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JP2013089334A - 透明導電体、及び透明導電体の製造方法 - Google Patents

透明導電体、及び透明導電体の製造方法 Download PDF

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JP2013089334A JP2011226414A JP2011226414A JP2013089334A JP 2013089334 A JP2013089334 A JP 2013089334A JP 2011226414 A JP2011226414 A JP 2011226414A JP 2011226414 A JP2011226414 A JP 2011226414A JP 2013089334 A JP2013089334 A JP 2013089334A
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Motomine Takano
元峰 高野
Yoshinori Iwabuchi
芳典 岩淵
Hideaki Takenouchi
秀章 竹之内
Hideshi Kotsubo
秀史 小坪
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Abstract

【課題】金属ナノ繊維を用いた透明導電膜を有する透明導電体であって、湿熱耐久性に優れた透明導電体を提供する。
【解決手段】透明基板と、その表面に形成された、金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を含む透明導電膜を含む透明導電体であって、前記透明導電膜における金属ナノ繊維が、厚さ方向に濃度分布を有しており、且つ前記透明導電膜の前記透明基板と反対側の表面近傍における金属ナノ繊維濃度が、前記透明導電膜の前記透明基板との界面近傍における金属ナノ繊維濃度に比べて低いことを特徴とする透明導電体。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、タッチパネル、電子ペーパー等の電子デバイスに用いることができる透明導電膜を有する透明導電体に関し、特に、金属ナノ繊維を含み、湿熱試験において耐久性に優れた透明導電体に関する。
透明導電膜は液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、タッチパネル、電子ペーパー等の電子デバイスの透明電極や電磁波シールド材等に用いられている。
透明導電膜としては、従来から、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)やアンチモンドープ酸化錫(ATO)等の金属酸化物が用いられている。一般に、金属酸化物を用いた透明導電膜の作製は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相製膜法が用いられる。気相製膜法は真空環境が必要なため、大型装置を用い、且つ大量のエネルギーを消費するため、製造コストや環境負荷が大きくなるという問題がある。
一方、金属ナノワイヤー又は金属ナノロッドとも称される金属ナノ繊維を用いた透明導電膜の開発も行われている。例えば、特許文献1においては、金属ナノ繊維とポリアニオンを含有する導電性材料で構成された透明導電層を有しており、塗工法により導電膜を形成できる点で有利である。
特開2010−62059号公報
しかしながら、金属ナノ繊維を用いた透明導電膜は、高温高湿環境試験において金属ナノ繊維の酸化等により表面抵抗が上昇する場合があり、湿熱耐久性能が十分とはいえなかった。
従って、本発明の目的は、金属ナノ繊維を用いた透明導電膜を有する透明導電体であって、湿熱耐久性に優れた透明導電体を提供することにある。
また、本発明の目的は、この透明導電体の製造方法を提供することにある。
上記目的は、透明基板と、その表面に形成された、金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を含む透明導電膜とを含む透明導電体であって、前記透明導電膜における金属ナノ繊維が、厚さ方向に濃度分布を有しており、且つ前記透明導電膜の前記透明基板と反対側の表面近傍における金属ナノ繊維濃度が、前記透明導電膜の前記透明基板との界面近傍における金属ナノ繊維濃度に比べて低いことを特徴とする透明導電体によって達成される。本発明の透明導電体においては、金属ナノ繊維の透明導電膜表面近傍の濃度を膜表面から離れた透明基板との界面近傍の濃度よりも低くすることで、金属ナノ繊維が透明導電膜に均一に存在する場合に比べて、透明導電膜表面における金属ナノ繊維の酸化の影響を相対的に抑制することができる。そして、透明基板との界面近傍には金属ナノ繊維が透明導電膜表面近傍より高い濃度で存在しているので、透明導電膜として導電性を十分に確保することができる。これにより、湿熱耐久性に優れた透明導電膜を有する透明導電体とすることができる。
本発明の透明導電体の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記透明導電膜の表面近傍が、前記透明導電膜の表面から前記透明基板方向に対して透明導電膜の総膜厚の1〜40%の範囲であり、且つ前記透明導電膜の前記透明基板との界面近傍が、前記透明導電膜の前記透明基板との界面から透明導電膜の表面方向に対して前記透明導電膜の総膜厚の1〜40%の範囲である。
(2)前記透明導電膜の表面から前記透明基板方向に対して前記透明導電膜の総膜厚の1/3の範囲における金属ナノ繊維濃度(Cs)の、前記透明導電膜の前記透明基板との界面から前記透明導電膜の表面方向に対して透明導電膜の総膜厚の1/3の範囲における金属ナノ繊維濃度(Cb)に対する濃度比(Cs/Cb)が、0.1〜0.95である。
(3)前記透明導電膜全体の金属ナノ繊維濃度が、1〜90体積%である。これにより、更に十分な導電性を有する透明導電膜とすることができる。
(4)前記金属ナノ繊維が、銀又は銅からなる。
(5)前記バインダ樹脂が、導電性高分子を含む。これにより更に優れた導電性を有する透明導電膜とすることができる。
(6)前記導電性高分子が、下記式(I):
Figure 2013089334
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、又はR1及びR2が相互に結合して任意に置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基を形成し、nは50〜1000の整数を表す)で表される繰り返し単位を含むポリチオフェン誘導体である。上記のポリチオフェン誘導体は導電性が高いので本発明における導電性高分子として好適である。
(7)総膜厚が、5〜3000nmである。
(8)前記透明導電膜が、前記透明基板表面にパターニング処理されてなる透明電極である。本発明の透明導電体における透明導電膜は湿熱耐久性に優れているので透明電極として有用である。
また、上記目的は、透明基板表面に、金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を含む透明導電膜用塗工液を塗布して塗工液層を形成し、塗工液層における金属ナノ繊維を透明基板方向に沈降させた後、前記塗工液層を乾燥及び/又は硬化させることを特徴とする透明導電体の製造方法によって達成される。これにより、透明導電膜において、容易に金属ナノ繊維の濃度分布を形成し、透明導電膜と透明基板との界面近傍より透明導電膜表面近傍の金属ナノ繊維濃度が低い透明導電膜を有する透明導電体を得ることができる。
なお、本発明の製造方法においても、上記の本発明の透明導電体の好ましい態様と同様な態様が好ましい。
本発明によれば、透明電極膜において、金属ナノ繊維の透明導電膜表面近傍の濃度を膜表面から離れた透明基板との界面近傍の濃度よりも低くすることで、金属ナノ繊維が透明導電膜に均一に存在する場合に比べて、透明導電膜表面における金属ナノ繊維の酸化の影響を相対的に抑制することができる。そして、透明基板との界面近傍には金属ナノ繊維が透明導電膜表面近傍より高い濃度で存在しているので、透明導電膜として導電性を十分に確保することができる。これにより、湿熱耐久性に優れた透明導電膜とすることができる。従って、本発明の透明導電膜からなる透明電極は湿熱耐久性に優れた透明電極であるといえる。
図1は本発明の透明導電体の一例を示す概略断面図であり、図1(a)は全体図を示し、図1(b)は図1(a)の破線で囲った部分の拡大図を示す。 図2は本発明の透明導電体の別の一例を示す概略断面図である。 図3は本発明の透明導電体の透明導電膜を透明電極とした一例を示す概略断面図である。 図4は本発明の透明導電体の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の透明導電体の一例を示す概略断面図である。図1(a)に示すように、本発明の透明導電体20は、透明基板11、及び透明基板11の表面に形成された透明導電膜12を含む。透明導電膜12は、金属ナノ繊維19及びバインダ樹脂を含んだ透明導電膜である。金属ナノ繊維19は導電性が高く、可視光域の波長に対して透過性が高いため、透明導電膜12は透明性が高く、導電性に優れた導電膜である。そして、図示の通り、金属ナノ繊維19は、透明導電膜12において厚さ方向(透明導電膜12表面から透明基板11への方向)に濃度分布を有しており、透明導電膜12の透明基板11と反対側の表面近傍における金属ナノ繊維19の濃度が、透明導電膜12の透明基板11との界面近傍における金属ナノ繊維19の濃度に比べて低くなっている。透明導電膜12はどのように形成されたものでも良い。低コストで層形成できることから、後述の透明導電体の製造方法で詳述するように、金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を含む塗工液を透明基板11の表面に塗工することで形成された塗工層であることが好ましい。
金属ナノ繊維19の濃度は、バインダ樹脂中に分散して存在している金属ナノ繊維19の体積濃度を意味し、例えば、透明導電膜12の断面を顕微鏡観察し、単位面積当たりの金属ナノ繊維19が占める面積の割合から測定することができる。或いは、透明導電膜を透明導電膜の表面方向に平行に順次切断し、同様に顕微鏡観察や質量測定などを行うことによって測定することができる。
透明導電膜12において、金属ナノ繊維19の透明導電膜12における表面近傍の濃度を、膜表面から離れた透明基板11との界面近傍における濃度よりも低くすることで、金属ナノ繊維19が透明導電膜12に均一に存在する場合に比べて、透明導電膜12の表面において、金属ナノ繊維19が高温高湿等による酸化を受ける割合を相対的に低減することができる。そして、透明基材11との界面近傍には金属ナノ繊維19が透明導電膜12の表面近傍より高い濃度で存在しているので、透明導電膜12は十分な導電性を確保している。
従って、透明導電膜12は、湿熱耐久性に優れ、十分な導電性を有する透明導電膜であるといえる。
透明導電膜12の表面近傍とは、図1(b)に示すように、透明導電膜12の表面から、透明基板11の方向に対して厚さsの範囲である。厚さsは、一般に、総膜厚tの1%以上50%未満であり、好ましくは、総膜厚tの1〜40%であり、更に好ましくは、総膜厚tの5〜35%(特に、総膜厚tの1/3(約33%))である。
また、透明導電膜12の透明基板11との界面近傍とは、図1(b)に示すように、透明導電膜12の透明基板11との界面から、透明導電膜12の表面方向に対して厚さbの範囲である。厚さbは、一般に、総膜厚tの1%以上50%未満であり、好ましくは、総膜厚tの1〜40%であり、更に好ましくは、総膜厚tの5〜35%(特に、総膜厚tの1/3(約33%))である。
即ち、金属ナノ繊維19の透明導電膜12の表面近傍の濃度とは、図1(b)において、透明導電膜12の表面から厚さsの範囲を顕微鏡観察し、単位面積当たりの金属ナノ繊維19が占める面積の割合から求めた体積濃度である。また、透明導電膜12の透明基板11との界面近傍の金属ナノ繊維19の濃度とは、図1(b)において、透明導電膜12の透明基板11との界面から厚さbの範囲を顕微鏡観察し、単位面積当たりの金属ナノ繊維19が占める面積の割合から求めた体積濃度である。
更に、本発明においては、透明導電膜12の表面近傍における金属ナノ繊維19の濃度(Cs)の、透明導電膜12の透明基板11との界面近傍における金属ナノ繊維19の濃度(Cb)に対する濃度比(Cs/Cb)は、Cs/Cb<1の関係を示す。濃度比(Cs/Cb)は、0.1〜0.95が好ましく、0.3〜0.9が更に好ましい。これにより、更に湿熱耐久性に優れた透明導電膜12とすることができる。なお、この規定において、濃度(Cs)は、透明基板12の表面から透明基板11方向に対して透明導電膜12の総膜厚tの1/3の範囲における金属ナノ繊維濃度とし、濃度(Cb)は、透明導電膜12の透明基板11との界面から透明導電膜12の表面方向に対して透明導電膜12の総膜厚tの1/3の範囲における金属ナノ繊維濃度とする。
また、本発明において、透明導電膜12全体における金属ナノ繊維19の濃度は、1〜90体積%が好ましく、更に1〜70体積%が好ましく、特に1〜50体積%が好ましい。これにより、更に十分な導電性を有する透明導電膜12とすることができる。
透明導電膜における金属ナノ繊維の濃度分布は、透明導電膜の表面近傍の濃度が、透明基板との界面近傍の濃度に比べて低くなっていれば良く、その間の濃度変化については特に制限は無い。図1に示したように、透明導電膜12の表面から透明基板11との界面に向かって金属ナノ繊維19の濃度が連続的に高くなるような濃度分布でも良く、金属ナノ繊維濃度が断続的に高くなるような濃度分布でも良い。
図2は、本発明の透明導電体の別の一例を示す概略断面図であり、透明導電膜の金属ナノ繊維濃度が、透明導電膜の表面から透明基板との界面に向かって断続的に高くなっている例を示している。図示の通り、図2の透明導電体30は、透明基板21及び透明導電膜22からなり、透明導電膜22は、透明基板21の表面に形成された第1導電層22Aとその表面に形成された第2導電層22Bから構成されている。そして、第2導電層22Bにおける金属ナノ繊維29の濃度が、第1導電層22Aにおける金属ナノ繊維29の濃度より低くなっている。透明導電膜22を構成する導電層は何層あっても良い。透明導電膜22が、3層以上の導電層から構成される場合、透明導電膜22の最表層の導電層の金属ナノ繊維29の濃度が透明基板21との界面に形成された導電層の金属ナノ繊維29の濃度より低くなっていれば良い。
透明導電膜の総膜厚は特に制限はなく、用途に応じて適宜設定できる。薄過ぎると本発明の効果が発揮され難い場合があるので、好ましくは5〜3000nm、更に好ましくは5〜1000nm、特に好ましくは5〜500nmである。
なお、本発明の透明導電体における透明導電膜は、導電性を損なわない範囲で、その表面を保護するためにオーバーコート層が形成されていても良い。オーバーコート層は、上述のバインダ樹脂等を用いて形成することができる。本発明の透明導電体における透明導電膜は、湿熱耐久性に優れているので、従来のものより、オーバーコート層が薄層であっても同様な保護効果を得ることができる。
本発明の透明導電体においては、透明導電膜を透明電極とすることもできる。図3は、本発明の透明導電体における透明導電膜を透明電極とした一例を示す概略断面図である。図示の通り、本発明の透明導電体40は、透明基板31及びその表面に透明導電膜がパターニング処理された透明電極35を含む。透明電極35は、上述の透明導電膜と同様な構成である。即ち、透明電極35は金属ナノ繊維39及びバインダ樹脂を含み、金属ナノ繊維39は、透明電極35の厚さ方向(透明電極35の表面から透明基板31への方向)に濃度分布を有しており、透明電極35の表面近傍の金属ナノ繊維39の濃度が、透明電極35の透明基板31との界面近傍の金属ナノ繊維39の濃度に比べて低くなっている。パターニングは、どのような方法でされていても良い。例えば、後述する透明導電体の製造方法における透明導電膜用塗工液をインクとして用い、印刷法で透明基板31に電極パターンを形成する方法、透明導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法やレーザ加工法などにより電極パターンを形成する方法、フォトレジストで形成した電極パターンのネガパターンを含む透明基板上に、透明電極膜を形成し、リフトオフ法を用いて、電極パターンを形成する方法等が挙げられる。本発明の透明導電体における透明電極は、上述の透明導電膜の説明と同様に湿熱耐久性に優れた透明電極である。このような透明電極を有する本発明の透明導電体は、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、タッチパネル、電子ペーパー等の電子デバイスに好適に用いることができる。
以下に、本発明の透明導電体に関する材料について説明する。
[金属ナノ繊維]
金属ナノ繊維は、金属ナノワイヤー又は金属ナノロッドとも称されるサブミクロンレベルの微細な金属繊維である。金属ナノ繊維の短軸の長さは500nm未満が好ましく、200nm未満がより好ましく、100nm未満が更に好ましい。アスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)は、一般に、10〜100000の範囲であり、50〜100000が好ましく、100〜100000が更に好ましい。
金属ナノ繊維を構成する金属としては、金属元素、金属合金、金属酸化物等の金属化合物を含む。金属としては銀、金、銅、ニッケル、金めっきの銀が好ましく、特に銀が好ましい。
金属ナノ繊維は、従来公知の技術で調製できる。例えば、銀ナノ繊維は、エチレングリコール等のポリオール及びポリ(ビニルピロリドン)の存在下で硝酸銀等の銀塩の液相還元により合成できる。
[バインダ樹脂]
バインダ樹脂としては、透明(「可視光に対して透明」を意味する)であり、透明導電膜の形状を維持できるものであればどのようなものでも良い。例えば熱可塑性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物を使用できる。熱可塑性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、シリコン樹脂などを挙げることができ、紫外線硬化性樹脂は光重合開始剤等とともに紫外線硬化性樹脂組成物とし、熱硬化性樹脂は熱重合開始剤等とともに熱硬化性樹脂組成物として使用することができる。
紫外線硬化性樹脂(モノマー、オリゴマー)としては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー類、ポリオール化合物と有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の硬質の多官能モノマーを主に使用することが好ましい。
これらの紫外線硬化性樹脂を、熱重合開始剤とともに用いて熱硬化性樹脂として使用してもよい。
紫外線硬化性樹脂組成物の光重合開始剤として、紫外線硬化性樹脂の性質に適した任意の化合物を使用することができる。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、チオキサントン系等が使用できる。特に、特に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、イルガキュア184)が好ましい。光重合開始剤の量は、樹脂組成物に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
熱硬化性樹脂組成物の熱重合開始剤として、加熱により重合を開始させる官能基を含む化合物である有機過酸化物やカチオン重合開始剤が挙げられ、中でも有機過酸化物が好ましい。熱重合開始剤は、1種又は2種以上の混合で使用することができる。熱重合開始剤の量は、樹脂組成物に対して、一般に0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
樹脂組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、老化防止剤、塗料加工助剤、着色剤等を少量含んでいても良い。その量は、樹脂組成物に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
[導電性高分子]
また、本発明において、バインダ樹脂は、導電性高分子を含むことが好ましい。これにより、更に導電性に優れた透明導電膜とすることができる。なお、バインダ樹脂として、導電性高分子のみを用いても良く、上述の他の樹脂組成物とともに導電性高分子を用いても良い。
導電性高分子は、一般に共役型の二重結合を基本骨格に有する有機高分子で、具体的にはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフラン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、これらの誘導体、及びこれらを構成する単量体の共重合物から選ばれた導電性高分子のいずれか1種又は2種以上の混合物が好ましく挙げられる。中でも、水又はその他の溶媒に対して可溶性、又は分散性を有し、高い導電性及び透明性を示す、ポリチオフェン誘導体が好ましい。特に、下記式(I):
Figure 2013089334
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、又はR1及びR2が相互に結合して任意に置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基を形成し、nは50〜1000の整数を表す)で表される繰り返し単位を含むポリチオフェン誘導体が好ましい。
式(I)において、R1及びR2が相互に結合して形成される、置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、具体的にはアルキル基で置換されたメチレン基、任意に炭素原子数1〜12のアルキル基又はフェニル基で置換されたエチレン−1,2基、プロピレン−1,3基、ブテン−1,4基を形成する基等が挙げられる。
式(I)におけるR1及びR2として、好ましくはメチル基又はエチル基であるか、R1及びR2が相互に結合して形成するメチレン基、エチレン−1,2基又はプロピレン−1,3基である。特に好ましいポリチオフェン誘導体としては、下記式(II):
Figure 2013089334
(式中、pは50〜1000の整数を表す)で示される繰り返し単位、即ち、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)単位を有するポリチオフェン誘導体である。
導電性高分子は、更にドーパント(電子供与剤)を含むことが好ましい。ドーパントとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリビニルスルホン酸が好ましく挙げられる。特に、ポリスチレンスルホン酸が好ましい。これらにより導電性高分子の導電性を向上することができ、熱線反射層14の近赤外線遮蔽効果を高めることができる。ドーパントの数平均分子量Mnは、好ましくは1,000〜2,000,000であり、特に好ましくは2,000〜500,000である。
ドーパントの含有量は導電性高分子100質量部に対して、通常20〜2000質量部であり、好ましくは、40〜200質量部である。例えば、式(II)のポリチオフェン誘導体を導電性高分子とし、ポリスチレンスルホン酸をドーパントとして使用する場合はポリチオフェン100質量部に対して、ポリスチレンスルホン酸100〜200質量部が好ましく、特に120〜180質量部が好ましい。
[溶媒]
金属ナノ繊維とバインダ樹脂とを分散又は溶解させる溶媒は、バインダ樹脂の種類によって適宜好適なものを選択することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトフェノン、メチルエチルケトン等のケトン類;四塩化炭素及びフッ化炭化水素等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素等が挙げられる。特にバインダ樹脂に導電性高分子を用いる場合は、水、アルコール類が好ましい。
[透明基板]
本発明における透明基板は、透明(「可視光に対して透明」を意味する。)な基板であれば特に制限は無く、透明プラスチックフィルム、ガラス板、及び透明プラスチック基板等が挙げられる。透明プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリエチレンブチレートフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、グリーンガラス、珪酸塩ガラス、無機ガラス板、無着色透明ガラス板等が挙げられ、プラスチック板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンブチレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート等のプラスチック製の基板が挙げられる。透明プラスチックフィルムの場合は、特に加工時の熱、溶剤、折り曲げ等の負荷に対する耐性が高く、透明性が高い点で、PETフィルムが好ましい。
なお、透明プラスチックフィルム表面には、透明導電膜が形成し易くするために、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー層コート処理などの接着処理を施してもよく、共重合ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等の易接着層を設けてもよい。
[透明導電体の製造方法]
本発明の透明導電体の製造方法としては、どのような方法を用いても良いが、低コストで製造可能な塗工法を用いて行うことが好ましい。図4は、本発明の透明導電体の製造方法の一例を示す概略断面図である。図4においては、図1に示したような、透明導電膜の表面から透明基板との界面に向かって金属ナノ繊維の濃度が連続的に高くなるような濃度分布を有する透明導電膜を含む透明導電体の製造方法について説明する。
まず、上述の金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を溶媒に分散させた透明導電膜用塗工液を、透明基板11の表面に塗工し、塗工液層12Lを形成する(図4(a))。塗工は、バーコーター法、ロールコーター法、カーテンフロー法、スプレー法など適当な方法を用いることができる。また、図3に示したような透明導電膜を透明電極とする場合は、印刷法を用いてパターニングすることもできる。この場合は、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷等を用いることができる。塗工した段階では、金属ナノ繊維19は塗工液層12L中に均一に分散している。
次いで、この塗工液層12Lが形成された透明基板11を、透明基板11が下方になるように静置し、金属ナノ繊維19を透明基板11の方向へ沈降させる(図4(b))。静置時間は特に制限は無く、塗工液の比重、粘度との関係で塗工液層12の表面近傍における金属ナノ繊維19の濃度が低下し、塗工液層12Lと透明基板11との界面近傍の金属ナノ繊維19の濃度が上昇する程度の静置時間を設定することができる。静置時間は5分〜10時間が好ましく、10分〜5時間が更に好ましく、10分〜1時間が特に好ましい。
その後、塗工液層12Lを乾燥及び/又は硬化処理し、透明導電膜12を形成する(図4(c))。乾燥及び/又は硬化処理は40〜150℃、好ましくは60〜130℃で加熱することで行うことができる。加熱時間は、一概には決められないが、数分〜数時間程度である。
バインダ樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合、紫外線硬化の光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザ光等を挙げることができる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数秒〜数分程度である。また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加熱し、これに紫外線を照射してもよい。
なお、図2に示したような、透明導電膜の表面から透明基板との界面に向かって金属ナノ繊維の濃度が断続的に高くなるような濃度分布を有する透明導電膜については、例えば、金属ナノ繊維濃度の異なる塗工液を2種以上用いて、塗工液を塗工する工程、及び塗工液層を乾燥及び/又は硬化する工程を繰り返すことで製造することができる。
以下に、実施例を示し、本発明についてさらに詳述する。
1.透明導電膜の形成
[実施例1]
PETフィルム(厚さ100μm)の表面に、銀ナノ繊維分散液(銀ナノ繊維(直径50nm、長さ50μm)、バインダ樹脂(ポリビニルアルコール)、溶媒(水)、固形分2質量%(銀ナノ繊維:バインダ樹脂(質量比)=4:1))をワイヤーバーコーターにより塗工した。塗工後室温にて10分間静置し、銀ナノ繊維を沈降させた後、乾燥炉中で120℃、10分間乾燥して、膜厚25nmの透明導電膜を形成した。表面抵抗率が200±20Ω/□になるように膜厚を調製した。透明導電膜の顕微鏡写真から、透明導電膜の表面近傍(表面から総膜厚の1/3の範囲)の金属ナノ繊維濃度(Cs)と透明導電膜の透明基板との界面近傍(界面から総膜厚の1/3の範囲)の金属ナノ繊維濃度(Cb)との濃度比(Cs/Cb)は、0.89であった。
[実施例2]
透明導電膜の表面抵抗率が500±20Ω/□になるように、膜厚を15nmに調製した以外は、実施例1と同様に透明導電膜を形成した。上記の濃度比(Cs/Cb)は、0.92であった。
[比較例1]
銀ナノ繊維分散液を塗工後、静置せず、すぐに乾燥炉で(振動させながら)乾燥した以外は、実施例1と同様に透明導電膜を形成した。上記の濃度比(Cs/Cb)は、1.13であった。
[比較例2]
銀ナノ繊維分散液を塗工後、静置せず、すぐに乾燥炉で(振動させながら)乾燥した以外は、実施例2と同様に透明導電膜を形成した。上記の濃度比(Cs/Cb)は、1.11であった。
2.評価方法
(1)表面抵抗率
上記でPETフィルム上に形成した各透明導電膜のサンプル(4×6cm)について、初期及び環境耐久試験(温度60℃、湿度90%RH、200時間)後の表面抵抗率をロレスタMCP−T610(三菱化学アナリテック社製)を用いて測定した。
(2)全光線透過率
(1)と同様のサンプルについて、ヘイズメータNDH2000(日本電色工業社製)を用いて、全光線透過率を測定した。
3.評価結果
各透明導電膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2013089334
表1に示す通り、透明導電膜の表面近傍の銀ナノ繊維濃度が、透明導電膜のPETフィルムとの界面近傍の銀ナノ繊維濃度に比べて低い実施例1及び2の透明導電膜は、初期及び環境耐久試験後の表面抵抗率にほとんど変化がなく、湿熱耐久性が高いことが認められた。一方、透明導電膜の表面近傍の銀ナノ繊維濃度が、透明導電膜のPETフィルムとの界面近傍の銀ナノ繊維濃度に比べて高い比較例1及び2の透明導電膜は、環境耐久試験後の表面低効率が上昇しており、銀ナノ繊維が透明導電膜表面において、酸化され導電性が低下していた。
従って、本発明により、金属ナノ繊維を含み、湿熱耐久性に優れた透明導電膜を有する透明導電体が得られることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、タッチパネル、電子ペーパー等の電子デバイスに用いることができる湿熱耐久性に優れた透明導電膜を有する透明導電体を低コストで提供することができる。
11、21、31:透明基板
12、22:透明導電膜
20、30、40:透明導電体
22A:第1導電層
22B:第2導電層
12L:塗工液層
19、29、39:金属ナノ繊維
35:透明電極

Claims (10)

  1. 透明基板と、その表面に形成された、金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を含む透明導電膜とを含む透明導電体であって、
    前記透明導電膜における金属ナノ繊維が、厚さ方向に濃度分布を有しており、且つ
    前記透明導電膜の前記透明基板と反対側の表面近傍における金属ナノ繊維濃度が、前記透明導電膜の前記透明基板との界面近傍における金属ナノ繊維濃度に比べて低いことを特徴とする透明導電体。
  2. 前記透明導電膜の表面近傍が、前記透明導電膜の表面から前記透明基板方向に対して透明導電膜の総膜厚の1〜40%の範囲であり、且つ
    前記透明導電膜の前記透明基板との界面近傍が、前記透明導電膜の前記透明基板との界面から透明導電膜の表面方向に対して前記透明導電膜の総膜厚の1〜40%の範囲である請求項1に記載の透明導電体。
  3. 前記透明導電膜の表面から前記透明基板方向に対して前記透明導電膜の総膜厚の1/3の範囲における金属ナノ繊維濃度(Cs)の、前記透明導電膜の前記透明基板との界面から前記透明導電膜の表面方向に対して透明導電膜の総膜厚の1/3の範囲における金属ナノ繊維濃度(Cb)に対する濃度比(Cs/Cb)が、0.1〜0.95である請求項1又は2に記載の透明導電体。
  4. 前記透明導電膜全体の金属ナノ繊維濃度が、1〜90体積%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電体。
  5. 前記金属ナノ繊維が、銀からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電体。
  6. 前記バインダ樹脂が、導電性高分子を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電体。
  7. 前記導電性高分子が、下記式(I):
    Figure 2013089334
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、又はR1及びR2が相互に結合して任意に置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基を形成し、nは50〜1000の整数を表す)で表される繰り返し単位を含むポリチオフェン誘導体である請求項6に記載の透明導電体。
  8. 総膜厚が、5〜3000nmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電体。
  9. 前記透明導電膜が、前記透明基板表面にパターニング処理されてなる透明電極である請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電体。
  10. 透明基板表面に、金属ナノ繊維及びバインダ樹脂を含む透明導電膜用塗工液を塗布して塗工液層を形成し、塗工液層における金属ナノ繊維を透明基板方向に沈降させた後、前記塗工液層を乾燥及び/又は硬化させることを特徴とする透明導電体の製造方法。
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