1接合面16V´と第2接合面18V´とが所定の間隔S1で平行とされて、第1基板13V´と第2基板14V´との位置関係が規定されている。また、第3基板19V´は、第3光路面21V´と第3接合面22V´とが所定の角度θ4の角度を為して第6透過部材から形成され、第4基板20V´は、第4接合面24V´と第4光路面23V´とが同じく所定の角度θ4の角度を為して実施例1の第2透過部材から形成されている。この出射側フィルタ部材12V´では、第3接合面22V´と第4接合面24V´とが所定の間隔S2で平行とされて、第3基板19V´と第4基板20V´との位置関係が規定されている。その第6透過部材は、第1透過部材と等しい屈折率とされ、かつその第1透過部材と異なる透過率とされており、第1透過部材と同様に形成されている。この第3基板19V´では、第6透過部材における透過率を鑑みて、第1基板13V´と同様に直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を第1基板13V´と等しくすべく、所定の角度θ4が設定されている。このため、光量調整機構10V´では、光量調整機構10Fと同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例3の光量調整機構10Gについて、図27を用いて説明する。この実施例3は、光量調整機構10Gの入射側フィルタ部材11Gおよび出射側フィルタ部材12Gの配置関係が実施例1の光量調整機構10とは異なる例である。この実施例3の光量調整機構10Gは、基本的な構成は上記した実施例1の光量調整機構10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図27は、光量調整機構10Gを示す図14と同様の説明図である。
光量調整機構10Gでは、図27に示すように、実施例1の光量調整機構10と同様に、第1接合面16と第2接合面18とを面当接させて第1基板13と第2基板14とが結合されて構成された入射側フィルタ部材11Gと、第3接合面22と第4接合面24とを面当接させて第3基板19と第4基板20とが結合されて構成された出射側フィルタ部材12Gと、を有する。この光量調整機構10Gでは、実施例1の光量調整機構10と比較して、入射側フィルタ部材11Gと出射側フィルタ部材12Gとが、光路方向Opおよび位置調整方向Pを含む面に直交する軸線回りで互いに反対方向に回転された配置関係とされている。ここで、第1基板13の厚さ方向T1および第2基板14の厚さ方向T2を、入射側フィルタ部材11Gの入射側厚さ方向T11とし、第3基板19の厚さ方向T3および第4基板20の厚さ方向T4を、出射側フィルタ部材12Gの出射側厚さ方向T12とする。
入射側フィルタ部材11Gは、光路方向Opおよび位置調整方向Pを含む面に直交する軸線回りで、図27を正面視して時計周り方向に所定の回転角度φだけ回転されて設けられている。この入射側フィルタ部材11Gでは、入射側厚さ方向T11が光路方向Opに対して回転角度φの傾斜を為すとともに、第1光路面15と第2光路面17とが光路方向Opに直交する面に対して回転角度φの傾斜を為している。
出射側フィルタ部材12Gは、光路方向Opおよび位置調整方向Pを含む面に直交する軸線回りで、図27を正面視して反時計周り方向に所定の回転角度φだけ回転されて設けられている。この出射側フィルタ部材12Gでは、出射側厚さ方向T12が光路方向Opに対して回転角度φ(−φ)の傾斜を為すとともに、第3光路面21と第4光路面23とが光路方向Opに直交する方向に対して回転角度φ(−φ)の傾斜を為している。なお、出射側フィルタ部材12Gは、その出射側厚さ方向T12で見た厚さ寸法が、入射側フィルタ部材11Gを入射側厚さ方向T11で見た厚さ寸法と等しくされている。
このため、光量調整機構10Gでは、互いに対向される入射側フィルタ部材11Gの第2光路面17と、出射側フィルタ部材12Gの第4光路面23と、が光路方向Opに直交する面を中心としつつ角度2φを為す位置関係とされている。
この実施例3の光量調整機構10Gに対して、光路方向Opに沿って光束Bが進行してきたものとする。その光束Bは、入射側フィルタ部材11Gの第1光路面15における入射位置に拘らず当該第1光路面15から第1基板13内へと進入する。その第1光路面15は、光路方向Opに対して、直交状態から回転角度φで傾斜されているとともに、周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、第1基板13の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第1光路面15への入射角度(所定の回転角度φ)と、に応じて屈折されて、第1基板13内へと進入する。その光束Bは、実施例1の入射側フィルタ部材11内での作用と同様に、入射側フィルタ部材11G内では屈折されることなく第2光路面17へと向かう。その第2光路面17は、光路方向Opに対して、直交状態から回転角度φで傾斜されているとともに、周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、第2基板14の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第2光路面17への入射角度と、に応じて屈折されて、第2基板14外に出射される。このとき、第1基板13の屈折率と第2基板14の屈折率とが略等しいものとされるとともに、第1光路面15と第2光路面17とが平行とされていることから、光束Bは、光路方向Opに沿って第2基板14外に出射される。その光束Bは、光路方向Opに沿って、出射側フィルタ部材12G(その第4基板20(その第4光路面23)へと向かう。
その光束Bは、第4光路面23における入射位置に拘らず当該第4光路面23から、第4基板20の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第4光路面23への入射角度(回転角度φ(−φ))と、に応じて屈折されて、第4基板20内へと進入する。その光束Bは、実施例1の出射側フィルタ部材12内での作用と同様に、出射側フィルタ部材12G内では屈折されることなく第3光路面21へと向かう。光束Bは、第3基板19の屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第3光路面21への入射角度(回転角度φ(−φ))と、に応じて屈折されて、第3基板19外に出射される。このとき、第4基板20の屈折率と第3基板19の屈折率とが略等しいものとされるとともに、第4光路面23と第3光路面21とが平行とされていることから、光束Bは、光路方向Opに沿って第3基板19外に出射される。
このとき、光束Bは、第1光路面15における入射位置に拘らず入射側フィルタ部材11G(第1基板13)内での進行方向が一定であるとともに、第4光路面23における入射位置に拘らず出射側フィルタ部材12G(第3基板19)内での進行方向が一定である。このため、光量調整機構10Gでは、実施例1の光量調整機構10と同様に、第1光路面15における位置調整方向Pで見た光束Bの入射位置に応じて、その光束Bの第1基板13および第3基板19内の通過距離を漸次的に連続して変化させることができる。光量調整機構10Gでは、第1基板13および第3基板19を通過した距離に応じて光量を減少(減光)させることから、光路に対する入射側フィルタ部材11Gの位置(位置調整方向Pで見た入射側フィルタ部材11Gへの光束Bの入射位置)と、光路に対する出射側フィルタ部材12Gの位置(位置調整方向Pで見た出射側フィルタ部材12Gへの光束Bの入射位置)と、を適宜調整することにより、光束Bの透過量すなわち全体としての減光率を適宜調整することができる。
このとき、光量調整機構10Gでは、対象とする光束Bに対する入射側フィルタ部材11Gの位置調整方向Pでの位置の変化により第1基板13内での通過距離を調整し、かつ出射側フィルタ部材12Gの位置調整方向Pでの位置の変化により第3基板19内での通過距離を調整するものであることから、第1基板13内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるとともに、第3基板19内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるので、全体としての透過率を連続的に変化させることができる。
また、光量調整機構10Gでは、第1基板13と第3基板19との厚さ寸法の変化が位置調整方向Pでの位置に対して逆向きとされていることから、所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとして、その透過率を連続的に変化させることができる。
さらに、光量調整機構10Gでは、厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13を通過させるとともに厚さ方向T2での両端に渡って第2基板14を通過させることで、厚さ方向T11での両端に渡って入射側フィルタ部材11Gを通過させ、かつ厚さ方向T4での両端に渡って第4基板20を通過させるとともに厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19を通過させることで、厚さ方向T12での両端に渡って出射側フィルタ部材12Gを通過させることにより、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
ついで、光量調整機構10Gでは、入射側フィルタ部材11G(その入射側厚さ方向T11)が光路方向Opに対して所定の回転角度φの傾斜を為すとともに、出射側フィルタ部材12G(その出射側厚さ方向T12)が光路方向Opに対して所定の回転角度φ(−φ)の傾斜を為していることから、対象とする光束B(光)において、光量調整機構10(その入射側フィルタ部材11)に入射する前と光量調整機構10(その出射側フィルタ部材12)から出射された後とで、互いに等しい進行方向とする(透過偏角をなくす)ことができるとともに、その進行方向に直交する面で見た位置を実質的に等しいものとする(光軸段差をなくす)ことができる。これは、入射側フィルタ部材11Gにおける入射する前の光束B(光)に対する出射された後の光束B(光)の位置の変化(平行移動)する方向と、出射側フィルタ部材12Gにおける入射する前の光束B(光)に対する出射された後の光束B(光)の位置の変化(平行移動)する方向と、を逆向きとしつつその変化量(平行移動量)を等しくすることができるので、入射側フィルタ部材11Gおよび出射側フィルタ部材12Gを通過させることにより、光束B(光)の位置の変化(平行移動)を打ち消す(相殺する)ことができることによる。
実施例3の光量調整機構10Gでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
したがって、実施例3の光量調整機構10Gでは、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
なお、上記した実施例3では、入射側フィルタ部材11Gにおいて第1接合面16と第2接合面18とが接合されて第1基板13と第2基板14とが結合され、かつ出射側フィルタ部材12Gにおいて第3接合面22と第4接合面24とが接合されて第3基板19と第4基板20とが結合されていたが、図28に示す光量調整機構10G´としてもよい。この光量調整機構10G´では、入射側フィルタ部材11G´が、第1接合面16と第2接合面18とが、互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S3を置いて対向されて、第1基板13と第2基板14との相対的な位置関係が設定されて構成されている。また、出射側フィルタ部材12G´が、光路方向Opおよび位置調整方向Pを含む面に直交する軸線回りで図28を正面視して1回転されるとともに、第3接合面22と第4接合面24とが、互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S3を置いて対向されて、第3基板19と第4基板20との相対的な位置関係が設定されて構成されている。これらのことを除くと、光量調整機構10G´は、光量調整機構10Gと同様の構成とされている。この光量調整機構10G´では、入射側フィルタ部材11G´および出射側フィルタ部材12G´において互いに等しい所定の間隔S3が設定されていることから、入射側フィルタ部材11G´と出射側フィルタ部材12G´とで入射する前の光束B(光)に対する出射された後の光束B(光)の位置の変化量(平行移動量)を互いに等しくできるので、光量調整機構10Gと同様の効果を得ることができる。また、光量調整機構10G´では、屈折率の略等しい第1基板13と第2基板14とが、第1接合面16と第2接合面18とが互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S3を置いて対向されて、入射側フィルタ部材11G´が構成されているとともに、屈折率の略等しい第3基板19と第4基板20とが、第3接合面22と第4接合面24とが互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S3を置いて対向されて、出射側フィルタ部材12G´が構成されていることから、厚さ方向T1での両端に渡って入射側フィルタ部材11G´を通過させるとともに厚さ方向T12での両端に渡って出射側フィルタ部材12G´を通過させることで、光束Bにおける平行変化をなくすことができる。
次に、本発明の実施例4の光量調整機構10Hについて、図29および図30を用いて説明する。この実施例4は、光量調整機構10Hの入射側フィルタ部材11Hおよび出射側フィルタ部材12Hの構成が実施例1の光量調整機構10とは異なる例である。この実施例4の光量調整機構10Hは、基本的な構成は上記した実施例1の光量調整機構10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図29は、光量調整機構10Hの入射側フィルタ部材11Hを示す図12と同様の説明図である。図30は、光量調整機構10Hを示す図14と同様の説明図である。
光量調整機構10Hでは、図30に示すように、第1基板13Hおよび第2基板14Hを有する入射側フィルタ部材11Hと、第3基板19Hおよび第4基板20Hを有する出射側フィルタ部材12Hと、からなる。この入射側フィルタ部材11Hと出射側フィルタ部材12Hとは、それらの中間位置で光路方向Opおよび位置調整方向Pと直交する軸線を中心として互いに点対称とされて、同様の構成とされている。換言すると、入射側フィルタ部材11Hと出射側フィルタ部材12Hとは、第1基板13Hと第3基板19Hとが同一の構成であるとともに、第2基板14Hと第4基板20Hとが同一の構成であり、かつ第1基板13Hおよび第2基板14Hの相対的な位置関係と第3基板19Hおよび第4基板20Hの相対的な位置関係とが互いに等しいものとされている。このことから、以下では、入射側フィルタ部材11Hの構成について説明し、出射側フィルタ部材12Hについては省略する。
入射側フィルタ部材11Hは、図29に示すように、第1基板13Hと第2基板14Hとを有する。その第1基板13Hは、実施例1の第1基板13と同様の第1透過部材から形成されている。第1基板13Hは、立体形状の第1透過部材を用いて、少なくとも1つの平坦な面を形成して第1光路面15Hとするとともに、そこに直交する方向を厚さ方向T1で見た反対側となる(第1光路面15Hに対して厚さ方向T1側に位置する)箇所に、平坦な面を形成して第1接合面16Hとし、残りの面を適宜成形することにより形成する。その第1接合面16Hは、第1光路面15Hに対して所定の角度αを為すものとする。第1基板13Hは、実施例4では、光路方向Opおよび位置調整方向Pを含む面で見て、所定の角度αを為す頂点を有する三角形状とされている。その第1接合面16Hと光路方向Opで対向して、第2基板14Hが設けられる。
その第2基板14Hは、全体に均一(一様)であって第1透過部材(第1基板13H)よりも高い透過率であり、その第1透過部材(第1基板13H)と異なる屈折率の第3透過部材から形成されている。この第3透過部材の屈折率の選定方法については後述する。第2基板14Hは、立体形状の第3透過部材を用いて、少なくとも1つの平坦な面を形成して第2光路面17Hとするとともに、そこに直交する方向を厚さ方向T2で見た反対側となる(第2光路面17Hに対して厚さ方向T2側に位置する)箇所に、平坦な面を形成して第2接合面18Hとし、残りの面を適宜成形することにより形成する。その第2接合面18Hは、第2光路面17Hに対して所定の角度βを為すものとする。第2基板14Hは、実施例4では、光路方向Opおよび位置調整方向Pを含む面で見て、光路方向Opに平行な上底および下底を有する台形状とされている。
この入射側フィルタ部材11Hでは、光路方向Opで第1接合面16Hと第2接合面18Hとを間隔を置いて対向させつつ、互いが存在する面が所定の角度γを為すように、互いの位置関係が設定されている。入射側フィルタ部材11Hでは、実施例1の入射側フィルタ部材11と同様に、第1基板13Hの第1光路面15Hを入射面とし、第2基板14Hの第2光路面17Hを出射面とする。この入射側フィルタ部材11Hでは、第1基板13Hにおける屈折率および所定の角度αと、第2基板14Hにおける屈折率および所定の角度βと、それらの間の傾斜関係(第1接合面16Hと第2接合面18Hとにおける所定の角度γ)と、が、光量の調整の対象とする光束B(光)において、入射面(第1基板13H)に入射する前と出射面(第2基板14H)から出射された後とで、進行方向が互いに平行とする観点から設定されている。換言すると、入射側フィルタ部材11Hでは、上記した観点から、第1基板13H(第1透過部材)に対する第2基板14H(第3透過部材)の屈折率の関係に応じて、第1基板13Hにおける所定の角度αと、第2基板14Hにおける所定の角度βと、それらの第1接合面16Hと第2接合面18Hとにおける所定の角度γと、が設定されている。このため、入射側フィルタ部材11Hにおいて、第1基板13Hの所定の角度αが第1の所定の角度となり、第2基板14Hの所定の角度βが第2の所定の角度となり、第1接合面16Hと第2接合面18Hと所定の角度γが第3の所定の角度となる。また、出射側フィルタ部材12Hにおいて、第3基板19Hの所定の角度αが第4の所定の角度となり、第4基板20Hの所定の角度βが第5の所定の角度となり、第3接合面22Hと第4接合面24Hと所定の角度γが第6の所定の角度となる。
この入射側フィルタ部材11Hに対して、光路方向Opに沿って光束Bが進行してきたものとする。その光束Bは、入射側フィルタ部材11Hの第1光路面15Hにおける入射位置に拘らず当該第1光路面15Hから第1基板13H内へと進入する。その第1光路面15Hは、光路方向Opに対して、直交状態から傾斜されているとともに周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、第1基板13Hの屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第1光路面15Hへの入射角度と、に応じて屈折されて、第1基板13H内へと進入して、第1接合面16Hに至る。その第1接合面16Hは、周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、第1基板13Hの屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第1接合面16Hへの入射角度(進行方向に対する第1接合面16Hの角度)と、に応じて屈折されて、第1基板13H外に出射されて、第2基板14H(その第2接合面18H)へと向かう。
その後、光束Bは、第2接合面18Hから第2基板14H内へと進入する。このとき、光束Bの進行方向と第2接合面18Hとは、第2基板14Hの屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第2接合面18Hへの光束Bの入射角度と、に応じて屈折されて、第2基板14H内へと進入して、第2光路面17Hに至る。その第2光路面17Hは、周辺雰囲気(空気)との境界面とされていることから、光束Bは、第2基板14Hの屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第2光路面17Hへの入射角度(進行方向に対する第2光路面17Hの角度)と、に応じて屈折されて、第2基板14H外に出射される。ここで、入射側フィルタ部材11Hでは、第1基板13Hにおける屈折率および所定の角度αと、第2基板14Hにおける屈折率および所定の角度βと、それらの間の傾斜関係(第1接合面16Hと第2接合面18Hとにおける所定の角度γ)と、が、上述した観点から設定されていることから、光束Bは、第2光路面17Hから第2基板14H外へと出射する際の屈折により、光路方向Opに沿って進行する。すなわち、透過偏角をなくすことができる。
このとき、光束Bは、入射側フィルタ部材11Hにおいて、第1基板13H内を厚さ方向T1を含む方向に沿って透過していることから、実施例1の入射側フィルタ部材11と同様に、第1基板13Hを通過した距離に応じて光量が減少(減光)される。その第1基板13H内の通過距離は、第1光路面15Hにおける位置調整方向Pで見た入射位置に応じて、第1基板13H内の通過距離が漸次的に連続して変化する。このように、入射側フィルタ部材11H(出射側フィルタ部材12Hも同様である)では、光路方向Opに沿って入射する光束Bを、第1光路面15Hにおける位置調整方向Pで見た入射位置に応じて光量を減少(減光)させて、光路方向Opに沿って出射させることができる。なお、入射側フィルタ部材11H(出射側フィルタ部材12Hも同様である)では、光路方向Opに沿って入射する光束Bが出射する位置は、光路方向Opに直交する面で見て、第1基板13Hおよび第2基板14Hの屈折率と、周辺雰囲気(空気)の屈折率と、第1光路面15H、第1接合面16H、第2接合面18Hおよび第2光路面17Hの光路方向Opに対する傾斜角度と、第1接合面16Hと第2接合面18Hとの距離(間隔)と、に応じて変化(平行移動)する。
この入射側フィルタ部材11Hおよび出射側フィルタ部材12Hを有する光量調整機構10Hでは、図30に示すように、光路に対する入射側フィルタ部材11Hの位置(位置調整方向Pで見た入射側フィルタ部材11Hへの光束Bの入射位置)と、光路に対する出射側フィルタ部材12Hの位置(位置調整方向Pで見た出射側フィルタ部材12Hへの光束Bの入射位置)と、を適宜調整することにより、光束Bの透過量すなわち全体としての減光率を適宜調整することができる。このとき、光量調整機構10Hでは、対象とする光束Bに対する入射側フィルタ部材11Hの位置調整方向Pでの位置の変化により第1基板13H内での通過距離を調整し、かつ出射側フィルタ部材12Hの位置調整方向Pでの位置の変化により第3基板19H内での通過距離を調整するものであることから、第1基板13H内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるとともに、第3基板19H内での通過距離の変化を連続的なものとすることができるので、全体としての透過率を連続的に変化させることができる。このとき、光量調整機構10Hでは、入射側フィルタ部材11Hおよび出射側フィルタ部材12Hが、それぞれ入射する光(光束)の進行方向と平行な方向に出射させつつ光量を減少(減光)させることができるので、入射する光(光束)の進行方向と平行な方向に出射させ(透過偏角をなくし)つつ、所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとして、その透過率を連続的に変化させることができる。加えて、光量調整機構10Hでは、厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13Hを通過させるとともに厚さ方向T2での両端に渡って第2基板14Hを通過させることで、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11Hを通過させ、かつ厚さ方向T4での両端に渡って第4基板20Hを通過させるとともに厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19Hを通過させることで、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12Hを通過させることにより、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
実施例4の光量調整機構10Hでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、対象とする光束B(光)において、光量調整機構10H(その入射側フィルタ部材11H)に入射する前と光量調整機構10H(その出射側フィルタ部材12H)から出射された後とで、その進行方向に直交する面で見た位置が変化(平行移動(光軸段差がある))することと、入射側フィルタ部材11H(出射側フィルタ部材12Hも同様である)の第1接合面16Hと第2接合面18Hとが間隔を置きつつ所定の角度γで対向していることから平行変化が生じてしまうことと、を除くと、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、光量調整機構10Hでは、入射側フィルタ部材11H(出射側フィルタ部材12Hも同様である)において、第3透過部材として、第1透過部材(第1基板13H)と略等しい屈折率の適切な材料を用意することが困難であっても、第1基板13Hの屈折率および所定の角度αと、用いる第3透過部材の屈折率と、に基づいて、第2基板14Hにおける所定の角度β、および第1接合面16Hと第2接合面18Hとにおける所定の角度γを設定することにより、光量の調整の対象とする光束B(光)において、入射面(第1基板13H)に入射する前と出射面(第2基板14H)から出射された後とで、進行方向が互いに平行とすることができる。このため、第1基板13H(第1透過部材)と第2基板14H(第3透過部材)との屈折率の設定自由度を高めつつ入射する前と出射された後との光束B(光)の進行方向を互いに平行なものとすることができる。
したがって、実施例4の光量調整機構10Hでは、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
なお、実施例4の光量調整機構10Hでは、入射側フィルタ部材11Hの第2基板14H(出射側フィルタ部材12Hの第4基板20Hも同様である)が、第1透過部材(第1基板13H)と異なる屈折率の第3透過部材から形成されていたが、第1透過部材(第1基板13H)と等しい屈折率の部材(例えば、実施例1と同様の第2透過部材)で形成するものであってもよく、上記した実施例4に限定されるものではない。このような構成とする場合、入射側フィルタ部材11H(出射側フィルタ部材12Hも同様である)において、上記した観点から、互いに等しい屈折率の第1基板13H(第1透過部材)および第2基板14H(第2透過部材)に応じて、第1基板13Hにおける所定の角度αと、第2基板14Hにおける所定の角度βと、それらの第1接合面16Hと第2接合面18Hとにおける所定の角度γと、を設定すればよい。
また、実施例4では、入射側フィルタ部材11Hと出射側フィルタ部材12Hとにより光量調整機構10Hが構成されていたが、図31に示す光量調整機構10Wのような構成とすることもできる。この光量調整機構10Wは、第1基板13Wおよび第2基板14Wを有する入射側フィルタ部材11Wと、第3基板19Wおよび第4基板20Wを有する出射側フィルタ部材12Wと、からなる。その第1基板13Wは、第1光路面15Wと第1接合面16Wとが所定の角度α1の角度を為して実施例1の第1透過部材から形成され、第2基板14Wは、第2接合面18Wと第2光路面17Wとが同じく所定の角度β1の角度を為して第2基板14Hと同様の第3透過部材から形成されている。この入射側フィルタ部材11Wでは、第1接合面16Wと第2接合面18Wとが所定の角度γ1を為して、第1基板13Wと第2基板14Wとの位置関係が規定されている。入射側フィルタ部材11Wでは、入射側フィルタ部材11Hと同様に、上記した観点から、第1基板13W(第1透過部材)に対する第2基板14W(第3透過部材)の屈折率の関係に応じて、所定の角度α1と所定の角度β1と所定の角度γ1と、が設定されている。また、第3基板19Wは、第3光路面21Wと第3接合面22Wとが所定の角度α2の角度を為して第6透過部材から形成され、第4基板20Wは、第4接合面24Wと第4光路面23Wとが所定の角度β2の角度を為して第7透過部材から形成されている。この出射側フィルタ部材12Wでは、第3接合面22Wと第4接合面24Wとが所定の角度γ2を為して、第3基板19Wと第4基板20Wとの位置関係が規定されている。その第6透過部材は、第1透過部材と異なる屈折率および透過率とされており、実施例1の第1透過部材と同様に形成されている。第7透過部材は、第3透過部材と異なる屈折率であって第6透過部材と等しい屈折率とされ、実施例1の第2透過部材と同様に形成されている。この第3基板19Wでは、第6透過部材における透過率を鑑みて、第1基板13Wと同様に直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を第1基板13Wと等しくすべく、所定の角度α2が設定されている。それを有する出射側フィルタ部材12Wでは、入射側フィルタ部材11Hと同様に、上記した観点から、第3基板19W(第6透過部材)に対する第4基板20W(第7透過部材)の屈折率の関係および第3基板19Wにおける所定の角度α2に応じて、所定の角度β2と所定の角度γ2と、が設定されている。このため、光量調整機構10Wでは、光量調整機構10Hと同様の効果を得ることができる。このことから、光量調整機構10Wでは、入射側フィルタ部材11Wにおいて、第1基板13Wの所定の角度α1が第1の所定の角度となり、第2基板14Wの所定の角度β1が第2の所定の角度となり、第1接合面16Wと第2接合面18Wと所定の角度γ1が第3の所定の角度となる。また、光量調整機構10Wでは、出射側フィルタ部材12Wにおいて、第3基板19Wの所定の角度α2が第4の所定の角度となり、第4基板20Wの所定の角度β2が第5の所定の角度となり、第3接合面22Wと第4接合面24Wと所定の角度γ2が第6の所定の角度となる。
次に、本発明の実施例5の光量調整機構10Iについて、図32を用いて説明する。この実施例5は、光量調整機構10Iの入射側フィルタ部材11Iおよび出射側フィルタ部材12Iの構成が実施例1の光量調整機構10とは異なる例である。この実施例5の光量調整機構10Iは、基本的な構成は上記した実施例1の光量調整機構10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図32は、光量調整機構10Iを示す図14と同様の説明図である。
光量調整機構10Iでは、図32に示すように、入射側フィルタ部材11Iが第1基板13Iから構成され、かつ出射側フィルタ部材12Iが第3基板19Iから構成されている。この入射側フィルタ部材11Iおよび出射側フィルタ部材12I、すなわち第1基板13Iおよび第3基板19Iは、それらの中間位置で光路方向Opおよび位置調整方向P´と直交する軸線を中心として互いに点対称とされて、同様の構成とされている。
入射側フィルタ部材11Iの第1基板13Iは、実施例1の第1基板13と同様の第1透過部材から形成されている。第1基板13Iは、立体形状の第1透過部材を用いて、少なくとも1つの平坦な面を形成して第1光路面15Iとするとともに、そこに直交する方向を厚さ方向T1で見た反対側となる(第1光路面15Iに対して厚さ方向T1側に位置する)箇所に、平坦な面を形成して第1接合面16Iとし、残りの面を適宜成形することにより形成する。その第1接合面16Iは、第1光路面15Iに対して所定の角度δを為すものとする。第1基板13Iは、実施例5では、光路方向Opおよび位置調整方向P´を含む面で見て、所定の角度δを為す頂点を有する三角形状とされている。その第1接合面16Iと光路方向Opで対向して、出射側フィルタ部材12Iすなわち第3基板19Iが設けられる。
出射側フィルタ部材12Iの第3基板19Iは、第1基板13Iと同様の第1透過部材から形成されている。第3基板19Iは、立体形状の第1透過部材を用いて、少なくとも1つの平坦な面を形成して第3光路面21Iとするとともに、そこに直交する方向を厚さ方向T3で見た反対側となる(第3光路面21Iに対して厚さ方向T3側に位置する)箇所に、平坦な面を形成して第3接合面22Iとし、残りの面を適宜成形することにより形成する。その第3接合面22Iは、第3光路面21Iに対して第1基板13Iでの第1光路面15Iと第1接合面16Iとが為す角度に等しい所定の角度δを為すものとする。第3基板19Iは、実施例5では、光路方向Opおよび位置調整方向P´を含む面で見て、所定の角度δを為す頂点を有する三角形状とされている。
この光量調整機構10Iでは、光路方向Opに直交する方向で見て、第1基板13Iと第3基板19Iとの厚さ寸法の変化を逆向きとして、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態で、第1基板13I(入射側フィルタ部材11I)と第3基板19I(出射側フィルタ部材12I)とを設けている。光量調整機構10Iでは、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態を維持したまま、第1接合面16Iおよび第3接合面22Iが存在する面に沿う方向に入射側フィルタ部材11I(第1基板13I)と出射側フィルタ部材12I(第3基板19I)とが相対的に移動可能とされている(図32の(a)および(b)参照)。この光量調整機構10Iでは、入射側フィルタ部材11I(第1基板13I)と出射側フィルタ部材12I(第3基板19I)との相対的な位置に拘らず、第1光路面15Iと第3光路面21Iとが平行とされている。
このため、光量調整機構10Iでは、第1接合面16Iおよび第3接合面22Iが存在する面に沿う方向が、第1光路面15Iおよび第3光路面21Iを通過する単一の直線光路(実施例5では光路方向Op)に交わる方向であって、位置の変化に伴い第1光路面15I(第3光路面21I)を基準とする第1接合面16I(第3接合面22I)までの距離(間隔)を連続して変化させる方向としての位置調整方向P´となる。また、光量調整機構10Iでは、第1基板13Iにおける厚さ方向T1と、第3基板19Iにおける厚さ方向T3と、が一致されている。光量調整機構10Iでは、第1基板13Iの第1光路面15Iを入射面とし、第3基板19Iの第3光路面21Iを出射面とする。
この光量調整機構10Iに対して、光路方向Opに沿って光束Bが進行してきたものとする。その光束Bは、入射側フィルタ部材11Iの第1光路面15Iにおける入射位置に拘らず当該第1光路面15Iから第1基板13I内へと進入する。その第1光路面15Iは、光路方向Opに対して直交されていることから、光束Bは、光路方向Opに沿って第1基板13I内へと進入して、第1接合面16Iに至る。ここで、その第1接合面16Iは、光路方向Opに対して傾斜されているが、第3基板19Iの第3接合面22Iと面当接されている。また、その第3基板19Iは、第1基板13Iと同一の部材で形成されて互いに等しい屈折率とされている。このため、光束Bは、第1接合面16Iすなわち第1基板13Iから出射される際に、屈折することはなく光路方向Opに沿って第3接合面22Iから第3基板19I内へと進入する。その後、光束Bは、第3基板19I内においても光路方向Opに沿って進行し、第3光路面21Iに至る。その光路方向Opに沿う光束Bは、その進行方向が第3光路面21Iに直交するものであることから、その第3光路面21Iにおける出射位置に拘らず、当該第3光路面21Iから光路方向Opに沿って第3基板19I外に出射される。
このとき、光束Bは、入射側フィルタ部材11Iにおいて第1基板13I内を厚さ方向T1に沿って透過しているとともに、出射側フィルタ部材12Iにおいて第3基板19I内を厚さ方向T3に沿って透過していることから、光量調整機構10Iを厚さ方向(T1、T3)に透過していることとなる。この光量調整機構10Iでは、上述したように、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態を維持したまま、位置調整方向P´に入射側フィルタ部材11I(第1基板13I)と出射側フィルタ部材12I(第3基板19I)とが相対的に移動可能とされていることから、その相対的な位置関係に応じて厚さ方向(T1、T3)での大きさ寸法(厚さ寸法)が調整可能とされている(図32の(a)および(b)参照)。
このため、光量調整機構10Iでは、光路に対する位置調整方向P´で見た入射側フィルタ部材11Iの位置と、光路に対する位置調整方向P´で見た出射側フィルタ部材12Iの位置と、を適宜調整することにより、光束Bの透過量すなわち全体としての減光率を適宜調整することができる。
また、光量調整機構10Iでは、第1基板13Iにおいて、入射面となる平坦な第1光路面15Iに対して、所定の角度δを為す平坦な第1接合面16Iにより、光路方向Op(光束Bの進行方向)での厚さ寸法が規定されているとともに、第3基板19Iにおいて、出射面となる平坦な第3光路面21Iに対して、所定の角度δを為す平坦な第3接合面22Iにより、光路方向Op(光束Bの進行方向)での厚さ寸法が規定されている。このため、光量調整機構10Iでは、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態を維持しつつ第1基板13Iと第3基板19Iとを位置調整方向P´に相対的に移動して厚さ寸法を調整することにより、厚さ寸法の変化(第1基板13I内での通過距離の変化および第3基板19I内での通過距離の変化)を連続的なものとすることができる。このため、全体としての減光率の変化を連続的なものとすることができる。
さらに、光量調整機構10Iでは、同一の形状とされた第1基板13Iと第3基板19Iとが、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態を維持したまま位置調整方向P´に相対的に移動されるものであることから、その相対的な位置関係に拘らず入射面となる第1光路面15Iと出射面となる第3光路面21Iとが常に平行とされている。このため、光量調整機構10Iでは、厚さ寸法の変更すなわち減光率の変更に拘らず、光路方向Opに沿って入射する光束Bを、光路方向Op(光束Bの進行方向)に直交する面で見た位置を変化させることなく(透過偏角および光軸段差をなくして)、光路方向Op(光束Bの進行方向)に沿って出射させることができる。
光量調整機構10Iでは、第1基板13Iと第3基板19Iとの相対的な位置関係に拘らず入射面となる第1光路面15Iと出射面となる第3光路面21Iとが常に平行とされていることから、所定のビーム径を有する光束Bに対して径方向で見た透過率を均一なものとして、その透過率を連続的に変化させることができる。
光量調整機構10Iでは、厚さ方向T1での両端に渡って第1基板13Iを通過させることで厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11Iを通過させ、かつ厚さ方向T3での両端に渡って第3基板19Iを通過させることで厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12Iを通過させることにより、所定のビーム径を有する光束Bに対して、その径方向で見た位置に拘らず光学的距離すなわち光路長を等しくすることができる。
光量調整機構10Iでは、所定のビーム径を有し光路方向Opに沿う光束Bを、厚さ方向での両端に渡って入射側フィルタ部材11Iを通過させるとともに、厚さ方向での両端に渡って出射側フィルタ部材12Iを通過させることにより、入射する際の光束Bと出射される際の光束Bとにおける平行変化をなくすことができる。
実施例5の光量調整機構10Iでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、光量調整機構10Iでは、入射側フィルタ部材11Iを第1基板13Iのみの簡易な構成とすることができるとともに、出射側フィルタ部材12Iを第3基板19Iのみの簡易な構成とすることができる。
したがって、実施例5の光量調整機構10Iでは、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。
なお、上記した実施例5では、光量を調整する対象とする光(光束)に対して、その進行方向が光路方向Opに沿う方向となるように光量調整機構10I(入射側フィルタ部材11Iおよび出射側フィルタ部材12I)を配していたが、対象とする光(光束)の進行方向を光路方向Opに対して傾斜させてもよく(図32の光束B5参照)、上記した実施例5に限定されるものではない。この場合、対象とする光束B5(光)において、光量調整機構10I(その入射側フィルタ部材11I)に入射する前と光量調整機構10I(その出射側フィルタ部材12I)から出射された後とで、進行方向が互いに平行ではある(透過偏角はない)が、その進行方向に直交する面で見た位置が変化(平行移動)してしまう(光軸段差は生じてしまう)。しかしながら、このことを除くと上記した各効果を得ることができる。
また、上記した実施例5では、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態を維持しつつ第1基板13Iと第3基板19Iとを位置調整方向P´に相対的に移動する構成とされていたが、図33に示す光量調整機構10I´としてもよい。この光量調整機構10I´では、第1接合面16Iと第3接合面22Iとが、互いに平行な状態を維持したまま所定の間隔S4を置いて対向されて、第1基板13I(入射側フィルタ部材11I´)と第3基板19I(出射側フィルタ部材12I´)との相対的な位置関係が設定されて構成されている。これらのことを除くと、光量調整機構10I´は、光量調整機構10Iと同様の構成とされている。この光量調整機構10I´では、入射側フィルタ部材11I´および出射側フィルタ部材12I´において所定の間隔S4が設定されていることから、入射する前の光束B、B5(光)に対して出射された後の光束B、B5(光)の位置が変化(平行移動)する(光軸段差は生じる)ことを除くと、光量調整機構10Iと同様の効果を得ることができる。また、光量調整機構10I´では、第1基板13I(入射側フィルタ部材11I´)と第3基板19I(出射側フィルタ部材12I´)との相対的な移動方向が、光量調整機構10Iと同様に位置調整方向P´とされていることから、第1基板13Iと第3基板19Iとの相対的な位置関係に拘らず第1接合面16Iと第3接合面22Iとを常に所定の間隔S4で対向させることができるので(図33の(a)、(b)参照)、第1基板13Iと第3基板19Iとの相対的な位置関係に拘らず入射する前の光束B、B5(光)に対する出射された後の光束B、B5(光)の位置の変化量(平行移動量)を一定のものとすることができる。さらに、光量調整機構10I´では、第1基板13Iと第3基板19Iとの相対的な位置関係に拘らず第1接合面16Iと第3接合面22Iとを常に所定の間隔S4で対向させることから、第1基板13Iと第3基板19Iとの相対的な位置関係に拘らず入射する前後の光束B、B5における平行変化をなくすことができる。加えて、光量調整機構10I´では、図34に示すように、広がり角を有する光束B´に対して用いた場合であっても、光束B´の入射させる位置(その光軸位置)を変化させなければ、出射される光束B´の位置(その光軸位置)が変化することを防止することができる。図34に示す例では、実施例2の図22に示す例と同様に、発光部41から出射された光を、入射側レンズ45で進行するに連れて径寸法が増大する拡大光束として入射側フィルタ部材11I´(その第1基板13I)に入射させるとともに、その入射側フィルタ部材11I´および出射側フィルタ部材12I´を経て、出射側フィルタ部材12I´(第3基板19I)から出射された光束を出射側レンズ46で集光して受光部42で受光させている。このため、光量調整機構10I´では、基本的に入射側レンズ45と出射側レンズ46との相対的な位置関係を固定したままで、その間を通る光の光量を適宜調節することができる。なお、光量調整機構10I´では、図22に示す光量調整機構10Fとは異なり、周辺光における光路長に変化は生じてしまう。
さらに、上記した図33に示す例では、入射側フィルタ部材11I´と出射側フィルタ部材12I´とにより光量調整機構10I´が構成されていたが、図35に示す光量調整機構10Xのような構成とすることもできる。この光量調整機構10Xは、第1基板13X有する入射側フィルタ部材11Xと、第3基板19Xを有する出射側フィルタ部材12Xと、からなる。その第1基板13Xは、上記した第1基板13I´すなわち第1基板13Iと同様の構成である。第3基板19Xは、基本的に第3基板19Iと同様の構成であって、第3基板19Iよりも大きな構成とされるとともに、その先端箇所が切り欠かれて構成されている。このため、光量調整機構10Xでは、光量調整機構10I´と同様の効果を得ることができる。
ついで、上記した図33に示す例では、入射側フィルタ部材11I´と出射側フィルタ部材12I´とにより光量調整機構10I´が構成されていたが、図36に示す光量調整機構10X´のような構成とすることもできる。この光量調整機構10X´は、第1基板13X´を有する入射側フィルタ部材11X´と、第3基板19X´を有する出射側フィルタ部材12X´と、からなる。その第1基板13X´は、第1光路面15X´と第1接合面16X´とが所定の角度δ1の角度を為して実施例1の第1透過部材から形成されている。第3基板19X´は、第3光路面21X´と第3接合面22X´とが所定の角度δ2の角度を為して第8透過部材から形成されている。その第8透過部材は、第1透過部材と異なる屈折率および透過率とされており、実施例1の第1透過部材と同様に形成されている。この第3基板19X´では、第8透過部材における透過率を鑑みて、第1基板13X´と同様に直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を第1基板13X´と等しくすべく、所定の角度δ2が設定されている。このため、光量調整機構10X´では、入射される前後における光束Bの進行方向が変化する(透過偏角および光軸段差が生じる)ことを除くと、光量調整機構10I´と同様の効果を得ることができる。なお、この光量調整機構10X´では、第1基板13X´(入射側フィルタ部材11X´)と第3基板19X´(出射側フィルタ部材12X´)とが互いに異なる屈折率とされた透過部材から構成されていたが、透過率のみが互いに異なる透過部材で構成するものであってもよい。また、光量調整機構10X´では、光束Bの進行方向に対して第1基板13X´(入射側フィルタ部材11X´)の第1光路面15X´を直交させているが、第3基板19X´(出射側フィルタ部材12X´)の第3光路面21X´から直交する進行方向で光束Bを出射させる位置関係で用いてもよい。
上記した実施例5では、第1接合面16Iと第3接合面22Iとを面当接させた状態を維持しつつ第1基板13Iと第3基板19Iとを位置調整方向P´に相対的に移動する構成とされていたが、図37に示す光量調整機構10I´´としてもよい。この光量調整機構10I´´では、基本的な構成は図33に示す光量調整機構10I´と同様であって、第1基板13I(入射側フィルタ部材11I´´)と第3基板19I(出射側フィルタ部材12I´´)との相対的な移動方向が位置調整方向P(光路方向Opに直交する方向であり図37を正面視して左右方向)とされている。すなわち、光量調整機構10I´´では、第1接合面16Iと第3接合面22Iとが、互いに平行な状態を維持したまま、第1基板13Iと第3基板19Iとが位置調整方向Pに相対的に移動することにより、第1基板13I内での通過距離および第3基板19I内での通過距離を調整する。このため、光量調整機構10I´´では、第1基板13Iと第3基板19Iとの位置調整方向Pでの相対的な位置関係に応じて、第1接合面16Iと第3接合面22Iとの間隔が変化し、入射する前の光束B、B5(光)に対する出射された後の光束B、B5(光)の位置の変化量(平行移動量)が変化する(光束B、B5における平行変化が生じる)。このことを除くと、光量調整機構10I´´は、光量調整機構10I´と同様の効果を得ることができる。
上記した図37に示す例では、入射側フィルタ部材11I´´と出射側フィルタ部材12I´´とにより光量調整機構10I´´が構成されていたが、図38に示す光量調整機構10Yのような構成とすることもできる。この光量調整機構10Yは、第1基板13Y有する入射側フィルタ部材11Yと、第3基板19Yを有する出射側フィルタ部材12Yと、からなる。その第1基板13Yは、上記した第1基板13Iと同様の構成である。第3基板19Yは、基本的に第3基板19Iと同様の構成であって、第3基板19Iよりも大きな構成とされるとともに、その先端箇所が切り欠かれて構成されている。このため、光量調整機構10Yでは、光量調整機構10I´´と同様の効果を得ることができる。
上記した図37に示す例では、入射側フィルタ部材11I´´と出射側フィルタ部材12I´´とにより光量調整機構10I´´が構成されていたが、図39に示す光量調整機構10Y´のような構成とすることもできる。この光量調整機構10Y´は、第1基板13Y´を有する入射側フィルタ部材11Y´と、第3基板19Y´を有する出射側フィルタ部材12Y´と、からなる。その第1基板13Y´は、第1光路面15Y´と第1接合面16Y´とが所定の角度δ3の角度を為して実施例1の第1透過部材から形成されている。第3基板19Y´は、第3光路面21Y´と第3接合面22Y´とが所定の角度δ4の角度を為して第9透過部材から形成されている。その第9透過部材は、第1透過部材と異なる屈折率および透過率とされており、実施例1の第1透過部材と同様に形成されている。この第3基板19Y´では、第9透過部材における透過率を鑑みて、第1基板13Y´と同様に直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を第1基板13Y´と等しくすべく、所定の角度δ4が設定されている。また、光量調整機構10Y´では、光量の調整の対象とする光束B(光)において、第1光路面15Y´(入射面(第1基板13Y´))に入射する前と第3光路面21Y´(出射面(第3基板19Y´))から出射された後とで、進行方向が互いに平行とする観点から、第1接合面16Y´と第3接合面22Y´とが為す角度が設定されて、第1基板13Y´と第3基板19Y´との位置関係が規定されている。このため、光量調整機構10Y´では、光量調整機構10I´´と同様の効果を得ることができる。なお、この光量調整機構10Y´では、第1光路面15Y´(入射面(第1基板13Y´))に入射する前と第3光路面21Y´(出射面(第3基板19Y´))から出射された後とで、進行方向が互いに平行とする観点から第1基板13Y´と第3基板19Y´との位置関係が規定されていたが、図40に示すように、進行方向を互いに平行とすることのない位置関係で第1基板13Y´と第3基板19Y´と設けてもよい。
上記した図40に示す例では、入射側フィルタ部材11I´´と出射側フィルタ部材12I´´とにより光量調整機構10Y´が構成されていたが、図41に示す光量調整機構10Y´´のような構成とすることもできる。この光量調整機構10Y´´では、入射側フィルタ部材11Y´´の構成が光量調整機構10Y´とは異なるものとされたものであり、出射側フィルタ部材12Y´は光量調整機構10Y´と同様の構成とされている。その入射側フィルタ部材11Y´´は、明確な図示は略すが、図1から図7に示す入射側フィルタ部材2と同様に構成されており、ガラス基板に蒸着膜としてのクロム膜が設けられて形成されている。この入射側フィルタ部材11Y´´は、光量調整機構10Y´の第1基板13Y´(図40参照)と同様に直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を図40に示す例の第1基板13Y´すなわちこの例の出射側フィルタ部材12Y´と等しくすべく、蒸着膜(クロム膜)の厚さ寸法とその変化率とが設定されている。このため、光量調整機構10Y´´では、光量調整機構10Y´と同様の効果を得ることができる。なお、この光量調整機構10Y´´では、光束Bの進行方向に対して入射側フィルタ部材11Y´´の第1光路面15Y´´を直交させているが、第3基板19Y´(出射側フィルタ部材12Y´)の第3光路面21Y´から直交する進行方向で光束Bを出射させてもよい。また、光量調整機構10Y´´では、入射側フィルタ部材11Y´´を蒸着膜(クロム膜)を設けたガラス基板で形成していたが、出射側フィルタ部材12Y´を蒸着膜(クロム膜)を設けたガラス基板で形成してもよい。さらに、光量調整機構10Y´´では、入射側フィルタ部材11Y´´を、蒸着膜(クロム膜)を設けたガラス基板で形成していたが、直線で示す光学濃度特性であってその光学濃度勾配を出射側フィルタ部材と等しくするものであれば、濃度フィルムで形成するものであってもよい。その濃度フィルムは、透明フィルムドットプリンタ等を用いて濃淡を印刷することや、銀塩フィルムに濃淡を現像することにより形成することができる。このことは、出射側フィルタ部材12Y´に変えて設ける場合であっても同様である。
なお、上記した例および各実施例では、本発明に係る光量調整機構の一例としての光量調整機構1、10〜10I、10V〜10Y(´や´´で示したものも含む)について説明したが、平坦な入射面を形成し、該入射面に沿う方向で見て連続的に変化する透過率とされた入射側フィルタ部材と、平坦な出射面を形成し、該入射側フィルタ部材と等しい光学濃度勾配を有する出射側フィルタ部材と、を備え、前記入射側フィルタ部材において、前記入射面から入射させた光束に対する透過率を連続的に変化させる方向を位置調整方向として、前記出射側フィルタ部材は、透過率を減少させる方向を、前記入射側フィルタ部材における透過率を減少させる方向とは反対の向きとしつつ前記位置調整方向に沿わせて前記入射側フィルタ部材と並列され、該入射側フィルタ部材との前記位置調整方向への相対的な移動が可能である光量調整機構であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した例および各実施例では、入射側フィルタ部材(11等)および出射側フィルタ部材(12等)において、全体に均一(一様)で同一の透過率の部材からなる楔形状の第1基板(13等)または第3基板(19等)を有するものとされていたが、位置調整方向P(P´)で見て連続的に変化する透過率とされているとともに、透過率を減少させる方向を互いに反対の向きとして入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材とが並列されているもの、すなわち入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材とを光学濃度特性を直線で示すものとするとともに互いに等しい光学濃度勾配とし、位置調整方向P(P´)での位置に対する光学濃度の変化(透過率を減少させる方向)を逆向きとして、入射側フィルタ部材と出射側フィルタ部材との相対的な向き(姿勢)を設定して構成されているものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。このような他の例としては、例えば、図42に示すような光量調整機構10Jとしてもよい。この光量調整機構10Jでは、第1基板25(その表面)に複数の蒸着膜26を形成して入射側フィルタ部材11Jを構成するとともに、第2基板27(その表面)に複数の蒸着膜28を形成して出射側フィルタ部材12Jを構成している。その第1基板25および第2基板27は、光の透過を許す部材(例えば、図1から図7に示す入射側フィルタ部材2に用いたガラス基板)からなり、所定の面積の入射面を形成可能な板状を呈している。各蒸着膜26および各蒸着膜28は、第1基板25または第2基板27における位置調整方向Pでの透過率を変化させる、望ましくは指数関数的に変化させる透過率設定部を構成するものであり、それぞれが所定の透過率に設定されている。この各蒸着膜26および各蒸着膜28は、例えば、図1から図7に示す入射側フィルタ部材2と同様のクロム膜で形成することができる。各蒸着膜26および各蒸着膜28は、位置調整方向Pに直交する方向に伸長しかつ、位置調整方向Pで所定の幅寸法とされている。図42の例では各蒸着膜26は、第1基板25における形成された位置が、位置調整方向Pでの正側から負側へ向かうに連れて指数関数的に透過率が減少されている。また、図42の例では、各蒸着膜28は、第2基板27における形成された位置が、位置調整方向Pでの負側から正側へ向かうに連れて指数関数的に透過率が減少されており、位置調整方向Pでの透過率の変化の態様(指数関数で示される)が各蒸着膜26と互いに等しくかつ各蒸着膜26とは反対向きとされている。この光量調整機構10Jであっても、光量調整機構1、10〜10I、10V〜10Y(´や´´で示したものも含む)と同様に、減光率の変更を可能としつつ、所定のビーム径を有する光束B内において径方向で見た透過率に差(差異)が生じることを防止することができる。また、他の例としては、図示は略すが、第1基板25および第2基板27(図42参照)(その表面)に設ける透過率設定部として、均一な厚さで微小開口が形成された反射膜を設けるとともにその反射膜における微小開口の占める面積割合を入射面における位置の差異に応じて変化させて構成したりしてもよい。さらに、他の例としては、図示は略すが、上述した濃度フィルムで形成するものであってもよい。
さらに、上記した例および実施例1では、本発明に係る光量調整機構を用いた光量調整装置50として光量調整機構10を用いた例を示していたが、基本構成や実施例1のなお書きや実施例2から実施例5で示した光量調整機構1、10A〜10I、10V〜10Y(´や´´で示したものも含む)を用いるものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
以上、本発明の光量調整機構を例および各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成についてはこの例および各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。