以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、洗濯から乾燥までの工程を行うことができるドラム式洗濯機(以下、洗濯機と表記する)を例に挙げて説明する。また、以下では、洗濯機S1を正面から見たときの方向を基準として説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の洗濯機S1は、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて構成された筐体1を有し、筐体1がベース1hの上に取り付けられて構成されている。筐体1は、左右の側板1a,1b(1bは図4参照)、前面カバー1c、背面カバー1d(図2参照)、上面カバー1e、下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず)、前補強材(図示せず)、後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
前面カバー1cの略中央には、衣類など(洗濯物、乾燥対象物)を出し入れするための投入口を塞ぐドア2が、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されて構成されている。ドア2の近傍の前面カバー1cには、ドア2のロック機構(図示せず)を解除するドア開放ボタン3が設けられている。ドア開放ボタン3を押すことで、ロック機構(図示せず)が外れてドア2が開き、ドア2を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じるようになっている。図示しない前補強材は、後記する外槽20(図2参照)の開口部20b(図3参照)と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
筐体1の上部中央には、電源スイッチ4a、操作スイッチ4b,4c、表示器4dなどを備えた操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、筐体1下部に設けた制御装置60(図2および図3参照)に電気的に接続されている。また、操作パネル4の左側には、洗剤や柔軟剤などを投入する引き出し式のトレイ5が設けられている。
また、操作パネル4の右側には、引き出し式の乾燥フィルタ6が設けられている。乾燥フィルタ6は、メッシュ式のフィルタ6a(図3参照)を備えており、糸くずなどが除去されるようになっている。乾燥フィルタ6の掃除は、乾燥フィルタ6を引き出してメッシュ式のフィルタ6a(図3参照)を取り出して行う。また、上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口7a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口7bが設けられている。
図2に示すように、洗濯機S1は、筐体1内に、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽としての内槽(回転ドラム)10が設けられている。この内槽10は、前側(手前側)端面に衣類を出し入れするための開口部10aを有するとともに、その周壁に通水および通風のための多数の貫通孔10h(図11参照)を有している。
開口部10aの縁部には、内槽10と一体のバランスリング(流体バランサともいう)10bが設けられている。このバランスリング10bは、その内部に比重の大きな流体を封入して構成され、内槽10の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、バランスリング10b内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。
内槽10の内周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ10cが複数個設けられている。洗濯、乾燥時に内槽10が回転すると、衣類などがリフタ10cと遠心力で周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返すようになっている。内槽10の回転中心O1は、開口部10a側が高くなるように傾斜している。
また、洗濯機S1は、内槽10を同軸上に内包し、前面が開口した円筒状の外槽20を備えている。外槽20は、外槽本体21と外槽カバー22とで構成されている。外槽本体21の前面の開口21s(図11参照)には、合成樹脂製の外槽カバー22が設けられ、外槽20内への貯水を可能としている。外槽カバー22の前側(手前側)中央には、衣類などを出し入れするための開口部22a(図8参照)が形成されている。開口部22aと前補強材に設けた開口部は、ゴム製のパッキン23(図9参照)で接続されている。このパッキン23は、外槽20とドア2との水密性を維持する役割を果たしている。これにより、洗い、すすぎおよび脱水時の水漏れの防止が図られている。外槽20の底面最下部には、排水口20cが設けられ、排水ホース8が接続されている。
排水ホース8の先端部は、床面Gに設けられた排水孔101に接続されている。また、排水ホース8の途中には、排水弁Vが設けられ、この排水弁Vを閉じて給水することで外槽20内に水が溜められ、排水弁Vを開くことで外槽20内の水が機外へ排出される。
また、洗濯機S1は、外槽20の背面中央(底面中央)に、内槽10を回転駆動するためのモータMが取り付けられている。なお、モータMの回転軸m1は、外槽20を貫通し、内槽10の背面に設けられた金属製フランジ10eと結合している。また、外槽20の下部は、下側をベース1hに固定された複数のサスペンション9(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽20の上部は、上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽20の前後方向への倒れを防ぐように構成されている。
また、洗濯機S1は、筐体1の背面内側および上面内側を通る送風ダクト(送風路)30を備えている。送風ダクト30は、外槽20の背面側を上下方向に延びるダクト32と、外槽20の上面側を後方から前方に延びるダクト33とを有している。
ダクト32の下部には、排水弁Vの下流において排水ホース8と合流するように接続されるオーバーフロー用のホース15が接続されている。このホース15の上流端は、後記するベローズ31よりも上側に位置するように接続されている。
ダクト33の下流側には、ファン41(送風手段)とヒータ42(加熱手段)とを備えた送風ファンユニット40が設けられている。
なお、図示していないが、ダクト32内には、例えば、水冷除湿機構として、多数の突起が形成されたステンレス製のプレート(熱交換板)が配設されており、プレートには、その壁面に沿って冷却水を流すための給水管(不図示)が接続されている。後記する冷却水給水電磁弁12dが開弁されることにより、水冷除湿が機能するようになっている。
送風ダクト30(ダクト32)の下部は、外槽20の背面下部に設けられた出口20dに柔軟構造のベローズ31で略水平に接続されている。
図3に示すように、ファン41は、いわゆるターボファンなどと称されるものであり、ファンケース41a内に、複数枚の羽根で構成された羽根車(不図示)が収容され、羽根車の周囲にスクロール状(渦巻き状)の流路(不図示)が形成されて構成されている。また、ファンケース41aの外面には、羽根車の回転中心の一面側に、空気を吸い込む吸気孔(不図示)が形成され、他面側に、羽根車を高速で回転させる電動機M1が取り付けられている。
ヒータ42(図2参照)は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータなどで構成され、ファンケース41a内のスクロール状の流路の下流側に設けられている。また、ヒータ42の下流側のファンケース41aには、ヒータ42により生成された温風(乾燥用の空気)が吐出される吐出口(不図示)が形成されている。
ダクト33(図2参照)は、フィルタダクト33aを備え、フィルタダクト33aの前面は開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ6が挿入される。乾燥フィルタ6の下流側は、送風ファンユニット40の吸気孔(不図示)と接続され、送風ファンユニット40の吐出口(不図示)に、温風ダクト35、ベローズ36、温風吹出ノズル37が順に接続されている。
洗濯機S1は、循環ポンプPと循環ホースH1,H2を備え、外槽20内の貯留水を循環させる機能を有している。循環ポンプPは、外槽20の下方に配置され、その導入ポートが循環ホースH1を介して外槽20の底部と接続され、導出ポートが循環ホースH2を介して外槽カバー22の側部に接続されている。これにより、外槽20内に貯留された水を循環ポンプPによって汲み上げて、外槽20内の洗濯物の上部に散水されるように構成されている。
図4に示すように、トレイ5(図1参照)の後方には、5連の給水電磁弁Tや風呂水給水ポンプU、給水経路ユニット(不図示)などを備えた給水ユニット12(給水手段)が設けられている。5連の給水電磁弁Tは、洗剤給水電磁弁12aと、仕上剤給水電磁弁12bと、外槽給水電磁弁12cと、冷却水給水電磁弁12dと、槽洗浄給水電磁弁12e(給水手段)とを備えている。
洗剤給水電磁弁12aは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、トレイ5(図3参照)の洗剤投入室(図示せず)に給水する。洗剤投入室に注水された水道水は、投入された洗剤とともに、投入ホース(図示せず)を介して、外槽20内に注水される。
仕上剤給水電磁弁12bは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、トレイ5(図3参照)の仕上剤投入室(図示せず)に給水する。仕上剤投入室に注水された水道水は、投入された仕上剤とともに、投入ホース(図示せず)を介して、外槽20内に注水される。
外槽給水電磁弁12cは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、注水ホース(図示せず)から外槽20内に給水する。
冷却水給水電磁弁12dは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、送風ダクト30(図2参照)の水冷除湿機構(図示せず)に給水する。
槽洗浄給水電磁弁12eは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、洗浄水供給ホース55(洗浄水供給配管)を介して後記する外槽カバー側ノズル50A(水路部材)に給水する。
なお、風呂水給水ポンプUで汲み上げられた吸水ホース接続口7bからの風呂水は、図示しない給水経路を通って、注水ホース(図示せず)から外槽20内に給水される。
図5に示すように、5連の給水電磁弁Tは、外槽20の上部左寄りに配置されている。なお、図5では、給水ユニット12(図4参照)から5連の給水電磁弁Tのみを抜き出した状態を示している。
槽洗浄給水電磁弁12eの吐出ポート(不図示)には、分岐継手54が図示しないシール部材(Oリングなど)を介して接続され、この分岐継手54の先端に洗浄水供給ホース55の一端が接続され、分岐継手54の側面(周面)に水抜きホース56(水抜き配管)が接続されている。
洗浄水供給ホース55は、外槽本体21に沿って前方に延び、外槽カバー22の位置で左右方向の中央に折れ曲がるようにして延び、外槽カバー22の頂点部(中央部)に設けられた後記する給水口51f1(図8参照)に図示しないシール部材を介して接続されている。
水抜きホース56は、分岐継手54から下方に延び、そして後方に曲がりながら延び、外槽20(外槽本体21)の外側面後部に設けられた外槽給水継手24に接続されている。なお、外槽給水継手24は、トレイ5の洗剤投入室(図示せず)や仕上剤投入室(図示せず)に連通するケースと蛇腹ホース(不図示)を介して接続されている。
図6に示すように、外槽給水継手24は、外槽本体21に接続される継手24aと、前記蛇腹ホースと接続される継手24bとが側断面視L字状に組み付けられて構成されている。また、継手24aにより構成される流路と継手24bにより構成される流路との境界に、ゴム製の逆止弁24cが設けられている。この逆止弁24cは、継手24b側の流路から継手24a側の流路への流体の通流のみを可能とするものであり、後記する乾燥工程時に外槽20内に発生する蒸気が継手24aから継手24bへ通流するのを遮断するようになっている。
また、水抜きホース56は、継手24aの上部に接続されている。この継手24aには、水抜きホース56が接続される円筒状のホース接続部24a1が形成されている。このホース接続部24a1の底部には、継手24a内部の流路と連通する水抜き孔24a2が形成されている。なお、この水抜き孔24a2が、水抜きホース56(水抜き配管)が接続される出口に相当する。また、水抜き孔24a2の大きさについては後記する。
図7に示すように、洗浄水供給ホース55および水抜きホース56は、洗浄水供給ホース55が水抜きホース56よりも鉛直方向(上下方向)において上側に位置している。これにより、洗浄水供給ホース55内の残留水が、水抜きホース56を介して外槽20内に排出されることで、洗浄水供給ホース55内が残留水凍結によって閉塞するのを防止できる。
つまり、水抜きホース56が設けられておらず、槽洗浄給水電磁弁12eと後記する外槽カバー側ノズル50Aとが洗浄水供給ホース55を介して直結で接続されていると、外槽カバー側ノズル50Aから洗浄水を供給して槽洗浄給水電磁弁12eを閉じたときに、外槽カバー側ノズル50Aや洗浄水供給ホース55内の洗浄水の流れが止まり、外槽カバー側ノズル50Aの散水口50b2から洗浄水が排出されなくなる。そこで、本実施形態では、洗浄水供給ホース55に対して水抜きホース56を分岐して配置し、洗浄水供給ホース55を水抜きホース56よりも鉛直方向において上方に配置することにより、洗浄水供給ホース55内に洗浄水が残るのを防止することが可能になる。
図8に示すように、外槽カバー22には、槽洗浄用として水道水(洗浄水)を散水する外槽カバー側ノズル50Aが設けられている。外槽カバー側ノズル50Aは、合成樹脂などで形成され、略弓形形状(円弧形状)を呈し、外槽カバー22内の上部に設けられている。また、外槽カバー側ノズル50Aは、円周の四分の1程度の長さで形成され、中央から左右に同様の長さで延びている。また、外槽カバー側ノズル50Aの周方向の中央部には、洗浄水供給ホース55(図7参照)が接続される給水口50f1が形成され、外槽カバー22を貫通して、外槽カバー22の外側に突出している。なお、外槽カバー22と給水口50f1との境界には、Oリングなどのシール部材(不図示)が設けられて水漏れしないようになっている。
図9に示すように、外槽カバー側ノズル50Aが取り付けられる外槽カバー22の形状は、外槽本体21(11参照)の開口21s(図11)と接続される大径部22bと、この大径部22bに対して手前側(前方)に向けて縮径する傾斜部22cと、この傾斜部22cに対して略鉛直方向に延びる前面部22dと、を有している。また、前面部22dには、前記パッキン23が取り付けられる凸部22eが前方に突出して形成されている。前記外槽カバー側ノズル50Aは、外槽カバー22の大径部22bの前端に位置するように配設されている。
図10(a)に示すように、外槽カバー側ノズル50Aの前面50dには、周方向に間隔を置いて複数(本実施形態では、15個)の散水口50b2が形成されている。また、散水口50b2の孔径(直径)は、例えば、1.2mmとなるように形成されている。なお、この散水口50b2の個数、位置、孔径については、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
図10(b)および図10(c)に示すように、外槽カバー側ノズル50Aの上面50eには、複数の取付部51Aが周方向に間隔を置いて上面50eから後方に突出するように形成されている。この取付部51Aは、矩形状の片部51aを有し、この片部51aにねじ挿通孔51bが形成されて構成されている。また、各取付部51Aは、上面50eと面一になるように形成され、図示しないねじを挿通孔51bに挿通し、外槽カバー22の内壁面22b1にねじ止めされるようになっている。
図10(d)に示すように、外槽カバー側ノズル50Aの底面50fには、給水口50f1と対応する位置に散水口50a2が形成されている。なお、本実施形態では、散水口50a2は1個のみ設けられているが、複数個所に設けられていてもよい。
なお、水抜き孔24a2の断面積(流路断面積)は、外槽カバー側ノズル50Aの15個の散水口50a2と1個の50b2の合計断面積(合計流路断面積)に対して1割(10%)に設定されることが好ましい。このような割合に設定されることにより、水抜き機能を充分に発揮することができる。なお、外槽カバー側ノズル50A側の流量を抑えるなどの目的で散水口50a2,50b2の個数や孔径を1割よりも大きくなるように設定してもよい。
図11に示すように、外槽カバー側ノズル50Aは、外槽カバー22(外槽20)と内槽10の側面(周面)との間に配置されている。さらに説明すると、内槽10は、前端部に縮径した絞り部10dを有しており、外槽カバー側ノズル50Aが、外槽カバー22の大径部22bと絞り部10dとの間に位置している。なお、この絞り部10dの内周縁部にバランスリング10bが取り付けられている。
このように外槽カバー側ノズル50Aが設けられた洗濯機S1では、図11において実線矢印R1で示すように、散水口50b2から前方に洗浄水が吐出され、外槽カバー22の傾斜部22cの内壁面22c1に当たり、内壁面22c1に沿って下方へ流れる。
さらに説明すると、散水口50b2から吐出された洗浄水は、直線状に吐出されて内壁面22c1に当たり、当たった後にその位置を中心として周囲に放射状に広がるようになっている。そして、内壁面22c1に散水された洗浄水は、外槽カバー22の傾斜部22cの内壁面22c1および前面部22dの内壁面22d1を重力の作用によって伝わって流れ落ちる。
また、散水口50a2から吐出された洗浄水は、実線矢印R2で示すように、内槽10の絞り部10dに当たる。絞り部10dに散水された洗浄水は、内槽10が回転するときの遠心力によって外槽カバー22(外槽20)の大径部22bの内壁面22b1に飛び散り、また絞り部10dよりも後方の外槽カバー22の内面や内槽10の外周面10sに飛散する。なお、内槽10側に散水される散水口50b2は、ひとつではあるが、内槽10を回転させながら散水することで、内槽10の絞り部10dの周面全体に散水することが可能になる。このように、水道水を遠心力によって吹き飛ばして外槽カバー22内を洗浄することで、水道水を勢いよく吹き付けて洗浄する場合よりも使用水量を減らすことができる。
図12に示すように、外槽カバー側ノズル50Aのそれぞれの散水口50b2(図10参照)から外槽カバー22の前方(内壁面22b1)に吐出された洗浄水が放射状に飛散したときに、鉛直方向(重力方向)に直交する水平方向において、隣り合う散水口50b1からの洗浄水が互いに重なるようになっている。これにより、洗浄水が下方に流れ落ちたときに、外槽カバー22の内壁面22c1,22d1において、洗浄水が流れない領域を無くすことができ、汚れが縦縞状に残るのを防止することができる。
なお、前記した外槽カバー側ノズル50Aの散水口50b1の個数、孔径、位置は、図12で説明したように、洗浄水が外槽カバー22の内面全体に流れるように設定されるものであれば、個数、孔径、位置を適宜変更することができる。
次に、本実施形態の洗濯機S1の動作について説明する。まず、本実施形態の洗濯機S1の全体の構成について簡単に説明する。図13に示すように、制御装置(マイクロコンピュータ)60は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路などで構成され、各種スイッチ4b,4cに接続される操作ボタン入力回路62や、水位センサ63、温度センサ64、振動センサ65と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を取得する。なお、温度センサ64は、外気温度を検出する外気温度センサ、排水口20cの温度を検出する温度センサなどが含まれる。
また、制御装置60は、各駆動回路66を介して、各給水電磁弁12a〜12e、風呂水給水ポンプU、排水弁V、モータMの回転速度(内槽10の回転速度)およびファン41の回転速度、ヒータ42の通電(ON/OFF)を制御する。また、制御装置60は、使用者に洗濯機S1の動作状態を知らせるための表示器4dや発光ダイオード67、ブザー68を制御する。
制御装置60は、電源スイッチ4aが押されて電源が投入されると起動し、例えば、図14ないし図16に示す洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。なお、以下では、洗濯から乾燥までの一連の運転が行われる場合について図14ないし図17を参照して説明する。
図14に示すように、制御装置60は、洗い工程(ステップS100)、すすぎ工程(ステップS200)、槽洗浄工程(ステップS300)、脱水工程(ステップS400)、乾燥工程(ステップS500)が順に実行される。
図17に示すように、洗い工程(S100)の布量センシング工程(S100−1)において、制御装置60は、内槽10を回転させ、注水前の衣類について布量を算出する。なお、布量は、モータMの回転速度と電流値に基づいて、内槽10内の衣類の重量を算出することができる。衣類の重量が増加することにより内槽10を回転させるための負荷が大きくなり、モータMに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータMのモータ電流と回転速度により衣類の重量を算出することができる。なお、図17の表に示す槽回転速度の25〜45rpmは、内槽回転時(脱水時を除く)の回転速度である。
洗剤溶かし給水工程(S100−2)において、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12aを開弁し、トレイ5の洗剤投入室(図示せず)に水道水を給水する。トレイ5に注水された水道水は、洗剤を溶かしながら、蛇腹ホース(図示せず)、外槽給水継手24を介して外槽20内に注水される。なお、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12aが開弁されてから所定時間経過後に閉弁する。
回転給水工程(S100−3)において、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12aの開弁を維持した状態において、内槽10を回転させながら、循環ポンプPを駆動して、洗濯水(高濃度の洗剤溶液)を循環させて衣類に洗濯水を散布しながら給水する。なお、ここでは、内槽10を所定の回転速度で回転させる。また、制御装置60は、回転給水終了後、洗剤給水電磁弁12aを閉じる。
前洗い工程(S100−4)において、制御装置60は、高濃度の洗剤溶液で衣類を洗う。
布質センシング工程(S100−5)において、制御装置60は、水を含んだ状態の衣類の重量を算出する。そして、制御装置60は、布量センシング工程(1)で算出した衣類の重量と布質センシング工程(5)で算出した水を含んだ状態の衣類の重量から、衣類の布質(吸水性)を判定する。判定された衣類の布質に従って以下の工程が実行される。
補給水工程(S100−6)において、制御装置60は、布量センシング工程(1)で算出した衣類の重量と、布質センシング工程(5)で判断した衣類の布質に合わせて、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽20の内部に給水する。例えば、タオル生地など吸水性の高いものであれば、補給水工程において洗濯水を補給する。なお、給水終了後、制御装置60は、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁する。この補給水工程において、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁することにより、外槽カバー側ノズル50Aから洗浄水が散水され、それまでの洗い工程で外槽カバー22内の上部や内槽10の前端側面部などに付着した洗剤成分を流すことができる。
本洗い工程(S100−7)において、制御装置60は、内槽10を正逆両方向に回転させながら衣類を洗う。本洗いが終了すると、衣類のアンバランス状態を監視し、脱水に移行するか否かを判断する。
ステップS200のすすぎ工程では、すすぎ1工程およびすすぎ2工程が実行される。すなわち、すすぎ1の排水工程(S200−1)において、制御装置60は、排水弁Vを開弁し、外槽20内の洗濯水を排水する。なお、排水の終了判定は、水位センサの検出値によって行われる。
脱水工程(S200−2)において、制御装置60は、排水終了後、内槽10を高速で回転させて衣類に含まれる洗濯水を脱水する。なお、脱水時の内槽10の回転速度は、例えば1000rpmに設定される。
回転シャワー工程(S200−3)において、制御装置60は、排水弁Vを閉弁し、外槽給水電磁弁12cを開弁して、外槽20にすすぎ水を供給する。また、内槽10を回転させつつ、循環ポンプPを駆動して、すすぎ水を内槽10内の衣類に散布する。
脱水工程(S200−4)において、制御装置60は、内槽10を高速で回転させつつ、循環ポンプPを停止させて、衣類からすすぎ水を脱水する。
回転シャワー工程(S200−5)において、制御装置60は、内槽10を回転させつつ、再び循環ポンプPを駆動して、すすぎ水を内槽10内の衣類に散布する。
すすぎ2の排水工程(S200−6)において、制御装置60は、内槽10および循環ポンプPを停止させて、排水弁Vを開弁し、外槽20内のすすぎ水を排水する。
脱水工程(S200−7)において、制御装置60は、排水終了後、内槽10を高速で回転させて衣類に含まれる水(すすぎ水)を脱水する。
給水工程(S200−8)において、制御装置60は、排水弁Vを閉弁、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽20にすすぎ水を供給する。制御装置60は、給水終了後、槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁する。給水工程において、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して給水を行うことにより、すすぎ工程時に、外槽カバー22の上部などに付着した汚れを流すことができる。
仕上剤給水工程(S200−9)において、制御装置60は、仕上剤給水電磁弁12bを開弁し、外槽20に仕上剤を含んだすすぎ水を供給する。制御装置60は、仕上剤給水終了後、仕上剤給水電磁弁12bを閉弁する。
回転給水・補給水工程(S200−10)において、制御装置60は、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁し、すすぎ水を外槽20内に給水する。なお、吸水性の高い衣類が投入されていて、給水量が不足する場合には、すすぎ水を補給する。また、制御装置60は、外槽20にすすぎ水を溜めた状態で内槽10を回転させて衣類を攪拌しつつすすぐ。なお、このときの内槽10の回転速度は、35〜45rpmに設定される。
続いて、槽洗浄工程(S300)に進む。すなわち、図15に示すように、ステップS301において、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12a、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽20内に洗浄水(水道水)を給水する。
ステップS302において、制御装置60は、給水量が所定量に達したか否かを判定する。なお、所定量とは、水位が内槽10底面高さの25%以上の量、または、7リットル以上の量が望ましいが、ここでは、すすぎ工程時に設定可能な最大水位(例えば、11.5リットル)に設定される。また、給水量が所定量に達したか否かは、水位センサ63の検出値に基づいて判定される。ステップS302において、制御装置60は、給水量が所定量に達していないと判定した場合には(No)、ステップS301に戻り、給水を継続し、給水量が所定量に達したと判定した場合には(Yes)、ステップS303に進む。
ステップS303において、制御装置60は、内槽10を、洗い工程時の回転速度(例えば、25rpm)よりも高く、脱水工程時の回転速度(例えば、1000rpm)よりも低い回転速度で回転させる。なお、回転速度は、例えば、80〜300rpmに設定される。ただし、特に前記した範囲の回転速度に限定されるものではなく、洗濯槽(内槽10、外槽20)内を充分に洗浄できるものであれば、前記した範囲に限定されるものではない。例えば、モータMの最大可能出力(最大負荷)に応じて上限を適宜変更できる。また、内槽10の形状(水を巻き上げ易い形状であるか否か)に応じて、下限を適宜変更できる。つまり、水を巻き上げ易い形状である場合には、より低い回転速度でも充分に水を巻き上げることができる。
ステップS303において、制御装置60は、100rpmで右回転させる。内槽10が回転して、外槽20の底部に溜められた洗浄水(水道水)が上方へ巻き上げられることにより、水が巻き上げられる側の外槽20の内側左側半分の領域や内槽10の左側半分の領域が主に洗浄される。なお、内槽10の側面に多数形成された貫通孔10hから外槽20内側の側面(周面)に洗浄水が吹きかけられて洗浄される。
また、ステップS303において、制御装置60は、循環ポンプPを駆動させる。これにより、循環ホースH1,H2内も洗浄水によって洗浄される。
また、ステップS303において、制御装置60は、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁する。これにより、給水ホース接続口7aから供給された水道水が、槽洗浄給水電磁弁12e、洗浄水供給ホース55を介して外槽カバー側ノズル50Aに供給される。よって、図11で説明したように、外槽カバー側ノズル50Aの散水口50b2から外槽カバー22の内面に向けて洗浄水が吐出され、また散水口50a2から内槽10の外側面(外周面)の先端部に向けて洗浄水が吐出される。これにより、洗濯槽(内槽10、外槽20)内において鉛直方向で最も高く、水の巻き上げでは洗浄することが難しい場所に位置している領域を、外槽カバー側ノズル50Aからの散水によって洗浄することが可能になる。
ステップS304に進み、制御装置60は、内槽10を右回転させてから所定時間が経過したか否かを図示しないタイマによって判定する。なお、所定時間は特に限定されるものではなく、例えば、60秒に設定される。ステップS304において、制御装置60は、所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS303に戻り、所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS305に進む。
ステップS305において、制御装置60は、100rpmで内槽10を左回転させる。これにより、右回転のときと同様に外槽20内に溜められた洗浄水が巻き上げられて、外槽20の内側の右側半分の領域や内槽10の右側半分の領域が主に洗浄される。このように、内槽10を右回転と左回転させることにより、洗浄される領域に偏りが発生するのを防止できる。
ステップS306において、制御装置60は、内槽10を左回転させてから所定時間が経過したか否かを図示しないタイマによって判定する。なお、所定時間は特に限定されるものではなく、前記と同様に、例えば、60秒に設定される。ステップS306において、制御装置60は、所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS305に戻り、所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS307に進む。
ステップS307において、制御装置60は、循環ポンプPを停止する。なお、内槽10の回転(左回転、100rpm)はそのまま維持する。そして、図16に示す脱水工程に進む。
このようにして槽洗浄工程を実行することにより、洗濯槽(内槽10、外槽20)内の全体の汚れやゴミが取り除かれ、また次回運転する際に汚れやゴミの付着を抑制することができる。
図16に示すように、ステップS401において、制御装置60は、内槽10の回転を維持した状態で排出弁Vを開弁する。これにより、槽洗浄工程で使用された外槽20内の使用済みの洗浄水が排水ホース8を介して機外に排出される。
ステップS402において、制御装置60は、排水が完了したか否かを判定する。排水が完了したか否かは、水位センサ63の検出値に基づいて判定できる。ステップS402において、制御装置60は、排水が完了していないと判定した場合には(No)、ステップS402を繰り返し、排水が完了したと判定した場合には(Yes)、ステップS403に進む。
ステップS403において、制御装置60は、最終脱水工程に移行する。すなわち、制御装置60は、槽洗浄用の回転速度で回転している内槽10を脱水に対応した回転速度(例えば、1000rpm)まで上昇させる。最終脱水工程を所定時間実行した後、排水弁Vを閉じて、乾燥工程(S500)に移行する。
このように、槽洗浄工程(S300)から脱水工程(S400)に移行する際に、内槽10の回転を維持したまま脱水工程に移行することで、運転時間の短縮を図ることができる。すなわち、脱水工程前に内槽10の回転を停止させてしまうと、脱水工程を開始する際に、内槽10のバランスをとりながら回転速度を上昇させることが必要になり、脱水に対応した回転速度に上昇するまでに時間がかかることになる。本実施形態のように、槽洗浄工程で内槽10の回転を停止させないようすることで、前記したバランスとりの時間を省略することができ、運転時間の短縮を図ることが可能になる。
また、乾燥工程(S500)において、制御装置60は、冷却水給水電磁弁12dを開弁して、ヒータ42を通電し、ファン41を駆動させる。これにより、衣類から発生した蒸気が水冷除湿部材(不図示)によって水分が取り除かれ(除湿され)、ヒータ42によって暖められた後に、乾燥した空気となって再び内槽10内に戻される。
なお、乾燥工程においても、槽洗浄を行うようにして、乾燥運転で付着した埃を取り除くようにしてもよい。なお、内槽10に衣類が残っていないことを確認する処理を行う。例えば、ユーザがドア2を開いて衣類を取り出し、ドア2を閉め、所定のボタン(例えばスタートボタン)を押すことで、槽洗浄工程を開始できる。ちなみに、衣類が投入されていないことで、内槽10を高速で回転させることが可能となり、少ない水量で回転させることができ、節水性能を高めることができる。
また、図18および図19に示すように、槽洗浄工程(S300)において、すすぎ2の工程が終了した後に、仕上剤が含まれたすすぎ水を一旦排水して、脱水し、給水した後に槽洗浄シャワー(外槽カバー側ノズル50Aによる洗浄と内槽10の回転による洗浄)を実行するようにしてもよい。
すなわち、すすぎ2の回転給水・補給水工程(S200−10)が完了し後、ステップS311において、制御装置60は、排水弁Vを開弁して、すすぎ水を排水する。そして、ステップS312において、制御装置60は、内槽10を脱水に対応した回転速度(または、脱水の回転速度よりも低い回転速度)で回転させる。脱水完了後、ステップS313において、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12a、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽20内に洗浄水を貯留する。これにより、外槽20内には、すすぎ2で使用されたすすぎ水よりも清浄な水により、槽洗浄を行うことが可能になる。そして、給水量が所定量に達した場合には(S314、Yes)、内槽10を右回転、左回転させるなどして、水の巻上げにより槽洗浄などを行う(S315〜S319)。
また、図15および図18のフローを参照して説明した制御では、給水が完了した後に内槽10を回転させる構成を例に挙げて説明したが、このような順に限定されるものではなく、図20に示すように、先に内槽10を回転させてから、給水する構成であってもよい。
すなわち、図20に示すステップS321において、制御装置60は、排水弁Vを開弁する。これにより、すすぎ2の工程でのすすぎ水が排水ホース8を介して排出される。
ステップS322において、制御装置60は、内槽10の回転を開始し、バランスをとりながら、内槽10の回転速度が所定値以上になったか否かを判定する。なお、所定値とは、洗い工程時の回転速度よりも高く、脱水工程時の回転速度よりも低い回転速度に設定され、例えば200〜900rpm、好ましくは200〜300rpmに設定される。なお、この回転速度についても、前記したように、適宜変更できる。
ステップS323において、制御装置60は、排水弁Vを閉弁し、ステップS324において、内槽10の回転速度を維持したまま、洗剤給水電磁弁12a、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して給水を開始する。これにより、外槽20に貯留される洗浄水が増加し、かつ、洗浄水が内槽10の回転によって巻き上げられながら、槽洗浄が行われる。
また、ステップS324において、制御装置60は、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽カバー側ノズル50Aによる槽洗浄を行う。また、循環ポンプPを駆動させて、循環ホースH1,H2内を洗浄するようにしてもよい。これにより、循環ホースH1,H2内も洗浄することができる。
ステップS325において、制御装置60は、所定時間が経過したか否かを図示しないタイマによって判定する。なお、所定時間は、特に限定されるものではないが、例えば、30秒〜1分に設定される。制御装置60は、所定時間が経過していないと判定した場合には(S325、No)、ステップS325を繰り返し、所定時間が経過したと判定した場合には(S325、Yes)、ステップS326に進み、槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁する。
このように、槽洗浄工程(S300)において、内槽10を回転させながら洗浄水を供給することで、内槽10内の洗濯物に水がふりかかるのを、内槽10が停止している状態で給水するよりも抑制することが可能になる。また、水を溜めてから内槽10を回転させる場合よりも、内槽10をより高速で回転させることが容易にでき、少ない水量で水の巻上げを行うことができる。また、内槽10を高速で回転させることができるので、前記したように、洗浄領域の偏りを防止するために内槽10を右回転させた後に左回転させる必要もなく、一方向の回転のみ行うだけで洗浄領域の偏りを防止することができる。
以上説明したように、第1実施形態の洗濯機S1では、外槽カバー22(外槽20)内の上部において、外槽カバー22(外槽20)と内槽10の絞り部10d(内槽の前端部側面)との間に、槽洗浄給水電磁弁12e(給水手段)から供給された洗浄水を、洗浄水供給ホース55を介して外槽カバー側ノズル50A(水路部材)を設けたので、外槽カバー22の内面や内槽10の前面に付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミが堆積する前に洗い流すことで、洗濯槽(内槽10、外槽20)を清潔に保つことが可能になる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖や異臭の発生を抑制することが可能になる。さらに、洗濯中の洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
また、第1実施形態では、洗浄水供給ホース55に水抜きホース56が分岐して接続され、洗浄水供給ホース55が水抜きホース56よりも鉛直方向において上方に位置するように配置したので、洗浄水供給ホース55内に洗浄水が残るのを防止できる。これにより、残留水凍結によって洗浄水供給ホース55が閉塞するのを防止でき、また、閉塞によって生じる洗濯機S1の不具合を防止することができる。
また、第1実施形態では、水抜きホース56が接続される出口の水抜き孔24a2の断面積が、散水口50a2,50b2の合計断面積の1割以上に設定されることで、水抜きホース56側に洗浄水が無駄に流れるのを防止しつつ、水抜き機能を充分に発揮させることが可能になる。
また、第1実施形態では、洗浄水供給ホース55と水抜きホース56との分岐部を槽洗浄給水電磁弁12eの近傍に位置するように構成したので、洗浄水供給ホース55に残留する洗浄水を極力減らすことができる。
また、第1実施形態では、専用の槽洗浄給水電磁弁12eを設けたので、槽洗浄時の機能を損なうことがない。なお、洗浄水供給ホース55が専用の槽洗浄給水電磁弁12eに接続される構成に限定されるものでなく、別の給水電磁弁の下流に切替弁を設けて、分岐する構成にしてもよい。
また、第1実施形態では、モータMおよび槽洗浄給水電磁弁12eを制御する制御装置60を備え、制御装置60が、外槽20に所定量の水道水が溜まるように槽洗浄給水電磁弁12eを制御し、内槽10を洗い工程時の回転速度よりも高い回転速度で回転するようにモータMを制御する構成にしたので、外槽カバー側ノズル50Aによる槽洗浄だけではなく、外槽20に溜められた洗浄水の巻上げによって槽洗浄を行うことが可能となり、洗濯槽(内槽10、外槽20)内の全体を洗浄することが可能になる。
(第2実施形態)
図21に示すように、第2実施形態に係る洗濯機(ドラム式洗濯機)S2は、第1実施形態よりも内槽10Aの径(外径)をコンパクト(小径)にして、図示しない外殻(第1実施形態での筐体1に相当するもの)の幅をコンパクトに構成したものである。なお、洗濯機S2の基本的な構成および運転制御は、第1実施形態と同様であり、槽洗浄用のノズルの構成が異なっている。
洗濯機S2は、内槽10Aと外槽20Aとを備え、内槽10Aの回転中心が、手前側が高くなり、内槽10Aおよび外槽20Aが傾斜するように構成されている。また、外槽20Aは、外槽本体21Aと外槽カバー22Aとが組み合わされて構成されている。外槽カバー22Aには、乾燥工程時に温風を内槽10A内の洗濯物に吹き付けるための幅広の温風吹出ノズル22fが、右側斜め上部に位置するように外槽カバー22Aと一体に構成されている。
また、外槽20の外周側には、洗浄水供給ホース57が上部から右側部まで延びて配設されている。洗浄水供給ホース57の一端は、外槽20Aの上部に設けられた略T字状の分岐継手25に接続されている。また、洗浄水供給ホース57の他端は、外槽20Aの側部に設けられた略L字状の継手26に接続されている。
分岐継手25は、一方が後記する第1ノズル50C(図22参照)に接続され、もう一方が前記した給水ユニット12(給水手段)の槽洗浄給水電磁弁12eと洗浄水供給ホース58(洗浄水供給配管)を介して接続されている。また、継手26の他方は、後記する第2ノズル50D(図22参照)と接続されている。
図22に示すように、外槽カバー22Aの内面には、第1ノズル50C(第1水路部材)および第2ノズル50D(第2水路部材)が設けられている。第1ノズル50Cは、外槽カバー22Aの上部に設けられ、第2ノズル50Dは、第1ノズル50Cよりも鉛直方向において下側の外槽カバー22Aの側部に設けられている。また、第1ノズル50Cおよび第2ノズル50Dは、外槽カバー22Aの内面に形成された溝部22gに配置されている。この溝部22gは、温風吹出ノズル22fを挟んで円周方向に延び、図19の平面視において略C字状に形成されている。
第1ノズル50Cは、温風吹出ノズル22fよりも鉛直方向(上下方向)において上側に位置する溝部22g1に配置されている。第2ノズル50Dは、温風吹出ノズル22fよりも鉛直方向において下側に位置する溝部22g2に配置されている。
図23(a)に示すように、第1ノズル50Cは、合成樹脂などで内部に中空部を有し、円弧状に延びるように構成されている。また、第1ノズル50Cは、円弧形状の背面(内槽10A側に向く面)50iに5つの散水口50b5がほぼ等間隔に形成されている。また、第1ノズル50Cには、背面50iの下縁部に、複数の取付部51Cが下方に向けて長手方向に間隔を置いて形成されている。取付部51Cには、ねじ挿通用のU字状の切欠きが形成されている。
図23(b)および図23(c)に示すように、第1ノズル50Cは、洗浄水(水道水)が供給される入口である給水口50k1が形成されている。また、第1ノズル50Cは、前後方向において扁平な形状であり、円筒形状の給水口50k1が前面51jに対して前方に、かつ一部が上方に若干突出するように構成されている。
図23(d)に示すように、第1ノズル50Cの前面51jには、5つの散水口50b6がほぼ等間隔に形成されている。なお、長手方向の中央に位置する散水口50b6は、給水口50k1の円筒部に形成されている。
図24(a)に示すように、第2ノズル50Dは、合成樹脂などで内部に中空部を有し、上下方向(鉛直方向)に略直線状に細長く延びるように構成されている。また、第2ノズル50Dの背面50mには、上部に散水口50b7が形成され、右側面50nには、略円筒形状の給水口50pが形成されている。また、第2ノズル50Dの背面50mの側縁部には、取付部51Dが側方に突出して形成され、下縁部には、取付部51Dが下方に突出して形成されている。
図24(b)に示すように、第2ノズル50Dには、右側面50nの下端部に散水口50b8が形成されている。また、第2ノズル50Dの給水口50pは、前面50oから円筒部の半分が突出して形成されている。また、右側面50nには、給水口50pを挟んで上下に突起部50n1,50n1が形成されている。この突起部50n1は、第2ノズル50Dを溝部22g2内に取付けたときに、溝部22g2の側壁22g3(図26参照)と第2ノズル50Dの右側面50nとの間に洗浄水が流れる隙間が形成されるようになっている。
図24(c)に示すように、第2ノズル50Dには、上面50rに散水口50b9が形成されている。
図24(d)に示すように、第2ノズル50Dには、前面50oに給水口50pを挟んで上下に散水口50b10,50b10が形成されている。
図25に示すように、第1ノズル50Cは、取付部51Cを介して、ねじNを用いて外槽カバー22Aに形成されたねじボスB1に固定されている。分岐継手25から供給された洗浄水(水道水)は、第1ノズル50Cに導入され、矢印R3で示すように、散水口50b2から吐出される。この吐出された洗浄水は、外槽カバー22Aの溝部22g1の底面22iに当たり、重力の作用によって底面22iに沿って下方へ流れ、さらに底面22iから外槽20Aの開口部20bに向けて形成された面22jに沿って流れ落ちる。
また、矢印R4で示すように、第1ノズル50Cの散水口50b6から吐出された洗浄水は、バランスリング10fの前面10f1に当たり、洗浄水の一部は、前面10f1に沿って下方に流れ、洗浄水の他の一部は、内槽10Aの回転による遠心力によって、外槽カバー22Aの大径部22hの内面22h1に向けて吹き飛ばされる。この場合、内槽10Aの右回転により右方向に飛散し、内槽10Aの左回転により左方向に飛散する。これにより、外槽カバー22Aの第1ノズル50Cよりも上方の内面が洗浄される。このように、遠心力を利用することにより、第1実施形態と同様に使用水量を減らすことができる。
図26に示すように、第2ノズル50Dは、取付部51Dを介して、ねじNを用いて外槽カバー22Aに形成されたねじボスB2に固定されている。第2ノズル50Dに供給された洗浄水は、矢印R5で示すように、上面50rに形成された散水口50b9(図24(c)参照)から上方へ吐出され、温風吹出ノズル22fと第2ノズル50Dとの間の溝部22g2内に飛散する。ちなみに、溝部22g2と温風吹出ノズル22fとの境界の領域は、第2ノズル50Dの設置面よりも一段高くなった温風吹出ノズル22fが形成されているので、第1ノズル50Cから流れ落ちる洗浄水では、この領域に洗浄水が流れることはない。そこで、本実施形態では、第1ノズル50Cだけではなく、第2ノズル50Dを設けることで、第1ノズル50Cで洗浄することができない領域をカバーすることが可能になる。
また、第2ノズル50Dに供給された洗浄水は、矢印R6で示すように、第2ノズル50Dの右側面50nに形成された散水口50b8(図24(b)参照)から右側方へ吐出され、溝部22g2の側壁22g3に沿って流れ落ちる。
図27に示すように、第2ノズル50Dに供給された洗浄水は、矢印R7で示すように、第2ノズル50Dの前面50oに形成された散水口50b10,50b10から前方に吐出され、溝部22g2の前面(底面)22g4に当たり、重力の作用によって前面22g4に沿って流れ落ちることで、溝部22g2の前面22g4が洗浄される。
また、第2ノズル50Dに供給された洗浄水は、矢印R8で示すように、背面50mの上部に形成された散水口50b7から後方へ吐出され、バランスリング10fの前面10f1が当たる。なお、バランスリング10fは回転しているので、散水口50b7から吐出された洗浄水は、バランスリング10fの前面10f1の全体に散水されることになる。
図28に示すように、散水口50b7からバランスリング10fに吐出された洗浄水は、矢印R9で示すように、バランスリング10fの回転時の遠心力によって外槽カバー22Aの内側面22h2に飛散する。
なお、第2実施形態に係る洗濯機S2では、第1実施形態と同様の制御(図14ないし図20)によって槽洗浄工程を実施できる。
以上説明したように、第2実施形態に係る洗濯機S2では、外槽カバー22A(外槽20A)の上部において、外槽カバー22A(外槽20A)とバランスリング10fの前面10f1(内槽10Aの前面)との間に第1ノズル50Cを設けて、外槽カバー22Aの前方(外槽20A側)とバランスリング10fの前面10f1側(内槽10A側)に散水するように構成したので、外槽カバー22A(外槽20A)と内槽10Aの前端側面(周面)との間にノズル(水路部材)を配置するスペースを確保することができない場合であっても、槽洗浄を行うことが可能になる。これにより、外槽カバー22Aの内面や内槽10Aの前面に付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖や異臭の発生を抑制することが可能になる。さらに、洗濯中の洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
また、第2実施形態では、第2ノズル50Dを外槽カバー22A(外槽20A)とバランスリング10fの前面10f1(内槽10Aの前面)との間に配置したので、第1ノズル50Cから散水される洗浄水の流れが阻害される位置に温風吹出ノズル22fのような別の部材が設けられて、温風吹出ノズル22fの下側に位置する段差部分を含めて洗浄することが可能になる。
また、第2実施形態によれば、第1ノズル50Cと第2ノズル50Dとが槽洗浄給水電磁弁12eの下流側において分岐して接続されているが、洗浄水供給ホース58が槽洗浄給水電磁弁12eより鉛直方向において上側に配置されているため、第1実施形態と同様に洗浄水供給ホース58に対して水抜きホース(不図示)を分岐して配置し、洗浄水供給ホース58を水抜きホース(不図示)よりも鉛直方向において上方に配置することにより、洗浄水供給ホース58内に洗浄水が残るのを防止することが可能になる。
また、第1実施形態と同様に、給水ユニット12(給水手段)が洗浄水供給ホース55に接続される専用の槽洗浄給水電磁弁12eを備えるので、槽洗浄時の洗浄水の圧力や流量を充分に確保することができる。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、モータMおよび給水ユニット12を制御する制御装置60を備え、制御装置60の制御によって、外槽20Aに所定量の水道水が溜まるように給水ユニット12(槽洗浄給水電磁弁12e)を制御し、内槽10Aを洗い工程時の回転速度(30〜60rpm)よりも高い回転速度(80〜500)で回転するようにモータMを制御する。これにより、第1ノズル50Cおよび第2ノズル50Dによる洗浄だけではなく、外槽20Aに溜めた洗浄水の巻き上げによっても洗浄を行うことができるので、外槽20A内をより広範囲にわたって洗浄することが可能になる。
なお、前記した実施形態では、第1ノズル50Cを円弧状に構成したが、円弧状に限定されるものではなく、直線状に構成してもよい。また、第1ノズル50Cの散水口50b5の配置および散水口50b6の配置については、左右対称に配置した場合を例に挙げて説明が、左右対称に限定されるものではなく、左右非対称に設けてもよい。
図29ないし図31は、第1実施形態の洗濯機S1の変形例を示し、外槽20に外槽本体側ノズル50Bを設けたものである。この構成は、例えば、前記した外槽カバー側ノズル50Aによる槽洗浄と水の巻上げによる槽洗浄とで充分に槽洗浄を行うことができない場合に適用することができる。
図29は、外槽側ノズルの配置を示す平面図である。図30は、外槽側ノズルの単体を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。図31は、外槽側ノズルからの水の流れを示す断面図である。図29は、外槽カバー22を取り外して外槽本体21内を前側(手前側)から見た状態である。
図29に示すように、外槽本体21(外槽20)の底面(奥側の面)21aには、槽洗浄用として水道水を散水する外槽本体側ノズル50Bが設けられている。この外槽本体側ノズル50Bは、略弓形状(円弧形状)を呈し、外槽本体21の底面21a(奥側の面)の上部に周方向に沿って、換言すると内槽10(図31参照)の周方向に沿って配置されている。また、外槽本体側ノズル50Bは、円周の四分の1程度の長さで形成され、中央から左右に同様の長さで延びるように配設されている。なお、外槽本体側ノズル50Bの形状は、平面視弓形に構成されるものに限定されず、直線状に構成されていてもよい。
図30(a)に示すように、外槽本体側ノズル50Bの前面(側面)50gには、散水口50b3,50b3が形成されている。また、外槽本体側ノズル50Bは、その上面と下面に交互に周方向に間隔を置いて取付部51Bが形成されている。この取付部51Bは、矩形状の片部51aを有し、この片部51aにねじ挿通孔51bが形成されて構成されている。
図30(b)に示すように、外槽本体側ノズル50Bの背面(側面)50hには、複数(本実施形態では9個)の散水口50b4が周方向に間隔を置いて形成されている。また、外槽本体側ノズル50Bの取付部51Bは、背面50hと面一に形成されている。また、背面50hには、背面側(後方)に突出するリブ50h2が、隣り合う散水口50b4間に形成されている。なお、リブ50h2の高さは、外槽本体21の底面21aに設置したときに、外槽本体側ノズル50Bと外槽本体21の底面21aとに、散水口50b4から吐出される洗浄水を外槽本体側ノズル50Bの上方および下方に飛散させることができる程度の距離に設定される。
図31に示すように、外槽本体側ノズル50Bの散水口50b4から、実線矢印で示すように外槽20(外槽本体21)内の底面21aに向けて洗浄水が吐出される。底面21aに当たった洗浄水は、重力の作用によって底面21aに沿って下方に流れ落ちる。なお、図示していないが、この場合にも、図12で説明したように、各散水口50b4は、隣り合う散水口50b4から吐出された洗浄水の飛散領域が水平方向において重なるようにそれぞれの散水口50b4の個数や配置が設定されているものとする。
また、外槽本体側ノズル50Bの散水口50b3,50b3(図30参照)からは、破線矢印で示すように内槽10に設けられた合成樹脂製の底板10gに向けて散水される。底板10gに散水された洗浄水は、内槽10の回転による遠心力によって底板10gの外周面全体に散水される。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、外槽カバー側ノズル50A、第1ノズル50C、外槽本体側ノズル50Bの形状は、円弧形状に限定されるものではなく、直線形状であってもよい。また、外槽カバー側ノズル50Aの散水口50a2,50b2、第1ノズル50Cの散水口50b5,50b6、外槽本体側ノズル50Bの散水口50b4の各配置は、左右対称に限定されるものではない。外槽カバー側ノズル50Aの散水口50a2,50b2、第1ノズル50Cの散水口50b5,50b6、外槽本体側ノズル50Bの散水口50b4の個数は、適宜変更することができる。