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JP2013180317A - 連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法及び装置 - Google Patents

連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度計のfrom-toペア数を最小限にして誤動作件数を抑えることができ、かつブレークアウト予知の判定タイミングを最速にすることができる連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法を提供する。
【解決手段】連続鋳造設備の鋳型壁面の水平方向及び鉛直方向に複数の温度計2を設ける。鋳込速度Vcから予測されるシェル破断角θに応じて、ある出発側の温度計(from)から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計(to(1))として選択する。そして、出発側の温度計(from)及び選択された到達側の温度計(to(1))が検出した温度に基づいて、ブレークアウトの予知を成立させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法及び装置に関する。
連続鋳造における拘束性ブレークアウトとは、モールド内表面に凝固シェルが焼付き、その状態で下方に鋳片を引き抜くことで凝固シェルが破断し、この凝固シェルの破断部がモールドの鋳込み方向及び幅方向に伝播し、最終的にモールド下端に到達することで溶鋼が漏出する事故のことである。ブレークアウトが発生すると設備復旧に多大に時間を要し、多大な減産が発生してしまう。
この対策として、モールド内でシェル破断を検知し、拘束性ブレークアウトを未然に防止する数々の発明が提案されている。一般的には、モールドの壁面に複数個の熱電対を埋め込み、熱電対の温度を判定装置に取り込み、判定ロジックによりブレークアウトを予知して非常減速を行うことで再凝固を促し、ブレークアウトを未然に防止する方法が採られている。
拘束性ブレークアウトの判定ロジックは以下のとおりである。拘束性ブレークアウトの発生にあたっては、シェルの破断部が熱電対埋設位置を通過する際に、熱電対温度が一旦上昇した後に、遅れて下降するという温度変化をたどることが知られている。一つの熱電対でこの温度変化パターンを検出すれば、ブレークアウトを予知することができると考えられる。しかし、一つの熱電対で検出するだけでは、湯面変動に起因する温度変化とブレークアウトに起因する温度変化とを区別することが困難である。ブレークアウトの予知の精度を向上するために、シェルの破断部がモールドの幅方向及び鋳込み方向に伝播していく現象を利用し、上記の温度変化パターンが隣接する熱電対で検出されてはじめてブレークアウトの予知成立とするブレークアウトの予知方法が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。このブレークアウトの予知方法において、隣接する熱電対同士で出発側(from側)、到達側(to側)の関係を設定し、それぞれの検出温度がシェル破断の温度変化パターンに当て嵌まるかどうかを監視している。
特公昭63−47545号公報 特開2009−241099号公報
しかし、温度計の温度はモールド内の流動状況やシェル凝固状況に応じて常時変動しており、この温度変化パターンがブレークアウト予知の成立条件であるシェル破断による温度変化パターンと偶然一致することは避けようがなく、ある程度の誤検知は避けられない。この誤検知が多いことは生産の阻害となる。
シェル破断の伝播監視を行う温度計のfrom-toペア数をたくさん取るほど、未検知(予知すべきところの見逃し)を防止し易い反面、温度計のfrom-toペア数を過剰に増やすと、誤検知件数が増える恐れが大きくなる。特に、モールド壁面の水平方向及び垂直方向に複数の熱電対を埋め込んだ場合、水平方向にも垂直方向にも温度計のfrom-toペアが存在するので、from-toペア数が多くなる。特許文献1には、温度計のfrom-toペア数を最小限にするための工夫が開示されていない。
特許文献2には、ある出発側の温度計から見て、鉛直方向に隣接する温度計にfrom-toペアの関係を設定することが開示されている。特許文献2に記載の発明によれば、温度計のfrom-toペア数を最小限にすることができる。しかし、シェルの破断部は垂直方向に隣接する温度計よりも先に水平方向に隣接する温度計に伝播する場合があり、この場合、予知の判定タイミングが遅れるという新たな課題が生ずる。
そこで、本発明は、温度計のfrom-toペア数を最小限にして誤動作件数を抑えることができ、かつブレークアウト予知の判定タイミングを最速にすることができる連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、連続鋳造設備の鋳型壁面の水平方向及び鉛直方向に複数の温度計を設け、温度計が検出した温度に基づいて拘束性ブレークアウトの予知を成立させる連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法において、鋳込速度から予測されるシェル破断角に応じて、ある出発側の温度計から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計として選択し、前記出発側の温度計及び選択された前記到達側の温度計が検出した温度に基づいて、ブレークアウトの予知を成立させることを特徴とする連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法において、前記出発側の温度計から鉛直方向に隣接する温度計までの鋳込み長さL1、及び前記出発側の温度計から水平方向に隣接する温度計までの鋳込み長さL2を下記の計算式に基づいて算出し、鋳込み長さL1と鋳込み長さL2とでどちらが短いかを割り出し、鋳込み長さが短い方の温度計を前記到達側の温度計として選択することを特徴とする。ここで、L1=y、L2=x×tanθ、yは前記出発側の温度計から鉛直方向に隣接する前記到達側の温度計までの距離であり、xは前記出発側の温度計から水平方向に隣接する前記到達側の温度計までの距離であり、θはシェル破断角である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法において、前記出発側の温度計に水平方向及び鉛直方向に隣接する温度計が正常に温度を検出できない場合、前記出発側の温度計から斜め下方向に燐接する温度計までの鋳込み長さL3、及び前記出発側の温度計から水平方向に隣接する温度計をスキップした次の温度計までの鋳込み長さL4を算出し、鋳込み長さL3と鋳込み長さL4のどちらが短いかを割り出し、鋳込み長さが短い方の温度計を前記到達側の温度計として選択することを特徴とする。ここで、L3=y+x×tanθ、L4=2x×tanθ、yは前記出発側の温度計から鉛直方向に隣接する温度計までの距離であり、xは前記出発側の温度計から水平方向に隣接する前記到達側の温度計までの距離であり、2xは前記出発側の温度計から水平方向に隣接する温度計をスキップした次の温度計までの距離であり、θはシェル破断角である。
請求項4に記載の発明は、連続鋳造設備の鋳型壁面の水平方向及び鉛直方向に設けられる複数の温度計と、温度計が検出した温度に基づいて、拘束性ブレークアウトの予知を成立させる判定装置と、を備える連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知装置において、前記判定装置は、鋳込速度から予測されるシェル破断角に応じて、ある出発側の温度計から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計として選択し、前記出発側の温度計及び選択された前記到達側の温度計が検出した温度に基づいて、ブレークアウトの予知を成立させる連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知装置である。
請求項1に記載の発明によれば、シェル破断の伝播監視を行うfrom-toペア(出発側の温度計と到達側の温度計とのペア)が必要最小限になるので、誤検知を削減できる。また、シェルの破断部が最も早く伝播する相手を到達側の温度計として選択するので、ブレークアウト予知の判定タイミングを最速にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、鋳込速度から予測されるシェル破断角に応じて、出発側の温度計から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計として選択することが可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、出発側の温度計に水平方向及び/又は鉛直方向に隣接する温度計が正常に温度を検出できない場合でも、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計として選択することが可能になる。
請求項4に記載の発明によれば、シェル破断の伝播監視を行うfrom-toペア(出発側の温度計と到達側の温度計とのペア)が必要最小限になるので、誤検知を削減できる。また、シェルの破断部が最も早く伝播する相手を到達側の温度計として選択するので、ブレークアウト予知の判定タイミングを最速にすることができる。
本発明の一実施形態の拘束性ブレークアウト予知装置の模式図 シェル破断部の伝播を説明する鋳型の展開図(図2(a)は熱電対(to(1))にシェル破断部が到達した状態を示し、図2(b)は熱電対(to(2))にシェル破断部が到達した状態を示す) 鋳込速度Vcとシェル破断角θとの関係を示すグラフ シェル破断部が通過する際の熱電対での温度変化の推移を示すグラフ 熱電対(to(1)及びto(2))が正常に温度を検出できないときの、シェル破断部の伝播を説明する鋳型の展開図(図5(a)は熱電対(to(3))にシェル破断部が到達した状態を示し、図5(b)は熱電対(to(4))にシェル破断部が到達した状態を示す) 従来例の熱電対のfrom-toペアの選択と本発明例の熱電対のfrom-toペアの選択との比較を示す図(図6(a)は従来の熱電対のfrom-toペアの選択を示し、図6(b)は本発明の熱電対のfrom-toペアの選択を示す)。 従来例の誤検出の割合と本発明例の誤検出の割合とを比較するグラフ
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態の連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知装置を説明する。図1は本実施形態の連続鋳造設備における拘束性ブレークアウト予知装置の模式図を示す。
まず、従来から公知の連続鋳造設備の概要を説明する。連続鋳造設備は、取鍋、タンディッシュ、鋳型、ガス切断機を備える。転炉で精錬された溶鋼は取鍋に入れられ、連続鋳造設備の最上部に運ばれる。溶鋼は取鍋の底部から下のタンディッシュへ注がれる。溶鋼はタンディッシュの底部から鋳型へと注がれる。鋳型は銅で出来ており、常に水冷されている。溶鋼は鋳型の中で凝固シェルを作りはじめる。溶鋼が固められた鋳片はロールによって鋳型から引き抜かれる。ロールで運ばれる間に固体となった鋳片はロール列の末端にあるガス切断機で適度な長さに切断される。
図1に示すように、本実施形態の拘束性ブレークアウト予知装置は、鋳型1に水平方向に複数列、垂直方向に複数段埋め込まれる複数の温度計としての熱電対2と、各熱電対2が検出した温度に基づいて拘束性ブレークアウトの予知が成立したか否かを判定する判定装置4と、を備える。
熱電対2は鋳型1の短辺側及び長辺側に水平方向及び鉛直方向に一定のピッチで配列される。熱電対2は水平方向及び鉛直方向に一列に座標平面上の格子点のように配列されるのが望ましいが、格子点からずれて配列されてもよい。図1には、上下に二段の熱電対が示されているが、上下に三段、四段等の熱電対2が配列されてもよい。
熱電対2からの信号は増幅器、A/D変換器を経由して判定装置4に取り込まれる。判定装置4は、コンピュータからなる。判定装置4のROMには、拘束性ブレークアウトの予知の成立の有無を判定するプログラムが格納されている。連続鋳造設備の操作盤コンピュータ5は、鋳込速度のデータ、及び鋳片の所定距離の移動毎に1パルスの割合で発せられるサンプリングパルスを判定装置4に送信する。判定装置4のCPUは、プログラムに基づいて、所定のサンプリング周期毎に鋳込速度のデータ及び各熱電対2の検出温度データを取り込み、拘束性ブレークアウトの予知方法を実行する。
本実施形態の拘束性ブレークアウトの予知方法を説明する前に、まずシェル破断部の伝播について説明する。図2(a)及び(b)は鋳型1の展開図を示す。図2(a)及び(b)に示すように、シェルの破断部はV字形状に形成され、鋳型1の表面に沿って一定の速度で下方に移動する。図2には、移動前のシェル破断部と移動後のシェル破断部が時系列に上下に示されている。シェル破断部の移動速度は鋳込速度の約1/2程度と言われている。ブレークアウトした鋳片の表面状況からシェル破断部の伝播波及角度(すなわちシェル破断角)を調べると、水平レベルに対してほぼ一定の角度θで成長する。この現象はブルーム連続鋳造設備でもスラブ連続鋳造設備でも同様である。シェル破断角は鋳込速度に応じて大きくなると言われており、図3に示すような鋳込速度Vcの関数として定義することができる。図3には、シェル破断角を鋳込速度Vcの一次関数として定義した例が示されている。
図4は、シェル破断部が通過する際の熱電対2での温度変化の推移を示すグラフである。シェルの破断部が熱電対2に到達する前は、温度はほぼ一定の平均検出温度で推移する。シェルの破断部が熱電対2の位置を通過すると、温度が高くなり、その後は温度降下が生ずる。この温度変化パターンを検出すれば、ブレークアウトを予知することができる。ただし、一つの熱電対2で検出するだけでは、湯面変動に起因する温度変化とブレークアウトに起因する温度変化とを区別することが困難である。ブレークアウトの予知の精度を向上するために、隣接する熱電対2同士で出発側(from側)、到達側(to側)の関係を設定し、それぞれの検出温度がシェル破断の温度変化パターンに当て嵌まるかどうかを確認する。本実施形態のブレークアウトの予知方法においては、さらに隣接する熱電対2のペアが必要最小限になるように相手となる到達側の温度計を選択している。
本実施形態のブレークアウトの予知方法は以下のとおりでる。まず、判定装置4は所定のサンプリング周期毎に各熱電対2が検出する検出温度データを取り込む。そして、上記の温度変化パターンが検出された熱電対2を出発側の熱電対2に設定する。
次に、判定装置4は、操作盤コンピュータ5から取り込んだ鋳込速度Vcのデータに基づいて、図3に示す鋳込速度とシェル破断角との関係に基づいてシェル破断角θを算出する。なお、シェル破断角θを定義する鋳込速度Vcの関数は、判定装置4のメモリに記憶されている。
次に、判定装置4は、シェル破断角θに応じて、出発側の熱電対2から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の熱電対2として選択する。具体的には、図2(a)及び(b)に示すように、最も早くシェル破断部が伝播する縦、及び横の各方向に隣接する熱電対(to(1)及びto(2))までの伝播に要する鋳込み長さL1及びL2に関して最短となる相手の熱電対(to(1)又はto(2))をfrom-toペアとして選択する。
出発側(from側)の熱電対から到達側(to側)の熱電対までの伝播に要する鋳込長さL1及びL2は以下の式から求める。
図2(a)に示すように、出発側(from側)の熱電対から鉛直方向に隣接する到達側の熱電対(to(1))までの鋳込み長さL1の場合
L1=y
図2(b)に示すように、出発側(from側)の熱電対から水平方向に隣接する到達側の熱電対(to(2))までの鋳込み長さL2の場合
L2=x×tanθ
ここで、yは出発側(from側)の熱電対から鉛直方向に隣接する到達側の熱電対(to(1))までの距離であり、xは出発側の熱電対から水平方向に隣接する到達側の熱電対(to(2))までの距離であり、θはシェル破断角である。
判定装置4は、L1とL2を比較し、どちらが短いか割り出し、短い方の熱電対を出発側(from側)のペアとして設定する。図2の場合には熱電対(to(1))がペアとなるが、θが違えば(小さくなれば)、熱電対(to(2))がペアとなる場合もある。
なお、V字形状のシェル破断部の頂点が出発側(from側)の熱電対の右側に位置するか左側に位置するかは、出発側(from側)の熱電対からは区別することができない。このため、出発側(from側)の熱電対の左右に位置する一対の熱電対のうち、どちらに速くシェル破断部が伝播するかを知ることは不可能である。よって、上記のように鋳込み長さL1及びL2を算出し、鉛直方向に隣接する到達側の熱電対(to(1))及び水平方向に隣接する到達側の熱電対(to(2))のいずれかを選択することとする。
全熱電対が健全なときは、上記の処理でよい。しかし、熱電対(to(1)及びto(2))が断線により正常に検出できなくなり、監視対象から除外された場合は、図5(a)に示すように、出発側(from側)の熱電対から見て、斜め下方向の熱電対(to(3))、及び図3(b)に示すように、出発側(from側)の熱電対から見て、水平方向で熱電対(to(2))をスキップした熱電対(to(4))についての伝播に要する鋳込み長さL3及びL4を求める。そして、L3及びL4の短い方の熱電対を割り出して、出発側(from側)の熱電対のペアに選択する。
L3及びL4は以下のように算出される。
図5(a)に示すように、出発側(from側)の熱電対から斜め下方向に燐接する(to(3))までの鋳込み長さL3の場合
L3=y+x×tanθ
図5(b)に示すように、出発側(from側)の熱電対から水平方向に隣接する熱電対(to(2))をスキップした次の熱電対(to(4))までの鋳込み長さL4の場合
L4=2x×tanθ
ここで、yは出発側(from側)の熱電対から鉛直方向に隣接する熱電対(to(1))までの距離であり、xは出発側(from側)の熱電対から水平方向に隣接する到達側の熱電対(to(2))までの距離であり、2xは出発側(from側)の熱電対から水平方向に隣接する熱電対(to(2))をスキップした次の熱電対(to(4))までの距離であり、θはシェル破断角である。
判定装置4は、L3とL4を比較し、どちらが短いか割り出し、短い方の熱電対を出発側(from側)のペアとして選択する。図4の場合には熱電対(to(3))がペアとなるが、θが違えば(小さくなれば)、熱電対(to(4))がペアとなる場合もある。
そして、判定装置4は、出発側(from側)の熱電対及び選択された到達側の熱電対(to(1)〜to(4)のいずれか)が検出した温度に基づいて、ブレークアウトの予知を成立させる。具体的には、出発側(from側)の熱電対の検出温度が一旦上昇してから下降したことを検出し、到達側の熱電対(to(1)〜to(4)のいずれか)の検出温度が続いて上記温度変化パターンを検出したときを、ブレークアウトの発生として予知する。例えば、出発側(from側)の熱電対及び到達側の熱電対(to(1)〜to(4)のいずれか)の検出温度の偏差及び変化率が一定以上のとき、上記の温度変化パターンが検出されたとしてもよいし、到達側の熱電対(to(1)〜to(4)のいずれか)の検出温度が出発側(from側)の熱電対の検出温度の差から上記の温度変化パターンが検出されたとしてもよい。
図6は、従来の熱電対のfrom-toペアの選択と本実施形態の熱電対のfrom-toペアの選択との比較を示す。図6(a)が従来の熱電対のfrom-toペアの選択を示し、図6(b)が本実施形態の熱電対のfrom-toペアの選択を示す。図6(a)に示すように、従来の熱電対のfrom-toペアの選択においては、ある出発側の熱電対2−1の相手として鉛直方向の熱電対2−4及び水平方向の左右の熱電対2−2,2−3が選択されており、合計三つのペアが存在している。これに対して、図6(b)の左側に示すように、本実施形態の熱電対のfrom-toペアの選択においては、出発側の熱電対2−1と鉛直方向の熱電対のペア2−4、及び出発側の熱電対2−1と水平方向の熱電対2−2,2−3のペアのいずれかが選択されている。この選択は鋳込速度Vcから予測されるシェル破断角θに応じて伝播に要する鋳込み長さが最短となるように自動的に選択される。具体的には、鋳込速度Vcが速い場合、上段に示すように、ある出発側の熱電対2−1に対して鉛直方向の熱電対2−4が選択され、鋳込速度Vcが遅い場合、下段に示すように、ある出発側の熱電対2−1に対して水平方向の熱電対2−2,2−3が選択される。なお、上述のように、水平方向の左右の熱電対2−2,2−3についてはいずれの鋳込み長さが最短になるかは区別できないので、左右の熱電対2−2,2−3を選択することになる。
また、図6(b)の右側に示すように、ある出発側の熱電2−1対に対して水平方向及び垂直方向に隣接する熱電対2−2,2−3,2−4が断線等により正常に温度を検出できない場合、出発側の熱電対2−1に対して斜め下方向の熱電対2−5が選択されるか、図6(b)の下段に示すように、出発側の熱電対2−1に対して水平方向に隣接する熱電対をスキップした熱電対2−6,2−7が選択される。この選択も鋳込速度Vcから予測されるシェル破断角θに応じて伝播に要する鋳込み長さが最短となるように自動的に選択される。
上記により、鋳込速度Vc及び熱電対2の健全状況に応じて最適な熱電対2のfrom-toペアを設定することで、従来であれば過剰に熱電対2のfrom-toペアを設定していたが、本実施形態では、最小限の熱電対2のfrom-toペアにて監視することができ、誤検知を削減することができる。
実機のスラブ連続鋳造設備を用い、本実施形態の予知方法と従来の予知方法を使用し、拘束性ブレークアウトを予知した。適用材は低炭素鋼及び極低炭素鋼であり、鋳込速度は1.5m/min〜2.5m/minの範囲内であった。図7に示すように、熱電対のfrom-toペア数が多い従来の予知方法では、拘束性ブレークアウト発生検出のうち15%程度の誤差があった。これに対し、熱電対のfrom-toペア数を最小限にする本実施形態の予知方法では、拘束性ブレークアウト発生検出の誤検出を8%程度とすることができ、誤検出の削減により生産能率向上が可能になった。
1…鋳型
2…熱電対
4…判定装置

Claims (4)

  1. 連続鋳造設備の鋳型壁面の水平方向及び鉛直方向に複数の温度計を設け、温度計が検出した温度に基づいて拘束性ブレークアウトの予知を成立させる連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法において、
    鋳込速度から予測されるシェル破断角に応じて、ある出発側の温度計から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計として選択し、
    前記出発側の温度計及び選択された前記到達側の温度計が検出した温度に基づいて、ブレークアウトの予知を成立させることを特徴とする連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法。
  2. 前記出発側の温度計から鉛直方向に隣接する温度計までの鋳込み長さL1、及び前記出発側の温度計から水平方向に隣接する温度計までの鋳込み長さL2を下記の計算式に基づいて算出し、
    鋳込み長さL1と鋳込み長さL2とでどちらが短いかを割り出し、
    鋳込み長さが短い方の温度計を前記到達側の温度計として選択することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法。
    ここで、
    L1=y
    L2=x×tanθ
    yは前記出発側の温度計から鉛直方向に隣接する前記到達側の温度計までの距離であり、xは前記出発側の温度計から水平方向に隣接する前記到達側の温度計までの距離であり、θはシェル破断角である。
  3. 前記出発側の温度計に水平方向及び鉛直方向に隣接する温度計が正常に温度を検出できない場合、
    前記出発側の温度計から斜め下方向に燐接する温度計までの鋳込み長さL3、及び前記出発側の温度計から水平方向に隣接する温度計をスキップした次の温度計までの鋳込み長さL4を算出し、
    鋳込み長さL3と鋳込み長さL4のどちらが短いかを割り出し、
    鋳込み長さが短い方の温度計を前記到達側の温度計として選択することを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知方法。
    ここで、
    L3=y+x×tanθ
    L4=2x×tanθ
    yは前記出発側の温度計から鉛直方向に隣接する温度計までの距離であり、xは前記出発側の温度計から水平方向に隣接する前記到達側の温度計までの距離であり、2xは前記出発側の温度計から水平方向に隣接する温度計をスキップした次の温度計までの距離であり、θはシェル破断角である。
  4. 連続鋳造設備の鋳型壁面の水平方向及び鉛直方向に設けられる複数の温度計と、
    温度計が検出した温度に基づいて、拘束性ブレークアウトの予知を成立させる判定装置と、を備える連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知装置において、
    前記判定装置は、
    鋳込速度から予測されるシェル破断角に応じて、ある出発側の温度計から見て、次に最も早くシェルの破断部が伝播する相手を到達側の温度計として選択し、
    前記出発側の温度計及び選択された前記到達側の温度計が検出した温度に基づいて、ブレークアウトの予知を成立させる連続鋳造設備における拘束性ブレークアウトの予知装置。
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