JP2013141963A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】適用リムのリムフランジのタイヤ径方向外端を通ってタイヤ幅方向に延びる線を第一仮想線とするとき、カーカス折返し部、ビードフィラー及びゴムチェーファーのタイヤ径方向外端を所定の位置にし、サイドウォールゴムの少なくとも一部を、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、ゴムチェーファーとカーカスとの間に挟み込み配設し、第一仮想線からタイヤ径方向外方及び内方に5mm離隔したタイヤ外表面に直交する仮想線を各々第二及び第三仮想線とするとき、第二及び第三仮想線に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和が6mm以下であり、カーカスプライ端を通ってタイヤ外表面に直交する第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さが、1mm以上であることを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】図2
Description
このように、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカス折返し部のタイヤ径方向外端(以下、「カーカスプライ端」とも言う。)を、第一仮想線からタイヤ径方向外方10mmに、又はタイヤ径方向外方10mmよりタイヤ径方向内方に位置させ、かつ、ビードフィラーのタイヤ径方向外端を、第一仮想線上に、又は第一仮想線よりタイヤ径方向内方に位置させることにより、タイヤを軽量化することができる。また、サイドウォールゴムの少なくとも一部が、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、ゴムチェーファーとカーカスとの間に挟み込まれているので、サイドウォール部が縁石とリムフランジとで挟まれることにより生じるカーカスへの応力集中を、サイドウォールゴムの弾性で緩和し、カーカスのコードの破断を抑制することができる。
さらに、本発明の空気入りタイヤにおいて、第二仮想線と第三仮想線とで挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を6mm以下にすることにより、リムフランジとタイヤとの接触により発生するカーカスプライ端の歪を抑制し、カーカスプライ端のセパレーション耐久性を向上することができる。
また、本発明の空気入りタイヤにおいて、第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さを1mm以上にすることにより、タイヤの変形を抑制して、カーカスプライ端のセパレーション耐久性をより一層向上することができる。
また、本発明において、「サイドウォールゴムの少なくとも一部が、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、ゴムチェーファーとカーカスとの間に挟み込まれて」とは、サイドウォールゴムの少なくとも一部が、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、第一仮想線に平行な線上において、ゴムチェーファーと、カーカス本体部又はカーカス折返し部との間に挟み込まれていることを指す。
さらに、本発明において、「サイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和」とは、タイヤ外表面に直交する方向に沿って測定したサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を指す。なお、厚さの測定位置にサイドウォールゴムとゴムチェーファーとのどちらか一方しか存在しない場合には、「サイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和」とは、該測定位置に存在しているサイドウォールゴム又はゴムチェーファーの厚さを指す。
また、本発明において、「ゴムチェーファーの厚さ」とは、タイヤ外表面に直交する方向に沿って測定したゴムチェーファーの厚さを指す。
また、この空気入りタイヤ10では、第一仮想線L1からタイヤ径方向外方に5mm離隔したタイヤ外表面91に直交する第二仮想線L2と、第一仮想線L1からタイヤ径方向内方に5mm離隔したタイヤ外表面92に直交する第三仮想線L3との間に挟まれる領域A1に存在する、サイドウォールゴム21とゴムチェーファー8との厚さの和t1が、6mm以下となっている。
さらに、この空気入りタイヤ10では、カーカス折返し部42のタイヤ径方向外端42aを通ってタイヤ外表面93に直交する第四仮想線L4上に位置するゴムチェーファー8の厚さt2は、1mm以上となっている。
なお、ラジアルカーカス4が2プライ以上のプライ数からなっている場合、カーカス折返し部42のタイヤ径方向外端(カーカスプライ端)42aは、カーカス折返し部42のプライ端の中で、最もタイヤ径方向外方に位置するプライ端をカーカス折返し部のタイヤ径方向外端42aとする。
また、この空気入りタイヤ10では、上記の構成にした場合であっても、第二仮想線L2と第三仮想線L3との間に挟まれる領域A1に存在する、サイドウォールゴム21とゴムチェーファー8との厚さの和t1を、6mm以下としているので、リムフランジRfとタイヤ10との接触により発生するカーカスプライ端42aへの応力が抑制される。したがって、カーカスプライ端42aの歪が低減され、カーカスプライ端42aのセパレーション耐久性を向上することができる。なお、領域A1に存在する、サイドウォールゴム21とゴムチェーファー8との厚さの和t1が6mm超であると、カーカスプライ端42aへの応力集中ひいては歪の増大が生じる恐れがあり、カーカスプライ端42aのセパレーション耐久性の向上が図れない。領域A1のサイドウォールゴム21とゴムチェーファー8との厚さの和t1が6mm超であると、領域A1のタイヤ10がリムフランジRfと接触し離隔することにより、カーカス折返し部42に沿う方向に発生する応力が増大する傾向があり、また増大した応力がカーカスプライ端42aにさらに集中する恐れがあるためである。
さらに、この空気入りタイヤ10では、第四仮想線L4上に位置するゴムチェーファー8の厚さt2を1mm以上としているので、タイヤの変形、特に、第四仮想線L4上のタイヤ外表面93周辺の部分の変形が抑えられる。したがって、カーカスプライ端42aに発生する応力が更に抑制され、カーカスプライ端42aのセパレーション耐久性をより一層向上することができる。
また、第四仮想線L4上に位置するゴムチェーファー8の厚さt2は、セパレーション耐久性のさらなる向上の観点からは、6mm以下の範囲にすることが好ましい。
なお、本発明において、「リムフランジの最大接触域」とは、タイヤを適用リムに装着し、適用サイズのタイヤにおけるJATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)とし、タイヤに負荷を加えずに接地させた状態において、タイヤ外表面とリムフランジとが接触しているリムフランジの領域を指す。
空気入りタイヤ20において、第一仮想線L1よりタイヤ径方向外方に位置するゴムチェーファー8の一部(領域A2)のうち、少なくともタイヤ径方向外端8aを含む部分は、この例ではタイヤ外表面に現れていない。具体的には、少なくともタイヤ径方向外端8aを含むゴムチェーファー8の領域A2は、タイヤ幅方向内側に折り曲げられ、サイドウォールゴム21の内部に挟み込まれている。ゴムチェーファー8のタイヤ径方向外端8aが、タイヤ外表面よりタイヤ幅方向内側に位置することにより、剛性段差が生じやすいゴムチェーファー8のタイヤ径方向外端8aでの応力の集中を回避し、ゴムチェーファー8のタイヤ径方向外端8aでのクラック発生を防ぐことができるためである。また、タイヤが屈曲しやすい領域である領域A2のゴムチェーファー8がタイヤ外表面からタイヤ幅方向内側に折り曲げられている場合には、一般にゴムチェーファー8と比較して耐候性及び繰り返し歪による耐クラック性の高いサイドウォールゴム21がタイヤ外表面に位置するため、ゴムチェーファー8がタイヤ外表面に位置している場合と比較して耐候性及び繰り返し歪による耐クラック性が向上し、領域A2のゴムチェーファー8のクラック発生を防止することができる。
表1に示す諸元で、図1及び図2に示すような構成を有する空気入りタイヤを試作し、下記の方法で性能を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
第二仮想線と第三仮想線との間に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を、表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の空気入りタイヤを試作し、実施例1と同様の方法で性能を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3〜9)
第二仮想線と第三仮想線との間に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を5.5mmに固定し、カーカスプライ端を通りタイヤ外表面に直交する第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さとタイヤサイズとを、表2及び3に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の空気入りタイヤを試作し、実施例1と同様の方法で性能を評価した。実施例3〜5の結果を表2に、実施例6〜9の結果を表3に示す。
(比較例1〜4)
カーカス折返し部、ビードフィラー若しくはゴムチェーファーのタイヤ径方向外端の位置、第一仮想線からタイヤ径方向外方におけるゴムチェーファーとカーカスとによるサイドウォールゴムの挟み込み構造、ゴムチェーファー若しくはサイドウォールゴムの100%モジュラス、又は、サイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を、表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして空気入りタイヤを試作し、実施例1と同様の方法で性能を評価した。結果を表1に示す。
(比較例5〜7)
第二仮想線と第三仮想線との間に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を5.5mmに固定し、カーカスプライ端を通りタイヤ外表面に直交する第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さとタイヤサイズとを、表2及び3に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の空気入りタイヤを試作し、実施例1と同様の方法で性能を評価した。比較例5の結果を表2に、比較例6〜7の結果を表3に示す。
実施例1〜5及び比較例1〜5のそれぞれのタイヤ重量を測定した。そして、比較例1のタイヤ重量を100として、指数評価した。結果を表1〜2に示す。数値が低いほどタイヤ重量が軽いことを示す。
〈乗心地性〉
実施例1〜5及び比較例1〜5のそれぞれのタイヤをサイズ14×5.5Jのリムに組み付けタイヤ内圧を210kPaにして車に装着した。ドライバーがテストコースを走行し、走行した際の乗心地性をフィーリングで評価した。そして、比較例1のタイヤについての乗心地性を100として、指数評価した結果を表1〜2に示す。数値が大きいほど、乗心地が良いことを示す。
〈耐ピンチカット性〉
実施例1〜5及び比較例1〜5のそれぞれのタイヤをサイズ14×5.5Jのリムに組み付け、タイヤ内圧を150kPaにして車(車両重量1230kg)に装着した。高さ60mmの突起を設置した路面を、速度50〜80km/hの範囲で速度を変化させて走行させた。そして、高さ60mmの突起を乗り越えたときにピンチカットが発生する速度を測定した。比較例1のタイヤについての耐ピンチカット性を100として、指数評価した結果を表1〜2に示す。数値が大きいほど、そのタイヤの耐ピンチカット性が良いことを示す。
〈カーカスプライ端のセパレーション耐久性〉
室内ドラム試験機を用いて、実施例1〜9及び比較例1〜7のそれぞれのタイヤに負荷を加えた状態で走行させ、セパレーションが発生するまでの時間を測定した。セパレーション耐久性を満たす走行時間である160時間を100として、指数評価した結果を表1〜3に示す。
*2 サイドウォールゴムの少なくとも一部が、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、ゴムチェーファーとカーカスとの間に挟み込まれている構造を指す。
*3 第二仮想線と第三仮想線との間に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を指す。
*4 第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さを指す。
*5 カーカスプライ端が適用リムのリムフランジとタイヤとの接触面から十分離れているため、カーカスプライ端に発生する歪は無視できる。
*2 サイドウォールゴムの少なくとも一部が、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、ゴムチェーファーとカーカスとの間に挟み込まれている構造を指す。
*3 第二仮想線と第三仮想線との間に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を指す。
*4 第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さを指す。
*2 サイドウォールゴムの少なくとも一部が、第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、ゴムチェーファーとカーカスとの間に挟み込まれている構造を指す。
*3 第二仮想線と第三仮想線との間に挟まれる領域に存在するサイドウォールゴムとゴムチェーファーとの厚さの和を指す。
*4 第四仮想線上に位置するゴムチェーファーの厚さを指す。
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ラジアルカーカス(カーカス)
5 ベルト
6 ビードコア
7 ビードフィラー
7a ビードフィラーのタイヤ径方向外端
8 ゴムチェーファー
8a ゴムチェーファーのタイヤ径方向外端
10 空気入りタイヤ
11 トレッドゴム
12 トレッド溝
20 空気入りタイヤ
21 サイドウォールゴム
31 ビードヒール部
41 カーカス本体部
42 カーカス折返し部
42a カーカス折返し部のタイヤ径方向外端(カーカスプライ端)
51 第一ベルト層
52 第二ベルト層
53 第三ベルト層
91,92,93 タイヤ外表面
L1 第一仮想線
L2 第二仮想線
L3 第三仮想線
L4 第四仮想線
Claims (3)
- トレッド部、該トレッド部の両側に連なる一対のサイドウォール部及び各サイドウォール部に連なるビード部にわたってトロイド状に延在するカーカス本体部と、該カーカス本体部から延び、前記ビード部内に埋設されたビードコアの周りを折り返されてなるカーカス折返し部とを有する、少なくとも1プライからなるカーカスと、
前記カーカスのタイヤ幅方向外側に配設され、前記サイドウォール部を構成するサイドウォールゴムと、
前記ビードコアのタイヤ径方向外方に配設されたビードフィラーと、
前記ビードコアのタイヤ径方向内方からビードヒール部を介してタイヤ径方向外方に向かって延びるゴムチェーファーと、を備え、
タイヤを適用リムに装着し、所定内圧を適用した無負荷状態のタイヤ幅方向断面視において、
前記カーカス折返し部のタイヤ径方向外端が、前記適用リムのリムフランジのタイヤ径方向外端を通ってタイヤ幅方向に延びる第一仮想線からタイヤ径方向外方10mmに、又はタイヤ径方向外方10mmよりタイヤ径方向内方に位置し、
前記ビードフィラーのタイヤ径方向外端が、前記第一仮想線上に、又は前記第一仮想線よりタイヤ径方向内方に位置し、
前記ゴムチェーファーのタイヤ径方向外端が、前記第一仮想線よりタイヤ径方向外方に位置し、
前記サイドウォールゴムの少なくとも一部が、前記第一仮想線よりタイヤ径方向外方で、前記ゴムチェーファーと前記カーカスとの間に挟み込まれてなる空気入りタイヤにおいて、
前記第一仮想線からタイヤ径方向外方に5mm離隔したタイヤ外表面に直交する第二仮想線と、前記第一仮想線からタイヤ径方向内方に5mm離隔したタイヤ外表面に直交する第三仮想線との間に挟まれる領域に存在する、前記サイドウォールゴムと前記ゴムチェーファーとの厚さの和が6mm以下であり、
前記カーカス折返し部のタイヤ径方向外端を通ってタイヤ外表面に直交する第四仮想線上に位置する前記ゴムチェーファーの厚さが、1mm以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記サイドウォールゴムの100%モジュラスが、前記ゴムチェーファーの100%モジュラスの1/3から1/2の範囲である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス折返し部のタイヤ径方向外端が、前記第一仮想線からタイヤ径方向内方10mmに、又はタイヤ径方向内方10mmよりタイヤ径方向外方に位置している請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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